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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H01L 審判 一部申し立て 発明同一 H01L |
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管理番号 | 1041243 |
異議申立番号 | 異議1999-72309 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-03-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-06-16 |
確定日 | 2001-02-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2837355号「半導体ICチップのパッケージ及びその製造方法並びにリード・フレーム」の請求項1〜5、16〜18についての特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2837355号の請求項1〜5、16〜18についての特許を維持する。 |
理由 |
[1]手続の経緯 本件特許第2837355号(平成6年9月9日出願、平成10年10月9日設定登録)は、設定登録後、その特許について、異議申立人水野由起子より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年4月24日に訂正請求がなされたものである。 [2]訂正の適否 (1)訂正事項 1)特許請求の範囲の請求項1を、 「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されていることを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。」と訂正する。 2)同請求の範囲の請求項2を、 「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。」と訂正する。 3)同請求の範囲の請求項3を、 「前記パッド領域に前記凸部を接着した請求項2記載の半導体ICチップのパッケージ。」と訂正する。 4)同請求の範囲の請求項16を、 「導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とするリード・フレーム。」と訂正する。 5)同請求の範囲の請求項17を、 「導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードもこ幅広のパッド領域を複数形成したことを特徴とするリ-ド・フレーム。」と訂正する。 6)特許明細書の段落【0011】を、 「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1に係る発明である半導体ICチップのパッケージは、半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着した。」と訂正する。 7)同明細書の段落【0012】を、 「また、上記目的を達成するために、請求項2に係る発明である半導体ICチップのパッケージは、半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した。 そして、請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記パッド領域に前記凸部を接着した。 さらに、請求項4に係る発明は、上記請求項1〜請求項3に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記凸部を半田製とした。」と訂正する。 8)同明細書の段落【0019】を、 「一方、上記目的を達成するために、請求項16に係る発明であるリード・フレームは、導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した。」と訂正する。 9)同明細書の段落【0020】を、 「また、上記目的を達成するために、請求項17に係る発明であるリード・フレームは、導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成した。 そして、請求項18に係る発明は、上記請求項17に係る発明であるリード・フレームにおいて、前記パッド領域の一面であって前記複数のインナ・リード同士で同じ側を向く面を非磁性体金属膜で被覆した。」と訂正する。 10)同明細書の段落【0022】を、 「【作用】 請求項1に係る発明にあっては、半導体ICチップの各パッドは各インナ・リードに導通し、それらインナ・リードは金属製の凸部を介してパッケージ外部と導通する。従って、その金属製の凸部を実装ボードの端子に電気的に接続することにより実装が完了する。この際、金属製の凸部は同じ高さであり且つその金属製の凸部が形成される各リード・フレームも同一平面内に位置するから、各金属製の凸部の端部は水平に保たれ、一括した半田付けも可能である。そして、インナ・リードは導電性材料からなるため、ガラス・エポキシ樹脂のように製造途中の加熱処理によって反ってしまう可能性は小さい。 しかも、インナ・リードの非磁性体金属膜で被服された部分のインダクタンスが低くなるから、半導体ICチップの高速スイッチング動作が容易になる。 さらに、金属製の凸部が非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されているから、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固である。 請求項2に係る発明にあっても、上記請求項1に係る発明と同様に、金属製の凸部を実装ボードの端子に電気的に接続することにより実装が完了し、各金属製の凸部の端部は水平に保たれ、一括した半田付けも可能であり、そして、インナ・リードはガラス・エポキシ樹脂のように製造途中の加熱処理によって反ってしまう可能性は小さい。 さらに、請求項2に係る発明であれば、パッド領域が、半導体ICチップを動作させる際に発生する熱の放散を促進させる。しかも、幅広のパッド領域を、インナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる。 そして、請求項2に係る発明において.請求項3に係る発明のようにパッド領域に金属製の凸部が接着されると、パッド領域が幅広であることから、リード・フレームと金属製の凸部との結合が強固になる。」と訂正する。 11)同明細書の段落【0030】を、 「ここで、請求項16〜請求項19に係る発明であるリード・フレームは、上記請求項6〜請求項15に係る半導体ICチップのパッケージの製造方法を実行する上で好適なリード・フレームである。 例えば、請求項16及び17に係る発明であれば、上記請求項9、請求項10に係る発明と同様に、外枠部を容易に切り離すことができ、しかも外枠部を切り離す際の力でインナ・リードが誤って抜けてしまうようなことを防止できるインナ・リードとなる。 さらに、請求項16に係る発明であれば、幅広のパッド領域を、インナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる。 また、請求項17に係る発明であれば、半導体ICチップで発生する熱の放散を促進できるインナ・リードとなるし、インナ・リードに複数の幅広のパッド領域を設けているから、金属製の凸部の配置パターンを容易に変更できる。 そして、請求項18に係る発明であれば、メッキ処理によって形成される金属製の凸部との結合が強固になる。さらに、請求項19に係る発明であれば、メッキ条件が各インナ・リード同士で一致するようになる。」と訂正する。 12)同明細書の段落【0060】を、 「【発明の効果】 以上説明したように、請求項1に係る発明にあっては、導電性材料からなるリード・フレームを介して半導体ICチップの各パッドとリード端子としての金属製の凸部とを接続し、金属製の凸部の先端部を除いた全体を絶縁材料で封止し、しかも、金属製の凸部を非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着する構成としたため、金属製の凸部の先端部の水平度を向上することができ、しかも耐久性を向上することができ、さらには、高速クロックで動作させる半導体ICチップのパッケージに好適に用いることができ、またさらに、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固であるという効果がある。 また、請求項2に係る発明にあっては、金属製の凸部の先端部の水平度を向上することができ、しかも耐久性を向上することができ、さらには、半導体ICチップを動作させる際に発生する熱の放散を促進させるパッド領域を設けたため、半導体ICチップの安定した動作を確保でき、またさらに、幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができるという効果がある。 そして、請求項3に係る発明にあっては、上記請求項2に係る発明の効果に加えて、パッド領域に金属製の凸部を形成したため、リード・フレームと金属製の凸部との結合が強固になり、信頼性がさらに高くなるという効果がある。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否 1)上記訂正事項1)については、 請求項1に記載された絶縁部材が、半導体ICチップ及びインナ・リードの両面を封止している点を限定するとともに、同じく請求項1に記載された金属製の凸部が、非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着されている点を限定したものであり、半導体ICチップ及びインナ・リードの両面が絶縁部材で封止されている点は、特許明細書の段落【0042】や図5等に記載されていたものであり、また、金属製の凸部が、非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着されている点は、特許明細書の段落【0028】や段落【0045】の記載からみて、金属製の凸部は非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着されているものと認められる。 したがって、訂正事項1)は特許請求の範囲の減縮に該当する。 2)上記訂正事項2)については、 請求項2に記載された幅広のパッド領域の形成位置をインナ・リードの中途部分に限定するとともに、これらインナ・リードの半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に同一高さの金属製の凸部を接着する点を限定したものであり、幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成する点は、特許明細書の段落【0034】や図2等に記載されており、また、これらインナ・リードの半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に、同一高さの金属製の凸部を接着する点は、特許明細書の段落【0028】や段落【0045】、図5の記載からみて、これらインナ・リードの半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に同一高さの金属製の凸部が接着されているものと認められる。 したがって、訂正事項2)は特許請求の範囲の減縮に該当する。 3)上記訂正事項3)については、 訂正後の請求項2の記載と請求項3に記載との整合をとるための訂正である。 したがって、訂正事項3)は明りようでない記載の釈明に該当する。 4)上記訂正事項4)については、 請求項16に記載された複数のインナーリードの中途部分に幅広のパッド領域が形成された点を限定したものであり、複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成する点は、特許明細書【0034】や図2等に記載されていたものである。 したがって、訂正事項4)は特許請求の範囲の減縮に該当する。 5)上記訂正事項5)については、 請求項17に記載された複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成した点を限定したものであり、複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成する点は、特許明細書【0034】や図2等に記載されていたものである。 したがって、訂正事項5)は特許請求の範囲の減縮に該当する。 そして、上記訂正事項1)〜5)は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 6)上記訂正事項6)〜9)については、 訂正後の請求項1〜3、16、17の記載と発明の詳細な説明との整合をとるための訂正である。 そして、この訂正事項6)〜9)は、いずれも明りようでない記載の釈明に該当するものであり、且つ願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 7)上記訂正事項10)、12)については、 請求項1に係る発明において金属製の凸部を非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着した結果、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固になった点と、請求項2に係る発明において幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成した結果、隣合ったインナ・リード同士で長手方向にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる点とを明確にしたものである。 したがって、この訂正事項10)、12)は、いずれも請求項1に係る発明の作用効果及び請求項2に係る発明の作用効果を明りょうにしたものであるから、明りようでない記載の釈明に該当する。 また、金属製の凸部を非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着すると、特許明細書の段落【0028】や段落【0045】に記載されているように、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固になるものと認められ、 また、幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成すると、隣合ったインナ・リード同士で長手方向にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる点は、特許明細書の段落【0034】に記載されている。 したがって、上記訂正事項10)、12)は、願書に添付した明細書図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡又は変更するものでもない。 8)上記訂正事項11)については、 請求項16に係る発明において幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成した結果、隣合ったインナ・リード同士で長手方向にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる点と、請求項17に係る発明においてインナ・リードに複数の幅広のパッド領域を形成した結果、金属製の凸部の配置パターンを容易に変更できる点とを明確にしたものである。 したがって、この訂正事項11)は、請求項16に係る発明の作用及び請求項17に係る発明の作用を明りようにしたものであるから、明りようでない記載の釈明に該当する。 また、幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成すると、隣合ったインナ・リード同士で長手方向にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる点は、特許明細書の段落【0034】に記載されているし、また、インナ・リードに複数の幅広のパッド領域を設けると金属製の凸部の配置パターンを容易に変更できる点は、特許明細書の段落【0052】に記載されている。 したがって、上記訂正事項11)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3)独立特許要件 1)本件発明 訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜19に係る発明のうち、訂正後の請求項1〜5、16〜18に係る発明(以下、「本件発明1〜5、16〜18」という。)は、請求項1〜5、16〜18に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出さた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッド電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されていることを特徴とする半導ICチップのパッケージ。 【請求項2】半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。 【請求項3】前記パッド領域に前記凸部を接着した請求項2記載の半導体ICチップのパッケージ。 【請求項4】前記凸部は半田製である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージ。 【請求項5】前記絶縁部材はプラス知育である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージ。 ・・・ 【請求項16】導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止させれた場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とするリード・フレーム。 【請求項17】導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成したことを特徴とするリード・フレーム。 【請求項18】前記パッド領域の一面であって前記複数のインナ・リード同士で同じ側を向く面を非磁性体金属膜で被覆した請求項17記載のリード・フレーム。」 2)取消理由の概要 <理由1>訂正前の請求項1に係る発明は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前の請求項2に係る発明は、刊行物1、7、8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,訂正前の請求項3〜5に係る発明は、刊行物1〜3、7、8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前の請求項16に係る発明は、刊行物5、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、さらに、訂正前の請求項17、18に係る発明は、刊行物5〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 <理由2>訂正前の請求項2〜5に係る発明は、先願明細書に記載された発明と同一である。 3)取消理由において引用された引用例 3-1)刊行物1の特開昭59-227143号公報には、集積回路パッケージに関する発明が、第7〜10図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。 「第7図(a)、(b)はリードフレーム2を折曲げ成形することにより端子2cを形成した場合の集積回路の側断面形状を示したもので、同図(a)が端子2cの突出したもの、同図(b)が端子2cの突出しないものをそれぞれ示している。 第8図(a),(b)は上述のワイヤボンデイングと異なり、ギャングボンデイングによりICチップ1とリード2bとを接続してなる集積回路の例を示しており、同図(a)の場合は端子2cが樹脂モールド3の樹脂表面から突出した例、同図(b)の場合は同一面をなす例である。図示しないが第6図(c)の例のように端子2cが樹脂表面より窪んだものも勿論可能である。 第9図(a)、(b)はギャングボンデイングによる第7図(a)、(b)に相当する構造の側断面形状を示したものであり、ICチップ1が直接リード2bに接続される外は第7図と同様である。 第10図(a)、(b)は第9図(a)、(b)の集積回路の平面形状を示したもので、リード2bのICチップ1寄りの端部はICチップ1の端子に位置合わせできるように端部同士が接近し且つ尖っており、ICチップ1の端子に直接接続される。そしてリード2bのパッケージから突出した部分は短く成形されている。」(第2頁右下欄13行〜第3頁左上欄16行) 3-2)刊行物2の特許審判請求公告第761号(特許第1501723号訂正明細書;公告日平成5.5.25)には、集積回路用リードフレームに関する発明が記載され、さらに以下の事項が記載されている。 「ワイヤボンデイング部へのボンデイングワイヤ接続を円滑に欠陥なく行うためにこれらの表面にAu又はAgをメッキすることが行われている。なおこれはリードフレーム全面にメッキを施すよりもチップ搭載部とワイヤボンデイング部のみの部分メッキの方が経済的で望ましいとされている。」(第2頁左欄下から15〜9行) 3-3)刊行物3の特開平4-115558号公報には、半導体装置用リードフレームに関する発明が記載され、さらに以下の事項が記載されている。 発明の構成として、 「素材上全面に直接もしくは下地皮膜を介してPdまたはPd合金皮膜を形成し、少なくともアウターリード上の該PdまたはPd合金皮膜上にAgめっき皮膜を薄く形成したことを特徴とする半導体リードフレーム。」(特許請求の範囲の請求項1)、 発明の効果として、 「PdまたはPd合金皮膜は化学的に安定であるため、半導体チップの良好な接合性、良好なワイヤボンデイング性を有し、またははんだ濡れ性も良好なことからアウターリードのはんだ付け性も良好である。またリードフレームの全面にPdまたはPd合金皮膜を形成するので工程の簡略化も行える利点がある。」(第2頁左上欄4〜10行) 3-4)先願明細書の特願平6-171020号の願書に最初に添付した明細書又は図面(特開平8-37253号公報参照)には、耐湿性等信頼性が高くかつ高密度の実装が可能な汎用性の優れた半導体装置の表面実装型パッケージ、及びその製造方法並びに実装方法に関する発明が、第1、2、24、25図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。 発明の構成として、 「半導体チップ上に設けられ、導体層を有する接着部材と、 上記半導体チップ上に設けられた電極と上記導体層とを電気的に接続する接続部材と、 上記半導体チップ、上記導体層、上記接着部材および上記接続部材を樹脂封止する封止部材と、 この封止部材に設けられた開口部を介して上記導体層に接続された外部電極とを備えたことを特徴とする半導体装置。」(公報第2頁特許請求の範囲【請求項1】参照)、 発明の作用として、 「請求項1の発明においては、半導体チップおよびその上の接着部材の周囲が封止されて耐湿性がよくなり、また、外部電極と半導体チップ上の電極を(「の」は誤記である。)長くして封止樹脂と内蔵される接着部材、その上の導体層、接続部材等との界面を伝わって侵入する水分の進行が抑えられ、さらに、耐湿性が向上される。また、実装密度の向上と小型化が可能となる。」(公報第8頁段落【0055】参照)、 実施例1として、 「図1および図2に示すように、半導体装置1Aは半導体チップ2に接着されたテープ9を有し、このテープ9上に形成された導体層10と半導体チップ2上の電極としてのボンデイングパッド3を金属細線1でワイヤボンデングし、導体層10の一表面の一部を露出するために封止樹脂6に図3に示すように開口部12を設ける。この開口部12は半導体装置1Aの製造工程の途中の工程である樹脂封止工程で用いる樹脂封止金型の樹脂封止部分の該当部分に設けた突起をテープ9上の導体層10に押し当てて形成する。そして、この開口部12に外部電極としての半田バンプ5を形成する。」(公報第9頁段落【0095】参照)、 実施例6として、 「図24および図25はこの発明の第6実施例を示すもので、図24はこの発明に係る半導体装置の一部断面図を示す外観図、図25は図24の線e-e’の部分で切断して示す断面図であり、各図において、図1〜図4と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。図において、1Fは本実施例による半導体装置、26は半導体チップ2上に設けられた接着部材としてのTABテープ、27はTABテープ26上の外部電極としての配線、28はTABテープ26の内部リード、29はTABテープ26上の櫛形配線、30はTABテープ26の架橋部、31はボンデイングパッド3上に設けられたバンプである。」(公報第12頁段落【0116】参照)、 「図24において、TAB技術を用い、TABテープ26の内部リード28の先端部と半導体チップ2のボンデイングパッド3とをバンプ31と呼ばれる金属突起電極を介して接続する。TABテープ26の樹脂封止部分より外側の破線で示すTABテープの架橋部30は実施例1における架橋部13(図4)と同様、封止金型内での半導体チップ2の位置固定、半田バンプ5を形成するために、封止樹脂6に設けた凹部を形成するための封止金型の突起をTABテープ26上に圧接させることを可能にする。その後このTABテープの架橋部30はその役目が終わると切断される。」(公報第12頁段落【0117】参照) 3-5)刊行物5の実願昭55-146817号(実開昭57-69246号)のマイクロフィルムには、樹脂モールド型の集積回路装置に用いるリードフレームに関する発明が、第1〜6図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。 従来例として、 「ダイスステージを取り囲みダイスステージに近接して配置された複数のインナーリード部3、インナーリード部3より外に向かって左右対称に伸びている外部リード部4」(第2頁3〜6行)、 本考案として、 「本考案のリードフレームは、鉄-ニッケル合金、コバール等の金属板に、第1図に示すようなリードパターンを形成する際、外枠フレーム6とダイスステージ支持リード片2の接続部7及び外枠フレーム6と外部リード部4との接続部8に写真蝕刻法で第4図(1)、第5図(1)、第6図(1)に示すような断面円弧状の凹部9を設けたものである。第4図(1)はリードフレーム上面に凹部9を設けた場合、第5図(1)は裏面に凹部9を設けた場合、第6図(1)は両面に凹部9を設けた場合を示すそれぞれ実施例である。」(第4頁8〜18行) 3-6)刊行物6の特開平6-77380号公報には、樹脂封止型半導体装置に関する発明が、第1〜3図とともの記載され、さらに以下の事項が記載されている。 「第1図〜第3図に示される実施例ではインナーリード2の一部に突起(ライズ)10を設け水分の侵入と引き抜けの防止を実現している。」(第3頁左欄10〜12行)、 「このようにインナリードの一部に突起を形成するようにしたことにより、突起の分だけ樹脂との接触面積が増加して引き抜けに抗する樹脂の量が増加し、突起が樹脂と係合するリードのみやリードと樹脂とがともに引き抜けることを防止できる。」(第3頁左欄33〜37行) 3-7)刊行物7の特開昭63-290795号公報には、ICカード用リードフレームに関する発明が、第1、2図とともに記載され、さらに 第1、2図とその詳細な説明の〔実施例〕の欄を参照すると、フレーム部13に連設されている複数のリード部14の先端部が幅広に形成されているものが開示されている。 3-8)刊行物8の特公昭54一20315号公報には、ICチップなどの半導体装置に関する発明が、第2図とともに記載され、さらに、第2図とその詳細な説明を参照すると、基板11に設けられている外部引出し導体10の先端部の、ワイヤボンデイング領域10bが、他の導体部分10cより拡大して角形に形成されているものが開示されている。 4)対比・判断 <理由1>について 4-1)本件発明1と刊行物1とを対比すると、刊行物1に記載の「リード2b」、「端子2c」、「樹脂モールド3」は、それぞれ、本件発明1の「インナ・リード」、「金属製の凸部」、「絶縁部材」に相当し、刊行物1の第7〜9図の記載からみて、インナ・リードは同一平面内に配置され、端子2cは同一高さを有しているものと認められるから、両者は、本件発明1に沿って記載すると、「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備えた半導体ICチップのパッケージ。」の点で一致する。 しかしながら、本件発明1が、「前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されている」構成を有するのに対し、刊行物1に記載の発明は、このような構成を有していない点で相違する。 そこで、上記相違点について検討すると、刊行物2には、チップ搭載部とボンデイングワイヤ部とのボンデイングワイヤ接続を円滑にするために、経済的ではないが、リードフレーム全面に非磁性体金属であるAuまたはAgのメッキをすることが開示され、また、刊行物3には、リードフレーム全面に非磁性体金属であるPdまたはPd合金皮膜を形成することにより、半導体チップの良好な接合性、良好なワイヤボンデング性を得るようにしたものが開示されている。 しかしながら、刊行物2、3には、リードフレーム全面に非磁性体金属膜を形成することが記載されているとしても、「金属製の凸部が非磁性体金属膜を介してインナーリードに接着されている」構成は何らの記載も示唆もされていないから、刊行物1に記載の集積回路パッケージに、刊行物2、3に記載の非磁性体金属膜を適用しても、本件発明1は容易に想到できるものではない。 さらに、刊行物5〜8にも、「金属製の凸部が非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着されている」構成については、何らの記載もないし示唆もされていない。 そして、本件発明1の半導体ICチップのパッケージは、金属製の凸部を同一高さとすることにより、一括した半田付けが可能となり、しかも、インナ・リードの、半導体チップのパッドと接続する位置から金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆することにより、インナ・リードの非磁性体金属膜で被覆された部分のインダクタンスが低くなり、半導体チップの高速スイッチング動作が容易になるようにしたものであり、しかも、金属製の凸部が非磁性体金属膜を介してインナ・リードに接着することにより、金属製の凸部とインナ・リードとが強固に接着するという、訂正明細書に記載の顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-2)本件発明2と刊行物1とを対比すると、両者は、本件発明2に沿って記載すると、「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備えた半導体ICチップのパッケージ。」の点で一致するものの、本件発明2が、「インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した」のに対し、刊行物1に記載のものは、このようなパッド領域を有していない点で相違する。 そこで、上記相違点について検討すると、刊行物7、8には、リード部の先端部を幅広に形成したものが記載されているものの、幅広のパッド部をインナ・リードの中途部分に形成したものは記載されていないし、示唆もされていない。 なお、刊行物1の第10図(a)には、リード2bのICチップ1寄りの端部を尖って形成するとともに、端子2cよりICチップとは反対側を幅広に形成したたものが記載されているものの、端子2cはリード2bと同じ幅に形成されているから、リード2bの中途部分に幅広のパッド部分を形成したものとはいえない。 そうしてみると、刊行物1に記載のリード2bに刊行物7、8に記載のリード部の先端部を幅広に形成する構成を適用しても、本件発明2は容易に想到できるものではない。 さらに、刊行物2、3、5、6にも、幅広のパッド部をインナ・リードの中途部分に形成したものは記載されていないし、示唆もされていない。 そして、本件発明2は、インナ・リードの中途部分に幅広のパッド部を形成することにより、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるよに幅広のパッド領域を設けることができるという訂正明細書に記載の顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明2は、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-3)本件発明3は、本件発明1、2のいずれかを引用してさらに構成を限定するものであるから、上記本件発明1、2と同じ理由により、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-4)本件発明4は、本件発明1〜3のいずれかを引用してさらに構成を限定するものであるから、上記本件発明1〜3と同じ理由により、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-5)本件発明5は、本件発明1〜4のいずれかを引用してさらに構成を限定するものであるから、上記本件発明1〜4と同じ理由により、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-6)訂正前の請求項16については取消理由の対象ではないが、訂正されたため、本件発明16についても独立特許要件について以下検討する。 本件発明16と刊行物5に記載の発明とを対比すると、刊行物5に記載の「外枠フレーム6」、「外部リード部4」、「凹部9」は、本件発明16の「外枠部」、「インナ・リード」、「肉薄部」に相当するから、両者は、「導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、を備えたり一ド・フレーム。」の点で一致する。 しかしながら、本件発明16の肉薄部を形成したリードはインナ・リードであるのに対し、刊行物5に記載の凹部9を形成したリードは外部リード部4である点(1)で相違し、さらに、本件発明16が、インナ・リードの肉薄部の外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部を備え、複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したのに対し、刊行物5には、このような構成を有していない点(2)で相違する。 そこで、この相違点について検討すると、相違点(1)については、刊行物5に記載の外部リード部4は、インナーリード部3より外に向かって伸びているものであるから、外部リード部4に替えてインナーリード部3に凹部9を設けるようなことは適宜になし得るものである。 しかしながら、相違点(2)については、刊行物6に、インナリードの一部に突起を形成して樹脂との接触面積を増加させて引き抜けを防止することが記載されており、この突起は本件発明6におけるストッパ部に相当するものの、刊行物6には、本件発明16の構成要件である「複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した」点については、何らの記載もなく示唆もない。 そうしてみると、刊行物5に記載のリードフレームに刊行物6に記載の突起を適用しても、本件発明16を容易に想到できるものではない。 さらに、刊行物1〜3、7、8にも、幅広のパッド部を複数のインナ・リードの中途部分に形成したものは記載されていないし、示唆もされていない。 そして、本件発明16は、本件発明2と同様に、複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド部を形成することにより、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができるという訂正明細書に記載の顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明16は、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-7)本件発明17と刊行物5とを対比すると、両者は、上記4-6)に記載したように、「導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、を備えたリード・フレーム。」の点で一致し、本件発明17の肉薄部を形成したリードはインナ・リードであるのに対し、刊行物5に記載の凹部9を形成したリードは外部リード部4である点(1)で相違し、さらに、本件発明17が、インナ・リードの肉薄部の外枠部とは逆側に形成され、且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部を備え、複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成したのに対し、刊行物5には、このような構成を有していない点(2)で相違する。 そこで、上記相違点について検討すると、両者は、一致点及び相違点(1)については、上記4-6)における一致点及び相違点(1)と同じであるので、相違点(2)について検討すると、刊行物6には、インナリードの一部に突起を形成して、樹脂との接触面積を増加させて引き抜けを防止することが記載されており、この突起は本件発明17におけるストッパ部に相当するものの、刊行物6には.本件発明17の構成要件である「複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成した」点については、何らの記載もなく示唆もない。 そうしてみると、刊行物5に記載のリードフレームに刊行物6に記載の突起を適用しても、本件発明17を容易に想到できるものではない。 さらに、刊行物1〜3、7、8にも、幅広のパッド領域をインナ・リードに複数形成したものは記載されていないし、示唆もされていない。 そして、本件発明17は、インナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成することにより、金属製の凸部の配置パターンを容易に変更できるという訂正明細書に記載の顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明17は、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4-8)本件発明18は、本件発明17を引用してさらに構成を限定するものであるから、上記本件発明17と同じ理由により、刊行物1〜3、5〜8に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 <理由2>について 4-9)本件発明2と先願明細書に記載の発明とを対比すると、先願明細書に記載の「半導体チップ2」、「ボンデイングパッド3」、「導体層10」、「半田バンプ5」及び「封止樹脂6」は、それぞれ本件発明2の「半導体ICチップ」、「パッド」、「インナ・リード」、「金属製の凸部」及び「絶縁材料」に相当し、しかも、先願明細書に記載の「半田バンプ5」は、図1、2、24、25の記載からみて、同一高さにあることは明らかであるから、両者は、「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備えた半導体ICチップ。」の点で一致する。 しかしながら.本件発明2が、「前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した」のに対し、先願明細書に記載の発明は、このような構成を備えていない点で相違する。 そこで、上記相違点について検討すると、先願明細書の図1、24には、幅広のパッド領域に相当するものが導体層10、配線27の先端部に記載されているものの、中途部分ではなく、中途部分に設けることが単なる設計的事項であるとも認められないから、本件発明2は先願明細書に記載の発明と同一ではない。 4-10)本件発明3は、本件発明2を引用してさらに構成を限定するものであるから、本件発明2と同じ理由により、先願明細書に記載の発明と同一であるとすることはできない。 4-11)本件発明4は、本件発明1〜3を引用してさらに構成を限定するものであるから、本件発明1〜3と同じ理由により、先願明細書に記載の発明と同一であるとすることはできない。 4-12)本件発明5は、本件発明1〜4を引用してさらに構成を限定するものであるから、本件発明1〜4と同じ理由により、先願明細書に記載の発明と同一であるとすることはできない。 したがって、本件発明1〜5、16〜18は、刊行物1〜3、5〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、また本件発明2〜5は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることもできないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法(平成6年改正法)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、平成11年改正前の同法第120条の4第3項において準用する同法(平成6年改正法)による改正前の同法第126条第1項ただし書き、第2項、及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [3]特許異議の申立て (1)特許異議の申立ての概要 異議申立人水野由起子は、訂正前の請求項1〜5、16〜18に係る発明は甲第1〜3、5〜8号証(刊行物1〜3、5〜8)に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、また、訂正前の請求項2〜5に係る発明は甲第4号証(先願明細書)に記載の発明と同一であるから、同法第29条の2の規定に該当し、特許を受けることができないものであり、訂正前の請求項1〜5、16〜18に係る発明についての特許は、いずれも同法第113条第1項第2号の規定により取り消すべき旨主張している。 (2)対比・判断 本件発明1〜5、16〜18(訂正前の請求項1〜5、16〜18に係る発明に対応する。)は.いずれも上記[2](3)4)において示した理由と同じ理由によって、甲第1〜3、5〜8号証に記載に発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができないものであり、また、訂正後の本件発明2〜5は、甲第4号証に記載の発明と同一であるとすることはできない。 [4]むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜5、16〜18についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1〜5、16〜18についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件発明1〜5、16〜18についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものとは認められない。 よって、特許法(平成6年改正法)附則第14条の規定に基づく、平成7年政令第205号第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 半導体ICチップのパッケージ及びその製造方法並びにリード・フレーム (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されていることを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。 【請求項2】 半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。 【請求項3】 前記パッド領域に前記凸部を接着した請求項2記載の半導体ICチップのパッケージ。 【請求項4】 前記凸部は半田製である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージ。 【請求項5】 前記絶縁部材はプラスチックである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージ。 【請求項6】 外枠部の内側に複数のインナ・リードをそれぞれが同一平面内に位置するように形成してなる導電性材料製のリード・フレームを用意し、そのリード・フレームの一方の面側に電気的に絶縁した状態で半導体ICチップを固定し、その半導体ICチップの各パッドと前記インナ・リードとを電気的に接続し、前記インナ・リードの前記半導体ICチップが固定されている側とは逆側の面の一部と前記外枠部全体とが外部に露出するように前記半導体ICチップ及び前記リード・フレームを絶縁部材内に封止し、そして、前記外枠部を電極としてメッキ処理を行って前記インナ・リードの前記露出部分に同一高さの金属製の凸部を形成し、その後に、前記外枠部を切り離すことを特徴とする半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項7】 金型成形により前記半導体ICチップ及び前記リード・フレームを前記絶縁部材内に封止し、その金型成形の際には、前記インナ・リードの前記露出する部分に金型の内面を密着させる請求項6記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項8】 前記インナ・リードの前記凸部が形成される面を、その凸部を形成する前に非磁性体金属膜で被覆する請求項6又は請求項7記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項9】 前記インナ・リードの前記外枠部に近接した部分に肉薄の部分を形成し、その肉薄の部分は前記絶縁部材内には封止せず、そして、その肉薄の部分を境に前記インナ・リードを切断して前記外枠部を切り離す請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項10】 前記インナ・リードの前記絶縁部材に封止される領域の外端部分に、前記絶縁部材と強固に結合するストッパ部を形成した請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項11】 前記インナ・リードの前記外枠部側端部から前記凸部が形成される位置までの電気抵抗値を、前記複数のインナ・リード同士で一致させた請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項12】 前記メッキ処理は半田メッキ処理である請求項6乃至請求項11のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項13】 前記メッキ処理の後に溶融アニール処理を行う請求項6乃至請求項12のいずれかに記載の半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項14】 パッケージ裏面にリード端子として複数の金属製の凸部を有する半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記金属製の凸部を半田メッキ処理によって形成することを特徴とする半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項15】 パッケージ裏面にリード端子として複数の金属製の凸部を有する半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記金属製の凸部をメッキ処理によって形成し、前記メッキ処理の後に溶融アニール処理を行うことを特徴とする半導体ICチップのパッケージの製造方法。 【請求項16】 導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とするリード・フレーム。 【請求項17】 導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成したことを特徴とするリード・フレーム。 【請求項18】 前記パッド領域の一面であって前記複数のインナ・リード同士で同じ側を向く面を非磁性体金属膜で被覆した請求項17記載のリード・フレーム。 【請求項19】 前記インナ・リードの前記外枠部側端部から前記パッド領域までの電気抵抗値を、前記複数のインナ・リード同士で一致させた請求項17又は請求項18記載のリード・フレーム。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、半導体ICチップのパッケージの構造及びその製造方法並びにリード・フレームに関し、特に、表面実装型の多端子LSIパッケージの一種であるボール・グリッド・アレイ(BGA:Ball Grid Array)型のパッケージを改良したものである。 【0002】 【従来の技術】 従来から高密度の表面実装型パッケージとして、外観四角形の各側面に一定ピッチでガル・ウイング状のリード端子(Gull Wing Type Lead)を多数配置したクワッド・フラット・パッケージ(QFP:Quad Flat Package)が多く利用されている。その一方で、LSIの高密度化実装が進み、LSIが大規模化し且つ高速化されているため、リード端子の本数は増加傾向にある。 【0003】 そして、リード端子の本数が増加すれば、パッケージの外形寸法をそのままにするには、QFPの構造から必然的に各リード端子間のピッチを狭くすることになるが、これでは、完成したパッケージを取り扱う際にピン曲がりが発生し易くなり、実装工程の歩留り悪化やテスト時の歩留り悪化という品質レベル低下の原因になってしまう。なお、リード端子間のピッチを広げるには、パッケージの外形寸法を大きくして各辺の長さを延ばせばよいのであるが、これではリード長が長くなるから、インダクタンス値が高くなり、ノイズ等の誘発原因となってしまう。このように、現在多用されているQFPは、LSIの高密度化に十分に対応できないという大きな欠点を有している。 【0004】 このようなQFPが有する欠点を解決し得る従来の技術として、「日経エレクトロニクス」1994年2月14日号(no.601)の59〜73頁に開示されているボール・グリッド・アレイ・パッケージがある。 即ち、ボール・グリッド・アレイ・パッケージは、上記文献の61頁の図2に開示されるような構造を有していて、これを簡単に説明すれば、両面プリント配線基板に半導体ICチップを搭載し、その配線基板の表面に形成された配線パターンの各配線と半導体ICチップの各パッドとを、ワイヤ・ボンディングで電気的に接続する。基板表面側の配線は基板端部まで延びていて、その端部に形成されたスルーホールを介して基板底面側の配線端部に導通している。基板底面側の配線は、基板周縁部から基板中央部に向かって延びていて、各配線の先端部が格子状に並ぶようになっている。そして、その基板底面側の各配線の先端部に球形の半田(半田ボール)が固定されている。 【0005】 このような構成であれば、リード端子として機能する半田ボールが2次元に配置されるから、端子ピッチが同じ端子数のQFPに比べて非常に広くなり、しかも一括リフロで半田付けが可能であるため実装工程が簡易になるという利点を有している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 確かに従来のボール・グリッド・アレイ・パッケージであっても上述したような利点が期待できるのであるが、以下のような問題点を有しているため、QFPに取って代わる程に実用化は進んでいないのが現状である。 即ち、従来のボール・グリッド・アレイ・パッケージが有する問題点とは、先ず製造上の問題として、両面配線基板としてガラス・エポキシ樹脂基板が使われているため、半導体ICチップをダイ・ボンディング・エポキシ樹脂を介して配線基板に接着させそのエポキシ樹脂を加熱して硬化させる工程や、ダイ・ボンドされた半導体ICチップの各パッドと基板表面の配線とをワイヤ・ボンディングにより電気的に接続する工程等の際に、配線基板に熱が加わると、基板自体に反りが発生する可能性が高い。そして、配線基板の水平度が悪化すると、後に固定される複数の半田ボールの水平面に対する端部の高さの均一性(半田ボール端部の水平度)が確保できなくなって、実装工程の際に接続不良が発生し易くなってしまう。 【0007】 また、配線基板の底面側に半田ボールを固定する必要があるため、樹脂モールドされるのは半導体ICチップが固定される配線基板の表面側だけとなってしまい、底面側の配線は外気に晒されてしまう。しかも、一方の面だけが樹脂モールドされると、その成形温度が150〜200℃もあることから、常温に戻ったときにモールド樹脂と配線基板との熱膨張の差でやはり配線基板の水平度が悪化してしまい、上記と同様に半田ボール端部の水平度が確保できず、実装工程の際に接続不良が発生し易くなってしまう。 【0008】 そして、一定寸法の半田ボールの製造自体が困難であるから、配線基板の水平度が高くても複数の半田ボールの水平面に対する端部の高さを均一にすることは容易ではないし、半田ボールの固定作業も非常に面倒であった。しかも、半田ボール端部の水平度の外観検査も極めて困難であった。 次に、特性上の問題として、グリッド・アレイ状に配置される半田ボールのピッチを均一にするために、配線基板の表裏面間を導通させるスルーホールを基板周縁部に集中させているため、配線長が長くなり、インダクタンス及び電気抵抗値が増大し、ノイズ発生の可能性や信号の遅延を大きくし、特性劣化を招いてしまう。 【0009】 また、信頼性の問題として、特に耐湿性の問題がある。つまり、ガラス・エポキシ樹脂とモールド樹脂との界面の密着力が弱いため、高温高湿試験,プレッシャ・クッカ試験等の環境試験において、従来のプラスチックQFPに比べて耐久性が低いという欠点を有していた。 そして、製造上の問題として、現在のボール・グリッド・アレイ・パッケージはガラス・エポキシ材料からなる配線基板を使用するため、従来のQFPの製造に用いていた装置の兼用化が困難であり、上記半田ボール端部の水平度確保の困難性とも相まって、製造コストも増大する傾向にある。 【0010】 本発明は、このような従来のボール・グリッド・アレイ・パッケージの種々の問題点に着目してなされたものであって、リード端子としての金属ボール端部の水平度を容易に確保でき、しかも製造コストの低減等も図ることができる半導体ICチップのパッケージ,その製造方法及びそれに好適なリード・フレームを提供することを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1に係る発明である半導体ICチップのパッケージは、半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着した。 【0012】 また、上記目的を達成するために、請求項2に係る発明である半導体ICチップのパッケージは、半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した。 そして、請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記パッド領域に前記凸部を接着した。 さらに、請求項4に係る発明は、上記請求項1〜請求項3に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記凸部を半田製とした。 【0013】 そして、請求項5に係る発明は、上記請求項1〜請求項4に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記絶縁部材をプラスチックとした。 【0014】 また、上記目的を達成するために、請求項6に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法は、外枠部の内側に複数のインナ・リードをそれぞれが同一平面内に位置するように形成してなる導電性材料製のリード・フレームを用意し、そのリード・フレームの一方の面側に電気的に絶縁した状態で半導体ICチップを固定し、その半導体ICチップの各パッドと前記インナ・リードとを電気的に接続し、前記インナ・リードの前記半導体ICチップが固定されている側とは逆側の面の一部と前記外枠部全体とが外部に露出するように前記半導体ICチップ及び前記リード・フレームを絶縁部材内に封止し、そして、前記外枠部を電極としてメッキ処理を行って前記インナ・リードの前記露出部分に同一高さの金属製の凸部を形成し、その後に、前記外枠部を切り離すようにした。 【0015】 そして、請求項7に係る発明は、上記請求項6に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、金型成形により前記半導体ICチップ及び前記リード・フレームを前記絶縁部材内に封止し、その金型成形の際には、前記インナ・リードの前記露出する部分に金型の内面を密着させるようにした。 さらに、請求項8に係る発明は、上記請求項6及び請求項7に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記インナ・リードの前記凸部が形成される面を、その凸部を形成する前に非磁性体金属膜で被覆するようにした。 【0016】 また、請求項9に係る発明は、上記請求項6〜請求項8に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記インナ・リードの前記外枠部に近接した部分に肉薄の部分を形成し、その肉薄の部分は前記絶縁部材内には封止せず、そして、その肉薄の部分を境に前記インナ・リードを切断して前記外枠部を切り離すようにした。 【0017】 そして、請求項10に係る発明は、上記請求項6〜請求項9に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記インナ・リードの前記絶縁部材に封止される領域の外端部分に、前記絶縁部材と強固に結合するストッパ部を形成した。 さらに、請求項11に係る発明は、上記請求項6〜請求項10に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記インナ・リードの前記外枠部側端部から前記凸部が形成される位置までの電気抵抗値を、前記複数のインナ・リード同士で一致させた。 【0018】 またさらに、請求項12に係る発明は、上記請求項6〜請求項11に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記メッキ処理を半田メッキ処理とした。 そして、請求項13に係る発明は、上記請求項6〜請求項12に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記メッキ処理の後に溶融アニール処理を行うようにした。 また、上記目的を達成するために、請求項14に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法は、パッケージ裏面にリード端子として複数の金属製の凸部を有する半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記金属製の凸部を半田メッキ処理によって形成するようにした。 さらに、上記目的を達成するために、請求項15に係る発明である半導体ICチップのパッケージの製造方法は、パッケージ裏面にリード端子として複数の金属製の凸部を有する半導体ICチップのパッケージの製造方法において、前記金属製の凸部をメッキ処理によって形成し、前記メッキ処理の後に溶融アニール処理を行うようにした。 【0019】 一方、上記目的を達成するために、請求項16に係る発明であるリード・フレームは、導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した。 【0020】 また、上記目的を達成するために、請求項17に係る発明であるリード・フレームは、導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成した。 そして、請求項18に係る発明は、上記請求項17に係る発明であるリード・フレームにおいて、前記パッド領域の一面であって前記複数のインナ・リード同士で同じ側を向く面を非磁性体金属膜で被覆した。 【0021】 さらに、請求項19に係る発明は、上記請求項17及び請求項18に係る発明であるリード・フレームにおいて、前記インナ・リードの前記外枠部側端部から前記パッド領域までの電気抵抗値を、前記複数のインナ・リード同士で一致させた。 【0022】 【作用】 請求項1に係る発明にあっては、半導体ICチップの各パッドは各インナ・リードに導通し、それらインナ・リードは金属製の凸部を介してパッケージ外部と導通する。従って、その金属製の凸部を実装ボードの端子に電気的に接続することにより実装が完了する。この際、金属製の凸部は同じ高さであり且つその金属製の凸部が形成される各リード・フレームも同一平面内に位置するから、各金属製の凸部の端部は水平に保たれ、一括した半田付けも可能である。そして、インナ・リードは導電性材料からなるため、ガラス・エポキシ樹脂のように製造途中の加熱処理によって反ってしまう可能性は小さい。 しかも、インナ・リードの非磁性体金属膜で被服された部分のインダクタンスが低くなるから、半導体ICチップの高速スイッチング動作が容易になる。 さらに、金属製の凸部が非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されているから、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固である。 請求項2に係る発明にあっても、上記請求項1に係る発明と同様に、金属製の凸部を実装ボードの端子に電気的に接続することにより実装が完了し、各金属製の凸部の端部は水平に保たれ、一括した半田付けも可能であり、そして、インナ・リードはガラス・エポキシ樹脂のように製造途中の加熱処理によって反ってしまう可能性は小さい。 さらに、請求項2に係る発明であれば、パッド領域が、半導体ICチップを動作させる際に発生する熱の放散を促進させる。しかも、幅広のパッド領域を、インナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる。 そして、請求項2に係る発明において、請求項3に係る発明のようにパッド領域に金属製の凸部が接着されると、パッド領域が幅広であることから、リード・フレームと金属製の凸部との結合が強固になる。 【0023】 特に、請求項4に係る発明であれば、金属製の凸部自体が半田製であるから、実装の際に加熱するだけで一括リフロ・半田付けが行われる。 また、請求項5に係る発明であれば、封止する絶縁部材がプラスチックであるため、既存の設備を利用して大量生産が可能である。 【0024】 【0025】 【0026】 また、請求項6に係る発明であれば、半導体ICチップ及びリード・フレームを絶縁部材内に封止した段階では、リード・フレームの外枠部の全体と、インナ・リードの半導体ICチップが固定されている側とは逆側の面の一部とが、絶縁部材から露出しているから、リード・フレームの外枠部を電極としてメッキ処理を行うと、各インナ・リードの露出している部分に金属の膜が形成される。従って、そのメッキ処理を所定時間連続すれば、各リード・フレームの露出している部分に金属製の凸部が形成される。この場合、メッキ処理の条件(電流分布状態等)を金属製の凸部が形成される位置間で一致させるだけで、各凸部の高さは一定になる。そして、凸部が形成された後に外枠部を切り離せば、各インナ・リード同士は電気的に独立する。 【0027】 そして、請求項7に係る発明であれば、金型成形の際に金型が接触している部分には絶縁材料は付着しないから、インナ・リードの一部を外部に露出させる開口部が、封止工程と同時に形成される。従って、絶縁材料で全体を封止した後でインナ・リードの一部を露出させるための開口処理を行う必要はない。そして、単なる接触ではなく、金型の内面を密着させるため、開口部の深さは高い精度で一定になる。 【0028】 さらに、請求項8に係る発明であれば、メッキ処理によって形成される金属製の凸部とインナ・リードとが強固に接着される。 また、請求項9に係る発明であれば、インナ・リードを肉薄部で切断することは容易であるから、外枠部を容易に切り離せる。 そして、請求項10に係る発明であれば、インナ・リードの抜け方向への移動がストッパ部によって妨げられるから、外枠部を切り離す際の力でインナ・リードが誤って抜けてしまうようなことがない。 【0029】 さらに、請求項11に係る発明であれば、メッキ処理の条件が金属製の凸部が形成される位置間で一致する。 また、請求項12に係る発明であれば、金属製の凸部として半田製の凸部が形成される。 そして、請求項13に係る発明であれば、溶融アニール処理によって金属製の凸部とインナ・リードとの間の結合状態が良好になる。 また、請求項14に係る発明であれば、半導体ICチップのパッケージを製造するに当たり、リード端子としての金属製の凸部を半田メッキ処理によって形成するため、複数の金属製の凸部の高さが一定になる。即ち、半田メッキ処理の条件(電流分布状態等)を金属製の凸部が形成される位置間で一致させるだけで、各凸部の高さは一定になる。 さらに、請求項15に係る発明であれば、半導体ICチップのパッケージを製造するに当たり、リード端子としての金属製の凸部をメッキ処理によって形成するため、複数の金属製の凸部の高さが一定になる。即ち、メッキ処理の条件(電流分布状態等)を金属製の凸部が形成される位置間で一致させるだけで、各凸部の高さは一定になるし、溶融アニール処理によって金属製の凸部とインナ・リードとの間の結合状態が良好になる。 【0030】 ここで、請求項16〜請求項19に係る発明であるリード・フレームは、上記請求項6〜請求項15に係る半導体ICチップのパッケージの製造方法を実行する上で好適なリード・フレームである。 例えば、請求項16及び17に係る発明であれば、上記請求項9,請求項10に係る発明と同様に、外枠部を容易に切り離すことができ、しかも外枠部を切り離す際の力でインナ・リードが誤って抜けてしまうようなことを防止できるインナ・リードとなる。 さらに、請求項16に係る発明であれば、幅広のパッド領域を、インナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる。 また、請求項17に係る発明であれば、半導体ICチップで発生する熱の放散を促進できるインナ・リードとなるし、インナ・リードに複数の幅広のパッド領域を設けているから、金属製の凸部の配置パターンを容易に変更できる。 そして、請求項18に係る発明であれば、メッキ処理によって形成される金属製の凸部との結合が強固になる。さらに、請求項19に係る発明であれば、メッキ条件が各インナ・リード同士で一致するようになる。 【0031】 【実施例】 以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。 図1乃至図5は本発明の第1実施例を示す図であって、各図は半導体ICチップのパッケージング工程を説明するための図であり、完成した状態は図5に示される。 【0032】 このパッケージング工程を順番に説明すると、先ず図1に示すように、半導体ICチップ1を、リード・フレーム2上に絶縁接着剤3を介して電気的に絶縁した状態で固定する。 ここで、リード・フレーム2を形成する材料には、導電性材料である金属であればいかなる材料を用いても構わないが、半導体ICチップ1を特に高速のクロック(例えば、200MHz)で動作させるような場合には、低インダクタンスの非磁性体材料(例えば、Cu系合金材料)を用いることが好ましい。また、リード・フレーム2は、従来のパッケージに用いられていたリード・フレームと基本的には同じであり、薄い金属板(例えば、0.1mm厚のCu系合金板)を所定の形状にエッチング或いはスタンピングにより加工して所定パターンに形成される。なお、図1その他の図面は、図示及び説明を容易にするため、リード・フレーム2等の極薄い部材をやや厚めに描いている。 【0033】 図2は、本実施例に適用されるリード・フレーム2の平面形状の一例を示している。即ち、リード・フレーム2は、長方形状の枠である外枠部2Aと、この外枠部2Aの内側面から水平に内側に向かって延びる多数のインナ・リード2B,…,2Bと、これらインナ・リード2B,…,2Bと平行に形成され且つ先端が破線で示す領域(後に半導体ICチップ1が固定される領域)に至る支持用腕2Cとから構成されている。なお、各インナ・リード2Bは、外枠部2Aに対して水平になっているため、同一平面内に位置するようになっている。 【0034】 また、各インナ・リード2Bは、その基端部が結合される外枠部2Aの内側面に対して垂直に延びる細長い薄板状に形成されていて、その中途部分には、隣合ったインナ・リード2B同士では長手方向で前後にずれるように、幅広のパッド部2aが複数(本実施例では、二つずつ)設けられている。ただし、各インナ・リード2B同士は、外枠部2Aを介してのみ導通するように、異なるインナ・リード2Bのパッド部2a,2a同士も非接触となっている。 【0035】 各インナ・リード2Bに設けられている二つのパッド部2aのうちの一方の裏面側には、図2に破線○印で示すように金属製の凸部としての半田ボール4が形成されるのであるが、いずれのパッド部2aに半田ボール4を形成するかは任意である。ただし、インナ・リード2Bの半田ボール4が形成されるパッド部2aから外枠部2Aとの結合部分までの間の電気抵抗値を、各インナ・リード2B同士で同じ大きさにしている。具体的には、外枠部2Aとこれに最も近いパッド部2aとの間のインナ・リード2Bの幅寸法を、そのパッド部2aが外枠部2Aに近いインナ・リード2Bでは相対的に細く、パッド部2aが外枠部2Aから遠いインナ・リード2Bでは相対的に太くすることにより、各インナ・リード2Bの外枠部2Aとこれに最も近いパッド部2aとの間の電気抵抗値を同じ大きさにするとともに、各パッド部2a間の幅を比較的太くしてこの部分の電気抵抗値を十分に小さくして、各インナ・リード2Bの半田ボール4が形成されるパッド部2aと外枠部2Aとの間の電気抵抗値を実質的に同じ大きさにしている。 【0036】 なお、インナ・リード2B全体を十分に太くして長さによる電気抵抗値の違いを小さくし、もって各インナ・リード2Bの半田ボール4が形成されるパッド部2aと外枠部2Aとの間の電気抵抗値を実質的に同じ大きさにすることも考えられるが、これでは後に外枠部2Aを切り離す際の作業性が悪くなってしまう。 さらに、各インナ・リード2B及び支持用腕2Cの外枠部2Aに近接した部分には、他の部分よりも肉薄の凹部2bが形成されている。ただし、この凹部2bは、少なくともその一部分が、図2に一点鎖線で示す後に樹脂モールドされる領域の外側に位置するように形成されている。 【0037】 また、各パッド部2aの裏面は、非磁性材料であるAu,Ag若しくはパラジューム(これらのうち、Auが最も好ましい)からなる1.0〜10.0μm程度の非磁性金属膜としての薄膜5で被覆されている。薄膜5は、各インナ・リード2Bの両方のパッド部2aに対して設けてもよいが、少なくとも半田ボール4が形成されるパッド部2aに対して設ければよい。なお、図1その他の図面では、一つのインナ・リード2Bの二箇所に薄膜5が設けられているようにも見えるが、断面図である図1で一番手前のインナ・リード2Bの他に、それよりも奥側のインナ・リード2Bに形成された薄膜5が見えているだけである。 【0038】 そして、このようなリード・フレーム2の上面の図2破線で示す四角い領域に半硬化状態のポリイミド系若しくはエポキシ系の絶縁接着剤3を塗布し、その上に半導体ICチップ1を乗せてから150〜250℃の範囲で絶縁接着剤3を熱硬化させて、半導体ICチップ1をリード・フレーム2上に電気的に絶縁した状態で固定する。その後、半導体ICチップ1の各パッドと一のインナ・リード2Bとを、例えば25μm径のAu又はAl等からなるワイヤ6を介して電気的に接続する。ワイヤ6による接続は、通常のワイヤ・ボンディングと同様に行われる。 【0039】 この場合、図1に示すように、各インナ・リード2Bの表面のうち、ワイヤ6が接続される部分から、後に半田ボールが形成されるパッド部2aまでの間を含む領域を、非磁性材料であるAu,Ag若しくはパラジュームからなる1.0〜10.0μm程度の非磁性金属膜としての薄膜7で被覆することが好ましい。 なお、薄膜7は、強度上の関係等からリード・フレーム2を非磁性材料以外の金属(例えば、鉄系材料)で形成した場合に必要なものであって、リード・フレーム2自体が非磁性材料からなる場合には、薄膜7は省略してもよい。 【0040】 また、薄膜7でインナ・リード2B全体を被覆してもよく、その場合には薄膜5は省略することができる。ただし、薄膜7をAu以外の非磁性材料から形成した場合には、薄膜7で覆われたパッド部2aの裏面上をさらにAuからなる薄膜5で被覆することが好ましい。 ワイヤ6による全ての接続が完了したら、図3に示すように、全体をプラスチック・モールド成形金型10内に装填する。このプラスチック・モールド成形金型10は、上金型10A及び下金型10Bからなり、半導体ICチップ1が固定された状態のリード・フレーム2を上下から挟み込むようになっている。 【0041】 プラスチック・モールド成形金型10は、リード・フレーム2の略全体を樹脂でモールドするような空間10Cを上金型10A及び下金型10Bによって形成するようになっている。しかし、下金型10Bには、後に半田ボールが形成されるパッド部2a(薄膜5が形成されたパッド部2a)に接触して樹脂の付着を防止する複数の凸部11,…,11が形成されるとともに、外枠部2A及び各インナ・リード2Bの凹部2b中央部よりも基端側の部分は、樹脂注入口12に位置する部分を除いて上金型10A及び下金型10B間に挟まれるようになっている。なお、凸部11,…,11は、後に下金型10Bの離脱を容易にするため、円錐形の上半分程度を水平に切り取った形状となっている。 【0042】 そして、樹脂注入口12から樹脂を注入してこれを硬化させ、上金型10A及び下金型10Bを取り外せば、図4に示すように、半導体ICチップ1及びリード・フレーム2の表裏面全体が絶縁部材としてのモールド樹脂13で封止されることになるが、凸部11が存在した領域にテーパ穴14が形成されるため、後に半田ボールが形成されるパッド部2a(薄膜5が形成されたパッド部2a)の中央部分は外部に露出するし、外枠部2A及び各インナ・リード2Bの凹部2b中央部よりも基端側の部分も外部に露出する。 【0043】 図3に戻って、下金型10B内には、これを水平に貫通する横穴10aと、この横穴10aから上方に延びて各凸部11の先端面で開口する縦穴10b,…,10bとが形成されていて、金型成形の際には、その横穴10aから空気を吸い出し真空状態とし、これにより(つまり、真空チャックにより)各パッド部2aを凸部11の先端面に密着させるようになっている。このため、下金型10Bによるモールド樹脂13成形精度が極めて高くなり、特に各テーパ穴14の深さ寸法が均一化される。 【0044】 図4の状態となったら、200cc前後のO2雰囲気とし、電力40Wで15分程度プラズマエッチングを行って、プラスチック・モールド成形の際に発生した樹脂バリを除去する。 そして、樹脂バリが除去されたら、その前処理として希塩酸で脱脂処理を行ってから、半田メッキ処理に移行する。具体的には、テーパ穴14を通じて露出している薄膜5上が半田でメッキされるように、半導体ICチップ1が固定されていないリード・フレーム2の裏面側を下にして半田メッキ槽に浸漬し、外枠部2Aを電極として半田メッキ処理を行う。 【0045】 即ち、外枠部2Aは全てのインナ・リード2B,…,2Bと電気的に導通しており、しかも外枠部2Aから各インナ・リード2B,…,2Bの半田ボールが形成されるパッド部2a(薄膜5が形成されたパッド部2a)までの電気抵抗値は一定であるため、メッキ面としてのパッド2aに流れる電流が均一となり、図5に示すように、極めて均一性に優れた金属製の凸部としての半球状の半田ボール4,…,4が形成される。しかも、メッキ面としてのパッド2aの裏面側を薄膜5で被覆しているため、半田との密着性が高くなり、このことも均一性に優れた半田ボール4,…,4を形成することに寄与している。さらには、リード・フレーム2が金属製であるから、ガラス・エポキシ樹脂基板を用いる場合に比べて熱処理工程等の影響によって反りが発生する可能性は極めて小さく、これによっても半田ボール4,…,4の先端部の水平度を、従来のボール・グリッド・アレイに比べて向上することができる。 【0046】 所望高さの半田ボール4,…,4が形成されたら、半田メッキ処理を終え、最後に外枠部2Aを切り離して製品として完成させる。なお、外枠部2Aの切り離しは、各インナ・リード2Bを他の部分に比べて肉薄の凹部2bを境に切断することにより行われるから、簡単な作業で済むようになっている。 そして、各半田ボール4,…,4は、インナ・リード2B及びワイヤ6を介して半導体ICチップ1のパッドに導通しているため、従来のパッケージのリード端子としての働きを有している。従って、実装の際には、それら半田ボール4,…,4をボードの所定位置に形成された端子に導通させればよいのであるが、通常のボール・グリッド・アレイと同様に半田ボール4,…,4がパッケージの裏面にグリッド・アレイ状に配置されているため、それら半田ボール4,…,4を同時に加熱して溶融させれば、一括リフロ半田付けにより実装が完了する。従って、実装工程を非常に効率的に行うことができるし、特に熟練度を必要としないためコスト低減にも有利である。 【0047】 しかも、本実施例にあっては、上述したように各半田ボール4,…,4が極めて高い精度で均一に形成されており、各半田ボール4,…,4の先端部の水平度をサブ・ミクロン単位で均一にできるため、一括リフロ半田付けの際に接続不良が発生する可能性が極めて小さくなる。また、上述したように、メッキ面としてのパッド2aの裏面側を薄膜5で被覆しているため、半田との密着性が高くなるから、半導体ICチップ1の動作上の信頼性を高くすることができる。 【0048】 そして、半田ボール4,…,4を一つずつ固着するのではなく、半田メッキ処理によって一括して形成することができるため、作業性が極めて向上するし、固着不良や固着漏れの心配もないから、歩留りも向上するという利点がある。 また、各半田ボール4,…,4は、インナ・リード2B及びワイヤ6を介して半導体ICチップ1のパッドに導通する構成であるため、配線長が長くなってしまうこともないから、インダクタンスや抵抗値の増大を招くことがなく、ノイズや遅延の発生のような特性劣化の原因が生じないという利点もある。 【0049】 さらに、リード端子としての半田ボール4,…,4の先端部分を除いた全体がモールド樹脂13内に封止されるため、従来のボール・グリッド・アレイに比べて耐久性も向上する。特に、リード・フレーム2とモールド樹脂13との密着力が強いから、耐湿性に関して従来のプラスチックQFPと同等のレベルを得ることができる。 【0050】 そして、半田メッキ処理を除いては従来のプラスチックQFPの製造工程と大きな違いはないから、従来の製造装置の兼用化が容易であり、新規導入時の製造コストを低く抑えることができる。特に本実施例では、金型成形により樹脂モールドをし、その際に同時にテーパ穴14を開口させるようにしているため、メッキ面を露出させるために後に開口処理を行う必要がなく、その分効率的な作業が行える。 【0051】 また、本実施例では、各インナ・リード2Bに、半田ボール4が形成されるパッド部2aの他に半田ボール4が形成されないパッド部2aを設けているが、これは、半導体ICチップ1の動作時に発生する熱の放散を促進させて、半導体ICチップ1の安定した動作を確保するためである。従って、半田ボール4が形成されないパッド部2aを二つ以上設けるようにしてもよいし、レイアウト上の制約から複数のパッド部2aを設けることが困難なインナ・リード2Bに関しては半田ボール4が形成されるパッド部2aのみを設けるようにしてもよい。 【0052】 しかし、本実施例のように一つのインナ・リード2Bに複数のパッド部2aが設けられていれば、半田ボール4,…,4の配置パターンを容易に変更できるという利点もある。特に、上記実施例では、幅寸法を適宜選定することにより外枠部2Aとこれに最も近いパッド部2aとの間の電気抵抗値を同じ大きさにするとともに、一つのインナ・リード2Bに設けられたパッド2a間の電気抵抗値を十分小さくすることにより、外枠部2Aと各パッド2aとの間の電気抵抗値を実質的に同じ大きさとしているため、リード・フレーム2の形状を変更しなくても、半田ボール4が形成されるパッド2aを変更することが可能である。 【0053】 そして、半田ボール4を幅広のパッド部2aに形成するようにしてるため、半田ボール4とインナ・リード2Bとの間の電気抵抗値を大きくしてしまうようなことも回避される。 さらに、本実施例では、リード・フレーム2をCu系合金等の非磁性材料から成形しない場合には、各インナ・リード2Bの表面のうち、ワイヤ6が接続される部分から半田ボール4が形成されるパッド部2aまでの間を含む領域を薄膜7で被覆するようにしているため、インナ・リード2Bの導通部分のインダクタンスを低く抑えることができ、半導体ICチップ1を高速クロックで動作させる場合に好適である。なお、リード・フレーム2の厚さは非常に薄いため、薄膜7はインナ・リード2Bの上面側のみを被覆するようにしても十分な作用効果が期待できるが、インナ・リード2Bの全面を薄膜7で被覆した方が、高速スイッチング動作をさせる上では望ましい。 【0054】 図6は本発明の第2実施例の要部を示す図であって、図6(a)はリード・フレーム2の部分的な平面図、同(b)はその側面図である。なお、上記第1実施例と同様の構成には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。 即ち、本実施例では、各インナ・リード2Bの凹部2bよりも先端側に、ストッパ部20を設けている。本実施例のストッパ部20は、凹部2b側が幅広の三角形状をなし、その中央部をスルーホール20aが上下に貫通して構成されている。 【0055】 従って、後に上記第1実施例で説明した工程によって樹脂モールドされると、そのストッパ部20のスルーホール20a内にも樹脂が入り込んで結合が強固になるとともに、三角形状のストッパ部20がインナ・リード2Bの引抜き方向に対して大きな抵抗となる。このため、外枠部2Aを切り離す際に誤ってインナ・リード2Bが脱落してしまったり或いは延びてしまったりすることを防止することができるから、歩留りを向上することができる。その他の作用効果は、上記第1実施例と同様である。 【0056】 なお、上記各実施例では、半田メッキ処理で半田ボール4を形成した後に特別な後処理を行うようにはしていないが、例えば、半田ボール4が形成された後に全体を裏返して250℃程度で溶融アニール処理を行えば、半田ボール4とインナ・リード2Bとの密着性をさらに良好にし、且つ、一定量の半田のために表面張力によるボール高さを揃えることができ、信頼性をさらに高くすることができる。なお、この溶融アニール処理は、半導体ICチップ1やモールド樹脂13等への影響を考慮して、レーザ・アニール処理とすることが好ましい。 【0057】 また、上記各実施例では、全体を封止する絶縁材料としてプラスチックを用いているが、適用可能な絶縁材料はこれに限定されるものではなく、例えばガラスのようなものであってもよい。 そして、上記各実施例では、下金型10Bの凸部11を真空チャックによりパッド部2aに密着させるようにしているが、密着させる手段はこれに限定されるものではなく、例えば磁気により密着させてもよい。 【0058】 さらに、上記各実施例では、一つの半導体ICチップ1を一つのリード・フレーム2に固定しこれを封止するようにしているが、これに限定されるものではなく、複数の半導体ICチップ1を一つのリード・フレーム2を利用してパッケージングするようにしてもよい。 また、リード・フレーム2の形状は上記各実施例で示した形状に限定されるものではなく、例えば外枠部2Aを円形若しくは六角形,八角形等の多角形状としてもよい。 【0059】 そして、上記各実施例では、金属製の凸部として半田ボール4を形成しているが、金属製の凸部の形状は球形,半球形に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。また、半田以外の金属を用いてもよい。 【0060】 【発明の効果】 以上説明したように、請求項1に係る発明にあっては、導電性材料からなるリード・フレームを介して半導体ICチップの各パッドとリード端子としての金属製の凸部とを接続し、金属製の凸部の先端部を除いた全体を絶縁材料で封止し、しかも、金属製の凸部を非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着する構成としたため、金属製の凸部の先端部の水平度を向上することができ、しかも耐久性を向上することができ、さらには、高速クロックで動作させる半導体ICチップのパッケージに好適に用いることができ、またさらに、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固であるという効果がある。 また、請求項2に係る発明にあっては、金属製の凸部の先端部の水平度を向上することができ、しかも耐久性を向上することができ、さらには、半導体ICチップを動作させる際に発生する熱の放散を促進させるパッド領域を設けたため、半導体ICチップの安定した動作を確保でき、またさらに、幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができるという効果がある。 そして、請求項3に係る発明にあっては、上記請求項2に係る発明の効果に加えて、パッド領域に金属製の凸部を形成したため、リード・フレームと金属製の凸部との結合が強固になり、信頼性がさらに高くなるという効果がある。 【0061】 特に、請求項4に係る発明であれば、金属製の凸部自体を半田製としたため、実装の際に加熱するだけで一括リフロ・半田付けが行われるから、実装作業を効率的に行えるという効果がある。 また、請求項5に係る発明であれば、封止する絶縁部材をプラスチックとしたため、既存の設備を利用して大量生産が可能であるから、新規導入する際にコスト的に有利であるという効果がある。 【0062】 【0063】 【0064】 そして、請求項6に係る発明であれば、リード端子としての金属製の凸部の高さを容易に一定にすることができるから、実装工程の際に接続不良が発生する可能性を極めて小さくすることができるとともに、リード・フレームの外枠部をメッキ処理時の電極として利用するようにしたため、金属製の凸部の高さを同一にするメッキ処理を容易に行うことができるという効果がある。 特に、請求項7に係る発明であれば、インナ・リードの一部を外部に露出させる開口部を封止工程と同時に形成できるから、作業効率が向上するとともに、金型の内面を密着させるため、後のメッキ処理で形成される金属製の凸部の高さを確実に一定にすることができるという効果がある。 【0065】 そして、請求項8に係る発明であれば、メッキ処理によって形成される金属製の凸部とインナ・リードとを強固に接着することができるから、半導体ICチップの動作上の信頼性を向上することができるという効果がある。 また、請求項9に係る発明であれば、外枠部を容易に切り離せるから、作業効率が向上するという効果がある。 【0066】 そして、請求項10に係る発明であれば、インナ・リードの抜け方向への移動がストッパ部によって妨げられるから、外枠部を切り離す際の力でインナ・リードが誤って抜けてしまうようなことを防止でき、歩留りを向上できるという効果がある。 さらに、請求項11に係る発明であれば、各金属製の凸部の高さを確実に一定にできるという効果がある。 【0067】 また、請求項12、14に係る発明であれば、金属製の凸部として半田製の凸部を形成するようにしたため、実装工程が容易になるという効果がある。 そして、請求項13、15に係る発明であれば、メッキ処理の後に溶融アニール処理を行うようにしたため、信頼性がさらに向上するという効果がある。 さらに、請求項16〜請求項19に係る発明であれば、上記請求項6〜請求項15に係る半導体ICチップのパッケージの製造方法を実行する上で好適なリード・フレームを提供することができるという効果がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】 パッケージング工程の第1段階を示す断面図である。 【図2】 リード・フレームの一例を示す平面図である。 【図3】 パッケージング工程の第2段階を示す断面図である。 【図4】 パッケージング工程の第3段階を示す断面図である。 【図5】 パッケージング工程が完了した状態を示す断面図である。 【図6】 第2実施例の要部を示す図である。 【符号の説明】 1 半導体ICチップ 2 リード・フレーム 2A 外枠部 2B インナ・リード 2a パッド部 2b 凹部(肉薄部) 4 半田ボール(金属製の凸部) 10 プラスチック・モールド成形金型 13 モールド樹脂 20 ストッパ部 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 (1)特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1を、 「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されていることを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。」と訂正する。 (2)特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項2を、 「半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とする半導体ICチップのパッケージ。」と訂正する。 (3)明りょうでない記載の釈明を目的として、請求項3を、 「前記パッド領域に前記凸部を接着した請求項2記載の半導体ICチップのパッケージ。」と訂正する。 (4)特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項16を、 「導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成したことを特徴とするリード・フレーム。」と訂正する。 (5)特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項17を、 「導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードもこ幅広のパッド領域を複数形成したことを特徴とするリード・フレーム。」と訂正する。 (6)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0011】を、 「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1に係る発明である半導体ICチップのパッケージは、半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に形成される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードの両面を封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの前記半導体ICチップのパッドと電気的に接続される位置から前記金属製の凸部が形成される位置までの間を含む領域を、非磁性体金属膜で被覆し、前記金属製の凸部が前記非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着した。」と訂正する。 (7)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0012】を、 「また、上記目的を達成するために、請求項2に係る発明である半導体ICチップのパッケージは、半導体ICチップの各パッドと電気的に接続され且つ同一平面内に配置される導電性材料からなる複数のインナ・リードと、これらインナ・リードの前記半導体ICチップが配置される側とは逆側の面に接着される同一高さの金属製の凸部と、これら金属製の凸部の先端部分を露出させた状態で前記半導体ICチップ及び前記インナ・リードを封止する絶縁部材と、を備え、前記インナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した。 そして、請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記パッド領域に前記凸部を接着した。 さらに、請求項4に係る発明は、上記請求項1〜請求項3に係る発明である半導体ICチップのパッケージにおいて、前記凸部を半田製とした。」と訂正する。 (8)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0019】を、 「一方、上記目的を達成するために、請求項16に係る発明であるリード・フレームは、導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードの中途部分に幅広のパッド領域を形成した。」と訂正する。 (9)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0020】を、 「また、上記目的を達成するために、請求項17に係る発明であるリード・フレームは、導電性材料からなる外枠部と、この外枠部の内側に水平に支持された導電性材料からなる複数のインナ・リードと、このインナ・リードの前記外枠部側端部近傍に形成された肉薄部と、前記インナ・リードの前記肉薄部の前記外枠部とは逆側に形成され且つそのインナ・リードが絶縁部材内に封止された場合にその絶縁部材と強固に結合するストッパ部と、を備え、前記複数のインナ・リードに幅広のパッド領域を複数形成した。 そして、請求項18に係る発明は、上記請求項17に係る発明であるリード・フレームにおいて、前記パッド領域の一面であって前記複数のインナ・リード同士で同じ側を向く面を非磁性体金属膜で被覆した。」と訂正する。 (10)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0022】を、 「【作用】 請求項1に係る発明にあっては、半導体ICチップの各パッドは各インナ・リードに導通し、それらインナ・リードは金属製の凸部を介してパッケージ外部と導通する。従って、その金属製の凸部を実装ボードの端子に電気的に接続することにより実装が完了する。この際、金属製の凸部は同じ高さであり且つその金属製の凸部が形成される各リード・フレームも同一平面内に位置するから、各金属製の凸部の端部は水平に保たれ、一括した半田付けも可能である。そして、インナ・リードは導電性材料からなるため、ガラス・エポキシ樹脂のように製造途中の加熱処理によって反ってしまう可能性は小さい。 しかも、インナ・リードの非磁性体金属膜で被服された部分のインダクタンスが低くなるから、半導体ICチップの高速スイッチング動作が容易になる。 さらに、金属製の凸部が非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着されているから、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固である。 請求項2に係る発明にあっても、上記請求項1に係る発明と同様に、金属製の凸部を実装ボードの端子に電気的に接続することにより実装が完了し、各金属製の凸部の端部は水平に保たれ、一括した半田付けも可能であり、そして、インナ・リードはガラス・エポキシ樹脂のように製造途中の加熱処理によって反ってしまう可能性は小さい。 さらに、請求項2に係る発明であれば、パッド領域が、半導体ICチップを動作させる際に発生する熱の放散を促進させる。しかも、幅広のパッド領域を、インナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる。 そして、請求項2に係る発明において.請求項3に係る発明のようにパッド領域に金属製の凸部が接着されると、パッド領域が幅広であることから、リード・フレームと金属製の凸部との結合が強固になる。」と訂正する。 (11)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0030】を、 「ここで、請求項16〜請求項19に係る発明であるリード・フレームは、上記請求項6〜請求項15に係る半導体ICチップのパッケージの製造方法を実行する上で好適なリード・フレームである。 例えば、請求項16及び17に係る発明であれば、上記請求項9、請求項10に係る発明と同様に、外枠部を容易に切り離すことができ、しかも外枠部を切り離す際の力でインナ・リードが誤って抜けてしまうようなことを防止できるインナ・リードとなる。 さらに、請求項16に係る発明であれば、幅広のパッド領域を、インナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができる。 また、請求項17に係る発明であれば、半導体ICチップで発生する熱の放散を促進できるインナ・リードとなるし、インナ・リードに複数の幅広のパッド領域を設けているから、金属製の凸部の配置パターンを容易に変更できる。 そして、請求項18に係る発明であれば、メッキ処理によって形成される金属製の凸部との結合が強固になる。さらに、請求項19に係る発明であれば、メッキ条件が各インナ・リード同士で一致するようになる。」と訂正する。 (12)明りょうでない記載の釈明を目的として、同明細書の段落【0060】を、 「【発明の効果】 以上説明したように、請求項1に係る発明にあっては、導電性材料からなるリード・フレームを介して半導体ICチップの各パッドとリード端子としての金属製の凸部とを接続し、金属製の凸部の先端部を除いた全体を絶縁材料で封止し、しかも、金属製の凸部を非磁性体金属膜を介して前記インナ・リードに接着する構成としたため、金属製の凸部の先端部の水平度を向上することができ、しかも耐久性を向上することができ、さらには、高速クロックで動作させる半導体ICチップのパッケージに好適に用いることができ、またさらに、金属製の凸部とインナ・リードとの接着が強固であるという効果がある。 また、請求項2に係る発明にあっては、金属製の凸部の先端部の水平度を向上することができ、しかも耐久性を向上することができ、さらには、半導体ICチップを動作させる際に発生する熱の放散を促進させるパッド領域を設けたため、半導体ICチップの安定した動作を確保でき、またさらに、幅広のパッド領域をインナ・リードの中途部分に形成しているから、隣合ったインナ・リード同士では長手方向で前後にずれるように幅広のパッド領域を設けることができるという効果がある。 そして、請求項3に係る発明にあっては、上記請求項2に係る発明の効果に加えて、パッド領域に金属製の凸部を形成したため、リード・フレームと金属製の凸部との結合が強固になり、信頼性がさらに高くなるという効果がある。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-02-06 |
出願番号 | 特願平6-215820 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(H01L)
P 1 652・ 161- YA (H01L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 國方 康伸 |
特許庁審判長 |
関根 恒也 |
特許庁審判官 |
中村 朝幸 富永 正史 |
登録日 | 1998-10-09 |
登録番号 | 特許第2837355号(P2837355) |
権利者 | 川崎製鉄株式会社 |
発明の名称 | 半導体ICチップのパッケージ及びその製造方法並びにリード・フレーム |
代理人 | 森 哲也 |
代理人 | 内藤 嘉昭 |
代理人 | 森 哲也 |
代理人 | 崔 秀▲てつ▼ |
代理人 | 崔 秀てつ |
代理人 | 内藤 嘉昭 |