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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1041475
異議申立番号 異議2000-74626  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-05-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-12-29 
確定日 2001-07-18 
異議申立件数
事件の表示 特許第3058901号「熱処理装置」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3058901号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 A.本件発明
本件特許第3058901号(平成2年9月26日出願、平成12年4月21日設定登録。)の請求項1〜6に係る発明は、願書に添付された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】基板面が互いにほぼ平行となるように、複数枚の被処理基板を支持する熱処理装置用基板支持具を設け熱処理する熱処理装置において、内径が前記被処理基板より大径とされた環状板およびこの環状板の上側面に突出し且つ前記環状板の内側方向に突出する如く設けられた複数の基板支持片を有し、前記基板支持片により前記被処理基板の周縁部を係止し、前記環状板と間隔を設ける如く前記被処理基板を支持する複数の支持板と、前記支持板の周囲を囲む如く間隔を設けて複数本配列され、内側に向けて突出する如く設けられた支持板係止用突起により前記支持板の周縁部を支持する支柱とを具備したことを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】請求項1記載の熱処理装置において、前記環状板が石英からなり、この環状板の表面が、鏡面研磨仕上げ、または焼仕上げされていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項3】請求項1〜2記載の熱処理装置において、前記環状板の内周部、又は、内周部と外側部と双方に、前記被処理基板のオリフラに合わせて直線部が形成されていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項4】請求項1〜3記載の熱処理装置において、前記環状板の直径が、前記被処理基板の直径より10〜50mm大きくされていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項5】請求項1〜4記載の熱処理装置において、前記支柱が石英からなり、幅が6〜10mmとされていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項6】請求項1〜5記載の熱処理装置において、前記支柱に、前記支持板係止用突起が9〜15mmピッチで設けられていることを特徴とする熱処理装置。
(以下、請求項1〜6に係る発明を、それぞれ、本件発明1〜6という。)。
B.申立の理由の概要
特許異議申立人:泉 和武(以下、申立人という。)は、証拠として、甲第1号証[実願昭63-125645号(実開平2-47029号)マイクロフィルム]、甲第2号証[実願昭62-1534号(実開昭63-110024号)マイクロフィルム]、甲第3号証[特開昭60-153116号公報]、甲第4号証[特開平1-238023号公報]および甲第5号証[特開平1-168030号公報]を提出し、
(1)本件発明1は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり取り消されるべきものである、
(2)本件発明2〜6は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、それら発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり取り消されるべきものである、
旨を主張している。
C.甲第1〜5号証の記載
甲第1号証:
「本考案の目的は、CVD装置において、複数の半導体等の基板を同時に処理し、その基板上に形成される薄膜の均一性を改良し、および/または膜に導入される不純物の濃度を適正化するための基板支持装置を提供することである。」(第5頁9〜13行)と記載され、
基板面が互いにほぼ平行となるように、複数枚の被処理基板を支持する基板支持装置を設けたCVD装置において、上側面に逆L字型である複数のクリップを突設した基板用の支持板と、該支持板の周縁部を埋め込み支持するようにした支持体とからなり、前記支持板の内径が前記被処理基板より大径であり、前記クリップが支持板面との間に間隔を設けるように被処理基板の周縁部を係止するようにした基板支持装置を用いること(第7頁1行〜第9頁20行、および第1図〜第3A図参照)が記載されている。
そして、前記支持体は、基板の周囲を囲む如く間隔を設けて複数本配列し、基板を埋め込み支持するものが従来例として記載されている(第3頁8〜14行参照)ことからみて、支持板の周囲を囲む如く間隔を設けて複数本配列され、支持板の周縁部を埋め込み支持するようにしたものを含むと認める。
また、前記逆L字型は、支持板の「開口を基板の大きさよりも大きくするときは、クリップを斜めにするか、あるいは逆L字型にする必要がある。」(第8頁14〜16行)との記載、および、前記クリップが支持板に突設され基板を支持するものであること(第8頁6〜8行参照)からみて、支持板の上側面に突出し且つ支持板の開口内側方向に突出するように逆L字型となっていることを示すものと認める。
したがって、甲第1号証には、基板上に形成される薄膜の均一性の改良を目的とし、基板面が互いにほぼ平行となるように複数枚の被処理基板を支持する基板支持装置を設けたCVD装置において、内径が前記被処理基板より大径とされた支持板およびこの支持板の上側面に突出し且つ前記支持板の開口内側方向に突出する如く設けられた複数のクリップを有し、前記クリップにより前記被処理基板の周縁部を係止し、前記支持板と間隔を設ける如く前記被処理基板を支持する複数の支持板と、前記支持板の周囲を囲む如く間隔を設けて複数本配列され、支持板の周縁部を埋め込み支持するようにした支持体とを具備したことを特徴とするCVD装置に係る発明(以下、甲1号証発明という。)が記載されていると認める。
甲第2号証:
気相成長時に使用するための基板ホルダにおいて、内側に向けて突出する如く突起部が設けられこの突起部により支持板の周辺部を支持するようにすること(第2頁9行〜16行、第2図、及ひ第4図(A)参照)が記載され、同時に、前記突起部は原料ガスのまわりこみ等の乱流を生じ、被処理基板の処理を不均一にするという欠点を有すること(第3頁3行〜第4頁1行参照)、この欠点は、基板ホルダを、基板裏面側を支持する支持部と、基板の周囲に支持部から基板表面より高い位置まで突出して設けられた環状突起部とを備えたものとすることにより解消できること(第4頁2〜19行参照)が記載されている。
甲第3号証:
縦型拡散炉型気相成長装置において、ウェハ支持部材の内側に設けた突起に、ウェハを載置した載置冶具の周縁部を係止して、支持部材にウェハをセットすること(第4頁右上欄11〜14行、第6図参照)が記載されている。
甲第4号証:
ウエハ処理治具において、ウエハ搬送時等におけるウエハ処理治具表面の接触圧力によるゴミの発生を防止するべく、処理治具の互いに接触する表面の粗さを10μm/mm以下とすること(第1頁右下欄参照)が記載されている。
甲第5号証:
減圧気相成長方法において、ウエハを載置するリング状冶具を、その一端が平坦になるように形成し、その平坦部をウェハのオリエンテーションフラットの部分に合わせ、均一な成長膜が形成されるようにすること(特許請求の範囲、第2頁右下欄11行〜第3頁5行、第12図参照)が記載されている。
D.検討
本件発明1と甲第1号証発明とを比較すると、後者の「基板支持装置」、「CVD装置」、「支持板」、「開口内側方向」、「クリップ」、「支持体」は、前者の「熱処理装置用基板支持具」、「熱処理する熱処理装置」、「環状板」、「内側方向」、「基板支持片」、「支柱」にそれぞれ相当するから、
両者は、基板面が互いにほぼ平行となるように、複数枚の被処理基板を支持する熱処理装置用基板支持具を設け熱処理する熱処理装置において、内径が前記被処理基板より大径とされた環状板およびこの環状板の上側面に突出し且つ前記環状板の内側方向に突出する如く設けられた複数の基板支持片を有し、前記基板支持片により前記被処理基板の周縁部を係止し、前記環状板と間隔を設ける如く前記被処理基板を支持する複数の支持板と、前記支持板の周囲を囲む如く間隔を設けて複数本配列され、前記支持板の周縁部を支持する支柱とを具備したことを特徴とする熱処理装置、である点において同一であり、
次の(あ)の点で相違する。
(あ)本件発明1は、支持板の周縁部を支柱に支持するに際し、「内側に向けて突出する如く設けられた支持板係止用突起により支持する」としているのに対し、甲第1号証発明は、「埋め込み支持する」としている点。
そこで、前記(あ)の相違点について検討する。
本件発明1は、前記相違点に係る構成を採用することにより、「内径が前記被処理基板より大径とされた環状板およびこの環状板の上側面に突出し且つ前記環状板の内側方向に突出する如く設けられた複数の基板支持片を有し、前記基板支持片により前記被処理基板の周縁部を係止し、前記環状板と間隔を設ける如く前記被処理基板を支持する複数の支持板」という構成(以下、Aの構成という。)を採用することとも相俟って、成膜に対する支柱の影響を軽減し、被処理基板の処理の面内均一性を向上させることができるという、明細書に記載されたとおりの効果を奏するものであるところ、甲第1号証には、前記(あ)の相違点に係る本件発明1の構成を示唆する記載はなく、前記効果を示唆する記載もない。
また、甲第2,3号証には、前記(あ)の相違点に係る本件発明1の構成と同一の構成が記載されているものの、該構成は支持板を支柱に支持するための構成として記載されているにすぎず、その構成が被処理基板の処理の面内均一性を向上させるのに有効に寄与するであろうことを示唆する記載も、前記Aの構成と併用することを示唆する記載もなく、逆に、甲第2号証には、前記(あ)の構成は、前記した環状突起部と併用しないと、被処理基板の処理を不均一にすると記載され、前記(あ)の構成を単独に採用することは甲第1号証発明の目的に合致しない結果に至るであろうことが示唆されているから、甲第2,3号証に記載された発明を参照しても、基板上に形成される薄膜の均一性の改良を目的とする甲第1号証発明において、前記(あ)の相違点に係る本件発明1の構成を採用することが当業者に容易であるとすることはできず、また、その効果を予期することが当業者に容易であったとすることはできない。
したがって、本件発明1が甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者に容易に発明することができたものであるとすることはできない。
また、本件発明2〜6は、いずれも、本件発明1を引用するものであり、本件発明1における前記(あ)の相違点を有するものであるところ、甲第4,5号証にも前記(あ)の相違点に係る本件発明1の構成を示唆する記載はないから、甲第4,5号証に記載された発明と甲第1〜3号証に記載された発明とを総合しても、前記したと同様の理由で、本件発明2〜6が、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
E.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1〜6に係る発明の特許は、申立人の特許異議申立の理由および証拠によっては取り消すことができない。
また、他に本件発明1〜6に係る発明の特許を取消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-06-26 
出願番号 特願平2-256155
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 雨宮 弘治
中西 一友
登録日 2000-04-21 
登録番号 特許第3058901号(P3058901)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 熱処理装置  

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