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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1042609
審判番号 不服2000-1187  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-01-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-03 
確定日 2001-07-19 
事件の表示 昭和63年特許願第161790号「文書編集装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年 1月17日出願公開、特開平 2- 12366]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本件審判請求に係る出願は、昭和63年6月29日付の出願であって、請求項1に係る発明は、平成9年5月9日付、平成12年3月6日付及び平成13年4月9日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。
「少なくとも文字情報を入力し得る入力装置と、各種処理及び制御をする中央制御部と、入力情報及び処理結果を表示する表示装置と、入力情報及び処理結果を記憶する記憶装置とを備えた文書編集装置において、前記中央制御部は、前記入力装置から入力される指令に従って編集済み文書の少なくとも一部の文書を書式等の形状情報と共に切り出す取出手段と、前記書式等の形状情報に基づいて切り出し文書が占める領域の形状寸法を求める演算手段と、該求めた形状寸法を前記切り出し文書の付属情報として記憶する多種情報記憶手段と、前記入力装置から入力される指令に従って前記多種情報記憶手段から前記切り出し文書と前記形状寸法とを呼出し、前記切り出し文書をグラフィックデータとして編集中文書の指定位置に連結する呼出手段と、前記入力装置から入力される指令に従って前記呼出手段により呼び出される前記切り出し文書の前記形状寸法を変更する形状可変手段とを有してなることを特徴とする文書編集装置。」

2.引用例に記載された事項及び発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-24448号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が図面と共に記載されている。
(イ)この発明は、複合文書頁を構成する各種文書ブロックが複合文書頁上でそれぞれ配置される領域を単位に移動、複写を行う複合文書処理装置に関する。(公報第1頁右欄第13〜16行)
(ロ)第1図はこの発明の一実施例に係る複合文書処理装置のブロック構成を示す。同図において、10は装置全体を制御する制御プロセッサ、12はメモリである。メモリ12には、…(略)…複合文書を構成する各種文書ブロックが複合文書頁上で配置される領域(ここでは矩形領域)に関する情報(領域情報)が設定される領域管理テーブル16、各領域のデータ(文書ブロック)を領域単位で格納する領域バッファ18、及び複写バッファ20等が確保される。(同第2頁右下欄第4〜14行)
(ハ)22はキーボード、…(略)… 32はCRTモニタなどの表示モニタ、(同第2頁右下欄第20行〜第3頁左上欄第4行)
(ニ)第2図は領域管理テーブル16の構造を示す。領域管理テーブル16は、上記領域情報が領域単位で設定される複数の領域情報フィールド40と、…(略)…有している。領域情報フィールド40は、領域の種類、具体的には該当領域が文章、表、グラフ、図形、イメージ等のうちのいずれの種類の文書ブロックを配置するのに供されるかを示す領域種類フィールド52と、領域の複合文書頁上の位置を第3図に示すように領域開始位置Xs、Ys(左上端の座標)と大きさLx(横方向の長さ)、Ly(縦方向の長さ)で指定する位置情報フィールド54と、該当領域に配置される文書ブロックの領域バッファ18内格納位置を示す領域バッファポインタが設定される領域バッファポインタフィールド56とを有している。(同第3頁左上欄第12行〜右上欄第10行)
(ホ)もし、マウスクリック点がi番目の領域情報フィールド40の指定する領域内に存在する場合には、制御プロセッサ10は、この領域がユーザ指定の処理対象領域であるものと判断し、該当領域(ここでは領域A)を選択して処理対象領域(カレント領域)とする(ステップS13)。(同第4頁右上欄第7〜11行)
(ヘ)もし“カット”または“コピー”のいずれかであれば、制御プロセッサ10はユーザ指定の領域(処理対象領域、ここでは領域A)の領域情報を領域管理テーブル16から取出し、複写バッファ20(内に確保される領域情報格納領域)に格納(複写)する(ステップS28)。次に制御プロセッサ10は、ユーザ指定領域の領域情報中(の領域バッファポインタフィールド56)に設定されている領域バッファポインタの指定する領域バッファ18内領域からその格納データを読出して複写バッファ20(内に確保される文書ブロック格納領域)に格納(複写)する(ステップS29)。(同第4頁左下欄第20行〜右上欄第11行)
(ト)制御プロセッサ10はステップS34においてマウスクリックを検出すると、マウスクリック点(ここではペースト位置)を読取り(ステップS35)、この読取り情報と複写バッファ20に格納(複写)しておいた指定領域の領域情報中の位置情報をもとに、指定ペースト先に指定領域と同一サイズの領域が作成できるか否か調べる(ステップS36)。もし作成可であれば、制御プロセッサ10は、第6図(C)に示すように、ステップS35で読取ったマウスクリック点(P)を左上端(領域開始位置)とし且つ指定領域と同一サイズの領域(ここでは領域B)を作成し(ステップS37)、しかる後に複写バッファ20に格納(複写)しておいた指定領域のデータ(文書ブロック)を、ステップS37で作成した領域(領域B)に配置する(ステップS38)。…(略)… したがって、領域Aが処理対象領域として指定されているこの例では、領域Aと全く同じ図形を持つ領域BがPを開始位置として作成される。(同第5頁右上欄第18行〜右下欄第3行)
(チ)制御プロセッサ10は。ステップ36の処理を終了すると、ユーザ指定されたペースト先に新たに作成した(移動、複写した)領域の領域情報を生成し、領域管理テーブル16に登録する(ステップS39)。(同第5頁右下欄第4〜8行)
以上の記載からみて、引用例1には、次のような発明が記載されていると認められる。
「制御プロセッサと、領域管理テーブル、領域バッファ、複写バッファ等が確保されるメモリと、キーボードと、表示モニタと、を有する複合文書処理装置であって、
領域管理テーブルは、領域の種類(文章、表、グラフ、図形、イメージ等)を示す領域種類フィールドと、領域の複合文書頁上の位置を開始位置(左上端の座標)と大きさ(横方向及び縦方向の長さ)とで指定する位置情報フィールドと、該当領域に配置される文書ブロックの領域バッファ内の格納位置を示す領域バッファポインタが設定される領域バッファポインタフィールドとからなる領域情報フィールドを有し、
領域バッファには、各領域のデータ(文書ブロック)が領域単位で格納されており、
制御プロセッサは、ユーザが処理対象領域を指定すると、ユーザ指定の領域の領域情報(開始位置の座標及び領域の大きさ)を領域管理テーブルから取出し複写バッファに格納し、さらに、領域バッファからユーザ指定の領域の格納データを読出して複写バッファに格納し、ユーザがマウスクリックにより指定した点を読取り、この読取り情報と複写バッファに格納しておいた指定領域位置情報(領域の大きさ)をもとに、指定先に指定領域と同一サイズの領域が作成できるか否か調べ、マウスクリック点を左上端(領域開始位置)として指定領域と同一サイズの領域を作成し、複写バッファに格納しておいた指定領域の格納データ(文書ブロック)を該領域に配置すると共に、領域管理テーブルに新たに作成した領域情報を登録する、複合文書処理装置。」
同じく引用した、特開昭62-89172号公報(以下「引用例2」という。)には、「入力部よりデータを受けとり処理を行なうワードプロセッサと、前記ワードプロセッサよりデータを受けて出力する出力部と、前記ワードプロセッサに必要なデータを格納する記憶部と、前記記憶部のデータをスケール変換して前記ワードプロセッサにデータを転送し文書レイアウト中に図形挿入するオートスケールとを備えたオートスケール付ワードプロセッサ」(特許請求の範囲)、「文書作成時にあけておいた枠に入れる図形データを、記憶部4よりオートスケール5へ転送する。そこで、文書作成時にあけておいた枠の大きさと図形データの大きさを対比し、図形データの拡大または縮小を行ない、枠内へ収まる最大の大きさにスケーリングを行ない図形の挿入を行う。」(公報第2頁右上欄第5〜11行)と記載されている。

3.対比・判断
本願発明と引用例1に記載された発明(以下「引用発明」という。)とを対比する。
上記引用発明の「制御プロセッサ」、「メモリ」、「キーボード」、「表示モニタ」、「複写バッファ」は、その作用からみて、それぞれ本願発明の「中央制御部」、「記憶装置」、「入力装置」、「表示装置」、「多種情報記憶手段」に相当することは明らかである。
ところで、引用発明においては、複写される文書は、メモリ(領域バッファ)に記憶されているものであるから「編集済み文書」ではあるが、現在編集中の頁の一部を同一頁(同一文書)に複写するものであることは、第6図の記載からみて明らかである。他方、本願発明においては、編集される文書は、「編集済み文書」から切り出されるものであるところ、発明の詳細な説明を参酌すると、この「編集済み文書」とは「編集済み文書を記憶装置6にステップ1cで予め文書ファイルがセットされている外部記憶装置より、文書番号指定(ステップ1d)により呼び出す(ステップ1e)」(段落【0012第4〜6行】)との記載からみて、現在編集中の文書とは、別の文書であると認められる。
又、引用発明の制御プロセッサは、メモリから領域情報(開始位置の座標及び領域の大きさ)と格納データ(文書ブロック)とを取り出しているから、本願発明の「取出手段」に相当する手段を有しているものと認められる。
さらに、制御プロセッサは、コピー等の文書編集に際して、複写バッファに格納されている領域情報(開始位置の座標及び領域の大きさ)と格納データ(文書ブロック)とをもとに、現在編集している文書のユーザ指定位置に、指定領域と同一サイズの領域を作成するに際し、領域管理テーブルに新たに作成した領域に関する領域情報を登録するものであり、領域情報の構成からみて、切り出し文書は、移動先の位置情報(指定位置)に、領域バッファポインタを介して連結されているものであるから、本願発明の「呼出手段」に相当する手段を有しているものと認められる。
又、本願発明において切り出される「書式等の形状情報」と、引用発明において取り出される「領域情報」とは、文書に付加される「付属情報」であると言える。
してみると、本願発明と引用発明とは次の一致点、相違点を有するものと認められる。
[一致点]
少なくとも文字情報を入力し得る入力装置と、各種処理及び制御をする中央制御部と、入力情報及び処理結果を表示する表示装置と、入力情報及び処理結果を記憶する記憶装置とを備えた文書編集装置において、前記中央制御部は、前記入力装置から入力される指令に従って編集済み文書の少なくとも一部の文書を付属情報と共に切り出す取出手段と、形状寸法を前記切り出し文書の付属情報として記憶する多種情報記憶手段と、前記入力装置から入力される指令に従って前記多種情報記憶手段から前記切り出し文書と前記形状寸法とを呼出し、該切り出し文書を編集中文書の指定位置に連結する呼出手段とを有してなることを特徴とする文書編集装置。
[相違点1]
編集済み文書に関して、本願発明では編集中文書とは別の文書であるのに対して、引用発明では編集中文書と同一の文書である点。
[相違点2]
本願発明では、中央処理部が切り出す付属情報が書式等の形状情報であり、且つ、該書式等の形状情報に基づいて切り出し文書が占める領域の形状寸法を求める演算手段を有しているのに対して、引用発明では、中央処理部が切り出す付属情報が領域情報(切り出し文書が占める領域の形状寸法等)であり、演算手段を有していない点。
[相違点3]
編集中文書の指定位置に切り出し文書を連結するに際し、本願発明では、グラフィックデータとして連結しているのに対して、引用発明では、どのようなデータ形態となっているか明確でない点。
[相違点4]
本願発明が、入力装置から入力される指令に従って、呼出手段により呼び出される切り出し文書の形状寸法を変更する形状可変手段を有しているのに対して、引用発明は形状可変手段を有していない点。
上記相違点について検討する。
[相違点1について]
文書編集装置において、文書を編集、例えばコピーをする際に、コピーされる文書を、記憶手段に記憶されている別の文書から取り出すことは、引用例を挙げるまでもなく周知の技術手段であるから、文書をコピーする際に、別の文書から情報を取り出すようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。
[相違点2について]
本願明細書の記載(段落【0004】、【0013】参照)からみて、本願発明は、本願発明が目的とする「文書の形状を維持して複写する」ために、形状寸法を用いていることは明らかである。他方、引用発明は、上記(ト)の記載からみて、指定領域と同一サイズの領域を作成するために、領域情報フィールドに格納されている指定領域の大きさ(形状寸法)を用いているものである。即ち、本願発明、引用発明は共に、文書の複写に際して、形状維持のために、領域の形状寸法を用いるものである。
ところで、文書の形状を維持して複写するために形状寸法が必要であるにも拘わらず、本願発明は、付属情報として書式等の形状情報を有しているだけであるので、書式等の形状情報に基づいて切り出し文書が占める領域の形状寸法を求める演算手段を有しており、他方、引用発明は、付属情報として形状寸法を有しているため、演算手段を必要としていないものである。
してみると、上記相違点2は、文書複写の際、形状維持のために必要な形状寸法を、本願発明では、書式等の形状情報に基づいて演算手段により求めているのに対して、引用発明では、領域情報フィールドに有している点、と言い換えることができる。
そこで検討すると、当該技術分野において、文書の複写に際して、複写領域を対角指定により切り出すことは周知の手段であり、又、字間、行間情報、及び、文字数、行数に基づいて、その領域の形状寸法を求めることも当該技術分野における常套手段であるから、切り出される複写領域に関する「字間、行間情報、及び、文字数、行数」(本願発明の書式等の形状情報)に基づいて、形状寸法を求めるようにすること、即ち、中央処理部に書式等の形状情報から形状寸法を演算する演算手段を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。
[相違点3について]
上記相違点3の「切り出し文書をグラフィックデータとして」なる構成が不明であるため、この点について検討すると、この記載は、本願明細書段落【0013】の「切り貼り領域内の情報は、編集文書としてはグラフィックデータ(図形、イメージ等のデータ)として取り扱い、編集文書7の内部データとしては切り張りした始点を属性情報として連結した形になっている(ステップ3b)。」(第6〜8行)、及び第3図の記載からみて、編集文書をグラフィックデータとして取り扱い、始点情報が属性情報として付加されていることを意味していると認められ、さらに「グラフィックデータとして取り扱う」ことに関して、当審における拒絶理由(10)に対する回答として、平成13年4月9日付意見書に「切り出した文書をグラフィックデータとして取り扱うことにより、もはや文書情報は文字情報と付属情報及び書式等の形状情報からなる情報ではなく、単なるドットデータになっているから、その切り出し領域の形状寸法を変更しなければ、編集文書中の書式に拘わらず形状維持、即ち、文字の大きさ、も字間・行間等の書式を維持したまま、切り貼りすることができるのである。」(第4頁第10〜14行)と記載されており、結局、「切り出し文書をグラフィックデータとして」とは、形状を維持したまま、切り貼りができるように、切り出し文書がドットデータとなっていることを意味していると認められる。
ところで、文書の切り貼りに際し、切り出し文書をドットデータにすることは、例えば、特開昭62-249279号公報等に記載されるように周知の技術手段であるから、切り出し文書をドットデータとすることは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。
[相違点4について]
上記引用例2には、記憶部より図形データを呼び出し、文書作成時にあけておいた枠の大きさと図形データとを対比し、文書作成時にあけておいた枠の大きさに合わせて図形データのスケール変換を行なうオートスケールが記載されている。即ち、「複写に際して、入力装置から入力される指令に従って、呼出手段により呼び出される切り出し文書の形状寸法を変更する形状可変手段」は公知の技術手段である。
ところで、上記引用例2に記載された発明は、「従来のワードプロセッサは以上のように構成されているので、図形の大きさに合わせて文書のレイアウトの中に枠を確保しなければならず、あらかじめ図形の大きさを知っておくことが必要であった。また、挿入時に文書レイアウト内の枠が小さすぎてエラーが発生し作業を中断するという問題点があった。」(公報第1頁右欄第13〜19行)という問題点を解決するためになされたものである。
一方、引用発明の上記(ト)の記載及び第5図(その2)の記載によれば、引用発明は、S36において、ペースト先に指定領域と同じ大きさの領域が作成できなければエラー処理を行うものであり、これは、即ち、引用例2に記載された問題点に他ならないから、この問題点を解決するために、引用発明に引用例2に記載された発明を応用することは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。
[作用効果について]
本願発明の奏する作用効果も、上記引用発明、引用例2に記載された発明及び、周知の技術手段の奏する作用効果から予測できる以上の格別のものとも認められない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用発明、引用例2に記載された発明、及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-05-21 
結審通知日 2001-05-22 
審決日 2001-06-06 
出願番号 特願昭63-161790
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長 由紀子坂庭 剛史  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 村上 友幸
岡 千代子
発明の名称 文書編集装置  
代理人 鵜沼 辰之  
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