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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G01D
審判 一部申し立て 2項進歩性  G01D
管理番号 1043172
異議申立番号 異議2000-73056  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-09-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-07 
確定日 2001-03-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3006614号「合成樹脂部材の取付装置」の請求項2ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3006614号の請求項2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3006614号の請求項2ないし5に係る発明についての出願は、平成11年2月26日に特許出願され、平成11年11月26日にその発明について特許の設定登録がされ、その後、請求項2ないし5について、特許異議申立人中村良治により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年1月16日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否について
(ア)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下の(a)〜(m)のとおりである。
(a)特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(b)訂正前の特許請求の範囲の請求項3
「前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備えることを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の合成樹脂部材の取付装置。」
を、
「前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂部材の取付装置。」
と訂正し、新しい請求項2とする。
(c)特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(d)特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(e)段落【0009】を削除する。
(f)段落【0010】の
「また、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備えることを特徴とする。」
を、
「また、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする。」
と訂正する。
(g)段落【0011】を削除する。
(h)段落【0012】を削除する。
(i)段落【0030】の
「なお、前記各実施例では本発明を指針式指示計器におけるストッパの取付構造に適用したが、本発明は合成樹脂部材を被取付部材に取り付けるものであれば、指針式指示計器におけるストッパの取付構造以外にも幅広く適用が可能であり、例えば、本発明の第4実施例として図5に示すように、合成樹脂ケースの接合構造において図示省略した一方のケース(合成樹脂部材)に規制部33を有する突出片32からなる挿入部30を形成し、また相手側となる他方のケース(被取付部材)2aに貫通孔22を形成し、一方のケースの挿入部30を他方のケース2aの貫通孔22に挿入して両ケースを接合するものに適用しても、前記第1〜第3実施例と同等の効果を得ることができる。なおこの際、挿入部30の抜け止めを行う延長部は、挿入部30の形成対象である一方のケースの本体部分となる。」
を、
「なお、前記各実施例では本発明を指針式指示計器におけるストッパの取付構造に適用したが、例えば、本発明の参考例として図5に示すように、合成樹脂ケースの接合構造において図示省略した一方のケース(合成樹脂部材)に規制部33を有する突出片32からなる挿入部30を形成し、また相手側となる他方のケース(被取付部材)2aに貫通孔22を形成し、一方のケースの挿入部30を他方のケース2aの貫通孔22に挿入して両ケースを接合するものに適用することも考えられる。なおこの際、挿入部30の抜け止めを行う延長部は、挿入部30の形成対象である一方のケースの本体部分となる。」
と訂正する。
(j)段落【0032】の
「また本発明は、貫通孔を有する被取付部材と、前記貫通孔に対応する箇所に挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材に取り付けられる合成樹脂部材とを備え、前記挿入部が互いに間隔を空けて被取付部材側に伸長し前記貫通孔への挿入時には弾性変形によって前記間隔が幅狭となる少なくとも一対の突出片からなり、前記突出片のうち少なくとも一方の先端側に、前記各突出片の対向側に延び前記各突出片どうしの変形量を規制する規制部を設けたことにより、組み付けが容易で、損傷を抑制することができる合成樹脂部材の取付装置を提供することができる。」
を、
「また本発明は、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることにより、合成樹脂部材の確実な固定を実現できる。」
と訂正する。
(k)段落【0033】を削除する。
(l)段落【0034】を削除する。
(m)上記訂正事項(e)(g)(h)(k)(l)による段落の削除に伴い、段落番号の番号を順次繰り上げる。

(イ)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項(a)(c)(d)は、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加でもなく、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項(b)は、請求項3に、請求項5に記載された限定事項を付加し、さらに、上記訂正事項(a)による請求項2の削除に伴い、請求項1もしくは2の引用形式から請求項1のみの引用形式に訂正し、請求項の番号を繰り上げたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加でもなく、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項(e)〜(m)は、上記訂正事項(a)〜(d)により特許請求の範囲が減縮されたことに伴う発明の詳細な説明の訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加でもなく、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものでもない。

(ウ)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(ア)本件発明
本件の請求項2に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 貫通孔を有する文字板からなる被取付部材と、挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材上に取り付けられ前記被取付部材の前方で回動する指針を回動規制するストッパからなる合成樹脂部材とを備え、前記挿入部が互いに間隔を空けて被取付部材側に伸長し前記貫通孔への挿入時には弾性変形によって前記間隔が幅狭となる少なくとも一対の突出片からなり、前記突出片のうち少なくとも一方の先端側に、前記各突出片の対向側に延び前記各突出片どうしの変形量を規制する規制部を設けたことを特徴とする合成樹脂部材の取付装置。
【請求項2】前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂部材の取付装置。」

(イ)特許異議申立ての概要
特許異議申立人中村良治は、証拠として甲第1号証(実公昭60-11293号公報)、甲第2号証(実公昭63-7692号公報)、甲第3号証(実願昭56-65407号(実開昭57-178493号)のマイクロフィルム)を提出し、請求項2ないし5に係る発明は、甲第1ないし3号証に記載された発明と同一、もしくは、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2ないし5に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号もしくは同条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第1項第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。

(ウ)甲各号証記載の発明
甲第1号証には、
「本考案は、穿設穴を有する複数の板を固着又は連設するために使用するグロメットに関する。」(第1欄第17〜18行)、
「図示する如くグロメット10は、比較的軟質の可撓性樹脂材で一体成形されるもので、頭部11と頭部11の下面より相対して延垂した2本の脚体14,14とより成り、頭部11は回転溝13を具備し、脚体14は自由端を内側に曲折した突止部15,15と、脚体14,14の面内にあって、係止部17,17・・・を形成しかつ内外方向に外圧により自由にたわみ得るようにした挿通体16,16とを具備したものである。具体的には、頭部11は中心部がやゝ肉厚の円板状をなしその周囲には長円形で先端に移動する程肉薄状となり板面に対してたわみやすい形状に構成された密着部12よりなっている。」(第3欄第7〜19行)、
「即ち、第3図に示す如く第1の飾板20に穿設された第1の透孔21は長円形となし、以下第2の飾板20aの透孔21aも同様に長円形となし同一個所に重なって使用する。次いで、グロメット10を透孔21,21aに挿着させるには、第4図の如くグロメット10の脚体14を透孔21に当接し、指で頭部11を押圧する。」(第3欄第41行〜第4欄第4行)、
「頭部11を押圧されたグロメット10は挿通体16,16の具備する係止部17,17・・・が透孔21の周縁に当接されることで挿通体16,16自体が脚体14,14の内側へ押し込まれることになるが、この時、突止部15,15はその先端が互いに衝突され、これにより脚体14,14は、それ以上の変形を阻止されて平行状に保持される。このように、突止部15,15は回転溝10を穿設穴に挿着する時の停止操作を与えると同時に挿着後の不本意な外力による脚体14,14の変形に対して、これを阻止する安定源となり、従って突止部15,15は、この停止操作によって脚体14,14の復元弾性力を保持させることになる。そして飾板20の周面が密着部12に当接した時、飾板20は、第2の飾板20aと共に係止部17,17・・・に係止し固着することになる。」(第4欄第8〜26行)と記載されている。
甲第2号証には、
「パネル等の被取付け部材に、シート状物、管状体等の取付け部材を固定するのに使用され、
(a)ヘッドと、
(b)ヘッドから突出するシャンクと、
(c)シャンクの自由端からヘッド側へ向いかつ外側へ膨出するように突出された一本又は複数本の弾性係止腕と
からなるプラスチックファスナーにおいて、前記シャンクの元部及びその近傍から又は弾性係止腕の中間部から、それぞれ弾性係止腕の中間部内壁面又はシャンクの元部側壁面に向って弾性支柱が突設され、該弾性支柱の先端部は、前記弾性係止腕が前記被取付け部材に形成された被取付け孔を挿通する過程の最大変形時前記各対向壁面に圧接するように、各対向壁面に近接していることを特徴とするプラスチックファスナー。」(実用新案登録請求の範囲)、
「(2)第二実施例(第5図) 第一実施例において、一対の弾性支柱の突出部位、突出方向を逆にしたもので、弾性支柱16は、弾性係止腕13の中間部からシャンク12の元部側壁面に向って突設されている。弾性支柱16のシャンク12に対する近接の態様は、上述の実施例同様、弾性係止腕13が最大変形したとき、弾性支柱16がシャンク12の側面に圧接可能なものとする。」(第4欄第42行〜第5欄第6行)と記載されている。
甲第3号証には、
「本考案は、回路基板を多数平行状に配設する場合、それ等の間に介在させる支持具に関するものである。」(明細書第2頁第4〜6行)、
「図面は本考案の一実施例を示したもので、(1)はベース側の回路基板、(2)は支持具(3)により間隔を持たされて設けた補助基板、(4)、(4)、(4’)、(4’)は上下に向けて双手を上げた形に突出させた基板支承腕で、支持具(3)の上下両端に夫々4個突出立設しており、それ等の先端面(5)、(5)、(5’)、(5’)は何れも水平面に精製し、各基板間の間隔の均一性を保たせるようにしてある。(6)、(6)は支持具(3)の上端面上から多少細目の径に当る円の円弧巾を持った対向状に配設した円弧板体で、恰も鰐口状に対設しており、中央部には向かい合って梃子作用をする膨出部分(11)、(11)があり、その上側から補助基板(2)の厚さに近い間を置いて背面側(9)、(9)は膨らませて、そのままの状態では補助基板(2)に穿設した透孔(7)を通過することはできないようにしてある。従って円弧板体(6)、(6)を両側から第4図の矢印で示すように抑圧して破線図(10)で示すように曲げれば補助基板(2)は簡単に外すことができ、この逆の操作をすれば、補助基板(2)の保修操作は極めて容易であるし、背面側(9)、(9)の膨らませ如何で回路基板(1)に対する補助基板(2)の配置精度を極めて高くすることができる。」(明細書第3頁第5行〜第4頁第7行)と記載されている。

(エ)対比・判断
本件の請求項2に係る発明と甲第1ないし3号証に記載された発明とを対比すると、甲第1ないし3号証のいずれにも、貫通孔を有する被取付部材が文字板であり、かつ、挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材上に取り付けられ前記被取付部材の前方で回動する指針を回動規制するストッパからなる合成樹脂部材である点が、記載されておらず、示唆もされていない。すなわち、甲第1号証記載のものは複数の板を固着するためのものであり、甲第2号証記載のものはパネル等にシート状物等を固定するためものであり、甲第3号証記載のものは複数の回路基板を平行状に支持するためのものであって、これらはいずれも複数の板状部材を互いに固定するためのものであるから、本件の請求項2に係る発明のごとき文字板と文字板の前方で回動する指針を回動規制するストッパとの取付装置への適用を示唆するものではない。
そして、本件の請求項2に係る発明は、明細書記載の顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件の請求項2に係る発明は、甲第1ないし3号証に記載された発明と同一であるとはいえず、また、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(オ)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
合成樹脂部材の取付装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 貫通孔を有する文字板からなる被取付部材と、挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材上に取り付けられ前記被取付部材の前方で回動ずる指針を回動規制するストッパからなる合成樹脂部材とを備え、前記挿入部が互いに間隔を空けて被取付部材側に伸長し前記貫通孔への挿入時には弾性変形によって前記間隔が幅狭となる少なくとも一対の突出片からなり、前記突出片のうち少なくとも一方の先端側に、前記各突出片の対向側に延び前記各突出片どうしの変形量を規制する規制部を設けたことを特徴とする合成樹脂部材の取付装置。
【請求項2】 前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂部材の取付装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂部材の取付装置に関し、例えば車両用の指針式指示計器のストッパとして使用される合成樹脂部材を文字板等の被取付部材に取り付けるに適した合成樹脂部材の取付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車に搭載される速度計等の指針式指示計器においては、視認者が容易に測定値を読みとれるよう、ある程度の長さをもった指針にて測定値を表示するようにしている。
【0003】
また、例えば測定値がゼロの場合や電源スイッチが遮断された場合、指針が正確に定位置で停止するように、文字板(被取付部材)上に合成樹脂からなるストッパ(合成樹脂部材)を設け、このストッパに指針を当設させることにより所定位置で指針の回動を停止させ、回動規制を行うものが知られている(例えば実開平5-14835号公報に開示)。
【0004】
このようなストッパを文字板に取り付ける場合、図6に示すように、ストッパaに、文字板bに形成した貫通孔cに挿入される挿入部dと、文字板bの前面側板面に沿って延びるフランジ部eとを形成し、挿入部dを貫通孔cに挿入してその貫通箇所を溶着することにより文字板b上に固定したり、別の取付構造としては、図7に示すように、ストッパaの挿入部dを幅方向に弾性を有するフック形状の突出片fとして設け、この突出片fを、文字板bの貫通孔c及び文字板bを背後から支持する導光板gに形成した貫通孔hに嵌入することにより、突出片fのフック部を導光板gの背面に係合固定するものがある。また、同様に突出片fの長さやそのフック形状を変化させフランジeとの間で文字板bのみに固定する方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すごとくストッパaを溶着するものは、ストッパaの挿入部dを文字板bの貫通孔cに挿入した後に溶着工程を必要とし、組み付け作業性に難点がある。
【0006】
また図7に示すごとく、突出片fの弾性変形を利用するものにあっては、突出片fをきちんと係合させるために、ある程度の力を必要とするが、例えば突出片fを嵌入するストッパaの組み付け作業時に、突出片fが必要以上に変形してストッパaが損傷することがあり、またこのような損傷に配慮した組み付け作業は、作業効率の低下を招くという不具合もある。
【0007】
そこで、本発明は前記従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的としては、組み付けが容易で、ストッパ等の合成樹脂部材の損傷を抑制し得る合成樹脂部材の取付装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、貫通孔を有する文字板からなる被取付部材と、前記貫通孔に対応する箇所に挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材上に取り付けられ前記被取付部材の前方で回動する指針を回動規制するストッパからなる合成樹脂部材とを備え、前記挿入部が互いに間隔を空けて被取付部材側に伸長し前記貫通孔への挿入時には弾性変形によって前記間隔が幅狭となる少なくとも一対の突出片からなり、前記突出片のうち少なくとも一方の先端側に、前記各突出片の対向側に延び前記各突出片どうしの変形量を規制する規制部を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態となる合成樹脂部材の取付装置の実施例を説明する。 図1、図2(a),(b)は、本発明の第1実施例として、本発明による合成樹脂部材の取付装置を例えば車両用の指針式指示計器に適用した場合を示す。
【0011】
図1において、指示計器は、例えば車速を指示する速度計にて構成され、指針1、文字板2、ストッパ3からなる。
【0012】
指針1は、測定値の変化に応じて回動駆動される駆動装置11の軸部12に回動可能に連結されている。
【0013】
文字板2は、指針1の背後に位置し、目盛21や図示しない文字等が印刷されており、視認者は測定値に応じて回動ずる指針1と文字板2の目盛21とを対比することで測定値を視認することができる。
【0014】
ストッパ3は、ポリアセタール等の合成樹脂からなり、指針1が当接する当接部31を有し、例えば電源スイッチ(イグニッションスイッチ)の遮断時に指針1を所定位置(例えば目盛21における零点位置)で停止させるべく、文字板2上に固定される。
【0015】
図2a、図2bで詳しく示すように、ストッパ3は、当接部31から文字板2側に延びる挿入部30を通じて文字板2に固定されるもので、文字板2には挿入部30に対応する箇所に貫通孔22が形成されている。
【0016】
挿入部30は、互いに間隔を空けて文字板2側に延び、貫通孔22への挿入時には、貫通孔22内に挿入できるよう幅方向(対向方向)内側に弾性変形し両者の間隔が幅狭となる(図2(a)参照)と共に、貫通孔22への挿入後には、その弾性力により幅方向外方に広がり両者の間隔が元の間隔に戻る(図2(b)参照)一対の突出片32からなる。
【0017】
各突出片32の先端側外面は、貫通孔22への挿入を容易とするため、内側に向けて傾斜する傾斜面として形成され、またそれらの先端側内方には、各突出片32の対向側に斜めに延び、図2(a)に示すように貫通孔22への挿入時に互いに当接して各突出片32どうしの幅方向内方側への変形量を規制する規制部33が形成されている。
【0018】
これら規制部33における対向側へ延び量は、突出片32を挿入孔22に挿入する際、各突出片32が限界撓み量(規制部33の損傷が懸念される撓み量)以上に弾性変形してしまうのを当接により規制できる程度、例えば本例では、突出片32が貫通孔22への挿入に足りる必要撓み量、もしくは貫通孔22への挿入に適した必要撓み量以上の過度な変形を抑制できる程度に設定されている。
【0019】
また、このように規制部33を有した突出片(挿入部30)32は、貫通孔22に挿入された後、図2(b)示すように、その弾性力により幅方向外方に広がることでストッパ3を文字板3に係合するものであるが、突出片32と当接部31との間には、ストッパ31から文字板2の板面方向に沿って延長し、ストッパ3を挿入方向に対し抜け止めするフランジ部(延長部)34が突出形成され、また各突出片32の外面には膨出部35が突出しており、この膨出部35とフランジ部34との間は、これらよりも径小となるくびれ部36(図2(b)参照)が形成され、膨出部35とフランジ部34との間に位置するくびれ部36が文字板2の貫通孔22内に位置することで、膨出部35とフランジ部34との間で文字板2を挟持するように、ストッパ3が文字板2に係合固定される。
【0020】
以上のように本実施例では、貫通孔22を有する文字板(被取付部材)2と、貫通孔22に対応する箇所に挿入部30を有しこの挿入部30を貫通孔22に挿入することにより文字板2に取り付けられ文字板2の前方で回動する指針1を回動規制するストッパ(合成樹脂部材)3とを備えた指針式指示計器において、ストッパ3の挿入部30を、互いに間隔を空けて文字板2側に伸長し貫通孔22への挿入時には貫通孔22に挿入可能に両者の間隔が幅狭となり、貫通孔22への挿入後には、文字板2の貫通孔22に係合するよう両者の間隔が元の間隔に戻る一対の突出片32にて形成し、これら各突出片32の先端側対向面に各突出片32どうしの変形量を規制する規制部33を設けたことにより、挿入部30の挿入時における突出片32の過度な変形を規制部33が当接することにより抑えることができ、例えば当接部31の延長軸方向に対し傾いた状態でストッパ3が貫通孔22に挿入され、突出片32に過度な応力が加わったとしても、突出片32がその弱小箇所P(図2(a)参照)から折れたり、変形してしまうといった損傷を防ぐことができ、これにより、文字板2に挿入するのみで装着することでき、組み付けが容易で、しかもストッパ3の損傷を抑制することができる。
【0021】
また、本実施例では、合成樹脂部材たるストッパ3の取付対象(被取付部材)が文字板(板状部材)2からなると共にストッパ3に文字板2を挟んで挿入部30とは反対側に位置し文字板2の板面方向に沿って突出する突出部たるフランジ部(延長部)34を形成したことにより、ストッパ3の挿入方向への抜けを確実に抑制してその取付状態を確実になすことができる。
【0022】
また、本実施例では、フランジ部34と挿入部30との間であって貫通孔22に対応する箇所にフランジ部34及び挿入部30よりも径小となるくびれ部36を形成したことにより、フランジ部34と挿入部30との間に文字板2が挟み込まれて固定され、これによりストッパ3を文字板2に確実に固定することができる。
【0023】
なお、本実施例では、各突出片32は両者が弾性変形するように形成したが、いずれか一方側のみ弾性を持たせてもよい。 また、本実施例では、一対の突出片32の双方が規制部33を有する場合を示したが、本発明の第2実施例として図3に示すように、一対の突出片32a,32bのうち、一方側の突出片32aのみに規制部33を形成することもできる。
【0024】
また、前記第1,第2実施例では、ストッパ3が文字板2に取付固定される場合を示したが、本発明の第3実施例として図4に示すように、突出片32の先端にフック37,38をそれぞれ形成し、これらフック37,38とフランジ部34の間で文字板2および導光板4を挟持するようにしてもよく、この際、例えば一方のフック37側に規制部33を設けることで変形量を規制してもよい。
【0025】
また、前記第1〜第3実施例では、挿入部30を一対の突出片32,32a,32bから形成したが、所定の間隔を隔てて3つ以上形成してもよい。
【0026】
また、前記各実施例において、ストッパ3は、ポリアセタールからなるが、ポリアセタール以外にも適度に弾性を持つ合成樹脂材料であれば、適宜材料が利用でき、ストッパ3の材質や突出片32の構造等に応じて各突出片32,32a,32b間の間隔設定、規制部33による変形規制設定を行えばよい。
【0027】
なお、前記各実施例では本発明を指針式指示計器におけるストッパの取付構造に適用したが、例えば、参考例として図5に示すように、合成樹脂ケースの接合構造において図示省略した一方のケース(合成樹脂部材)に規制部33を有する突出片32からなる挿入部30を形成し、また相手側となる他方のケース(被取付部材)2aに貫通孔22を形成し、一方のケースの挿入部30を他方のケース2aの貫通孔22に挿入して両ケースを接合するものに適用することも考えられる。なおこの際、挿入部30の抜け止めを行う延長部は、挿入部30の形成対象である一方のケースの本体部分となる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、貫通孔を有する文字板からなる前記被取付部材と、前記貫通孔に対応する箇所に挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材上に取り付けられ前記被取付部材の前方で回動する指針を回動規制するストッパからなる合成樹脂部材とを備え、前記挿入部が互いに間隔を空けて被取付部材側に伸長し前記貫通孔への挿入時には弾性変形によって前記間隔が幅狭となる少なくとも一対の突出片からなり、前記突出片のうち少なくとも一方の先端側に、前記各突出片の対向側に延び前記各突出片どうしの変形量を規制する規制部を設けたことにより、組み付けが容易で、損傷を抑制することが可能なストッパの取付装置を備えた指針式指示計器を提供することができる。
【0029】
また本発明は、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることにより、合成樹脂部材の確実な固定を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明が適用される指針式指示計器の主要部断面を示す斜視図。
【図2】
(a)は図1のストッパの組み付け時の状態を示す断面図、(b)はその組み付け後の状態を示す断面図。
【図3】
本発明の第2実施例を示す斜視図。
【図4】
本発明の第3実施例を示す要部断面図。
【図5】
本発明の参考例を示す要部斜視図。
【図6】
従来例を示す要部断面図。
【図7】
他の従来例を示す断面図。
【符号の説明】
1 指針
2 文字板(被取付部材)
2a ケース
3 ストッパ(合成樹脂部材)
22 貫通孔
30 挿入部
31 当接部
32,32a,32b 突出片
33 規制部
34 延長部(突出部)
 
訂正の要旨 (a)特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(b)訂正前の特許請求の範囲の請求項3
「前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備えることを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の合成樹脂部材の取付装置。」
を、
「前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂部材の取付装置。」
と訂正し、新しい請求項2とする。
(c)特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(d)特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(e)段落【0009】を削除する。
(f)段落【0010】の
「また、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備えることを特徴とする。」
を、
「また、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることを特徴とする。」
と訂正する。
(g)段落【0011】を削除する。
(h)段落【0012】を削除する。
(i)段落【0030】の
「なお、前記各実施例では本発明を指針式指示計器におけるストッパの取付構造に適用したが、本発明は合成樹脂部材を被取付部材に取り付けるものであれば、指針式指示計器におけるストッパの取付構造以外にも幅広く適用が可能であり、例えば、本発明の第4実施例として図5に示すように、合成樹脂ケースの接合構造において図示省略した一方のケース(合成樹脂部材)に規制部33を有する突出片32からなる挿入部30を形成し、また相手側となる他方のケース(被取付部材)2aに貫通孔22を形成し、一方のケースの挿入部30を他方のケース2aの貫通孔22に挿入して両ケースを接合するものに適用しても、前記第1〜第3実施例と同等の効果を得ることができる。なおこの際、挿入部30の抜け止めを行う延長部は、挿入部30の形成対象である一方のケースの本体部分となる。」
を、
「なお、前記各実施例では本発明を指針式指示計器におけるストッパの取付構造に適用したが、例えば、本発明の参考例として図5に示すように、合成樹脂ケースの接合構造において図示省略した一方のケース(合成樹脂部材)に規制部33を有する突出片32からなる挿入部30を形成し、また相手側となる他方のケース(被取付部材)2aに貫通孔22を形成し、一方のケースの挿入部30を他方のケース2aの貫通孔22に挿入して両ケースを接合するものに適用することも考えられる。なおこの際、挿入部30の抜け止めを行う延長部は、挿入部30の形成対象である一方のケースの本体部分となる。」
と訂正する。
(j)段落【0032】の
「また本発明は、貫通孔を有する被取付部材と、前記貫通孔に対応する箇所に挿入部を有しこの挿入部を前記貫通孔に挿入することにより前記被取付部材に取り付けられる合成樹脂部材とを備え、前記挿入部が互いに間隔を空けて被取付部材側に伸長し前記貫通孔への挿入時には弾性変形によって前記間隔が幅狭となる少なくとも一対の突出片からなり、前記突出片のうち少なくとも一方の先端側に、前記各突出片の対向側に延び前記各突出片どうしの変形量を規制する規制部を設けたことにより、組み付けが容易で、損傷を抑制することができる合成樹脂部材の取付装置を提供することができる。」
を、
「また本発明は、前記合成樹脂部材には前記被取付部材を挟んで前記挿入部とは反対側に位置し前記被取付部材に沿って延びる延長部を備え、前記延長部と前記挿入部との間であって前記貫通孔に対応する箇所に前記延長部及び前記挿入部よりも径小となるくびれ部が形成されることにより、合成樹脂部材の確実な固定を実現できる。」
と訂正する。
(k)段落【0033】を削除する。
(l)段落【0034】を削除する。
(m)上記訂正事項(e)(g)(h)(k)(l)による段落の削除に伴い、段落番号の番号を順次繰り上げる。
異議決定日 2001-02-05 
出願番号 特願平11-49256
審決分類 P 1 652・ 113- YA (G01D)
P 1 652・ 121- YA (G01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 杉野 裕幸
山田 正文
登録日 1999-11-26 
登録番号 特許第3006614号(P3006614)
権利者 日本精機株式会社
発明の名称 合成樹脂部材の取付装置  
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