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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H02M |
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管理番号 | 1043187 |
異議申立番号 | 異議2000-72831 |
総通号数 | 21 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-03-12 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-07-21 |
確定日 | 2001-02-14 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3002628号「スイッチング電源」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3002628号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
(A)手続の経緯 本件第3002628号特許は、平成6年8月26日に出願され、平成11年11月12日に登録がなされた。その後、大津正裕より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年12月12日に訂正請求がなされた。 (B)訂正請求の適否 訂正請求の概要は 訂正事項aとして、原明細書の請求項1に係る発明 「直流電源と、この直流電源に接続した出力トランスと、この出力トランスの1次巻線に接続した半導体スイッチング素子と、前記出力トランスの駆動巻線を含み、前記半導体スイッチング素子をオン、オフ駆動するスイッチング素子駆動回路と、オン動作により前記半導体スイッチング素子をオフ制御する制御用トランジスタと、この制御用トランジスタのベースと前記駆動巻線の正電圧出力端子との間に接続し、前記出力トランスの2次巻線に接続した2次側回路に過電流が流れたとき導通すろ過電流保護主回路と、この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する過電流保護補助回路と、前記制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路とを設けたことを特徴とするスイッチング電源。」を 「直流電源と、この直流電源に接続した出力トランスと、この出力トランスの1次巻線に接続した半導体スイッチング素子と、前記出力トランスの駆動巻線を含み、前記半導体スイッチング素子をオン、オフ駆動するスイッチング素子駆動回路と、オン動作により前記半導体スイッチング素子をオフ制御する制御用トランジスタと、この制御用トランジスタのベースと前記駆動巻線の正電圧出力端子との間に接続し、前記出力トランスの2次巻線に接続した2次側回路に過電流が流れたとき導通すろ過電流保護主回路と、この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路と、前記制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路とを設けたことを特徴とするスイッチング電源。」 と訂正し、訂正事項b乃至dで、誤記の訂正をするものである。 上記訂正事項aは、本件請求項1に係る発明の過電流保護補助回路が「抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる」とするものであり特許請求の範囲の減縮であり、また、訂正事項b乃至dは誤記の訂正であるから、本件訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 (C)取消理由及び異議申立 (C-1)引用刊行物 異議申立の甲第1号証として提出され、当審が取消理由通知において引用した、実用電源回路設計ハンドブック(戸川治郎著 1988年5月20日発行(1994年7月10日 第11版)(CQ出版株式会社))140頁〜147頁(以下「引用刊行物」と言う)には、図3-57に示されるスイッチング電源の回路として、 AC入力と全波整流ダイオードブリッジからなる直流電源と、1次巻線(NP)と駆動巻線(NB)と出力用の2次巻線(N5)とを備えたトランス(トランスEI40)とを有し、 トランス(トランスEI40)の1次巻線(NP)にはスイッチング素子(上側トランジスタ)が接続され、 出力トランスの駆動巻線(NB)にはスイッチング素子(上側トランジスタ)をオンオフ駆動するスイッチング素子駆動回路(ダイオード(EU2)とコンデンサ(0.047μ)と抵抗(5.6Ω)とからなる回路)が接続されており、 制御用トランジスタ(下側トランジスタ)はオン動作により前記半導体スイッチング素子(上側トランジスタ)をオフ制御し、 ダイオード(1S953)と抵抗(220Ω抵抗)とフォトカブラ(TLP521-1)とからなる過電流保護主回路を設けられ、 過電流保護主回路にはツェナーダイオード(RD3.0EB)と抵抗(470Ω抵抗)からなる過電流保護補助回路が設けられており、 制御用トランジスタ(下側トランジスタ)のベース・エミッタ間にはコンデンサ(0.1μ)と抵抗(RSHO)の直列回路が設けられた、電源回路が示されている。 上記記載から引用刊行物には 「直流電源と、この直流電源に接続した出力トランス(トランスEI40)と、この出力トランスの1次巻線(NP)に接続した半導体スイッチング素子(上側トランジスタ)と、前記出力トランスの駆動巻線(NB)を含み、前記半導体スイッチング素子をオン、オフ駆動するスイッチング素子駆動回路(ダイオード(EU2)とコンデンサ(0.047μ)と抵抗(5.6Ω)とからなる回路)と、オン動作により前記半導体スイッチング素子をオフ制御する制御用トランジスタ(下側トランジスタ)と、この制御用トランジスタのベースと前記駆動巻線の正電圧出力端子との間に接続し、前記出力トランスの2次巻線(N5)に接続した2次側回路に過電流が流れたとき導通すろ過電流保護主回路(ダイオード(1S963)と抵抗(220Ω抵抗)とフォトカブラ(TLP521-1)とからなる回路)と、この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗(470Ω抵抗)とツェナダイオード(RD3.0EB)の直列回路からなる過電流保護補助回路と、前記制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサ(0.1μ)と抵抗(RSHO)の直列回路とを設けたことを特徴とするスイッチング電源。」 が記載されていることになり、これは本件訂正された請求項1記載の発明と同一である。 なお、特許権者は平成12年12月12日付け特許異議意見書で、 「刊行物1に記載の発明は、本件特許の「この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路」に相当する回路に「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」が並列に接続されており、本件特許の「前記制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路」に相当する回路において、1kの抵抗が0.1μのコンデンサに並列に接続されている回路が必須の構成となっている。 刊行物1に記載の発明において、「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」を設けた理由は、刊行物1第143頁に記載されているように、入力電圧が上昇したときに「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」を介して電流を過電流検出用トランジスタTr2のベースに流すことにより、過電流検出用トランジスタTr2をオンし易くするためである。 さらに、刊行物1の発明においては、0.1μのコンデンサの放電ルート及び充電ルートを確保するために1kの抵抗を0.1μのコンデンサに並列に接続している。 このように、「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」を設けることや、「1kの抵抗」を接続することは単なる設計事項ではなく、刊行物1の必須の構成である。」とし、「本件特許においては、この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導適する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路」には刊行物1記載のような「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」を並列に接続していない。 さらに、本件特許のコンデンサ27に刊行物1記載のような1kの抵抗は並列に接続されていない」と主張している。 しかし本件請求項1の記載では、過電流保護補助回路を「この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路」とし、制御用トランジスタのベース・エミッタ間の直列回路を「制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路」と規定するのみで、これら記載以外「過電流保護補助回路」及び「ベース・エミッタ間の直列回路」の構成を特定する記載は存在しない。特許権者の「本件特許においては、「この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導適する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路」には刊行物1記載のような「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」を並列に接続していない。さらに、本件特許のコンデンサ27に刊行物1記載のような1kの抵抗は並列に接続されていない。」との主張は本件請求項1の記載に基づかないものでのものである。 また、引用刊行物1記載のものにおいては、「過電流保護主回路に並列に接続し、出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路に相当する回路に接続された「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」」及び「御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路の「0.1μのコンデンサに接続された1kの抵抗」」は必須の構成であるとの主張に関して、「1.5kの抵抗と0.1μのコンデンサの直列回路」は「過電流検出用トランジスタTr2をオンし易くするため」のものであり、「0.1μのコンデンサに接続された1kの抵抗」は「0.1μのコンデンサの放電ルート及び充電ルートを確保するため」のものである。即ち、これら回路は保護動作の応答特性の向上を目的としたものである。これら回路は保護動作に必要とする応答特性に応じて適宜取捨すれば良いものであり、必須の構成でないことは明かである。 (C)結び 以上の通り、本件請求項1に係る発明は、引用刊行物に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 スイッチング電源 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 直流電源と、この直流電源に接続した出力トランスと、この出力トランスの1次巻線に接続した半導体スイッチング素子と、前記出力トランスの駆動巻線を含み、前記半導体スイッチング素子をオン、オフ駆動するスイッチング素子駆動回路と、オン動作により前記半導体スイッチング素子をオフ制御する制御用トランジスタと、この制御用トランジスタのベースと前記駆動巻線の正電圧出力端子との間に接続し、前記出力トランスの2次巻線に接続した2次側回路に過電流が流れたとき導通する過電流保護主回路と、この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路と、前記制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路とを設けたことを特徴とするスイッチング電源。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、直流電源を必要とする電子機器のスイッチング電源に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種のスイッチング電源としては、図3に示すようなRCC(リンギング・チョークコイル・コンバータ)方式の周波数変動型のものが知られている。このスイッチング電源は、交流電源1にスイッチ2及びノイズフィルタ回路3を介して全波整流ダイオードブリッジ4、平滑コンデンサ5を接続してなる直流電源13の平滑コンデンサ5に高周波発振回路6を接続し、その高周波発振回路6の出力端子にダイオード7、平滑コンデンサ8、安定化回路9からなる整流定電圧回路10を接続し、この整流定電圧回路10の出力端にコンデンサ11を介して電子機器等の負荷12を接続して構成される。 【0003】 前記高周波発振回路6は、出力トランス17、この出力トランス17の1次巻線17pに直列に接続した半導体スイッチング素子としてのNPNトランジスタ18、この駆動巻線17bの正電圧出力端子とトランジスタ18のベースとの間に接続して上記トランジスタ18のオン・オフ制御を行うスイッチング素子駆動回路としてのトランジスタ駆動回路19を備える。 【0004】 また、高周波発振回路6は、出力トランス17の駆動巻線17bに接続した制御用NPNトランジスタ21、前記負荷12に過電流が流れたとき駆動巻線17bの正電圧出力端子と上記制御用NPNトランジスタ21のベースとの間に接続した過電流保護主回路22を備えている。 【0005】 この過電流保護主回路22は、具体的には図示極性に接続したダイオード23、抵抗24、及びフォトカプラ25の受光素子とを直列に接続して構成される。このフォトカプラ25の受光素子は、フォトカプラ25の発光素子の2次側の出力情報に基づくオン・オフ制御に応じて駆動するようになっている。 【0006】 さらに、高周波発振回路6は、この過電流保護主回路22に並列に接続した過電流保護補助回路26、前記制御用NPNトランジスタ21のベース・エミッタ間に接続したコンデンサ27を備える。 【0007】 この過電流保護補助回路26は、上記過電流保護主回路22が2次側の出力情報をフォトカプラ25を介して伝達するため、この過電流保護主回路22だけでは電流が足りず、制御用NPNトランジスタ21をオンできない可能性があり、これを補う目的で設けられたものである。具体的には、過電流保護補助回路26は、抵抗28と図示極性で接続したツェナダイオード29とを直列に接続して構成される。 【0008】 上記トランジスタ駆動回路19は、具体的には出力トランス17の駆動巻線17bと、この駆動巻線17bの正電圧出力端子にコンデンサ31を並列に介して図示極性で接続したダイオード32と、一対の抵抗33,34とを直列に接続して構成される。図示極性で接続したダイオード32と、一対の抵抗33,34とを直列に接続して構成される。図示極性で接続したダイオード32と、一対の抵抗33,34とを直列に接続して構成される。 【0009】 このようなスイッチング電源では、スイッチ2がオンされると、高周波発振回路6に全波整流ダイオードブリッジ4からの電圧が印加され、高周波発振回路6からの出力は整流定電圧回路10で整流され、安定化されて負荷12に印加する。 【0010】 上記過電流保護主回路22は、出力トランス17の2次側に接続した負荷12に過電流が流れたとき、外部からの制御信号に基づいて駆動巻線17bの正電圧出力端子と制御用NPNトランジスタ21のベースとの間を導通するようになっている。 【0011】 これに対し、過電流保護補助回路26は、出力トランス17の端子電圧が所定レベル以上になったとき、外部からの制御信号に基づいて駆動巻線17bの正電圧出力端子と制御用NPNトランジスタ21のベースとの間を導通するようになっている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、このようなスイッチング電源においては、RCC方式を採るので、出力負荷電流が大きいときは、高周波発振回路6からの発振周波数が減少し、制御NPNトランジスタ21のベース・エミッタ間に印加する電圧も図4(a)に示すように(定格負荷時)比較的大きな電圧となるが、出力負荷電流が小さいときは発振周波数が増加し、制御用NPNトランジスタ21のベース・エミッタ間に印加する電圧も同図4(b)に示すように比較的小さな電圧となるという性質がある。 【0013】 このため、過電流保護補助回路26を設けても、出力負荷電流が小さくなればなるほど、発振周波数が増加し、制御用NPNトランジスタ21の応答速度の限界を越えるようになってしまうことがある。このような場合には、図4(b)に示すようにコンデンサ27の時定数によりそのベース・エミッタ間に印加する電圧が制御用NPNトランジスタ21の駆動電圧、例えば0.6Vに上昇するまでに0.4Vで下降してしまい、これでは制御用NPNトランジスタ21がオンしなくなり、過電流保護補助回路26も正常に働かない場合が生じるという問題があった。 【0014】 また、RCC方式は一般に電力伝達であるため、定格負荷であっても、入力電圧が大きいほど高周波発振回路6からの発振周波数が増加するようになる。このため、電圧の大きさによって、負荷12に流れるピーク電流に差が生じてしまう。具体的には例えば図5に示すように、入力電圧が大きい場合の実線で示す特性グラフx1のピーク電流入力と、入力電圧が小さい場合の点線で示す特性グラフx2のピーク電流との差Aが生じるようになる。これにより、入力電圧の大きさによって過電流の検出点のずれが大きくなってしまうという問題があった。 【0015】 そこで本発明は、軽負荷であっても過電流保護補助回路も正常に働かせることができ、かつ入力電圧が変動による過電流検出点のずれを減少することができるスイッチング電源を提供しようとするものである。 【0016】 【課題を解決するための手段】 本発明は、直流電源と、この直流電源に接続した出力トランスと、この出力トランスの1次巻線に接続した半導体スイッチング素子と、出力トランスの駆動巻線を含み、半導体スイッチング素子をオン、オフ駆動するスイッチング素子駆動回路と、オン動作により半導体スイッチング素子をオフ制御する制御用トランジスタと、この制御用トランジスタのベースと駆動巻線の正電圧出力端子との間に接続し、出力トランスの2次巻線に接続した2次側回路に過電流が流れたとき導通する過電流保護主回路と、この過電流保護主回路に並列に接続し、出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路と、制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路とを設けたものである。 【0017】 【作用】 このような構成の本発明においては、スイッチ2がオンされると、高周波発振回路6に全波整流ダイオードブリッジ4からの電圧が印加され、高周波発振回路6からの出力は整流定電圧回路10で整流され、安定化されて負荷12に印加する。 【0018】 この場合、出力負荷が小さいときでも、負荷に過電流が流れた場合に抵抗31に印加する電圧の分だけ、制御用トランジスタのベース・エミッタ間電圧のピークが大きくなり、この制御用トランジスタの駆動電圧を越えるようになり、制御用トランジスタはオンする。すると、半導体スイッチング素子のオン・オフ駆動が停止する。 【0019】 また、出力負荷が小さいときでも、負荷に過電流が流れた場合に抵抗31に印加する電圧の分だけ多く、コンデンサに蓄電されるため、負荷に流れるピーク電流が出力負荷が大きい場合とほとんど変わらないものとなる。 【0020】 【実施例】 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。 【0021】 図1は、本実施例の構成を示す回路図で、図3に示す制御用NPNトランジスタ21のベース・エミッタ間にコンデンサ27と抵抗31の直列回路を接続した点を除いた基本的な回路構成は同図に示す回路と同様である。 【0022】 このような構成の本実施例においては、スイッチ2がオンされると、高周波発振回路6に全波整流ダイオードブリッジ4からの電圧が印加され、高周波発振回路6からの出力は整流定電圧回路10で整流され、安定化されて負荷12に印加する。 【0023】 上記過電流保護補助回路26は、出力トランス17の2次側に接続した負荷12に過電流が流れたとき、これに応じて動作するフォトカプラ25の発光素子に基づいて受光素子がオンし、駆動巻線17bの正電圧出力端子と制御用NPNトランジスタ21のベースとの間とを導通する。 【0024】 このとき、例えばフォトカプラ25の受光素子に流れる電流が小さい場合には、制御用NPNトランジスタ21をオンすることはできないが、この過電流保護主回路22の両端電圧が所定電圧以上になれば、制御用NPNトランジスタ21のベースとの間とを導通し、制御用NPNトランジスタ21をオンしてトランジスタ18のオン・オフ動作を停止することができる。 【0025】 これにより、負荷12に流れる電流も減少する。また、ある程度減少すると、制御用NPNトランジスタ21はオフし、トランジスタ18のオン・オフ動作が開始する。こうして負荷12に流れる電流は調整され、安定した電力供給が可能となる。 【0026】 この場合、出力負荷電流が小さくて高周波発振回路6からの発振周波数が多くても、抵抗31間の電圧の分だけ制御用NPNトランジスタ21のベース・エミッタ間に印加する電圧が増加するため、この制御用NPNトランジスタ21の駆動電圧を確保することができる。 【0027】 これにより、出力負荷電流が小さい場合でも過電流保護補助回路26の動作性能をより向上することができる。具体的には、出力負荷電流が流れた場合に調整可能な範囲の精度を従来の±5%から±1%に向上することができる。 【0028】 一方、この場合に、定格負荷であっても、入力電圧が大きいと高周波発振回路6からの発振周波数が大きいのに対し、入力電圧が小さいと発振周波数が小さいため、制御用NPNトランジスタ21に流れる電流も少なくなるが、抵抗31にかかる電圧の分だけ電力源としてコンデンサ27に電力供給されるため、入力電圧が小さい場合でも、図2に示すように、入力電圧が小さい場合の実線で示す特性グラフy1のピーク電流入力は、入力電圧が大きい場合の点線で示す特性グラフy2のピーク電流とほとんど変わらないものとなる。 【0029】 このように、入力電圧の大きさに起因する出力負荷電流に生じる差を極力小さくすることができるため、入力電圧の大きさの違いによる過電流の検出点のずれを減少することができ、出力電圧の安定度も向上することができる。 【0030】 なお、本実施例においては、半導体スイッチング素子としてNPNトランジスタ21を使用するものについて述べたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、半導体スイッチング素子としてFET(電界効果トランジスタ)を使用するものであってもよい。 【0031】 【発明の効果】 以上詳述したように本発明によれば、軽負荷であっても過電流保護補助回路も正常に働かせることができ、かつ入力電圧が変動による過電流検出点のずれを減少することができるスイッチング電源を提供できるものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例にかかるスイッチング電源の回路構成図。 【図2】 同実施例における出力電圧と出力電流との関係を示す図。 【図3】 従来のスイッチング電源の回路構成図。 【図4】 図3に示すトランジスタの駆動電圧とベース・エミッタ間電圧との関係を示す図。 【図5】 図3に示すスイッチング電源の出力電圧と出力電流との関係を示す図。 【符号の説明】 13…直流電源 17…出力トランス 17p…1次巻線 17a…2次巻線 17b…駆動巻線 18…トランジスタ 19…トランジスタ駆動回路 21…制御用トランジスタ 22…過電流保護主回路 26…過電流保護補助回路 27…コンデンサ 31…抵抗 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 a.特許請求の範囲の請求項1を 「直流電源と、この直流電源に接続した出力トランスと、この出力トランスの1次巻線に接続した半導体スイッチング素子と、前記出力トランスの駆動巻線を含み、前記半導体スイッチング素子をオン、オフ駆動するスイッチング素子駆動回路と、オン動作により前記半導体スイッチング素子をオフ制御する制御用トランジスタと、この制御用トランジスタのベースと前記駆動巻線の正電圧出力端子との問に接続し、前記出力トランスの2次巻線に接続した2次側回路に過電流が流れたとき導通すろ過電流保護主回路と、この過電流保護主回路に並列に接続し、前記出力トランスの端子電圧が所定レベル以上になったとき導通する抵抗とツェナダイオードの直列回路からなる過電流保護補助回路と、前記制御用トランジスタのベース・エミッタ間に接続したコンデンサと抵抗の直列回路とを設けたことを特徴とするスイッチング電源。」 と訂正する。 b.明細書の段落【0007】を 「この過電流保護補助回路26は、上記過電流保護主回路22が2次側の出力情報をフォトカプラ25を介して伝達するため、この過電流保護主回路22だけでは電流が足りず、制御用NPNトランジスタ21をオンできない可能性があり、これを補う目的で設けられたものである。具体的には、過電流保護補助回路26は、抵抗28と図示極性で接続したツェナダイオード29とを直列に接続して構成される。」 と訂正する。 c.明細書の段落【0010】を 「上記過電流保助回路22は、出力トランス17の2次側に接続した負荷12に過電流が流れたとき、外部からの制御信号に基づいて駆動巻線17bの正電圧出力端子と制御用NPNトランジスタ21のベースとの間を導通するようになっている。」 と訂正する。 d.明細書の段落【0011】を 「これに対し、過電流保護補回路26は、出力トランス17の端子電圧が所定レベル以上になったとき、外部からの制御信号に基づいて駆動巻線17bの正電圧出力端子と制御用NPNトランジスタ21のベースとの間を導通するようになっている。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-12-25 |
出願番号 | 特願平6-202586 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
ZA
(H02M)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 佐々木 一浩 |
特許庁審判長 |
祖父江 栄一 |
特許庁審判官 |
槙原 進 菅澤 洋二 |
登録日 | 1999-11-12 |
登録番号 | 特許第3002628号(P3002628) |
権利者 | 東芝テック株式会社 |
発明の名称 | スイッチング電源 |
代理人 | 坪井 淳 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 田中 敏博 |
代理人 | 坪井 淳 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 松村 貞男 |