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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1043957
審判番号 審判1998-19567  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-06-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-17 
確定日 2001-08-15 
事件の表示 平成 5年特許願第293102号「情報検索装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 6月 6日出願公開、特開平 7-146875]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続きの経緯・本願発明

本願は、平成5年11月24日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成10年9月28日付けの手続補正によって補正された明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。

「画像データファイルを資源として持つデータベースと、原稿上の画像を読み取ってその画像濃度に応じた画像データを出力する画像読取手段と、この画像読取手段が出力する画像データから前記データベースの検索に用いる検索条件と出力様式とを検出する検出手段と、この検出手段が検出した検索条件を満足する画像データファイルを前記データベースから検索する検索手段と、前記検出手段が検出した出力様式に基づいて前記検索手段が検索した画像データファイルに対してそれぞれの特定のページの画像データを縮小する縮小手段と、この縮小手段が縮小した特定のページの画像データを各ページに所定数ずつ配置した抄録画像データを作成する作成手段と、この作成手段が作成した抄録画像データを印刷する印刷手段とを具備することを特徴とする情報検索装置。」

2.引用例

これに対し、原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭62-34278号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

「複数文書をイメージ情報として電子的に記憶装置に格納して必要に応じて検索しこれを表示装置に表示するようにした電子ファイリング装置におけるファイル検索制御方式であって、検索要求に大略合致した複数の候補文書を選択する手段と、この複数の候補文書の各表紙のイメージ情報を夫々選択的に検索する手段と、これ等各表紙のイメージ情報を縮小して表示部に表示する手段とを備え、この表示された縮小表紙中から検索要求に合致した文書をオペレータが指定可能としてなることを特徴とするファイル検索制御方式」(特許請求の範囲)

「第1図は本発明の実施例のブロック図であり、イメージ情報としてファイリングされた文書から検索要求に大略合致した候補文書の各表紙ページであるマルチページ検索を行う際に、検索情報をもとに複数の候補文書に絞り込むための候補文書選択機構1、これ等検索候補文書の表紙を判別するための表紙判別機構2、イメージ情報を大容量記憶装置(図示せず)から読出すためのイメージ読出機構3、読出されたイメージを縮小するためのイメージ縮小機構4、縮小されたイメージを表示装置のどの位置に表示するかを制御するマルチページ表示制御機構5、イメージの表示する表示機構6、各部を制御する制御機構7を有している。
本実施例の電子ファイリング装置における検索制御方式における表紙のマルチページ検索表示の概念を第2図に示す。第2図(A)に示す如く、ファイリングされる文書は複数ページが集まって1文書を形成しており、候補文書A〜Jの各表紙(P.1)が(B)の如く1表示画面へ縮小表示される。
以下、第3図のフローチャートを用いて実施例の動作を説明する。
ファイリングされている各文書には、検索情報と呼ばれるその文書の属性を示す情報(例えば文書名、発行日、キーワード、説明文等)が付与されている。よって大量の文書の中から目的にあった文書を探す際に、キーワード等を使用して複数の候補文書の絞り込みを行うことは容易に可能であり、候補文書の絞り込みが候補文書選択機構1によりなされる(ステップ31)。」(公報第2頁左上欄第20行〜左下欄10行)

「表示部における10件の候補文書表紙A〜Jからオペレータは目的文書の有無を判別して(ステップ38)、目的文書があればこれを指示すると目的文書のみが拡大表示(通常表示)されることになる(ステップ39)。
本実施例では、マルチページ検索を10件として説明したが、必ずしも10件である必要はなく、用途に応じて変更できる柔軟性がある。表示画面の大きさから12件表示でも良いし、また、縮小比を1/4としているが、扱う文書の内容(粗い内容の文書、細かい内容の文書)によっては縮小比を変えることもできるので汎用性がある。」(同3頁左上欄第5〜16行)

したがって、引用例1には、

「複数文書のイメージ情報をファイリングした大容量記憶装置と、検索情報をもとに複数の候補文書の絞り込みを行う候補文書選択機構と、候補文書選択機構が選択した複数の候補文書の表紙のイメージ情報を大容量記憶装置から読出すイメージ読出機構と、イメージ読出機構が読出した表紙のイメージ情報を縮小するイメージ縮小機構と、イメージ縮小機構が縮小した表紙のイメージ情報を表示装置のどの位置に表示するかを制御するマルチページ表示制御機構とを具備する電子ファイリング装置。」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)

が記載されているものと認められる。

また、同じく原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開平5-73624号公報(以下、「引用例2」という。)には、画像情報の頁検索の際の作業効率向上を図るために、所望の頁に検索印が付された検索媒体を読取る読取手段と、前記読取手段により読み取った頁の検索印の情報を基に、画像記録手段に記憶した対応する画像情報の検索印に相当する頁の画像情報を抽出する画像抽出手段と、この画像抽出手段により抽出した検索印に相当する頁の画像情報を可視的に出力する画像出力手段とを有することを特徴とする画像情報処理装置が記載されている。

さらに、同じく原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭62-266671号公報(以下、「引用例3」という。)には、記録媒体に記憶した多数の画像を検索して表示することができる画像ファイル装置において、検索結果の画像を表示する際の一画面の分割数を指定する情報を入力する手段と、設定された分割数に応じて画像を縮小する手段とを備え、複数枚の検索結果の画像を一画面内に並べて表示する画像ファイル装置が記載されている。


3.本願発明と引用例1に記載された発明との対比

本願発明と引用例1に記載された発明とを対比する。

(イ)引用例1に記載された発明の「イメージ情報」は2値データであり、「文書のイメージ情報」は大容量記憶装置にファイリングされるものであるから、引用例1に記載された発明の「イメージ情報」、「文書のイメージ情報」は、その内容からみて本願発明のそれぞれ「画像データ」、「画像データファイル」に相当し、

(ロ)引用例1に記載された発明の「大容量記憶装置」は、複数文書のイメージ情報をファイリングするものであるから、引用例1に記載された発明の「大容量記憶装置」は、その機能からみて本願発明の「データベース」に相当し、

(ハ)引用例1に記載された発明の「検索情報」は、文書の選択に用いられる文書の属性を示す情報(例えば文書名、発行日、キーワード、説明文等)であって、「候補文書選択機構」が有する選択機能は、検索情報をもとに大容量記憶装置にファイリングされた文書のイメージ情報を検索する機能であり、「イメージ読出機構」が選択した文書のイメージ情報を読出す機能を有するものであるから、引用例1に記載された発明の「検索情報」と「候補文書選択機能及びイメージ読出機構」は、検索情報を満足する画像データファイルをデータベースから検索する点で、本願発明のそれぞれ「検索条件」と「検索手段」に相当し、

(ニ)引用例1に記載された発明の「イメージ縮小機構」が縮小する文書の表紙のイメージ情報は、文書の特定のページのイメージ情報であるから、引用例1に記載された発明の「イメージ縮小機構」は、検索手段が検索した画像データファイルに対してそれぞれの特定のページの画像データを縮小する点で、本願発明の「縮小手段」に相当し、

(ホ)引用例1に記載された発明の「マルチページ表示制御機構」は、複数文書の表紙の縮小したイメージ情報を表示画面の各画面に配置するかを制御するものであるから、引用例1に記載された発明の「マルチページ表示制御機構」は、縮小手段が縮小した特定のページの画像データを各ページに所定数ずつ配置する点で、本願発明の「抄録画像データを作成する作成手段」に相当し、

(ヘ)引用例1に記載された発明の「電子ファイリング装置」は、大容量記憶装置に格納したイメージ情報を検索するものであるから、本願発明の「情報検索装置」に相当する。

よって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]

「画像データファイルを資源として持つデータベースと、検索条件を満足する画像データファイルを前記データベースから検索する検索手段と、前記検索手段が検索した画像データファイルに対してそれぞれの特定のページの画像データを縮小する縮小手段と、この縮小手段が縮小した特定のページの画像データを各ページに所定数ずつ配置した抄録画像データを作成する作成手段とを具備することを特徴とする情報検索装置。」である点。

[相違点]

(1)本願発明は、原稿上の画像を読み取ってその画像濃度に応じた画像データを出力する画像読取手段と、この画像読取手段が出力する画像データから前記データベースの検索に用いる検索条件と出力様式とを検出する検出手段を備えていることにより、検索手段が検出手段の検出した検索条件で画像データファイルを検索し、縮小手段が検出手段の検出した出力様式で画像データを縮小する構成を具備しているのに対して、引用例1に記載された発明はそのような構成を有しない点、

(2)本願発明は、作成手段が作成した抄録画像データを印刷する印刷手段とを具備するのに対して、引用例1に記載された発明はそのような構成を有しない点。


4.当審の判断

相違点(1)について

引用例2に記載された発明の「検索媒体」、「検索印」、「読取手段」及び「画像抽出手段」は、媒体上の画像情報から検索条件を入力するためのものであるという点で、本願発明の「原稿」、「原稿上の画像」、「画像読取手段」及び「検出手段と検索手段」に相当し、引用例1に記載された発明においても、媒体上の画像情報から検索条件を入力するための手段を具備することは、当業者が容易に想到可能であったことである。
また、その際に、媒体上の画像情報を用いて情報検索装置にデータ入力を行うことがなされる以上、併せて「検出手段が媒体上の画像情報から出力様式を検出し、縮小手段が検出手段の検出した出力様式で画像データを縮小する」ということも、引用例3に記載されているように「画像ファイル装置において、一画像の分割数を指定する情報を入力する手段からの情報により検索結果の画像を縮小する手段を設ける」ことが公知であるから、当業者が容易になし得たことである。

相違点(2)について

引用例2に記載された発明の「画像出力手段」は、画像情報を可視的に用紙に出力する機能を有するものであるから、引用例1に記載された発明に引用例2に記載された発明を適用して、作成手段が作成した抄録画像データを印刷する印刷手段とを具備するように構成とすることは、当業者が容易に推考できたものと認める。

5.むすび

したがって、本願発明は、引用例1〜3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-06-05 
結審通知日 2001-06-15 
審決日 2001-06-28 
出願番号 特願平5-293102
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 誠  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 鳥居 稔
石川 正二
発明の名称 情報検索装置  
代理人 山内 梅雄  

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