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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1043988
審判番号 不服2000-13179  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-21 
確定日 2001-08-16 
事件の表示 平成 3年特許願第151934号「電動機」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年12月25日出願公開、特開平 4-372545]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年6月24日の出願であって、その発明(以下、本願発明という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「外周にリング状の継鉄部を形成し、この継鉄部の内周側に軸向きに突出する複数の補極と、この複数の補極の間に形成された主極とからなり、この主極を前記継鉄部から軸向きに突設する第1巻線部と、この第1巻線部の内径側にE字状に軸心に向かって突出される3個の極子からなる歯部とから構成した電動機の固定子鉄心において、回転子と相対向する固定子鉄心の内周面以外の外周面の一部、上下面等を樹脂によってプレモールドして固定子鉄心を覆い、固定子鉄心の外周部から径外方向へ突出するようにブッシングを、プレモールドのときに前記プレモールドの樹脂を用いて同時に形成し、前記ブッシングは、リード線を径方向に沿って挿入するブッシング本体とこの本体に回動自在に設けられた蓋体とよりなることを特徴とする電動機。」
2.引用例
当審の拒絶理由通知で引用した特開昭63-110928号公報(以下、引用例1という。)に、「このステータコア10はその中央部にロータ挿入用の円形開口11を有するドーナッツ状を呈し、図面には一部しか示されていないが実際には円形開口11の縁に沿って例えば16個のスロットを穿設してなる16スロット4極のステータコアである。すなわち、このステータコア10には8個の主コイル用第1スロット12と同じく8個の補助コイル用スロット13とが形成されており、この場合、コイル巻回時に組とされる隣接の第1スロット12、12間に2つの第2スロット13、13が配置される構成となっている。ここで、第1スロット12と第2スロット13とを比較すると、第1スロット12はその溝長、すなわちステータコア10の半径方向に沿った長さが第2スロット13の溝長よりも深く形成されている。また、コイル巻回時に組とされる第1スロット12、12の溝底部側にはその相手方スロットに向けてこのステータコア10の円周方向に膨らむような形状の凹溝12a、12aがそれぞれ連設されている。同様にコイル巻回時に組みされる補助コイル用第2スロット13、13は溝底部側にもその相手方スロットに向けて膨らむような凹溝13aが連設されている。」(2頁左上欄20行乃至左下欄1行)と記載されていることが認められ、また、図面には該記載に係る形状・構造のステータコアが図示されており、これらによれば、引用例1には「外周にリング状の継鉄部を形成し、この継鉄部の内周側に軸向きに突出する複数の補極と、この複数の補極の間に形成された主極とからなり、この主極を前記継鉄部から軸向きに突設する第1巻線部と、この第1巻線部の内径側にE字状に軸心に向かって突出される3個の極子からなる歯部とから構成した電動機の固定子鉄心を備えた電動機。」との発明(以下、引用例1発明という。)が開示されていると認めることができる。
同じく、当審の拒絶理由通知で引用した実願昭63-138823号(実開平2-60457号)のマイクロフィルム(以下、引用例2という。)に、「本考案の電動機の固定子は、固定子鉄心の外面及びスロット内面部を樹脂モールドにより絶縁被覆した中の、該被覆樹脂の固定子鉄心外面部側の部位に、断面鉤形及びこれと対向する鉤形をなした一対の保持片を一体形成し、これらの保持片間にリード線を挿入させ保持するようにしたところに特徴を有する。」(3頁9行乃至15行)、「先ず、第1図及び第2図において、11は固定子鉄心で、内周部に沿って例えば16個のスロット12が形成されている。13は被覆樹脂で、これは、固定子鉄心11の外面部即ち両端面部及び外周部と、スロット12内周面部とを樹脂モールドにより被覆絶縁して形成している。14はスロット12内に収納されたコイルである。15は3個のリード線保持部で、これらは第3図及び第4図にも示すように、固定子鉄心11の外面部側の部位の被覆樹脂13に一体に形成された断面鉤形をなす弾性変形可能な一方の保持片16と、この一方の保持片と対向する鉤形をなす同様に弾性変形可能な他方の保持片17とから構成されており、それらの先端部16a、17a間に若干の隙間を有している。18は上述の被覆樹脂13のリード線保持部に対応して一体形成された突起片で、中央部に溝部18aが形成されている。」(4頁6行乃至5頁4行)と記載されていることが認められる。
同じく、当審の拒絶理由通知で引用した特開昭62-64235号公報(以下、引用例3という。)に、「プリント基板8には複数の口出線11が半田付け等により接続されており、この口出線11を保護するために、合成樹脂からなるブッシング14が備えられている。このブッシング14は、一方の端部で折曲げ自在に互いに連結された一対の長方形の保持部材15a、15bからなり、この保持部材15a、15bの互いに対向する面には、口出線11が嵌合する溝16が口出線11の数と同数だけ等間隔に形成されている。そして、一方の保持部材15aの溝16が形成された側の面には、前記連結部材とは反対の端部に突起17が設けられており、また、他方の保持部材15bの溝16が形成された側の面には、その突起17が嵌合する穴18が設けられている。したがって一方の保持部材15aの溝16に口出線11を嵌合させ、他方の保持部材15bを閉じて、一方保持部材15aに設けられた突起17を他方の保持部材15bに設けられた穴18に嵌合させると、このブッシング14により複数の口出線11が一定間隔に保持されることになる。」(2頁右上欄16行乃至左下欄16行)と記載され、図面第1図、第3図にはブッシングが固定子鉄心から径外方向へ突出し、口出線を径方向に沿って挿入するように形成されていることが図示されていると認められる。
3.対比・判断
本願発明と引用例1発明とを対比すると、両者は「外周にリング状の継鉄部を形成し、この継鉄部の内周側に軸向きに突出する複数の補極と、この複数の補極の間に形成された主極とからなり、この主極を前記継鉄部から軸向きに突設する第1巻線部と、この第1巻線部の内径側にE字状に軸心に向かって突出される3個の極子からなる歯部とから構成した電動機の固定子鉄心を備えた電動機」の点で一致し、
(1)本願発明が、固定子鉄心の内周面以外の外周面の一部、上下面等を樹脂によってプレモールドしているのに対し、引用例1発明は係る構成について記載するところがない点、
(2)本願発明が、固定子鉄心の外周部から径外方向へ突出するようにブッシングを、プレモールドのときに前記プレモールドの樹脂を用いて同時に形成し、前記ブッシングは、リード線を径方向に沿って挿入するブッシング本体とこの本体に回動自在に設けられた蓋体を備えているのに対し、引用例1発明が係る構成を備えていない点、で相違する。
そこで、前記各相違点について検討する。
A.相違点(1)について
前示引用例2にも記載されているように、固定子鉄心を樹脂でモールドすることは周知技術であり、そして、樹脂でモールドする部位はモールドされるそれぞれの固定子鉄心に応じて樹脂モールドを施す技術的意味を実現する限度内において当業者が適宜選択できる事項といえるから、そうすると、本願発明の相違点(1)に係る構成は当業者が容易に想到できたものというべきである。
B.相違点(2)について
引用例2には前示のとおり、リード線を保持する保持部を固定子鉄心をモールドする樹脂と一体形成する技術が示されており、この保持部はリード線を保持するとの観点では本願発明のブッシングと同じということができる。
もっとも、引用例2の保持部は本願発明のブッシングと構成を異にするが、しかし、前示引用例3には合成樹脂で形成され、固定子鉄心の径外方向に突出し、口出線を径方向をに沿って挿入し、かつ回動自在な蓋体(引用例3には蓋体との用語は使用されていないが、保持部材15a、15bのいずれか一方が蓋体の機能を有することは明らかである。)を備えた口出線を保持するブッシングが開示されており、そして、この引用例3のブッシングを固定子鉄心をモールドする樹脂と一体に形成できないとする技術的理由が存在するものともいえず、そうすると、引用例2及び引用例3に接した当業者であれば本願発明の相違点(2)に係る構成は容易に想到できたものというべきである。
そして、本願発明が奏する「上記により、本発明の電動機であると、プレモールドと一体にブッシングを形成しているため、従来のようにプレモールドを別の工程で製造し、これを固定子鉄心に固定するという製造工程が不要となる。そのため、作業能力が上がり、コストの低減になる。」(段落【0033】)との作用効果も引用例1乃至引用例3から当業者が予測できる範囲のものである。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1乃至引用例3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-05-30 
結審通知日 2001-06-05 
審決日 2001-06-29 
出願番号 特願平3-151934
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 恭司  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 紀本 孝
菅澤 洋二
発明の名称 電動機  
代理人 中村 哲士  
代理人 蔦田 正人  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 富田 克幸  
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