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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  B60K
管理番号 1044467
異議申立番号 異議2000-71191  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-09-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-24 
確定日 2001-01-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2953802号「耕うん機の動力伝達装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2953802号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許第2953802号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、平成3年2月20日に特許出願され、平成11年7月16日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、異議申立人・ヤンマー農機株式会社により特許異議の申立てがされ、取消理由の通知がされ、その指定期間内である平成12年10月13日に訂正請求がされたものである。

II.訂正の適否について
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
特許の願書に添付した明細書又は図面(以下、「特許明細書」という。)における特許請求の範囲の請求項1乃至5を、以下のとおりに訂正する。
【請求項1】ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする耕うん機の動力伝達装置。
【請求項2】ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする耕うん機の動力伝達装置。

(2)訂正事項b
特許明細書の段落【0005】の「【0005】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、………大きく形成したことを特徴とする。」とある記載を、「【0005】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、請求項1に依れば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする。」と訂正する。

(3)訂正事項c
特許明細書の段落【0006】の「【0006】又、請求項3に依れば、………大きく形成したことを特徴とする。」とある記載を、「【0006】又、請求項2に依れば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする。」と訂正する。

(4)訂正事項d
特許明細書の段落【0007】の「【0007】【作用】上記請求項1の構成において………走行ができる。」とある記載を、「【0007】【作用】上記請求項1の構成において、大きな作業トルクがかかる作業用変速装置はミッション入力軸11(O1)あるいは連結カラー(部)O9にギア等を介して直に連結し、入力軸を太くし補強している。しかし、あまりトルクがかからない走行用伝達装置と入力軸間を連結したHSTの入力軸はミッション入力軸と一体にせず分割し、HST入力軸に作業用トルクを直にかからない構造としたため、HST入力軸を細くでき、かつそれによってHST本体を小型化できた。又、無段変速装置の入出力軸は共に同方向でミッションケース内にのみ突出しているから外部に油の漏れがなく、運転者は一本の走行レバーの操作で前記無段変速装置を介して適正な走行速度を容易に選定でき、そして、作業状態は従来同様にギアからなる作業用変速装置を介して適正に操作することができる。その際、無段変速装置は機体の幅を狭く設定する場合の均衡を図るバランサとしても作用する。また、請求項2の構成によれば、無段変速装置と走行用伝達装置との連繋を動力断続装置を介して切断することにより、走行側をフリーにし、耕うん機の人力等による自由な走行ができる。」と訂正する。

(5)訂正事項e
特許明細書の段落【0044】の「【0044】【発明の効果】以上述べたように、………耕うん作業を容易にできる。」とある記載を、「【0044】【発明の効果】以上述べたように、本発明の請求項1によれば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたので、動力取出軸を無段変速装置が設けられた側面と同一のミッションケースの側面から突出させたことによりミツンョンケース両側の幅を狭くすることができ、ミッションケースの両側に動力伝達入力軸、無段変速装置および動力取出軸をバランスよく配設することができ、耕うん作業を容易にできる。また、動力伝達入力軸からの従来の動力分配用変速歯車群を排しても動力伝達入力軸を太くして剛性をアップすることにより作業機からのショック時の大きなトルクに耐えるようにすることができ、他方、無段変速装置の入力軸を作業機からのトルクに比べ比較的小さい走行トルクに耐えるように小径にすることができることから、無段変速装置の全体構造を小型にできる。さらに、無段変速装置をHSTとする場合、それの入出力軸がミッションケース側に突出しているため、HSTケースのシール部分が比較的少なく、シール面からのオイル漏れが少なくなる。このように、本発明では、作業機からの大きなトルクに耐える剛性を確保しつつ動力伝達装置の全体構造を小型化することができ、耕うん作業を容易にできる。」と訂正する。

(6)訂正事項f
特許明細書の段落【0045】の「【0045】また、本発明では、………図ることもできる。」とある記載を、「【0045】また、動力伝達入力軸と無段変速用入力軸とをこれら両軸を連結する中間連結軸と同一直線上に配したので、動力取入れ(パワートレイン)が簡素化されると共に、軸の支持構造も簡単となり、そのため、ミッションケース及び軸等の加工も容易化し、軸、軸受け、ギア等の部品点数も削減できて製造コストの低廉化を図ることもできる。また、無段変速装置を採用した場合に加え、無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に走行用伝達装置を、他側方に作業用変速装置を設けたので、走行用変速ギア群を大幅に削減できることで、ミッションケースの幅を狭くでき、狭畝の作物間の管理作業が容易になる。さらに、無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことにより構造を密にすることができる。」と訂正する。

(7)訂正事項g
特許明細書の段落【0046】の「【0046】更に、本発明では、………少なくすることができる。」とある記載を、「【0046】さらに、本発明では、請求項2によれば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたので、動力の入力を断って動力伝達入力軸をフリー状態にして、耕うん機に手動で動かす動作、例えば耕うん整地作業の枕地旋回をするとき、前進方向を手、腕で修正するとき、あるいはホイールの着脱をするとき無段変速装置が特にHSTである場合、油圧回路を開いてオイルをミッションケースに戻るようにしても、残油圧によりHSTの出力軸に少なからずかかっている反力が、前記動力断続装置を断に切換えることにより走行用伝達装置をHSTからをフリーにすることで、作業者の手動での前後への押し引きの負荷を少なくし、その前後移動による枕地旋回やホイールの着脱のメンテナンス等を容易にして作業者の疲れを少なくすることができる。」と訂正する。

(8)訂正事項h
特許明細書の段落【0047】の「【0047】また、無段変速装置を採用した場合に加え、………ことができる。」とある記載を、「【0047】また、無段変速装置を採用した場合に加え、無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に走行用伝達装置を、他側方に作業用変速装置を設けたので、走行用変速ギア群を大幅に削減できることで、ミッションケースの幅を狭くでき、狭畝の作物間の管理作業が容易になる。さらに、無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことにより構造を密にすることができる。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項2、4及び5を削除し、訂正前の請求項1を特定する事項に、訂正前の請求項2、4及び5に記載されている事項を加えて請求項1とし、訂正前の請求項3を特定する事項に訂正前の請求項4及び5に記載されている事項を加えて新たな請求項2とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また、上記訂正事項b乃至hは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議の申立てについて

1.異議申立ての理由の概要
特許異議申立人・ヤンマー農機株式会社は、甲第1乃至7号証の証拠を提示し、本件の請求項1及び2に係る発明は、甲第1乃至4号証に記載された発明及び当業者の有する技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3及び4に係る発明は、甲第1乃至4号証に記載された発明及び甲第5乃至7号証に記載された周知の発明、並びに、当業者の有する技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1乃至4に係る発明についての特許を取り消すべき旨主張している。

2.本件発明
上記「II.」で示したように上記訂正が認められるから、本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される上記「II.1.(1)」のとおりのものである。

3.引用刊行物等に記載された発明
当審が通知した取消しの理由において引用した刊行物1乃至4(異議申立人が証拠として提示した甲第1乃至4号証)及び特許異議申立人が証拠として提示した甲第5乃至7号証には以下の技術的事項及び発明が記載されているものと認める。

(1).刊行物1(甲第1号証);実願平1-45426号(実開平2-135335号)のマイクロフィルム
作業機動力取出機構に関し、「第1図において、ミッションケースN内の構成と作業機動力取出機構について説明すると。ミッションケースNは左右の半割型に構成されており、右側の側壁にHST式変速装置Hを付設し、左側の側壁には油路板17を付設し、該油路板17の上に他の油圧ポンプ11を付設している。HST式変速装置Hの内部にはポンプ軸12を突出した油圧ポンプPと、モーター軸13を突出した油圧モーターMが収納されている。…エンジンよりの回転が油圧ポンプ入力軸1の端部のプーリーに入力され、油圧ポンプ入力軸1の左端部がポンプ軸12に連結し油圧ポンプPを回転する。該油圧ポンプPの吐出する圧油が油圧モーターMに送油され、変速後の回転がモーター軸13に出力される。モーター軸13に油圧モーター出力軸18が連結されており、該油圧モーター出力軸18の上に副変速固定ギア16・19が固設されている。該副変速固定ギア16・19は副変速出力軸20上の副変速遊嵌ギア26・28に常時噛合しており、シフターの摺動により副変速の高低が選択される。該副変速出力軸20の上にギア25が固設され、該ギア25は操向軸21上の出力ギア24に噛合して走行動力を伝達すると同時に、出力ギア24はPTO軸3の上の遊嵌ギア10も噛合している。まず操向軸21から走行動力系統を説明すると。出力ギア24の回転により操向軸21が回転し、該操向軸21上に油圧操向クラッチ機構31L・31Rを介し、左右の操向クラッチギア27L・27Rに動力が伝達されている。」(第6頁第4行〜第8頁第1行)、「またPTO軸3を駆動する別の系統は、油圧ポンプ入力軸1の上の固設ギア6より、他の油圧ポンプ軸2上の固設ギア7を駆動し、次に他の油圧ポンプ軸2の上の小径ギア8がPTO軸3の上の遊嵌ギア9と噛合している。」(第9頁第5〜9行)と記載されている。
また、第1図から、油圧ポンプ入力軸1とポンプ軸12がスリーブ(符号なし)を介して連結されていることが看て取れる。
これらの記載事項並びに明細書及び図面の全記載からみて、引用例1には以下の発明が記載されているものと認める。
「ミッションケースN(ミッションケース)の左側の側壁(一方の側面)の外側から内側に突出して設けられた油圧ポンプ入力軸1(動力伝達入力軸)により駆動される走行動力系統(走行用伝達装置)とPTO軸3を駆動する別の系統(作業用変速装置)とを有する作業機動力取出機構(動力伝達装置)において、前記油圧ポンプ入力軸1(動力伝達入力軸)と前記走行動力系統(走行用伝達装置)との間に介在するHST式変速装置H(無段変速装置)を前記ミッションケースN(ミッションケース)の右側の側壁(他方の側面)に設けると共に、該HST変速装置H(無段変速装置)のポンプ軸12(入力軸)及びモーター軸13(出力軸)のいずれか一側方に前記走行動力系統(走行用伝達装置)を、他側方に前記PTO軸3を駆動する別の系統(作業用変速装置)を配し、前記HST式変速装置H(無段変速装置)のポンプ軸12(入力軸)及びモーター軸13(出力軸)を同方向に前記ミッションケースN(ミッションケース)内に突出させ、前記HST式変速装置H(無段変速装置)の前記ポンプ軸12(入力軸)と前記油圧ポンプ入力軸1(動力伝達入力軸)とをスリーブ(中間連結装置)を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記スリーブ(中間連結装置の連結軸)と前記油圧ポンプ入力軸1(動力伝達入力軸)と前記HST変速装置Hのポンプ軸12(無段変速用入力軸)とを同一直線上に配し、前記PTO軸3を駆動する別の系統(作業用変速装置)のPTO軸3(動力取出軸)を前記ミッションケースN(ミッションケース)の前記左側の側壁から外側に突出させ、前記油圧ポンプ入力軸1(動力伝達入力軸)と前記PTO軸3を駆動する別の系統(作業用変速装置)のPTO軸3(動力取出軸)とを前記HST変速装置H(無段変速装置)を介さずに直接連結させる一方、前記HST変速装置H(無段変速装置)の前記モーター軸13(出力軸)と前記走行動力系統(走行用伝達装置)とを連結させ、前記PTO軸13(動力取出軸)と連結する前記油圧ポンプ入力軸1(動力伝達入力軸)の径を所定の大きさに形成した作業機動力取出機構(動力伝達装置)。」であって、「前記HST変速装置Hのモーター軸13(無段変速装置の出力軸)と操向軸21(走行用出力軸(O5))との間の前記走行動力系統(走行用伝達装置)に副変速遊嵌ギヤ26,28及びシフタ、及び油圧操向クラッチ機構31L,31R(動力断続装置)を設け」たもの。
なお、()括弧内の記載は、刊行物1に記載された発明を特定する事項に対応する本件発明1及び2を特定する事項を、対比の便のため示したものである。

(2).刊行物2(甲第2号証);特開昭64-18726号公報
コンバインにおける動力伝達装置に関し、第1図の記載から、刈取出力プーリ27が結着された副変速軸23をミッション1のHST2の設けられた側の側面から外側に突出させたことが看取できる。

(3).刊行物3(甲第3号証);実願昭62-153247号(実開平1-57965号)のマイクロフィルム
動力伝達装置に関し、第2図の記載から、副変速軸10の端部に結着された出力プーリ14がHST1と同じ側に設けられていることが看取できる。
(4).刊行物4(甲第4号証);実公昭58-28898号公報
油圧伝導装置に関し、第2図の記載から、主軸12の径は油圧伝動装置Aの入力軸2の径より大きいことが看取できる。
(5).甲第5号証;実願昭58-144099号(実願昭60-51127号)のマイクロフィルム
クローラー式走行装置に関し、第1図の記載から、油圧モータ1の出力軸1aとファイナル軸7L,7Rとの間の動力伝達系路に摺動歯車16を設けたことが看取できる。

(6).甲第6号証;特開昭56-160923号公報
移動農機に関し、第1図の記載から、自動変速装置(HST)1の出力軸11と走行装置50の入力軸5との間の動力伝達系路に伝導機構Y及びクラッチギヤ6を設けたことが看取できる。

(7).甲第7号証;特開昭59-93558号公報
コンバインの動力伝導装置に関し、第1図の記載から、油圧式無段変速装置5のモータ軸21と走行駆動軸18,19との間の動力伝達系路に変速ギヤ57を設けたことが看取できる。

4.対比・判断
<本件発明1について>
本件発明1と上記刊行物1に記載された発明を対比すると、刊行物1に記載された発明の「ミッションケースN」は、本件発明1の「ミッションケース」に相当し、以下同様に、「左側の側壁」は「一方の側面」に、「油圧ポンプ入力軸1」は「動力伝達入力軸」に、「走行動力系統」は「走行用伝達装置」に、「PTO軸3を駆動する別の系統」は「作業用変速装置」に、「作業機動力取出機構」は「動力伝達装置」に、「HST式変速装置H」は「無段変速装置」又は「油圧無段変速装置」に、「右側の側壁」は「他方の側面」に、「ポンプ軸12」は「入力軸」に、「モーター軸13」は「出力軸」に、「スリーブ」は「中間連結装置」又は「中間連結装置の連結軸」に、それぞれ相当するものと認める。
また、本件発明1における「耕うん機」は作業機の一種であることは明らかであるから、両者は、「ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する作業機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を所定の大きさに形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とした作業機の動力伝達装置。」の点で一致し、以下の各点で相違するものと認められる。
[相違点イ]
作業機が、本件発明1では、「耕うん機」であるのに対し、刊行物1に記載された発明では、どのような種類のものか不明な点。
[相違点ロ]
作業用変速装置の動力取出軸を、本件発明1では、「ミッションケースの他方の側面から外側に突出させ」たのに対し、刊行物1に記載された発明では、ミッションケースの一方の側面から外側に突出させた点。
[相違点ハ]
動力伝達入力軸と無段変速装置の入力軸の径の大きさの関係について、本件発明1では、「動力伝達入力軸の径を無段変速装置の入力軸の径より大きく形成した」のに対し、刊行物1に記載された発明では、それが不明な点。
[相違点ニ]
本件発明1では、「無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けた」のに対し、刊行物1に記載された発明では、そのように構成されていない点。
そこで、上記相違点イ〜ニについて検討する。
・相違点イについて
耕うん機の動力伝達装置において、無段変速装置を用いることは周知であって、刊行物1に記載された発明における作業機の動力伝達装置も無段変速装置を備えるものであること、及び刊行物1に記載された発明における作業機の動力伝達装置を耕うん機の動力伝達装置に適用できない特段の理由も見当たらないことから、刊行物1に記載された発明における動力伝達装置を耕うん機の動力伝達装置に適用することは、単なる用途限定にすぎない。
・相違点ロについて
作業用変速装置の動力取出軸を、ミッションケースの他方の側面から外側に突出させることは、例えば上記刊行物2または3に記載されているように周知技術と認められるから、上記相違点ロに係る本件発明1の構成は、刊行物1に記載された発明に、周知技術を適用して、当業者が容易になし得たものと認められる。
・相違点ハについて
動力伝動軸の設計において、その軸径の大きさは、軸にかかるトルクや外力の程度、また、選択された軸素材に応じて、適宜の大きさに設計されるものと認められる。また、刊行物4には、動力伝達入力軸の径が無段変速装置の入力軸の径より大きいことが示唆されている。
してみると、動力伝達入力軸の径を無段変速装置の入力軸の径より大きく形成する程度のことは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎないものと認められる。
・相違点ニについて
上記相違点ニに係る本件発明1の構成は、上記各刊行物及び甲号各証には記載も示唆もされておらず、また、周知技術であるとも認められない。そして、本件発明1は、前記構成を採用することによって、構造を密にすることができるという上記各刊行物及び甲号各証に記載のものから予測できない効果を奏するものと認められるから、上記相違点ニに係る本件発明1の構成は、上記各刊行物及び甲号各証に記載のものから当業者が容易に想到できたものとすることはできない。
したがって、本件発明1は、上記各刊行物及び甲号各証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

<本件発明2について>
本件発明2と刊行物1に記載された発明を対比すると、上記<本件発明1について>において示した両者の相当関係に加えて、刊行物1に記載された発明の「操向軸21」は、本件発明2の「走行用出力軸(O5)」に相当するから、両者は、「ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する作業機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を所定の大きさに形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とした作業機の動力伝達装置。」の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。
[相違点ホ]
作業機が、本件発明2では、「耕うん機」であるのに対し、刊行物1に記載された発明では、どのような種類のものか不明な点。
[相違点ヘ]
作業用変速装置の動力取出軸を、本件発明2では、「ミッションケースの他方の側面から外側に突出させ」たのに対し、刊行物1に記載された発明では、ミッションケースの一方の側面から外側に突出させた点。
[相違点ト]
動力伝達入力軸と無段変速装置の入力軸の径の大きさの関係について、本件発明2では、「動力伝達入力軸の径を無段変速装置の入力軸の径より大きく形成した」のに対し、刊行物1に記載された発明では、それが不明な点。
[相違点チ]
本件発明2では、「無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けた」のに対し、刊行物1に記載された発明では、そのように構成されていない点。
そこで上記相違点ホ〜チについて検討する。
・相違点ホ〜チについて
上記相違点ホ〜チは、上記本件発明1に係る相違点イ〜ニと同じものであって、相違点ニについては前示のとおり格別の相違点と認められることから、同様の理由により、上記相違点ニに係る本件発明2の構成は、上記各刊行物及び甲号各証に記載された発明から、当業者が容易に想到できたものとすることはできない。
したがって、本件発明2は、上記各刊行物及び甲号各証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
耕うん機の動力伝達装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、
前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、
前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、
前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、
前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、
前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、
前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、
前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、
前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする耕うん機の動力伝達装置。
【請求項2】 ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、
前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、
前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、
該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、
前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、
前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、
前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、
前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする耕うん機の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、走行用伝達装置及び作業用変速装置を備えた耕うん機の動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の耕うん機の動力伝達装置では、一般に、特開昭63-82827号公報や実開平2-85064号公報に記載されるように、ミッションケース内に常時かみ合う又は摺動によりかみ合う動力分配用の歯車群を収容し、その歯車群を介して、動力伝達用プーリから入力される動力を走行用変速装置と作業用変速装置とに分配している。また、実開平2-143326号公報や実公昭52-67805号公報に記載されるように、無段変速装置(油圧伝導装置)を備えたものも一部に見られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の一般的な動力伝達装置を備える耕うん機では、走行用及び作業用のそれぞれの変速切換段数が多くて、構造が複雑化し、かつ、変速操作が煩わしく、未熟練者、婦女子などの運転を困難にしている。また、油圧伝導装置を備えるものはかかる欠点はないものの、油もれ、シール性などに問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、このような問題を解決するために創案されたもので、変速部の構造の簡易化、変速操作の簡単容易化、シール性の向上、油もれの防止等を図ることのできる耕うん機の動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、請求項1に依れば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする。
【0006】
又、請求項2に依れば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする。
【0007】
【作用】
上記請求項1の構成において、大きな作業トルクがかかる作業用変速装置はミッション入力軸11(O1)あるいは連結カラー(部)O9にギア等を介して直に連結し、入力軸を太くし補強している。しかし、あまりトルクがかからない走行用伝達装置と入力軸間を連結したHSTの入力軸はミッション入力軸と一体にせず分割し、HST入力軸に作業用トルクを直にかからない構造としたため、HST入力軸を細くでき、かつそれによってHST本体を小型化できた。又、無段変速装置の入出力軸は共に同方向でミッションケース内にのみ突出しているから外部に油の漏れがなく、運転者は一本の走行レバーの操作で前記無段変速装置を介して適正な走行速度を容易に選定でき、そして、作業状態は従来同様にギアからなる作業用変速装置を介して適正に操作することができる。その際、無段変速装置は機体の幅を狭く設定する場合の均衡を図るバランサとしても作用する。また、請求項2の構成によれば、無段変速装置と走行用伝達装置との連繋を動力断続装置を介して切断することにより、走行側をフリーにし、耕うん機の人力等による自由な走行ができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明に係る耕うん機の動力伝達装置の一実施例を示した縦断面図であり、1はトランスミッションケース、2は静油圧無段変速装置(以下、「HST」と略称する)、3は動力伝達用プーリ、4は走行用伝動ケース、5は作業用伝動ケースである。
【0010】
トランスミッションケース1は、左右の分割ケース6,7を突き合せてボルト8で締結して組立てられ、内部に作業用変速装置9と走行用変速装置10(走行用伝達装置ともいう)とが組込まれている。
【0011】
該トランスミッションケース1内には右側の分割ケース6の外方より動力伝達用入力軸11(O1)が嵌入してその一端部12が分割ケース6内に臨み、その動力伝達用入力軸11の前記分割ケース6から外部に突出した他端部に動力伝達用プーリ3が付設されている。この動力伝達用入力軸11(O1)の一端部12は、後述するように、HST2を経由して走行用変速装置10に、HSTを経由せず作業用変速装置9に夫々連結されている。
【0012】
即ち、トランスミッションケース1内に臨む動力伝達用入力軸11(O1)の端部12の周縁にはギアG1が形成され、該ギアG1は作業用変速装置9の作業用カンウター軸O6にスプライン結合されたギアG10と噛合っている。
【0013】
前記作業用カウンター軸O6には、またロータリ等の作業機を正転させる正転用シフタギア(ロータリ正逆転用シフタギア)G11がスプライン嵌合されると共にこれに隣接して作業機を逆転させるスプロケットS2が遊嵌されている。該スプロケットS2と前記シフタギアG11との対向面にはドッグクラッチ13を構成する爪14が夫々形成されている。該シフタギアG11は図示しないシフトフォークにより前記作業用カウンター軸O6上を摺動して作業用動力取出軸O7に遊嵌されたギアG12と噛合うようになっている。
【0014】
この遊嵌されたギアG12の側方にはスプロケットS3が一体に形成されており、該スプロケットS3と前記作業用カウンター軸O6側のスプロケットS2にはチェーンCが掛け廻されている。
【0015】
この動力取出軸O7側のスプロケットS3の側方における該動力取出軸O7部には作業機への動力断続用のクラッチ環(シフタ)15がスプライン嵌合しコイルバネ16を介し前記スプロケットS3側に付勢され、ドッグクラッチ方式により前記スプロケットS3に係合離脱可能となっている。17は該スプロケットS3と前記クラッチ環15との各対向面に夫々形成される爪である。
【0016】
前記動力取出軸O7の一端は左側分割ケース7から外部に突出しその突出端にスプロケットS4が設けられ作業用伝動ケース5内に配されている。
【0017】
他方、前記動力伝達用入力軸11(O1)の端部12には同芯に突出するスプライン軸18が一体に形成され、該スプライン軸18には内面にスプラインを有する筒状の軸(連結カラー)O9が嵌合され、該カラーO9には、さらに、後述するHST2の無段変速用入力軸O8がスプライン嵌合して連結されている。このようにスプライン軸18と筒状の軸O9は動力伝達入力軸11と同一直線上に配された中間連結装置を構成している。
【0018】
HST2は左側の分割ケース7の外側面に装着され、該HST2の入力軸O8及びそれの出力軸O2は共に同方向に平行に延びそれらの端部19,20が前記左側の分割ケース7内すなわちトランスミッションケース1内に臨んでいる。
【0019】
このトランスミッションケース1内に臨む無段変速用出力軸O2の端部20にはギアG2が付設され、該ギアG2は走行用伝達装置10のカウンター軸O3に固定されたギアG3と噛合っている。該カウンター軸O3にはまた、高速用ギアG4及び低速用ギアG5を一体に備えている切換シフタギア21(動力断続装置)が摺動自在にスプライン嵌合し、ミッションケースの近傍に設けた走行用副変速レバー58により高速・中立・低速に切換可能となっている。
【0020】
即ち、該高低速用切換シフタギア21は中間軸O4の左右端部に固定された高速ギアG6及び低速ギアG7に噛合可能となっており、それらいずれかを選択して噛合わせることにより該中間軸O4の中間部に固定された常時噛合ギアG8を介し、走行用出力軸O5に走行用の動力が伝達される。G9は走行用出力軸O5に固定され、常時噛合ギアG8と噛合う常時噛合ギアである。又、前記カウンター軸O3上に設けられた切換シフタギア21の変わりに、ドッグクラッチ用ギアを設け、このギアが高速ギアG6か低速ギアG7のどちらかと常噛状態となるクラッチで動力を断続する場合も考えられる。これは主に一輪管理機に使用される。
【0021】
この走行用出力軸O5の一端部は右の分割ケース6から外部に突出し、その突出端には走行用伝動ケース4内に配されたスプロケットS1が設けられている。
前記切換シフタ21が中立位置に移動したときには、動力伝達入力軸11(O1)は回転したまま、走行用変速装置10は作動を停止し、フリー状態となる。従って、手動で耕うん機を押し引きして前後に移動させることが可能となる。
【0022】
左側分割ケース7の外側面に取付けられるHST2は、該外側面に直接接合された基板22と、該基板22を貫通して前記左側分割ケース7内まで同方向に延びる無段変速用入力軸O8及び無段変速用出力軸O2と、これら各軸O8,O2を中心にして前記基板22の外側に配設された油圧ポンプ23及び油圧モータ24と、これら油圧ポンプ23及び油圧モータ24を収容しかつ前記各軸O8,O2を軸支して前記基板22に一体的に取付けられる一つのケース25とで主に構成され、このケース25と基板22とはボルト等で固定されている(図示せず)いわゆる一体型のものである。
【0023】
具体的には、油圧ポンプ23は、無段変速用入力軸O8に固定されたシリンダブロック26と、該ブロック26の軸芯廻りに円陳状に配置され、外側に開放する複数の軸方向のプランジャ孔27と、該孔27に出没自在に嵌挿されたプランジャ28と、各プランジャ28の出没ストロークを自在に調整する可動斜板29とで構成される。そして各プランジャ孔27のヘッド側は図4に示すように、例えば前進する場合、基板22内等に形成された油回路36の高圧用ポート37a及び低圧用ポート38aに連通可能となっており、また可動斜板29の傾斜角度は図5,図6に示す変速レバー30及び微調整変速ノブ31で無段に調整されるようになっている。又、傾斜の前後切換は走行用前後進切換レバー57で行なう。
【0024】
他方、油圧モータ24は、無段変速用出力軸O2に固定されたシリンダブロック32と、該ブロック32の軸芯廻りに円陳状に配置される上記同様のプランジャ孔33と、同じくプランジャ34と、各プランジャ34の出没ストロークを一定にする固定斜板(モータ回転斜板)35とで構成される。そして、この各プランジャ孔33のヘッド側も上記同様図4に示すように基板22内等に形成された油回路36の高圧用ポート37b及び低圧用ポート38bに連通可能となっている。
【0025】
この油回路36は、図4に示すように、油圧ポンプ23と油圧モータ24とが高圧油路37及び低圧油路38で接続されるが、これら高圧油路37と低圧油路38とは共通のオイルフィルタ39及びトロコイドポンプ40(図3)を備え、かつミッションケース1に連通する油路42(図3)によってオイルタンクを兼ねるミッションケース1に連通し、油を補給されるようになっており、また、リリーフバルブ43を備える油路44によってミッションケース1に余分な油を一定圧以上になると放出するようになっている。可動斜板29が前後に傾斜したときのみこの油回路36にオイルが流れ、中立のときは油回路のオイルの流れが止まる。なお、図2,図3において、45はトロコイドケース、46は吸入側ポート、47は送給側ポート、48はポンプ室プレート、49はポンプ室である。
【0026】
又、油圧モータ24の出力軸O2を逆転させるには、斜板29を反対側にたおすと、油回路36内の流れが逆になり、油路38が高圧側、油路37が低圧側となる。
【0027】
図5,図6は、前述した動力伝達装置を装着した一輪型耕うん機の平面図及び側面図である。
【0028】
図において、50はハンドルで、その左側グリップ51近傍には前記変速レバー30が設けられて前記HST2の油圧ポンプにおける可動斜板29に連繋し、それの大まかな角度調整を行なうようになっており、また、前記左側グリップ51近傍には前記微調整変速ノブ31が設けられて同様に前記可動斜板29に連繋し、それの微細な角度調整をその左側グリップ51を握ったまま親指等の指のみで行なえるようになっている。また、この左側グリップ51にはメインクラッチレバー52が設けられて前記動力伝達装置の入力軸11(O1)への動力の断続を行なうようになっている。具体的には、エンジン60のプーリ65とプーリ3に掛廻されるベルト53に当接自在のテンションローラ54が作用し該ベルト53の緊張度を調整するようになっている。
【0029】
一方、前記ハンドル50の右側グリップ51近傍には前記ロータリ用のクラッチ環15に連繋するクラッチレバー55が設けられ、ロータリ56への動力の断続を行なうようになっている。
【0030】
また、図5,図6において、57は走行用前後進切換レバーで、上記HST2による変速に加えてメカニカルに変速する装置を設けた場合の操作部であり、HST2の変速レバー30と変速ノブ31と間接的に連動し、可動斜板29の正逆の向きを変えるものであり、58は副変速レバーで走行用シフタギア21をカウンター軸O3に対して左右に摺動させ、高、低速に切換えるものである。又、シフタギアの替わりにクラッチ付き固定ギアを用いた場合は、58は副クラッチレバーとする。
【0031】
更に同図において、59はロータリ正逆転切換レバーで、前記動力伝達装置の作業用変速装置9におけるロータリ正逆転用シフタギアG11に連繋してロータリ56を正逆転させるようになっている。
【0032】
なお、図5,図6において、60はエンジン、61はエアクリーナ、62はマフラー、63は車輪、64は抵抗杆である。
【0033】
次に、上述のように構成した一輪型耕うん機の動力伝達装置の作用を説明する。
今、図6に示す一輪型耕うん機を圃場の耕うん整地作業に使用するものとして、エンジン60を始動し、メインクラッチレバー52を握って、メインクラッチ54を接続させると、動力が伝動ベルト53、動力伝達プーリ3を介して動力伝達入力軸11(O1)に伝達され、図1において、該入力軸11(O1)から作業用変速装置9側と走行用伝達装置10側へ分配される。
【0034】
作業用変速装置9では、伝動プーリ3から入力される動力はHSTを経由することなく軸11(O1)→ギアG1→ギアG10→軸O6→ギアG11→ギアG12→シフタ15→軸O7→スプロケットS4を経た正回転系の動力として、また、軸11(O1)→ギアG1→ギアG10→軸O6→スプロケットS2→チェーンC→スプロケットS3→シフタ15→軸O7→スプロケットS4を経た逆回転系の動力として夫々ロータリ56に伝導される。
【0035】
他方、走行用伝達装置10では、伝動プーリ3から入力され軸O1→軸O9→軸O8の順序で伝達される動力がHST2を経由する間に無段に変速され、この変速動力が軸O2→ギアG2→ギアG3→軸O3→ギアG4→ギアG6→軸O4→ギアG8→ギアG9→軸O5→スプロケットS1の順で形成される高速系の変速歯車系路を経て、または、軸O2→ギアG2→ギアG3→軸O3→ギアG5→ギアG7→軸O4→ギアG8→ギアG9→軸O5→スプロケットS1の順で形成される低速系の変速歯車系路を経て正回転または逆回転の動力として夫々走行車輪63に伝導される。
【0036】
その際の正回転または逆回転の動力は、図5,図6に示す走行用前後進切換レバー57を前進側または後進側に傾動させ、かつこれに連動しており、レバーを前方にたおすと高速、後方にいっぱいにたおすと中立(停止)になる変速レバー30に連繋しているポンプ可動斜板29の角度を変速レバー30で大まかに変え、また、変速ノブ31を回動させることにより、前記傾斜角度を微細に変えることによって得られる。
【0037】
具体的には、変速レバー30、変速ノブ31及び走行用前後進切換レバー57の操作により図1に示すようにポンプ可動斜板29は図示しない回動軸を枢軸として前進・中立・後進のために傾斜角度を任意に変え、HSTを作用させる。以下、HSTの作用を詳述する。
【0038】
図1において、ポンプ軸即ち無段変速用入力軸O8が回転すると、これと一体となって油圧ポンプ23のシリンダブロック26も回転し、このシリンダブロック26の複数のプランジャ孔27に嵌挿されている各プランジャ28は往復運動するが、このプランジャ28の往復動のストロークは可動斜板29の傾斜角度によって決定される。例えば、前進の場合その傾斜角度が大きいほどポンプの油流量を増大させ油圧モータ24へ高圧油路37を通して送られる油量が増加し、モータ軸即ち無段変速用出力軸O2の回転数が増大する。その回転に使用されたオイルは低圧油路38を通り油圧モータ24から油圧ポンプ23側へ送られる。
【0039】
その際、このHST2からミッションケース内ヘリークした油はミッションケース1内からオイルフィルタ39、チャージポンプ40を介して油圧ポンプ23に補給され、他方、チャージポンプ40で送った余分な油は一定圧以上になるとリリーフバルブ43を経由してミッションケース1内に戻される。
【0040】
また、油圧ポンプ軸即ち無段変速用入力軸O8も、油圧モータ軸即ち無段変速用出力軸O2もHSTケース25の外側に露出せず、ミッションケース1内にのみ突出しているので、これらを伝わる油も全てミッションケース1内に戻される。
【0041】
油圧モータ24は斜板35が固定になっているため、油圧ポンプ23側から油が導かれると、その油はそこのプランジャ34に作用して固定斜板35を押圧しその斜板面を滑り降り、この滑り降りの動作がそのプランジャ34を収容しているシリンダブロック32を回動させ、したがってこのシリンダブロック32と一体的に嵌合している無段変速用出力軸O2を回転させる。その回転数は油量が増加するほど増大する。
【0042】
従って、この無段変速用出力軸O2に連繋する走行輪63はHST2で無段に変速されて走行することになる。
【0043】
なお、HST2では、油圧ポンプ23と油圧モータ24とは、可動斜板29と固定斜板35とを除き、構造は全く同じであるが、作用は丁度逆になる。従って、前述のように高圧側の圧油によってポンプ側からモータ側に高圧油が流れ、反対に低圧油はモータ側からポンプ側へ戻る。そのため、油圧閉回路では、斜板29を中立にした時HSTはブレーキ作用がある。従って、耕うん機を前後に手動で動かす場合には、走行用変速装置10のカウンター軸O3に設けたシフタギア21を中立にすることにより、又、シフタギア21の替わりにクラッチ付ギアならクラッチを断にすることにより、車輪63をHST2からフリーにすることで、耕うん機を手動で動かすことができる。このフリー状態の耕うん機の手動操作は、メインクラッチ54を切断しプーリ3をフリー状態にして耕うん機を手動で動かす場合に比べHSTにかかる反力が作用しないから、より軽快に行われる。
なお、前述した実施例では左側分割ケース7の外側面にHST2を取付けたが、その左側分割ケース7自体の内部にHST2を組込めるススペースを有する構造に成形することもできる。このように成形された左側分割ケース7内にHST2を組込めば、HST2のシール性は全て解決され、動力伝達装置全体としても、より一層シール性が向上し、オイル漏れ防止に大きく寄与する。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、請求項1によれば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたので、動力取出軸を無段変速装置が設けられた側面と同一のミッションケースの側面から突出させたことによりミッションケース両側の幅を狭くすることができ、ミッションケースの両側に動力伝達入力軸、無段変速装置および動力取出軸をバランスよく配設することができ、耕うん作業を容易にできる。
また、動力伝達入力軸からの従来の動力分配用変速歯車群を排しても動力伝達入力軸を太くして剛性をアップすることにより作業機からのショック時の大きなトルクに耐えるようにすることができ、他方、無段変速装置の入力軸を作業機からのトルクに比べ比較的小さい走行トルクに耐えるように小径にすることができることから、無段変速装置の全体構造を小型にできる。
さらに、無段変速装置をHSTとする場合、それの入出力軸がミッションケース側に突出しているため、HSTケースのシール部分が比較的少なく、シール面からのオイル漏れが少なくなる。
このように、本発明では、作業機からの大きなトルクに耐える剛性を確保しつつ動力伝達装置の全体構造を小型化することができ、耕うん作業を容易にできる。
【0045】
また、動力伝達入力軸と無段変速用入力軸とをこれら両軸を連結する中間連結軸と同一直線上に配したので、動力取入れ(パワートレイン)が簡素化されると共に、軸の支持構造も簡単となり、そのため、ミッションケース及び軸等の加工も容易化し、軸、軸受け、ギア等の部品点数も削減できて製造コストの低廉化を図ることもできる。
また、無段変速装置を採用した場合に加え、無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に走行用伝達装置を、他側方に作業用変速装置を設けたので、走行用変速ギア群を大幅に削減できることで、ミッションケースの幅を狭くでき、狭畝の作物間の管理作業が容易になる。
さらに、無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことにより構造を密にすることができる。」
【0046】
さらに、本発明では、請求項2によれば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたので、動力の入力を断って動力伝達入力軸をフリー状態にして、耕うん機に手動で動かす動作、例えば耕うん整地作業の枕地旋回をするとき、前進方向を手、腕で修正するとき、あるいはホイールの着脱をするとき無段変速装置が特にHSTである場合、油圧回路を開いてオイルをミッションケースに戻るようにしても、残油圧によりHSTの出力軸に少なからずかかっている反力が、前記動力断続装置を断に切換えることにより走行用伝達装置をHSTからをフリーにすることで、作業者の手動での前後への押し引きの負荷を少なくし、その前後移動による枕地旋回やホイールの着脱のメンテナンス等を容易にして作業者の疲れを少なくすることができる。
【0047】
また、無段変速装置を採用した場合に加え、無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に走行用伝達装置を、他側方に作業用変速装置を設けたので、走行用変速ギア群を大幅に削減できることで、ミッションケースの幅を狭くでき、狭畝の作物間の管理作業が容易になる。
さらに、無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことにより構造を密にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る耕うん機の動力伝達装置の要部の縦断面図である。
【図2】
油圧ポンプにおける基板とトロコイドケースとのポート形状の関係を示す平面図である。
【図3】
図2のIII-III線断面図である。
【図4】
同上動力伝達装置の要部であるHSTの概念構成図である。
【図5】
同上動力伝達装置を備える一輪型耕うん機の平面図である。
【図6】
同上一輪型耕うん機の側面図である。
【符号の説明】
1 ミッションケース
2 油圧無段変速装置(HST)
9 作業用変速装置
10 走行用変速装置(走行用伝達装置も含む)
O1(11) 動力伝達入力軸
O2 油圧無段変速用出力軸
O8 油圧無段変速用入力軸
21 シフトギア(動力断続装置)
 
訂正の要旨 (1)訂正事項a
特許の願書に添付した明細書又は図面(以下、「特許明細書」という。)における特許請求の範囲の請求項1乃至5を、特許請求の範囲の減縮を目的として、以下のとおりに訂正する。
【請求項1】ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする耕うん機の動力伝達装置。
【請求項2】ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする耕うん機の動力伝達装置。
(2)訂正事項b
特許明細書の段落【0005】の「【0005】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、………大きく形成したことを特徴とする。」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0005】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、請求項1に依れば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする。」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許明細書の段落【0006】の「【0006】又、請求項3に依れば、………大きく形成したことを特徴とする。」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0006】又、請求項2に依れば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことを特徴とする。」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許明細書の段落【0007】の「【0007】【作用】上記請求項1の構成において………走行ができる。」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0007】【作用】上記請求項1の構成において、大きな作業トルクがかかる作業用変速装置はミッション入力軸11(O1)あるいは連結カラー(部)O9にギア等を介して直に連結し、入力軸を太くし補強している。しかし、あまりトルクがかからない走行用伝達装置と入力軸間を連結したHSTの入力軸はミッション入力軸と一体にせず分割し、HST入力軸に作業用トルクを直にかからない構造としたため、HST入力軸を細くでき、かつそれによってHST本体を小型化できた。又、無段変速装置の入出力軸は共に同方向でミッションケース内にのみ突出しているから外部に油の漏れがなく、運転者は一本の走行レバーの操作で前記無段変速装置を介して適正な走行速度を容易に選定でき、そして、作業状態は従来同様にギアからなる作業用変速装置を介して適正に操作することができる。その際、無段変速装置は機体の幅を狭く設定する場合の均衡を図るバランサとしても作用する。また、請求項2の構成によれば、無段変速装置と走行用伝達装置との連繋を動力断続装置を介して切断することにより、走行側をフリーにし、耕うん機の人力等による自由な走行ができる。」と訂正する。
(5)訂正事項e
特許明細書の段落【0044】の「【0044】【発明の効果】以上述べたように、………耕うん作業を容易にできる。」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0044】【発明の効果】以上述べたように、本発明の請求項1によれば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記無段変速装置の入力軸及び出力軸を同方向に前記ミッションケース内に突出させ、前記無段変速装置の前記入力軸と前記動力伝達入力軸とを中間連結装置を介して連結すると共に、これら両軸を連結する前記中間連結装置の連結軸と前記動力伝達入力軸と前記無段変速装置の入力軸とを同一直線上に配し、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記無段変速装置の前記出力軸と前記走行用伝達装置とを連結させ、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたので、動力取出軸を無段変速装置が設けられた側面と同一のミッションケースの側面から突出させたことによりミツンヨンケース両側の幅を狭くすることができ、ミッションケースの両側に動力伝達入力軸、無段変速装置および動力取出軸をバランスよく配設することができ、耕うん作業を容易にできる。また、動力伝達入力軸からの従来の動力分配用変速歯車群を排しても動力伝達入力軸を太くして剛性をアップすることにより作業機からのショック時の大きなトルクに耐えるようにすることができ、他方、無段変速装置の入力軸を作業機からのトルクに比べ比較的小さい走行トルクに耐えるように小径にすることができることから、無段変速装置の全体構造を小型にできる。さらに、無段変速装置をHSTとする場合、それの入出力軸がミッションケース側に突出しているため、HSTケースのシール部分が比較的少なく、シール面からのオイル漏れが少なくなる。このように、本発明では、作業機からの大きなトルクに耐える剛性を確保しつつ動力伝達装置の全体構造を小型化することができ、耕うん作業を容易にできる。」と訂正する。
(6)訂正事項f
特許明細書の段落【0045】の「【0045】また、本発明では、………図ることもできる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0045】また、動力伝達入力軸と無段変速用入力軸とをこれら両軸を連結する中間連結軸と同一直線上に配したので、動力取入れ(パワートレイン)が簡素化されると共に、軸の支持構造も簡単となり、そのため、ミッションケース及び軸等の加工も容易化し、軸、軸受け、ギア等の部品点数も削減できて製造コストの低廉化を図ることもできる。また、無段変速装置を採用した場合に加え、無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に走行用伝達装置を、他側方に作業用変速装置を設けたので、走行用変速ギア群を大幅に削減できることで、ミッションケースの幅を狭くでき、狭畝の作物間の管理作業が容易になる。さらに、無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことにより構造を密にすることができる。」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許明細書の段落【0046】の「【0046】更に、本発明では、………少なくすることができる。」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0046】さらに、本発明では、請求項2によれば、ミッションケースの一方の側面の外側から内側に突出して設けられた動力伝達入力軸により駆動される走行用伝達装置と作業用変速装置とを有する耕うん機の動力伝達装置において、前記動力伝達入力軸と前記走行用伝達装置との間に介在する無段変速装置を前記ミッションケースの他方の側面に設けると共に、該無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に前記走行用伝達装置を、他側方に前記作業用変速装置を配し、前記動力伝達入力軸に前記無段変速装置の入力軸を連結させ、該無段変速装置の入力軸と同方向に前記ミッションケース内に突出させた前記無段変速装置の出力軸と走行用出力軸(O5)との間の前記走行用伝達装置に動力断続装置を設け、前記作業用変速装置の動力取出軸を前記ミッションケースの前記他方の側面から外側に突出させ、前記動力伝達入力軸と前記作業用変速装置の動力取出軸とを前記無段変速装置を介さずに直接連結させる一方、前記動力取出軸と連結する前記動力伝達入力軸の径を前記無段変速装置の前記入力軸の径より大きく形成すると共に、前記無段変速装置を油圧無段変速装置とし、前記無段変速装置と前記ミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたので、動力の入力を断って動力伝達入力軸をフリー状態にして、耕うん機に手動で動かす動作、例えば耕うん整地作業の枕地旋回をするとき、前進方向を手、腕で修正するとき、あるいはホイールの着脱をするとき無段変速装置が特にHSTである場合、油圧回路を開いてオイルをミッションケースに戻るようにしても、残油圧によりHSTの出力軸に少なからずかかっている反力が、前記動力断続装置を断に切換えることにより走行用伝達装置をHSTからをフリーにすることで、作業者の手動での前後への押し引きの負荷を少なくし、その前後移動による枕地旋回やホイールの着脱のメンテナンス等を容易にして作業者の疲れを少なくすることができる。」と訂正する。
(8)訂正事項h
特許明細書の段落【0047】の「【0047】また、無段変速装置を採用した場合に加え、………ことができる。」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「【0047】また、無段変速装置を採用した場合に加え、無段変速装置の入力軸及び出力軸のいずれか一側方に走行用伝達装置を、他側方に作業用変速装置を設けたので、走行用変速ギア群を大幅に削減できることで、ミッションケースの幅を狭くでき、狭畝の作物間の管理作業が容易になる。さらに、無段変速装置とミッションケースとの間にある該無段変速装置の入力軸上にトロコイドポンプを設けたことにより構造を密にすることができる。」と訂正する。
異議決定日 2000-12-26 
出願番号 特願平3-47685
審決分類 P 1 652・ 121- YA (B60K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 亀丸 広司  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 和田 雄二
常盤 務
登録日 1999-07-16 
登録番号 特許第2953802号(P2953802)
権利者 本田技研工業株式会社
発明の名称 耕うん機の動力伝達装置  
代理人 渡部 敏彦  
代理人 伴 正昭  
代理人 渡部 敏彦  

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