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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
管理番号 1044599
異議申立番号 異議2000-73364  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-09-05 
確定日 2001-03-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3016398号「喘息治療剤」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3016398号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3016398号に係る発明についての出願は、平成3年5月17日(パリ条約による優先権主張、平成2年5月18日、日本)を国際出願日とする特許出願であって、平成11年12月24日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、ブリタニア ファマシュウティカルス リミテッドより特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年2月6日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(a)訂正の内容
特許請求の範囲の請求項1の
「肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする喘息治療剤。」を
「人の喘息治療のため喘息発作の発現後に使用する肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする喘息治療剤。」
と訂正するものである。

(b)訂正の目的の適否、拡張・変更の存否、及び新規事項の追加の有無
上記訂正は、願書に添付した明細書(以下、特許明細書という。)の[用法・用量]の項に「喘息の発現前後気道内に注入または噴霧させる」と記載されているように、請求項1の「喘息治療剤」の用途は喘息の発現の前後での投与、つまり、喘息発作の予防及び治療を包含するのに対して、「人の喘息治療のため喘息発作の発現後に使用する……喘息治療剤」と喘息発作の治療に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、特許明細書に記載された範囲内のものである。
また、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものでもない。
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立についての判断
イ、本件特許発明
本件請求項1〜4に係る発明(以下、本件発明という。)は、訂正された特許明細書の記載からみて、特許請求の範囲に記載されたとおりの
「1.人の喘息治療のため喘息発作の発現後に使用する肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする喘息治療剤。
2.肺表面活性物質(PSF)が全体としてリン脂質を40重量%以上含有する肺表面活性物質(PSF)である請求項1の喘息治療剤。
3.リン脂質の主要成分がホスファチジルコリン又はコリンホスホグリセリドである請求項2の喘息治療剤。
4.肺表面活性物質(PSF)がサーファクタントTA、サーファクタントCL、合成サーファクタントX1、合成サーファクタントX2、サーファクタントCK、アルビオファクト、アレック又は10ml中に108mgのジパルミトイルフォスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine)、12mgのセチルアルコール(cetyl alcohol)、8mgのチロキサポール(tyloxapol)及び47mgの塩化ナトリウムが含まれている合成肺表面活性物質のいずれかである請求項1の喘息治療剤。」
と認められる。

ロ、異議申立の概要
異議申立人は、甲第1号証(Biomed. Biochim. Acta 44(1985) 9, K 57-K 61)、甲第2号証(Colloids and Surfaces, 10 (1984) 337-341)、甲第3号証(ヨーロッパ特許出願公開第0119056号明細書(1984))、甲第4号証(L. Ekelund, et al,゛Surfactant and the Respiratory Tract″ Elsevier Science Publishers,(1989), p273-281)、甲第5号証(米国特許第4,828,844号明細書(1989))及び甲第6号証(ヨーロッパ特許出願公開第0110498号明細書 (1984))を提出して、本件請求項1〜3に係る発明は甲第1号証又は甲第4号証に記載された発明であり、また、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであり、請求項4に係る発明は甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきであると主張している。

ハ、証拠記載の発明
甲第1号証は、吸入されたアレルゲンによる気管支内のマスト細胞及び大食細胞の刺激はアレルギー性気管支喘息に重要な役割を演じていること、天然の表面活性物質が、気管内卵白アルブミン投与後の人工的に換気された卵白アルブミン感作モルモットにおける気管支収縮を減少させることが見出された(K 57の要約の項)こと、モルモットを、0.5mlの食塩水中100μgの卵白アルブミン及び100mgの水酸化アルミニウムの腹腔内注射により実験の3週間前に感作させ、実験の当日に動物のランダムなグループを、天然肺表面活性物質或いは溶媒のいずれかで気管の点滴注入により前処理し、前処理5分後、動物に卵白アルブミンを気管内に施すと、全ての表面処理物質前処理動物は気管支収縮から回復したが、コントロールの動物では9匹中3匹が死んだこと(K 58の10行〜K 59の18行)、及び、天然表面活性物質のような表面活性物質は、肺および気管支におけるレセプター媒介アレルギー反応に対して保護的であり、この機構は気管支のマスト細胞及び大食細胞の細胞表面レセプターが表面活性物質で被覆されることである(K 59の20〜22行)ことが記載されている。
甲第4号証には、表面活性物質欠乏は多くの呼吸気管支の収縮の原因であると推測できること(278頁)、喘息に対して典型的ないくつかの兆候および症候群は表面活性物質の欠乏によるものと推測できること、及び良好な喘息動物モデルでは、アレルゲンの露出に先立って気道に表面活性物質を投与することによって攻撃を防ぐことが可能であるかどうかが分かるだろう(第280頁下から4行乃至末行)と記載されている。
甲第2号証、甲第3号証甲第5号証又は甲第6号証には、天然又は合成の表面活性物質(肺表面活性物質)は、殆ど全部がリン脂質からなり、DPPCが特にリッチな成分であること、肺表面活性物質は、肺表面活性物質の分散液を気管および肺に投与することによって呼吸窮迫症候群の治療に用いられることが記載されている。

ニ、対比・判断
甲第1号証に記載されている事項を総合すると、アレルギー性気管支喘息はアレルギー反応により気管支が収縮する疾患であるから、アレルギー性気管支喘息のような抗原により誘発される直接的な気管支応答において、抗原である卵白アルブミンを気管内に施す前に天然肺表面活性物質により予め気管内に点滴注入処理しておくと、天然肺表面活性物質のような表面活性物質は、気管支のマスト細胞及び大食細胞の細胞表面レセプターが表面活性物質で被覆されて肺および気管支におけるレセプター媒介アレルギー反応に対して保護的であることが記載されているものと認められる。
また、甲第4号証には、喘息は表面活性物質の欠乏によるものと推測でき、アレルゲンの露出に先立って気道に表面活性物質を投与することによって攻撃を防ぐことができるであろうということが記載されているものと認められる。
甲第1号証の抗原である卵白アルブミンを気管内に施す前に予め気管内に注入していること、及び甲第4号証のアレルゲンの露出に先立って気道に表面活性物質を投与することは、喘息の発作の発現前に使用して喘息の発作を起こらないようにするいわゆる予防剤である。すなわち、甲第1号証及び甲第4号証には、肺表面活性物質を喘息発作の発現後に使用する治療剤は記載されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、表面活性物質を喘息発作の発現後に使用する治療剤であるから、肺表面活性物質を喘息に対して用いる予防剤である甲第1及び4号証に記載されたものではない。
次に、肺表面活性物質を喘息発作の発現後に使用することについて検討する。
甲第1号証及び甲第4号証には、表面活性物質は肺及び気管支におけるレセプター媒介アレルギー反応に対して保護的であるとか、アレルゲンの露出に先立って気道に表面活性物質を投与することことによって攻撃を防ぐことができるであろうというように、肺表面活性物質は気管におけるアレルギー反応自体を抑制するものとして記載されているから、アレルギー反応が生じた後の治療効果については記載されていないし、示唆もない。そして、甲第2〜3及び5〜6号証には、天然又は合成の肺表面活性物質が呼吸窮迫症候群の治療に用いることが記載されているものの、喘息の治療については何ら記載されていない。
そうすると、甲第1〜6号証に記載された事項からは、肺表面活性物質を喘息発作の発現後に使用して喘息を治療することは当業者が容易に想到できるものではない。
したがって、請求項1に係る発明は、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
請求項2〜4に係る発明は、請求項1に係る発明を更に技術的に限定したものであるから、甲第1号証又は甲第4号証に記載されたものではないし、かつ、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者容易に発明をすることができたものでもない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件特許が特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項に違反して特許されたものではない。
また、本件特許については、他に取消理由を発見しない。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
喘息治療剤
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は、肺表面活性物質(以下PSFという)を有効成分とする喘息治療剤に関する。
背景技術
気管支喘息は非常に複雑な症候群であり、原因が多様で、主たる臨床症状が一定していないと一般に認められている。
ところで、PSFは、現在、死亡率の高い呼吸窮迫症候群の治療剤として格別の評価を受けている。PSFの主な機能は気-液界面の表面張力の機能(即ち、単位面積当りの表面自由エネルギー)を低下させることにより、肺胞単位を安定化することにある。PSFは肺胞だけでなく気道にも存在し気管支を安定化していることから、肺気量に伴った径の変化から気管支を保護している。また、PSFは、呼吸運動の減少及び肺浮腫の発症から肺を保護する液体浸出のコントロールを含めて、肺機能に対して重要な役割を果たしている。事実、肺胞表面張力を人為的に高めることにより誘発させた浮腫に対して、外因性PSFを投与すると未熟子羊の肺胞の蛋白透過性を減少させることができる。喘息発作によって粘液分泌が増大し、粘膜繊毛クリアランスが損なわれる。粘液分泌と蛋白性液体の浸出が増加すると、細気道及び肺胞内でPSFの活性を抑制することがある。表面張力が増し、かつ液体の浸出が増すと、肺胞に最も近い気道で呼気中に浸出した液体により閉塞を引き起こす。喘息発作において、表面活性が抹消気道と関係があるならば、PSFの投与は、喘息発作に何らかの治療効果があるのだろうと考えられる。しかしながら、実際には気管支喘息におけるPSFの役割については、未だ知られていない。
本発明者は、喘息治療剤として有用な薬剤を鋭意研究してきたところ、気管支喘息モデルである抗原誘発気管支収縮モルモットにおいて、また実際に喘息患者に対しPSFが顕著な治療効果を有することを知り、本発明に到達した。
発明の開示
本発明によれば、PSFを有効成分とする喘息治療剤が提供される。
本発明喘息治療剤に使用するPSFは、全体としてリン脂質を40重量%以上含有し、その主要成分がホスファチジルコリン又はコリンホスホグリセリドである種々の公知の物質が使用できる。具体的には、▲1▼哺乳動物の肺臓組織に存在するリン脂質、中性脂質、総コレステロール、炭水化物及び蛋白質を含有し、かつ乾燥した最終製品の総重量に対するこれら各成分の重量の百分率が、リン脂質は75.0〜95.5%、中性脂質は1.8〜140%、総コレステロールは3.0%以下、炭水化物は0.1〜1.5%およびタンパク質は5.0%以下である表面活性物質(特公昭61-9925号公報)、▲2▼主としてジパルミトイルホスファチジルコリン及び脂肪アルコールからなる肺表面活性薬組成物(特開昭57-99524号公報)、▲3▼哺乳動物の肺臓組織に存在するリン脂質、中性脂質、総コレステロール、遊離脂肪酸、炭水化物及び蛋白質を含有する表面活性物質であって、当該物質の乾燥総重量に対する各成分の重量百分率が、リン脂質は68.6〜90.7%、中性脂質は0.3〜13.0%、総コレステロールは0.0〜8.0%、遊離脂肪酸は、1.0〜27.7%、炭水化物は0.1〜2.0%及び蛋白質は0.0〜3.5%である表面活性物質(以下サーファクタントTAという;特公昭61-9924号公報)、▲4▼リン脂質ホスファチジルコリンと不飽和脂肪酸またはそのエステルを主成分とし、該ホスファチジルコリンが全体の55〜80重量%を占める合成肺表面活性物質(特開昭58-135813号公報)、▲5▼全体の80重量%以上がリン脂質からなり、実質的に蛋白質を含まない肺表面活性物質(特開昭58-164513号公報)、▲6▼哺乳動物の肺臓から抽出されたリン脂質、中性脂質、コレステロール及び炭水化物を含有し、かつ乾燥後の組成がリン脂質70〜95重量%、中性脂質1〜10重量%、総コレステロール3.0重量%以下及び炭水化物0.3重量%以下であって、蛋白質を実質的に含まない肺表面活性物質(特開昭58-183620号公報)、▲7▼リン脂質ホスファチジルコリンとカルジオリピンを主成分とし、該ホスファチジルコリンが全体の55〜80重量%を占める合成肺表面活性物質(特公平1-29171号公報)、▲8▼ジパルミトイルホスファチジルコリン40〜45重量%、ジパルミトイルホスファチジルグリセリン5〜10重量%及び糖50重量%の含量を有する肺用界面活性剤(特公平1-13690号公報)、▲9▼リン脂質であるホスファチジルコリンとカルジオリピン及び/又はホスファチジルグリセロールが全体の80〜95重量%、中性脂質が全体の5〜20重量%、かつ脂肪酸が全体の0〜10重量%を占めるところの合成肺表面活性物質(以下サーファクタントCLという;特開昭59-95219号公報、日本界面医学会雑誌14巻1号 59頁1983年)、▲10▼コリンホスホグリセリド、酸性リン脂質、脂肪酸類及び哺乳動物の肺臓由来のリボ蛋白質を主に含有し、総重量に対するこれらの含量が、コリンホスホグリセリドは50.6〜85.0%(W/W)、酸性リン脂質は4.5〜37.6%(W/W)、脂肪酸類は4.6〜24.6%(W/W)、リボ蛋白質は0.1〜10.0%(W/W)であるサーファクタント(以下合成サーファクタントX1という;特開昭59-164724号公報)、▲11▼飽和の直鎖脂肪酸残基を2個有するホスファチジルコリンが全体の55〜80重量%、飽和の直鎖脂肪酸残基を2個有するホスファチジルグリセロールが全体の10〜35重量%、中性脂質が全体の5〜20重量%含まれるところの合成肺表面活性物質(特閑昭59-181216号公報)、▲12▼リン脂質含量40〜70%、タンパク量含量1.5%未満、コレステロール含量10〜40%、中性脂質含量5〜30%である作用物質混合物(特開昭60-237023号公報)、▲13▼コリンホスホグリセリド、酸性リン脂質及び脂肪酸類を主に含有し、総重量に対するこれらの含量がコリンホスホグリセリドは53.9〜87.8%(W/W)、酸性リン脂質は4.8〜38.2%(W/W)、脂肪酸類は7.0〜26.2%(W/W)である合成サーファクタント(以下合成サーファクタントX2という;特公平2-8768号公報)、▲14▼ブタの肺胞洗浄液から抽出した脂質に塩化カルシウムを添加した物質(以下サーファクタントCKという;日本界面医学会雑誌12巻1号1頁1981年、同14巻 2号212頁1983年)、▲15▼ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン及び大豆レシチンの三成分系混合物を含有する合成肺表面活性物質(特公昭64-9292号公報)、▲16▼極性脂質画分と蛋白質画分とからなる動物源の肺動脈界面活性剤において、該極性脂質画分を少なくとも98.5重量%の割合で存在させると共に、主に少なくとも95%の割合のリン脂質混合物で構成した肺動脈界面活性剤(特開昭64-63526号公報)、▲17▼特表昭62-501122号、特表昭62-501792号、特表昭63-503222号、特表平1-501282号、特開平2-424号公報、特開平2-6405号公報、特開平2-53798号 特開平2-279628号、特表平2-502917号、特開平3-44332号、特開平3-90033号公報記載の肺表面活性物質蛋白質若しくはその他遺伝子組替えにより製造した肺表面活性物質蛋白質を含有した合成肺表面活性物質又は▲18▼牛肺から得られ、リン脂質、コレステロール、疎水性表面活性蛋白質、遊離脂肪酸、トリグリセリド及びカルシウムからなるアルビオファクト(Alveofact;商品名、Eur J Pediatr(1990)149:280-283;LIPIDS 及び Vol.18,No.8(1983)522-529参照)、インファサーフ(Infasurf;商品名)、キューロサーフ(Curosurf;商品名)、ヒト羊水から得られるヒューマンサーフ(HumanSurf;商品名)などの天然PSF又はその調整品、▲19▼サーファクタントCK,ジパルミトイルホスファチジルコリン、ヘキサデカノール、チロキサポール(Tyloxapol:formaldehyde plymer with oxirane and 4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol)及び塩化ナトリウムからなるエキソサーフ(Exosurf;商品名)、ジパルミトイルホスファチジルコリン7部、ホスファジルグリセロール3部からなるアレック(ALEC;商品名)、ドライサーファクタント(Dry Surfactant)若しくはリポゾーマルフォーム(Liposoml form)などの合成PSFなどが挙げられる。
なお、PSFの分散濃度としては、0.1〜100mg/ml、好ましくは1〜50mg/ml、更に好ましくは2〜40mg/mlが適当である。
図面の簡単な説明
図1は、モルモットのボディ・プレシスモグラフ(body plethysmograph)のために用いられた装置の略図である。
図2はCdynおよびRLの計算を示す図である。
図3は、サーファクタントTAに関する、3群の実験動物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図4は、サーファクタントTAに関する、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図5は、サーファクタントTAに関する、肺抵抗(RL)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図6は、ヒスタミン誘発気管支収縮に対するサーファクタントTAの90秒間吸入の影響を示す図である。
図7は、アレックに関する、3群の実験動物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図8は、アレックに関する、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図9は、アレックに関する、肺抵抗(RL)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図10は、エキソサーフに関する、3群の実験動物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図11は、エキソサーフに関する、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図12は、エキソサーフに関する、肺抵抗(RL)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図13は、アルビオファクトに関する、3群の実験動物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図14は、アルビオファクトに関する、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図15は、アルビオファクトに関する、肺抵抗(RL)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図16は、サーファクタントCKに関する、3群の実験動物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図17は、サーファクタントCKに関する、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図18は、サーファクタントCKに関する、肺抵抗(RL)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図19は、ヒューマンサーフに関する、3群の実験動物における抗原感作の後の気道開口時圧力(Pao)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図20は、ヒューマンサーフに関する、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
図21は、ヒューマンサーフに関する、肺抵抗(RL)のベースラインからのパーセント変化を示す図である。
〔気管支実験モデルに対する作用〕
喘息モデルの準備
高力価抗一卵白アルブミン抗血清の調製
モルモットの同種細胞親和性抗血清を、サンタイブズら(SantivesT,RoskaAK・HenlyG,Moore VL,Fink JN,AbramoffP:Immunologically induced lungdisease in guinea pig:J Allergy ClinI Immunol 1976;57:582-594)の方法の変法により調製した。用量500μgの卵白アルブミン(OA)をフロイントの完全アジュヴァント中に乳化させ、モルモット毎に5カ所の異なる部位、即ち、両側腋窩、両側鼠径部及び頸部、に皮内投与した。同じ方法で、2週間後に追加投与を行った。追加投与から2週間後に血清を採取しプールした後、使用時まで凍結保存した。
実験喘息の誘発
上述の抗血清1mg/kgを腹腔内投与して、モルモットに受動感作を起こした。受動感作の12-24時間後、モルモットをペントバルビタールナトリウム75mg/kgの腹腔内注入で麻酔した。モルモットを仰臥させ、気管にポリエレンチューブのカニューレを挿入し(外径2.5mm、内径2.1mm)、一方の頸静脈に薬物投与のためのカニューレを挿入した。1回換気量10ml/kg、呼吸率60回/分に調節した小動物用換気装置(1680型、Harvard,Apparatus,South Natik,NA)で人工換気を行なった。この装置のデッドスペースは、0.5mであった。上記の全処置を完了した時、ヒスタミン作用を完全に遮断するためにジフェンヒドラミン塩酸塩60mg/kgを腹腔内投与した後、換気装置の出口をクランピングし、2回の呼吸について、1回換気量の2倍で過剰膨張させた。10分後、人工換気を中断させずに、生理的食塩水(1mg/ml)に溶解した噴霧型卵白アルブミン(抗原)で感作した。卵白アルブミン吸入剤を、実験動物用に開発した超音波ネブライザー付器具で、30秒間放出させた。
肺表面活性剤
サーファクタントTA(サーファクテン、東京田辺製薬株式会社、東京、1バイアル当り、凍結乾燥肺表面活性剤脂質120mg)を、加温(37℃)生理的食塩水に懸濁し、脂質濃度を10及び20mg/mlとした。
使用した他の薬物は、次の通りである:卵白アルブミン(Sigma,St.Louis,MO)、フロイントの完全アジュバント(Difco Labratories,Detroit,MI)、ジフェンヒドラミン塩酸塩(Sigma,St.Luis,Mo)、ペントバルビタールナトリウム溶液(Abbott Laboratories,North Chicago,IL)、ヒスタミン2塩酸塩(和光純薬、大阪、日本)。
測定
図1に示すように、気道開口時圧力(Pao)、気管チューブの外側圧力を、示差圧力変換器TP-603型、日本光電、東京、日本)を使って測定した。さらに、食道圧(Peso)を、食道に挿入し、低圧変換器(MPU-0.1A 日本光電)に接続した水充填ポリエチレンカテーテル(外径:1.4mm、内径:1.0mm)によって測定した。その後、モルモットを小さな気密プラスチックボックス内に入れ、空気の速度(V)をリリー型(Lilly-type)呼吸気流計(TV241T型、日本光電)と、ボックスの小窓に配した低圧変換器(TP-602T、日本光電)で測定した。流速をコンピュータで積分し、換気量(V)を測定した。これらのパラメータ、V、V、Pao、Pesoを連続的にマルチチャンネルレコーダ(P-0770c、日本光電)に記録した。アムダーとミード(Amdur MO,Mead J:Mechanics of respiration inunanesthetized guinea pigs;Am J Physiol 1958;192:364-368)が述べた方法によって、肺の動的コンプライアンス(Cdyn)及び肺抵抗(RL)は、図2に示す数字について計算した。
Cdynは、体重(kg)で除し、また、使用したRLは、体重を掛けた数値であった。末梢気道の変化と主気管支の変化を比較するため、ベースライン値に対するCdyn及びRしの逆数(1/RL)を計算した。
Paoは、連続測定し、CdynとRLは、抗原吸入のすぐ前(ベースライン)、ピーク時、抗原感作18、23分後に測定した。これらの各時間の数値の変化は、ベースライン値のパーセント変化として表した。即ち、それぞれ、%Pao、%Cdyn、%1/RLである。回復率は、18分の数値に対する23分の数値のパーセント変化として決定した。
プロトコール
以下のプロトコールに従って、合計27匹のモルモットを検討した。ジフェンヒドラミン塩酸塩の投与後、呼吸機能を測定した(ベースライン)。次に、モルモットを噴霧型卵白アルブミンで感作した。Paoが最大値に達する約14分後2回目の呼吸機能測定を行なった。気管支収縮が持続期に入った(Paoの減少速度が遅くなった)18分目に、3回目の呼吸機能測定を行なった(PSF投与前)。20分後、サーファクタントTAの10mg/ml(PSF10mg/ml投与群、n=9)、20mg/ml(PSF投与群、n=9)、又は、生理的食塩水(対照群、n=9)のいずれかの吸入を90分間実施した。吸入剤は、上述の超音波ネブライザー装置で発生させた。ネブライザーが生じる生理的食塩水、PSF10mg/ml、PSF20mg/mlの粒子の空気力学的直径の中央値は、それぞれ、3.59±1.96μm(平均値±標準偏差)、3.64±1.87μm及び3.63±1.98μmであった。4回目の呼吸機能の測定は、卵白アルブミン感作の23分後に実施した(PSFもしくは食塩水吸入終了後1.5分後)。
ヒスタミン誘発気管支収縮
別のモルモットを、上述の通りに、麻酔し、人工換気した後、換気を中断させずに5分間隔で、ヒスタミンを増量しながら静脈内投与した。5匹のモルモットでは、サーファクタントTA 20 mg/mlの吸入剤を、ヒスタミン誘発の10分前に90秒間吸入させた。他の5匹には、対照として生理的食塩水の吸収剤を同じ方法で投与した。
統計解析
データは、平均値±標準誤差で示す。統計的な差は、マンーホイットニー(Mann-Whitney)のU検定で決定し、P<0.05を有意と見なした。
結果
喘息モデルにおけるPSF吸入の効果
全実験動物のPao、Cdyn、RLのベースライン値は、それぞれ、10.5±0.27cmH2O、1.33±0.07ml/cmH2O・kg、6.91±0.27cmH2O・秒・kg10-2/mlであった。群間で、これらの数値に有意差は認められなかった。
図3に示すように、Pao増加%は、対照群(n=9)で、吸入後13分目に、267±39%の最大値に対して、これらは、その後18分目に245±32%まで、23分目に222±25%まで減少した。PSF 10mg/ml投与群では、Pao増加%は、15分目に269±23%の最大値に達し、その後18分目に253±23%、23分目に210±22%まで減少した。PSF 20mg/ml投与群では、Paoの増加%は、14分目に272±32%の最大値に達し、その後、18分目に252±29%まで、23分目に196±31%まで減少した。Paoの回復率(18分目から23分目への数値の変化%)は、対照群が5.9±2.4%、PSF10mg/ml投与群が20.7±2.2%(p<0.01)、PSF20mg/ml投与群が23.4±4.7%(p<0.01)であった。
本実験の%Cdynの変化を図4に示す。全モルモットにおける%Cdynの最小値は、10.3±0.3%で、抗原感作後14.3±0.5分目に見られた。3群間で、最小値と発現時間に有意差がなかった。一方、Cdynの回復率は、対照群が14.6±1.9%、PSF10mg/ml投与群が43.5±10.3%(p<0.02)、PSF20mg/ml投与群が52.0±9.5%(p<0.01)であった。従って、PSF投与群では、Cdynが、より速やかに回復した。
%1/RLの変化を図5に示す。全実験動物の%1/RL最小値は、13.7±0.9%であった。これらの群間で、最小値に有意差は認められなかった。1/RLの回復率は対照群が34.5±15.7%、PSF10mg/ml投与群が39.5±5.5%(NS)、PSF20mg/ml投与群が102.4±15.7%であった(p<0.01)。従って、1/RL変化に関しては、対照群とPSF10mg/ml投与群の間には有意差は見られなかったが、回復率は、PSF20mg/ml投与群が他の群よりも有意に高かった。
ヒスタミン誘発気管支収縮に対するPSF吸入の影響
図6はヒスタミン誘発気管支収縮に対するPSF 20mg/mlの90秒間吸入の影響を示す。この実験では、PSFの直接的な気管支拡張作用は認められなかった。
考察
この実験に使用したモルモットは、明確な特徴のある気管支喘息用実験モデルの1種である。モルモットを同種細胞親和性抗血清で受動感作し、内在ヒスタミンの介在する気管支収縮を完全に遮断するため、高用量ジフェンヒドラミン塩酸塩で前処理した。ヒスタミンの作用を遮断することによって、用量-反応と再現性が得られ、エアゾール化した抗原で感作した時、過敏性反応が起こる。発明者の以前の研究では、この種のアレルギー性気管支収縮は、大部分が、アナフイラキシーの遅反応物質(SRS-A)の選択的阻害剤であるFPL55712の持続注入や、ロイコトリエンレセプター括抗剤のAS-35の吸入による前処理によって抑制された。これらのことから、本実験に見られる卵白アルブミン吸入後の気管支収縮は、主としてSRS-Aが介在するアレルギー性のものであろう。
PSFのエアゾール化の問題点は、肺の中に限られた量の液体しか沈着できないことである。ウサギ(2.5mg/g、又は、10mg/kg体重)の肺洗浄で回収した総リン脂質に関するオヤーザンとクレメンツ(Oyarzun M,Clements JA: Controlof lung surfactant by ventilation, adrenergic mediators, and Prostaglandins in the rabbit;Am Rev Respir Dis 1978;117:879-91)のデータに基づいて、正常な400gのモルモットの肺に存在するPSFの量が4mgであると推定した。本実験で吸入させたエアゾール型サーファクタントTAの合計量は、およそ1-2mgで、肺及び肺気管支へのサーファクタントTAの沈着量は、約46%であるから、肺及び肺気管支への沈着量は、肺に正常に存在する量のおよそ1/8-1/4である。呼吸器内に吸入したエアゾール粒子の沈着は、慣性の法則、ブラウン拡散、重力沈降のメカニズムに起因し、その粒子径から気管支および肺胞への沈着量を推定できる。閉塞性疾患の場合には、衝突による沈着量が増加する。PSF溶液の平均粒子径は、約3.6μmで、PSF、生理的食塩水、及びアルブミン溶液の間で、粒子径に差がなかったので、これらの溶液の沈着部位は等しくなり、気管支収縮後に、主として、上部気道に沈著する、と推定できる。
本実験では、エアゾール型外因性PSF(サーファクタントTA)の投与によって、内因性SRS-A介在の気管支収縮に伴う異常動的コンプライアンス(Cdyn)と肺抵抗(RL)が回復した。低用量では、PSFは、Cdynの回復に対してのみ、有効であったが、高用量では、CdynとRLの両方の回復に有効であった。CdynとRLは、それぞれ、下部気道と上部気道を応答させるパラメータであるので、吸入したPSFが、上部気道よりも末梢気道に対して有効なことが結果から示唆される。一方、PSFの前投与は、注入ヒスタミン誘先の気管支収縮に影響を与えておらず、これは、PSFが直接的な気管支拡張作用も、非特異的気管支収縮能も持たないことを表している。
一方、表面張力が肺胞に最も近い気道で高いと、肺胞の液体が呼気開始時に、気道に移動する、と考えることもできる。液体は、空気の通路を狭め、さらに多くの液体を気道に移動させ、肺胞の虚脱が発生する。PSFを投与することにより、この虚脱を防止することができる。
上述の結果から、アレルギー性気管支収縮に対して外因性PSF(サーファクタントTA)投与が有効であるということができる。
サーファクタントTAは、主に、疎水性アポ蛋白からなる蛋白質を1%含有する。これらの蛋白質は、構造、表面活性、表面皮膜形成のために重要であることから、PSFは蛋白質を含有していることが望ましい。しかしながら、アポ蛋白を持たないエキソサーフのような合成PSFでも弱いながら活性を有している。アレック、エキソサーフ、アルビオファクト、サーファクタントCK及びヒューマンサーフについて、サーファクタントTAと同様の方法で試験を行なった結果を図7〜図21に示す。
〔喘息患者に対する作用〕
呼吸機能試験を、FVC(努力肺活量)、FEV1.0(1秒量)、MMF(中間呼気流量)、△N2、TLC(全肺気量)、RV(残気量)、PaO2(動脈血酸素分圧)及びPaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)の項目(臨床検査技術全書、第9巻、生理機能検査 367-393ページ、医学書院)について行なった。測定装置は、ドライスパイロメータ(FUDAC-60、福田電子、東京、日本)及び血液ガスシステム278(Ciba CorningDiagnosticCo.,Medfield,USA)を使用した。
FVC、FEV1.0、MMFは呼気を最大まで行なわせ、できるだけ速やかに放出させて得る最大呼気流量により得た。△N2を示す肺胞プラトー(alveolar plateau)の傾きは、一回肺窒素洗出し法により窒素濃度曲線から得られる。TLCはヘリウム希釈閉鎖回路法により得た。RV/TLC値は残気率を表す。試験は90分以内に完結するようにし、検査はPSF投与前とPSF投与20分後に行なった。
喘息発作を持つアレルギー性喘息患者11人をPSF投与群6人と対照群5人とに分け、PSF投与群には、10mgのサーファクタントTAを懸濁した1ml生理的食塩水をジェットネブライザ(タイプ95-Bネブライザシステム、日立、東京)で100%O2を用い吸入した。ネブライザは、3.5kgf/cm2に圧縮された空気511/minジェットフローで操作した。
測定結果を表1及び表2に示す。



呼吸機能検査及び血液ガス検査において、PFS投与の効果を次式のパーセンテージとして表し、その結果を表3に示す。

(PFは、呼吸機能データを表す)

対照群ではFVC、FEV1.0、MMF、PaO2の値はほとんど変化しなかったが、△N2値は有意に増加した。PSF投与群では全患者のFVC、FEV1.0、MMF、PaO2及び△N2値が著明に改善された。
また、TLC及びRVの平均値は、対照群では有意の変化はなかったが、PSF群では吸入後有意に減少した。RV/TLCもまた、PSF群では減少した。
このことは、PSFが細気管支を安定化し、末梢肺胞での最大換気を引き起こし、空気とらえこみ(air trapping)を防御するという作用により、収縮した細気管支に対し気管支拡張作用を示し、喘息症状を抑えるということを意味する。
血液ガス分析試験中PaCO2値は、両者で有意の相違がなかった。また、PSF群のPaO2は処置後有意に増加したが、対照群では変化がなかった。これは、PSFが肺胞での酸素の取り込みを改善していることを示す。
PSF群の全患者は、吸入後発作及び喘息の症状が軽減した。一方、対照群とされた5人の患者は発作及び喘息鳴が変わらないか悪化した。
以上のように、PSFを有効成分とする薬剤は有用な喘息治療剤であるということができる。
〔急性毒性試験〕
5週令の雄性ICRマウス及び5週令の雄性ウィスター系ラットに、サーファクタントTAを経口及び腹腔内の2形態で投与しLD50値を求めた。LD50値はマウスでは経口で3g/kg以上、腹腔内で2g/kg以上であった。同じくラットでは経口で4g/kg以上、腹腔内で2.5g/kg以上であった。
〔亜急性毒性試験〕
成熟したウィスター系ラットに、1月間サーファクタントTAを500mg/kg腹腔内投与した。1月後のラットの体重増減並びに肺臓及び他の主要臓器における肉眼的観察及び組織学的観察には何ら異常が認められなかった。また、異種蛋白に起因する生体異常もなかった。
〔用法・用量〕
本発明により提供される喘息治療剤は、成人に対しては1mg〜50mgのPSFを1回投与量として含有する。用法は、上述の用量を水又は生理的食塩水のような電解質溶液に懸濁し、0.1〜100mg/mlの濃度に調製し、喘息の発現前後気道内に注入又は噴霧させる。投与回数は1〜10回が適当である。患者の症状又は併用療法に応じて、上述の用量、用法及び回数を適宜変更してもよい。
本発明喘息治療剤は必要に応じて安定剤、保存剤、等張剤、緩衝剤若しくは懸濁化剤等の医薬品添加物又は殺菌剤を含有してもよい。剤型は液剤又は用時に懸濁して用いる粉末剤が適当であり、バイアル瓶又はアンプル瓶等の密封容器内に充填され、無菌製剤として保存される。
(57)【特許請求の範囲】
1.人の喘息治療のため喘息発作の発現後に使用する肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする喘息治療剤。
2.肺表面活性物質(PSF)が全体としてリン脂質を40重量%以上含有する肺表面活性物質(PSF)である請求項1の喘息治療剤。
3.リン脂質の主要成分がホスファチジルコリン又はコリンホスホグリセリドである請求項2の喘息治療剤。
4.肺表面活性物質(PSF)がサーファクタントTA、サーファクタントCL、合成サーファクタントX1、合成サーファクタントX2、サーファクタントCK、アルビオファクト、アレック又は10ml中に108mgのジパルミトイルフォスファチジルコリン(dipalmitoylphospatidylcholine)、12mgのセチルアルコール(cetyl alchol)、8mgのチロキサポール(tyloxapol)及び47mgの塩化ナトリウムが含まれている合成肺表面活性物質のいずれかである請求項1の喘息治療剤。
 
訂正の要旨 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1の
「肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする喘息治療剤。」を
「人の喘息治療のため喘息発作の発現後に使用する肺表面活性物質(PSF)を有効成分とする喘息治療剤。」
と訂正するものである。
異議決定日 2001-03-01 
出願番号 特願平3-508968
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A61K)
P 1 651・ 121- YA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田村 聖子  
特許庁審判長 吉村 康男
特許庁審判官 深津 弘
宮本 和子
登録日 1999-12-24 
登録番号 特許第3016398号(P3016398)
権利者 三菱東京製薬株式会社
発明の名称 喘息治療剤  
代理人 八木 秀人  
代理人 八木 秀人  
代理人 清水 修  
代理人 鈴木 郁男  
代理人 清水 修  

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