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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 A61K 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 A61K |
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管理番号 | 1044607 |
異議申立番号 | 異議2000-71209 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1991-12-06 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-03-27 |
確定日 | 2001-02-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2954640号「化粧水」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2954640号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.経緯 本件特許第2954640号は、平成2年3月23日の出願に係り、平成11年7月16日に設定登録された後、異議申立てがあり、取消理由通知に対して、平成12年11月20日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否について、 上記訂正請求に係る訂正事項は以下のとおりである。 (1)特許明細書の請求項1における、 「L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩0.05〜3.0重量%、および1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールから選ばれる多価アルコール1〜20重量%を含み、中性ないし中酸性領域にpH値を有する化粧水。」なる記載を、 「L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩0.05〜3.0重量%、および1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールから選ばれる多価アルコール1〜20重量%を含み、pH5.0〜7.5にpH値を有する化粧水。」に訂正する。 (2)特許明細書の請求項2を削除する。 そこで、これら訂正について検討するに、上記(1)の訂正は、特許明細書の請求項1に記載された「中性ないし中酸性領域」を具体的なpH範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、同明細書の発明の詳細な説明においては、上記「中性ないし中酸性領域」について、「中性ないし中酸性領域のpHとは、通常4.0〜8.0、望ましくは5.0〜7.5である。」と定義されていたものであるから、この訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を拡張または変更するものでもない。 (2)の訂正は、請求項の削除に係るものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明かであり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものでもない。さらに、この訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正であることはいうまでもない。 したがって、本件訂正請求は、特許法第120条第第2項、及び同条第3項において準用する同法第126条第2-3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.異議申立てについて、 本件異議申立人の主張は以下のとおりである。 (1)本件請求項1の発明は、甲第1号証(特開昭64-83010号公報)に記載された発明か、あるいは甲第1号証及び甲第3号証(「フレグランス ジャーナル」第68号、第17頁(1984年))に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるから、本件請求項1に係る特許は、特許法29条第1項第3号の規定あるいは同条第2項の規定に違反してなされたものである。 (2)本件請求項2の発明は、甲第1号証に記載された発明か、あるいは甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるから、本件請求項2に係る特許は、特許法29条第1項第3号の規定あるいは同条第2項の規定に違反してなされたものである。 (3)本件明細書の記載には不備があり、本件特許は特許法第36条に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものである。 そして、上記主張(1)及び(2)について甲第2号証((株)東レリサーチセンター結果報告書)及び甲第4号証(「最新化粧品科学」薬事日報社、昭和59年8月17日発行、第30頁)を提示し、同主張(3)について甲第4号証、甲第5号証(「化学大辞典5」縮刷版、昭和59年3月15日発行、第928頁)及び甲第6号証(特開昭62-298508号公報)を提示している。 これに対して、本件訂正後の発明(以下、本件発明という)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの以下のものである。 「L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩0.05〜3.0重量%、および1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールから選ばれる多価アルコール1〜20重量%を含み、pH5.0〜7.5にpH値を有する化粧水。」 そこで、本件発明について上記主張が採用できるか否かについて以下検討する。 ただし、(2)の主張については、その対象である特許明細書における請求項2は上記訂正によりすでに削除されているから、検討しない。 (1)の主張について、 甲第1号証においては、メラニン生成抑制外用剤の発明について記載され、ローション剤として、1,3-ブチレングリコール(4.00重量部)及びL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルのナトリウム塩2.00重量部を配合したものが記載されており、この配合成分及びその配合割合は本件発明の化粧水と一致する。しかし、甲第1号証においては、ローション剤のpHについて記載がない。この点について本件異議申立人は、甲第2号証に係る報告書における実験データに基づき、該ローション剤のpHは7.68である旨主張しているが、このpH値は本件発明におけるpH範囲には含まれないから、この点において本件発明の化粧水と甲第1号証のローション剤とは異なり、本件発明は甲第1号証に記載された発明とはいえない。 また、甲第3号証においては、弱酸性で皮膚と同程度の中和能を持つ化粧品が望ましいこと及び皮膚のpHは4.5〜6.5であり、化粧品を弱酸性にすることは皮膚にとって負担が少ないことが記載され、また、本件異議申立人が念のため提示した甲第4号証においても化粧水には弱酸性のものがあり、最近は皮膚のpH付近に調製したものが多くなっている旨記載されている。そして、本件異議申立人は甲第3号証の記載を参酌すれば、甲第1号証のローション剤のpHを本件発明のpH値にすることは当業者が容易に想到できる旨の主張をしているが、本件特許明細書においては、L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩を、皮膚生理上望ましい中性ないし中酸性領域にpH値を有する化粧水に配合する場合、沈殿が発生しやすく、また、安定性が低いという問題点があり、この問題点を解消することが望まれている旨の記載があり、また、甲第6号証における「従来技術」および「発明が解決しようとする問題点」等においても、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルあるいはその塩の中性ないし弱酸性下での保存安定性等に問題を有する旨の記載があるから、L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩が、中性ないし弱酸性下で問題点を有することは、本願出願時までに、すでに当業者において認識されていたものと解される。他方、甲第1、3および4号証をみてもL-アスコルビン酸-2-リン酸の・ナトリウム塩の中性ないし弱酸性下における問題点を解消しうる手段について示唆する記載は全く見いだせない。そうすると、甲第1号証に記載されたローション剤を甲第3、4号証に示される上記pHにすれば、当然問題が発生すると当業者は認識するはずであるし、また、その解決手段もないのであるから、甲第1号証のローション剤において甲第3、4号証のpH値にすることが、当業者において容易にできるとは直ちにはいえない。しかも、本件発明の効果は、特許明細書における第1表の使用感についての実験結果からみて顕著である。してみれば、以上の点からみて本件発明は甲第1号証及び甲第3号証のみならずさらに甲第4号証の記載を加えて検討しても、これら甲号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできず、この(1)の主張は採用できない。 (3)の主張について、 a)本件異議申立人は、甲第5号証(異議申立8頁3〜4行の「甲第4号証」なる記載は「甲第5号証」の誤り)における、中性とはpH7である旨の記載を挙げて、pH7超〜8.0をも含む本件特許明細書の「中性ないし中酸性領域」なる記載はおかしい旨主張するとともに、さらに、甲第4号証における皮膚に好ましい範囲は弱酸性であり、それより高いpH領域は皮膚の負担になる旨の記載を指摘し、本件発明のpH値が、皮膚生理学上望ましいことを技術的根拠として設定されたものであるにもかかわらず、pH7超え〜8.0をも含むような本件特許明細書の「中性ないし中酸性領域」なる記載はおかしい旨主張しているが、上記訂正により本件発明の化粧水はpH5〜7.5のものにすでに限定され、また、本件発明の上記pH範囲においては、少なくとも上記pH範囲の上限を超えるものよりも皮膚生理学上好ましいことは当然であるから、本件発明のpH範囲に記載上の不備があるとはいえない。 b)本件発明異議申立人は、本件明細書においては、pH5の化粧料が一例記載されているだけで、これ以外の本件発明のpH値において効果があるか否かは不明である旨主張しているが、本件訂正明細書においては、L-アスコルビン酸-2-リン酸塩の中性ないし中酸性下における濁り、沈殿の発生等を問題点を挙げており、この点については、特に疑う根拠を見いだせない。そしてこの記載からいえば、上記問題点は、本願発明のpH範囲のうち、pH値が低いほどより顕著になるとすると解することができるから、下限のpH5のものについて透明な化粧水を得たという効果があれば、pH値が本件発明の範囲内のものであれば効果を有するとしても特段不合理ではない。 c)本件異議申立人は、本件明細書の実施例の配合成分の合計量は100%を超えるから、本件発明を追試できない旨主張する。確かに上記実施例の配合成分についての配合割合の合計量は102%であり、いずれかの配合成分の配合割合に誤りがあると解されるが、これは記載上の誤りとするのが相当であり、実施例の全体の記載からみれば、該実施例の効果試験の結果自体に信憑性がないとはいえない。また、上記の実施例の配合割合の合計量の誤りは高々2%であり、本件発明で規定する必須成分の配合割合の範囲内で、かつ実施例において記載されている化粧料のpH値(pH5)になるように、各配合成分の配合割合を適宜2%ずつ減量して、該実施例の結果と照合することも可能である。しかも、そもそも、本件発明における必須成分の配合割合及び化粧水のpH値については本件訂正明細書において明示され、化粧水製造における技術常識を勘案すれば、本件訂正明細書の記載から、当業者であれば容易に本件発明の化粧水を得ることができないとはいえないものである。したがって、以上の点からみれば、本件訂正明細書においては、上記誤りがあるものの、この誤りは、当業者が本件発明を容易に実施できないというほどの瑕疵とはいえない。 d)本件異議申立人は、本件明細書の実施例の配合成分中、得られる化粧水のpHを実施例に記載されたpH5の値にする成分が見あたらない旨主張するが、特許公報における実施例中に記載された成分のうち「乳剤」なる記載は、特許公報編纂時の誤植であり、特許明細書においては「乳酸」と記載されているのであるから、特許明細書においては上記pH5にする成分が記載されており、この点の不備はない。 e)本件異議申立人は、本件出願についての審査段階の意見書(平成11年3月10日付)における権利者の主張によれば、本件発明の効果である安定性は保存安定性を意味し、この保存安定性については、甲第6号証(上記意見書における引例1)にも記載されているように、一定期間経過後であって不具合が生じないことが示されなければならないが、本件明細書にはそのような記載はないから、本件発明の安定性についての効果が得られるかは不明である旨主張している。しかし、上記意見書においては、甲第6号証の発明の目的が保存安定性であることに基づき、この保存安定性の観点からみると、甲第6号証の発明において、1,3-ブチレングリコールあるいはプロピレングリコールを使用することは、他の引用例の記載を参酌しても当業者には容易に想到できない旨主張しているのみであって、本件発明の効果が保存安定性であるとしているわけではない。 しかも、本件訂正明細書においては、実験結果により使用感が良好であることを明らかにしており、これのみでも、本件発明に効果がないとはいえない。さらに加うるに、本件訂正明細書には、本件発明以外の組成を有する化粧水が透明な化粧水を得られなかったのに対し(参考例1、2)、本件発明の組成を有する化粧水は透明であったことが記載されており、また、使用感についての効果も濁り、沈殿発生の防止及び安定化効果と全く無関係ともいえないから、これらの点からみれば、本件発明において濁り、沈殿発生の防止及び安定化効果が得られないとはいえない。 したがって、これらの点からみて、この(3)の主張も採用できない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求は認めることができ、本件異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取消すことができない。 また、他に本件請求項1に係る特許を取消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 化粧水 (57)【特許請求の範囲】 (1)L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩05〜3.0重量%、および1,3-ブチレングリコールおよびプロピレングリコールから選ばれる多価アルコール1〜20重量%を含み中酸性領域にpH値を有する化粧水。 【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は日焼けによるシミやそばかすを防ぎ、抗酸化能を有し、コラーゲン生成増強作用を有するとともに、皮膚に優しく良好な使用感を有し、濁りや沈澱の生成しない品質上安定した化粧水に関する。 従来の技術 L-アスコルビン酸は、メラニン生成の抑制、生成したメラニンの淡色漂白作用、抗酸化能およびコラーゲン生成増強による皮膚水分保持作用など化粧料として有用な作用を有するが、安定性が非常に悪いという欠点がある。 L-アスコルビン酸の安定性を改善する目的で種々誘導体が開発されている(特公昭44-31237号公報、特開昭61-50908号公報、特開昭63-267709号公報)。L-アスコルビン酸誘導体の一種であるL-アスコルビン酸-2-リン酸〔以下、APと略記する〕は化粧料として使用することができることが知られている。L-アスコルビン酸-2-リン酸の塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、トリエタノールアミン塩などがあり、マグネシウム塩〔以下、AP(Mg)と略記する〕が化粧料に最も多く使用されている。 多価アルコールは、若々しい皮膚の保持に重要な役割を果たす保湿性、あるいは特色ある使用感などの種々機能を製品に付与することができるので、化粧水の原料として使用できることが知られている〔化粧品学(池田編、南山堂、169〜172(1978)〕。 発明が解決しようとする課題 L-アスコルビン酸-2-リン酸の塩を配合した、皮膚生理上望ましい中性ないし中酸性領域にpH値を有する化粧水を製造する場合、沈澱が発生しやすく、また安定性も低いという問題があり、これらの問題点の解決が望まれている。 課題を解決するための手段 本発明者らは、L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩〔以下、AP(Na)と略記する〕と多価アルコールとを組合わせて用いる場合、皮膚生理上望ましい中性ないし中酸性のpH領域で沈澱を生じない安定な化粧水が得られることを見い出し、本発明を完成した。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、AP(Na)0.05〜3.0重量%と多価アルコール1〜20重量%とを含み、中性ないし中酸性領域にpH値を有する化粧水に関する。本発明に用いるAP(Na)は、合成法(特公昭48-15605号公報)あるいは酵素法(特開昭63-273489号公報)などいかなる方法で調製されたものでもよい。またAP(Na)は粉末、結晶のいづれでもよい。結晶状AP(Na)は、本出願人による特願昭63-211100に開示されている。その製造法の一例を参考例6としてあげる。 化粧水中のAP(Na)の含有量は、通常0.05〜3.0重量%、望ましくは0.1〜3.0重量%である。 多価アルコールとしては、例えば1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコールなどカミ用いられる。 多価アルコールは、通常1〜20重量%で配合される。また、皮膚生理上望ましい中性ないし中酸性領域のpH値とは、通常4.0〜8.0、望ましくは5.0〜7.5である。 本発明の化粧水は、他の成分として、香料、防腐剤、着色料、皮膚栄養剤などを本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合し得る。その配合方法は公知の方法を採用し得る。 本発明の化粧水は、日焼けによるシミ・そばかすを防ぎ、抗酸化能を有する。さらに、本発明の化粧水は、コラーゲン生成増強作用を有し、皮膚に優しく良好なあるいは特色ある使用感を有し、かつ濁りや沈澱の発生しないまたは発生しにくい化粧水である。 以下、実施例、参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例、参考例に示す%とは重量%である。 実施例1.化粧水(a)の調製 (A)乳酸 0.05(%) 乳酸ナトリウム 0.45 L-セリン 0.3 メチルバラベン 0.1 プロピレングリコール 8.5 AP(Na) 0.2 精製水 83.87 (B)POE(25)グリセリルピログルタミン酸イソステアリン酸ジエステル 0.5 香料 0.03 変性エタノール 6.0 上記物質群を、以下の処方にしたがって混合し、pH5の透明な化粧水を得た。 (A)を均一に溶解した液に、均一に溶解した(B)を加え混合した。得られた液を濾過し、化粧水を得た。 実施例2. 化粧水(b)の調製 プロピレングリコールのかわりに、1,3-ブチレングリコールを用いる以外は実施例と同様に行って化粧水を得た。 参考例1. AP(Na)のかわりにL-アスコルビン酸-2-リン酸・マグネシウム塩〔以下、AP(Mg)と略記する〕を用いる以外は実施例1と同様に行って化粧水を得ようとしたが、(A)においてAP(Mg)が溶解せず、ざらつき感のない透明な化粧水を得ることはできなかった。 参考例2. AP(Na)のかわりにAP(Mg)を用いる以外は実施例2と同様に行って化粧水を得ようとしたが、(A)においてAP(Mg)が溶解せず、ざらつき感のない透明な化粧水を得ることはできなかった。 参考例3.化粧水(c)の調製 プロピレングリコールのかわりにグリセリンを用いる以外は実施例1と同様に行って化粧水を得た。 参考例4.化粧水(d)の調製 プロピレングリコールのかわりに精製水を用いる以外は実施例1と同様に行って化粧水を得た。 参考倒5. 実施例1,2または参考例3,4で調製した化粧水(a),(b),(d)および(d)について、専門パネラー20人により使用感の良否について官能試験を実施した。 結果を第1表に示す。 第1表から明らかなように、プロピレングリコールまたは1,3-ブチレングリコールの添加された系の方が、使用感の良い化粧水であった。 参考例6. L-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム塩〔AP(Na)〕の結晶の製造: シュードモナス・アゾトコリガンスATCC12417をポリペプトン10g/l、肉エキス7g/l、酵母エキス5g/lおよびNaCl 3g/lを含むpH7.2に調整した培地30mlに植菌し、30℃で20時間培養した。ついでKM102培地300mlに上記で得られた種培養液12mlを植菌し、30℃で、20時間培養した。得られた培養液を10,000×gにて10分間遠心分離し、湿菌体11.8gを得て、-20℃にて凍結保存した。凍結保存菌体50mg/ml(湿菌体重量)を含む、アスコルビン酸200秘、ピロリン酸カリウム200mM、酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)100mM、ナイミーンS-215(日本油脂社製)4g/l、キシレン10ml/lの組成の反応液50mlを、マグネチック・スターラーにて100rpmで撹拌しつつ、水酸化ナトリウムでpHを4.0付近に、温度を40℃に保って36時間反応させた。得られた反応液(AP 30g/l含む。)1lを除菌濾過し、濾液をプロライトA100(中塩基性陰イオン交換樹脂、プロライト・インターナショナル社製)1lを充填した塔に通液した。吸着したAPを1N希塩酸で溶離し、10N水酸化ナトリウム水溶液でpH9.5に調製した。 この液のAPの濃度を80g/lに減圧濃縮後0.45ミクロンのミリポアフィルターを用いて濾過した。済液を60℃に加熱還流、攪拌しながら、メタノール900mlを約6時間かけてゆっくり加え、その後3時間加熱還流を継続した。室温で一晩放置した。生じた結晶を濾過し、メタノールで洗浄した。次いで40℃で一夜真空乾燥して目的とするAP(Na)の結晶の精製品21.4g(収率71%)を得た。 発明の効果 本発明により、日焼けによるシミそばかすを防ぎ、抗酸化能を有し、コラーゲン生成増張作用を有するとともに、皮膚に優しく、良好な使用感を有し、濁りや沈澱の生成しない品質上安定した優れた化粧水が提供される。 |
訂正の要旨 |
(1)特許明細書の請求項1における、 「L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩0.05〜3.0重量%、および1,3-ブチレンゲリコール及びプロピレングリコールから選ばれる多価アルコール1〜20重量%を含み、中性ないし中酸性領域にpH値を有する化粧水。」なる記載を、 「L-アスコルビン酸-2-リン酸・ナトリウム塩0.05〜3.0重量%、および1,3-ブチレンゲリコール及びプロピレングリコールから選ばれる多価アルコール1〜20重量%を含み、pH5.0〜7.5にpH値を有する化粧水。」に訂正する。 |
異議決定日 | 2001-02-02 |
出願番号 | 特願平2-73629 |
審決分類 |
P
1
651・
534-
YA
(A61K)
P 1 651・ 531- YA (A61K) P 1 651・ 113- YA (A61K) P 1 651・ 121- YA (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 塚中 直子、藤井 彰 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
谷口 浩行 大久保 元浩 |
登録日 | 1999-07-16 |
登録番号 | 特許第2954640号(P2954640) |
権利者 | 協和醗酵工業株式会社 |
発明の名称 | 化粧水 |