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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 A61K |
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管理番号 | 1044609 |
異議申立番号 | 異議2000-70676 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-05-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-02-22 |
確定日 | 2001-03-19 |
異議申立件数 | 3 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2939123号「薬物含有粘着シート及びその包装構造」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2939123号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 特許第2939123号の請求項1〜11に係る発明についての出願は、平成6年6月1日(国内優先権主張 平成5年9月10日)に出願され、平成11年6月11日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、林國治、山田敬子、日本バイリーン株式会社からそれぞれ、その特許について特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年10月6日に訂正請求がなされたものである。 II.訂正について 1.訂正の内容 (1)特許請求の範囲請求項1を「【請求項1】 支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることを特徴とする薬物含有粘着シート。」と訂正する。 (2)特許請求の範囲の請求項4を「【請求項4】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。」と訂正する。 (3)特許請求の範囲の請求項5を「【請求項5】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。」と訂正する。 (4)特許請求の範囲の請求項10を「【請求項10】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆剤の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されている薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されている薬物含有粘着シートの包装構造。」と訂正する。 (5)特許請求の範囲の請求項10の一部を請求項11として「【請求項11】 薬物含有粘着シートの支持体及び/又は被覆材の凹凸が、押圧によって、印刷によって、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって、あるいは支持体及び/又は被覆材の表面に積層した凹凸形成部材によって形成されている請求項10に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。」と訂正する。 (6)特許請求の範囲のもとの請求項11を繰り下げて請求項12と項の番号を訂正する。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項(1)は、支持体の内、繊維の織布または不織布を除くものであり、さらに、凹凸についてシート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であるとするものであるから、特許請求の範囲の減縮に当たるものである。そして、これらは明細書段落【0032】、【0016】の記載に基づくものである。 訂正事項(2)は、もとの請求項3を引用する形式で記載されていたものを、引用する形式を改めて、もとの請求項の文言を用いて記載するものであるから、明瞭でない記載の釈明に相当するものである。 訂正事項(3)は、もとの請求項1を引用する形式で記載されていたものを、引用する形式を改めて、もとの請求項の文言を用いて記載するものであるから、明瞭でない記載の釈明に相当するものである。 訂正事項(4)、(5)は、もとの請求項10において、請求項1ないし9を引用する形式で記載されていたものを、引用する形式を改めて、もとの請求項1ないし9の文言を用いて記載する場合、もとの請求項1を引用する場合の文言と、もとの請求項2,3,6,7を引用する場合の文言とに分けて記載する必要性が生じ、このため1つの請求項で記載できないために2つの請求項とせざるを得ないものであり、明瞭でない記載の釈明に相当するものである。 訂正事項(6)は、もとの請求項11の項番号を繰り下げたものであり、明瞭でない記載の釈明に相当するものである。 そして、前記訂正事項(1)〜(6)は、願書に添付した明細書の記載に基づくもので、明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する同法第126条第2〜3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.本件発明 訂正明細書の請求項に係る発明は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜12に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることを特徴とする薬物含有粘着シート。 【請求項2】 支持体及び/又は被覆材の凹凸が押圧によって形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項3】 支持体及び/又は被覆材の凹凸が印刷によって形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項4】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。 【請求項5】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。 【請求項6】 支持体及び/又は被覆材の凹凸が、支持体及び/又は被覆材の表面に積層した凹凸形成部材によって形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項7】 凹凸形成部材が、織布又は不織布である請求項6に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項8】 支持体及び/又は被覆材の凹凸において、この凸部が支持体及び/又は被覆材の表面全体の5〜90%である請求項1ないし7のいずれかに記載の薬物含有粘着シート。 【請求項9】 支持体及び/又は被覆材の凹凸において、凸部のピッチが0.1〜20mmであり、且つ高さが2μm〜1mmである請求項1ないし8のいずれかに記載の薬物含有粘着シート。 【請求項10】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆剤の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されている薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されている薬物含有粘着シートの包装構造。 【請求項11】 薬物含有粘着シートの支持体及び/又は被覆材の凹凸が、押圧によって、印刷によって、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって、あるいは支持体及び/又は被覆材の表面に積層した凹凸形成部材によって形成されている請求項10に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。 【請求項12】 包材における内面の凹凸において、凸部のピッチが0.1〜20mmであり、且つ高さが2μm〜lmmである請求項10又は11のいずれか一項に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。」 IV.特許異議の申立について 1.特許異議申立人の主張 異議申立人 林國治は、甲第1号証(実願昭58-52719号(実開昭59-159413号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(実願平2-8518号(実開平3-99790号)のマイクロフイルム)、甲第3号証(実開平4-120726号公報)、甲第4号証(実開平4-99918号公報)を提出して、訂正前の請求項1及び2に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1及び2に係る各発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、さらに請求項1,2,6,7に係る各発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたもので、特許を取り消すべき旨、 異議申立人 日本バイリーン株式会社は、甲第1号証(実願昭62-17628号のマイクロフイルム(実開昭63-175128号公報))、甲第2号証(特開平4-65562号公報)を提出して、訂正前の請求項1〜3及び8に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1〜3及び8に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、さらに、請求項1〜3,8及び9に係る発明は、甲第1号証ないし甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許を取り消すべき旨、 異議申立人 山田敬子は、甲第1号証(実公昭60-34267号公報)、甲第2号証(実公昭63-15315号公報)、甲第3号証(実公平2-30412号公報)、甲第4号証(実公昭58-8738号公報)、甲第5号証(実公昭59-4653号公報)、甲第6号証(実公昭59-10989号公報)、甲第7号証(実公昭60-14732号公報)、甲第8号証(実開平2-125928号公報(マイクロフィルムの写し))、甲第9号証(特開平2-191757号公報)、甲第10号証(特開平2‐240013号公報)、甲第11号証(特開平2-240014号公報)、甲第12号証(特開平5-209355号公報)、甲第13号証(実開昭63-78031号公報(マイクロフィルムの写し))、甲第14号証(実開昭53‐2451号公報(マイクロフィルムの写し))、甲第15号証(特公平2-1506号公報)を提出して、訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証〜甲第12号証に各記載された発明であるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、さらに請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また、請求項2〜9に係る各発明は、甲第1号証〜甲第12号証に各記載された発明であるから、請求項2〜9に係る各発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、さらに、請求項2〜9に係る各発明は、甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また、請求項10〜11に係る各発明は、甲第1号証〜甲第15号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、さらに、本件明細書には記載不備があるので、本件特許は、特許法第36条の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許を取り消すべき旨、それぞれ主張している。 2.異議申立てについての判断 (1)異議申立人 林國治の申立について 特許法第29条第1項および第2項違反について (i)甲号証の記載 甲第1号証には、 「1.粘着剤層を設けたプラスチックフィルム若しくはシート製基材をエンボス加工して任意方向の手切性を付与した貼付材。 2.粘着剤層が薬物含有粘着剤層である実用新案登録請求の範囲第1項に記載の貼付材。 3.エンボス加工して縦横方向の手切性を付与した実用新案登録請求の範囲第1項又は第2項記載の貼付材。」(実用新案登録請求の範囲第1〜3項)が記載され、 「本考案は、手先で所望の大きさに容易に裁断して適所に使用できる貼付材に関し、特に医療用として患部に適用して効果を有する。」(明細書第1頁下から4行〜2行)と記載され、 「本案は薬剤入り粘着剤層その他の粘着剤層を形成するプラスチック製の基材をエンボス加工したもので、手先で容易に任意寸法に裁断でき、例えば患部に応当した適当な大きさの貼付材にして該患部に施用して有効な治療ができ、無用な貼付材を使用せず、正常部の皮膚にかぶれその他の悪影響を及ぼすことも全くないものである。」(同2頁17行〜3頁4行)と記載され、 「必要に応じて前記粘着剤層には、前記基材を構成するプラスチックその他のフイルム製の剥離性被覆(4)が貼着される。 上記プラスチックフィルム若しくはシートのエンボス加工は、円柱状、円錐状、若しくは正円錐台状等あるいは四角柱状、四角錐状、若しくは正円錐台状等の小突起を適当な間隔を存して格子状その他の適当な配列にして設けたエンボスロール型、エンボス平板型を使用し、加熱加圧してでき、そのさいプラスチックフィルム若しくはシートには型に応当する凹入部がほぼ格子状その他の適当な形状に配列形成されており、貫通孔は形成されないようにする。」(同第3頁第14行〜第4頁第5行)と記載され、種々の形状のエンボス加工が、押圧により形成されることが図示されている。 甲第2号証には、 「平均繊維直径8ミクロン以下の極細繊維で構成された見掛け密度0.18〜0.30g/cm3の不織布であって、該不織布の一面は・・・バインダー樹脂が付与されて繊維とバインダー樹脂との混在した層を形成し、かつエンボスが付与された面であり、他の面はバインダー樹脂を殆ど含有していないことを特徴とする貼付用基材。」(実用新案登録請求の範囲第1項)が記載され、 「本考案は湿布薬剤用、プラスター用、救急絆創用などの貼付用基材に関するものである。」(第1頁第14〜15行)と記載され、 「本考案は、表面の羽毛立ち、薬剤の裏抜けのない、柔軟で肌添い性、薬剤の塗布性の良い極細繊維不織布でなる貼付用基材を提供するにある。」(第3頁9行〜11行)と記載され、 「この不織布は必要に応じてプレス処理を行い、少なくとも一面を緻密化と繊維の接触部を接着する処理を行うことも好ましい。」(第5頁第6〜8行)と記載され、 「加熱した凹凸模様またはピンポイント模様を有するロールあるいはエンドレスベルトで、バインダー樹脂と繊維とが混在した不織布面をプレス処理して、不織布表面を緻密化させると共に模様を付与してもよく、生産工程の都合でいずれかの方法を選択すれば良い。」(第7頁第1〜6行)と記載されている。 甲第3号証には、 「【請求項1】 着色ポリウレタンからなり、・・・平均厚さ5〜50μmの基材層と、該基材層の片面に積層された粘着剤層とからなり、かつ該基材層が該粘着剤層と接触している面と反対側の面においてエンボス模様を有していることを特徴とする皮膚面貼付用粘着フイルム。 【請求項2】 請求項1記載の皮膚面貼付用粘着フィルム、該粘着フイルムの粘着面上に積層された剥離シートおよび該粘着フイルムの基材面上に積層された剥離シートからなる積層体。」(実用新案登録請求の範囲第1〜2項)が記載され、 「本考案の目的は、皮膚に貼付した場合にむれ感が少なく、皮膚の動きに追随する伸縮性を有し、かつ不自然な光沢を有さない皮膚のマスキングや装飾に使用する貼付用粘着フイルムを提供すること、および該貼付用粘着フイルムの取り扱いを容易にする物品を提供することにある。」(段落【0005】)が記載され、 「表面に艶調整した所望のエンボス模様を施した離型シート(例えば、離型紙)上に、調製した所望のポリウレタン組成液を所定量塗布し、乾式製膜法で製膜することにより、皮膚面が有しているようなエンボス模様(しぼ)を少なくとも片面に有する・・・ポリウレタンフイルムにすることができる。本考案で使用する基材層は、かかる製膜において着色剤が配合されたポリウレタンを使用することによって形成される。・・・」(段落【0012】)と記載され、 「本考案の積層体における剥離シートとしては、・・・透明または不透明なシートであればよく、その材質は、紙、プラスチックス、不織布加工シートなど特に限定されない。剥離シートの表面は凹凸を有していてもよく、平らであってもよい。・・」(段落【0019】)と記載されている。 甲第4号証には、 「不織布と光透過性で柔軟性のプラスチックフィルムとをラミネートし、少なくとも不織布はエンボス加工し、プラスチックフィルムの不織布と反対側の全面に光透過性の粘着剤層を設けたことを特徴とするドレッシング。」(実用新案登録請求の範囲第1項)が記載され、 「本考案の目的は、操作性が良好で、しかも貼り付けるべき面を透視することのできるドレッシングを提供することにある。」(段落【0004】)と記載され、 「エンボス加工のパターンには任意のものを用いることができる。図2はその例を示したもので、aは四角形、bは三角形,cは円、dは長円のパターンを示す。」(段落【0011】)と記載されている。 「この支持体としては、シート状或いはフィルム状のもので形成されたものであれば特に限定されるものではないが、特に、薬物の蒸散や湿気が透過しないものが望ましく、この支持体は単層或いは複数層の積層体で形成されても良いのである。」(段落【0013】)と記載され、 「本考案によれば、不織布、プラスチックフイルム、粘着剤層が共に透明であるから不織布、プラスチックフイルムを通して皮膚面を見ながら所定の正確な位置に貼り付けることができ、また貼り付けた状態で随時皮膚面の状態を観察することができるから、治療に最適な処置をとることが可能となり、プラスチックフイルムは不織布に保形支持されているから操作も極めて容易である。」(段落【0027】)と記載されている。 (ii)判断 (ア)請求項1に係る発明について 甲第1号証のものは、粘着剤層を設けたプラスチックフイルム若しくはシート製基材をエンボス加工して凹凸を形成した貼付材であるが、前記エンボス加工による凹凸の形状が角部のない湾曲形状であることについては示されていない。また、甲第1号証のものは、エンボス加工して凹凸を形成する目的が、手先で容易に任意寸法に裁断でき、患部に応当した適当な大きさの貼付材にして該患部に施用することにより、無用な貼付材を使用しなくてもよいというためのものである。 一方、請求項1に係る発明は、薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることを構成とするものである。また、請求項1に係る発明の凹凸の形成は、包装材との内面との実質的接触面が小さくなり、薬物含有粘着シートが使用時に至極容易に取り出せる作用を奏するために設けるものである(段落【0010】、【0027】)。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体に形成された凹凸形状については甲第1号証には記載されているとはいえないし、また、支持体に凹凸を形成する目的も相違するものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載されているとはいえないし、また甲第1号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第2号証のものは、極細繊維で構成された不織布であって、該不織布の一面はバインダー樹脂が付与されて繊維とバインダー樹脂との混在した層を形成し、かつエンボスが付与された面であり、他の面はバインダー樹脂を殆ど含有していない貼付用基材に係るものである。そして、その目的とするところは、不織布面をプレス処理して、不織布表面を緻密化させると共に模様を付与することにより湿布薬剤用、プラスター用、救急絆創用などの貼付用基材として、表面の羽毛立ち、薬剤の裏抜けのない、柔軟で肌添い性、薬剤の塗布性の良い極細繊維不織布でなる貼付用基材を提供するものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸の形成が包装材との内面の実質的接触面を小さくすることにより、薬物含有粘着シートが使用時に至極容易に取り出せるために設けるものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第2号証に記載されているものとは相違し、また凹凸を設ける目的も相違するものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載されているとはいえないし、また甲第2号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第3号証のものは、着色ポリウレタンからなる基材層と、該基材層の片面に積層された粘着剤層とからなり、かつ該基材層が該粘着剤層と接触している面と反対側の面においてエンボス模様を有している皮膚面貼付用粘着フイルム、該粘着フイルムの粘着面上に積層された剥離シートおよび該粘着フイルムの基材面上に積層された剥離シートからなる積層体に係るもので、その目的とするところは、皮膚に貼付した場合にむれ感が少なく、皮膚の動きに追随する伸縮性を有し、かつ不自然な光沢を有さない皮膚のマスキングや装飾に使用する貼付用粘着フイルムを提供すること、および該貼付用粘着フイルムの取り扱いを容易にする物品を提供することである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸の形成が包装材との内面の実質的接触面を小さくすることにより、薬物含有粘着シートが使用時に至極容易に取り出せるために設けるものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第3号証の支持体と相違し、また凹凸を設ける目的も相違するものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第3号証に記載されているとはいえないし、甲第3号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第4号証のものは、不織布と光透過性で柔軟性のプラスチックフィルムとをラミネートし、不織布はエンボス加工し、プラスチックフィルムの不織布と反対側の全面に光透過性の粘着剤層を設けたドレッシングに係るものである。そして、その目的とすることは、操作性が良好で、しかも貼り付けるべき面を透視することのできるドレッシングを提供することにあり、エンボス加工のパターンには任意のものを用いることにより、不織布、プラスチックフイルム、粘着剤層が共に透明であるから不織布、プラスチックフイルムを通して皮膚面を見ながら所定の正確な位置に貼り付けることができ、また貼り付けた状態で随時皮膚面の状態を観察することができるから、治療に最適な処置をとることが可能となるいうものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸の形成が包装材との内面の実質的接触面を小さくすることにより、薬物含有粘着シートが使用時に至極容易に取り出せるために設けるものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第4号証に記載されている支持体とは相違し、また凹凸を設ける目的も相違するものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第4号証に記載されているとはいえないし、甲第4号証の記載から容易に成し得たともいえない。 そして、甲第1号証〜甲第4号証の記載を合わせ検討しても、請求項1に係る発明は、前記甲第1〜4号証に記載された発明から容易に発明をすることができたともいえない。 (イ)請求項2に係る発明は、請求項1を引用するものであるから、請求項1に係る発明と同様、甲第1〜4号証に記載された発明ではないし、甲第1〜4号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 (ウ)請求項6、7に係る各発明は、請求項1を引用するものであるか、または請求項1を引用した請求項を引用するものであるから、請求項1に係る発明と同様、甲第1〜4号証に記載された発明ではないし、甲第1〜4号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 (2)異議申立人 日本バイリーン株式会社の申立について (i)特許法第29条第1項および第2項違反について 甲第1号証には、 「可撓性を有する支持体に有効成分を含有する薬物層を設け、この薬物層の表面に剥離可能なフィルム状体を被覆したパップ剤において、前記フィルム状体、支持体のうちの少なくとも一方に所望の基準ごとに異る図形、模様、色、文字または記号、もしくはこれらの全部または一部の組合せを施したことを特徴とするパップ剤。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「ところで、従来、あるパップ剤が成分、効果、性状、作用などの点においてどのような特徴をもつものであるか、あるいはどのような種類のものであるかの判別は、もっぱら前記包装袋に表示された説明書きによって行うようになっていた。したがって、、判別が煩雑なうえ、前記包装袋からパップ剤を取り出した後は上記判別をすることが極めて困難で、・・・使用すべきパップ剤の選択を誤るおそれがある。」(第3頁6行〜15行)と記載され、 「包装袋の説明書きをいちいち確認しなくても、また包装袋から取り出した後であっても、その種類や特徴などを誰にでも簡単に判別できるパップ剤を提供することにある。」(第4頁10〜14行)と記載され、 「図面において1はパップ剤を示すもので、2はフランネルなどの布や不織布など、柔らかい感触をそなえるとともに可撓性を有するほぼ矩形状の支持体である。この支持体2の表面には打撲や捻挫などの症状に有効な成分を含有した薬物層3が一定の肉厚で展延されており、さらに、この薬物層3の表面には薬物保護用のフィルム状体4が被覆されている。このフィルム状体4は合成樹脂フィルムからなり、通常は薬物層3の持つ貼着力によって薬物層3の表面に貼り合わされているが、使用時には容易に剥離できるようになっている。 このように構成されたパップ剤1のフィルム状体4の表面には、エンボス加工により8個の菱形の図形5が施されている。この図形5は、パップ剤の種類あるいは特徴などに応じて異なっていて、」(第5頁第8行〜第6頁2行)と記載され、 「また、前記実施例ではフィルム状体4にエンボス加工して施したが、焼付け、印刷など他の方法で施してもよい。さらに、前記図形、色、模様、文字、記号またはこれらの組合せはフィルム状体4ではなく、支持体2の裏面に施してもよく、あるいはフィルム状体4と支持体2の両方に施してもよい。」(第7頁第8〜15行)と記載され、 「以上説明したように、この考案によれば、所望の分別基準に応じパップ剤に異る図形、模様、色、文字、記号またはこれらの組合せを施すことにより、最適なパップ剤を容易に選択および判別することができ、パップ剤の誤使用を防止できるとともに、管理が容易で、また患者のような素人でも自己の所望する最適のパップ剤を簡単に選択または指定できるという効果がある。」(第7頁第17行〜第8頁第2行)と記載されている。 甲第2号証には、 「1 ポリオレフィン系の高捲縮熱接着性複合繊維の単独又は該複合繊維を少なくとも30重量%含有する他の有機繊維との混合繊維から成り上記複合繊維には三次元の捲縮が発現していると共にその熱接着により不織布化された不織布において、布面上に分布する各点面の面積が0.007cm2〜0.8cm2でそれらの合計面積が布面の10〜40%となる多数の点面の位置の不織布部分内にのみ熱接着点が形成されていることを特徴とするポリオレフィン系伸縮性不織布。」(特許請求の範囲第1項)が記載され、 「本発明は、高い伸長回復率で示される優れた伸縮性と共に優れた風合を有していて包帯、ハップ剤基布などの用途に好適なボリオレフィン系伸縮性不織布及びその製造方法に関するものである。」(第2頁左上欄第9〜12行)と記載され、 「熱接着点を熱接着域が所定の分布をするように形成させるには、いくつかの方法がある。一つは、各点面の面積及び分布に対応する凸状体を有する押し型を熱接着温度に加熱して押し付ける方法であって、目付が10〜50g/m2程度の場合に好ましい。その凸状体の先端面laの分布状態(パターン)は第1図〜第3図に例示されている。」(第3頁左下欄第17行〜右上欄第3行)と記載されている。 (ii)判断 甲第1号証のものは、パップ剤のフイルム状態の表面のみでなく支持体の裏面、あるいはフィルム状体と支持体の両方に、所望の分別基準に応じパップ剤に異る図形、模様、色、文字、記号またはこれらの組合せを施すことにより、最適なパップ剤を容易に選択および判別することができ、パップ剤の誤使用を防止できるとともに、管理が容易で、また患者のような素人でも自己の所望する最適のパップ剤を簡単に選択または指定できるという効果を奏するものである。 一方、本件発明は、請求項1に係る構成を採用することにより「薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易い」という効果を奏するのである。 そして、本件特許の請求項1により特定される事項については、甲第1号証に記載されているとはいえず、また両者の凹凸を設ける目的も相異するものであるから、本件請求項1に記載の発明が、甲第1号証に記載されたものであるとも、甲第1号証に記載されたものから容易に発明をすることができたとも言えない。 さらに、甲第2号証のものは、ポリオレフィン系の高捲縮熱接着性複合繊維の単独又は該複合繊維を少なくとも30重量%含有する他の有機繊維との混合繊維から成り上記複合繊維には三次元の捲縮が発現していると共にその熱接着により不織布化された不織布において、布面上に分布する各点面の面積が0.007cm2〜0.8cm2でそれらの合計面積が布面の10〜40%となる多数の点面の位置の不織布部分内にのみ熱接着点が形成されていることにより、複合繊維の1本1本は接着個所少なくしかし確実に接着されていることにより、三次元の捲縮の有する弾性は充分に活かされて不織布の伸縮性を優れたものとし、しかも特有の優れた風合いを持たせ、そして不織布強力としても実用上充分なものとなるという効果を奏するものであるが、本件特許の請求項1により特定される「支持体(繊維の織布または不織布を除く)」事項及び「シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シート」の事項については、甲第2号証に記載されているとはいえず、また、請求項1に係る発明の「薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易い」という効果と甲第2号証のものが奏する効果とは相異しているのである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第1〜2号証に各記載された発明ではないし、甲第1〜2号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 また、請求項2〜3に係る各発明は、請求項1を引用するものであるから、請求項1と同様、甲第1〜2号証に記載された発明ではないし、甲第1〜2号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 さらに、請求項8、9に係る各発明は、請求項1を引用するものであるか、または請求項1を引用した請求項を引用するものであるか、または、異議申立の対象とならなかった請求項を引用するものであるから、請求項1と同様、甲第1〜2号証に記載された発明ではないし、甲第1〜2号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 (3)異議申立人 山田敬子の申立について (i)特許法第29条第1項および第2項違反について (a)甲号証の記載事項 甲第1号証には、 「(1) 目付が20ないし300g/m2の連続フィラメントからなり、部分的に熱圧着してなる不織布を基布としたことを特徴とする湿布材。」(実用新案登録請求の範囲第1項)が記載され、 「本考案は湿布材詳しくは調合した湿布用薬剤を塗布するいわゆる厚手のパップ剤および薄手のプラスター等の基布に関するものである。」(第1欄第9〜11行)と記載され、 「すなわち、本考案の不織布が緻密な構造であると共に、塗布する薬剤に応じて適切な目付を選ぶことができるため、薬剤の洩れがなく、また、織物等に比べ、その構成する繊維の方向性が少なく、あらゆる方向に対してほぼ同程度の変形性能を持つことができる。したがって、身体へのフィット性が優れ、さらに構成する繊維を連続フィラメントからなるいわゆる長繊維不織布にすることにより、織物に匹敵する加工時または使用時に耐える高強力の布帛が得られる。」(第2欄10行〜19行)と記載され、 「一般にプラスターと呼ばれる湿布材は粘着性を有した湿布薬剤を基布に塗布したもので、薄状のものが一般的でその基布としては綿布が使用されてきた。」(第2欄第28行〜第3欄第3行)と記載され、 「ウエブの部分融着は通常熱板あるいは加熱ロールの一方に、あるいは両方に凹凸をつけ、ウエブの加熱とウエブに加わる圧力のバランスでおこなうのが一般的で、その熱圧着部分の大きさ、割合、形状、配置等は任意であるが風合いを損なわずできるだけ繊維の自由度を保ちつつ毛羽立ちのないよう決定することが必要であり、・・・薬剤の浸透、液洩れを強調する場合は熱圧着面積率の比較的高い方が有効である。」(第4欄37行〜5欄4行)と記載され、 「これらの湿布材はその薬剤の効果を保持させるために、通常第1図に示した如く、保存中は薬剤面をフィルムで、カバーしておき、さらに密閉したフィルム等の袋あるいはアルミ箔、蒸着フィルム等の袋に格納し、使用時薬剤面を露出させ患部にあてるのが一般的である。」(第5欄第29〜34行)と記載され、 「部分的に熱圧着してなる不織布」の構造について、熱圧着部が独立した構造のもの(第1〜3図)、熱圧着部が連続しており、非熱圧着部が凸部を形成した構造のもの(第4図)などが示されている(第5欄第12〜28行)。 また「実施例1 プラスターの基布として通常のスパンボンド方式によって、ナイロン6、ポリエステル、ポリプロピレンを用いたウェブを形成し、加熱ロールを用いて部分熱圧着を行なった。・・・次にこれらを基布として、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー基剤に1-メントール、サリチル酸グリコールを主成分とした消炎鎮痛作用を有する薬剤を配合した液を塗布し、フィルムで薬剤面をカバーし袋詰して第1表に示す製品(1)-(4)とした。」(第6欄第6〜17行)と記載されている。 甲第2号証には、 「目付が20ないし300g/m2、0.5〜5デニールの連続フィラメントからなる、ウエブの全面に拡がる任意形状均一模様のウエブ表面から裏面にわたりウェブの厚みより薄い繊維の部分的な熱圧着部によって接合してなる不織布に、該不織布を通して0.5〜5デニールの綿状繊維が移動し該不織布両面に綿状繊維層を形成して積層・接合した綿状繊維層を介して薬剤を塗布してなることを特徴にする積層湿布材。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「本考案の材料は表面に綿状のものを基布を貫いて重ねると共に基布とする不織布の部分熱圧着の持つ効果によって緻密な構造にすると共に、塗布する薬剤に応じて適切な目付を選ぶことができるため、薬剤の洩れがなく、また、織物等に比べ、その構成する繊維の方向性が少なく、あらゆる方向に対してほぼ同程度の変形性能を持つことができる。したがって、身体へのフィット性が優れ、さらに構成する繊維を連続フィラメントからなるいわゆる長繊維不織布にすることにより、織物に匹敵する加工時また使用時に耐える高強力の布帛が得られると言うものである。」(第3欄21行〜32行)と記載され、 「本考案の湿布材料を粘着性薬剤を塗布したいわゆるプラスターとして用いることは何らさしつかえない。」(第8欄第19〜23行)と記載されている。 甲第3号証には、 「ウェブ全面に拡がる任意形状のウェブ表面から裏面にわたる繊維の部分熱圧着部によって接合された0.5〜5デニールの熱可塑性のエンドレス長繊維からなる不織布で、その熱圧着凹部が基材の厚みの1/2以下であって、かつ、0.03〜0.1mm2/個の単位面積を有し、10cm平方内に2000〜6000個の散在密度を有し、かつ目付50〜100g/m2であることを特徴とする皮膚巴布材用基布。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「種々工夫の結果、熱圧着の凹部、即ち、熱圧着によって押し固められ、フイルム的な部分が、薬剤のしみ出し防止に寄与すること、更に風合い、嵩高性、モジュラス等に大きく関係することを見いだした。そして、この熱圧着の凹部の面積を可及的に小にし、その散在密度を可及的に小にすること、そのためにエンボスロールの凸部の高さを可及的に大とすることにより、目付、風合、伸縮性、嵩高性、モジュラス共に望ましい値を有する安価な布帛を得ることが可能となり、本考案をなすに至った。」(第3欄24行〜34行)と記載され、 「本考案は、打身、捻挫等の外科治療に用いる為の新規にして安価な皮膚巴布材用基布に関する。」(第1欄第11〜12行)と記載され、 「熱圧着は、凸部高さの高いエンボスロールを用いて行い、第2図の2で示すように全く圧着されない表面部分を残し、基材の厚みの1/2以下に熱圧着し、又完圧しないのが好ましい。」(第4欄第24〜27行)と記載されている。 甲第4号証には、 「1.雛付け加工もしくはエンボス加工が施こされ、縦横方向にそれぞれ8%以上の伸び率を存する紙基材の片面に膏剤層が設けられていることを特徴とする伸縮性貼付剤。」(実用新案登録請求の範囲第1項)が記載され、 「該従来品は基材が布帛からなり柔軟性には富むものの縦横方向の伸び率を殆んど有しないのでこれが貼着された皮膚の屈曲動作に追随し難く、為に皮膚面より剥離乃至脱落し易いという欠点を有していた。本考案は叙上の如き従来品の欠点を解消し、貼着した状態で自由に動作しても皮膚から容易に剥離したり脱落したりすることがなく、又使用感の快適な貼付剤を提供することを目的としてなされたものにして、・・・」(第1欄30行〜2欄2行)と記載され、 「本考案における膏剤層は一般名バスタ或は泥膏と云われるもので、サルチル酸メチル、カンフル、メントール等の消炎剤と、カオリン、亜鉛華の如き充填剤、グリセリン等の保水剤、ボバール等の賦形剤、その他の添加剤を配合した膏剤である。」(第3欄第2〜6行)と記載され、 「その膏剤層の表面には剥離紙が仮着され使用に際してはその剥離紙を剥ぎ取って皮膚に貼着する」(第3欄第10〜12行)と記載されている。 また、その第1図及び第2図には、基材1と膏剤層2と剥離紙3とからなる積層構成を有する伸縮性貼付剤が示されている(第2欄第7〜16行)。 甲第5号証には、 「疎水性繊維層と親水性繊維層が重合され、疎水性繊維層側のみからニードリングして、一体化した構造の皮フ貼付剤用基布。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「然しながら従来のニードルパンチ不織布では、薬剤塗布時のテンションによりタテ方向に伸び型くずれを起こす欠点があった。又塗布した薬剤の粘度が低いと基布へ浸透しやすく、このため薬剤が蒸発し、著しく薬物を損なうなどの欠点があった。本考案はこれらの欠点を解決するものである。」(第1欄23行〜28行)と記載され、 「本考案は打身、捻挫等の外科治療に使用される皮フ貼付剤用基布に関するものである。・・・この基布の片面に消炎鎮痛剤などを含む水性軟質外用薬を塗布して使用されている。」(第1欄第17〜23行)と記載されている。そして、その第1図には、親水性繊維層2の上に、疎水性繊維層1がニードリングにより形成された凹凸構造を有する皮膚貼付用基布が示されている。 甲第6号証には、 「通気性、通水性の少ないスパンボンド布の片面又は両面に繊維層が重合され、ニードリングにより繊維層の一部繊維が該スパンボンド布を貫通してスパンボンド側に顕出した構造の皮フ貼付剤用基布。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「本考案は打身、捻挫などの外科用治療に使用される皮フ貼付剤用基布に関する。・・・この基布の片面に消炎鎮痛剤などを含む水性軟質外用薬を塗布して使用されている。」(第1欄第19〜25行)と記載されている。そして、その第1図及び第2図には、スパンボンド布2を貫通して露出した繊維層1を有する凹凸構造の皮膚貼付用基布が示されている。 甲第7号証には、 「熱可ソ性フィルムの片面に繊維ウエブが載置され、該フィルムの他面にスパンボンド布が載置され、かつこれらと二ードリングにより一体化し、繊維ウエブの一部がフイルム、スパンボンド布を貫通して反対側に顕出した構造の皮フ貼付剤用基布。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「本考案は打身、捻挫等の外科治療に使用される皮フ貼付剤用基布に関するものである。・・・この基布の片面に消炎鎮痛剤などを含む水性軟質外用薬を塗布して使用されている。」(第1欄第9〜15行)と記載されている。そして、その第1図には、熱可塑性フィルム2とスパンボンド布3とを貫通した繊維ウェブ1を有する凹凸構造の皮膚貼付用基布が示されている。 甲第8号証には、 「感熱型潜在捲縮性繊維に捲縮を発現せしめた捲縮繊維を含有する繊維ウェブA層と、熱可塑性繊維を含有する繊維ウェブB層との積層ウェブであって、前記捲縮繊維の割合は前記積層ウェブ中の総繊維重量に対して60%以上を占め、前記繊維ウェブB層中の構成繊維の平均デニールは2.0デニール以下であると共に該構成繊維は実質的に一方向に配列しており、且つ前記繊維ウェブA層と前記繊維ウェブB層とは各構成繊維の自己融着によって、点在する多数の結合区域によって接合されており、外用薬は前記繊維ウェブB層の表面に塗布されることを特徴とする外用薬用基布。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「湿布薬等の外用薬を塗布して皮膚に貼付するための外用薬用基布に関するものである。」(第1頁下から第1〜2行)と記載され、 「結合区域(3)の割合は、全体の面積に対して50% 以下程度が好ましい。」(第10頁第9〜19行)と記載され、 「結合区域(3)を設ける方法としては、・・・この積層シートを彫刻された加熱凹凸ロールと平滑ロールとの間を通して、凹凸ロールの凸部の作用によって積層シートに熱と圧力を与える方法(加熱凹凸ロール法)、・・・(超音波法)等を採用することができる。」(第11頁第3〜14行)と記載され、 「熱融着結合区域の総面積は、積層シートの全面積に対して20%である。」(第14頁第5〜7行)と記載されている。また、図面には、繊維ウェブA層と繊維ウェブB層と結合区域3が形成された表面が凹凸状に形成された外用薬用基布が示されている。 甲第9号証には、 「次のA、B繊維が構成繊維の85%以上を占め、該構成繊維間がスポットエンボス加工による点融着で一体化しており且つ構成繊維の捲縮が発現してなる伸縮性不織布。・・・」(特許請求の範囲)が記載されており、そして、点融着について、「スポットエンボス加工機で容易に融着加工ができる。」(第3頁左上欄第17〜20行)と記載され、 「スポットエンボス加工機で融着密度1個/cm2、点融着面積lmm2の融着加工をし伸縮性不織布とした。」(第4頁左上欄第10〜12行)ことが記載されている。 また、「パップ材等の医療用材料」などの用途に使用されるものであることも示されている(第5頁左下欄第6行)。 甲第10号証には、 「(1)エチレン含有量40〜60モル%、固有粘度〔η〕が0.055〜0.085l/gにあるエチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物を主体とした重合体でなる平均繊維直径8ミクロン以下のメルトブローン極細繊維不織布で構成され、少なくとも一面は非連続模様状に繊維の接触部の大部分が接着した面であることを特徴とする貼付用基材。」(特許請求の範囲の第1項)が記載され、 「本発明は、湿布薬剤用、救急絆創膏用などの貼付用基材に関するものである。・・・従来、貼付用基材としては、モスリン、スフモスなどの布帛やビニルフイルムが広く使用されていた。貼付用基材として不織布を使用することもすでに提案されている。例えば多数の細透孔を配した不織布の片面に・・・」(第2頁左下欄第3〜10行)と記載され、 「プレスに使用するロールあるいはエンドレスベルトの少なくとも一方は深い凹凸模様またはピンポイントのエンボスロールあるいはエンドレスベルトを使用することが柔軟性、風合い、伸縮性などの点で好ましい。」(第5頁左下欄第15行〜右下欄第4行)と記載され、そして、各実施例には、不織布にピンポイントエンボスカレンダーロールでプレス処理を行って、非連続模様状にエンボスを施したことが記載されている。 甲第11号証には、 「(1)エチレン含有量40〜60モル%、固有粘度〔η〕が0.055〜0.085l/gにあるエチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物を主体とした重合体でなる平均繊維直径8ミクロン以下のメルトブローン極細繊維不織布と、疎水性ポリオレフィンまたは/および湿潤性ポリオレフィンでなる平均繊維直径8ミクロン以下のメルトブローン極細繊維不織布とが積層されて構成され、少なくとも一面は非連続模様状に繊維の接触部の大部分が接着した面であることを特徴とする貼付用基材。」(特許請求の範囲の第1項)が記載され、 「本発明は湿布薬剤用、救急紳創膏用などの貼付用基材に関するものである。」(第2頁左上欄第17〜18行)と記載され、 「本発明は、貼付用基材に適した柔軟で肌添え性が良く、湿潤性、親油性のある均一性の良い広幅のメルトブローン極細繊維不織布積層体の緻密で柔軟な貼付用基材不織布を提供するにある。」(第2頁左下欄第9〜12行)と記載され、 「少なくとも一面にプレス処理あるいは織維を軟化する温度に加熱した非連続凹凸模様のエンボスを施し、不織布の繊密化および少なくとも一面は非連続模様状に繊維の接続部の大部分は接着した面とすることを特徴とする貼付用基材の製造法である。」(第3頁右下欄第13〜18行)と記載され、各実施例には、エンボスを施して、模様状に部分的に繊維を接着して貼付用基材を製造したことが示されている。 甲第12号証には、 「繊度1.5〜3デニールの長繊維が集積されてなる目付5〜100g/m2の、第一スパンボンド不織布層と第二スパンボンド不織布層とが積層されてなる複合不織布であって、該複合不織布には、下記二種の融着区域のみが間隔を置いて配置されていることを特徴とする複合不織布。 記 (1)第一スパンボンド不織布層を構成する長繊維相互間の自己融着による、第一融着区域。 (2)第一スパンボンド不織布層を構成する長繊維と、第二スパンポンド不織布層を構成する長繊維との融着による第二融着区域。」(特許請求の範囲の請求項1)が記載され、 「実施例1・・・不織ウェブを、多数の点状の凸部を持つ加熱エンボスロールと平滑ロールとの間に導入して、散点状の第一融着区域を設け、第一スパンボンド不織布層を得た。・・・」(段落【0012】)と記載され、 「・・・この第一スパンボンド不織布層上に、前記したと同様の方法で・・・不織ウェブとが積層した複合シートを得た。・・・この複合シートを、加熱エンボスロールと平滑ロールとの間に導入し、第二融着区域を設け、複合不織布を設けた。・・・凸部間隔10mmの格子模様状であり、・・・」(段落【0013】)と記載され、 「そして、第一スパンボンド不織布層には、間隔を置いて第一融着区域が配置されている。従って、第一スパンボンド不織布層と第二スパンボンド不織布層との間、即ち第一スパンボンド不織布層の構成繊維と第二スパンボンド不織布層の構成繊維との間に、多くの空気が含有され、このため複合不織布は嵩高に優れ且つ冷温感にも優れたものである。依って、本発明に係る複合不織布は、身体の肌に直接接触する、衛生材料等の表面材の素材として好適に使用しうるものである。」(段落【0018】)と記載されている。 甲第13号には、「内面がポリアクリロニトリル系フィルムから成る袋の内面に、基材シートに経皮吸収剤含有粘着剤を塗工して成る経皮吸収剤シートの粘着剤面を、剥離容易に貼着すると共に、この袋を密封して成ることを特徴とする経皮吸収剤の包装体。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「尚、本考案において、アクリロニトリルフィルムは、表面がミラー状のみならず、マット調又は、エンボス状であっても良い。」(第6頁第5〜7行)と記載され、そして、図2には、内面に凹凸が形成されたポリアクリロニトリル系フィルムから成る袋3に、基材シート1に経皮吸収剤含有粘着剤2を塗工して成る経皮吸収剤シートを密封した包装体の例が示されている。 甲第14号証には、「一軸延伸により製造したポリエチレンフィルムのシート(1)に絹目、格子状その他の凹凸模様(2)を形成したラベル等の剥離用台紙。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、 「・・・合成樹脂シートを剥離台紙として用いることが行われるようになっている。しかし乍らこの合成樹脂シートは表面が平滑であり、しかもその表面に剥離のための特別の処理を施していないので剥離作業がスムーズに行われにくく、ややもするとラベルの裏面に塗布された感圧性接着剤の一部がフィルム面に残留附着するということがあった。」(第2頁第5〜12行)と記載され、 「特に本考案は前記した凹凸模様(2)を形成することにより、裏面に接着剤(4)を塗布したラベル(3)との接着が凹凸模様(2)の突出面と第一次的に接着するので剥離面積も軽減されて剥離作業も容易に行えるようになり、従来の平滑フィルムからなる剥離台紙では期待することのできなかった画期的な効果を奏することができる。」(第3頁第13行〜第4頁第4行)と記載されている。 甲第15号証には、「1 軟質塩化ビニル樹脂製の壁で形成された扁平にし得る医療用具において、該医療用具を肩平にしたときに少なくとも互いに接触する(a)内壁を平均粒径が0.5〜150μmの架橋塩化ビニル樹脂1.5〜60重量%を分散させた軟質塩化ビニル樹脂組成物より形成して該内壁表面に微小な凹凸を形成し、かつ(b)外壁を架橋塩化ビニル樹脂を1.5重量%未満含有する軟質塩化ビニル樹脂より形成したことを特徴とする医療用具。・・・ 4 凹凸の山の平均高さは1〜45μmである特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか一つに記載の医療用具。」(特許請求の範囲第1,4項)が記載され、 「本発明は、軟質塩化ビニル樹脂積層物よりなる医療用具で、その内壁がエンボスされ、医療用具内面相互間のブロッキング問題の改善を図った医療用具に関するものである。」(第2欄8行〜11行)と記載され、 「本発明の医療用具は、その内壁が上記のごとき架橋塩化ビニル樹脂粒子を含有する軟質塩化ビニル樹脂組成物により構成されており、該架橋塩化ビニル樹脂粒子が医療用具の内表面をエンボスしている。このため、医療用具の内面相互間のブロッキングは阻止される。」(第10欄第26〜31行)と記載され、 「このような軟質塩化ビニルフィルムにおけるブロッキングを防止する方法としては、例えば、軟質塩化ビニル樹脂フィルム加工において、シート引き取り機に付属するロール表面にエンボスを施し、シートの片面に、エンボスを移し取る方法がある。」(第3欄第3〜8行)と記載され、 「一方、本発明の医療用具の外壁3は、一般に未架橋の軟質塩化ビニル樹脂のみか、あるいは架橋塩化ビニル樹脂を1.5重量%未満含む層で構成される。外壁が未架橋の軟質塩化ビニル樹脂のみよりなる層であると、外壁面は鏡面となり、医療用具内に液体を収容したときの透明性は極めて優れたものとなる反面、製造過程で成形した後、シートをローラーに巻きつけた際にブロッキングを起こしローラーより剥れにくくなるため作業能率が低下し、また保存運搬時において他の医療用具等とブロッキングを起こし、さらに手で触れた感触が梨地よりも劣る等の欠点を有している。これに対して架橋塩化ビニル樹脂を1.5重量%未満含む軟質塩化ビニル樹脂よりなる層であると、外面の平滑性は保たれており、他の医療用具等とのブロッキングが防止でるとともに光の乱反射が極めて少なく、医療用具内に液体を収容したときに透明性が高くなり内部を目視により容易に確認することが可能である。従って外壁3は好ましくは、架橋塩化ビニル樹脂を1.5重量%未満、特に好ましくは、0.05重量%以上でかつ1.5重量%未満含有する軟質塩化ビニル樹脂よりなる層で構成される。」(第8欄第11〜33行)と記載されている。 (b)判断 (ア)請求項1に係る発明について 甲第1号証のものは、湿布用薬剤を塗布するいわゆる厚手のパップ剤および薄手のプラスター等の基布において、ウエブの部分融着を熱板または加熱ロールに凹凸をつけたもので、ウエブの加熱とウエブに加わる圧力のバランスでおこなうことにより部分的に熱圧着してなる不織布を基布とした湿布材に係るものである。そして、その目的とするところは、不織布が緻密な構造であると共に、塗布する薬剤に応じて適切な目付を選ぶことができるため、薬剤の洩れがなく、織物等に比べ、その構成する繊維の方向性が少なく、あらゆる方向に対してほぼ同程度の変形性能を持つことができ、身体へのフィット性が優れ、さらに構成する繊維を連続フィラメントからなるいわゆる長繊維不織布にすることにより、織物に匹敵する加工時または使用時に耐える高強力の布帛が得られるというものである。さらに、湿布材が密閉したフィルム等の袋あるいはアルミ箔、蒸着フィルム等の袋に格納されるものでもある。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることを構成とするものである。そして、請求項1に係る発明の凹凸の形成は、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面が少なくなって薬物含有粘着シートや支持体更に被覆材などのシートの滑り性が改善される上、薬物含有粘着シートの貼り付が効果的に防止され、使用時に至極容易に取り出せるというものである。 そうすると、甲第1号証には、請求項1に係る発明の構成である支持体(繊維の織布または不織布を除く)及びシート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることについては記載されているとはいえないし、また凹凸を設ける目的が相違するものであるから、たとえ甲第1号証の湿布材が袋などに格納されることが示されているとしても、取り出しを容易にすることのために凹凸を設けることまでは示唆されているとはいえない。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載されているとはいえないし、甲第1号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第2号証のものは、ウエブの全面に拡がる任意形状均一模様のウエブ表面から裏面にわたりウェブの厚みより薄い繊維の部分的な熱圧着部によって接合してなる不織布に、該不織布を通して綿状繊維が移動し該不織布両面に綿状繊維層を形成して積層・接合した綿状繊維層を介して薬剤を塗布してなる積層湿布材に係るものである。 そして、不織布の部分熱圧着の持つ効果によって緻密な構造にすると共に、塗布する薬剤に応じて適切な目付を選ぶことができるため、薬剤の洩れがなく、織物等に比べ、その構成する繊維の方向性が少なく、あらゆる方向に対してほぼ同程度の変形性能を持つことができ、身体へのフィット性が優れ、さらに構成する繊維を連続フィラメントからなるいわゆる長繊維不織布にすることにより、織物に匹敵する加工時また使用時に耐える高強力の布帛が得られると言うものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第2号証のものとはその構造を異にするものであり、また、凹凸を設ける目的も請求項1に係る発明と甲第2号証のものとでは相違するものであるから、請求項1に係る発明が、甲第2号証に記載されているとはいえないし、甲第2号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第3号証のものは、ウェブ全面に拡がる任意形状のウェブ表面から裏面にわたる繊維の部分熱圧着部によって接合された熱可塑性のエンドレス長繊維からなる不織布で、その熱圧着凹部が基材の厚みの1/2以下であって、かつ、0.03〜0.1mm2/個の単位面積を有し、10cm平方内に2000〜6000個の散在密度を有し、かつ目付50〜100g/m2である皮膚巴布材用基布に係るものであり、その目的とするところは、熱圧着の凹部の面積を可及的に小にし、その散在密度を可及的に小にすること、そのためにエンボスロールの凸部の高さを可及的に大とすることにより、目付、風合、伸縮性、嵩高性、モジュラス共に望ましい値を有する安価な布帛を得ることが可能となるというものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第3号証のものとはその構造を異にするものであり、また、凹凸を設ける目的も請求項1に係る発明と甲第3号証のものとでは相違するものであるから、請求項1に係る発明が、甲第3号証に記載されているとはいえないし、甲第3号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第4号証のものは、雛付け加工もしくはエンボス加工が施こされ、縦横方向にそれぞれ8%以上の伸び率を存する紙基材の片面に膏剤層が設けられている伸縮性貼付剤に係るもので、その目的とするところは、貼着した状態で自由に動作しても皮膚から容易に剥離したり脱落したりすることがなく、又使用感の快適な貼付剤を提供することである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第4号証のものとはその構造を異にするものであり、また、凹凸を設ける目的も請求項1に係る発明と甲第4号証のものとでは相違するものであるから、請求項1に係る発明が、甲第4号証に記載されているとはいえないし、甲第4号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第5号証のものは、疎水性繊維層と親水性繊維層が重合され、疎水性繊維層側のみからニードリングして、一体化した構造の皮フ貼付剤用基布に係るものであり、その目的とするところは、従来のニードルパンチ不織布では、薬剤塗布時のテンションによりタテ方向に伸び型くずれを起こす欠点があり、又塗布した薬剤の粘度が低いと基布へ浸透しやすく、このため薬剤が蒸発し、著しく薬物を損なうなどの欠点があったものを解決することである。 一方、請求項1に係る発明は、薬物含有粘着剤層を構成する支持体が、繊維の織布または不織布を除く支持体であり、支持体に凹凸を形成することにより、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、甲第5号証の支持体は、疎水性繊維層と親水性繊維層が重合され、疎水性繊維層側のみからニードリングして、一体化した構造の皮フ貼付剤用基布であるから、請求項1に係る発明の支持体とはその構造を異にするものである。また支持体に設けられた凹凸もその作用が相違するものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第5号証に記載されているとはいえないし、甲第5号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第6号証のものは、通気性、通水性の少ないスパンボンド布の片面又は両面に繊維層が重合され、ニードリングにより繊維層の一部繊維が該スパンボンド布を貫通してスパンボンド側に顕出した構造の皮フ貼付剤用基布に係るものである。 一方、請求項1に係る発明は、薬物含有粘着剤層を構成する支持体が、繊維の織布または不織布を除く支持体である。 そうすると、甲第6号証の支持体は、スパンボンド布の片面又は両面に繊維層が重合され、ニードリングにより繊維層の一部繊維が該スパンボンド布を貫通してスパンボンド側に顕出した構造の皮フ貼付剤用基布であるから、請求項1に係る発明の支持体とは、その構造を異にするものである。 したがって、請求項1に係る発明が、甲第6号証に記載されているとはいえないし、甲第6号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第7号証のものは、熱可ソ性フィルムの片面に繊維ウエブが載置され、該フィルムの他面にスパンボンド布が載置され、かつこれらと二ードリングにより一体化し、繊維ウエブの一部がフイルム、スパンボンド布を貫通して反対側に顕出した構造の皮フ貼付剤用基布である。 一方、請求項1に係る発明は、薬物含有粘着剤層を構成する支持体が、繊維の織布または不織布を除く支持体である。 そうすると、甲第7号証の支持体は、熱可ソ性フィルムの片面に繊維ウエブが載置されたものであるから、請求項1に係る発明の支持体とはその構造を異にするものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第7号証に記載されているとはいえないし、甲第7号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第8号証のものは、繊維ウェブA層と繊維ウェブB層と結合区域3からなる表面が凹凸状に形成された外用薬用基布である。 一方、請求項1に係る発明は、薬物含有粘着剤層を構成する支持体が、繊維の織布または不織布を除く支持体である。 そうすると、甲第8号証の支持体は、繊維ウェブA層と繊維ウェブB層と結合区域3からなる繊維ウエブからなるものであるから、請求項1に係る発明の支持体とはその構造を異にするものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第8号証に記載されているとはいえないし、甲第8号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第9号証のものは、2種類の繊維が構成繊維の85%以上を占め、該構成繊維間がスポットエンボス加工による点融着で一体化しており且つ構成繊維の捲縮が発現してなる伸縮性不織布からなるパップ基材でる。 一方、請求項1に係る発明は、薬物含有粘着剤層を構成する支持体が、繊維の織布または不織布を除く支持体である。 そうすると、甲第9号証の支持体は、2種類の繊維の構成繊維間がスポットエンボス加工による点融着で一体化された伸縮性不織布からなるものであるから、請求項1に係る発明の支持体とはその構造を異にするものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第9号証に記載されているとはいえないし、甲第9号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第10号証のものは、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物を主体とした重合体でなる平均繊維直径8ミクロン以下のメルトブローン極細繊維不織布で構成され、少なくとも一面は非連続模様状に繊維の接触部の大部分が接着した面である貼付用基材である。そして、不織布面を緻密化し、繊維を接着させるために用いるプレスに使用するロールあるいはエンドレスベルトの少なくとも一方は深い凹凸模様またはピンポイントのエンボスロールあるいはエンドレスベルトを使用することが柔軟性、風合い、伸縮性などの点で好ましいものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第10号証のものとはその構造を異にするものであり、また、請求項1の発明が奏する効果も甲第10号証のものとは相違するものであるから、請求項1に係る発明は、甲第10号証に記載されているとはいえないし、甲第10号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第11号証のものは、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物を主体とした重合体でなる平均繊維直径8ミクロン以下のメルトブローン極細繊維不織布と、疎水性ポリオレフィンまたは/および湿潤性ポリオレフィンでなる平均繊維直径8ミクロン以下のメルトブローン極細繊維不織布とが積層されて構成され、少なくとも一面は非連続模様状に繊維の接触部の大部分が接着した面である貼付用基材であり、貼付用基材に適した柔軟で肌添え性が良く、湿潤性、親油性のある均一性の良い広幅のメルトブローン極細繊維不織布積層体の緻密で柔軟な貼付用基材不織布を提供することを目的とするものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第11号証のものとはその構造を異にするものであり、また、請求項1の発明が奏する効果も甲第11号証のものとは相違するものであるから、請求項1に係る発明は、甲第11号証に記載されているとはいえないし、甲第11号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第12号証のものは、パップ材基布などの用途を有する、繊度1.5〜3デニールの長繊維が集積されてなる目付5〜100g/m2の、第一スパンボンド不織布層と第二スパンボンド不織布層とが積層された複合不織布に係るもので、該複合不織布は、不織ウェブを、多数の点状の凸部を持つ加熱エンボスロールと平滑ロールとで散点状の第一融着区域を設けた第一スパンボンド不織布層とし、これと不織ウェブが積層した複合シートを作成して同様にエンボス加工して、第二融着区域を設けた複合不織布が示されている。そして、前記構成により第一スパンボンド不織布層の構成繊維と第二スパンボンド不織布層の構成繊維との間に、多くの空気が含有され、このため複合不織布は嵩高に優れ且つ冷温感にも優れたもので、身体の肌に直接接触する、衛生材料等の表面材の素材として好適なものというものである。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第12号証のものとはその構造を異にするものであり、また、請求項1の発明が奏する効果も甲第12号証のものとは相違するものであるから、請求項1に係る発明は、甲第12号証に記載されているとはいえないし、甲第12号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第13号証のものは、ポリアクリロニトリル系フィルムから成る袋の内面に、基材シートに経皮吸収剤含有粘着剤を塗工して成る経皮吸収剤シートの粘着剤面を、剥離容易に貼着すると共に、この袋を密封して成る経皮吸収剤の包装体に係るもので、アクリロニトリルフィルムは、表面がマット調又は、エンボス状であっても良いことが示されている。しかしながら、経皮吸収剤シートはについては、その材質については明確に記載されているものではない。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第13号証には開示されているとは言えないし、また、請求項1の発明が奏する効果も甲第13号証のものとは相違するものであるから、請求項1に係る発明は、甲第13号証に記載されているとはいえないし、甲第13号証の記載から容易に成し得たともいえない。 甲第14号証のものは、ポリエチレンフィルムのシートに絹目、格子状その他の凹凸模様を形成したラベル等の剥離用台紙に係るものであり、従来の合成樹脂シートの欠点を改善するために、樹脂シートに凹凸模様を形成することにより、裏面に接着剤を塗布したラベルとの接着が凹凸模様の突出面と第一次的に接着するので剥離面積も軽減されて剥離作業も容易に行えるようになるというもので、ラベル等の剥離用台紙の凹凸模様を形成することの効果を述べたものである。 これに対し、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 したがって、請求項1に係る発明は、甲第14号証に記載されているとはいえないし、また、請求項1に係る発明の目的は薬物含有粘着剤層を有する薬物含有粘着シートを取り出し易くするものであるから、凹凸を設ける目的も甲第14号証のものとは相違するものである。 甲第15号証のものは、軟質塩化ビニル樹脂製の壁で形成された扁平にし得る医療用具において、該医療用具を肩平にしたときに少なくとも互いに接触する内壁を平均粒径が0.5〜150μmの架橋塩化ビニル樹脂1.5〜60重量%を分散させた軟質塩化ビニル樹脂組成物より形成して該内壁表面に微小な凹凸を形成し、かつ外壁を架橋塩化ビニル樹脂を1.5重量%未満含有する軟質塩化ビニル樹脂より形成した医療用具であり、その内壁が架橋塩化ビニル樹脂粒子を含有する軟質塩化ビニル樹脂組成物により構成されており、該架橋塩化ビニル樹脂粒子が医療用具の内表面をエンボスしているため、内面相互間のブロッキングが阻止されるものである。また、軟質塩化ビニルフィルムにおけるブロッキングを防止する方法としては、ロール表面にエンボスを施し、シートの片面に、エンボスを移し取る方法もあることも示されている。 一方、請求項1に係る発明は、支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状である薬物含有粘着シートに関するものである。そして、請求項1に係る発明は、凹凸を設ける対象の支持体は繊維の織布または不織布を除く支持体であり、凹凸形成により、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものである。 そうすると、請求項1に係る発明の支持体は、甲第5号証に記載されているとはいえないし、また、請求項1に係る発明の目的は薬物含有粘着剤層を有する薬物含有粘着シートを取り出し易くするものであるから、凹凸を設ける目的も甲第15号証のものとは相違するものであって、甲第15号証の記載から容易に成し得たともいえない。 また、甲第1〜15号証の記載を合わせ検討しても、請求項1に係る発明は、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとは言えない。 (イ)請求項2〜3に係る各発明は、請求項1を引用するものであるから、請求項1と同様、甲第1〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 (ウ)請求項4に係る発明について 請求項4に係る発明は、支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されている薬物含有粘着シートに係るものである。 そして、甲第1〜15号証の記載を検討しても、薬物含有粘着シートの支持体及び/又は被覆材の凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されている薬物含有粘着シートについては何ら記載がない。 ところで、異議申立人は、発泡性インキを用いて印刷をすることは周知技術である旨主張するが、請求項1に係る発明は、発泡性インキを用いて印刷をすることが発明の目的ではなく、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)を形成することにより、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものであるから、発泡性インキを用いて印刷をすることが周知技術であるということのみをもって、請求項1に係る発明が容易に発明をすることができたと言うことはできない。 (エ)請求項5に係る発明について 請求項5に係る発明は、支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シートに係るものである。 そして、甲第1〜15号証を検討しても、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって形成された薬物含有粘着シートについては、何ら記載されているものではない。 ところで、異議申立人は、フイルムに無機粒子などを配合して滑り性を良くすることは周知技術であり、このような技術の採用が格別の効果を奏するものではない旨主張するが、請求項1に係る発明は、フイルムに無機粒子などを配合して滑り性を良くすることが発明の目的ではなく、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)を形成することにより、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるというものであるから、フイルムに無機粒子などを配合して滑り性を良くすることが周知技術であるということのみをもって、請求項1に係る発明が容易に発明をすることができたと言うことはできない。 (オ)請求項6〜7に係る発明について 請求項6〜7に係る各発明は、請求項1を引用するものであるか、または請求項1を引用した請求項を引用するものであるから、請求項1と同様、甲第1〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 (カ)請求項8に係る発明について 請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれかを引用するものであるから、請求項1〜7と同様、甲第1〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない。 (キ)請求項9に係る発明について 請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれかを引用するものであるから、請求項1〜8と同様、甲第1〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない (ク)請求項10に係る発明について 甲第1〜12号証には、請求項10に係る発明の包装構造、特に内面に凹凸が形成された包材によって包装されている包装構造を示唆する記載はない。 甲第13号証には、内面がポリアクリロニトリル系フィルムから成る袋の内面に、基材シートに経皮吸収剤含有粘着剤を塗工して成る経皮吸収剤シートの粘着剤面を、剥離容易に貼着すると共に、この袋を密封して成る経皮吸収剤の包装体が記載され、アクリロニトリルフィルムは、表面がマット調又は、エンボス状であっても良いことが示されている。この包装体は、更に大きな水蒸気バリヤ性遮光性の袋に集積包装することも示されている。 しかしながら、表面に凹凸が形成されたポリアクリロニトリル系フィルムは、第1図及び第2図からも明らかなように、経皮吸収剤シートの粘着剤面の剥離・保護フイルム兼個包装体を形成するもので、経皮吸収剤シートの粘着面を保護すると共に密封された個包装体とするものである。そして、該個包装体をいれるための袋である更に大きな袋については、その内面に凹凸を形成することについては何ら記載がない。 これに対し、請求項10に係る発明は、支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆剤の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されている薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されている薬物含有粘着シートの包装構造、即ち、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆剤の露出面に凹凸が形成されている薬物含有粘着シートを、内面に凹凸が形成された包材によって包装するものである。 したがって、請求項10に係る発明の包装構造と甲第13号証の薬物含有粘着シートの包装構造とは、全く異なるものである。 甲第14号証のものは、薬物含有粘着シートとは異なるものであって、薬物含有粘着シートに特有な問題点を解決する包装構造を示唆するものではない。 また、甲第15号証には、軟質塩化ビニル樹脂積層物よりなる医療用具で、その内壁がエンボスされ、医療用具内面相互間のブロッキング問題の改善を図った医療用具が示されている。しかしながら、薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が惨み出しやすい薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易くなるという薬剤含有粘着シートの包装構造を示唆するものではない。 したがって、請求項10に係る発明は、前記甲第13〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載の発明から容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ケ)請求項11に係る発明について 請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明を引用するものであるから、請求項10と同様、甲第1〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない (コ)請求項12に係る発明について 請求項12に係る発明は、請求項10〜11のいずれかを引用するものであるから、請求項10〜11と同様、甲第1〜15号証に記載された発明ではないし、甲第1〜15号証に記載された発明から容易に発明をすることができたとも言えない (ii)特許法第36条違反について (ア)異議申立人の主張 異議申立人は、「本件請求項1には、凹凸が記載されているものの、その形状、大きさ、数、密度などが特定されていない。一方、本件明細書には、凸部の高さの下限が2μm(0.002mm)であってもよいことが記載されている。このような凸部の凹凸は、通常のフイルム、紙、不織布などの表面が有するものであって、薬物含有粘着シートの支持体及び被覆材においても同様である。 さらに、凸部の数と大きさに制限がないことから、通常の薬物含有粘着シートであっても、熱的、機械的、化学的な様々な原因により、雛や波打ち、膨らみなどが生ずることがあるが、本件特許発明は、これらをも包含することになる。 したがって、本件請求項1には、発明が充分に特定して規定されていないことが明らかであり、特許法第36条違反に至る記載不備がある。」と主張する。 (イ)判断 前記主張について検討する。 本件請求項1には、「支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であること」と記載され、形成された凹凸については、「凹凸形状が角部のない湾曲形状であること」と明確に記載されている。そして、本件特許明細書の段落【0023】には、「凸部のピッチが0.1〜20mmであり、かつ高さが2μm〜1mmであるものが有益である」と記載され、段落【0022】には、「凹凸において、この凸部が支持体及び/又は被覆材の表面全体に対してどの程度の割合にするかは、用いられている粘着剤の種類や組成によって異なるので特に限定されるものではないが、特に、この凸部が支持体及び/又は被覆材の表面全体の5〜90%であるものが望ましく、」と記載されており、異議申立人が言うように凸部の数と大きさに制限がないというものではない。また、段落【0015】、【0016】には、凹凸を形成することについて記載され、また、請求項1に係る発明の目的から見ても、全ての原因で生じる凹凸を含むものであると解するのは妥当でない。 したがって、請求項1には、発明が充分に特定して規定されていないと言うことはできないから、特許明細書の記載に不備があるということはできない。 V.むすび 以上のとおりであるから、各特許異議申立人の主張及び証拠方法によっては請求項1〜12に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1〜12に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 薬物含有粘着シート及びその包装構造 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることを特徴とする薬物含有粘着シート。 【請求項2】 支持体及び/又は被覆材の凹凸が押圧によって形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項3】 支持体及び/又は被覆材の凹凸が印刷によって形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項4】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。 【請求項5】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。 【請求項6】 支持体及び/又は被覆材の凹凸が、支持体及び/又は被覆材の表面に積層した凹凸形成部材によって形成されている請求項1に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項7】 凹凸形成部材が、織布又は不織布である請求項6に記載の薬物含有粘着シート。 【請求項8】 支持体及び/又は被覆材の凹凸において、この凸部が支持体及び/又は被覆材の表面全体の5〜90%である請求項1ないし7のいずれかに記載の薬物含有粘着シート。 【請求項9】 支持体及び/又は被覆材の凹凸において、凸部のピッチが0.1〜20mmであり、且つ高さが2μm〜1mmである請求項1ないし8のいずれかに記載の薬物含有粘着シート。 【請求項10】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されている薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されている薬物含有粘着シートの包装構造。 【請求項11】 薬物含有粘着シートの支持体及び/又は被覆材の凹凸が、押圧によって、印刷によって、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって、あるいは支持体及び/又は被覆材の表面に積層した凹凸形成部材によって形成されている請求項10に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。 【請求項12】 包材における内面の凹凸において、凸部のピッチが0.1〜20mmであり、且つ高さが2μm〜1mmである請求項10又は11のいずれか一項に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は薬物を経皮投与するために用いられる薬物含有粘着シート及びその包装構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、薬物を生体内へ投与する手段として、薬物含有粘着シートを生体に貼付する経皮吸収方法が採用されている。このような薬物含有粘着シートはポリエステルやポリエチレンなどのプラスチック製の支持体の片面に、経皮吸収用薬物を含有させた粘着剤層を積層し、露出する粘着剤層面を被覆材にて被覆してなるものである。通常、このような薬物含有粘着シートは含有する薬物の揮散の防止や湿度に対する影響を防ぐために、薬物を水分に対して不透過性の包材にて個別包装されている。 【0003】 ところで、上記のように包装した場合、薬物含有粘着シートの端面から粘着剤がはみ出して包材の内面や支持体の背面に粘着し、使用時に薬物含有粘着シートを取り出し難くなることがある。 【0004】 また、粘着剤層中に可塑剤や粘着付与剤、液状成分などを含有する場合には、これらの物質が粘着剤層の端面から滲み出して支持体や被覆材の背面更に包材の内面に付着(回り込み)し、その結果、包材の内面に薬物含有粘着シートが貼り付いてしまい、やはり薬物含有粘着シートを取り出し難くなるという問題がある。 【0005】 さらに、薬物含有粘着シートや支持体更に被覆材などのシートの製造工程上、切断したシートを一時的に集積する必要の有る場合、上記と同様の理由で、シート間の滑り性が悪いために作業性が大きく低下するという問題もある。 【0006】 これらの問題点を解決するには、例えば▲1▼セパレータの大きさを大きくしたり、或いは▲2▼大きくしたセパレータの外周縁に突起状部、いわゆる堤防を設ける、などの方法が挙げられる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記▲1▼の方法では粘着剤のはみ出しや、セパレータ背面への可塑剤などの付着(回り込み)を防止できるが、支持体側への可塑剤などの付着(回り込み)を防止できない。 【0008】 又、上記▲2▼の方法は有効な方法ではあるが、剥離紙が大きいことによる歩留りの低下や、セパレータの外周縁に突起状部を設けるために特殊な装置が必要となる結果、コスト高の問題がある。 【0009】 本発明は、上記技術的課題を解決するために完成されたものであって、薬物含有粘着シートや支持体更に被覆材などのシート間の滑り性が良く、かつ、包材内面への粘着シートの貼り付きがなく、使用時に薬物含有粘着シートを至極容易に取り出せる上、歩留りの低下やコスト高とならない薬物含有粘着シート及びその包装構造を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、支持体における薬物含有粘着剤層側と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸を形成すると、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなって薬物含有粘着シートや支持体更に被覆材などのシートの滑り性が改善される上、薬物含有粘着シートの貼り付きが効果的に防止されることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。 【0011】 本発明の薬物含有粘着シートは、支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層側と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されていることを特徴とする。 【0012】 即ち、本発明の特徴は、薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層側と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されている点にあり、この凹凸の形成方法としては特に限定されるものではない(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)。 【0013】 又、この支持体としてはシート状或いはフィルム状のもので形成されたものであれば特に限定されるものではないが、特に、薬物の蒸散や湿気が透過しないものが望ましく、この支持体は単層或いは複数層の積層体で形成されても良いのである。 【0014】 更に、上記被覆材としては剥離処理が施されたシート状或いはフィルム状のものが挙げられるのであり、具体的には、例えば公知のものが挙げられる。 【0015】 本発明においては、支持体及び/又は被覆材の凹凸が押圧によって形成されたものが挙げられる。 具体的には、例えば所望形状に刻印されたロールやプレスなどによって、支持体及び/又は被覆材の表面に押圧処理を施すことにより凹凸が形成されるなどの方法を採用できるのであり、ロールやプレス板の改造などで既存の装置を使用できる結果、極めて経済的である。 【0016】 又、本発明において、支持体及び/又は被覆材の凹凸が押圧によって形成される他の方法としてはエンボス加工が挙げられる。 この場合、支持体及び/又は被覆材に凹凸を形成する際に、支持体及び/又は被覆材形成用のフィルムやシートに孔や傷ができるのを防ぐために湾曲状の、つまり角部のない凹凸を形成するのが望ましい(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)。 【0017】 又、本発明の薬物含有粘着シートにおいては、支持体及び/又は被覆材における凹凸が印刷によって形成されても良いのである。この場合、この支持体及び/又は被覆材における凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されているものが、発泡剤の種類や配合割合を調節することによって、発泡量、つまり凹凸の高さを任意に変更できるので有益である。 【0018】 更に、本発明の薬物含有粘着シートにおいては、支持体及び/又は被覆材における凹凸が、支持体及び/又は被覆材に有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着することによって形成されたものでも良いのである。 【0019】 上記有機質粒子としては天然或いは合成の材料で形成された粒子ないし粉末が挙げられるが、これらのうち、合成の材料が品質の安定した粒子ないし粉末が得られるので望ましい。 この合成の材料としては熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂で製造された粒子ないし粉末が挙げられる。 【0020】 そして、天然或いは合成の材料を支持体及び/又は被覆材に有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着するには、例えば熱融着或いはホットメルト樹脂を用いて接着するなどの方法が採用される。 【0021】 本発明においては、支持体及び/又は被覆材に積層した凹凸形成部材によって形成されているものも有益である。この凹凸形成部材としては支持体及び/又は被覆材の表面に凹凸を付与するものであれば特に限定されるものではないが、特に織布又は不織布が廉価であり、しかも熱可塑性樹脂で形成されたものであれば容易にラミネートできるので望ましい。 【0022】 本発明の薬物含有粘着シートにおいては、支持体及び/又は被覆材における凹凸において、この凸部が、支持体及び/又は被覆材の表面全体に対してどの程度の割合にするかは、用いられている粘着剤の種類や組成によって異なるので特に限定されるものではないが、特に、この凸部が支持体及び/又は被覆材の表面全体の5〜90%であるものが望ましく、凸部の面積が、5%未満になると、凹部と包材の内面が接触し易くなる結果、薬物含有粘着シートとの接触面積、つまり粘着面積或いは付着面積が大となって当該薬物含有粘着シートが使用時に取り出し難くなることがあり、一方、90%を超えると、凸部と薬物含有粘着シート更に包材の内面が接触し易くなる結果、薬物含有粘着シートとの接触面積、つまり粘着面積或いは付着面積が大となって当該薬物含有粘着シートが使用時に取り出しに難くなることがあるので好ましくない。 【0023】 本発明の薬物含有粘着シートにおいては、支持体及び/又は被覆材の凹凸において、凸部のピッチが0.1〜20mmであり、且つ高さが2μm〜1mmであるものが、薬物含有粘着シートの粘着防止或いは付着防止、ヒートシール部の密閉性の確保又は嵩張り等の観点から、有益である。 【0024】 本発明の薬物含有粘着シートの包装構造においては、上記目的を達成するために、上述の薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されているものである。 【0025】 包材の内面に凹凸を形成する方法としては、支持体及び/又は被覆材の表面に凹凸を形成する方法と同様の方法が採用される。 【0026】 この場合、包材における内面の凹凸において、凸部のピッチが0.1〜20mmであり、且つ高さが2μm〜1mmであるものが、薬物含有粘着シートの粘着防止或いは付着防止、ヒートシール部の密閉性の確保又は嵩張り等の観点から、有益であり、特に、凸部の高さが、2〜900μmの範囲、更に2〜800μmの範囲であるものが望ましく、凸部の高さが、2μm未満では低すぎて、薬物含有粘着シートの粘着防止或いは付着防止の確保の点から、凸部を設けた意味がない場合があり、一方、1mmを超えるとその形成が困難になったり、ヒートシール部の密閉性の確保又は嵩張り、コスト等の観点から好ましくない。 【0027】 【作用】 本発明の薬物含有粘着シートは、支持体、薬物含有粘着剤及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されているので、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなって当該薬物含有粘着シートが使用時に至極容易に取り出せる作用を有するのである。 【0028】 又、本発明の薬物含有粘着シートの包装構造においては、上記薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されているので、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が一層少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が一層少なくなって当該薬物含有粘着シートが使用時に至極容易に取り出せる作用を有するのである。 【0029】 【実施例】 以下、本発明を実施例図面に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0030】 図1は本発明の一実施例に係る薬物含有粘着シートを支持体側から示す斜視図であり、図2はその被覆材側から示す斜視図であり、図3は図1のX-X’線での断面図である。 【0031】 図4ないし図7は本発明の薬物含有粘着シートのそれぞれ他の実施例を示す斜視図である。 【0032】 図1〜図3において、本発明の薬物含有粘着シート1は、各種プラスチックシートや不織布、金属箔、もしくはこれらの複合シートなどからなる支持体2と、経皮的に体内へ吸収することができる公知の経皮吸収用薬物を含有するアクリル系や、ゴム系、シリコーン系、ビニルエーテル系などの重合体を主体とする粘着剤層3と、プラスチックシートや紙などの表面に剥離処理を施した被覆材4との積層構造体からなる。 【0033】 この場合、本発明の薬物含有粘着シート1には、図3に示すように、支持体2及び被覆材4に外面からの押圧によって、その内面には凹凸5が形成されている。 【0034】 即ち、表面が平滑な支持板上に、支持体2或いは被覆材4を載置し、その外側から、所定形状に刻印されたロールやプレス板などによって支持体2及び被覆材4の表面に押圧処理を施すことにより凹凸5が形成されるなどの方法を採用できるのであり、ロールやプレス板の改造などで既存の装置を使用できるので極めて経済的である。 【0035】 又、上記の方法に代えて、支持体2に粘着剤層3及び被覆材4を順次積層して薬物含有粘着シート1を形成した後、両側から所定形状に刻印されたロールやプレス板などによって支持体2及び被覆材4の表面に一挙に凹凸5を形成しても良いのである。 【0036】 この凹凸の形状は、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状とならなければ、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、図1に示すように、全面にわたる天井に形成したり、或いは図2及び図7に示すように、会社名や取り扱い方法等、特定の文字の繰り返し模様の凹凸5を被覆材4の表面に刻印したり、或いは図4に示すように、凹凸5を格子状に形成したり、図5に示すように、凹凸を微粒面状に形成したり、図6に示すように、凹凸5を梨子地柄に形成したり、図示しないが波線状に形成したり、更に、これらの組み合わせの形状とすることができる。 【0037】 この凹凸5を形成する方法としては、支持体2及び/又は被覆材4に有機質又は無機質の粒子ないし粉末を熱融着或いはホットメルト樹脂を用いて付着ないし接着するなどの方法が採用される。又、この粒子ないし粉末の付着には、この他、この粒子ないし粉末を支持体2及び/又は被覆材4を押圧、固定したり、フィルムヘのマット化剤の配合やサンドマット加工も含むのである。 【0038】 本発明の薬物含有粘着シート1の包装構造においては、上記目的を達成するために、上述の薬物含有粘着シート1が、内面に凹凸5が形成された包材6に包装されているものである。 【0039】 即ち、図8は本発明の薬物含有粘着シート1の包装構造の実施例を示す斜視図であり、図9は図8のY-Y’線での拡大断面図である。 【0040】 図8および図9において、本発明の薬物含有粘着シート1を包装するために用いられる包材6は、図9に示すように、当該包材6が外面からの押圧によって、その内面に凹凸7が形成されている。 【0041】 ところで、本発明の薬物含有粘着シート1の包装構造においては、上述の薬物含有粘着シート1を特定の包材6に包装したものであり、従って、薬物含有粘着シート1についての説明は、重複するのでその説明を省略する。 【0042】 又、上記包材6を製造するための材料としてはフィルム状或いはシート状のものであれば特に限定されるものではないが、ヒートシール性が有るものが好ましく、この観点から、具体的にはポリエチレンやサーリン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ハイトロンなどのヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料を用いることができる。特に、内包する薬物含有粘着シート1に含有される経皮吸収用薬物の揮散や分解などを防止するためには、ポリエステルフィルムや金属箔などの不透過性のフィルムを積層することが好ましい。 【0043】 なお、揮散や分解をしない薬物であれば紙や不織布などの透過性のシートを積層してもよいことはいうまでもない。また、このフィルム状或いはシート状の材料の厚みは通常、10〜200μm程度のものを用いる。 【0044】 又、この包装構造においては、上記薬物含有粘着シート1が、内面に凹凸7が形成された包材6に包装されているので、薬物含有粘着シート1と包材6の内面との実質的接触面積が一層少なくなり、つまり薬物含有粘着シート1と包材6の内面との粘着面積或いは付着面積が一層少なくなって当該薬物含有粘着シート1が使用時に至極容易に取り出せるのである。 【0045】 【発明の効果】 本発明の薬物含有粘着シートは、支持体、薬物含有粘着剤及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されているので、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が滲み出し易い薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に取り出し易いという効果を奏するのである。 【0046】 又、本発明の薬物含有粘着シートの包装構造においては、上記薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されているので、薬物含有粘着シートと包材の内面との実質的接触面積が一層少なくなり、つまり薬物含有粘着シートと包材の内面との粘着面積或いは付着面積が一層少なくなり、この結果、端面からの糊はみ出しが起こり易い薬物含有粘着シートや、可塑剤や液状成分が滲み出し易い薬物含有粘着シートを包装した場合にも包材の内面に粘着或いは付着し難くなるので、内包された薬物含有粘着シートを使用する際に一層取り出し易くなるなどの効果を奏するのである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施例に係る薬物含有粘着シートを支持体側から示す斜視図である。 【図2】 図1の薬物含有粘着シートを被覆材側から示す斜視図である。 【図3】 図1のX-X’線での断面図である。 【図4】 本発明の他の実施例に係る薬物含有粘着シートを支持体側から示す斜視図である。 【図5】 図4の薬物含有粘着シートを被覆材側から示す斜視図である。 【図6】 本発明の更に他の実施例に係る薬物含有粘着シートを支持体側から示す斜視図である。 【図7】 図6の薬物含有粘着シートを被覆材側から示す斜視図である。 【図8】 本発明の一実施例に係る薬物含有粘着シートの包装構造を示す斜視図である。 【図9】 図8のY-Y’線での断面図である。 【符号の説明】 1 薬物含有粘着シート 2 支持体 3 粘着剤層 4 被覆材 5 凹凸 6 包材 7 凹凸 8 ヒートシール部 【図面】 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第2939123号明細書の特許請求の範囲の記載を次のとおり訂正する。 (1)請求項1を特許請求の範囲の減縮を目的に 「【請求項1】 支持体(繊維の織布または不織布を除く)、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸が形成されており、シート断面における凹凸形状が角部のない湾曲形状であることを特徴とする薬物含有粘着シート。」と訂正する。 (2)請求項4を明瞭でない記載の釈明を目的に 「【請求項4】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、発泡性樹脂で形成されたインキを用いて印刷され、且つこの印刷部の発泡によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。」と訂正する。 (3)請求項5を明瞭でない記載の釈明を目的に 「【請求項5】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆材の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されており、支持体及び/又は被覆材の凹凸が、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって形成されていることを特徴とする薬物含有粘着シート。」と訂正する。 (4)請求項10を明瞭でない記載の釈明を目的に 「【請求項10】 支持体、薬物含有粘着剤層及びこの薬物含有粘着剤層の表面に積層された被覆材からなる薬物含有粘着シートにおいて、支持体における薬物含有粘着剤層と反対側面及び/又は被覆剤の露出面に凹凸(但し、エンボス加工による凹凸における凹部の断面が、V字状のものを除く。)が形成されている薬物含有粘着シートが、内面に凹凸が形成された包材に包装されている薬物含有粘着シートの包装構造。 【請求項11】 薬物含有粘着シートの支持体及び/又は被覆材の凹凸が、押圧によって、印刷によって、有機質又は無機質の粒子ないし粉末を付着ないし接着によって、あるいは支持体及び/又は被覆材の表面に積層した凹凸形成部材によって形成されている請求項10に記載の薬物含有粘着シートの包装構造。」と訂正する。 (5)請求項11の項数を明瞭でない記載の釈明を目的に繰り下げて請求項12と項の番号を訂正する。 |
異議決定日 | 2001-02-26 |
出願番号 | 特願平6-144017 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A61K)
P 1 651・ 113- YA (A61K) P 1 651・ 531- YA (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 横尾 俊一 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
深津 弘 谷口 浩行 |
登録日 | 1999-06-11 |
登録番号 | 特許第2939123号(P2939123) |
権利者 | 日東電工株式会社 |
発明の名称 | 薬物含有粘着シート及びその包装構造 |
代理人 | 大島 由美子 |
代理人 | 庄司 隆 |
代理人 | 草間 攻 |
代理人 | 大島 由美子 |
代理人 | 庄司 隆 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 長濱 範明 |