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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
管理番号 1044615
異議申立番号 異議2000-71995  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-07-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-12 
確定日 2001-02-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2977568号「クレンジング化粧料」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2977568号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.経緯
本件特許第2977568号は、平成1年11月17日の出願に係り、平成11年9月10日に設定登録された後、谷川睦子及び矢部ゆり子から異議申立てがなされ、取消理由通知に対して、平成13年1月15日付けで訂正請求がなされたものである。
2.訂正請求について、
本件訂正請求は、(1)特許明細書の請求項1における、
「(a)常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤5.0〜15.0%、
(b)水0.1〜2.0重量%
(c)常温で液状の油80〜95重量%
からなることを特徴とするクレンジング化粧料。」なる記載を、
「(a)常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤(但し、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を除く)の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤5.0〜15.0%、
(b)水0.1〜2.0重量%
(c)常温で液状の油80〜95重量%
からなることを特徴とするクレンジング化粧料。」に訂正するものである。
この訂正は、下記に示す刊行物1の発明との同一性を回避するために、使用する非イオン界面活性剤中、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を除外しようとするものであるから、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許明細書に記載された事項の範囲内の訂正である。また、特許請求の範囲を実質的に拡張、更拡張するものでもないから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する同法第126条第2及び3項の規定に適合する。
よって、本件訂正請求を認める。
3.異議申立てについて、
本件訂正後の発明(以下、本件発明という。)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のものである。
「(a)常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤(但し、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を除く)の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤5.0〜15.0%、
(b)水0.1〜2.0重量%
(c)常温で液状の油80から95重量%
からなることを特徴とするクレンジング化粧料。」
2.これに対して、本件異議申立人の主張は以下のとおりである。
(1)異議申立人、谷川睦子の主張の概要
a)本件発明は、甲第1号証(特開平1-238518号公報;以下、刊行物1という。)に記載された発明であるから、本件特許は特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものである。
b)、本件発明は、甲第1号証および甲第2号証(特開昭62-108806号公報;以下、刊行物2という。)に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
(2)異議申立人 、矢部ゆり子の主張の概要
a)本件発明は、甲第1号証(特開昭63-154606号公報;以下、刊行物3という。)に記載された発明であるか、あるいは刊行物3に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるから、本件特許は特許法第29条第1項あるいは同条第2項の規定に違反してなされたものである。
b)本件発明は、甲第2号証(谷川睦子提示の刊行物1と同じ。)に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
c)本件発明は、甲第3号証(谷川睦子提示の刊行物2と同じ。)、甲第4号証(、特開昭61-227519号公報;以下、刊行物4という。)及び甲第5号証(「SCCJ研究検討会(第25回)講演要旨集」第38〜41頁(昭和63年11月9日 日本化粧品技術者会);以下、刊行物5という。)に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
そこで、これらの主張について以下検討する。
谷川睦子の主張a)及び矢部ゆり子の主張b)について、
刊行物1においては、液状油分の一種または二種以上を30〜98重量%と、HLBが2〜10の非イオン界面活性剤の一種または二種以上を2〜40重量%と、水を0.01〜5重量%とを含有することを特徴とするオイル含有組成物について記載され、この組成物は、本件発明の化粧料と配合成分および配合割合において一部重複し、低温安定性について優れる旨の記載もあるが、刊行物1の組成物の作用については、フェイシャルまたはボディーにエモリエント効果、美肌効果、加脂効果等を付与する旨記載されているのみで、クレンジング作用については全く記載がない。してみれば、甲第1号証においては、上記オイル含有組成物をクレンジング化粧料とすることについて示唆していないから、本件発は刊行物1に記載された発明であるとはいえない。
また、本件明細書の実施例における記載からみると、本件発明の組成物は、保存安定性のみではなく、汚れとのなじみ易さ、水によるすすぎ易さ、及び洗い上がり(汚れを含んだ油が皮膚に残らない)というクレンジング剤として優れた効果を有するものであり、このような効果は、クレンジング作用について記載のない刊行物1において示唆されているとすることはできない。してみると、本件発明は刊行物1に記載された発明から当業者が容易に発明できたものともいうことはできない。したがって、これらの主張は採用できない。
矢部ゆり子の主張a)について、
刊行物3に関して異議申立人が指摘する実施例13においては、ジ(ポリオキシエチレン(8E.O.)オレイルエーテルリン酸ナトリウム5部、カプリン酸トリグリセライド89部、純水1部及びグリセリン5部からなるクレンジングクリームが記載されてはいるが、このジ(ポリオキシエチレン(8E.O.)オレイルエーテルリン酸ナトリウムは、刊行物3の(2)頁右上欄の記載からも明らかなように、アルキルリン酸エステル系のアニオン界面活性剤であって、本件発明のような非イオン界面活性剤ではない。したがって、この実施例13のクレンジングクリームと本件発明のクレンジング化粧料とは同一ではない。
もっとも、刊行物3においては、アルキルリン酸エステル系のアニオン界面活性剤のみではなく、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を使用する旨の記載もあるが、本件発明においては、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤の使用は除外されている。
したがって、本件発明と刊行物3の発明とは使用する界面活性剤において異なり、本件発明は刊行物3に記載された発明ではない。
さらに、刊行物3においては、クレンジング化粧料の透明性、保存安定性及びクレンジング効果等について試験結果が記載されているが、これらの試験においては、全てアルキルリン酸エステル系アニオン界面活性剤が使用されており、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を単独使用しているものはなく、また、その使用量は化粧料100部に対して2部にすぎない。そうすると、刊行物3においては、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を本件発明の使用量で使用した場合の効果自体が不明であり、まして、これ以外の非イオン界面活性剤を使用すること及びこれに基づく効果を示唆するものではない。
一方、本件発明の成分組成を有するクレンジング化粧料は、本件訂正明細書の実施例の記載から明らかなように、保存安定性のみならず、汚れとのなじみ易さ、水によるすすぎ易さ及び洗い上がりにおいても優れ、クレンジング化粧料として有用な効果を有するものであり、これら効果は刊行物3の記載から当業者においても予測できるとすることはできない。したがって、以上の点からみると本件発明の構成及び効果は刊行物3に示唆されてはいないとせざるを得ないから、本件発明は刊行物3に記載された発明から当業者が容易に発明できたものということはできない。
谷川睦子の主張b)及び矢部ゆり子の主張c)について、
刊行物2においては、脂肪酸組成を有し、常温で液状ないしペースト状で、かつHLB値が5〜15である非イオン界面活性剤と、液体油を含有する非水クレンジング料について記載されてはいるが、このクレンジング料は水を含まない点で本件発明とは異なる。この水の使用について、本件異議申立人谷川睦子は、刊行物1においてはオイル含有組成物の低温安全性についての問題点を、水を特定料配合することで解決することが示唆されているから、本件発明の水の使用は当業者において容易に想到できる旨主張しているが、上記したように、刊行物1においては、上記オイル含有組成物のクレンジング作用について全く記載がないのであるから、刊行物1の記載は、刊行物2の非水クレンジン化粧料において水を加えた場合、クレンジング作用がどのようなものになるか全く示唆していないものである。これに対して、本件発明においては、特許明細書の比較例1及び実施例1を対比すれば明らかなように、水を特定量配合することにより、水を使用しない場合に比べ(甲第2号証のクレンジング材に相当)、低温安定性というよりはむしろ45℃での保存安定性に優れるほか、これのみではなく、クレンジング作用に関しては、水の添加が該作用に影響しないというよりは、むしろ、汚れとのなじみ易さ、水によるすすぎ易さ、及び洗い上がり(汚れを含んだ油が皮膚に残らない)にみられるクレンジング化粧料としての総合的な効果も、水を配合しない場合に比べて向上していることは否定できない。そして、このようなことは、刊行物1および2にも示唆されてはおらず、これらによっては本件発明の効果は予測できないとせざるを得ない。
してみれば、本件発明は、刊行物2の記載に刊行物1の記載を加えてみても、これら刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとはいえない。
次に、異議申立て人 矢部ゆり子は、上記刊行物2の発明と本件発明の相違点である水の使用に関し、刊行物4及び5を提示している。
そして、刊行物4においては、常温で液状でありHLB8以下の親油性非イオン性界面活性剤、常温で液状のHLB10以上の液体界面活性剤、油分及び水を含有する浴用剤組成物について記載され、水を0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜6%含有させることは、浴用剤組成物が安定的に透明性が維持されるために必要である旨の記載があり、また刊行物5においても、非イオン界面活性剤及び油分を含有する乳白タイプ入浴剤において、水相を1〜5%添加すると安定化領域となる旨の記載があるが、これらの記載も浴用剤についての記載であって、刊行物2の非水クレンジン化粧料において水を加えた場合、クレンジング作用がどのようなものになるのか全く示唆していないものである。
そして、上記したように、本件発明においては、保存安定性のみならず、クレンジング作用に関しても、水の添加が該作用に影響しないというよりは、むしろ、汚れとのなじみ易さ、水によるすすぎ易さ、及び洗い上がり(汚れを含んだ油が皮膚に残らない)にみられるクレンジング化粧料としての総合的な効果は、水を配合しない場合に比べてさらに向上しているのである。さらに、刊行物4の水の添加により安定的に透明性が維持できるとする根拠となった試験は、入浴剤を調整後24時間静置した後の透明性を観察したものであり、本件訂正明細書の実施例におけるような、2週間というような長期間保存した場合のものではなく、保存安定性を示唆しているとは直ちにはいえず、また、刊行物5の上記記載も保存安定性を示唆するものとは必ずしもいえないものである。
したがって、本件発明の効果は,刊行物2、4及び5の記載から当業者が予測できたものとすることはできない。
してみれば、本件発明は、刊行物2の記載に刊行物4及び51の記載を加えてみても、これら刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明できたものはいえず、上記主張はいずれも採用できない。
3.以上のとおりであるから、本件異議申立ての理由及び証拠によっては本件訂正後の請求項1に係る特許を取消すことはできず、また他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
クレンジング化粧料
(57)【特許請求の範囲】
(a) 常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤(但し、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を除く)の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤5.0〜15.0重量%、
(b) 水0.1〜2.0重量%、
(c) 常温で液状の油80〜95重量%
からなることを特徴とするクレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、非イオン界面活性剤と水と油からなる、保存安定性及び官能特性に優れたクレンジング化粧料に関する。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
一般的に、液状の油をベースとしたクレンジングオイルは油を含む汚れに対し相溶性に優れ、クレンジング効果が高いが、反面界面活性剤を含有しない為に、水で洗い流すことができないという欠点を有していることが知られている。
又、特開昭62-108806号公報には特定の非イオン界面活性剤と液体油とを必須成分として含有する非水クレンジング料が開示され、水での洗い流しに関しては改善されているものの、保存安定性については未だ不十分である。
すなわち本発明は、各種官能特性に優れている上、保存安定性の高いクレンジング化粧料を提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、
(a) 常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤5.0〜15.0重量%、
(b) 水0.1〜2.0重量%
(c) 常温で液状の油80〜95重量%
からなることを特徴とするクレンジング化粧料。
以下、本発明の構成について詳説する。
本発明に用いられる非イオン界面活性剤は、常温で液状ないしペースト状で、その1種又は2種以上を組合せて用いられる。
個々の非イオン界面活性剤のHLB値は、特に制約されることはなく、非イオン界面活性剤全体として7〜14になる様に調整できるものであれば良い。
具体的には例えば、ソルビタン脂肪酸エステルでは、ソルビタンモノラウレート,ソルビタンモノオレエート,ソルビタンセスキイソステアレート等,グリセリン樹脂酸エステルでは、グリセリンモノオレエート,グリセリンモノイソステアレート等,ポリグリセリン脂肪酸エステルでは、ジグリセリルモノオレエート,ヘキサグリセリルモノミリステート,デカグリセリルジイソステアレート等,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルでは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(6E.O.),ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(20E.O.),ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルでは、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート(40E.O.),ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート(6E.O.)等,ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルでは、ポリオキシエチレングリセリルモノオレエート(5E.O.),ポリオキシエチレングリセリルモノオレエート(15E.O.)等,ポリエチレングリコール脂肪酸エステルでは、ポリオキシエチレンモノラウレート(10E.O.),ポリオキシエチレンモノオレエート(6E.O.)等,ポリオキシエチレンアルキルエーテルでは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2E.O.),ポリオキシエチレンオレイルエーテル(7E.O.)等,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルでは、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル等,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルでは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(5E.O.),ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(10E.O.)等,ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油では、ポリオキシエチレンヒマシ油(20E.O.),ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)等,トリ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)リン酸では、トリ(ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル)リン酸等が好ましいものとして挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非イオン界面活性剤全体としてのHLB値は7〜14である。
HLB値が7未満ではクレンジング化粧料を水で洗い流しにくくなり、14を超えると液体油との相溶性が悪くなり保存安定性も低下する。非イオン界面活性剤の含有量は、クレンジング化粧料全体を100重量%として5.0〜15.0重量%である。
5.0重量%未満ではクレンジング化粧料を水で洗い流しにくくなり、15.0重量%を超えると保存安定性が低下し易くなる。
本発明に用いられる水は、イオン交換樹脂で処理した脱イオン精製水又は、蒸留水等の精製水が、一般に用いられる。
また、水とともに、エタノールを適用することもできる。
本発明に用いられる常温で液状を呈する油は、例えば流動パラフィン,スクワラン,液状の合成エステル油(イソプロピルミリステート,イソプロピルパルミテート,トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン等),液状の植物油(オリーブ油,サフラワー油等)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これらの液状の油は単独または2種以上を組合せて使用することができる。
その含有量は、およそ80〜95重量%であるが、これに限定されるものではない。
本発明のクレンジング化粧料には、上記成分のほかに、多価アルコール,香料,色素,防腐剤,殺菌剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,パール剤,油性ゲル化剤,皮膚栄養剤など、通常化粧料に用いられる原料を本発明の目的を達成する範囲で適宜配合することができる。
〔実施例〕
以下、実施例にて本発明を説明する。
実施例に記載の%とは重量%を意味する。
実施例に記載の保存安定性試験,官能特性試験は下記の方法にて実施した。
(1) 保存安定性試験
試料を5℃及び45℃の恒温槽に入れ、2週間後の状態を観察した。
(2) 官能特性試験
パネル20人によって官能特性試験を行ない、「汚れとのなじみ易さ」,「水によるすすぎ易さ」,「洗い上り」の各項目について「汚れとのなじみが良い」,「水によるすすぎが容易である」,「汚れを含んだ油が皮膚に残らない」と答えた人数を示した。
実施例1〜3,比較例1〜3(液状透明クレンジング化粧料)。
第1表上の組成の如く、液状透明クレンジング化粧料を調製し、前記諸試験を実施した。その結果を第1表下段に示した。
(調製方法)
組成中の各原料を必要に応じて加温しながら均一に混合溶解して、液状透明クレンジング化粧料を得た。
(特性)
第1表の如く、精製水を含有しない比較例1及び4.0%配合の比較例2では保存安定性が悪く、二層に分離した。
固体状のポリオキシエチレンモノステアレート(10E.O.)を含有した比較例3では、保存安定性,官能特性ともに悪かった。
一方、実施例1〜3は保存安定性,官能特性とも優れていた。

実施例4〜7,比較例4〜7(液状透明クレンジング化粧料)
第2表上段の組成にて、実施例1と同様にして液状透明クレンジング化粧料を調製し、前記諸試験を実施し、その結果を第2表下段に示した。

HLB値が4.3であるソルビタンモノオレエートを含有した比較例4及び、界面活性剤の含有量が2.5%である比較例5は、「水によるすすぎ易さ」「洗い上り」が悪かった。
HLB値が15のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.)を含有している比較例6,及び非イオン界面活性剤を20.0%含有している比較例7では、保存安定性が悪く、二層に分離した。
一方、非イオン界面活性剤全体のHLB値がそれぞれ7.0,9.9,14.0,及び10.3である実施例4〜7は、保存安定性,官能特性ともに優れていた。
〔発明の効果〕
以上記載の如く、本発明は保存安定性及び官能特性に優れた有用なるクレンジング化粧料を提供することは明らかである。
 
訂正の要旨 特許第2977568号発明の明細書中特許請求の範囲において「常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として「常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤(但し、アルキルリン酸エステル系非イオン界面活性剤を除く)」と訂正する。
異議決定日 2001-02-02 
出願番号 特願平1-299962
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A61K)
P 1 651・ 121- YA (A61K)
最終処分 維持  
特許庁審判長 吉村 康男
特許庁審判官 谷口 浩行
深津 弘
登録日 1999-09-10 
登録番号 特許第2977568号(P2977568)
権利者 鐘紡株式会社
発明の名称 クレンジング化粧料  

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