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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08J 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08J |
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管理番号 | 1044619 |
異議申立番号 | 異議2000-72651 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-05-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-07-04 |
確定日 | 2001-03-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2998457号「二軸配向フィルム」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2998457号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
[1]手続の経緯 本件特許第2998457号の発明は、平成4年10月19日に特許出願され、平成11年11月5日にその特許の設定登録がなされたものであり、その後、三菱化学ポリエステルフィルム株式会社より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、平成12年12月19日付けで特許異議意見書とともに訂正請求書が提出されたものである。 [2]訂正の適否についての判断 [訂正の内容] 訂正請求書による訂正事項は次のとおりである。 訂正事項a: 特許請求の範囲の請求項1を「10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103 〜5×105 個/mm2 であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d ・・(1)である二軸配向フィルム。」と訂正する。 訂正事項b: 特許請求の範囲の請求項2を「10%変形強度が3〜30kgf/mm2 であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3 -SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103 〜5×105 個/mm2 であるフィルムが、少なくとも3層構造からなる積層フィルムの少なくとも1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d ・・(1)である二軸配向フィルム。」と訂正する。 訂正事項c: 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 訂正事項d: 特許登録時の明細書(以下、単に「明細書」という。)の段落番号【0005】欄を、「【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の二軸配向フィルムは、10%変形強度が3〜30kgf/mm2 であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3 -SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×106個/mm2 であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d・・(1)である二軸配向フィルムである。」と訂正する。 訂正事項e: 明細書の段落番号【0008】欄を、「本発明の有機粒子は、ジビニルベンゼン粒子および/またはシリコーン粒子からなる有機粒子である。ジビニルベンゼン粒子とは、架橋成分としてジビニルベンゼンを主体とするものをいう。つまり、ジビニルベンゼンが粒子成分の60%以上、さらに好ましくは75%以上のものである。他の成分としては、特に限定されないが、例えばエチルビニルベンゼン、ジエチルベンゼン等の架橋しない成分があげられる。また、シリコーン粒子とはオルガノポリシロキサン(CH3 -SiO3/2 )を主成分とするものである。」と訂正する。 [訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否、拡張・変更の存否] 上記訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項1における有機粒子を、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子に限定したものであり、この限定が、好ましい旨が明細書の段落番号【0008】欄に記載されており、また明細書の実施例はすべて、この限定を満たしている。 したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 上記訂正事項bは、上記訂正事項aと同様に、特許請求の範囲の請求項2における有機粒子を、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3 -SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子に限定したものである。この限定が好ましい旨が、明細書の段落番号【0008】欄に記載されており、実施例はすべて、この限定を満たしている。 したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 上記訂正事項cは、上記訂正事項aおよびbに伴い不要となった請求項3を削除したもので、上記訂正事項aおよびbにおける請求項1および請求項2の訂正と整合するように訂正したものである。 したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 上記訂正事項dは、上記訂正事項aに伴い、明細書の段落番号【0005】欄における記載が訂正後の請求項1と整合するように訂正したものである。 したがって、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするもので、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 上記訂正事項eは、上記訂正事項aおよびbに伴い、明細書の段落番号【0008】欄における記載が訂正後の請求項1および請求項2と整合するように訂正したものである。 したがって、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするもので、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成六年法律第百十六号、以下「平成六年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [3]特許異議の申立についての判断 (訂正後の本件特許発明) 訂正後の請求項1、2に係る本件特許発明(以下、「訂正後の本件発明1」、「訂正後の本件発明2」という。)は、訂正明細書の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103 〜5×105 個/mm2 であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d・・(1)である二軸配向フィルム。」 「【請求項2】10%変形強度が3〜30kgf/mm2 であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3 -SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103 〜5×105 個/mm2 であるフィルムが、少なくとも3層構造からなる積層フィルムの少なくとも1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d ・・(1)である二軸配向フィルム。」 (特許異議申立の理由の概要) 訂正前の本件請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記刊行物1(甲第1号証)に記載された発明であるか、又は下記刊行物1(甲第1号証)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第1項第3号の規定、又は同法第同条第2項の規定に違反して特許されたものである。 記 刊行物1:国際公開WO92/17530号公報(国際公開日1992年10月15日)(甲第1号証) (刊行物1の記載事項) 「粒子を10%変形させた時の強度(S10)が0kgf/mm2より大きく10kgf/mm2以下、比表面積S(m2/g)と重量平均径Dw(μm)の積が5以上60以下である有機高分子粒子を含有するポリエステルフィルムであり、フィルム中における該粒子のフィルム長手方向の粒子径と厚み方向の粒子径の比が1.1以上、フィルムの表面粗さパラメータRt/Raが40以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。」 (特許請求の範囲の請求項1) 「本発明のフィルムは単層、積層どちらのフィルムにも適用できる。すなわち、走行性、電磁変換特性の点から前記した組成のフィルムを少なくとも1層として含んでいればよい。 ここでいう積層したフィルムとは、フィルムの厚み方向に少なくとも2層の構造を持つものであり、3層以上の構造を持つものもこの範疇にはいる。走行性が要求される場合には、少なくとも片面の最表層部分が本発明のポリエステルフィルムからなることが好ましい。また、両面を本発明のポリエステルフィルムとした積層フィルムは特に好ましい。 積層フィルムの使用形態としては、各種のものが可能である。例えば、2層積層フィルムの場合、単に本発明の有機高分子粒子を含有する層(A層)と他の層(B層)との2層積層構成でもよく、A層表面にコーティング層(例えば易接着層)を設けた積層構成、B層表面にコーティング層(例えば易接着層)を設けた積層構成、B層表面にバックコート層を設けた積層構成などを採ることができる。また3層積層フィルムの場合、単にA層/B層/A層の3層積層構成としたもの、該3層積層構成の片側のA層表面にコーティング層を設けた積層構成、両側のA層表面に(積層フィルムの両面に)コーティング層を設けた積層構成などを採ることができる。この場合、A層の厚みとしては0.1〜1.5μm、コーティング層の厚みとしては約0.1μm程度が好ましい。」 (第24頁第25行〜第25頁第24行) 「実施例1(表1) 水分0.3重量%を含有する極限粘度0.670の未乾燥ポリエチレンテレフタレートチップを、ベントタイプ二軸押出機を使用して該ポリマーチップを溶融状態とし、20重量%濃度の水スラリ-として分散させた重量平均径Dw=0.5μm、Dw /Dn=1.40、0.05μm、0.5μmに極大値を持ち、個数比が1/3、S1O=4.5kgf/mm2(単一構造)、比表面積15.0m2/g、熱分解温度390℃のスチしン-エチルビニルベンゼン‐ブチルアクリレートージビニルベンゼン共重合体粒子(重量比10/20/40/30、対粒子0.5重量%のメタクリル酸で表面変性後NaOHにより‐COONaとした。アニオン系界面活性剤使用)をポリエステル中で1重量%になるように添加する。ベント口をlOTorrの真空度に保持し、樹脂温度280℃で溶融押出して、有機高分子粒子含有ポリエチレンテレフタレート(I)を得た。得られたポリマーの極限粘度は0.650であった。 一方、テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、エステル交換反応触媒として酢酸マグネシウム0.06重量部、重合触媒として三酸化アンチモン0.03重量部、耐熱安定剤としてトリメチルホスフェート0.03重量部を用いて通常の方法で極限粘度0.650のポリエチレンテレフタレート(II)を得た。 次いで、ポリマー(I)を30重量部、ポリマー(II)を70重量部混ぜ合わせ(溶融比抵抗1×108Ωcm)、ベント式二軸押出機1に供給し、280℃で溶融した。さらに、もう一台の押出機2を用意し、粒子を含有しないペレットを180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)し、押出機に供給して290℃で溶解した(ポリマ II)。この2つのポリマーをそれぞれ高精度濾過した後、矩形積層部に備えた3層合流ブロックにて、基層部にポリマー(II)を、両面表面積層部にポリマー(I)がくるように3層構造に積層し、フィッシュテール型のロ金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、厚さ約160μmの未延伸フィルムを作った。キャスト速度は80m/分であった。このときのドラフト比は6.5であった。 この未延伸フィルムを長手方向に3段階に分け、123℃で1.2倍、126℃で1.45倍、114℃で2.3倍それぞれ延伸した。この一軸フィルムをステン夕を用いて幅方向に、111℃で3.5倍延伸し、定長下で200℃にて5秒間熱処理し、厚さ13μm(積層厚み1μm)のフィルムを得た。得られたフィルムの最表層部における有機高分子粒子の含有量は0.3重量%、粒径比1.5であり、Ra=0.016、Rt=0.280、形成された突起高さ分布の相対標準偏差は0.58、突起数は20000個/mm2、β1/β2は1.25であった。 フィルム特性は、μk=0.31、耐摩耗性1、2、(但し、原文では、1、2は○付きの数字である)ともにA級、電磁変換特性はクロマS/Nで十2.0dBとすべて良好であった。」 (第37頁第19行〜第39頁第22行) (判断) 訂正後の本件発明1と、刊行物1に記載された発明とは、10%変形強度が特定の範囲であり、架橋成分が有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が特定の範囲であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d・・(1)を満足する二軸配向フィルムの点で一致し、訂正後の本件発明1では、架橋成分が、60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、具体的には架橋成分が30%(実施例1)及び35%(実施例11)そして最大で52%であるジビニルベンゼン粒子とシリコーン粒子という一般的記載だけで、訂正後の本件発明1のものは記載されていない点で相違するものと認める。 そこで、この相違点を検討するに、架橋成分としてジビニルベンゼン粒子の割合が低いと、訂正後の本件発明1の目的・効果である耐スクラッチ性や耐ダビング性の良好なものが得られないことが、訂正後の本件明細書に記載されているとおり具体的に確認されていることから、またシリコーン粒子という上位概念の一般的記載から、直ちにオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2 )を主成分とするシリコーン粒子を推察し、選択することにはならないから、この相違点は格別なものといえる。 そして、この相違点を含む特定の構成により本件明細書記載のとおりの格別の効果を奏するものであるから、訂正後の本件発明1が、刊行物1に記載された発明とも、また刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。 さらに、訂正後の本件発明2は、訂正後の本件発明1の少なくとも2層構造を少なくとも3層構造と限定するものであり、両者の特徴点は一致するものであることから、訂正後の本件発明1と同様の理由により、刊行物1に記載された発明とも、また刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。 [4]結び したがって、特許異議申立人の主張および挙証によっては、本件の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 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発明の名称 |
(54)【発明の名称】 二軸配向フィルム (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2)を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d ・・・ (1) である二軸配向フィルム。 【請求項2】 10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2)を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であるフィルムが、少なくとも3層構造からなる積層フィルムの少なくとも1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d ・・・ (1) である二軸配向フィルム。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、二軸配向フィルムに関する。 【0002】 【従来の技術】 二軸配向フィルム、例えば二軸配向ポリエステルフィルムとしては、ポリエステルに単分散有機粒子を含有せしめたフィルムが知られている(例えば特開昭59-217755号公報)。 【0003】 しかし、上記従来の二軸配向フィルムでは、例えば、磁気媒体用途における磁性層塗布、カレンダー工程、あるいは、できたビデオテープ等をダビングしてソフトテープ等を製造する工程等の工程速度の増大に伴い、接触するロールやガイドでフィルム表面に傷がつくという欠点があった。また、従来のものでは、上記ダビング時の画質低下のために、ビデオテープにした時の画質、すなわち、S/N(シグナル/ノイズ比)も不十分という欠点があった。 【0004】 本発明はかかる課題を解決し、特に高速工程でフィルムに傷がつきにくく(以下耐スクラッチ性に優れるという)、しかもダビング時の画質低下の少ない(以下耐ダビング性に優れるという)二軸配向フィルムを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 この目的に沿う本発明の二軸配向フィルムは、10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2)を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d ・・・ (1) である二軸配向フィルムである。 【0006】 本発明の二軸配向フィルムを構成するポリマは、特に限定されないがポリエステルが好ましい。ポリエステルとしては特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレンα,β-ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボキシレート、エチレン2,6-ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性がより良好となるので好ましい。なかでも、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルの場合に耐ダビング性、耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に好ましい。なお、本発明を阻害しない範囲内で、2種以上のポリエステルを混合しても良いし、共重合ポリマを用いても良い。 【0007】 本発明の二軸配向フィルムには、10%変形強度が3〜30kgf/mm2である有機粒子が含有される。10%変形強度が3kgf/mm2より小さいと、粒子が軟らかいためフィルム表面の突起が変形し摩擦が大きくなるため、耐スクラッチ性が悪化する。一方、10%変形強度が30kgf/mm2より大きいと、粒子が硬くフィルム表面の突起も硬くなるため、ガイドロール等と接触した場合外力により削れが発生し、耐スクラッチ性、耐ダビング性が悪化する。10%変形強度は好ましくは4〜25kgf/mm2、より好ましくは5〜20kgf/mm2である。 【0008】 本発明の有機粒子は、ジビニルベンゼン粒子および/またはシリコーン粒子からなる有機粒子である。ジビニルベンゼン粒子とは、架橋成分としてジビニルベンゼンを主体とするものをいう。つまり、ジビニルベンゼンが粒子成分の60%以上、さらに好ましくは75%以上のものである。他の成分としては、特に限定されないが、例えばエチルビニルベンゼン、ジエチルベンゼン等の架橋しない成分があげられる。また、シリコーン粒子とはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2)を主成分とするものである。 【0009】 本発明フィルムの有機粒子の粒径は、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、最も好ましくは0.1〜1μmである。粒径が上記範囲を外れると、耐スクラッチ性、耐ダビング性がともに良好とならない。 【0010】 有機粒子の含有量は特に限定されないが、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。 【0011】 本発明の二軸配向フィルムには、耐スクラッチ性、耐ダビング性の点から、上記の有機粒子の他に、さらに他の粒子を含有してもよい。他の粒子としては、特に限定されないが、結晶形がδ型、θ型、η型、γ型のアルミナ、ジルコニア、シリカ等の凝集粒子、または、炭酸カルシウム粒子、コロイダルシリカ粒子、チタン粒子等が好ましく例示される。これらの粒子を複数併用して用いてもよい。 【0012】 本発明の二軸配向フィルムは、上記のポリマと有機粒子を主要成分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内で他種ポリマをブレンドしてもよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されていてもよい。 【0013】 本発明の二軸配向フィルムは、上記組成物を二軸配向せしめたフィルムである。一軸あるいは無配向フィルムでは耐スクラッチ性が不良となるので好ましくない。この配向の程度は特に限定されないが、高分子の分子配向の程度の目安であるヤング率が長手方向、幅方向ともに350kg/mm2以上である場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に好ましい。分子配向の程度の目安であるヤング率は通常、1500kg/mm2程度が製造上の限界である。 【0014】 また、本発明フィルムは、ヤング率が上記範囲内であっても、フィルムの厚さ方向の一部分、例えば表層付近のポリマ分子の配向が無配向、あるいは一軸配向になっていない、すなわち厚さ方向の全部分の分子配向が二軸配向である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一層良好となる。特にアッベ屈折率計、レーザーを用いた屈折率計、全反射レーザーラマン法などによって測定される分子配向が、表面、裏面ともに二軸配向である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一層良好となる。 【0015】 本発明の二軸配向フィルムは、少なくとも2層構造からなる積層フィルムであることを特徴とする。 【0016】 積層フィルムの場合には、耐スクラッチ性、耐ダビング性の点から、前記の少なくとも有機粒子を含有するフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層であることが好ましい。 【0017】 また、3層以上の積層構造である場合は、耐スクラッチ性、耐ダビング性の点から、前記の少なくとも有機粒子を含有するフィルムが、少なくとも3層構造からなる積層フィルムの1つの最外層であることが好ましい。 【0018】 前記有機粒子を含有するフィルム層の厚さは、特に限定されないが、耐スクラッチ性、耐ダビング性の点から、0.005〜3μm、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.02〜1μmである。 【0019】 有機粒子の粒径dと、有機粒子を含有するフィルム層の厚さtの関係は、0.2d≦t≦10d、好ましくは0.5d≦t≦5d、さらに好ましくは0.5d≦t≦3dの場合に、特に耐スクラッチ性、耐ダビング性が良好となるので望ましい。 【0020】 積層構成の、前記有機粒子を含有するフィルム層以外の層を構成するポリマは、特に限定されないがポリエステルが好ましい。ポリエステルとしては特に限定されないが、エチレンテレフタレ-ト、エチレンα,β-ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボキシレ-ト、エチレン2,6-ナフタレ-ト単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性がより良好となるので好ましい。なかでも、エチレンテレフタレ-トを主要構成成分とするポリエステルの場合に耐ダビング性、耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に好ましい。 【0021】 積層構成の、前記有機粒子を含有するフィルム層以外の層を構成するポリマ中に粒子を含有していてもかまわない。この場合、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、チタン、カーボンブラック等が例示される。 【0022】 本発明の二軸配向フィルムは、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であることが必要である。少なくとも片面の突起個数が上記範囲より少なくても、また多くても耐ダビング性、耐スクラッチ性が悪化する。少なくとも片面の突起個数は、好ましくは3×103〜4×105個/mm2、より好ましくは5×103〜3×105個/mm2である。 【0023】 次に本発明フィルムの製造方法を、積層ポリエステルフィルムの場合について説明する。 【0024】 まず、ポリエステルに有機粒子を含有せしめる方法としては、ジオ-ル成分であるエチレングリコールにスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールを所定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが好ましい。また粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式の2軸混練押出機を用いてポリエステルに練り込む方法は、本発明の効果をより一層良好とするのに非常に有効である。 【0025】 粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。 【0026】 次に、粒子を所定量含有するペレットを必要に応じて乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2または3台の押出し機、2または3層のマニホ-ルドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態のポリエステルを積層する。この場合、凝集粒子を含有するポリマ流路に、スタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は本発明の効果をより一層良好とするのに有効である。 【0027】 次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法を用いるのがよい。長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦延伸倍率は3.0〜6.5倍、温度は80〜150℃、延伸速度は5,000〜50,000%/分の範囲で行なう方法が有効である。幅方向の延伸方法としては例えばステンタを用いる方法があげられ、幅方向延伸倍率は3.0〜5.0倍、延伸速度は1,000〜20,000%/分、温度は80〜160℃の範囲が好ましい。 【0028】 次にこの延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は170〜220℃、特に170〜210℃、時間は0.5〜60秒の範囲が好適である。 【0029】 [物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。 【0030】 (1)粒子の平均粒径 フィルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理する。SEMの倍率はおよそ2000〜10000倍、また、1回の測定での視野は1辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観察箇所をかえて粒子数5000個以上で粒径とその体積分率から、次式で体積平均径dを得る。 d=Σdi・Nvi ここで、diは粒径、Nviはその体積分率である。 【0031】 粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、以下の方法を用いても良い。 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、3000〜100000倍で観察する。TEMの切片厚さは約1000オングストロームとし、場所をかえて500視野以上測定し、上記式から体積平均径dを求める。 【0032】 (2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。場合によっては赤外分光法の併用も有効である。 【0033】 (3)粒子の10%変形強度(S10) 島津制作所(株)製の微小圧縮試験機(MCTM-201型)を使用して、負荷速度:0.0145gf/s、0〜1gfまでの負荷を加えて変形量を測定した。そして、粒子が10%変形した時の荷重P(kgf)から、下式に従い、S10(この測定を計10回行い、10回の平均値をS10とした)を計算した。 S=2.8P/πd2(kgf/mm2) ここで、dは粒径(mm)を表している。 【0034】 この粒子のS10は、ポリエステルフィルム中の粒子についても測定が可能であり、例えばo-クロロフェノールやアルカリ等でポリエステルを溶解し、粒子のみを分離、乾燥して同様の方法で測定することができる。また、粒子径が0.5μm未満の粒子は、該粒子と同一組成の1〜3μmの粒子のS10を該粒子のS10と定義した。 【0035】 (4)フィルム積層厚み 表面からエッチングしながらXPS(X線光電子光法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡などで、その粒子濃度のデプスプロファイルを測定する。片面に積層したフィルムにおける表層では、表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。 【0036】 本発明の片面に積層したフィルムの場合は、深さ[I]で一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここで、II>I)を積層厚さとした。さらに、無機粒子などが含有されている場合には、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、ポリエステルA層の表面からの深さ(厚さ)方向の分析を行う。そして上記同様の手法から積層厚さを得る。なお、フィルム断面観察あるいは薄膜段差測定機などによって求めることもできる。 【0037】 (5)フィルム表面の分子配向 ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈折率計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレンを用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの二軸配向性は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN1、N2、N3とした時、(N1-N2)の絶対値が0.07以下、かつ、N3/[(N1+N2)/2]が0.95以下であることをひとつの基準とできる。また、レーザー型屈折率計を用いて屈折率を測定しても良い。さらに、この方法では測定が難しい場合は全反射レーザーラマン法を用いることもできる。レーザー全反射ラマンの測定は、Jobin-Yvon社製Ramanor U-1000ラマンシステムにより、全反射ラマンスペクトルを測定し、例えばPETの場合では、1615cm-1(ベンゼン環の骨格振動)と1730cm-1(カルボニル基の伸縮振動)のバンド強度比の偏光測定比(YY/XX比など。ここでYY:レーザーの偏光方向をYにしてYに対して平行なラマン光検出、XX:レーザーの偏光方向をXにしてXに対して平行なラマン光検出)が分子配向と対応することを利用できる。ポリマの二軸配向性はラマン測定から得られたパラメータを長手方向、幅方向の屈折率に換算して、その絶対値、差などから判定できる。この場合の測定条件は次のとおりである。 ▲1▼光源 アルゴンイオンレ-ザ-(5145A) ▲2▼試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レ-ザのプリズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は60°とした。 ▲3▼検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System(Hamamatsu C1230)(supply 1600V) ▲4▼測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2cm-1 REPEAT TIME 6 【0038】 (6)ヤング率 JIS-Z-1702に規定された方法にしたがって、インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。 【0039】 (7)フィルム表面の突起数 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM-3200、エリオニクス(株)製]と断面測定装置[PMS-1、エリオニクス(株)製]において、フィルム表面の平坦部の高さを0とし走査したときの突起の高さ測定値を画像解析装置[IBAS2000、カールツアイス(株)製]に送り、フィルム表面突起画像を再構築する。次に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた個々の突起について、場所をかえて500回繰り返し、突起個数を求めた。走査型電子顕微鏡(SEM)の倍率は1000〜8000倍の間の値を選択する。なお、場合によっては高精度光干渉式3次元表面解析装置(WYKO社製TOPO-3D、対物レンズ:40〜200倍、高解像度カメラ使用が有効)を用いて得られる高さ情報を上記SEMの値に読み替えて用いても良い。 【0040】 (8)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテ-プ状にスリットしたものをテ-プ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面粗度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度250m/分、走行回数1パス、巻き付け角:60°、走行張力:90g)。この時、フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、幅1μm以上の傷がテープ幅あたり2本未満は優、2本以上10本未満は良、10本以上は不良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能である。 【0041】 (9)耐ダビング性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ-装置(スチ-ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダー処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記テープ原反を1/2インチにスリットし、パンケーキを作成した。このパンケーキから長さ250mの長さをVTRカセットに組み込みVTRカセットテープとした。 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄:100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部 ・ポリウレタンエラストマ:10重量部 ・ポリイソシアネート):5重量部 ・レシチン:1重量部 ・メチルエチルケトン:75重量部 ・メチルイソブチルケトン:75重量部 ・トルエン:75重量部 ・カーボンブラック:2重量部 ・ラウリン酸:1.5重量部 このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生器により100%クロマ信号を記録し、その再生信号からカラ-ビデオノイズ測定器でクロマS/Nを測定しAとした。また上記と同じ信号を記録したマスタ-テープのパンケーキを磁界転写方式のビデオソフト高速プリントシステム(スプリンタ)を用いてAを測定したのと同じ試料テープ(未記録)のパンケーキへダビングした後のテープのクロマS/Nを上記と同様にして測定し、Bとした。このダビングによるクロマS/Nの低下(A-B)が3dB未満の場合は耐ダビング性:優、3dB以上5dB未満の場合は良、5dB以上は不良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能である。 【0042】 【実施例】 次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説明する。 【0043】 実施例1(表1、表2) 粒子中の組成がジビニルベンゼン81%である0.45μmのジビニルベンゼン粒子の水スラリーを直接ポリエチレンテレフタレートペレットと混合し、ベント式の2軸混練押出機を用いて練り込み、ポリエチレンテレフタレートのマスタペレットを得た。さらに、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのマスタペレットを得た。 【0044】 これらのポリマを適当量混合し(ポリマA:無粒子、ジビニルベンゼン粒子、ポリマB:無粒子)、180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、それぞれ押出機1、押出機2に供給し290℃、280℃で溶融した。これらのポリマを高精度濾過した後、矩形合流部にて3層積層とした(A/B/A)。 【0045】 これを静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比を10とした。また、それぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、熱可塑性樹脂A層の厚さを調節した。 【0046】 この未延伸フィルムを温度85℃にて長手方向に3.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階で行なった。この一軸延伸フィルムをステンタを用いて延伸速度2,000%/分で100℃で幅方向に4.0倍延伸し、定長下で、200℃にて5秒間熱処理し、総厚さ15μm、積層部厚さ0.5μmの二軸配向積層フィルムを得た。このフィルムの特性は表1、表2に示したとおりであり、耐スクラッチ性、耐ダビング性が良好であった。 【0047】 実施例2、比較例1〜4(表1,表2) 実施例1と同様にして、粒子の種類、粒径、10%変形強度、表面突起数等を変更したフィルムを得た。表1、表2に示すように本発明範囲のフィルムは耐スクラッチ性、耐ダビング性が良好であるが、そうでないものは耐スクラッチ性、耐ダビング性を両立することができない。 【0048】 【表1】 【表2】 【0049】 【発明の効果】 本発明の二軸配向フィルムによれば、特定の強度の有機粒子を用い、フィルム表面突起数を特定範囲としたので、フィルム表面が傷つきにくく、また、磁気媒体用とした時に、優れた画質、ドロップアウト特性を得ることができる。 |
訂正の要旨 |
訂正請求書による訂正事項は次のとおりである。 尚、訂正事項a,b,cは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。訂正事項d、eは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項a: 特許請求の範囲の請求項1を、「10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2)を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d ・・(1)である二軸配向フィルム。」と訂正する。 訂正事項b: 特許請求の範囲の請求項2を、「10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-SiO3/2)を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であるフィルムが、少なくとも3層構造からなる積層フィルムの少なくとも1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d ・・(1)である二軸配向フィルム。」と訂正する。 訂正事項c: 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 訂正事項d: 特許登録時の明細書(以下、単に「明細書」という。)の段落番号【0005】欄を、「【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の二軸配向フィルムは、10%変形強度が3〜30kgf/mm2であり、架橋成分が60%以上であるジビニルベンゼン粒子および/またはオルガノポリシロキサン(CH3-Si03/2)を主成分とするシリコーン粒子からなる有機粒子を含有し、少なくとも片面の突起個数が2×103〜5×105個/mm2であるフィルムが、少なくとも2層構造からなる積層フィルムの1つの最外層として配置され、該有機粒子の平均粒径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が0.2d≦t≦10d・・(1)である二軸配向フィルムである。」と訂正する。 訂正事項e: 明細書の段落番号【0008】欄を、「本発明の有機粒子は、ジビニルベンゼン粒子および/またはシリコーン粒子からなる有機粒子である。ジビニルベンゼン粒子とは、架橋成分としてジビニルベンゼンを主体とするものをいう。つまり、ジビニルベンゼンが粒子成分の60%以上、さらに好ましくは75%以上のものである。他の成分としては、特に限定されないが、例えばエチルビニルベンゼン、ジエチルベンゼン等の架橋しない成分があげられる。また、シリコーン粒子とはオルガノポリシロキサン(CH3-Si03/2)を主成分とするものである。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-02-27 |
出願番号 | 特願平4-279984 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C08J)
P 1 651・ 113- YA (C08J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 増田 亮子 |
特許庁審判長 |
三浦 均 |
特許庁審判官 |
佐野 整博 船岡 嘉彦 |
登録日 | 1999-11-05 |
登録番号 | 特許第2998457号(P2998457) |
権利者 | 東レ株式会社 |
発明の名称 | 二軸配向フィルム |
代理人 | 伴 俊光 |
代理人 | 岡田 数彦 |
代理人 | 伴 俊光 |