ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K |
---|---|
管理番号 | 1044622 |
異議申立番号 | 異議2000-72354 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-09-20 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-06-12 |
確定日 | 2001-02-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2988803号「皮膚老化防止化粧料組成物」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2988803号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.経緯 本件特許第2988803号は、平成5年3月12日の出願に係り、平成11年10月8日に設定登録された後、異議申し立てがあり、取消理由通知に対して平成13年1月9日付で訂正請求がなされたものである。 2.訂正請求について、 本件訂正請求に係る訂正事項を整理して示すと以下のとおりである。 (1)特許明細書の特許請求の範囲における、 「[請求項1] カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の抽出エキスを1種または2種以上含有することを特徴とする皮膚老化防止化粧料組成物。 [請求項2] カバノキ属に属する植物がシラカバ(Betula platyphylla)、ハンノキ属に属する植物がハンノキ(Alnus japonica)である請求項1記載の皮膚老化防止化粧料組成物。 [請求項3] 抽出エキスが、ベンゼン、エチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メタノール、エタノール、1,3-ブチレングリコールおよび水よりなる群から選択される1種または2種以上の溶媒を用いて調製されたものである請求項1または請求項2記載の皮膚老化防止化粧料組成物。」なる記載を、 「[請求項1] カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを含有することを特徴とする皮膚老化防止化粧料組成物。 [請求項2] カバノキ属に属する植物がシラカバ(Betula platyphylla)、ハンノキ属に属する植物がハンノキ(Alnus japonica)である請求項1記載の皮膚老化防止化粧料組成物。」に訂正するものである。 (2)特許明細書の段落番号[0001]及び[0003]における「カバノキ科のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の抽出エキス」を「カバノキ科のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキス」に訂正する。 (3)特許明細書の段落番号[0002]における「機能低下のよる」を「機能低下による」に訂正する。 (4)特許明細書の段落番号[0003]における「呈氏」を「呈し」に訂正する。 (5)特許明細書の段落番号[0004]における「上記カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する抽出エキスで、抽出溶媒は特に限定されないが、ベンゼン、エチルエーテル・・・・・・または水が好ましい。これら・・・・2種以上を混合して用いることもできる。抽出操作は・・・・・・細かく砕いて所望の抽出溶媒に浸漬する。・・・浸漬後、溶媒を濾去し、」なる記載を「上記カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する水抽出エキスである。抽出操作は・・・細かく砕いて水に浸漬する。・・・浸漬後、水を濾取し、」に訂正し、また、その後段の「カバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する色物の抽出エキス」を「カバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキス」に訂正する。 (6)特許明細書の段落番号[0007]における「リノール酸30μg塩化カリウム」及び「リン酸暖衝液」なる記載を、「リノール酸30μg、塩化カリウム」及び「リン酸緩衝液」にそれぞれ訂正する。 (7) 特許明細書の段落番号[0010]および[0016]における「子じわ」を「小じわ」に訂正する。 (8) 特許明細書の段落番号[0010]における「実施例2のシラカバ抽出エキス」および「シラカバ抽出エキス無配合」なる記載を、それぞれ「実施例のシラカバ水抽出エキス」「シラカバ水抽出エキス無配合」に訂正する。 (9)特許明細書の段落番号[0012]における「シラカバ抽出エキス」なる記載を「シラカバ水抽出エキス」に訂正する。 (10)特許明細書の段落番号[0013]の記載全文(実施例1)を削除し、同明細書の段落番号[0014]〜[0016]の番号をそれぞれ[0013]〜[0015]に繰り上げる。 (11)特許明細書の段落番号[0014]における「実施例2」を「実施例」に訂正する。 (12)特許明細書の段落番号[0014]における「シラカバ抽出エキス(参考例1)」なる記載を「シラカバ水抽出エキス(参考例1)」に訂正する。 (13)特許明細書の段落番号[0014]における「シラカバ抽出エキス(参考例1)」なる記載を「シラカバ水抽出エキス(参考例1)」に訂正する。 (14)特許明細書の段落番号[0015]における記載全文(実施例3)を削除するとともに、同明細書の段落番号[0016]、[0017]の番号をそれぞれ[0014]〜[0015]に繰り上げる。 (15)特許明細書の段落番号[0016]における「実施例1〜3のシラカバ抽出エキスに変えて、参考例4〜6に示したハンノキの抽出エキスを配合した化粧品も同様に処方できる。これらの化粧品は・・」なる記載を「実施例のシラカバ水抽出エキス(参考例1)に代えて、参考例4に示したハンノキの水抽出エキスを配合した化粧品も同様に処方できる。この化粧品は・・・」に訂正する。 そこで、これらの訂正について検討する。 (1)の訂正は、特許明細書の請求項1における「カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の抽出エキスの1種また2種以上」を「カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキス」のみに限定するとともに、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、カバノキ科植物のカバノキ属及びハンノキ属に属する植物の抽出エキスは、特許明細書の参考例1及び2においてその製法が記載されていたものであり,その使用も同明細書の実施例2及び段落番号[0016]において明示されていたものであるから、この訂正は、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものでもない。 (2)、(5)及び(8)〜(15)の訂正は、訂正後の特許請求の範囲の記載と整合しない実施例の削除、及び同じく整合しないその他の発明の詳細な説明中の記載の訂正であり、また、これらの実施例の削除あるいは訂正に伴う記載上の整理を図るものであるから、これらの訂正は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (3)、(4)、(6)、(7)の訂正及び(15)の訂正中「変えて」を「代えて」にする訂正は、いずれも誤記の訂正あるいは不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。また、これら(2)〜(15)の訂正は、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものでもない。 したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項、及び同第3項で準用する特許法第126条第2、3項の規定に適用するので当該訂正を認める。 3.異議申立てについて、 本件異議申立人の主張の概要は、以下のとおりである。 (1)本件請求項1から3の発明は、a)甲第3〜6号証に係る発明と同一か、あるいはb)甲第3〜8号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから、これら請求項の発明は特許法第29条第1項第3号あるいは同条第2項の規定に違反してなされたものである。そして、この主張に関し甲第1及び2号証を提示している。 (2)本件明細書の記載には不備があり、本件特許は特許法第36条に規定する要件を満たしていない出願に対しなされたものである。 証拠方法 甲第1号証;特許第2708692号異議申立事件における取消理由通知書 甲第2号証;時願昭61-69519に対する拒絶査定の謄本の写 甲第3号証;「メッセゲ氏の薬草療法」モーリス・メッセゲ著、田中孝治監修、高山林大郎訳、自然の友社(株)刊、昭和55年3月7日発行、第199〜201頁 甲第4号証;「CIR COSMETIC INFORMATION RESEARCH」 Vol.6,NO.11,1986 p.73‐74(フレグランスジャーナル社、昭和61年11月10日発行) 甲第5号証;「フレグランスジャーナル」臨時増刊NO.6(1986)、昭和61年5月1日発行、第164〜165頁 甲第6号証;特開平3-157334号公報 甲第7号証;時開平1-128934号公報 甲第8号証;「フレグランスジャーナル」1992年第2号、平成4年(1992)2月15日発行、第57〜62頁 これに対して、本件訂正後の請求項1及び2の発明は、訂正明細書の記載からみて、その請求項1及び2に記載されたとおりの以下のものと認める。 「[請求項1] カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを含有することを特徴とする皮膚老化防止化粧料組成物。 [請求項2] カバノキ属に属する植物がシラカバ(Betula platyphylla)、ハンノキ属に属する植物がハンノキ(Alnus japonica)である請求項1記載の皮膚老化防止化粧料組成物。」 そこで、以下、上記異議申立人の主張について検討する。 主張(1)a)について、 甲第3〜6号証の記載は、以下のとおりである。 甲第3号証;、シラカバの葉と芽との煎剤が化粧水として使用されることが記載され、、該煎剤が水を用て作られることが記載されている。 甲第4号証;バーチ(白樺)の樹皮、木部より抽出されるエキスが配合されたスカンジナビアンハーブが記載されており、該エキスの効果として、「賦活……効果に優れ、素肌を健やかに保つ」と記載されている。 甲第5号証;香粧品素材としてシラカンバ(白樺)が記載されており、該シラカンバについて、主要成分名のほか、外用した場合の効能として「皮膚柔軟・粘滑・刺激緩和」効果、「シミ・ソバカス・、シワ防止」効果および「保水・保湿」効果を有することが記載されている。 甲第6号証;シラカバから低級アルコールまたは低級アルコールと水との混合物により抽出される成分を含有するスーパーオキサイド消去剤が記載されており、該剤が化粧品に配合可能であること、および該剤の添加が原料植物体換算量で0.001〜0.1%程度であることが記載されている。 甲第7号証;バーチの溶媒抽出エキスを有効成分とするプロテアーゼ阻害剤が記載されており、該溶媒抽出エキスを得るための抽出溶媒して水もしくは有機溶媒(……ベンゼン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、エタノール、メタノールなど)が使用されること、および該プロテアーゼ阻害剤は、該抽出エキスが0.001〜0.1重量%存在する場合にその作用を示すことが記載されている。 甲第8号証;プロテアーゼ阻害剤が、表皮のターンオーバーの変調に対して有効であることが記載されている。 まず、本件訂正後の請求項1の発明(以下、本件発明という。)について検討する。 甲第3号証においては、上記記載があるものの、上記化粧水を皮膚老化防止に用いる旨の記載がなく、甲第1号証においては本件発明における化粧料組成物の用途を示してはいない。 甲第4号証においては、バーチ(白樺)の樹皮、木部の抽出エキスについてどのような溶媒を使用して抽出されたものか明らかにされてはおらず、本件発明のような水抽出液の使用を示唆しておらいない。また、甲第5号証においても、本件発明のような水抽出液を使用することは記載されてはいない。 甲第6号証におけるスーパーオキサイド消去剤は、低級アルコールまたは低級アルコールと水との混合物により抽出されるものであって、抽出溶媒において本件発明とは相違することが明らかであり、本件発明のような水抽出液の使用を示唆していない。 甲第7号証においては、プロテアーゼ阻害剤に使用するバーチの抽出エキスの溶媒として、水が挙げられてはいるが、そのプロテアーゼ阻害剤の用途は、毛嚢炎、尋常性毛瘡、ボックハルト膿痂疹等のプロテアーゼに起因する疾患の予防、防止であって、本件発明の皮膚老化防止のために用いるものではない。 甲第8号証においては、プロテアーゼ阻害剤が、表皮のターンオーバーの変調に対して有効である旨の記載があるが、このプロテアーゼ阻害剤として、本件発明のようなカバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを使用することは示されてはいない。 したがって、以上の点からみると、本件発明は甲第3〜8号証に記載された発明と各々同一ではなく、本件発明はこれら甲各号証に記載された発明であるとはいえない。 また、訂正後の請求項2の発明は本件発明をさらに限定したものるから、本件発明が甲第3〜8号証に記載された発明ではない以上、訂正後の請求項2の発明も甲第3〜8号証に記載された発明ではない。 主張(1)b)について、 上記したように、甲第3〜6号証においては、カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを皮膚老化防止のために使用することを示す記載がないことは明かである。そして、これら甲号証中には、シラカバ抽出液が皮膚老化に有効であること示唆する記載もみられないことはないが、訂正明細書の第1及び2表に示される試験結果からみると、シラカバ及びハンノキの水抽出液は、角化細胞増殖促進効果について、他の溶媒であるエタノール及びクロロホルムを使用する場合に比して優れ、さらに美肌試験においてもエタノールを使用する場合に比して優れている。さらに、平成13年1月9日付の特許異議意見書におけるモルモット角質層ターンオーバー促進試験の結果からみると、上記水抽出液は、50%エタノール溶媒を使用する場合よりも優れていることは明かである。してみれば、本件発明の水抽出エキスは皮膚老化防止効果において顕著なものとせざるをえない。これに対して、甲第3〜6号証においては、このような水を溶媒として用いた抽出液の効果が予想できるとするに足る記載はない。したがって、本件発明は甲第3〜6号証の記載から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 次に、特に本件異議申立人は、本件発明は甲第7号証及び甲第8号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものである旨主張しているのでこの点について以下検討する。 甲第8号証においては、表皮ターンオーバーの変調にプロテアーゼ阻害剤が有効である旨記載するが、その前後の記載をも含めて示すと、以下のとおりである。 「表皮におけるいくつかのプロテアーゼおよびプロテアーゼインヒビターの存在が知られており(表3)、表皮の構造や機能の恒常性維持におけるそれらの役割の重要性が注目されている。表皮におけるプロテアーゼの機能については8)9)、表皮の増殖・分化の過程で不要となった細胞内外のタンパク質の分解がある。この異化作用については,従来からプロテアーゼの役割として考えられている。最近ではその作用に加え,限定分解による生理活性べプチドの生成,分解への関与等のプロセシング作用の重要性が示唆されてきた。このような表皮の恒常性維持における役割の他に,ある種の表皮の疾患発現との関連でプロテアーゼの役割が明らかになりつつある。 一方,生体におけるプロテアーゼの作用を考えるとき,その制御機構としてプロテアーゼインヒビターの存在と機能も同時に考察する必要がある。表皮においても同様な制御機能を想像させるようなプロテアーゼとそのインヒビ夕-の存在が報告されている。 我々は先に,表皮ターンオーバーの変調に対してプロテアーゼ阻害剤が有効であることを示した。さらに,各種プロテアーゼ阻害剤のターンオーバーの変調に対する挙動の違いから,トリプシン型セリンプロテアーゼのなかで,特に線溶系に関係するプロテアーゼが表皮の増殖・分化の異常が引き起こされる過程に強く関与していることが推察された。 表皮に線溶系に関与するプロテアーゼおよびインヒビター,すなわちプラスミノーゲンアクチベーター(PA),プラスミノーゲンおよびプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が存在することは報告されている。特にPAおよびPAlについては乾癖や天庖瘡の病態形成との関連で解析が進んできた10)〜13)。 我々は,培養表皮細胞を用いた検討で,増殖期にはPAが優位であり,分化期ではPAlが優位になることを確認した。さらに,界面活性剤で処理した後の角層で,無処理の角層では検出できないPA活性が出現し,正常に戻った角層ではPAlのみが検出されることを確認した(図3)。」 この記載によれば、甲第8号証にいうプロテアーゼは、生体における表皮の恒常性維持に関与しているプロテアーゼであり、具体的にはプラスミノーゲンアクチベータ等の線溶系に関係するプロテアーゼ等であって、少なくともヒト等の生体において産生されるものである。したがって、甲第8号証における「表皮ターンオーバーの変調に対してプロテアーゼ阻害剤が有効である」なる記載中のプロテアーゼ阻害剤は、このような生体における表皮の恒常性維持に関与しているものであって、ヒト等の生体において産生されるプロテアーゼに対して阻害能を有するものでなければならないはずである。 これに対して、甲第7号証においては、バーチの抽出エキスが、毛嚢炎、尋常性毛瘡、ボックハルト膿痂疹等に関与する表皮性ブドウ状球菌のプロテアーゼ、具体的にはスタフィロコッカス属由来のプロテアーゼに対して阻害能を示すことが記載されているだけであり、本件異議申立人が提示するこれらの証拠のみでは、バーチの抽出エキスが甲第8号証にいう上記プロテアーゼに対しても阻害能を有するとすることはできない。 そうすると、甲第7号証のバーチ抽出液が、甲第8号証にいう表皮ターンオーバーの変調に対して有効なものであることは当業者においても容易に想到できるものとはいえないから、本件発明は、甲第7号証及び甲第8号証の記載から当業者が容易に発明できたものともいえない。以上のとおりであるから、結局、本件発明は甲第3〜8号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 なお、甲第1、2号証は本件とは別異の事件における取消理由通知書及び拒絶査定の謄本にすぎず、この内容は本件についての判断に影響を及ぼすものではない。 また、本件訂正後の請求項2の発明は本件発明をさらに限定したものであるから、本件発明が甲第3〜8号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものではない以上、この訂正後の請求項2の発明もこれら甲第3〜8号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとはいえない。 (2)の主張について、 この主張は、具体的には、本件明細書に記載された美肌効果に関する官能試験及び角化細胞増殖試験において効果を有するのは、水を抽出溶媒として使用する場合のみであり、他の溶媒は効果がないにも関わらず、請求項3においては、水抽出物以外の溶媒抽出物をも記載しているのは不当であり、この点で本件明細書には記載不備があるというものである。しかし、上記訂正により、請求項3は削除されているから、もはや異議申立人が指摘する記載不備はない。 なお、さらにいうと、上記訂正によれば、請求項3の削除の他に、請求項1において水抽出エキスを含有する組成物のみに限定され、また、これにより請求項1を引用する請求項2も水抽出物を含有する組成物に限定されるから、異議申立人の指摘が、請求項1及び2の記載不備をも含むものであったとしても、訂正後の請求項1及び2には記載不備はない。 4.むすび、 以上のとおりであるから、結局、本件訂正請求は認めることができ、本件請求項1及び2の発明に係る特許は、異議申立ての主張及び証拠によっては取り消すことができない。 さらに、他に、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 皮膚老化防止化粧料組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを 含有することを特徴とする皮膚老化防止化粧料組成物。 【請求項2】 カバノキ属に属する植物がシラカバ(Betula platyphylla)、ハンノキ属に属する植物がハンノキ(Alnus japonica)である請求項1記載の皮膚老化防止化粧料組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを有効成分として含有する皮膚老化防止効果(表皮細胞の増殖、分化の促進、角質層のターンオーバー促進、角質改善、美肌効果など)にすぐれた皮膚老化防止化粧料に関する。 【0002】 【従来の技術及び問題点】老化皮膚では、表皮および真皮の細胞活性の低下が見られ、そのため角質層の機能低下による乾燥肌や真皮繊維芽細胞の機能低下による弾力性のない肌になる。このような老化皮膚の活性を回復させるために、細胞賦活剤の探索がおこなわれ、真皮繊維芽細胞に対する増殖促進作用のある物質が提案されている(プラセンタエキス、乳精抽出物など)。しかし、これらを配合した組成物も皮膚老化防止化粧品としての効果は十分で無く、より有効な成分の探索が課題であった。 【0003】 【問題点を解決するための手段】本発明者らは、表皮細胞の賦活剤に関して探索を続け、意外にもカバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスに表皮細胞の増殖を顕著に促進する作用があることを発見し、鋭意検討をかさねた結果、該エキスが角質層の機能を改善し、さらに、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを配合してなる皮膚化粧料は老化皮膚のターンオーバーを促進し、肌あれ改善効果、角質改善効果に対して顕著な作用を呈し、また、美肌効果(しっとり感、なめらか感、張り、艶を皮膚に付与する)をも発現することを確認し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを配合してなる皮膚老化防止化粧料である。 【0004】本発明に用いるカバノキ科のカバノキ属のシラカバは、日本では中部や北部の高山の陽地に存在する公知の植物である。また、同科のハンノキ属に属する植物のハンノキも日本に存在する公知の植物である。本発明の皮膚化粧料中に配合する植物抽出エキスは、上記カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する水抽出エキスである。 抽出操作は常法により行なわれる。即ち、これらの植物の木部、樹皮、根、葉等を乾燥してまたはそのまま、細かく砕いて水に浸漬する。浸漬する温度は特に限定されない。浸漬後、水を濾取し、減圧濃縮等の方法で濃縮しエキスを得ることができる。カバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスの化粧料に対する配合量は、0.001〜2.0重量%であるのが好ましい。かかる配合量が0.001重量%未満であると目的とする皮膚老化防止効果が十分に発揮できない。一方、2.0重量%を超えてもその増加分に見合った効果の向上は得られない。これらのカバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスは、皮膚機能を改善し、皮膚が本来備えている機能を修復あるいは改善して皮膚を健常な状態に保ち、特に老化皮膚に適用する場合、著しい効果が認められる。本発明の皮膚化粧料にはその種類に応じ、性能を損なわない範囲において適宜公知の成分(基剤、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤等)を配合することができる。 【0005】 【実施例】以下、参考例、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。 [抽出エキスの作製] 参考例1: シラカバの木皮100gを1リットルの水で2回抽出した。次いで、2回の抽出液を減圧濃縮したのち乾固し、抽出エキス1.4gを得た。(収率1.4%) 参考例2: シラカバの木皮100gを1リットルのエタノールで2回抽出した。次いで、2回の抽出液を減圧濃縮したのち乾固し、抽出エキス22gを得た。(収率22%) 参考例3: シラカバの木皮100gを1リットルのクロロホルムで2回抽出した。次いで、2回の抽出液を減圧濃縮したのち乾固し、抽出エキス23gを得た。(収率23%) 【0006】参考例4: ハンノキの木皮100gを1リットルの水で2回抽出した。次いで、2回の抽出液を減圧濃縮したのち乾固し、抽出エキス1.0gを得た。(収率1.0%) 参考例5: ハンノキの木皮100gを1リットルのエタノールで2回抽出した。次いで、2回の抽出液を減圧濃縮したのち乾固し、抽出エキス18gを得た。(収率18%) 参考例6: ハンノキの木皮100gを1リットルのクロロホルムで2回抽出した。次いで、2回の抽出液を減圧濃縮したのち乾固し、抽出エキス23gを得た。(収率23%) 【0007】[角化細胞増殖促進試験] 培養細胞:角化細胞は培養細胞として確立されているSV40トランスフォームヒトケラチノサイトを用いた。 試験方法:クリーンベンチ内において、滅菌した牛胎仔血清2.5ml、ケラチノサイト基本培地75ml、抗生物質0.8mlを入れ、そこに1.6×106個の角化細胞を撒き、6穴プレートに3mlづつ分注して、炭酸ガス培養器中5%の炭酸ガスを含有する雰囲気下37℃で培養した。24時間後に培養液を除去し、ケラチノサイト基本培地1.5ml、ダルベッコ変法イーグル最少栄養培地1.5ml、リノール酸3μg、塩化カリウム3μg、抗生物質30μg、脂肪酸フリー牛血清アルブミン30μg/mlを入れ、試験物質を最終濃度が0.1μg/mlになるように添加し、1週間培養した。培養後、培養液を除去し、0.02%EDTA、次いで0.25%トリプシンを含むダルベッコのリン酸緩衝液を加え剥離した。次いで、これらを除去し、各穴にダルベッコのリン酸緩衝液を1mlを入れ、懸濁して血球計算盤で細胞数を計測した。植物エキスのかわりに蒸留水を用いたブランク試験の細胞数を元にして以下の計算式により増殖比率を計算し第1表に示した。 【0008】 【数1】 【0009】 【表1】 【0010】[官能試験(美肌効果試験)] 試験方法:荒れ肌、小じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者(30〜40代)20人に実施例 のシラカバ水抽出エキスを2.0%配合したクリーム、およびシラカバ水抽出エキス無配合のクリーム(クリームB)を1日2回(朝、夕)連続3ヶ月塗布して3ヶ月後の効果を評価した。試験結果は皮膚の湿潤性、柔軟性、弾力性、および艶の各項目に対して5段階で回答された人数で示した。 【0011】 【表2】 【0012】試験結果: 第2表の結果から明らかなように、本発明のシラカバ水抽出エキスは美肌効果(しっとり感、なめらか感、張り、艶を皮膚に付与する)を発現することが認められた。 【0013】 実施例 .クリーム 成分 配合量(重量%) 成分(A) シラカバ水抽出エキス(参考例1) 2.0 ステアリン酸アスコルビル 1.0 サラシミツロウ 4.0 セタノール 2.0 ステアリン酸 1.0 ミリスチン酸イソプロピル 5.0 ラノリン 2.0 流動パラフィン 9.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリルモノステアリン酸 3.0 ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 1.5 パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 成分(B) パラオキシ安息香酸メチル 0.2 プロピレングリコール 5.0 香料 0.2 精製水 残部 合計 100 成分(A)を加熱溶解し、80℃に保持する。別に香料を除く成分(B)を加熱溶解して80℃に保ち、これに前記成分(A)を攪拌しながら加え、冷却を行い、香料を加え、さらに冷却してクリームを得た。 【0014】実施例 のシラカバ水抽出エキス(参考例1)に代えて、参考例4 に示したハンノキの水抽出エキスを配合した化粧品も同様に処方できる。こ の化粧品は、荒れ肌、小じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者に使用し、何れも皮膚の湿潤性、柔軟性、弾力性、および艶の各項目に対して良好な評価を得た。 【0015】 【発明の効果】本発明の皮膚化粧料は、表皮細胞の増殖、分化の促進、角質層のターンオーバー促進、角質改善、美肌効果等の効果を有し、皮膚機能を改善し、皮膚の老化防止に優れた効果を発揮する。 |
訂正の要旨 |
a.特許請求の範囲の減縮を目的として、 「 【請求項1】 カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の抽出エキスを1種または2種以上含有することを特徴とする皮膚老化防止化粧料組成物。」とあるを、 「 【請求項1】 カバノキ科植物のカバノキ属またはハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを含有することを特徴とする皮膚老化防止化粧料組成物。」 と訂正し、【請求項3】を削除する。 b.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、 明細書中、 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の抽出エキスを有効成分として含有する皮膚老化防止効果(表皮細胞の増殖、分化の促進、角質層のターンオーバー促進、角質改善、美肌効果など)にすぐれた皮膚老化防止化粧料に関する。」とあるを、 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを有効成分として含有する皮膚老化防止効果(表皮細胞の増殖、分化の促進、角質層のターンオーバー促進、角質改善、美肌効果など)にすぐれた皮膚老化防止化粧料に関する。」と訂正する。 c.誤記の訂正を目的として、 明細書中、 「【0002】 【従来の技術及び問題点】老化皮膚では、表皮および真皮の細胞活性の低下が見られ、そのため角質層の機能低下のよる乾燥肌や真皮繊維芽細胞の機能低下による弾力性のない肌になる。このような老化皮膚の活性を回復させるために、細胞賦活剤の探索がおこなわれ、真皮繊維芽細胞に対する増殖促進作用のある物質が提案されている(プラセンタエキス、乳精抽出物など)。しかし、これらを配合した組成物も皮膚老化防止化粧品としての効果は十分で無く、より有効な成分の探索が課題であった。」とあるを、 「【0002】 【従来の技術及び問題点】老化皮膚では、表皮および真皮の細胞活性の低下が見られ、そのため角質層の機能低下による乾燥肌や真皮繊維芽細胞の機能低下による弾力性のない肌になる。このような老化皮膚の活性を回復させるために、細胞賦活剤の探索がおこなわれ、真皮繊維芽細胞に対する増殖促進作用のある物質が提案されている(プラセンタエキス、乳精抽出物など)。しかし、これらを配合した組成物も皮膚老化防止化粧品としての効果は十分で無く、より有効な成分の探索が課題であった。」と訂正する。 d.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、および、誤記の訂正を目的として、 明細書中、 「【0003】 【問題点を解決するための手段】本発明者らは、表皮細胞の賦活剤に関して探索を続け、意外にもカバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の抽出エキスに表皮細胞の増殖を顕著に促進する作用があることを発見し、鋭意検討をかさねた結果、該エキスが角質層の機能を改善し、さらに、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の抽出エキスを配合してなる皮膚化粧料は老化皮膚のターンオーバーを促進し、肌あれ改善効果、角質改善効果に対して顕著な作用を呈氏、また、美肌効果(しっとり感、なめらか感、張り、艶を皮膚に付与する)をも発現することを確認し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の抽出エキスを配合してなる皮膚老化防止化粧料である。」とあるを、 「【0003】 【問題点を解決するための手段】本発明者らは、表皮細胞の賦活剤に関して探索を続け、意外にもカバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスに表皮細胞の増殖を顕著に促進する作用があることを発見し、鋭意検討をかさねた結果、該エキスが角質層の機能を改善し、さらに、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを配合してなる皮膚化粧料は老化皮膚のターンオーバーを促進し、肌あれ改善効果、角質改善効果に対して顕著な作用を呈し、また、美肌効果(しっとり感、なめらか感、張り、艶を皮膚に付与する)をも発現することを確認し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスを配合してなる皮膚老化防止化粧料である。」と訂正する。 e.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、 明細書中、 「【0004】本発明に用いるカバノキ科のカバノキ属のシラカバは、日本では中部や北部の高山の陽地に存在する公知の植物である。また、同科のハンノキ属に属する植物のハンノキも日本に存在する公知の植物である。本発明の皮膚化粧料中に配合する植物抽出エキスは、上記カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する抽出エキスで、抽出溶媒は特に限定されないが、ベンゼン、エチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メタノール、エタノール、1,3-ブチレングリコールまたは水等が好ましく、さらに、クロロホルム、エタノールまたは水が特に好ましい。これらの抽出溶媒は2種以上を混合して用いることもできる。抽出操作は常法により行なわれる。即ち、これらの植物の木部、樹皮、根、葉等を乾燥してまたはそのまま、細かく砕いて所望の抽出溶媒に浸漬する。浸漬する温度は特に限定されない。浸漬後、溶媒を濾去し、減圧濃縮等の方法で濃縮しエキスを得ることができる。カバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の抽出エキスの化粧料に対する配合量は、0.001〜2.0重量%であるのが好ましい。かかる配合量が0.001重量%未満であると目的とする皮膚老化防止効果が十分に発揮できない。一方、2.0重量%を超えてもその増加分に見合った効果の向上は得られない。これらのカバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の抽出エキスは、皮膚機能を改善し、皮膚が本来備えている機能を修復あるいは改善して皮膚を健常な状態に保ち、特に老化皮膚に適用する場合、著しい効果が認められる。本発明の皮膚化粧料にはその種類に応じ、性能を損なわない範囲において適宜公知の成分(基剤、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤等)を配合することができる。」とあるを、 「【0004】本発明に用いるカバノキ科のカバノキ属のシラカバは、日本では中部や北部の高山の陽地に存在する公知の植物である。また、同科のハンノキ属に属する植物のハンノキも日本に存在する公知の植物である。本発明の皮膚化粧料中に配合する植物抽出エキスは、上記カバノキ科のカバノキ属、ハンノキ属に属する水抽出エキスである。抽出操作は常法により行なわれる。即ち、これらの植物の木部、樹皮、根、葉等を乾燥してまたはそのまま、細かく砕いて水に浸漬する。浸漬する温度は特に限定されない。浸漬後、水を濾取し、減圧濃縮等の方法で濃縮しエキスを得ることができる。カバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスの化粧料に対する配合量は、0.001〜2.0重量%であるのが好ましい。かかる配合量が0.001重量%未満であると目的とする皮膚老化防止効果が十分に発揮できない。一方、2.0重量%を超えてもその増加分に見合った効果の向上は得られない。これらのカバノキ科カバノキ属、ハンノキ属に属する植物の水抽出エキスは、皮膚機能を改善し、皮膚が本来備えている機能を修復あるいは改善して皮膚を健常な状態に保ち、特に老化皮膚に適用する場合、著しい効果が認められる。本発明の皮膚化粧料にはその種類に応じ、性能を損なわない範囲において適宜公知の成分(基剤、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤等)を配合することができる。」と訂正する。 f.誤記の訂正を目的として、 明細書中、 「【0007】[角化細胞増殖促進試験] 培養細胞: 角化細胞は培養細胞として確立されているSV40トランスフォームヒトケラチノサイトを用いた。 試験方法:クリーンベンチ内において、滅菌した牛胎仔血清2.5ml、ケラチノサイト基本培地75ml、抗生物質0.8mlを入れ、そこに1.6×106個の角化細胞を撒き、6穴プレートに3mlづつ分注して、炭酸ガス培養器中5%の炭酸ガスを含有する雰囲気下37℃で培養した。24時間後に培養液を除去し、ケラチノサイト基本培地1.5ml、ダルベッコ変法イーグル最少栄養培地1.5ml、リノール酸3μg塩化カリウム3μg、抗生物質30μg、脂肪酸フリー牛血清アルブミン30μg/mlを入れ、試験物質を最終濃度が0.1μg/mlになるように添加し、1週間培養した。培養後、培養液を除去し、0.02%EDTA、次いで0.25%トリプシンを含むダルベッコのリン酸暖衝液を加え剥離した。次いで、これらを除去し、各穴にダルベッコのリン酸暖衝液を1mlを入れ、懸濁して血球計算盤で細胞数を計測した。植物エキスのかわりに蒸留水を用いたブランク試験の細胞数を元にして以下の計算式により増殖比率を計算し第1表に示した。」とあるを、 「【0007】[角化細胞増殖促進試験] 培養細胞:角化細胞は培養細胞として確立されているSV40トランスフォームヒトケラチノサイトを用いた。 試験方法:クリーンベンチ内において、滅菌した牛胎仔血清2.5ml、ケラチノサイト基本培地75ml、抗生物質0.8mlを入れ、そこに1.6×106個の角化細胞を撒き、6穴プレートに3mlづつ分注して、炭酸ガス培養器中5%の炭酸ガスを含有する雰囲気下37℃で培養した。24時間後に培養液を除去し、ケラチノサイト基本培地1.5ml、ダルベッコ変法イーグル最少栄養培地1.5ml、リノール酸3μg、塩化カリウム3μg、抗生物質30μg、脂肪酸フリー牛血清アルブミン30μg/mlを入れ、試験物質を最終濃度が0.1μg/mlになるように添加し、1週間培養した。培養後、培養液を除去し、0.02%EDTA、次いで0.25%トリプシンを含むダルベッコのリン酸緩衝液を加え剥離した。次いで、これらを除去し、各穴にダルベッコのリン酸緩衝液を1mlを入れ、懸濁して血球計算盤で細胞数を計測した。植物エキスのかわりに蒸留水を用いたブランク試験の細胞数を元にして以下の計算式により増殖比率を計算し第1表に示した。」と訂正する。 g.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、および、明瞭でない記載の釈明を目的として、 明細書中、 「【0010】[官能試験(美肌効果試験)] 試験方法:荒れ肌、子じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者(30〜40代)20人に実施例2のシラカバ抽出エキスを2.0%配合したクリーム、およびシラカバ抽出エキス無配合のクリーム(クリームB)を1日2回(朝、夕)連続3ヶ月塗布して3ヶ月後の効果を評価した。試験結果は皮膚の湿潤性、柔軟性、弾力性、および艶の各項目に対して5段階で回答された人数で示した。」とあるを、 「【0010】[官能試験(美肌効果試験)] 試験方法:荒れ肌、小じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者(30〜40代)20人に実施例のシラカバ水抽出エキスを2.0%配合したクリーム、およびシラカバ水抽出エキス無配合のクリーム(クリームB)を1日2回(朝、夕)連続3ヶ月塗布して3ヶ月後の効果を評価した。試験結果は皮膚の湿潤性、柔軟性、弾力性、および艶の各項目に対して5段階で回答された人数で示した。」と訂正する。 h.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、および、明瞭でない記載の釈明を目的として、 明細書中、 「【0012】試験結果:第2表の結果から明らかなように、本発明のシラカバ抽出エキスは美肌効果(しっとり感、なめらか感、張り、艶を皮膚に付与する)を発現することが認められた。」とあるを、 「【0012】試験結果:第2表の結果から明らかなように、本発明のシラカバ水抽出エキスは美肌効果(しっとり感、なめらか感、張り、艶を皮膚に付与する)を発現することが認められた。」と訂正する。 i.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、 明細書中、【0013】を削除し、 「【0014】 実施例2.クリーム 成分 配合量(重量%) 成分(A) シラカバ抽出エキス(参考例1) 2.0 ステアリン酸アスコルビル 1.0 サラシミツロウ 4.0 セタノール 2.0 ステアリン酸 1.0 ミリスチン酸イソプロピル 5.0 ラノリン 2.0 流動パラフィン 9.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリルモノステアリン酸 3.0 ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 1.5 パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 成分(B) パラオキシ安息香酸メチル 0.2 プロピレングリコール 5.0 香料 0.2 精製水 残部 合計 100 成分(A)を加熱溶解し、80℃に保持する。別に香料を除く成分(B)を加熱溶解して80℃に保ち、これに前記成分(A)を攪拌しながら加え、冷却を行い、香料を加え、さらに冷却してクリームを得た。」とあるを、 「【0013】 実施例.クリーム 成分 配合量(重量%) 成分(A) シラカバ水抽出エキス(参考例1) 2.0 ステアリン酸アスコルビル 1.0 サラシミツロウ 4.0 セタノール 2.0 ステアリン酸 1.0 ミリスチン酸イソプロピル 5.0 ラノリン 2.0 流動パラフィン 9.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリルモノステアリン酸 3.0 ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 1.5 パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 成分(B) パラオキシ安息香酸メチル 0.2 プロピレングリコール 5.0 香料 0.2 精製水 残部 合計 100 成分(A)を加熱溶解し、80℃に保持する。別に香料を除く成分(B)を加熱溶解して80℃に保ち、これに前記成分(A)を攪拌しながら加え、冷却を行い、香料を加え、さらに冷却してクリームを得た。」と訂正する。 j.特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、ならびに、誤記の訂正および明瞭でない記載の釈明を目的として、 明細書中、【0015】を削除し、 「【0016】実施例1〜3のシラカバ抽出エキスに変えて、参考例4〜6に示したハンノキの抽出エキスを配合した化粧品も同様に処方できる。これらの化粧品は、荒れ肌、子じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者に使用し、何れも皮膚の湿潤性、柔軟性、弾力性、および艶の各項目に対して良好な評価を得た。」とあるを、 「【0014】実施例のシラカバ水抽出エキス(参考例1)に代えて、参考例4に示したハンノキの水抽出エキスを配合した化粧品も同様に処方できる。この化粧品は、荒れ肌、小じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者に使用し、何れも皮膚の湿潤性、柔軟性、弾力性、および艶の各項目に対して良好な評価を得た。」と訂正する。 k.段落番号【0017】を繰り上げて【0015】に訂正する。 |
異議決定日 | 2001-02-02 |
出願番号 | 特願平5-78870 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A61K)
P 1 651・ 113- YA (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 塚中 直子、種村 慈樹 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
宮本 和子 深津 弘 |
登録日 | 1999-10-08 |
登録番号 | 特許第2988803号(P2988803) |
権利者 | サンスター株式会社 |
発明の名称 | 皮膚老化防止化粧料組成物 |
代理人 | 矢野 正樹 |
代理人 | 青山 葆 |
代理人 | 矢野 正樹 |
代理人 | 市橋 俊一郎 |
代理人 | 青山 葆 |