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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F02M
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  F02M
管理番号 1044742
異議申立番号 異議2000-73172  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-06-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-14 
確定日 2001-04-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3010307号「フユーエルデリバリパイプの製造方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3010307号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第3010307号の請求項1に係る発明についての出願は、平成2年10月31日に出願され、平成11年12月10日にその特許の設定登録がされた。その後、本件特許の請求項1に係る発明に対して、伊藤辰彦より特許異議の申立てがされ、本件特許の請求項1に係る発明に対して、平成12年11月15日付けで取消理由通知がなされたところ、意見書が提出され、さらに、平成13月2年23日付けで取消理由通知がなされたところ、その指定期間内である平成13年3月7日付けで、訂正請求がされたものである。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)特許請求の範囲に関する訂正
「【請求項1】複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法において、連通管を側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて連通管の上方から切断刃を降下させ連通管に所定の円弧状切断面を形成し、各円弧状切断面に円筒状中空ソケットの胴体部分をスポット溶接して仮付けし、さらにろう付け及び/又は溶接により固着し、これにより一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法であって、前記切断刃に長手方向の溝が形成されており、切断後の連通管の円弧状切断面には前記溝に対応する突起が形成され、この突起がスポット溶接時に電流を集中させるようになっていることを特徴とするフユーエルデリバリパイプの製造方法。」を
「【請求項1】複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法において、連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成し、各円弧状切断面に円筒状中空ソケットの胴体部分をスポット溶接して仮付けし、さらにろう付け及び/又は溶接により固着し、これにより一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法であって、前記切断刃に長手方向の溝が形成されており、切断後の連通管の円弧状切断面には前記溝に対応する突起が形成され、この突起がスポット溶接時に電流を集中させるようになっていることを特徴とするフユーエルデリバリパイプの製造方法。」と訂正する。
(2)発明の詳細な説明に関する訂正
(2-1)特許公報第2頁第4欄第5〜18行の「・・・連通管を側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて連通管の上方から切断刃を降下させ連通管に所定の円弧状切断面を形成し、・・・、プレス機械を用いて切断歯を降下させることにより、」を、
「・・・連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成し、・・・、プレス機械を用いて複数の切断歯を降下させることにより、」と訂正する。
(2-2)特許公報第3頁第5欄第21〜25行の「・・・例えば液圧作動のユニット26を作動させて連通管12ををクランプする。続いて、プレス装置を作動させて保持部20を降下させると切断刃18が降下して連通管12を貫通し、その側部に円弧状の切断面を形成する。」を、
「・・・例えば液圧作動のユニット26を作動させて連通管12を中空のままクランプする。続いて、プレス装置を作動させて保持部20を降下させると複数の切断刃18が降下して中空のままの連通管12を貫通し、その側部に複数の円弧状の切断面を形成する。」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正後の「連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成する」の記載は、訂正により、一体形のフユーエルデリバリパイプの連通管の固定・切断からなる加工方法が明りょうになった。したがって、上記(1)の訂正の「連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成する」点は、明りょうでない記載の釈明であり、そして、構成要件を付加して構成を限定するものであるので、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。上記の付加した構成要件は、特許公報の第3頁第5欄第15行〜25行、同頁第6欄第5行〜18行及び第1図、第5図等に記載されている範囲内におけるものと認められ、新規事項の追加に該当せず、また実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないものと認められる。
上記(2-1)、(2-2)の訂正は、特許請求の範囲の上記訂正(1)に伴って発明の詳細な説明の記載を整合させるものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、上記(2-1)、(2-2)の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議申立てについての判断
1.本件発明
本件特許の請求項1に係る発明は、訂正請求による訂正が認められるので、訂正請求書に添付された訂正明細書の請求項1(以下、本件発明という)に記載された上記(1)のとおりのものと認める。
2.異議申立ての理由の概要
異議申立人は、証拠として、甲第1号証;特開昭63-157771号公報(当審が取消理由に引用した刊行物1)、甲第2号証;特開昭52-57583号公報(当審が取消理由に引用した刊行物2)を提出し、訂正前の請求項1に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反するので、訂正前の請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない旨主張している。
3.甲各号証に記載の発明
(1)甲第1号証には、
「第2図はT形横断面のベアリングバー2の胴部に連結バー3を貫通させて連結する本発明の第二実施例を示したものである。図において、ベアリングバー2の所要位置の胴部(幅の中間位置)には、管体の連結バー3を貫通する挿着部8が形成されると共に、その挿着部8の内縁の上部には、第1図実施例と同一の溶着突起9が同時成形されている。即ち、溶着突起9はプレスによる挿着部8の孔あけ加工と同時成形され、溶着突起9の上底面10に連結バー8を接触させて挿着する。そして、第1図実施例と同様に2個の通電端子12,18によって連結バー3とベアリングバー2とを押圧しながら挟みつけ、通電端子12,13間に瞬間的に高電流を流し、溶着突起9を介して連結バー3をベアリングバー2に溶着し、両者を連結成形する。以上の本発明の成形方法によると、ベアリングバー2の挿着部8に溶着突起9が形成付与されており、その溶着突起9の頂部と連結バー3とが押圧接触してスポット溶着されるので、溶着突起9の頂部と連結バー3の間に集中電流が生じ、溶着突起9が瞬間溶融して両者の接面を強固に溶着することができる。」(公報第3頁左上欄第3行〜同頁右上欄第5行)と記載されている。
該記載と図面等を参酌すると、甲第1号証にはグレーチングの成形方法として、
「プレス機械を用いてベアリングバー2に所定の挿着部8を形成し、各挿着部8に連結バー3をスポット溶接により固着する製造方法であって、プレス切断後のベアリングバー2の円弧状切断面には溶着突起9が形成され、この溶着突起9がスポット溶接時に電流を集中させるようになっている」点が記載されているものと認められる。
(2)甲第2号証には、
「芯材を挿入した管体を治具に固定し、この治具に沿って一方向よりパンチングすることにより、前記管体の一部を削除することを特徴とする管体の穴あけ方法。」(特許請求の範囲)と記載されている。該記載と図面等を参酌すると、甲第2号証には管体の穴あけ方法として、
「芯材を挿入した管体10を治具12の支持孔12’で固定し、パンチング機械を用いて芯材を挿入した管体10の上方から単数のパンチ14を降下させ、芯材を挿入した管体10に所定の穴15を形成する」点が記載されているものと認められる。
4.対比・判断
本件発明と甲第1、2号証に記載された発明とを比較すると、甲第1、2号証に記載された発明には、一体形のフユーエルデリバリパイプの連通管の固定・切断からなる加工方法を含むフユーエルデリバリパイプ製造方法として、いずれも本件発明の構成に欠くことができない事項である「連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成した、一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法」の点が記載されていない。
そして、本件発明は、上記構成に欠くことができない事項により、特許公報及び特許異議意見書に記載の「芯材(心金)の取付け取外しが不要になる」、「オフセット量が芯材を変えることなく自由に変更できる」、「複数の切断面を1ストロークで同時に加工できるので、複数のソケットの取付ピッチや取付角度が一定になり、ピッチ誤差や角度のずれによる取付誤差が減少する」、及び「仕様の異なるフューエルデリベリパイプにも容易に対応することができる」という顕著な効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明は甲第1、2号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとは認められない。
5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものとは認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フユーエルデリバリパイプの製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法において、
連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、
プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成し、
各円弧状切断面に円筒状中空ソケットの胴体部分をスポット溶接して仮付けし、さらにろう付け及び/又は溶接により固着し、
これにより一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法であって、前記切断刃に長手方向の溝が形成されており、切断後の連通管の円弧状切断面には前記溝に対応する突起が形成され、この突起がスポット溶接時に電流を集中させるようになっていることを特徴とするフユーエルデリバリパイプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、円筒形の中空ソケットと連通管とで構成されるフユーエルデリバリパイプの改良に関し、特に、複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法に関する。
(従来の技術)
燃料噴射方式V形6気筒エンジンの片側の3気筒に向けて燃料を噴射するためのフユーエルデリバリパイプの典型的な構造を第10図に示す。このフユーエルデリバリパイプ90は、燃料インジエクタの導入軸(筒状部分)を受入れる3個の円筒状ソケット91が連通管92を介して相互に内部で連通するように接続され、一定の間隔をあけて配設されている。これらのソケット91は鍛造品を切削加工して作られ、内周面の一部は燃料インジエクタ側のOリングを受入れて完全な液密を達成できるように極めて高い真円度と平滑度を有するバニシング加工等が施されている。
各ソケットの筒壁93には、中心軸線と直交する方向でかつ直径中心位置又は少し偏心した位置を貫通する開口が穿設され、この開口に連通管92の接続端部あるいは後述する円弧状切断面を嵌合してろう付け部94により固定している。筒壁93の上端には外側左右にそれぞれボルト孔を有するつば部95が設けられ、燃料インジエクタを固定するキャップがねじで締め付けられるようになっている。
フユーエルデリバリパイプにおいては、ソケット内部で噴射流を回転させる必要から、連通管の中心軸線とソケットの中心軸線とがオフセットしていることが多い。このオフセット量を大きくとりたい場合は第7図に示すような構造が採用される。
第7図の例では、複数の円筒形中空ソケット81が1つの連通管82の側部に固定されており、中空ソケット81を取り付ける前は第8図に示す状態にあって、連通管82の側部にソケット受入用の円弧状切断面85が形成されている。この切断面85を正面から見たのが第9図であり、切断面85がかなり複雑な形状であることがわかる。
切断面85は、従来の加工方法では、エンドミル等による機械加工で形成されているが、切断面の内外にわたってバリが出やすいので、バリ取り加工を必要とする。切断面85が形成されると、ソケット81の胴体部分を押し当て、TIG溶接やMAG溶接で仮付けし、炉中でろう付けして完全に密封固定し、フユーエルデリバリパイプが完成する。
しかしながら、このような加工方法には、次のような問題点があった。
1)エンドミル等による機械加工ではバリが非常に多く出るのでバリ取り処理に工数がかかる。
2)切削加工では多軸専用機を用いても切削速度に限界があるので加工そのものに時間がかかる。
3)TIG溶接、MAG溶接等による多点仮付け方法は、溶接時間が長くかかると共に、装置が大型化し、コストの上昇を招く。
4)TIG溶接、MAG溶接では、アンダカット、裏ビードの発生、接合不良等が出やすく、良好な品質が得られない。炉中ろう付けでは仮付け部にろう材が入りにくく、気密が保持できないために液漏れのおそれがある。
(発明が解決しようとする問題点)
本発明の目的は、フユーエルデリバリパイプの加工工数を減少させてコストの低減と品質の向上を図ることにある。
本発明の他の目的は、仕様の異なるフユーエルデリバリパイプに容易に対応することが可能な製造方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段とその作用)
本発明の前述した目的は、複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法において、連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成し、各円弧状切断面に円筒状中空ソケットの胴体部分をスポット溶接して仮付けし、さらにろう付け及び/又は溶接により固着し、これにより一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法であって、切断刃に長手方向の溝が形成されており、切断後の連通管の円弧状切断面には前記溝に対応する突起が形成され、この突起がスポット溶接時に電流を集中させるようになっているフユーエルデリバリパイプの製造方法によって達成される。
かかる構成に基づき、本発明の加工方法によれば、プレス機械を用いて複数の切断刃を降下させることにより、連通管側部に複数の円弧状切断面を1ストロークで形成することができ、この切断面付近にバリが発生することはない。切削加工に比べて数倍の速さで複雑な切断面を形成することができ、バリ取り加工の時間が不要となって加工速度が飛躍的に増大する。
切断面にソケットを押し当てて溶接する際には、最初にスポット溶接で仮付けする。この際に、切断面に突起を設けてスポット溶接を行なうと強固な仮付けができて、溶接不良が防止できる。
ソケット中心と連通管中心とのオフセット量は、燃料インジエクタ回りの燃料の流れ特性と、フユーエルデリバリパイプが取付けられる相手側に合わせて常に変更されるため、従来は各オフセット量に合わせて切断面の形状を変更し、機械加工の工程を変更しなければならなかった。本発明の方法によれば、切断刃の直径を変更するか降下位置をずらすだけで任意のオフセット量に対応することができるから、仕様の異なるフユーエルデリバリパイプに容易に対応することができて、コストが低減されることになる。
以下、添付図面の実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
第1図乃至第5図は、本発明による製造方法の最初の段階を実施するための連通管Rカット装置10を表わしている。この装置10は、連通管12を両側からクランプする2つ割りの把持機構14と、把持機構14を支持する基礎台16と、切断刃18をクランプする保持部20とで構成されている。基礎台16と保持部20はプレス装置に組込まれており、両者の間隔は所定のサイクルで変化させられる。
把持機構14は、固定チャック22と可動チャック24、及び可動チャック24を動かすための液圧、空気圧又は機械式作動ユニット26とを包含している。
第5図の平面図に示すように、固定チャック22と可動チャック24の合せ面30の位置には、固定チャック側と可動チャック側のそれぞれに円弧状の溝23,25が設けられており、これらの溝はチャックが当接した状態で切断刃18の外形にほぼ等しい円形となるように形成されて、ガイドの役目を果たしているが、連通管の材質や肉厚に応じて自在に変化させることが可能である。
第2図乃至第4図は、切断刃18の形状の好適な例を示している。切断刃18はその基本形状として、円形棒状体の先端を斜めに切断した形状に作られており、さらにその先端付近には摩耗防止のための面取り部40が形成され、この面取り部には焼き入れ加工が施されている。図示の刃形は単なる例示であり、連通管の材質や肉厚に応じて変更できるものである。
第1図乃至第5図に示した連通管Rカット装置10の作用は次のようになる。まず最初の状態では第1図に示すように切断刃18が上昇位置にある。作動ユニット26は非作動状態にあって、可動チャック24は後退位置にあり、両チャックの合せ面30は開いている。
ここで、装置10の前方又は側方から連通管12を挿入し、所定の位置まで挿入した時点で例えば液圧作動のユニット26を作動させて連通管12を中空のままクランプする。
続いて、プレス装置を作動させて保持部20を降下させると複数の切断刃18が降下して中空のままの連通管12を貫通し、その側部に複数の円弧状の切断面を形成する。第5図に示すようにこの例では3連の切断面が同時に形成されることになる。この切断面はプレスによる切断面であるから、切削加工のような大きなバリはほとんど出ない。かくして、第8図、第9図に示したような切断面と同様の円弧状切断面42が得られることになる。
続いて、切断面42が形成された連通管12の側部にソケット81の胴体部分を押し当て、スポット溶接を用いて仮付けし、炉中でろう付けあるいは溶接によって完全に密封固定することにより、フユーエルデリバリパイプが完成する。
第6図は、このスポット溶接をさらに容易にするための特徴点を表わしている。切断刃48には長手方向の溝50が形成されており、これを用いて連通管を切断すると、切断後の連通管の円弧状切断面には溝50に対応する突起52が形成される。この突起52はスポット溶接時に電流を集中させるためのプロジェクション突起として作用することになり、スポット溶接を容易にするという利点がある。
(発明の効果)
以上、詳細に説明した如く、本発明によれば次のような利点が得られる。
1)連通管の円弧状切断面をプレスによるRカットで形成したので、加工速度が早く、バリが出ない。
2)スポット溶接を用いたので、仮付け作業が迅速化され、後続のろう付け作業が容易になって、溶接不良が減少し、フユーエルデリバリパイプの品質が向上する。
3)複数の切断面を1ストロークで同時に加工できるので、複数のソケットの取付ピッチや取付角度が一定になり、ピッチ誤差や角度のずれによる取付誤差が減少する。
4)仕様の異なるフユーエルデリバリパイブにも容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による製造方法に使用する連通管Rカット装置の縦断面図、第2図は切断刃の側面図、第3図は切断刃の正面図、第4図は第2図の線IV-IVから見た切断刃の底面図、第5図はRカット装置の平面図、第6図は切断面を表わす一部破断正面図、第7図はフユーエルデリバリパイプの正面図、第8図はソケット接続前のフユーエルデリバリパイプの正面図、第9図は連通管の切断面を表わす一部破断正面図、第10図は従来のフユーエルデリバリパイプを表わす斜視図である。
10・・・Rカット装置
12,82・・・連通管
14・・・把持機構 16・・・基礎台
18・・・切断刃 20・・・保持部
22,24・・・チャック
23,25・・・溝
26・・・作動ユニット
30・・・合せ面
42,85・・・円弧状切断面
81・・・ソケット
 
訂正の要旨 訂正の要旨
1.特許請求の範囲に関する訂正
「【請求項1】複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法において、連通管を側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて連通管の上方から切断刃を降下させ連通管に所定の円弧状切断面を形成し、各円弧状切断面に円筒状中空ソケットの胴体部分をスポット溶接して仮付けし、さらにろう付け及び/又は溶接により固着し、これにより一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法であって、前記切断刃に長手方向の溝が形成されており、切断後の連通管の円弧状切断面には前記溝に対応する突起が形成され、この突起がスポット溶接時に電流を集中させるようになっていることを特徴とするフユーエルデリバリパイプの製造方法。」を明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】複数の円筒形中空ソケットが1つの連通管の側部に固定されて成るフユーエルデリバリパイプの製造方法において、連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成し、各円弧状切断面に円筒状中空ソケットの胴体部分をスポット溶接して仮付けし、さらにろう付け及び/又は溶接により固着し、これにより一体形のフユーエルデリバリパイプを形成する製造方法であって、前記切断刃に長手方向の溝が形成されており、切断後の連通管の円弧状切断面には前記溝に対応する突起が形成され、この突起がスポット溶接時に電流を集中させるようになっていることを特徴とするフユーエルデリバリパイプの製造方法。」と訂正する。
2.発明の詳細な説明に関する訂正
(1)特許公報第2頁第4欄第5〜18行の「・・・連通管を側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて連通管の上方から切断刃を降下させ連通管に所定の円弧状切断面を形成し、・・・、プレス機械を用いて切断歯を降下させることにより、」を明りょうでない記載の釈明を目的として、
「・・・連通管を中空のまま側面からチヤツクで把持して固定し、プレス機械を用いて中空のままの連通管の上方から複数の切断刃を降下させ連通管に複数の所定の円弧状切断面を形成し、・・・、プレス機械を用いて複数の切断歯を降下させることにより、」と訂正する。
(2)特許公報第3頁第5欄第21〜25行の「・・・例えば液圧作動のユニット26を作動させて連通管12ををクランプする。続いて、プレス装置を作動させて保持部20を降下させると切断刃18が降下して連通管12を貫通し、その側部に円弧状の切断面を形成する。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「・・・例えば液圧作動のユニット26を作動させて連通管12を中空のままクランプする。続いて、プレス装置を作動させて保持部20を降下させると複数の切断刃18が降下して中空のままの連通管12を貫通し、その側部に複数の円弧状の切断面を形成する。」と訂正する。
異議決定日 2001-03-21 
出願番号 特願平2-292103
審決分類 P 1 651・ 121- YA (F02M)
P 1 651・ 534- YA (F02M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 八板 直人  
特許庁審判長 藤田 豊比古
特許庁審判官 関谷 一夫
清水 信行
登録日 1999-12-10 
登録番号 特許第3010307号(P3010307)
権利者 臼井国際産業株式会社
発明の名称 フユーエルデリバリパイプの製造方法  
代理人 二宮 正孝  
代理人 二宮 正孝  

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