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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  A23K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23K
管理番号 1044780
異議申立番号 異議1998-70857  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-12-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-25 
確定日 2001-04-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2645221号「魚餌およびその製造法」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2645221号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
特許第2645221号の請求項1-7に係る発明は、平成6年6月16日に特許出願され、平成9年5月2日に特許権の設定の登録がされ、その後日本水産株式会社より特許異議の申立てがなされ、これを受けて取消理由がなされたところ、その指定期間内に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否
本件訂正請求は、本件特許第2645221号の明細書を訂正明細書のとおりに訂正をすることを求めるものであって、その訂正の内容は、下記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的として請求項1及び7における組成物成分を更に追加規定(請求項3で規定する成分を追加)するものであり、これにあわせて、請求項3を削除し、又、請求項4-7を請求項3-6とし、同時に先行する請求項との従属関係を整理するものである。
これら訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものでもない。
又、訂正後の特許請求の範囲の請求項1-6に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである(下記III、IV参照)。
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。



【請求項1】少なくとも脂肪、水分および蛋白質源を含有する魚餌であって、
総組成物重量当り
(A)水分を20重量%以上含み、そして蛋白質源を粗蛋白質として少なくとも20%含み、且つ
(B)周囲温度で測定した場合に
(1)WHCが0.4以上であり、そして
(2)WRCが0.2以上である
ことを特徴とする魚餌。
【請求項2】前記脂肪を粗脂肪として総組成物重量当り10重量%以上含む請求項1記載の魚餌。
【請求項3】前記WHCが0.45以上である請求頃1〜2のいずれかに記載の魚餌。
【請求項4】前記WRCが0.35以上である請求項1〜2のいずれかに記載の魚餌。
【請求項5】解凍した場合に請求項1〜4のいずれかに記載の特徴を有する凍結状態にある魚餌。
【請求項6】(a)通常魚餌に使用される原料を供給する工程、
(b)工程(a)と同時またはその前後に、総組成物重量当り水分を20重量%以上含め、そして蛋白質源を粗蛋白質として少なくとも20重量%含めるように調整する工程、
(c)工程(a)および(b)で得られた混合物を混練し、そしてエクストルーダーを介して押し出し成型する工程、
ならびに
(d)工程(c)で得られた成型品を凍結する工程、
を含むことを特徴とする請求頃1〜4のいずれかに記載された魚餌の製造方法

III.特許異議の申立ての検討
本件訂正後の請求項1-6に係る発明は、平成10年9月22日付け訂正明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認める。

III-1特許異議申立ての概要
特許異議申立人は、下記甲第1-10号証を提出して、(イ)本件訂正前の請求項1-7に係る発明は、出願前周知慣用の技術から、あるいは、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、又、(ロ)本件訂正前の請求項1-7に係る発明は、下記甲第7号証及び甲第8号証で示す各先願の願書に最初に添付した明細書に記載された発明と同一であるから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきであると主張している。



甲第1号証:特開平4-200375号公報
甲第2号証:「養殖」第31巻、第10号、第60-67頁(平成6年8月1日)
甲第3号証:「養殖」第29巻、第8号、第68-79頁(平成4年8月1日)
甲第4号証:「配合飼料講座、下巻、製造編」チクサン出版社発行(昭和54年3月1日)第43-49頁
甲第5号証:「エクストルージョンクッキング」株式会社光琳発行(昭和62年11月10日)第319-329頁
甲第6号証:「養殖」第29巻、第7号、第73-79頁(平成4年7月1日)
甲第7号証:特願平4-304421号(特開平6-125716号公報)
甲第8号証:特願平5-355167号(特開平7-194318号公報)
甲第9号証:吉富文司作成の実験報告書
甲第10号証:特開昭54-10195号公報

III-2特許異議申立ての検討
上記(イ)、(ロ)について検討する。
(イ)についての検討
上記甲第1号証ないし甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
甲第1号証は、「新規な養魚用飼料の製造法」の発明に係るものであり、その従来術及びその課題の項に、「近時、一般的に実施されている一時冷凍後、再解凍して給餌する場合や、・・・成型ペレットの軟化が激しく、最悪の場合には投餌できない状態になることが多い。」(第2頁右欄上段14〜18行)と記載されている。
甲第2号証には、「最近では養殖現場近くの専用加工場で造粒加工されたOMPも販売されてはいるが、冷凍保管が絶対条件である。」(第62頁上から3段目2〜5行)と記載されている。(「OMP」は、マッシュ状の配合飼料と生餌とを混合・造粒加工した、いわゆるオレゴンモイストの略称として使われている(特許異議申立人注))。
なお、甲第2号証は、本件特許の出願後の平成6年8月1日に発行された文献である。
甲第3号証には、「当初、ペットフードで利用されている半生タイプの多孔質飼料のようなものを考えた。柔らかくてハマチの嗜好性に合う感じがしたが、水分が30%近くもあり、養魚飼料で使用が許可されている防腐剤では、とても無理であることがわかった。そこで、水分の代わりに油分を用いて柔らかくすることを試みた。単に飼料の硬度を低くするだけでなく、崩れにくい物性にする必要があった。・・・悪戦苦闘の結果完成したのが、いわゆるソフトドライベレット(SDP)である。」(第70頁第2段)と記載されている。
甲第4号証には、5-6のセミモイスト加工の概要において、セミモイストフードとは、水分を「15〜30%」含有し、このような高水分の飼料では、保存性を高めるために、浸透圧作用により細菌の生育を抑制する糖類(蔗糖など)やカビの発生を押さえるための防カビ剤(ソルビン酸、プロピオン酸ソーダなど)を含有することが必要であることについて記載されている(第47〜48頁)。
甲第5号証には、油添加率10%および20%とした高含油飼料製造について.油脂添加による飼料効率の向上が認められたことが記載されている。この場合、押し出しクッキングは水分含有量30%程度で行われることが記載されている(第323〜325頁。(なお、上記水分量30%との記載は、エクストルーダーに入れる前の値と認められる。))。
甲第6号証には、「本EP飼料は高脂質飼料である関係上、飼料中の脂質の酸化防止には特に配慮した製法・組成・包装となっているが、養殖現場ではさらに一層、保管に注意を払うよう願いたい(冷暗所保管は当然であるが、できれば冷蔵庫で保管を薦めたい。)」(第76頁第2段)と記載されている。

ところで、特許異議申立人は、上記(イ)の主張について、具体的には、以下a-cのように述べている。

a.保存目的の凍結は出願前の周知慣用の技術であって(甲第1号証、甲第2号証)、本件特許明細書の記載(従来技術の項、【0022】)からしても「保存目的で凍結工程を導入」すること自体は必要により行われている出願前周知の技術であること
b.「ソフトタイプの押出ペレット」は出願前公知のものであり、高水分の飼料、あるいはさらに高油分の飼料については保存安定性は出願前公知の課題であること
c.明細書の記載によると、養魚用飼料を保存目的で凍結することは出願前の周知慣用の技術ではあるが、本件発明の魚餌は、単なる保存目的に向けたものではなく、魚餌の製造工程へ、積極的に凍結工程を導入することによって、効率よく製造された優れた特性を有する魚餌である。要するに、「凍結工程」に特徴がある発明である。
しかしながら、甲第3号証ないし甲第6号証を参考にするまでもなく、高水分、高油分のEPは出願前公知である。必要により、乾燥して水分含有量を調整したり、給餌の際、水分および/または油分を補給したりすることが行われているが、いずれにせよ、こうした高水分、高油分のEPはその保存安定性は第一の課題であり、その保存には、特に夏場において、冷凍保存は絶対条件である。
その際、海綿状組織化などの冷凍変性を発見すること(甲第10号証参照)、それを給餌して魚の給餌行動を観察することは当業者にとって当然のことである。
そうすると、余分の魚餌を対象とするのではなく、あらかじめ製造工程で凍結して保存しておくことに何ら発明があるとすることはできない。
しかも、本件発明の、微生物の汚染、成分の劣化を伴うこともなく貯蔵もしくは保存が可能である、輸送及び取扱中の保形性に優れるという効果は、養魚用飼料を保存目的で凍結する出願前の周知慣用の技術ですでに達成しているないし予測される程度の効果である。
また、本件発明の、成型品間の粘着、ブロック化に抵抗を示し、給餌が容易であるという効果は、押出クッキングの原料組成などによるところが大きく、本件発明はそのような組成までも規定するものではなく、冷凍による特有の効果であるとすることはできない。
成型品の一部が凍結したままの製品を給餌しても、給餌効率に悪影響が現れないことも確認しているというのは効果とはいえない。
そこで、本件訂正後の請求項1に係る発明について検討するに、なるほど、特許異議申立人のいうように、甲第1、2号証を挙げるまでもなく、魚餌を保存する手段の1つとして、凍結は周知のものであり、又、高水分魚餌飼料の保存は公知の課題といえる。
しかしながら、保存手段としては、冷蔵や、防腐・防カビ剤の添加等(及びその組み合わせ)もあり(上述のように、甲第4号証には、糖、防カビ剤の使用が、甲第6号証には、冷蔵することが記載され、特許異議申立人の出願に係る甲第8号証においても、防腐剤であるプロピオン酸が添加されている(実施例1第6欄第9行)。)、当業者は、凍結手段を含めた各手段の有利不利な点、設備等を考慮して保存手段を適宜選択するものと認められるので、高水分飼料の保存にあっては凍結が絶対条件であるとは必ずしもいえず、凍結した場合の冷凍変性を発見すること、及び、それを給餌して魚の給餌行動を観察することは当業者にとって当然のことであるとは直ちにはいえない。
又、甲第1号証には、従来技術として、上述のように、解凍すると軟化が激しく最悪の場合は投餌できなくなることが多い旨記載されており、又、本件明細書においては、凍結工程を経たものでも本件請求項1で規定する数値を満たさないものがあることが示されているし(試料番号7、8、35、表7)、特許異議申立人の甲第9号証に係る実験報告書においても、凍結後に本件訂正後の請求項1で規定するWHC、WRCの値を満たさないものが得られる(【試験項目1】メルシャン株式会社製ギンザケ用SEP)ことからすると、たとえ、凍結保存された高水分の魚餌が公知であったとしても、当該魚餌が直ちに本件請求項1で規定するWHC、WRCの数値のものであったとはいえないから、本件訂正後の請求項1に係る魚餌があらかじめ製造工程で凍結したものにすぎないということはできない。
そして、訂正後の請求項1で規定する構成を満たす魚餌が優れた効果を奏するものであることは周知技術及び甲第1号証ないし甲第6号証からは不明である。
してみれば、本件訂正後の請求項1に係る発明は、周知技術及び/又は甲第1-6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たとはいえない。
又、訂正後の請求項2-5に係る発明は同請求項1に係る発明をより具体的に限定したものであり、同請求項6は、同請求項1-4の魚餌を製造する方法に係るものであるから、同請求項2-6に係る発明の進歩性については、同請求項1の進歩性が否定できない以上、さらに検討の必要がないことは明らかである。

(ロ)についての検討
(i)特許異議申立人が先願であると指摘している特願平4-304421号の出願当初の明細書(甲第7号証:以下、先願明細書(1)という)の特許請求の範囲の請求項1には、「水分含量15〜70重量%の固形状飼料を凍結してなる養魚用飼料。」と記載されている。
又、その発明の詳細な説明の項には、当該飼料に含まれる成分に関し、「一般の養魚用飼料と同様に魚粉・・・(略)・・・蛋白質・・・(略)・・・などの原料や成分のうちから供与する魚の種類等に応じて任意のものを選択配合し、そして水分量を上記した15〜70重量%の範囲に調節したものを凍結することにより得ることができる。」(【0007】)こと、実施例1には、水分量が18.3の魚餌が、実施例3には、水分量が63%の魚餌が記載されている。
特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明と先願明細書(1)に記載された発明「水分含量15〜70重量%の固形状飼料を凍結してなる養魚用飼料。」とは本件訂正前の請求項1の「WHCおよびWRC」の値は、凍結工程によりもたらされる値であるにすぎないので、両発明は、実質的にすべての構成要件について同一である旨述べている。
しかしながら、先願明細書には、水分量は規定するものの、本件訂正後の請求項1で規定する蛋白、WHC、WRCを一定の量以上とする構成については全く開示がなく、更に、魚餌を凍結したからといってすべて本件訂正後のWHC、WRC値になるとは限らないことは、上記(イ)についての検討で述べたとおりである。
そして、先願明細書に具体的技術として開示されているものは、上述のように水分含量18.3%のもの(実施例1)と63%のもの(実施例3)であるが、水分量18.3%のものは、本件訂正後の請求項1で規定する水分量の範囲外のものであり、又、水分量63%のものは、水分量は本件訂正後請求項1で規定する条件を満たすものの、蛋白量は訂正後の請求項1で規定する20%よりはるかに少ないものと認められる。更に、その効果も本件訂正後の請求項1に係る魚餌は全量摂餌されるのに対し(本件明細書【0058】、【0059】)、先願明細書(1)の実施例1のものは90%程度と認められるし(なお、明細書には摂餌量は「90%以上」と記載されているが、全量摂餌されているとしたら、90%以上のような記載はしないはずである)、【0028】の「摂取されずに水底に沈降したままで残留する飼料の割合を減少させることができ」との記載からすると、水分量63%のものも全量摂取とはいえないから、本件訂正後の請求項1に係る魚餌の方が相当優れていると認められる。
してみれば、先願明細書(1)には、訂正後の請求項1に係る発明が実質的に記載されているとはいえない。
又、訂正後の請求項2-5に係る発明は同請求項1に係る発明にを具体的に限定したものであり、同請求項6は、同請求項1-4の魚餌を製造する方法に係るものであるから同請求項2-6に係る発明については、同請求項1に係る発明が先願明細書(1)に記載されている発明と同一であるといえない以上、更に検討する必要がないことは明らかである。
(ii)特許異議申立人が先願であると指摘している特願平5-355167号の出願当初の明細書(甲第8号証:以下、先願明細書(2)という)の特許請求の範囲の請求項1には、「小麦粉、でんぷん、水分および油分を必須成分として含有し、小麦粉中のグルテンを網状化させて大量の油分を網状化組織中に封じ込めた、水分高含有柔軟性多孔性養魚用飼料。」と、同請求項2には、「水分を15〜40%の範囲で含有する請求項1記載の水分高含有柔軟性多孔性養魚用飼料。」と、同請求項3には、「油分を5〜30%の範囲で含有する請求項1または請求項2記載の水分高含有柔軟性多孔性養魚用飼料。」と記載されている。
特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1-7に係る発明と先願明細書(2)に記載された発明「小麦粉、でんぷん、水分および油分を必須成分として含有し、小麦粉中のグルテンを網状化させて大量の油分(5〜30%の範囲)を網状化組織中に封じ込めた、水分高含有(15〜40%の範囲)柔軟性多孔性養魚用飼料およびその製造方法。」との相違点は、「WHCおよびWRC」値または凍結工程の規定の有無だけであって、保存目的の凍結は本件特許の出願前の周知慣用技術であり、先願明細書(2)記載のものも必要に応じ適宜適宜保存のため凍結されるものであるから、両発明は、実質的にすべての構成要件について同一である旨述べ、両発明が同一であることを立証するため日本水産株式会社中央研究所の吉富文司氏の作成に係る実験報告書(甲第9号証)を提出している。
そこで、検討するに、甲第9号証には、本件特許の権利者であるメルシャン株式会社の販売に係る魚餌と、日本水産株式会社(特許異議申立人)のギンザケ用SEP「ギンギン」(女川油飼工場製造。なお、このものは甲第8号証に係る特願平7-194318号公報の飼料であると述べている)の凍結前と凍結後のWHC、WRCと水分、粗脂肪、粗蛋白の値等が報告されており、そのデータによれば、日本水産株式会社製のギンザケ用「ギンギン」は、冷凍前は、本件訂正後の請求項1で規定する水分、粗蛋白、WHC、WRCの値を満たしていないが、冷凍後には、当該値を満足するものになることが示されている。
しかしながら、先願明細書(2)を見ても、当該魚餌の保存に際して凍結保存が必須である旨の記載又は示唆はない。 そして、保存手段としては、冷蔵や、防腐・防カビ剤の添加等(及びその組み合わせ)もあること、先願明細書(2)においても、防腐剤であるプロピオン酸が添加されている(実施例1第6欄第9行。なお、平成6年4月25日付け手続補正書が提出されているが、当該補正に係る実施例4においてもプロピオン酸が添加されている。)ことは上述のとおりであり、当業者は、凍結手段を含めた各手段の有利不利な点等を考慮して保存手段を適宜選択するものと認められるので、高水分飼料の保存にあっては凍結が絶対条件であるとは必ずしもいえない。
そして、上述のように凍結が魚餌の保存の手段として周知のものの1つであったとしても、冷凍前後で、魚餌の物性(WHC、WRC等)は相当変化しその効果も相当異なると認められるので、本件訂正後の請求項1に係る発明は、先願明細書(2)に記載された魚餌に慣用技術を付加して得たものにすぎず両者は実質的に同一である、ということもできない。なお、上記実験報告書(甲第9号証)のメルシャン株式会社の販売に係る魚餌、すなわち、試験項目1におけるメギンザケ用SEPは、冷凍前も、冷凍後も、本件訂正後の請求項1で規定する構成(WHC、WHR)を満たすものではないし、試験項目2におけるギンザケ用のもの(試験項目1におけるものと同一のものかどうかはともかく)は水分値が本件訂正後の請求項1で規定する値を満たさず、同じく試験項目2におけるマダイ用とモジャコ用のものは、WHC、WRC値が不明であり、更に試験項目2試験結果の下にある[水分、油分]の評価もどのような状態のものについて言及しているのか不明である。
してみれば、本件訂正後の請求項1に係る発明は、先願明細書(2)に記載された発明と同一であるとすることはできない。
又、訂正後の請求項2-5に係る発明は同請求項1に係る発明をより具体的に限定したものであり、同請求項6は同請求項1-4の魚餌を製造する方法に係るものであるから、同請求項2-6に係る発明については、同請求項1に係る発明が先願明細書に記載されている発明と同一であるといえない以上、更に検討の必要がないことは明らかである。
IV.結び
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠方法によっては、本件訂正後の請求項1-6に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1-6に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
魚餌およびその製造法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも脂肪、水分および蛋白質源を含有する魚餌であって、
総組成物重量当り
(A)水分を20重量%以上
含み、そして蛋白質源を粗蛋白質として少なくとも20%含み、且つ
(B)周囲温度で測定した場合に
(1)WHCが0.4以上であり、そして
(2)WRCが0.2以上である
ことを特徴とする魚餌。
【請求項2】 前記脂肪を粗脂肪として総組成物重量当り10重量%以上含む請求項1記載の魚餌。
【請求項3】 前記WHCが0.45以上である請求項1〜2のいずれかに記載の魚餌。
【請求項4】 前記WRCが0.35以上である請求項1〜2のいずれかに記載の魚餌。
【請求項5】 解凍した場合に請求項1〜4のいずれかに記載の特徴を有する凍結状態にある魚餌。
【請求項6】 (a)通常魚餌に使用される原料を供給する工程、
(b)工程(a)と同時またはその前後に、総組成物重量当り水分を20重量%以上含め、そして蛋白質源を粗蛋白質として少なくとも20重量%含めるように調整する工程、
(c)工程(a)および(b)で得られた混合物を混練し、そしてエクストルーダーを介して押し出し成型する工程、
ならびに
(d)工程(c)で得られた成型品を凍結する工程、
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された魚餌の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高水分および高脂肪を含む成型安定性に優れた魚餌およびその製造方法に関する。本発明によれば、高含有量の水分と脂肪が安定に保持され、かつ飼料効率の優れた魚餌が提供される。
【0002】
【従来の技術】
養殖魚の対象および養殖規模の拡大に伴ない、多種多様な魚餌(または養殖飼料もしくは養魚用飼料)が提案され、またそれらの一部は使用されている。
【0003】
例えば、特開昭63-157939号公報には、多獲魚であるイワシ、サバ、アミエビ等のミンチを養殖魚に直接投与する際の短所、特に、水溶性栄養成分の溶出、水中での餌の破砕逸散等を回避する目的で前記ミンチに魚粉、油粕、小麦粉末等を加え、さらに高吸水性高分子を混練し、造粒した養魚飼料が公表されている。
【0004】
特開平2-257834号および同2-257836号公報には、前記のような養魚飼料を供給する際に随伴する品質のバラツキ等の短所を解消するものとして、魚粉、大豆油かす、コーングルテンミールなどの蛋白質、澱粉質(澱粉、小麦粉など)にビタミン、ミネラル類を含有し、さらに脂肪分を粗脂肪として13〜35重量含む多孔性養魚飼料が公表されている。なお、これらの飼料は前記各配合原料をエクストルーダーの使用により加熱、混練し、空気中に放出された後、水分含量が一定量に低減するまで乾燥し、次いで油脂を噴霧することによって製造されている。
【0005】
他方、常用されている養魚用組成物を一次冷凍後、再解凍して給餌する場合に、成型ペレットの軟化が激しく、最悪の場合投餌できない状態になる魚餌や、前記特開平2-257836号公報に公表されるような成型時に十分量の油脂添加ができず、給餌前に成型ペレットへ油脂を吸着させた魚餌の短所を解消する工夫も行われている。例えば、特開平5-64552号公報によれば、成型時に十分な油脂の添加ができ、しかも成型性の向上した、生餌を含まない養魚用組成物を使用して成型した養魚用飼料が公表されている。この飼料の改良点は、特定のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を養魚用組成に含めることにあり、更に、必要により特定の乳化剤をも含めることにある。こうして得られた飼料は、CMCの添加により、適度な粘りと潤滑性が発現され、常に一定の剪断により添加水および添加油が均一に混練されるので、各種利点が存在する旨主張されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高密度養殖や流通上の取扱いの利便性を考慮すると、魚餌に必須の成分以外の添加物をなるべく含まず、また流通上の取扱い性に優れた魚餌に対する要求は依然として存在することに変りない。そこで、本発明の目的は、高含有量の水分と所望量の脂肪が安定に保持され、しかも飼料効率の向上した魚餌の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、各種魚餌用原料の配合および成型方法に伴う成型品特性の変動に着目して、有用な魚餌を提供すべく検討を行ってきた。その結果、一定組成の原料を一定条件下で押出し成型し、次いで凍結させると、前記目的に沿う魚餌が効率よく得られることを見い出した。この成型品は、例えば、前記特開平5-64552号公報で言及されるような、一時冷凍後、再解凍した場合に成型ペレットの軟化が激しく、最悪の場合は投餌できない状態になることが避けられる点で、まったく予想外の特性をもつ。
【0008】
従って、前記課題は、本発明に従う、少なくとも脂肪、水分および蛋白質源を含有する魚餌であって、総組成物重量当り
(A)水分を20重量%以上
含み、かつ
(B)周囲温度で測定した場合に
(i)WHCが0.4以上であり、そして
(ii)WRCが0.2以上である
ことを特徴とする魚餌の提供によって解決される。
【0009】
他の本発明の態様としては、解凍した場合に、上記特徴を有する凍結状態にある魚餌が提供される。かかる状態の飼料は、流通上の利便、例えば、保存安定性、輸送安定性等に優れている。
【0010】
以上のような魚餌は、本発明のもう一つの態様である、
(a)通常魚餌に使用される原料を供給する工程、
(b)工程(a)と同時またはその前後に、総組成物重量当り水を20重量%以上含めるように調整する工程、
(c)工程(a)および(b)で得られた混合物を混練し、そしてエクストルーダーを介して押し出し成型する工程、
ならびに
(d)工程(c)で得られた成型品を凍結する工程、
を経て成型し凍結した魚餌の製造方法、を介して効率よく提供できる。
【0011】
なお、本発明にいうWHCとは、組成物による吸水量の尺度であって、一定の組成物における水分収容能力(Water Holding Capacity)を意味し、収容水分の重量を水分の収容に用いた試料重量で割り算して得られる値である。また、WRCとは、組成物にしっかりと吸着される水分量の尺度であって、一定の組成物における水分定着能力(Water Retention Capacity)を意味し、十分に吸水させた試料に一定の外力をかけて水分を除去した後に残存する水分の重量を試料重量で割り算して得られる値である。
【0012】
【発明の具体的な態様】
本発明の魚餌では、上記本発明の特徴に悪影響を及ぼさないものであれば、通常魚餌に使用される原料となりうるいずれも含めることができる。このような原料の具体的なものとしては、ホワイトフィシュミール、ブラウンフィシュミール等の魚粉、肉粉、骨肉粉、フェザーミール、血粉、脱脂粉乳、オキアミミール、イカミール、大豆粕、グルテンミールおよびこれらの1種以上の混合物、さらにイワシ、サバ、アミエビ等の生魚のミンチ、等の蛋白質源となりうる主原料(本発明では蛋白質源という場合もある)ならびに任意成分として小麦粉、米粉、米ぬか、脱脂米ぬか、ふすま、タピオカ澱粉などの澱粉質、CMC、アルギン酸ナトリウム、グアーガムなどの粘質多糖類、ミネラル類、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ビオチン類などのビタミン類等の副原料が挙げられる。本発明の魚餌の特徴を容易に達成するには、一般に蛋白質源が粗蛋白質として総組成物重量の少なくとも20重量%、好ましくは約30重量%を占めるものが好ましい。一方、副原料の添加量は、前記必須成分の配合割合、給餌目的および対象魚の種類等によって適宜選ぶことができる。澱粉質は、本発明の魚餌の成型特性に好影響を及ぼす場合がある。
【0013】
また、本発明の魚餌は、前記原料に由来する脂肪を含むが、一般に、総組成物重量当り脂肪を粗脂肪として10重量%以上、具体的には、10〜40重量%好ましくは10〜35%含む。脂肪は魚油などにより、一般的に、外部成分として添加される。なお、本発明の魚餌における脂肪含有量は、後述する粗脂肪の測定方法によって決定される量に基づく。かかる脂肪は、飼料効率または魚の増肉係数に悪影響を及ぼさない限り、魚油以外の動物油または植物油を含めてもよい。魚油の具体的な原料としては、イワシ、すけそうだら、イカ、その他の各種魚に由来する魚油が挙げられる。
【0014】
さらに、本発明の魚餌は、総組成物重量当り20重量%以上、具体的には20〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の水分を含む。
【0015】
以上の各成分を含んでなる本発明の魚餌は、もう一つの本発明の態様として提供され、詳細には後述する方法によって有利に製造される。理論により拘束されるものでないが、本発明方法により混練、加熱および/または加圧押出し成型され、凍結されることにより、上記組成からなる本発明の魚餌は、その組成物中に混練され均質に分散された水分の凍結を通して、特異なマトリックス構造を形成するものと推察される。こうして、本発明の魚餌は、WHCおよびWRCの両値が、例えば、ほぼ同一の組成を有し、同様に押出し成型したものの、凍結工程を伴わないで製造した魚餌に比較し、通常、WHCにあっては約2倍を超え、WRCにあっては約3倍を超える値を示す。このことは、本願の魚餌が、ほぼ同一の組成を有し、同様に押出し成型されたにもかかわらず、特殊な構造をとることに起因するものと推察される。すなわち、本発明の魚餌は、ほぼ同一の組成を有する比較飼料より有意に優れた水分収容能力と水分定着能力を有する。
【0016】
WHCおよびWRCの定義については、前述したように、これらの値が大きければ大きい程、高水分含有量で安定な成型品が提供できる。従って、WHCが0.45以上であり、そしてWRCが0.35以上を有する魚餌が本発明の好ましい態様である。
【0017】
また、驚くべきことに、前記のようなWHCおよびWRCの両値を満足する魚餌は、単に、水分の収容能力および定着能力に優れるだけでなく、脂肪の収容および定着能力にも優れているため、高水分および高脂肪を含む成型安定性に優れた魚餌が提供できる。
【0018】
なお、以上のWHCおよびWRC値は、試料を周囲温度、すなわち、測定環境温度、例えば、15〜30℃で測定した値である。
【0019】
さらにまた、驚くべきことには、本発明の魚餌は、凍結しないことをのぞき、ほぼ同一の組成を有し、同様に押出し成型した成型品に比べ、一般的に優れた咀嚼性を示し、例えば成型手段として一軸エクストルーダーを使用した場合には、約4倍を超える咀嚼性を示す。この咀嚼性は、適当なレオメーターを使用して、通常、固型食品をのみ込める状態まで咀嚼するのに必要なエネルギーを尺度として算出できる。
【0020】
以上のように優れた特性を有する本発明の魚餌は、もう一つの態様として提供する本発明方法によって有利に製造することができる。
【0021】
従来、給餌時のベタ付や保存性を改善する目的から、モイストペレットを冷凍保存することが行われているが、凍結保存したものは全体が堅く氷結する等の欠点を有することが知られていた(例えば、特開昭63-157939号公報参照)。
【0022】
ところが、本発明によれば、単なる保存目的に向けたものでなく、魚餌の製造工程中へ、積極的に凍結工程を導入することによって、上述のように優れた特性を有する魚餌を効率よく製造できることが見い出されたのである。
【0023】
本発明方法によれば、まず、前もって混合された一定量の脂肪、水分および蛋白質源を少なくとも含有する原料をエクストルーダーに供給するに際し、予めこれらの成分中の総水分を調整(通常、添加)し、そして必要により脂肪を調整し、こうして得られる混合物を混練する。混練手段としては、前記各成分を均質に混練できるものであれば、ロール式、ギヤ式またはスクリュー式等の形式にかかわりなく使用できる。一般的には、優れた混練効果を併せもつスクリュー式押出機(エクストルーダー)を使用して、混練と同時に押出し成型することが有利である。エクストルーダーとしては、一軸エクストルーダーあるいは二軸以上の多軸エクストルーダーを使用することができる。
【0024】
一軸エクストルーダーを使用して成型する場合を例にとると、押出圧力が一般に5〜15kg/cm2となるようにスクリューの回転速度とダイの口径を選ぶ。被成型組成物に圧力が加えられることにより、組成物温度は上昇するが、必要により外部から加温することによって組成物温度を約80〜130℃に保持する。なお、目的とする処理量に応じて、押出量、スクリュー直径等は適宜選択することができる。また、ダイのサイズや形状は給餌対象魚の種類、大きさに合わせて適宜選ぶことができ、径が通常、0.8〜50mm、好ましくは1.5〜30mmのものを使用する。
【0025】
エクストルーダーを使用して得られる組成分は一定の組織を有していると言われているが、こうして空気中に押出された組成物は、一般に組織化した状態にある。そしてそれらをカッターで所定の長さに切断することにより成型品を得ることができる。切断の長さも、ダイと同様に給餌対象魚の種類や大きさによって適宜選ぶことができ、通常1〜60mm、好ましくは2〜30mmとする。
【0026】
次に、得られた成型品は、それらが相互に粘結してブロック化しない状態で凍結処理にかける。凍結手段としては、処理中の各成型品のブロック化を有効に防止できるものであれば、どのような装置および方法を使用してもよいが、凍結効率に優れるトンネルフリーザーを使用するのが好適である。通常、トンネルフリーザーは-10〜-35℃で操作する。低温を用いる程凍結時間を短縮でき有利であるが、前述のように各成型品がブロック化しない温度であれば、本発明の魚餌の製造に使用できる。
【0027】
こうして、製造した魚餌は、殆ど前記の優れた特性を有するものであるが、本発明の製造方法にあっては必ずしもすべての成型品が前述のWHCおよびWRC値を示すものであることを要件にするものでないことは理解されるであろう。なお、好ましい態様としては、成型品に対するWHCおよびWRCの平均値が、それぞれ0.4以上および0.2以上となるものであり、より好ましい態様としては、WHCおよびWRCの平均値が、それぞれ0.45以上0.35以上となるように製造条件を選んだものを挙げることができる。これらは、例えば、水分の含有量を20重量%以上、具体的には20〜50重量%に調整することによって達成できる。その際、飼料効率の観点からは、脂肪の含有量を粗脂肪として10重量%以上に調整することが有利である。
【0028】
本発明の魚餌は、通常、その製造工程に凍結工程を含むため、凍結状態、または一部もしくは完全に解凍した状態で製品を提供できる。凍結状態(または場合によって一部凍結した製品であっても)にある製品は、その性質上、微生物の汚染、成分の劣化を伴うことなく貯蔵もしくは保存が可能であり、また輸送および取扱い中の保型性に優れる。
【0029】
また、完全に解凍した状態のものであっても、前述のように水分収容能力および水分定着能力に優れるため、成型品間の粘着、ブロック化に抵抗を示し、給餌が容易である。なお、成型品の一部が凍結したままの製品を給餌しても、給餌効率に悪影響が現われないことも確認している。
【0030】
【実施例】
以下、具体例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲をこれらに限定することを目的とするものでない。なお、各例中の部または百分率は、特記しない限り重量/重量に基づく。
【0031】
例1〜30
魚粉(ブラウンミール)73kg、小麦粉5kg、タピオカ澱粉15kg、CMC(ダイセル社製:CMCダイセル<2280>)2kg、ミネラルミックス3kg、ビタミンミックス2kgのコンパウンド(混合物)に水分および魚油(スケソウダラ肝油:理研ビタミン社製)を適宜加え、水蒸気で105℃に調節した後、一軸エクストルーダー(上田鉄工社製、EP100型、ダイス径8mm)にて、混練、加圧成型した。押し出された各成型品をトンネルフリーザーを用い、-20℃にて接触時間(通過時間)20分で直接凍結させた。凍結した製品を室温(約20℃)で1時間放置して解凍し、後述する方法で水分、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。結果を下記表1(特記しない限り、本発明)に示し、そして例16〜30は、ほぼ表1の例1〜15の組成にそれぞれ対応するものを使用し、凍結することなく、冷所(約5℃)で放冷したものの結果を表2(例27〜30以外は比較例である)に示す。
【0032】


【0033】
例31〜70
魚粉(ブラウンミール)74kg、小麦粉8kg、タピオカ澱粉10kg、CMC(ダイセル社製:CMCダイセル<2280>)3kg、ミネラルミックス3kg、ビタミンミックス2kgのコンパウンド(混合物)に水分および魚油(スケソウダラ肝油:理研ビタミン社製)を適宜加え、水蒸気で105℃に調節した後、一軸エクストルーダー(上田鉄工社製、EP50型、ダイス径6mm)にて、混練、加圧成型した。押し出された各成型品を破砕したドライアイスに接触させ凍結させた。凍結した製品を室温(約20℃)で1時間放置して解凍し、水分、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。結果を下記表3(例35以外は本発明である)に示し、凍結することなく、冷所(約5℃)で放冷したものの結果を表4(全例が比較例である)に示す。なお、例51〜70の組成は、それぞれ表3の例31〜50にほぼ対応する。
【0034】



例71〜120
魚粉(ブラウンミール)73kg、小麦粉5kg、タピオカ澱粉15kg、CMC(ダイセル社製:CMCダイセル<2280>)2kg、ミネラルミックス3kg、およびビタミンミックス2kgのコンパウンド(混合物)に水分および魚油(スケソウダラ肝油:理研ビタミン社製)を適宜加え、二軸エクストルーダー(栗本鉄工社製、KEX-50型、ダイス径φ5.6mm)を用い、バレル温度を80〜110℃、ダイ温度を70℃に設定して混練、加圧成型した。押し出された各成型品を破砕したドライアイスに接触させ凍結させた。凍結した製品を室温(約20℃)で1時間放置して解凍し、水分、粗蛋白質(以下、単に「粗蛋白」と略記する)、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。結果を下記表5(本発明)に示し、凍結することなく、冷所(約5℃)で放冷したものの結果を表6(例113および118以外は比較例である)に示す。なお、例96〜120の組成は、それぞれ表5の例71〜95にほぼ対応する。
【0035】




例121〜130
魚粉(ブラウンミール)73kg、小麦粉5kg、タピオカ澱粉15kg、CMC(ダイセル社製:CMCダイセル<1300>)2kg、ミネラルミックス3kg、およびビタミンミックス2kgのコンパウンド(混合物)に水分および魚油(スケソウダラ肝油:理研ビタミン社製)を適宜加え、二軸エクストルーダー(栗本鉄工社製、KEX-50型、ダイス径φ5.6mm)を用い、バレル温度を80〜110℃、ダイ温度を70℃に設定して混練、加圧成型した。押し出された各成型品を破砕したドライアイスに接触させ凍結させた。凍結した製品を室温(約20℃)で1時間放置して解凍し、水分、粗蛋白、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。結果を下記表7(例121、122、124および125以外は本発明である)に示し、凍結することなく、冷所(約5℃)で放冷したものの結果を表8(全例が比較例である)に示す。なお、例126〜130の組成はそれぞれ表7の例121〜125にほぼ対応する。
【0036】


例131〜138
魚粉(ブラウンミール)73kg、小麦粉5kg、タピオカ澱粉15kg、ミネラルミックス3kg、およびビタミンミックス2kgのコンパウンド(混合物)に表9および10に記載の割合でCMC(ダイセル社製:CMCダイセル<2280>)、水分および魚油(スケソウダラ肝油:理研ビタミン社製)を適宜加え、二軸エクストルーダー(栗本鉄工社製、KEX-50型、ダイス径φ5.6mm)を用い、バレル温度を80〜110℃、ダイ温度を70℃に設定して混練、加圧成型した。押し出された各成型品を破砕したドライアイスに接触させ凍結させた。凍結した製品を室温(約20℃)で1時間放置して解凍し、水分、粗蛋白、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。結果を下記表9(本発明)に示し、凍結することなく、冷所(約5℃)で放冷したものの結果を表10(全例が比較例である)に示す。なお、例135〜138の組成はそれぞれ表9の例131〜134にほぼ対応する。
【0037】


例139〜140
魚粉(ブラウンミール)73kg、小麦粉5kg、タピオカ澱粉15kg、CMC(ダイセル社製:CMCダイセル<1300>)2kg、ミネラルミックス3kg、およびビタミンミックス2kgのコンパウンド(混合物)に水分および魚油(スケソウダラ肝油:理研ビタミン社製)を適宜加え、二軸エクストルーダー(栗本鉄工社製、KEX-50型、ダイス径φ9mm)を用い、バレル温度を80〜110℃、ダイ温度を70℃に設定して混練、加圧成型した。押し出された各成型品を破砕したドライアイスに接触させ凍結させた。凍結した製品(本発明)を室温(約20℃)で1時間放置して解凍し、水分、粗蛋白、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。なお、下記組成とほぼ同じ組成を有するコンパウンドを用い、凍結する工程に代え、単に冷所(約5℃)で放冷したもの(比較例)についても、水分、粗蛋白、粗脂肪、WHC、WRCおよび咀嚼性を測定した。
【0038】
結果を下記表11にまとめる。
【0039】

WHC値およびWRC値の測定方法
上記例を始め、本明細書で表示するWHCおよびWRC値は次のようにして決定した。
【0040】
〔WHC〕
各試料30粒の重さ(W0)を測定してから100ml容のビーカに移し、水20mlを加えて1時間放置し、試料に水を吸収させる。余分な水を自然濾過により除いた後、水を吸った試料の重さ(W1)を測定した。WHCは、次式により求めた。
【0041】
WHC=(W1-W0)/W0
〔WRC〕
各試料30粒の重さ(W0)を測定してから100ml容のビーカに移し、水20mlを加えて1時間放置し、試料に水を吸収させる。その後、底に吸水のための紙を詰めた遠心チューブを入れ500Gの遠心、15分によって試料中から水を除いた後、試料の重さ(W2)を測定した。WRCは、次式により求めた。
【0042】
WRC=(W2-W0)/W0
咀嚼性の測定方法
上記例を始め、本明細書にいう咀嚼性は、次のようにして決定した。
【0043】
レオメーターとしてSUN RHEO METER CR-200D(サン科学(株)製)を用い、各試料に対して次の条件で第1咀嚼および第2咀嚼を測定した。
【0044】
感圧軸: 形:平板形
大きさ:直径15mm
高さ:10mm
材質: アクリル樹脂
試料の形:高さを5mm、感圧軸との接触面積を1cm2と仮定したクリアランス(感圧軸の最低位置と試料皿底面の距離):2mm
感圧軸の速度:60mm/min
測定回数:2回
感圧軸の最大荷重の設定:10kg
得られたデータをデータ解析ソフトCR-200D(サン科学(株)製)により計算して求めた。本決定で用いたデータ解析ソフトCR-200Dの咀嚼性の計算式は、例えば「調理科学」(調理科学研究会編、光生館出版)の629ページ記載の咀嚼性の計算式と同じく、以下に記載するとおりである。
【0045】
計算式は、概括的には次式によって表わされる。
【0046】
咀嚼性=硬さ×凝集性×弾力性
以上により、算出される咀嚼性は、固形食品を飲み込める状態まで咀嚼するのに必要なエネルギーの尺度である。
【0047】
水分、粗脂肪および粗蛋白の測定方法
上記の例を始め、本明細書で表示する組成物(または試料)中の水分、脂肪および粗蛋白は、『飼料分析基準注解(第二版)』(飼料分析基準研究会編、社団法人日本飼料協会発行)に記載の水分、粗脂肪および粗蛋白質の分析法に従い、以下の方法で測定した。
【0048】
〔水分〕
試料2〜5gを正確に秤量し、アルミニウム製秤量皿に入れる。135±2℃で2時間乾燥し、これをデシケーター(乾燥剤:シリカゲル)中で45分間放冷した後、正確に秤量し、水分(減量分)を求める。
【0049】
〔粗脂肪〕
試料2〜5gを正確に秤量し、円筒濾紙(直径22mm、高さ90mm)の入れ、その上に脱脂綿を軽く押さえるようにして入れた後、95〜100℃で2時間乾燥する。これをソックスレー抽出器に入れ、脂肪秤量瓶に連結し、ジエチルエーテルを加えて16時間抽出する。次に脂肪秤量瓶を外してジエチルエーテルを揮散させ、95〜100℃で3時間乾燥し、デシケーター中で放冷後、正確に秤量し、次式により試料中の粗脂肪を算出する。
【0050】
試料中の粗脂肪(%)=[(W1-W2)/w]×100
W1:脂肪秤量瓶+抽出物の重量(g)
W2:脂肪秤量瓶の重量(g)
W:分析に用いた試料の重量(g)
[粗蛋白]
A.試薬の調製
1) N/10水酸化ナトリウム標準液:水酸化ナトリウム(特級)の飽和溶液を調製し、栓をして10日間以上放置した後、その上澄み液50mlに煮沸冷却した水を加えて101とし、N/10水酸化ナトリウム標準液を調製し、次によりその濃度を標定する。
【0051】
スルファミン酸(標準試薬)(デシケーター(減圧)中で48時間乾燥したもの)2〜2.5gを正確に量って250mlのメスフラスコに入れ、水を加えて溶かし、更に標線まで水を加えてスルファミン酸標準液を調製する。その25mlを正確に量って200mlの三角フラスコに入れ、ブロムチモールブルー試液数滴を加え、N/10水酸化ナトリウム標準液で滴定し、次式によりN/10水酸化ナトリウム標準液の係数を算出する。
【0052】
N/10水酸化ナトリウム標準液の係数(f1)=(W×104)/(V×97.10)
W:標定に用いたスルファミン酸標準液(25ml)中のスルファミン酸の重量(9)
V:滴定に要したN/10水酸化ナトリウム標準液の量(ml)
2) N/10硫酸標準液:水11にかき混ぜながら硫酸(特級)2.8mlを加え、放冷後、水を加えて101とし、N/10硫酸標準液を調製し、次によりその濃度を標定する。
【0053】
N/10硫酸標準液25mlを正確に量って200mlの三角フラスコに入れ、メチルレッド試液数滴を加え、N/10水酸化ナトリウム標準液で滴定し、次式によりN/10硫酸標準液の係数を算出する。
【0054】
N/10硫酸標準液の係数(f2)=(V×f1)/25
f1:N/10水酸化ナトリウム標準液の係数
V:滴定に要したN/10水酸化ナトリウム標準液の量(ml)
B.試料溶液の調製
分析試料1〜59を正確に量ってケルダールフラスコに入れ、硫酸カリウム(特級)9g及び硫酸銅(特級)1gを加え、更に硫酸(特級)30〜40mlを加えて振り混ぜ、徐々に加熱し、あわが生じなくなってから強熱し、内容液が透明になった後、更に2時間以上加熱して試料溶液とする。
【0055】
C.定量
試料溶液の全量又はこれを水で250mlに正確に希釈した液の一定量を正確に量ってケルダールフラスコに入れ、適量の水を加え、更に強アルカリ性とするのに十分な量の水酸化ナトリウム(特級)溶液(50w/v%)を加え、これをあらかじめほう酸(特級)溶液(4w/v%)の一定量を正確に量って入れた受器を接続した水蒸気蒸留装置に連結した120ml程度になるまで留出させる。留出液にブロムクレゾールグリーンーメチルレッド試液数滴を加え、N/10硫酸標準液で滴定し、次式により窒素[N]量を算出し、これに6.25を乗じて粗蛋白量を求める。
【0056】
窒素[N]量(%)=1.40×f2×V1×(250/V)×(100/W)×10-3
f2:N/10硫酸標準液の係数
V1:滴定に要したN/10硫酸標準液の量(ml)
V:蒸留に用いた試料溶液の量(ml)
W:分析に用いた試料の重量(g)
顕微鏡写真
上記試料11(本発明)および26(比較)、ならびに44(本発明)および64(比較)の粒子構造を走査型電子顕微鏡により3500倍に拡大して観察できる像の写真を、それぞれ図1のAおよびB、ならびに図2のAおよびBに示す。
【0057】
例141〜152:ハマチの嗜好試験
上記した例1、3、4、5、7、8、12、14、15、18、20および26で製造した試料、それぞれを魚体重300〜400gのハマチに給餌し、その嗜好性を評価した。飼育尾数は各試験区とも30尾とし、魚体重の3%量の試料を投与し摂餌時間を測定した。摂餌時間が2分以下のものを○、2〜5分間のものを△、5分間を超すものを×とした。結果を表12に示す。表より、次のことがわかる。
【0058】
本発明の範囲内の試料である例1、3、4、5および12で製造した試料は、いずれも嗜好性が高く、給餌されたハマチは、2分以内に全量摂取した。
【0059】
水分が本発明の範囲外である例7および8で製造した試料は、水中で崩壊しやすく、飼育環境の汚染となるので好ましくない。
【0060】
冷所(5℃)で放冷して調製した、WHC、WRCが本発明の範囲外である例18、20および26で製造した試料は、咀嚼性が低いためか、摂餌しても一部吐出すことがあり、摂餌時間が2分以上必要とした。
【0061】


例153〜158
試料番号9〜10および12〜15の飼料を1か月間ハマチに給餌する飼育試験を行った。飼育尾数は各試験区とも30尾とし、飼料は飽食するまで投与した。その結果を表13に示す。試験の結果、試験区(例155〜158)の飼育成績が良く、試験区(例153および154)は、上記例148および149に示すように、咀嚼性嗜好性は良好であるにもかかわらず所望の増肉係数を示さなかった。
【0062】
ただし、増肉係数は乾物換算値である。
【0063】


例159〜165
試料番号15、14、13、43、49、10および9の試料を2か月間マダイに給餌する飼育試験を行った。飼育尾数は各試験区とも15尾とし、飼料は飽食するまで投与した。その結果を表14に示す。試験の結果、試験区(例161〜165)の飼育成績が良く、試験区(例159および160)は良好な増肉係数を示さなかった。
【0064】
ただし、増肉係数は乾物換算値である。
【0065】

例166
魚粉(ブラウンミール)70%、小麦粉25%、ビタミンミックス3%、ミネラルミックス2%の組成の原料に魚油(フイードオイル)および水分を添加し、蒸気で105℃に調節した後、一軸エクストルーダー(上田鉄工社製、EP100型、ダイス径12.0mm)にて加圧成型し、水分24.0%、粗脂肪22.7%、WHC 0.81、WRC 0.42の飼料を調製した。これをトンネルフリーザー(-25℃)で20分かけて凍結させた。
【0066】
これを凍結状態のまま、魚体重約800gのマダイ10,000尾に3カ月給餌した。本飼料を給餌されたマダイは、成長速度が速く、また増肉係数もよく優れた結果が得られた。
【0067】
例167
魚粉(ブラウンミール)30%、生イワシミンチ50%、大豆粕6%、小麦粉5%、タピオカ澱粉5%、CMC2%、ビタミンミックス1%、ミネラルミックス1%の組成の原料に魚油(フイードオイル)および水分を添加し、蒸気で105℃に調節した後、一軸エクストルーダー(上田鉄工社製、EP100型、ダイス径10.0mm)にて加圧成型し、水分35.8%、粗脂肪30.1%、WHC 0.75、WRC 0.52の飼料を調製した。これをトンネルフリーザー(-30℃)で15分かけて凍結させた。
【0068】
これを解凍後、魚体重約500gのハマチ5,000尾に3カ月給餌した。本飼料を給餌されたハマチは、成長速度が速く、また増肉係数もよく優れた結果が得られた。
【0069】
例168
魚粉(ブラウンミール)65%、小麦粉30%、ビタミンミックス3%、ミネラルミックス2%の組成の原料に魚油(フイードオイル)および水分を添加し、蒸気で103℃に調節した後、一軸エクストルーダー(上田鉄工社製、EP100型、ダイス径3.0mm)にて加圧成型し、水分27.0%、粗脂肪14.1%、WHC 1.20、WRC 0.80の飼料を調製した。これをトンネルフリーザー(-15℃)で25分かけて凍結させた。
【0070】
これを解凍後、魚体重約50gのニジマス5,000尾に3カ月給餌した。本飼料を給餌されたニジマスは、成長速度が速く、また増肉係数もよく優れた結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】
例11および26で得られた魚餌の粒子の構造を示す図に代わる走査型電子顕微鏡写真である。AおよびBが、それぞれ例11および26の試料に対応する。
【図2】
例44および64で得られた魚餌の粒子の構造を示す図に代わる走査型電子顕微鏡写真である。AおよびBが、それぞれ例44および64の試料に対応する。
【図面】


 
訂正の要旨 [3] 訂正の要旨
(1) 訂正事項
請求項1に
「少なくとも脂肪、水分および蛋白質源を含有する魚餌であって、総組成物重量当り
(A)水分を20重量%以上
含み、且つ
(B)周囲温度で測定した場合に
(1)WHCが0.4以上であり、そして
(2)WRCが0.2以上であることを特徴とする魚餌。」
とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として
『少なくとも脂肪、水分および蛋白質源を含有する魚餌であって、総組成物重量当り
(A)水分を20重量%以上含み、そして蛋白質源を粗蛋白質として少なくとも20重量%含み、且つ
(B)周囲温度で測定した場合に
(1)WHCが0.4以上であり、そして
(2)WRCが0.2以上である
ことを特徴とする魚餌。』
と訂正し、そして
請求項3を抹消する
訂正を行い、そして
請求項4乃至6を、それぞれ請求項3乃至5とすると同時に、先行する請求項との従属関係を正す
訂正を行い、そして
請求項7に
「(a)通常魚餌に使用される原料を供給する工程、
(b)工程(a)と同時またはその前後に、総組成物重量当り水分を20重量%以上含めるように調整する工程、
(c)工程(a)および(b)で得られた混合物を混練し、そしてエクストルーダーを介して押し出し成型する工程、
ならびに
(d)工程(c)で得られた成型品を凍結する工程、
を含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載された魚餌の製造方法。」
とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、
『(a)通常魚餌に使用される原料を供給する工程、
(b)工程(a)と同時またはその前後に、総組成物重量当り、水分を20重量%以上含め、かつ蛋白質源を粗蛋白質として少なくとも20重量%含めるように調整する工程、
(c)工程(a)および(b)で得られた混合物を混練し、そしてエクストルーダーを介して押し出し成型する工程、
ならびに
(d)工程(c)で得られた成型品を凍結する工程、
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された魚餌の製造方法。』
と訂正する。
異議決定日 2001-03-14 
出願番号 特願平6-156391
審決分類 P 1 651・ 16- YA (A23K)
P 1 651・ 121- YA (A23K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長井 啓子  
特許庁審判長 田中 倫子
特許庁審判官 大高 とし子
佐伯 裕子
登録日 1997-05-02 
登録番号 特許第2645221号(P2645221)
権利者 メルシャン株式会社
発明の名称 魚餌およびその製造法  
代理人 須藤 阿佐子  
代理人 小田島 平吉  
代理人 小田嶋 平吾  
代理人 小田島 平吉  
代理人 藤井 幸喜  
代理人 小田嶋 平吾  
代理人 藤井 幸喜  

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