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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K |
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管理番号 | 1044791 |
異議申立番号 | 異議2000-73954 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-09-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-10-20 |
確定日 | 2001-04-02 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3037126号「ソフトペーストの形態をとる化粧用組成物及びその製法」の請求項1ないし15に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3037126号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.経緯 本件特許第3037126号は、平成7年12月28日の出願(優先権主張、1995年1月5日、仏国 )に係り、平成12年2月25日に設定登録されたものであって、その後異議申立てがあり、取消理由通知に対して平成13年3月7日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正請求について、 本件訂正請求は以下のとおりである。 (1)特許明細書の特許請求の範囲におけるにおける、 「[請求項12]請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の製法であって、 ワックスを含む該組成物の成分を、ワックス類の少なくとも一部が溶解する温度に加熱し、適切な時点で残りの成分を加えた後、得られた混合物を室温までの冷却の間混合する製法。 [請求項13]混合操作を、ロールミルもしくは押し出し機で行なう請求項12に記載の方法。 [請求項14]調合、加熱及び/又は混合操作を、連続して交互に配設した押し出し機で行う請求項12又は13に記載の製法。 [請求項15]調合、加熱及び混合を、単一のツインスクリュー押し出し機において行なう請求項12から14のいずれか1項に記載の製法。」 なる記載を、 「[請求項12]請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の製法であって、ワックスを含む該組成物の成分を、ワックス類の少なくとも一部が溶解する温度に加熱し、適切な時点で残りの成分を加えた後、得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練する製法。 [請求項13]混練操作を、ロールミルもしくは押し出し機で行なう請求項12に記載の方法。 [請求項14]調合、加熱及び/又は混練操作を、連続して交互に配設した押し出し機で行う請求項12又は13に記載の製法。 [請求項15]調合、加熱及び混練を、単一のツインスクリュー押し出し機において行なう請求項12から14のいずれか1項に記載の製法。」 に訂正する。 (2)特許明細書の段落番号[0009]における「すなわち、本発明の一つの主題は、・・・・・・ことを特徴とする組成物である。」なる記載を、 「すなわち、本発明の一つの主題は、無水のソフトペーストの形態で供される化粧品組成物であって、複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスであり、該組成物が、室温までの全冷却期間に渡って組成物全成分を泥練する段階を含む方法によって得られ、25℃において3から35Pa・sの経時的な粘度定数を有することを特徴とする組成物である。」に訂正する。 (3)特許明細書の段落番号[0010]における「得られた混合物を少なくとも冷却の間の一時期間混合するものである。」なる記載を「得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練するものである。」に訂正する。 (4)特許明細書の段落番号[0031]における「その後得られた混合物を、室温にまで冷却する少なくとも一時期間混合することができる。」なる記載及び「一時期間混合する場合には」なる記載を、「その後得られた混合物を、室温までの全冷却期間に渡って混練することができる。」及び「一時期間混練する場合には」にそれぞれ訂正する。 (5)特許明細書の段落番号[0032]における「上記混合操作」を「上記混練操作」に訂正するとともに、同[0033]における「又は混合」を「又は混練」に訂正する。 そこで、これらの訂正について検討するに、 (1)の訂正中請求項12に係る訂正は、該請求項において引用する請求項1〜11の組成物が、原料混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練して得られるのに対し、訂正前の請求項12においては室温までの冷却の間混合する旨の記載があり、この点で請求項12の記載はそれ自体で不一致を有していたため、これを解消するものである。また、請求項13〜15に係る訂正もこれら請求項で引用する請求項12の上記訂正に合わせて記載の整合を図るものであるから、この(1)の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。さらに、本件発明の化粧品組成物がワックスを比較的多量に含む原料をその溶解開始温度以下の室温まで冷却しつつソフトペーストの形態にする点、及びこの工程の使用装置としてロールミル及びツインスクリュウ押出機が用いられる点からみると、この工程は単なる「混合」というよりもむしろ「混練」と実質上いえるものであるから、「混合」を「混練」にすることは特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものではない。また、請求項12において「室温までの冷却期間」を「室温までの全冷却期間に渡って」に訂正することは、混練操作の適用時期あるいは期間的な限定ともいえることはあっても、特許請求の範囲の実質的に拡張または変更するものとはいえない。 そして、これら請求項12〜15に係る上記訂正事項はいずれも、特許明細書の請求項1に明示されていたものであるから、(1)の訂正は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であることはいうまでもない。 次に(2)〜(5)の訂正は、上記訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明中の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、これら訂正は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であって、さらに、特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものでもない。 したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項、及び第3項の規定により準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.異議申立について、 、本件異議申立人の主張の概要は、本件請求項1〜15の発明は、甲第1〜3号証あるいは甲1〜4号証の記載に基づき当業者が容易に発明できたものであるから、これら請求項に係る各特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるというのである。 証拠方法 甲第1号証;特公平6-11684号公報 甲第2号証;特開平6-256141号公報 甲第3号証;「化粧品学」1987年1月5日株式会社南山堂発行、第152-157頁甲第4号証;国際公開WO94/14402号公報 一方、本件訂正後の請求項1〜15項の発明は訂正明細書の記載からみて、その請求項1〜15に記載されたとおりの以下のものと認める。 [請求項1] 無水のソフトペーストの形態で供される化粧品組成物であって、複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスであり、該組成物が、室温までの全冷却期間に渡って組成物全成分を泥練する段階を含む方法によって得られ、25℃において3から35Pa・sの経時的な粘度定数を有することを特徴とする組成物。 [請求項2] 上記ワックスの100%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。 [請求項3] 上記ワックスの溶解開始時の温度が65℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。 [請求項4] 上記ワックスが、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス類及び微細結晶ワックスより選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。 [請求項5] 脂肪相がオイル類より選択される別の脂肪成分をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。 [請求項6] 上記の別の脂肪成分が、パラフィン油もしくは流動パラフィン、ペルヒドロスクアレンもしくはアララオイル、スウィートアーモンド、カロフィラム、パーム、ヒマシ、アボカド、ホホバ、オリーブもしくは穀物の胚芽芽油、ラノリン酸オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸もしくはミリスチン酸のエステル類、オレイルアルコール、リノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールもしくはオクチルドデカノール、アセチルグリセリド類オクタン酸塩類、デカン酸塩類もしくはアルコール類もしくはポリアルコール類のリシノール酸塩類より選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。 [請求項7] 上記の別の脂肪成分が組成物の40〜90重量%を占めることを特徴とする請求項5又は6に記載の組成物。 [請求項8] 上記の別の脂肪成分が組成物の65〜85重量%を占めることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の組成物。 [請求項9] カーボンブラック、クロムもしくは鉄の酸化物類、ウルトラマリン類、ピロリン酸マンガン、鉄(III)青、二酸化チタン、光沢剤及び所定の有機着色剤から選ばれる粉状着色剤をさらに含む請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。 [請求項10] タルク、雲母、カオリン、亜鉛もしくはチタンの酸化物、カルシウムもしくはマグネシウムの炭酸塩、シリカ、球形二酸化チタン、ガラス及びセラミックビーズ、8〜22の炭素原子を有するカルボン酸から誘導される金属石鹸、非膨張性合成ポリマー粉末、膨張粉末、架橋の有無を問わず穀物スターチ等の天然有機化合物の粉末から選ばれる無機もしくは有機の粉状の充填剤をさらに含有する請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。 [請求項11] 唇のメイクアップ及び/又は手入れ用製品の形態で与えられる請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。 [請求項12] 請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の製法であって、ワックスを含む該組成物の成分を、ワックス類の少なくとも一部が溶解する温度に加熱し、適切な時点で残りの成分を加えた後、得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練する製法。 [請求項13] 混練操作を、ロールミルもしくは押し出し機で行なう請求項12に記載の方法。 [請求項14] 調合、加熱及び/又は混練操作を、連続して交互に配設した押し出し機で行う請求項12又は13に記載の製法。 [請求項15] 調合、加熱及び混練を、単一のツインスクリュー押し出し機において行なう請求項12から14のいずれか1項に記載の製法。 そこで、本件訂正後の請求項1〜15の発明について、甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものか否かについて検討する。 a)甲第1号証においては、(a)ワックス及びワックス状物質の少なくとも一種5〜40重量%、(b)液状及び半固形形油分の少なくとも一種15〜80重量%、(c)着色含量及び白色粉末の少なくとも一種15〜80重量%並びに (d)成分(a)の固化力を低下せしめる親油性ゲル化剤0.01〜5重量%を配合してなる本文中で定義する粘度及び硬度が50000cps以下及び10以下のペースト状口紅組成物について記載され(請求項1)、また、実施例2〜6においては、組成物全量に対して、ポリエチレンワックス4重量%、セレシンワックス8重量%、キャンデリラワックス7重量%及びカルナバロウ1重量%を配合した口紅組成物が記載されている。 そこで、訂正後の請求項1の発明(以下、本件発明という。)と甲第1号証の発明とを対比すると、 本件発明と甲第1号証の発明とは、複数のワックスを配合してなるペースト形態の化粧品組成物である点では一致しているが、甲第1号証においては、上記ワックスについての溶解開始時の温度は明かにされてはいない。 この点について、本件異議申立人は、甲第1号証の上記実施例におけるワックスについて、ポリエチレンワックス及びカルナバロウは本件明細書において使用するワックス成分として記載されているものであり、セレシンワックス及びキャンデリラワックスの融点はそれぞれ61〜90℃及び66〜71℃であるから(甲第3号証)、甲第1号証の発明は、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスを、本件発明の使用量で使用するものである旨主張している。 しかし、本件発明の使用ワックスは、溶解開始時の温度(本件明細書の発明の詳細な説明に記載された「溶融開始温度」と同一と解される。)が50℃以上のものであり、この溶解開始時の温度とは本件明細書の発明の詳細な説明中に溶融開始時の温度として定義されているように、ワックスが溶解し始める温度を意味するものであり、示差熱曲線において傾斜の変化が著しい変化がみられる温度に相当するものである。また、本件明細書の実施例1においては、使用したTisco wax 88について、溶融開始時の温度が65〜75℃程度、融点が約91〜93℃であること、及び同実施例2:比較例においては、Feruwax 30540について、溶融開始時の温度が約45〜47℃、融点約69〜71℃であることが示されており、これらからみると、溶解開始時の温度と融点とは一致していないことは明かである。してみると、甲第1号証の使用ワックスのうちセレシンワックス及びキャンデリラワックスについてはその融点が上記したとおりであったとしても、その溶解開始温度は少なくとも不明であって、本件異議申し立て人が提示した証拠のみでは、これらについて溶解開始時の温度が50℃以上であるとすることはできない。また、ポリエチレンワックスについても、本件訂正明細書においては「数種のポリエチレンワックス」と記載され(段落番号[0020])ているように、ポリエチレンワックスであれば全て溶解開始時の温度が50℃以上のものであるとしているわけではなく、また常識的にも分子量及びその分布により、溶解開始温度は異なるから、ポリエチレンワックスが上記のように本件明細書に記載されているからといって、これのみで甲第1号証におけるポリエチレンワックスの溶解開始時の温度が50℃以上のものであるとはいえない。もっとも、カルナバロウについては、本件発明の使用ワックスと同一であるとはいえるが、その使用量は組成物全量に対して僅か1重量%にすぎず、この使用量は、本件発明における溶解開始時の温度が50℃以上のワックスの使用量とはかけ離れている。 したがって、以上の点からみると、甲第1号証の口紅組成物は、本件発明における「複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスである」という構成を備えるものであるとすることはできず、この点においても甲第1号証の発明と本件訂正後の発明とは相違するというべきである。 また、本件発明は、化粧品組成物を室温までの全冷却期間に渡って混練することにより得るのに対して、甲第1号証においては、原料混合物を分散、脱気後容器に充填し放冷しているから、この点でも相違し、さらに、本件発明の化粧品組成物が有する25℃における粘度定数についても具体的な記載はない。 b)以下、これらの相違点について、甲第2〜4号証に記載された発明から当業者が容易に想到できたものであるか否かについて以下検討する。 使用ワックスについて、 甲第2号証の実施例6においては、異議申立人が指摘するようにワックス成分として、カルナバロウ6重量%、セレシン8重量%及びミツロウ20重量%を含むチークカラーが記載され、甲第3号証においては、ワックス成分としてセレシン15重量%を含む油性練紅が記載され、また、甲第4号証においては、組成物100gあたり微結晶ワックス10g及びカルナバロウ6g含むファウンデーションが記載されているが、甲第3号証で使用するセレシンについては上記したように溶解開始時の温度が50℃以上であるということはできない。また、ミツロウ及び微結晶ワックスについては、甲第3号証において、各融点が61〜65℃およびは60〜85℃であるとそれぞれ記載されてはいるが、上記したように融点と溶融開始時の温度は一致していないのであり、また、微結晶ワックスにであっても本件明細書の実施例:比較例に記載されるように溶解開始温度が50℃未満のものもあるのであるから、甲第2号証で使用するミツロウ及び甲第4号証で使用する微結晶ワックスの溶融開始時の温度が50℃以上とすることはできない。してみれば、甲第2〜4号証における上記ワックスについての記載は、いずれも本件発明における「複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスである」という構成を示唆するものではない。 冷却工程及び粘度定数について 甲第3号証においては、無水油性型のファウンデーションクリームについて、原料混合物をよくかきまぜながら40℃まで冷却する旨の記載があり、また、油性練紅について、分散後かきまぜながら50℃まで冷却する旨の記載があるが、これら操作は本件発明における混練操作の最終温度(室温)に至る以前にかきまぜを停止しており、本件発明の泥練操作と同一の操作とはいえない。さらに甲第2および4号証においては、冷却中において、混練することはもとより攪拌することすら記載がない。さらに、本件発明の粘度定数については、甲第2〜4号証のいずれにも記載がない。 c)したがって、以上の点からみれば、甲第1号証の発明にさらに甲第2〜4号証の発明を組み合わせてみても、本件発明の構成に至らないことは明かである。 しかも、本件発明の構成によれば、なめらかなテクスチュアを有するとともに、温度変化に関係なく計時的に安定であって、特に粘度変化のない化粧品組成物が提供できるという効果を奏するものであり、このような効果については、甲第1〜4号証のいずれにも示唆されてはおらず、当業者が予想できるものとはいえない。 c)したがって、以上の点からみれば、本件発明は甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。また、本件訂正後の請求項2〜11の発明は本件発明をさらに限定したものであるから、これら請求項の発明も甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものではない。 次に、本件訂正後の請求項12の発明は、本件訂正後の請求項1〜11の化粧品組成物を目的物とする製法に係る発明であるから、本件請求項1〜11の化粧品組成物の発明が甲第1〜4号証に記載された発明から当業者において容易に発明できたものとすることはできない以上、本件訂正後の請求項12の発明も甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとはいえない。さらに本件訂正後の請求項13〜15の発明は、本件訂正後の請求項12の発明をさらに限定した発明であるから、これら発明も当然甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正後の請求項1〜15の発明は、甲第1〜3あるいはさらに4号証の記載を加えてみても当業者において容易に発明できたものとはいえず、本件異議申立の理由及び証拠によっては、これら請求項に係る特許を取り消すことができない。 また、他に本件訂正後の請求項1〜15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ソフトペーストの形態をとる化粧用組成物及びその製法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 無水のソフトペーストの形態で供される化粧品組成物であって、複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスであり、該組成物が、室温までの全冷却期間に渡って組成物全成分を混練する段階を含む方法によって得られ、25℃において3から35Pa・sの経時的な粘度定数を有することを特徴とする組成物。 【請求項2】 上記ワックスの100%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 上記ワックスの溶解開始時の温度が65℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。 【請求項4】 上記ワックスが、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス類及び微細結晶ワックスより選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項5】 脂肪相がオイル類より選択される別の脂肪成分をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項6】 上記の別の脂肪成分が、パラフィン油もしくは流動パラフィン、ペルヒドロスクアレンもしくはアララオイル、スウィートアーモンド、カロフィラム、パーム、ヒマシ、アボカド、ホホバ、オリーブもしくは穀物の胚芽油、ラノリン酸オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸もしくはミリスチン酸のエステル類、オレイルアルコール、リノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールもしくはオクチルドデカノール、アセチルグリセリド類オクタン酸塩類、デカン酸塩類もしくはアルコール類もしくはポリアルコール類のリシノール酸塩類より選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。 【請求項7】 上記の別の脂肪成分が組成物の40〜90重量%を占めることを特徴とする請求項5又は6に記載の組成物。 【請求項8】 上記の別の脂肪成分が組成物の65〜85重量%を占めることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項9】 カーボンブラック、クロムもしくは鉄の酸化物類、ウルトラマリン類、ピロリン酸マンガン、鉄(III)青、二酸化チタン、光沢剤及び所定の有機着色剤から選ばれる粉状着色剤をさらに含む請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項10】 タルク、雲母、カオリン、亜鉛もしくはチタンの酸化物、カルシウムもしくはマグネシウムの炭酸塩、シリカ、球形二酸化チタン、ガラス及びセラミックビーズ、8〜22の炭素原子を有するカルボン酸から誘導される金属石鹸、非膨張性合成ポリマー粉末、膨張粉末、架橋の有無を問わず穀物スターチ等の天然有機化合物の粉末から選ばれる無機もしくは有機の粉状の充填剤をさらに含有する請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項11】 唇のメイクアップ及び/又は手入れ用製品の形態で与えられる請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項12】 請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の製法であって、ワックスを含む該組成物の成分を、ワックス類の少なくとも一部が溶解する温度に加熱し、適切な時点で残りの成分を加えた後、得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練する製法。 【請求項13】 混練操作を、ロールミルもしくは押し出し機で行なう請求項12に記載の方法。 【請求項14】 調合、加熱及び/又は混練操作を、連続して交互に配設した押し出し機で行う請求項12又は13に記載の製法。 【請求項15】 調合、加熱及び混練を、単一のツインスクリュー押し出し機において行なう請求項12から14のいずれか1項に記載の製法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、特に唇のメークアップのために用いられる組成物、もしくは髪及び/又は唇の手入れのための組成物としてソフトペーストの形態で与えられる組成物に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 リップスティックのような、手入れ用もしくはメークアップ製品として唇に適用することのできる化粧用組成物は、一般に脂肪成分及びワックスを含み、任意成分として添加剤及び顔料を含む。こうした組成物はソフトペーストの形態で提供され、例えばブラシ等のアプリケーターを用いて取って適用することのできるものである。 【0003】 これらの組成物は、適用した膜の軟度、脂様感及び保持に関して、著しい品質を与えるワックスを含んでもよい。 【0004】 これらの組成物中に比較的に多量のワックス類を導入するために、構成成分の混合物を調製し、ワックス類が少なくとも部分的に溶解する温度に加熱した後、少なくともその冷却中の一時期に混合操作を行うことから成る調製方法が提案された。 【0005】 こうして、滑らかで容易に除去できるペーストを生成させる形式でのワックス類の結晶化が観察された。 【0006】 しかしながら、ワックスの中には、特に、この保存がたとえ部分的にでも20〜25℃の程度の通常の温度よりも高い温度で行われると、保存の間最適かつ一定の化粧品品質を有する化粧品組成物が得られないようにするものもあることがわかった。 【0007】 実際に、該組成物中に存在するワックス類の性質によっては、該組成物を非常に硬化させ適用時に問題を生じさせることになる組成物の粘度変化が認められる場合がある。 【0008】 本発明の目的は、これらの欠点を解消し、保存の全期間に渡って最適な化粧品特性、とりわけ組成物が被る温度もしくは温度変化に関係なく経時的に事実上一定の粘度を有する化粧品組成物を提案することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明の一つの主題は、無水のソフトペーストの形態で供される化粧品組成物であって、複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶解開始時の温度が50℃以上のワックスであり、該組成物が、室温までの全冷却期間に渡って組成物全成分を混練する段階を含む方法によって得られ、25℃において3から35Pa・sの経時的な粘度定数を有することを特徴とする組成物である。 【0010】 本発明の別の主題は、このような化粧品組成物の製法であって、これは、ワックス類を含む組成物の様々な構成成分の少なくとも一部分をワックス類が少なくとも部分的に溶解する温度にまで加熱し、構成成分の残りを適切な時点で加えた後得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練するものである。 【0011】 本発明は経時的に安定な、いわば、その粘度が事実上一定である組成物を生成させるものである。これらの組成物は新規の滑らかなきめ(テクスチュア)を有し、適用後の保持性が高く光沢をもつものである。 【0012】 したがって本発明の組成物は、複数のワックスを有することができ、上記ワックスの少なくとも95%の溶融開始時の温度が50℃以上である脂肪相を含む。 【0013】 本詳細な説明における“溶融開始時の温度”は、ワックスが溶解し始める温度を意味すると理解される。 【0014】 この温度は、懸かるワックスの示差熱曲線(もしくは溶融曲線)を得ることを可能にするDTA(示差熱分析)によって決定することができる。溶融開始時の温度は、示差熱曲線において傾斜の著しい変化が見られる温度に相当する。融点としては、上記示差熱曲線の最小点を表す。 【0015】 本説明に固執することなく、いくつかの化粧品組成物の保存中に観察される粘度変化は、ワックス類が結晶化する形態での変性に関係すると仮定することもできる。 【0016】 実際に、本組成物の製造中に、ワックス類はソフトペーストを生成させる所定の形態にて結晶化する。 【0017】 保存中のかなりの温度上昇の間、上記ワックス類は少なくとも部分的に溶融した後に当初の結晶形態とは異なる形態にて結晶化し、この第二の形態ではソフトペーストは得られないが、より高い粘度、したがってより堅い粘調性をもつペーストをもたらすことができる。 【0018】 したがって、組成物中に存在するワックス類の少なくとも95%を、溶融開始時の温度が50℃以上のワックス類より選択することによって、粘度が一定の組成物が得られる。好ましくは、溶融開始時の温度が65℃以上のワックス類及び/又は溶融開始時の温度が50℃以上の100%ワックスを使用する。 【0019】 本発明に用いることのできるワックス類、つまり、化粧品組成物の粘度を一定に保つことができるワックスは、特には無機の、動物、植物起源のもしくは合成のもの等、あらゆるタイプであってよい。 【0020】 主として、カルナウバワックス、数種のポリエチレンワックス類及びTisco社より市販の“Tisco Wax 88”等の数種の微細結晶ワックス類(microcrystalline waxes)を挙げることができる。 【0021】 これらワックス類は、単独で用いてももしくは混合物の形態で用いてもよい。 【0022】 これらはまた、溶融開始時の温度が50℃未満であるワックス類と混合して用いることもでき、これら第2のワックスは総ワックス類の5重量%以上を占めることはできない。 【0023】 本発明による組成物は、該組成物の最終的な重量に対して総計10〜60重量%、好ましくは15〜35重量%のワックスを含むのがよい。 【0024】 上記脂肪相は、オイル類のような他の脂肪成分をさらに含む。特に挙げることができるものとしては: *パラフィンオイルもしくは流動パラフィンのような鉱物オイル類、 *ペルヒドロスクアレンもしくはアララオイル(arara oil)のような動物性オイル類、 *スウィートアーモンド、カロフィラム(calophyllum)、パーム、ヒマシ、アボカド、ホホバ、オリーブもしくは穀物の胚芽オイルのような植物性オイル類、 *例えばラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸もしくはミリスチン酸のエステル類、 *オレイルアルコール、リノレイルもしくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールもしくはオクチルドデカノールのようなアルコール類、 *アルコールもしくはポリアルコールのアセチルグリセリド類、オクタン酸塩類、デカン酸塩類もしくはりシノール酸塩類がある。 【0025】 これらの脂肪成分は該組成物の40〜90重量%、好ましくは65〜85重量%を占めるとよい。 【0026】 既知のように、本発明の組成物にカーボンブラック、クロムもしくは鉄の酸化物類、ウルトラマリン類、ピロリン酸マンガン、鉄(III)青、二酸化チタン、着色顔料との混合物の形態で一般に用いられる真珠光沢剤、もしくは着色顔料との混合物の形態で一般に用いられるまたは化粧品産業において通常用いられる所定の有機着色剤のような粉状着色剤を加えてもよい。 【0027】 これらの着色剤は、0〜20%の量で存在するとよい。 【0028】 無機もしくは有機の粉状充填剤を加えることもまた可能であり、通常0〜40%の量であるとよい。 【0029】 これらの粉状充填剤は、タルク、雲母類、カオリン、亜鉛又はチタンの酸化物類、カルシウム又はマグネシウムの炭酸塩類、シリカ、球状二酸化チタン、ガラスもしくはセラミックビーズ類、8〜22の炭素原子を有するカルボン酸より誘導される金属石鹸類、非膨張性合成ポリマーパウダー類、橋かけ重合しているか否かに関わらず、膨張パウダー類及び穀物澱粉のような天然有機化合物類のパウダーより選択されるとよい。 【0030】 抗酸化剤、香料、防腐剤等の化粧品産業において従来より用いられているあらゆる添加剤、並びに、ビタミン誘導体、必須脂肪酸、スフィンゴセリル、脂肪溶解性サンスクリーン剤、抗炎症剤、油性植物油抽出物、脂肪溶解性ポリマー、及び/又はシリコーンオイル及び/又はジメチルポリシロキサンのようなガム等のような化粧用及び/又は製剤用活性剤を加えることができる。これらの添加剤は、0〜10重量%の量にて存在するのがよい。 【0031】 本発明の組成物を調製するためには、少なくとも本発明のワックスを含む、該組成物の様々な成分の少なくとも一部分を含むプレミックスをまず調製し、上記のワックスが少なくとも部分的に溶解する温度にてこのプレミックスを加熱し、適当な時点で構成成分の残りを加え、その後得られた混合物を、室温までの全冷却期間に渡って混練することができる。シェアリング領域(shearing regions)を創るために冷却の少なくとも一時期間混練する場合には、均一で滑らかなペーストの形態で組成物が得られる。この説明に束縛されなくとも、このような条件下で上記ワックスは純粋な結晶の形態にて結晶化するようであり、このことによれば該組成物がソフトペーストの形態を維持することが説明される。 【0032】 上記加熱操作は、いかなる既知の方法によって行ってもよい。上記混練操作は、例えば、逆方向に回転し、その間をペーストが通る2つのロールを組み合わせてあるロールミル中で行ってもよいし、もしくは、混合押し出し機(mixer-extruder)中で行っても、再現性のある形で、かなり一定の品質のペーストを得ることができる。さらにまた、上記混合押し出し機の出口の型を適合させることによって、上記型の出口でオンラインで該組成物を包装することも可能である。 【0033】 本発明の特定の実施形態においては、調合、加熱及び/又は混練/シェアリング、もしくはさらに冷却操作を、複数の、次々に連続して並べられた押し出し機、好ましくは単一のツイン・スクリュー押し出し機において行う。 【0034】 実際、押し出しの後に得られる本発明の組成物は、特別な滑らかさを有し、皮膚に適用した際に、油っぽい脂肪の外観と感触とを避けながらかなりの滑らかな感触を与えるものである。 【0035】 押し出しが行われる条件は、その内容を参照して本願にも取り込む特許出願FR 94-00756に記載されている。 【0036】 このように、例えばリップスティック等のメークアップ製品として、もしくは手入れ用製品として皮膚及び/又は唇に適用することのできる、局所への使用のための組成物が得られる。 【0037】 該組成物はソフトペーストの形態である;この組成物の粘度を測定することもできる。例えばスティックの形態の組成物に関しては、この限りではない。25℃での動的粘度は、MS-R4移動体を取り付けたCONTRAVES TV回転粘度計を用いて60Hzの周波数にて測定し、好ましくは3〜35Pa・sである。 【0038】 本発明は、以下の実施例に詳細に説明されている。ここでのパーセンテージは重量%である。 粘度測定はMS-R4移動体を取り付けたContraves回転粘度計を用いて25℃にて行った。 ワックス類の溶解特性の測定は下記の条件下でDTA(示差熱分析)によって行った:25〜110℃に加熱、加熱速度1℃/分。 【0039】 【実施例】 実施例1:本発明による組成物 以下の組成を有するリップスティックを調製した: *流動パラフィン 22.5% *ラノリンオイル 23.5% *ラノリン酸イソプロピル 24% *微細結晶ワックス(Tisco社より “Tisco wax 88”の名で市販の無極性鉱物ワックス) 20% *充填剤(酸化チタン、雲母) 3.5% *顔料 6・5% 【0040】 これらの様々な成分を約100℃にて混合し、混合物をツインスクリュー押し出し機の上部より導入した。 下記の条件下で押し出しを行った: *入り口温度:100℃ *出口温度:30℃ *滞留時間:約3分間 *回転速度:350回/分 【0041】 出口に、単一の安定し均一な相の形態で与えられ、その適用のためにはブラシを用いて収集することのできるソフトペーストが得られた。 【0042】 適用の後、このペーストは滑らかさ及びのびの良さに関して充分な品質をもつと認められ、油っぽい手触りは有していなかった。 【0043】 25℃及び47℃にて6ヶ月保存した後、下記の粘度値が得られた: *25℃にて保存:90ポアズ(9Pa.s) *47℃にて保存:92ポアズ(9.2Pa.s) 【0044】 このようにして本発明の組成物は、室温での保存もしくは高温での保存の後も実際のところ同様の粘度を維持することが観察された。 【0045】 47℃にて6ヶ月間保存した後、ペーストの外観は変化せず、皮膚に適用するために依然としてブラシで収集することが可能である。この組成物中に用いられるワックスは、溶融開始時の温度が65〜75℃程度であり、融点は約91〜93℃であった。 【0046】 実施例2:比較例 以下の組成を有するリップスティックを調製した: *流動パラフィン 22.5% *ラノリンオイル 23.5% *ラノリン酸イソプロピル 24% *微細結晶ワックス(RMS社より “Feruwax 30540”の名で市販の無極性鉱物ワックス) 20% *充填剤(酸化チタン、雲母) 3.5% *顔料 6.5% 【0047】 該リップスティックは実施例1と同様の方法で調製し、ブラシを用いて収集することのできるソフトペーストもまた得られた。 【0048】 2ヶ月の保存の後、下記の粘度値が得られた: *25℃にて保存:80ポアズ(8Pa.s) *47℃にて保存:175ポアズ(17.5Pa.s) 【0049】 このように47℃にて2ヶ月保存したのみで、もはやアプリケーターから出てこない高粘度の組成物が得られた。用いたワックスは、約69〜71℃の融点を有するが、溶融開始時の温度が45〜46℃程度である。 【0050】 このように、組成物の粘度を一定に保ち、これにより適切な化粧品特性をもつことを可能にするためには、融点が保存温度のオーダーであるワックスを選択することだけでは、それ自体十分でない。 |
訂正の要旨 |
▲1▼訂正事項a 特許明細書の特許請求の範囲の請求項12に係る記載 「【請求項12】 請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の製法であって、ワックスを含む該組成物の成分を、ワックス類の少なくとも一部が溶解する温度に加熱し、適切な時点で残りの成分を加えた後、得られた混合物を室温までの冷却の間混合する製法。」 を 「【請求項12】 請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の製法であって、ワックスを含む該組成物の成分を、ワックス類の少なくとも一部が溶解する温度に加熱し、適切な時点で残りの成分を加えた後、得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練する製法。」 と訂正する。 ▲2▼訂正事項b 特許明細書の特許請求の範囲の請求項13に係る記載 「【請求項13】 混合操作を、ロールミルもしくは押し出し機で行なう請求項12に記載の方法。」 を 「【請求項13】 混練操作を、ロールミルもしくは押し出し機で行なう請求項12に記載の方法。」 と訂正する。 ▲3▼訂正事項c 特許明細書の特許請求の範囲の請求項14に係る記載 「【請求項14】 調合、加熱及び/又は混合操作を、連続して交互に配設した押し出し機で行う請求項12又は13に記載の製法。」 を 「【請求項14】 調合、加熱及ぴ/又は混練操作を、連続して交互に配設した押し出し機で行う請求項12又は13に記載の製法。」 と訂正する。 ▲4▼訂正事項d 特許明細書の特許請求の範囲の請求項15に係る記載 「【請求項15】 調合、加熱及び混合を、単一のツインスクリュー押し出し機において行なう請求項12から14のいずれか1項に記載の製法。」 を 「【請求項15】 調合、加熱及び混練を、単一のツインスクリュー押し出し機において行なう請求項12から14のいずれか1項に記載の製法。」 と訂正する。 ▲5▼訂正事項e 特許明細書の【0031】の記載 「【0031】本発明の組成物を調製するためには、少なくとも本発明のワックスを含む、該組成物の様々な成分の少なくとも一部分を含むプレミックスをまず調製し、上記のワックスが少なくとも部分的に溶解する温度にてこのプレミックスを加熱し、適当な時点で構成成分の残りを加え、その後得られた混合物を、室温にまで冷却する少なくとも一時期間混合することができる。シェアリング領域(shearing regions)を創るために冷却の少なくとも一時期間混合する場合には、均一で滑らかなペーストの形態で組成物が得られる。この説明に束縛されなくとも、このような条件下で上記ワックスは純粋な結晶の形態にて結晶化するようであり、このことによれば該組成物がソフトペーストの形態を維持することが説明される。」 を 「【0031】本発明の組成物を調製するためには、少なくとも本発明のワックスを含む、該組成物の様々な成分の少なくとも一部分を含むプレミックスをまず調製し、上記のワックスが少なくとも部分的に溶解する温度にてこのプレミックスを加熱し、適当な時点で構成成分の残りを加え、その後得られた混合物を、室温までの全冷却期間に渡って混練することができる。シェアリング領域(shearing regions)を創るために冷却の少なくとも一時期間混練する場合には、均一で滑らかなペーストの形態で組成物が得られる。この説明に束縛されなくとも、このような条件下で上記ワックスは純粋な結晶の形態にて結晶化するようであり、このことによれば該組成物がソフトペーストの形態を維持することが説明される。」 と訂正する。 ▲6▼訂正事項f 特許明細書の【0032】の記載 「【0032】上記加熱操作は、いかなる既知の方法によって行ってもよい。上記混合操作は、例えば、逆方向に回転し、その間をペーストが通る2つのロールを組み合わせてあるロールミル中で行ってもよいし、もしくは、混合押し出し機(mixer-extruder)中で行っても、再現性のある形で、かなり一定の品質のペーストを得ることができる。さらにまた、上記混合押し出し機の出口の型を適合させることによって、上記型の出口でオンラインで該組成物を包装することも可能である。」 を 「【0032】上記加熱操作は、いかなる既知の方法によって行ってもよい。上記混練操作は、例えば、逆方向に回転し、その間をペーストが通る2つのロールを組み合わせてあるロールミル中で行ってもよいし、もしくは、混合押し出し機(mixer-extruder)中で行っても、再現性のある形で、かなり一定の品質のペーストを得ることができる。さらにまた、上記混合押し出し機の出口の型を適合させることによって、上記型の出口でオンラインで該組成物を包装することも可能である。」 と訂正する。 ▲7▼訂正事項g 特許明細書の【0033】の記載 「【0033】本発明の特定の実施形態においては、調合、加熱及び/又は混合/シェアリング、もしくはさらに冷却操作を、複数の、次々に連続して並べられた押し出し機、好ましくは単一のツイン・スクリュー押し出し機において行う。」 を 「【0033】本発明の特定の実施形態においては、調合、加熱及び/又は混練/シェアリング、もしくはさらに冷却操作を、複数の、次々に連続して並べられた押し出し機、好ましくは単一のツイン・スクリュー押し出し機において行う。」 と訂正する。 ▲8▼訂正事項h 特許明細書の【0010】の記載 「【0010】本発明の別の主題は、このような化粧品組成物の製法であって、これは、ワックス類を含む組成物の様々な構成成分の少なくとも一部分をワックス類が少なくとも部分的に溶解する温度にまで加熱し、構成成分の残りを適切な時点で加えた後得られた混合物を少なくとも冷却の間の一時期間混合するものである。」 を 「【0010】本発明の別の主題は、このような化粧品組成物の製法であって、これは、ワックス類を含む組成物の様々な構成成分の少なくとも一部分をワックス類が少なくとも部分的に溶解する温度にまで加熱し、構成成分の残りを適切な時点で加えた後得られた混合物を室温までの全冷却期間に渡って混練するものである。」と訂正する。 ▲9▼訂正事項i 特許明細書の【0009】の記載 「【0009】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の一つの主題は、ソフトペーストの形態で与えられ、複数のワックスが存在する脂肪相を含む化粧用組成物であって、上記ワックスの少なくとも95%の溶融開始時の温度が50℃以上であることを特徴とする組成物である。」 を 「【0009】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の一つの主題は、無水のソフトペーストの形態で供される化粧品組成物であって、複数のワックスを15から35重量%含有し、前記ワックスの少なくとも95%が、溶角開始時の温度が50℃以上のワックスであり、該組成物が、室温までの全冷却期間に渡って組成物全成分を混練する段階を含む方法によって得られ、25℃において3から35Pa・sの経時的な粘度定数を有することを特徴とする組成物である。」 と訂正する。 |
異議決定日 | 2001-03-09 |
出願番号 | 特願平7-343783 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A61K)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 冨永 保 |
特許庁審判長 |
吉村 康男 |
特許庁審判官 |
大久保 元浩 谷口 浩行 |
登録日 | 2000-02-25 |
登録番号 | 特許第3037126号(P3037126) |
権利者 | ロレアル |
発明の名称 | ソフトペーストの形態をとる化粧用組成物及びその製法 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 志賀 正武 |