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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B09B
管理番号 1044920
異議申立番号 異議2000-72995  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-04-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-03 
確定日 2001-05-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3006365号「厨芥処理機」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3006365号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3006365号は、平成5年9月22日(優先権主張平成5年7月30日)に特許出願され、平成11年11月26日にその特許の設定登録がなされ、その後、野口昭仁及び武藤稔から特許異議の申立てがあり、取消理由が通知されたところ、その指定期間内である平成13年2月2日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否について
(1)訂正の内容
本件訂正請求書における訂正の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。すなわち、
訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1中の「攪拌ファンを備えた」を「攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させる」と訂正する。
訂正事項b 明細書の段落0006の「攪拌ファンを備えた」を「攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させる」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、本件明細書の段落0029の記載に基づいて、厨芥ごみの乾燥を加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により促進させるものに限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
上記訂正事項bは、特許請求の範囲の減縮を目的とする上記訂正事項aの訂正に伴うものであり、減縮された請求項1の記載と明細書の記載とを整合させるためにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
また、上記訂正a〜bは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)まとめ
以上のとおり、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する同第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件の請求項1ないし11に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】厨芥ごみを収納する厨芥ごみ収納容器と、この厨芥ごみを加熱するヒータと、前記厨芥ごみ収納容器を内部に装着する外容器と、前記厨芥ごみ収納容器上方に配され、前記厨芥ごみ表面側に吹き付ける空気流を発生させる攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記撹拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させる厨芥処理機。
【請求項2】厨芥ごみ収納容器の上方を覆う蓋を備え、前記蓋に撹拌ファンを設けた請求項1記載の厨芥処理機。
【請求項3】外容器を金属で形成してなる請求項1または2記載の厨芥処理
機。
【請求項4】厨芥ごみゴミ収納容器と外容器の間で水蒸気を凝縮させる凝縮
手段を形成してなる請求項1または2記載の厨芥処理機。
【請求項5】厨芥ごみ収納容器を断熱部材で構成した請求項3または4記載
の厨芥処理機。
【請求項6】断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成した請求項5記載の
厨芥処理機。
【請求項7】厨芥ごみ収納容器を保持する保持容器を外容器と厨芥ごみ収納
容器の間に配置した請求項1〜6のいずれか1項に記載の厨芥処理機。
【請求項8】保持容器を断熱部材で構成した請求項7記載の厨芥処理機。
【請求項9】保持容器の断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成した請求
項8記載の厨芥処理機。
【請求項10】外容器の外周部を冷却する手段を有する請求項1〜9のいず
れか1項に記載の厨芥処理機。
【請求項11】外容器で生成した凝縮水を収納する凝縮水容器と厨芥ごみ加
熱中に発生した臭気成分を浄化する触媒反応器を設け、前記外容器と加熱手段とはパッキンを介して密閉構成にするとともに、前記外容器と前記凝縮水容器とを密閉接続しかつ前記臭気成分は前記触媒反応器を通してのみ外気に解放する構成とした請求項1〜10のいずれか1項に記載の厨芥処理機。」
(2)申立ての理由の概要
特許異議申立人野口昭仁(以下「申立人A」という)は、証拠方法として甲第1号証(特開平5-177182号公報)、甲第2号証(特開平5-138144号公報)、甲第3号証(特開平5-132104号公報)を提出し、請求項1ないし11に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから取り消されるべきものである旨主張し、特許異議申立人武藤稔(以下「申立人B」という)は、証拠方法として甲第1号証(特開平5-96271号公報)、甲第2号証(特開平5-23655号公報)、甲第3号証(実願平1-12809号(実開平2-103692号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特開平5-24601号公報)を提出し、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから取り消されるべきものである旨主張している。
(3)甲各号証の記載内容
申立人Aが提出した、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平5-177182号公報)には、以下の事項が記載されている。
(a)「1は外装の一部を兼用する断熱性の生ごみ収容器であり、その内部に収容した生ごみを加熱するための加熱器としてヒータ2aを納めたヒータブロック2をその中に設けている。」(第3欄第6〜9行)
(b)「3はごみ容器であり生ごみ収容器1から着脱自在として使い勝手を
良くしているが、ヒータブロック2内に直接生ごみを投入して処理することも可能である。4は生ごみあるいはごみ容器3を出し入れするための蓋であり、この蓋4を含めて全体を断熱構成することが肝要である。」(第3欄第22〜27行)
(c)「この加熱乾燥処理中において、生ごみ中の水分が十分多いときには温度検知器による検知温度は水の沸点である100℃にほぼ一致する。しかし、水分が少なくなってくると沸点上昇等により検知温度の上昇が始まる。この状態を検知することによって処理を終了する。また、加熱温度が高すぎると加熱中に生ごみの熱分解が促進されて有機成分の飛散が多くなり、凝縮水中に有機成分を多く混入するようになる。これは下水の有機処理負荷を増大することになるので避ける必要がある。したがって加熱温度は水の沸点よりやや高い値(おおよそ100〜130℃の範囲)に設定することが望ましい。」(第4欄第41行〜第5欄第29行)
(d)「本件発明は上記のように極めて簡単な構成で、生ごみを効率的にかつ無公害で乾燥減量化処理することができ、操作性の良い、設置性に優れた生ごみ処理装置を提供することを可能とするものである。その結果、生ごみの保管中の腐敗、悪臭発生を防止し、また重量を減少させることで収集場所までの運搬労働を軽減し、運搬中の水分漏れをなくして二次的臭気発生を防止し、ごみの減量化に寄与する等様々な効果を生み出すものである。」(第7欄第13行〜第8欄第4行)
同じく、甲第2号証(特開平5-138144号公報)には以下の事項が記載されている。
(e)「本発明は、含水率の大きい生ごみ等の廃棄物を乾燥処理或は発酵処理して、粉粒化する廃棄物処理に関する。」(第1欄第16〜18行)
(f)「【0012】収容槽1及び熱風通路4の周囲は断熱材を入れた断熱壁によって包囲され、収容槽1内の上部には、その正面側から加熱器6が挿入されるように設置される。加熱器6の加熱源としてはガス等の燃焼バーナが使用されるが、電気ヒータを使用することもできる。…(中略)…【0014】収容槽1の背面側には、熱風通路4と収容槽内上部の遠赤外線放射多孔板7内部を蓮通するようにダクト5が接続され.さらに、その背面上部にブロワ8が接続配置される。【0015】即ち、ブロワ8の吐出側が収容槽内上部に設けた孔9に接続され、ブロワ8の吸気側はダクト10を介して前述の熱風通路4の他端に連通接続される。収容槽内上部における孔9の側部には、下側に向けた細長い吹出し口を持つ熱風吹出ノズル11が水平に取付けられる。この熱風吹出ノズル11の表面にも、加熱時に遠赤外線を放射するセラミックコーティングが施される。【0016】したがって、ブロワ8の運転により、収容槽上部の空気は吸引されて遠赤外線放射多孔板7内に流入し、加熱器6によって加熱された熱気は、ダクト5を通して熱風通路4に入り、収容槽底部を加熱した後,ダクト10を通してブロワ8の入り、孔9を通して熱風吹出ノズル11から収容槽1内に吹出される。一方、排気ダクト12が正面側の収容槽1上部に接続される。」(第2欄第39行〜第3欄第17行)
(g)「加熱器6の運転により、収容槽1上部の遠赤外線放射多孔板7の内側に発生した熱気は、ダクト5を介して熱風通路4に導かれ、さらにダクト10を通してブロワ8に戻り、収容槽上部の熱気吹出ノズル11から熱気が槽内に吹出され、熱気は装置内を循環される。同時に排気ダクト12から排気が行われる。」(第4欄第6〜11行)
同じく、甲第3号証(特開平5-132104号公報)には以下の事項が記載されている。
(h)「図1は、本発明によるごみ収納器で、内部に上方が開口した樹脂製の容器7を格納した外箱8の直上には、一端をちょうつがいで外箱8に接続された開閉自在の扉9があり、扉9の容器7の関口部に対応する面には、パンチング板等からなる吸気口10と排気口11が設けられ、吸気口I0と排気口11の間は連通した空気通路12となっている。さらに空気通路12内には、空気流の上流側からオゾン分解触媒13、ファン14,およびオゾナイザ15が順次設けられている。…(中略)…生ごみ等が容器7内に投入されると、ファン14とオゾナイザ15が作動し、オゾンエアが排気口11から容器7内に注入され、容器7内の生ごみに直接接触し、雰囲気を脱臭するだけでなく殺菌を行って、腐敗を抑制する。また、容器7内の空気は、吸気□10から再び空気通路12内に還流されて、オゾン分解触媒13で残留オゾンを分解したのち、ファン14を通じてオゾナイザ15に至り、新たなオゾンエアとして容器7内に戻る循環をする。」(第2欄第20〜43行)
申立人Bが提出した、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平5-96271号公報)には、以下の事項が記載されている。
(i)第1図には本発明の第一手段の実施例における厨芥処理機の断面図が記載され、本体外カバー33の内部に厨芥乾燥室11を設け、厨芥乾燥室11の上方を蓋32により覆い、厨芥乾燥室11に連結した循環経路の途中に送風装置25とヒータ23とを設けることが図示されている。
(j)「11は使用者が厨芥を投入する厨芥乾燥室で、内底部に投入された厨芥を攪拌する撹拌手段12を、また側面には乾燥後の厨芥を排出する排出口14を、また熱風が吹き出される吹き出し口15と、外気を吸気する吸気口16とを有している。…(中略)…25は循環空気を供給する送風装置である。…(中略)…前記吸気口16・送風装置25・凝縮装置24・脱臭装置20・吹き出し口15間は、各々循環経路29a,29b,29cで連結された閉ループを構成している。」(段落【0018】)
(k)「厨芥乾燥室に投入された厨芥は攪拌手段で攪拌されながら、脱臭装置のヒータと送風装置によって厨芥乾燥室に送られた熱風によって加熱乾燥される。」(段落【0014】)
同じく、甲第2号証(特開平5-23655号公報)には以下の事項が記載されている。
(l)「本発明は上記問題を解決するもので、プラスチック廃棄物等の熱変形しやすいごみを発生した場所で衛生的に高速減容するとともに、リサイクルの経済性を向上することができるごみ処理装置を提供することを目的としている。」(段落【0006】)
(m)「PBT等の耐熱性のフィルムで作られた袋体1は、その開□部laが有底筒状の外容器2の内方に突出するフランジ2aに吊止されて外容器2に着脱自在に内装されている。有底筒状のごみ容器3は、袋体1の開□部1aを挟んで外容器2のフランジ2aに吊支されて袋体1に着脱自在に内装されている。そして、ごみ容器3と袋体1の間には密閉空間4が形成されている。ごみ容器3の底部には、ごみ容器3内と密閉空間4とを連通する第1の通気孔5が設けられ、また、上部には密閉空間4外に連通する第2の通気孔6が設けられている。【0011】ごみ容器3の開口部には、この開口部を覆う蓋体7が開閉自在に支柱8に蝶着されている。蓋体7は下面板7aと覆い板7bとで形成され、下面板7aには、ごみ容器3内へ熱風を吐出する吐出孔9とごみ容器3の第2通気孔6に連通する吸気孔10が設けられ、吐出孔9と吐出孔10とは通気路11で連通されている。この通気路11内には送風機12とその下流側に配設されたヒータ13とからなり、熱風を吐出孔9から送出する熱風送出手段14が配設されている。15は蓋体7に設けられ吸気孔10と第2の通気孔6とを気密に蓮適するパッキングである。」(段落【0010】〜【0011】)
(n)「熱風の温度はプラスチックが軟化し、しかも分解量の少ない120℃から150℃の範囲になるように温度制御手段17により制御されている。」(段落【0014】)
同じく、甲第3号証(実願平1-12809号(実開平2-103692号)のマイクロフィルム)には以下の事項が記載されている。
(o)「この考案の乾燥装置は、第1国に示すように、乾燥庫1の天井部2内に設置した送風機3の作動により外気導人口4からエアフィルタ5を介して吸引された外気Aを加熱ヒータ6で加熱し、この加熱された暖気Bを前記乾燥庫1内に臨ませた吐出口7から吐出させるとともに、前記乾燥庫1の下部に設けた排気口8から排気させるにおいて、前記送風機3を、第2図及び第3図に示すように、外気Aを吸引する第1の吸気□31と、前記乾燥庫1内の暖気Bを吸引する第2の吸気口32とを有する両吸込型ファンで構成し、これら第1及び第2の吸気口31、32から同時に吸引される外気A及び暖気Bを、前記加熱ヒータ6で加熱して一つの吐出口7から前記乾燥庫1内
に吐出させてなる構成としたものである。」(第5頁第9行〜第6頁第4行)
同じく、甲第4号証(特開平5-24601号公報)には以下の事項が記載されている。
(p)「本発明は廃棄物処理装置に関し、特に生ごみ、紙類ごみ、プラスチック類ごみなどの廃棄物を処理する廃棄物処理装置に関する。」(第1欄第46〜48行)
(q)「本発明の廃棄物処理装置は、廃棄物を収納する廃棄物収納容器と、廃棄物収納容器の外側に位置する凝縮容器とを内部に設けた処理室と、処理室に設けたマイクロ波発振器からのマイクロ波を導入するマイクロ波導入孔と、送風ファンからの空気を流入させる空気流入孔と、空気を流出させる空気流出孔と、処理室扉と、廃棄物収納容器に設けた廃棄物から発生する水蒸気を流出させる通気孔と、凝縮容器の下部に設けた凝縮水流出孔とを具備した構成としたものである。」(第2欄第31〜39行)
(r)「凝縮容器3をマイクロ波反射材(金属)で形成する」(第4欄第44〜45行)
(4)対比・判断
(4)-A 申立人Aの主張について
甲第1号証には、上記(3)(a)〜(d)の記載から「生ごみを収納するごみ容器と、この生ごみを加熱するヒータと、前記ごみ容器を内部に装着する生ごみ収容器とを備え、ヒータにより生ごみの加熱乾燥処理を行う生ごみ処理装置」が記載されているといえる。
本件請求項1に係る発明(以下「請1発明」という)と甲第1号証に記載の発明(以下「甲1発明」という)とを対比すると、甲1発明の「生ごみ」は請1発明の「厨芥ごみ」、同じく「ごみ容器」は「厨芥ごみ収納容器」、「生ごみ収容器」は「外容器」、「生ごみ処理装置」は「厨芥処理機」に、それぞれ相当するため、両者は、「厨芥ごみを収納する厨芥ごみ収納容器と、この厨芥ごみを加熱するヒータと、前記厨芥ごみ収納容器を内部に装着する外容器とを備え、加熱手段による加熱により前記厨芥ごみを乾燥させる厨芥処理機。」である点で一致し、以下の点で相違している。
(イ)請1発明はヒータおよび厨芥ごみ収納容器上方に配され、厨芥ごみ表面側に吹き付ける空気流を発生させる攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させるのに対し、甲1発明は攪拌ファンは備えられていなく、ヒータによる加熱で厨芥ごみを乾燥し、過熱蒸気の使用については特定されていない点。
上記相違点(イ)について検討する。
請1発明の「加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させる」とは、厨芥ごみ収納容器と蓋との隙間を小さくし、水蒸気や過熱蒸気が逃げにくい状態で加熱し、厨芥ごみから発生した水蒸気は逃げにくいので、さらに熱を得て過熱蒸気となり、この過熱蒸気は攪拌ファンにより厨芥ごみの表面に吹き付けられて乾燥を促進させるものと解される。然るに、甲第1号証には加熱温度は水の沸点よりやや高い値(おおよそ100〜130℃の範囲)に設定することが望ましいと記載されているものの、水蒸気や過熱蒸気が逃げにくい状態で加熱することは記載されておらず、さらに、過熱蒸気を厨芥ごみの表面に吹き付けるファンを備えていないから、加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させているとはいえない。また、甲第2号証には、熱風と輻射熱とで生ごみ等を乾燥処理することは記載されているが、加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させることは記載ないし示唆されていない。さらに、甲第3号証には、ごみ収納器において、脱臭及び殺菌用のオゾンを循環させるためのファンを扉に設けることが記載されているのみである。そして、請1発明は、前記の点により、乾燥を促進させ、効果的に乾燥を行うことができるという効果を奏するものである。
したがって、請1発明が甲1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
請求項2ないし11に係る発明は、請求項1に係る発明を引用する形式で記載されており、請求項1に記載された要件に加えて、更に別の要件を付加するものであるから、上記したように、請求項1に係る発明が、甲1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、請求項2ないし11に係る発明も、同じ理由により、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
(4)-B 申立人Bの主張について
甲第1号証には、上記(3)(i)〜(k)の記載から「厨芥を収納する厨芥乾燥室と、循環空気を加熱するヒータと、送風装置と、前記厨芥乾燥室を内部に装着する本体外カバーとを備え、ヒータで加熱された熱風を送風装置で厨芥表面に吹き付けて乾燥処理を行う厨芥処理機」が記載されているといえる。
本件請求項1に係る発明(以下「請1発明」という)と甲第1号証に記載の発明(以下「甲1発明」という)とを対比すると、甲1発明の「厨芥」は請1発明の「厨芥ごみ」、同じく「厨芥乾燥室」は「厨芥ごみ収納容器」、「本体外カバー」は「外容器」に、それぞれ相当するため、両者は、「厨芥ごみを収納する厨芥ごみ収納容器と、ヒータと、前記厨芥ごみ収納容器を内部に装着する外容器とを備え、空気流を厨芥ごみ表面側に吹き付けながら厨芥ごみを乾燥させる厨芥処理機。」である点で一致し、以下の点で相違している。
(イ)請1発明はヒータで厨芥ごみを加熱するのに対し、甲1発明はヒータで循環空気を加熱している点。
(ロ)請1発明は厨芥ごみ表面側に吹き付ける空気流を発生させる攪拌ファンが厨芥ごみ収納容器上方に配されているのに対し、甲1発明は空気の循環経路の途中に送風装置を設けている点。
(ハ)請1発明はヒータおよび攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させるのに対し、甲1発明はヒータで加熱された熱風のみで厨芥ごみを乾燥している点。
上記相違点のうち相違点(ハ)に着目して甲2ないし4号証について検討する。
請1発明の「加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させる」とは、上記(4)-Aに記載したとおりに解される。然るに、甲第2号証には熱風の温度を120℃から150℃の範囲になるように温度制御して、プラスチック廃棄物等のごみに吹き付けて高速減容することが記載されているが、加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させることは記載ないし示唆されていない。また、甲第3号証には加熱ヒータで加熱した暖気を両吸込型ファンで構成した送風機で乾燥庫内に吐出することが記載されているが、加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させることは記載ないし示唆されていない。また、甲第4号証には生ごみなどの廃棄物の乾燥処理装置において、凝縮容器を金属で形成することは記載されているが、加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により厨芥ごみの乾燥を促進させることは記載ないし示唆されていない。そして、請1発明は、前記の点により、乾燥を促進させ、効果的に乾燥を行うことができるという効果を奏するものである。
したがって、請1発明が甲1ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
請求項2ないし3に係る発明は、請求項1に係る発明を引用する形式で記載されており、請求項1に記載された要件に加えて、更に別の要件を付加するものであるから、上記したように、請求項1に係る発明が、甲1ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、請求項2ないし3に係る発明も、同じ理由により、甲第1ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
4.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1ないし11に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1ないし11に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
厨芥処理機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 厨芥ごみを収納する厨芥ごみ収納容器と、この厨芥ごみを加熱するヒータと、前記厨芥ごみ収納容器を内部に装着する外容器と、前記厨芥ごみ収納容器上方に配され、前記厨芥ごみ表面側に吹き付ける空気流を発生させる攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させる厨芥処理機。
【請求項2】 厨芥ごみ収納容器の上方を覆う蓋を備え、前記蓋に攪拌ファンを設けた請求項1記載の厨芥処理機。
【請求項3】 外容器を金属で形成してなる請求項1または2記載の厨芥処理機。
【請求項4】 厨芥ごみゴミ収納容器と外容器の間で水蒸気を凝縮させる凝縮手段を形成してなる請求項1または2記載の厨芥処理機。
【請求項5】 厨芥ごみ収納容器を断熱部材で構成した請求項3または4記載の厨芥処理機。
【請求項6】 断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成した請求項5記載の厨芥処理機。
【請求項7】 厨芥ごみ収納容器を保持する保持容器を外容器と厨芥ごみ収納容器の間に配置した請求項1〜6のいずれか1項に記載の厨芥処理機。
【請求項8】 保持容器を断熱部材で構成した請求項7記載の厨芥処理機。
【請求項9】 保持容器の断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成した請求項8記載の厨芥処理機。
【請求項10】 外容器の外周部を冷却する手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の厨芥処理機。
【請求項11】 外容器で生成した凝縮水を収納する凝縮水容器と厨芥ごみ加熱中に発生した臭気成分を浄化する触媒反応器を設け、前記外容器と加熱手段とはパッキンを介して密閉構成にするとともに、前記外容器と前記凝縮水容器とを密閉接続しかつ前記臭気成分は前記触媒反応器を通してのみ外気に解放する構成とした請求項1〜10のいずれか1項に記載の厨芥処理機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、台所等で発生する残菜、残飯、生ごみ等の厨芥ごみを処理する厨芥処理機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の生ごみ処理機としては、生ごみを粉砕して下水へ流すディスポーザーや生ごみを粉砕、脱水して回収する生ごみ脱水機がある。ディスポーザーは、下水処理施設のない地域では河川を汚し、環境汚染の原因になる。一方、生ごみ脱水機は、脱水した生ごみを回収するので直接には環境汚染の原因にはならないが、回収した生ごみは放置しておくと腐敗しやすく悪臭を発生する。そのために脱水回収した生ごみを低温で保管したり、頻繁に公共のごみ収集場所へ出して、処理しなければならないなど環境汚染の原因になったり、処理機で処理した後の処理が手間がかかるという問題を有していた。
【0003】
この問題を解決するため生ごみを粉砕焼却することにより、元の体積、重量を低減するとともに腐敗を防ぎ、後処理に手間の掛からない生ごみ処理機が考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この粉砕焼却タイプの生ごみ処理機は、大電力を消費すると同時に高価なものであった。
【0005】
本発明は、厨芥処理機を安価に構成して提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、厨芥ごみを収納する厨芥ごみ収納容器と、この厨芥ごみを加熱するヒータと、前記厨芥ごみ収納容器を内部に装着する外容器と、前記厨芥ごみ収納容器上方に配され、前記厨芥ごみ表面側に吹き付ける空気流を発生させる攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、厨芥ごみ収納容器の上方を覆う蓋を備え、前記蓋に攪拌ファンを設けたもので、また、本発明の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、外容器を金属で形成したものである。
【0008】
また、本発明の請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、厨芥ごみ収納容器と前記外容器の間で水蒸気を凝縮させる凝縮手段を形成して構成したものである。
【0009】
また、本発明の請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の発明において、厨芥ごみ収納容器を断熱部材で構成したものである。
【0010】
また、本発明の請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成したものである。
【0011】
また、本発明の請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、厨芥ごみ収納容器を保持する保持容器を外容器と厨芥ごみ収納容器の間に配置したものである。
【0012】
また、本発明の請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、保持容器を断熱部材で構成したものである。
【0013】
また、本発明の請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、保持容器の断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成したものである。
【0014】
また、本発明の請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、外容器の外周部を冷却する手段を有する構成にしたものである。
【0015】
また、本発明の請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発明において、外容器で生成した凝縮水を収納する凝縮水容器と厨芥ごみ加熱中に発生した臭気成分を浄化する触媒反応器を設け、前記外容器と加熱手段とはパッキンを介して密閉構成にするとともに、前記外容器と前記凝縮水容器とを密閉接続しかつ前記臭気成分は前記触媒反応器を通してのみ外気に解放する構成としたものである。
【0016】
【作用】
本発明の請求項1記載の発明により、厨芥ごみ収納容器に投入された厨芥ごみは、ヒータで厨芥ごみを加熱する。熱を得て厨芥ごみから水分が蒸発する。攪拌ファンは厨芥ごみ表面側に吹き付ける空気流を発生するので、厨芥ごみ上方の暖められた空気を厨芥ごみ表面側に送り込む。ヒータによる加熱に加えて攪拌ファンによる空気の吹き付けで厨芥ごみの乾燥が進行する。
【0017】
また、本発明の請求項2記載の発明では、厨芥ごみ収納容器の上方を覆う蓋を備え、前記蓋に攪拌ファンを設けたものである。また、本発明の請求項3記載の発明により、厨芥ごみ収納容器に投入された厨芥ごみは、加熱手段によって加熱乾燥される。そして厨芥ごみからの水蒸気は厨芥ごみ収納容器と外側の外容器との間を通過する。この際外表面が外気に曝されている外容器の温度が厨芥ごみから発生する水蒸気の温度より低いため、前記水蒸気が外容器の内壁に結露し、外容器の下部に回収することができる。
【0018】
また、本発明の請求項4記載の発明により、厨芥ごみからの水蒸気は厨芥ごみ収納容器と外側の外容器との間を同じように通過するが、この通過域が凝縮部となって水蒸気から水に凝縮される。
【0019】
また、本発明の請求項5記載の発明により、前記厨芥ごみ収納容器を断熱部材で形成したので、厨芥ごみと共に加熱される厨芥ごみ収納容器の内部と凝縮側との断熱効果が増し加熱と凝縮の両効果を簡単に向上させることができる。
【0020】
また、本発明の請求項6記載の発明により、前記断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成したので、極めて安価な構成で前記同様に加熱と凝縮効果をより向上させることができる。
【0021】
また、本発明の請求項7記載の発明により、前記厨芥ごみ収納容器を保持する保持容器を外容器と厨芥ごみ収納容器の間に配置したため、厨芥ごみ収納容器と外容器間の断熱効果が増し簡単な構成で一層加熱と凝縮効果を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の請求項8記載の発明により、前記保持容器を断熱部材で構成したので断熱効果が増し同様に加熱と凝縮効果をより一層向上させることができる。
【0023】
また、本発明の請求項9記載の発明は、前記保持容器の断熱部材を空気層を有する二重の壁で構成したので断熱効果が一層増し、加熱と凝縮効果をさらに一層向上させることができる。
【0024】
また、本発明の請求項10記載の発明により、前記外容器の外周部を冷却する手段を有する構成としたので、一段と凝縮効果を向上させて加熱乾燥処理時間を早めることができる。
【0025】
また、本発明の請求項11記載の発明により、前記外容器の内部を密閉する構成にしたので、本体運転中に厨芥ごみから発生する臭気成分を洩らすことなく、触媒反応器で脱臭して排出することができ、厨芥ごみを快適に乾燥処理できる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0027】
図1において、1は厨芥ごみ収納容器で、この厨芥ごみ収納容器1内には厨芥ごみを粉砕、攪拌する手段として固定刃2、回転刃3を設けている。固定刃2は厨芥ごみ収納容器1の内壁に設けられ、回転刃3は厨芥ごみ収納容器1の底面から突き出した回転軸4に固定されている。この回転軸4は駆動モータ5、減速装置6を介した駆動軸7と係合されている。厨芥ごみ収納容器1の上方には厨芥ごみの加熱手段としてのヒータ8と攪拌ファン9を設けている。
【0028】
10はファンモータである。そして、加熱手段としてのヒータ8と攪拌ファン9で厨芥ごみの表面上部を加熱し、駆動モータ5によって回転刃3を回転駆動させるようにしている。また、厨芥ごみ収納容器1の外周側には外容器11を有している。外容器11の下部には凝縮水流出パイプ14を介して凝縮水容器16が接続されている。蓋19は外容器11の上部開口部11aを覆うようにかつパッキン21を介し係止手段20により外容器11の上部に固定されて密閉状態になるようにしている。
【0029】
以上のように構成された厨芥処理機について、その動作を説明する。厨芥ごみ収納容器1に投入された厨芥ごみは、加熱手段としてのヒータ8と攪拌ファン9で厨芥ごみの表面上部を加熱する。熱を得て厨芥ごみから水分が蒸発し、この蒸気はさらに熱を得て過熱蒸気となる。回転刃3の駆動と固定刃4とによる粉砕、攪拌が行われると水分を減少した厨芥ごみの表面上部がまだ多量の水分を含んだ内部と混ざって吸水し、以降順次表面上部と内部とが混ざりあわされ、加熱手段による加熱に加えて前記過熱蒸気とで厨芥ごみの乾燥が進行する。厨芥ごみから発生した臭気成分を含んだ水蒸気は、外容器11の上部が蓋19およびパッキン21で密閉されているため、内圧によって水蒸気が外容器11と厨芥ごみ収納容器1の間に流れ込み、外側表面が外気に曝されている外容器11の内壁に接触して冷却され凝縮する。そして凝縮された液は凝縮水流出パイプ14を通り凝縮水容器16に溜まる。
【0030】
また、第二の実施例は、図2に示されるように、厨芥ごみ収納容器1の外周側には外容器11を有し、外容器11と厨芥ごみ収納容器1との間で水蒸気を凝縮させる凝縮手段12を構成し、外容器11は送風ファン13によって冷却されるようにしている。凝縮手段12の下部には凝縮水流出パイプ14と連通した排気管15を設けている。さらに排気パイプ15の下流側には触媒反応器17を設け、出口を開放させている。なお18は厨芥処理機本体、19は蓋である。蓋19はヒンジ20で支持され、厨芥処理機本体18の上に開閉自在であって、閉成時はパッキン21を挟み込み、ラッチ22で蓋19と厨芥処理機本体18が固定されて密閉状態になるようにしている。23はラッチ22の開錠ボタンである。
【0031】
以上のように構成された厨芥処理機について、その動作を説明する。厨芥ごみから発生した臭気成分を含んだ水蒸気は、厨芥処理機本体18の上部が蓋19およびパッキン21で密閉されているため、内圧によって出口を開放させた触媒反応器17側へ向かい、まず凝縮手段12へ流入し、外容器11に接触して冷却されて凝縮し、凝縮手段12に接続した凝縮水流出パイプ14により排出され凝縮水容器16に溜まる。
【0032】
一方、凝縮しきれなかった臭気成分を含む水蒸気は排気パイプ15から触媒反応器17へ導かれ臭気成分は浄化される。粉砕、乾燥された厨芥ごみは、厨芥ごみ収納容器1に残るが、嵩が減っており、また、乾燥して水分活性が低下しているので、そのまま厨芥ごみ収納容器1内に入れていても、腐敗したりカビが発生することはない。したがって厨芥ごみ収納容器1が一杯になるまで、乾燥した生ごみの上に、次々生ごみを入れて乾燥処理することができる。そして、厨芥ごみ収納容器1に残った乾燥厨芥ごみと凝縮水容器16に溜まった凝縮水を定期的に回収、処理する。このように構成したため高価な真空断熱容器を不要とし、構造を簡素化した安価な構成の厨芥処理機を提供できる。
【0033】
また、第三の実施例は、前記厨芥ごみ収納容器1を合成樹脂等の熱伝導の少ない断熱部材によって構成したものである。これによって、厨芥ごみ収納容器1の断熱効果が増し上記した加熱と凝縮時の加熱効果および凝縮効果をより向上させることができ、また安価に構成することができる。
【0034】
次に、第四の実施例は、前記第三の実施例の断熱部材を、図4に示すように、空気層25を有する二重の壁で構成した断熱部材26としたものであり、これによってごみ収納容器の断熱効果がより一層増し、同様に加熱と凝縮の両効果をより一層向上させ、しかも単に空気層の二重壁の収納容器としているため安価に構成することができる。
【0035】
また、第五の実施例は、図4に示すように、第一又は、第二の実施例での厨芥ごみ収納容器1を保持容器27で保持するようにしたもので、保持容器27を外容器11と厨芥ごみ収納容器1の間に配置しており、このため断熱効果が増し、前記同様の加熱と凝縮効果を向上させ、しかも安価に構成することができる。
【0036】
また、第六の実施例は、第五の実施例での保持容器27を、図4に示す合成樹脂等の熱伝導の少ない断熱部材28で構成したものであり、同様の加熱と凝縮効果を一層向上させ、安価に構成することができる。
【0037】
また、第七の実施例は、第六の実施例での断熱部材28を、図5に示すように空気層29を有する二重の壁で構成した断熱部材30としたものであり、これによって厨芥ごみ収納容器1と断熱部材30による断熱効果がより一層向上し、加熱と凝縮効果をさらに一層向上させ、しかも安価に構成することができる。
【0038】
また、第八の実施例は、前述の図2で示した送風ファン13を配置して凝縮手段12を構成する外容器11を送風冷却するようにしたもので、一段と凝縮効果を向上させて加熱乾燥処理時間を早めることができる。
【0039】
また、第九の実施例は、前述の図2に示したように、外容器11内と厨芥ごみを加熱する加熱手段部とはパッキン21により密閉構造とし、かつ外容器11内で生成された凝縮水を収納する凝縮水容器16とは密閉接続とし、処理時に発生する臭気成分は触媒反応器17を通してのみ外気に開放する構成としたもので、厨芥ごみから発生する臭気成分を洩らすことなく、触媒反応器17で脱臭して排出することができ、このため快適に厨芥ごみを乾燥処理できるものとなる。
【0040】
そして、第十の実施例は、第九の実施例での外容器11内にて生成された凝縮水を凝縮水容器16に収納せず、排水トラップ31を通して下水管等に廃棄するようにパイプ32に接続するようにしたものである。このため、凝縮水をいちいち廃棄することが不要となり、満水報知の手段等も不要となって安価で使い易い厨芥処理機を提供することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1または2記載の発明により極めて構成簡単にして厨芥ごみの乾燥を行うことができ安価な厨芥処理機を提供できるものである。
【0042】
本発明の請求項3記載の発明により、極めて構成簡単にして厨芥ごみからの水蒸気を回収することができ安価な厨芥処理機を提供できるものである。
【0043】
また、本発明の請求項4〜6記載の発明により、凝縮手段の厨芥ごみ収納容器側の断熱効果を簡単な構成で上げることにより、同じく構造を簡素化した安価な構成の厨芥処理機を提供できる。
【0044】
また、本発明の請求項7〜9記載の発明により、さらに保持容器を設けることにより、前述同様一層断熱効果が上がり加熱凝縮の向上とともに、安価に構成することができる。
【0045】
また、本発明の請求項10記載の発明により、外容器を送風冷却するので、一段と凝縮効果を向上させて加熱乾燥処理時間を早めることができるものとなる。
【0046】
また、本発明の請求項11記載の発明により、外容器内を密閉構造にしているため、厨芥ごみから発生する臭気成分を洩らすことなく、触媒反応器で脱臭して排出するため快適に厨芥ごみを乾燥処理できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第一実施例の厨芥処理機の断面図
【図2】
同第二、第三、第八、第九の実施例の厨芥処理機の断面図
【図3】
同第四の実施例の厨芥処理機の断面図
【図4】
同第五、第六の実施例の厨芥処理機の断面図
【図5】
同第七の実施例の厨芥処理機の断面図
【図6】
同第十の実施例の厨芥処理機の断面図
【符号の説明】
1 厨芥ごみ収納容器
8 ヒータ(加熱手段)
9 攪拌ファン(加熱手段)
11 外容器
12 凝縮手段
 
訂正の要旨 特許3006365号の明細書を、
特許請求の範囲の減縮を目的として、
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1中の「攪拌ファンを備えた」を「攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させる」と訂正し、
明りょうでない記載の釈明を目的として、
訂正事項b
明細書の段落0006の「攪拌ファンを備えた」を「攪拌ファンを備え、前記ヒータおよび前記攪拌ファンからなる加熱手段による加熱に加えて過熱蒸気により前記厨芥ごみの乾燥を促進させる」と訂正する。
異議決定日 2001-04-05 
出願番号 特願平5-236201
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B09B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 奥井 正樹中野 孝一  
特許庁審判長 加藤 孔一
特許庁審判官 山田 充
西村 和美
登録日 1999-11-26 
登録番号 特許第3006365号(P3006365)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 厨芥処理機  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 坂口 智康  

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