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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C04B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C04B
管理番号 1045041
異議申立番号 異議2000-73881  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-17 
確定日 2001-08-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第3032761号「圧電セラミックス」の請求項1乃至3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3032761号の請求項1乃至3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
特許第3032761号の請求項1乃至3に係る発明は、平成11年6月15日に特許出願され、平成12年2月10日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人京セラ株式会社により特許異議の申立がなされ、取消の理由が通知されたものである。
2.特許異議申立の概要
異議申立人は、甲第1号証を提出し、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであるから請求項1に係る発明の特許を取り消すべき旨、また甲第1号証乃至甲第3号証を提出し、請求項1乃至3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものであるから請求項1乃至3に係る発明の特許は取り消すべき旨主張している。
甲第1号証:CARTS97:17th Capacitor and Resistor Technology
Symposium,24-27 March 1997,P56-61
甲第2号証:特開昭50-34313号公報
甲第3号証:JAPANESE JOURNAL OF APPLIDED PHYSICS
VOL.13,No.10,1974,P1572-1577
3.特許異議申立についての判断
(1)本件発明
明細書の請求項1乃至3に係る発明(以下、「本件発明1乃至3」という)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定される、以下に示すとおりのものである。
「請求項1 Sr,Bi,TiおよびLn(ランタノイド)を含有するビスマス層状化合物であり、SrBi4Ti4O15型結晶を含み、原子比Ln/(Sr+Ln)が0<Ln/(Sr+Ln)<0.5であり、Mn酸化物を含有する圧電セラミックス。」
「請求項2 Mn酸化物の含有量がMnOに換算して0.62重量%未満である請求項1の圧電セラミックス。」
「請求項3 Mn酸化物の含有量がMnOに換算して0.43重量%以下である請求項1の圧電セラミックス。」
(2)刊行物1乃至3(甲第1乃至3号証)に記載された発明
当審が通知した取消理由に引用した刊行物1(甲第1号証)には、組成式が(100-x){(La0.1Bi0.9)2Ti2O7}-x(SrTiO3)で表される誘電体材料が記載され、この組成物においてxの値を10〜90モル%としたときの結晶相がFigure 5に記載され、第61頁左欄7〜10頁には、当該誘電体材料にMnを添加することが記載されている。
また、当審が通知した取消理由に引用した刊行物2及び刊行物3(甲第2及び3号証)には、SrBi4Ti4O15からなる圧電セラミックスについて記載され、これらの化合物にMnO2を添加すると、圧電体としての機械的品質係数が向上すること(刊行物2)や、極性特性が向上すること(刊行物3)がそれぞれ記載されている。
(3)対比・判断
ア 本件発明1と各刊行物記載の発明との対比・判断
刊行物1には、記載される誘電体材料が圧電体としての特性を有することについて記載がないばかりか、それを示唆する記載もない。また、本件発明1の圧電セラミックスは、「ビスマス層状化合物」であることを構成要件とし、本件明細書の段落【0035】の記載からみて、単一相であると認められるが、甲第1号証記載の該誘電体材料は、3相からなるもの(第59頁右欄12〜14行)であって、一部の相が層状化合物であるとしても、全体がビスマス層状化合物の単一相であるとはいえない。
また、刊行物2及び3には、Sr,Bi,Tiを含有するビスマス層状化合物である圧電セラミックスが記載されているが、該化合物にLn(ランタノイド)を含有させることについては記載がない。
以上要するに、上記各刊行物には、本件発明1の構成要件である、Sr,Bi,TiおよびLn(ランタノイド)を含有するビスマス層状化合物である圧電セラミックス、について記載されていない。
したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明と認められないばかりでなく、刊行物1乃至3記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたはいえない。
イ 本件発明2及び3と各刊行物記載の発明のとの対比・判断
本件発明2及び3は、本件発明1のMn酸化物の含有量をそれぞれ「0.62重量%未満」、「0.43重量%以下」に限定した発明であるから、同じ理由により、刊行物1乃至3記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1乃至3の特許は、特許異議申立の理由及び証拠によっては取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-07-24 
出願番号 特願平11-167942
審決分類 P 1 651・ 113- Y (C04B)
P 1 651・ 121- Y (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深草 祐一武重 竜男  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 野田 直人
唐戸 光雄
登録日 2000-02-10 
登録番号 特許第3032761号(P3032761)
権利者 ティーディーケイ株式会社
発明の名称 圧電セラミックス  

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