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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1045975
審判番号 審判1999-15526  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-30 
確定日 2001-09-05 
事件の表示 平成 9年特許願第314155号「ベルトコンベア装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 4月27日出願公開、特開平11-116025]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年10月13日の出願であって、その請求項1ないし2に係る発明は、平成10年12月29日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「脚部を備えた支持台の左右端に回転可能に設けられるローラに無端状のベルト体を水平方向に回動可能に巻回してなるベルトコンベアにおいて、前記支持台の左右端の少なくとも一方には、その先端側に回転可能なローラを軸着した上下方向に回動可能なブラケットを、支持台との軸着点がブラケットに軸着されているローラの軸着点よりも上方に位置するとともに支持台に突設されるピンからなるストッパにブラケットの下端側に穿設される下向き溝を係脱可能に支承して、ブラケットの荷重をその下方側に作用して略水平状に装着してなることを特徴とするベルトコンベア装置。」
なお、平成11年9月30日付けの手続補正は、却下された。

2.引用例に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用した実願平2-19160号(実開平3-110010号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、次のとおり記載されている。
「コンベヤ1は、フレームを構成する主フレーム2、補助フレーム3と、主フレーム2に取付けられる脚柱部材4と、駆動ローラ5、従動ローラ6、受けローラ7と、これらのローラに巻回されるベルト8と、駆動ローラ5を駆動する駆動装置9とを備えている。 主フレーム2は、(中略)一方の端部には駆動ローラ5が軸着されており、他方の端部には補助フレーム3が軸着されている。そして、補助フレーム3には従動ローラ6が設けられている。 補助フレーム3は(中略)一端は主フレーム2にピン10によって軸着され上方向に回動可能とされている。また、他端にはガイドスリット11が補助フレーム3の長手方向に平行に形成されており、このガイドスリット11には従動ローラ6が軸着された軸受部12がスライド可能として嵌入されている。」(4頁14行-5頁14行)
「また、補助フレーム3の長手方向の側面には切欠部16が形成されており、この切欠部16を主フレーム2に設けられている凸部材17へ係止させることにより補助フレーム3は主フレーム2へ位置決めされる。」(6頁2-6行)
これらの記載及び第1図、第4図の記載からみて、引用例には「脚柱部材4を備えた主フレーム2の左右端に回転可能に設けられる駆動ローラ5及び従動ローラ6に無端状のベルト8を水平方向に回動可能に巻回してなるコンベヤにおいて、前記主フレーム2の左右端の少なくとも一方には、その先端側に回転可能な従動ローラ6を軸着した上下方向に回動可能な補助フレーム3を、主フレーム2に突設される凸部材17に補助フレーム3の下端側に穿設される切欠部16を係脱可能に支承して、略水平状に装着してなるコンベヤ装置」の発明が記載されているものと認める。

3.対比
本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「脚柱部材4」、「主フレーム2」、「ベルト8」、「補助フレーム3」、「切欠部16」、「凸部材17」、「コンベヤ」は、それらの形状及び機能からみて、それぞれ前者の「脚部」、「支持台」、「ベルト体」、「ブラケット」、「下向き溝」、「ピンからなるストッパ」、「ベルトコンベア」に相当するものと認められる。
また、後者の「駆動ローラ5」及び「従動ローラ6」は、それらの形状及び機能からみて、両方とも前者の「ローラ」に相当するものである。
さらに、引用例の第1図に記載されたコンベヤの状態において、後者の「補助フレーム3」の荷重は下方向に作用していることは明らかである。
したがって、両者は、「脚部を備えた支持台の左右端に回転可能に設けられるローラに無端状のベルト体を水平方向に回動可能に巻回してなるベルトコンベアにおいて、前記支持台の左右端の少なくとも一方には、その先端側に回転可能なローラを軸着した上下方向に回動可能なブラケットを、支持台に突設されるピンからなるストッパにブラケットの下端側に穿設される下向き溝を係脱可能に支承して、ブラケットの荷重をその下方側に作用して略水平状に装着してなるベルトコンベア装置」である点で一致し、ブラケットの支持台への軸着点について、本願発明では「支持台との軸着点がブラケットに軸着されているローラの軸着点よりも上方に位置する」よう構成しているのに対し、引用例に記載された発明では、ブラケット(補助フレーム3)の支持台(主フレーム2)への軸着点については不明である点で両者は相違する。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
ベルトコンベヤ装置の使用時等に、ベルトの張力等によってブラケットが上方向に回動しないように、ブラケットの支持台への安定した装着状態を維持させるという課題は、ベルトコンベア装置に係る技術分野において周知の事項である(例えば、特開平6-183534号公報(原査定の拒絶の理由での引用文献1)等を参照。)。
そして、引用例に記載された発明において、上記周知の課題を考慮し、補助フレーム3にかかるベルトの張力と補助フレーム3等の重力のバランスを考え、補助フレーム3に軸着点を中心とした上方向の回転モーメントが生じないように、従動ローラ6の補助フレーム3への軸着点と補助フレーム3の主フレーム2への軸着点との位置関係を設定することは、当業者が容易に想到し得るものと認める。さらに、その位置関係の設定において、主フレーム2における補助フレーム3の軸着点の位置を、補助フレーム3における従動ローラ6の軸着点の位置よりも上方にすれば、補助フレーム3の上方向への回転モーメントが生じないことも、当業者には自明であるものと認める。
また、本願発明が奏する効果も、引用例に記載された発明から当業者が予測可能な程度のものであり、格別なものとはいえない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
審理終結日 2001-06-22 
結審通知日 2001-07-03 
審決日 2001-07-17 
出願番号 特願平9-314155
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 昭浩  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 氏原 康宏
栗田 雅弘
発明の名称 ベルトコンベア装置  

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