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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B 審判 査定不服 その他 取り消して特許、登録 G11B |
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管理番号 | 1046178 |
審判番号 | 不服2000-10334 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-06-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-07-06 |
確定日 | 2001-10-16 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第301774号「光学式情報再生装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 6月11日出願公開、特開平 5-144032、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成3年11月18日の出願であって、その請求項1乃至2に係る発明は、平成12年4月24日付及び平成12年7月6日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された次のとおりのものと認める。 【請求項1】 記録媒体の記録面に記録された情報を読出すための光ビームを発生させる光源と、 前記光源からの光ビームを回折させて回折方向に並んだ3本の光ビームに分割する回折格子と、 一側外面と他側外面とが平行な媒体で形成され、前記分割された3本の光ビームを一側外面で反射して前記記録媒体の記録面へ入射し、当該入射される3本の光ビームが記録面で反射されて得られる信号光を一側外面から入射してその一部光量を他側外面から透過射出すると共に、当該信号光の残る光量を他側内面で反射して一側外面へ透過射出する平行平面板と、 前記平行平面板の一側外面で反射される3本の光ビームを記録媒体の記録面上に投影結像する対物レンズと、 前記平行平面板の他側外面から透過射出される前記3本の信号光のうち中央の1本又は両側の2本のいずれかを受光して信号光を検出する第1の検出手段と、 前記平行平面板の一側外面から透過射出される前記3本の信号光のうち前記第1の検出手段により受光されない両側の2本又は中央の1本のいずれかを受光して信号光を検出する第2の検出手段とを備えることを特徴とする光学式情報再生装置。(以下、「本願発明」という。) 【請求項2】 前記請求項1記載の光学式情報再生装置において、 前記第1の検出手段は前記3本の信号光のうち中央の1本を検出して情報信号及びフォーカス制御信号として出力し、 前記第2の検出手段は前記3本の信号光のうち両側の2本を検出してトラッキング制御信号として出力することを特徴とする光学式情報再生装置。 (以下、「本願第2発明」という。) 2.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、この出願は、特開平2-162541号公報(以下、引用刊行物1という。)および特開昭61-122944号公報(以下、引用刊行物2という。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 3.原査定に対する当審の判断 引用刊行物1,2には、いずれも、 「記録媒体の記録面に記録された情報を読出すための光ビームを発生させる光源と、前記光源からの光ビームを回折させて回折方向に並んだ3本の光ビームに分割する回折格子と、一側外面と他側外面とが平行な媒体で形成され、前記分割された3本の光ビームを一側外面で反射して前記記録媒体の記録面へ入射し、当該入射される3本の光ビームが記録面で反射されて得られる信号光を一側外面から入射して他側内面で反射して一側外面へ透過射出する平行平面板と、前記平行平面板の一側外面で反射される3本の光ビームを記録媒体の記録面上に投影結像する対物レンズと、前記平行平面板の一側外面から透過射出される信号光を受光して信号光を検出する検出手段とを備えることを特徴とする光学式情報再生装置。」の発明が記載されているものの、本願発明の構成に欠くことのできない事項である、 「入射される3本の光ビームが記録面で反射されて得られる信号光を一側外面から入射してその一部光量を他側外面から透過射出すると共に、当該信号光の残る光量を他側内面で反射して一側外面へ透過射出する」平行平面板と、「前記平行平面板の他側外面から透過射出される前記3本の信号光のうち中央の1本又は両側の2本のいずれかを受光して信号光を検出する第1の検出手段と、前記平行平面板の一側外面から透過射出される前記3本の信号光のうち前記第1の検出手段により受光されない両側の2本又は中央の1本のいずれかを受光して信号光を検出する第2の検出手段と」の2カ所に分離した検出手段を有する構成は、記載も示唆もされていない。 そして、本願発明は、この構成により、3本の信号光相互間の間隔を広げるために凹レンズを光路中に介装したり、検出面上に複数のフォトダイオードを微細加工により形成するという手段を用いる必要がなくなるという特有の効果を奏するものであるから、引用刊行物に記載された平行平面板が、信号光の一部を他側外面から透過射出可能であったとしてもそれを利用して本願発明のように検出手段を2カ所に分離する構成とすることが容易であるとすることはできないので、本願発明が引用刊行物1,2に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることができない。また、本願第2発明は、本願発明を更に限定的に減縮するものであるから、同様に引用刊行物1,2に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることができない。 したがって、本願請求項1,2に係る発明は、いずれも原査定の拒絶の理由によっては、拒絶することができない。 4.同一出願人の同日出願に係る発明との異同について 当審で拒絶の理由に引用した、本願発明の出願人と同一の出願人に係る同日出願である特願平3-301772号(特許第2975466号公報参照)の請求項1に係る発明は、「記録媒体の記録面に記録された情報を読出すための光ビームを発生させる光源と、 前記光源からの光ビームを回折させて回折方向に並んだ0次の主ビームと±1次の副ビームとの3本の光ビームに分割する回折格子と、 一側外面と他側外面とが平行な媒体で形成され、前記分割された3本の光ビームを一側外面で反射して前記記録媒体の記録面へ入射し、当該入射される3本の光ビームが記録面で反射されて得られる信号光を一側外面から入射して他側外面から非点収差を与えて透過射出すると共に、当該信号光の一部を他側内面で反射して一側外面へ非点収差を与えて透過射出する平行平面板と、 前記平行平面板の一側外面で反射された3本の光ビームを記録媒体の記録面に結像投射する対物光学系と、 前記平行平面板の他側外面から透過射出される3本の信号光における回折光のうち0次の主ビームを前記対物光学系の合焦点位置で受光して信号光を検出する第1の検出手段と、 前記平行平面板の一側外面から透過射出される3本の信号光における回折光のうち+1次の副ビームと?1次の副ビームとを前記非点収差の焦線位置近傍で各々受光してトラッキングエラー信号を検出する第2の検出手段とを備えることを、 特徴とする光学式情報再生装置。」というものである。(以下「同日出願発明」という。) 本願発明および本願第2発明と同日出願発明とを比較すると、同日出願発明は、検出手段の配置に関して 「前記平行平面板の一側外面から透過射出される3本の信号光における回折光のうち+1次の副ビームと?1次の副ビームとを前記非点収差の焦線位置近傍で各々受光してトラッキングエラー信号を検出する」という、本願発明および本願第2発明のいずれも有していない構成を有している。そして、この「非点収差の焦線位置近傍」については、明細書の段落【0014】に定義されているとおりのものであって、この構成により、明細書に記載の「光源並び方向への第2の検出手段の形状を小型縮小化できることになり、光源から平行平面板へ出射光に対する第2の検出手段の機械的干渉を防止できる」という効果および、「第2の検出手段を小型縮小化したので、光源と第2の検出手段を近接して設けることができる等の配置設計の自由度を増大させる。」という、本願発明および本願第2発明にない効果を奏するものであるから、本願発明および本願第2発明が同日出願発明と同一であるとすることができない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願は、原査定の拒絶の理由及び当審の拒絶の理由によっては拒絶することができない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
審決日 | 2001-10-01 |
出願番号 | 特願平3-301774 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G11B)
P 1 8・ 5- WY (G11B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小山 和俊、伊藤 隆夫、石丸 昌平、齊藤 健一 |
特許庁審判長 |
内藤 二郎 |
特許庁審判官 |
田良島 潔 麻野 耕一 |
発明の名称 | 光学式情報再生装置 |
代理人 | 石川 泰男 |