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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E04B |
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管理番号 | 1046235 |
審判番号 | 不服2001-8632 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-07-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-05-24 |
確定日 | 2001-10-16 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第344553号「合成床版」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年 7月11日出願公開、特開平 7-173895、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成5年12月20日の出願であって、その請求項1および2に係る発明は、平成12年11月21日受付けの手続補正書により補正された明細書および出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1および2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1および2に記載された発明(以下、「本願発明1」および「本願発明2」という。)は次のとおりである。 【請求項1】 鋼管とコンクリートとにより合成構造とした合成床版において、鋼管が複数本平行に配置され、前記鋼管の両端部および上部が、コンクリートによって被覆されて拘束されているとともの、前記鋼管の長手方向の中間に、所定間隔で上部コンクリートの下面を突出させたリブが形成されていることを特徴とする合成床版。 【請求項2】 前記鋼管の概評面に、高分子系シートまたは金属箔による被覆防食を施してある請求項1の合成床版。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開昭59-192110号公報(以下、「引用例1」という。)には、特許請求の範囲および図面の記載を参照すると、「鋼管を並列配置し、これら鋼管相互を間隔を有して結合するとともに、鋼管列の上面にコンクリートを打設し、上面コンクリートで鋼管相互間途中まで鋼管相互間隔を閉塞した鋼管とコンクリート床版による合成桁」が記載されている。 同、本願の出願前に頒布された刊行物である、実願昭62-59853号(実開昭63-171416号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)および実願平2-78315号(実開平4-37612号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)には、「パイプやパイプ状の鋼殻をコンクリート中に埋設した合成床版」が記載されている。 同、本願の出願前に頒布された刊行物である、実願昭50-41732号(実開昭51-123715号)のマイクロフィルム(以下、「引用例4」という。)、実願昭53-15430号(実開昭54-119218号)のマイクロフィルム(以下、「引用例5」という。)および特開平3-286009号公報(以下、「引用例6」という。)には、「並列配置した形鋼の上部をコンクリートによって埋設した合成床版」が記載されている。 同、本願の出願前に頒布された刊行物である、実公昭42-11013号公報(以下、「引用例7」という。)には、「上面に縦リブおよび突起部を固着した鉄板の上部にコンクリートを打設した鉄板コンクリート床版」が記載されている。 同、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開昭62-146342号公報(以下、「引用例8」という。)には、「形鋼2本を平行に配置し、形鋼間とともに形鋼上面のスラブコンクリートを打設した構造」が記載されている。 3.対比・判断 本願発明1と引用例1記載の発明を対比すると、引用例1記載の発明の「上面コンクリート」、「上面コンクリートで鋼管相互間途中まで鋼管相互間隔を閉塞した(部分)」、「鋼管とコンクリート床版による合成桁」は、各々、本願発明1の「上部コンクリート」、「上部コンクリートの下面を鋼管の長手方向に突出させたリブ」、「鋼管とコンクリートとにより合成構造とした合成床版」に相当するから、引用例1記載の発明には、本願発明1の「鋼管の両端部が、コンクリートによって被覆されて拘束されている」点(以下、「相違点a」という。)および「所定間隔でリブが形成されている」点について記載されていないが、しかしながら、リブを鋼管の長手方向に、所定間隔で形成することは設計的事項に過ぎない。 相違点aについて検討すると、引用例2および3記載の発明には、鋼管とコンクリートとにより合成構造とした合成床版は記載されているが、鋼管の両端部構成についての記載は、引用例2の明細書第6頁第17〜19行に「図示していないが桁の長さ方向の両端部は、鋼板で蓋をして鋼殻10(本願発明1の「鋼管」に相当する)と一体とするか、あるいは型枠で蓋をする。」と記載されているだけで、「鋼管の両端部が、コンクリートによって被覆されて拘束されている」点についての記載はない。また、引用例4ないし7記載の発明の合成床版は、形鋼とコンクリートとにより合成構造とした合成床版である上、形鋼の両端部構成についての記載はなく、示唆もされていない。さらに、引用例8記載の発明は、鋼管とコンクリートとにより合成構造とした合成床版ではなく、かつ、上記相違点aに係る本願発明1の構成も記載されておらず、示唆もされていない。 したがって、本願発明1は、引用例1ないし8記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、本願発明2は、本願発明1を引用してさらに技術的に限定したものであり、本願発明2についても、本願発明1で検討したのと同様のことがいえるから、本願発明2も、引用例1ないし8記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4.むすび 以上のとおりであるから、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2001-10-02 |
出願番号 | 特願平5-344553 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(E04B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小山 清二 |
特許庁審判長 |
安藤 勝治 |
特許庁審判官 |
鈴木 憲子 鈴木 公子 |
発明の名称 | 合成床版 |
代理人 | 片寄 武彦 |
代理人 | 林 信之 |
代理人 | 森 俊秀 |