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審決分類 |
審判 査定不服 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1046421 |
審判番号 | 審判1997-16225 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-08-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-09-25 |
確定日 | 2000-03-08 |
事件の表示 | 平成 4年 特 許 願 第 13448号「生産計画作成方法」拒絶査定に対する審判事件(平成 5年 8月13日出願公開、特開平 5-204933)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I、本件発明 本件審判請求に係る特許願は、平成4年1月28日になされたものであり、本件発明は、明細書及び図面からみて、「生産計画作成方法」に関するものであると認める。 II、拒絶理由通知の内容 当審の平成11年3月24日付け拒絶理由通知の内容は、次のとおりである。 『1.本件出願に係る発明は、特許法第29条第1項柱書の「発明」に該当せず、特許を受けることができない。 本件【請求項1】に係る発明(以下、単に「本件発明」という。)の要旨は、平成8年3月11日付で補正された特許請求の範囲の【請求項1】に記載されたとおり、 「多品種で個々の品種が複数の設備で生産可能な生産工程に対応する生産計画作成方法において、生産する時間を設備候補の組合せパターン毎に集計する過程と、この過程での集計結果をもとに設備候補の組合せパターン毎に、各設備に上記生産する時間を負荷として割り付けて負荷分布表を作成する過程と、その負荷分布表をもとに各設備毎に割り付けるべき品種を選択して、時間軸に沿って品種を設備に割り付ける過程とから成ることを特徴とする生産計画作成方法。」 であると認められるところ、これは、人手によって行われる生産スケジュール作成の手順を規定したもの(人間による精神的プロセスそのもの)であるとも解し得、したがって、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず、特許法第29条第1項柱書の「発明」に該当しないから、特許を受けることができない。 なお、発明の詳細な説明の記載を参酌して見たところで、実施例が開示しているのは、それぞれ色の異なる所定の面積を持つ短冊(ただし幅は一定)を切り貼りして一定のルールの下に与えられた長方形の枠の中にいかにぴったりと敷き詰めるかという幾何の問題の解法と本質的に等価なプロセスに過ぎず、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するとすべき根拠に乏しい。 (参考までに述べると、「メンタル(精神的)プロセス」又は「数学的解法」は、特許の対象外であるというのが世界的通念である。欧州では、欧州特許条約第52条(2)において、「数学的方法」及び「精神的活動」を発明であるとはみなさないとしており、また、米国では、特許商標庁のガイドラインにおいて、「単に抽象的概念を操作しているか又は何ら実際的な応用に限定されていない純粋に数学的な問題を解いているもの」が除外されている。) 2.本件特許出願は、下記(1)〜(3)の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 (1)段落【0021】(【表5】)の時点で、設備2には、設備2でしか生産できない品種(20)と、設備1-2の品種(10)が割り付けられ、負荷残量が0となっており、設備1には、設備1でしか生産できない品種(10)と、設備1‐2の品種(15)が割り付けられ、負荷残量が5となっている。これが、ステップ▲8▼(段落【0022】に「ステップ▲7▼で組合わせのどの設備でも満杯になった場合は、最初に割り付けようとした設備の中で30日を越えていない設備の組み合わせを探し、30日を越えていない設備に割り付けていた品種を移す。これによってできた空き時間に割り付けを行なう。この処理がステップ▲8▼である。」と記載されている。)を経て処理を繰り返すと、最終的に図3の負荷分布表になるのであるが、途中の変化が記載されていないため、なぜそのようになるのかが不明。また、上記段落【0022】のステップ▲8▼に関する記載と、図2のステップ▲8▼の中の、「最後の候補設備で割り付かない場合は、その設備にすでに割り付いている品種から他の設備に移動できる品種を移動する。」という記載とは整合していないのではないかと思われる。 結果的に、当業者が発明を容易に実施することができるように記載されているとはいえない。 (2)本件発明において、「負荷分布表をもとに各設備毎に割り付けるべき品種を選択して、時間軸に沿って品種を設備に割り付ける」ことがどのようにして実現されているのかが、明細書の【発明の詳細な説明】の項に具体的に記載されておらず、たとえ出願当時の技術常識を参酌したとしても、当業者が容易に実施をすることができたとは認められない。 なお、上記「」内の技術的事項に対応する部分は、図4でステップ▲4▼、▲5▼にあたるが、これに関して【発明の詳細な説明】には、その段落【0025】に、以下のように記載されている。 「設備1では、設備1-2の品種群の中から、20日分の品種割り付ける(注.「品種を割り付ける」の誤記と思われる。)ことが指示され、設備1だけの品種群と設備1-2の品種群から、現在の設備1の割り付け状態を判断するとともに、納期問題など品種情報を考慮して、生産開始時間から最適な品種をステップ▲4▼で選択し、ステップ▲5▼では表7のように設備に割り付け、生産時間の決定を行う。」 ところが、上記の記載からは、例えば、「設備1」に、割り付けられるのがなぜ(設備1-2の品種群の中から)「20日分」の品種になるのかが不明である。また、「納期問題など品種情報を考慮して、生産開始時間から最適な品種を…選択」するという部分では、具体的にどのように「考慮」するのか、「最適」かどうかを具体的にどうやって判定するのか、いずれも不明である。 さらに、上記の技術的事項に関連して、審判請求理由補充書では、「負荷分布表により真に厳しい条件のものは何かを探すことができ、真に厳しいものを優先することで効率的な割り付けが可能になる」と主張しているが、負荷分布表を見て真に厳しい条件のものが何かを具体的にどのように探すのかについては、明細書及び図面には何も記載されておらず、当業者が容易に実施することができる程度に記載されているとはいえない。 (3)「生産開始時間」という用語は段落【0025】より前にはなく、段落【0025】の「生産開始時間が30日以下で有るかどうかを判定し、…」との記載で初めて登場する。ところが、「生産開始時間」の意味が不明であり、用語の定義もないため、上記記載は日本語として意味不明である。その結果、図4のステップ▲3▼でどのような判定が行われているのかが不明であり、さらには、上記記載が段落【0029】の「上述のように割り付けを行って、品種群の割り付け指示時間が0になった場合」(明らかにステップ▲3▼で“N”と判定された場合を意味している)という記載と整合するのか否かも不明であるため、当業者が発明を容易に実施することができる程度に記載されているとはいえない。・・・省略・・・』 III、当審の判断 当審の上記拒絶理由通知に対して、審判請求人が行った平成11年6月7日付け手続補正は、当審において補正却下され確定しているので、上記拒絶理由通知で指摘した不備な点は依然として解消されていないものと認める。 IV、むすび 以上のとおり、本件請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項柱書の発明に該当しないので、特許を受けることができないし、また、本件特許出願は、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-12-16 |
結審通知日 | 2000-01-04 |
審決日 | 2000-01-15 |
出願番号 | 特願平4-13448 |
審決分類 |
P
1
8・
531-
WZ
(G06F)
P 1 8・ 532- WZ (G06F) P 1 8・ 1- WZ (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金子 幸一 |
特許庁審判長 |
森田 信一 |
特許庁審判官 |
斉藤 操 山本 穂積 |
発明の名称 | 生産計画作成方法 |
代理人 | 森 厚夫 |
代理人 | 西川 惠清 |