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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B08B
管理番号 1046453
審判番号 不服2001-4980  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-02 
確定日 2001-10-24 
事件の表示 平成10年特許願第315552号「除塵ヘッド」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年8月31日出願公開、特開平11-235559、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1、手続の経緯
本件に係る特許出願は、平成9年5月9日に出願した特願平9-136144号の一部を平成10年11月6日に新たな特許出願としたものであって、原審において平成12年11月30日付けで拒絶理由が通知され、その拒絶理由によって平成13年2月28日付けで拒絶の査定がされ、その後、平成13年4月2日付けで本件審判請求をすると同日付けで明細書について手続補正がなされたものである。

2、本件発明
本件発明は、上記平成13年4月2日付けの手続補正がなされた明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。(以下、「請求項1ないし3に係る発明」を、それぞれ、「本件発明1ないし3」という。)

【請求項1】 シート体1に付着した塵Rを取り除くための除塵ヘッドに於て、上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4と、該上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4の間に設けられると共にシート体1から離間して該シート体1に超音波エアEを噴出するスリット状の噴出ノズル5を、有することを特徴とする除塵ヘッド。
【請求項2】 側方から見て、噴出ノズル5がシート体1に対して下流側へ傾斜して形成されている請求項1記載の除塵ヘッド。
【請求項3】 弧状口部17がケーシング6の両端キャップ部11のシート体1側の面に、両端部が上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4に連続するよう開設されている請求項1記載の除塵ヘッド。

3、拒絶の査定の概要
前記拒絶理由の通知の概要は、
「この出願の請求項1、2、3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1;特公昭42ー21877号公報
引用文献2;登録実用新案第3009694号公報

・備考
(A)引用文献1には、本願の請求項1に係る発明と同様に、シート体(支持体7)に付着した塵(粉体)を取り除き、上流側塵吸入口と下流側塵吸入口と、該上流側塵吸入口と下流側塵吸入口の間に設けられると共にエアを噴出する噴出ノズルを有する除塵ヘッドが記載されており、本願の請求項1に係る発明は、噴出ノズルから噴出する前記エアを、超音波エアとしている点で引用文献1のものと相違する。
しかしながら、引用文献2に、同様に、シート体(ワークW)に付着した塵(R)を取り除き、塵吸入口(吸引ノズル9)と、該塵吸入口の近傍に設けられるエア噴出ノズル(11,12)を有する除塵ヘッドにおいて、該噴出ノズルから噴出するエアを超音波エアとすることが記載されているので、前記相違点は当業者が容易になしうる程度のことと認められる。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものと認められる。

(B)噴出ノズルをシート体に対して下流側へ傾斜させることは設計的事項の域を出ないものと認められるので、本願の請求項2に係る発明も、引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであると認められる。

(C)弧状開口部を、ケーシングの両端キャップ部のシート体側の面に、両端部が上流側塵吸入口と下流側塵吸入口に連続するように開設することは、必要に応じて適宜になしうる設計的事項にすぎないものと認められるので、本願の請求項3に係る発明も、引用文献1及び2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであると認められる。」
というものであって、これに対して出願人(本件審判請求人)は、意見書及び手続補正書を提出したが、上記拒絶査定において、
「この出願については、平成12年11月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶査定する。
なお、意見書並びに手続補正書の内容を検討したが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。」
とされたものである。

4、引用文献記載の発明
引用文献1;
引用文献1には、その1頁左欄24行〜29行に、
「非画像部の粉体を除去する方法、すなわち脱粉方法としては、支持体を反転させて粉体の自重で落下させる方法、支持体を傾斜させ背面から強い振動を与えて振り落とす方法、気流により吹き飛ばすか吸取るかもしくはそれらを併用する方法等が考えられる。」
と記載され、その1頁右欄2行〜7行に、
「噴出口または吸入口と支持体との距離が大幅に変わればやはり鮮明な画像は得られない。すなわち、この距離が遠過ぎると電荷を失った領域の粉体を完全に除去することができず、また近過ぎると荷電領域の粉体までもが除去されてしまう。」
と記載され、その2頁右欄22行〜27行(特許請求の範囲)には、
「下方が開放されて粉体支持体に面する高圧室および低圧室と、水平面に対し傾斜して下側が上記高圧室上側が上記低圧室となるようそれらの室を界しかつ上端が水平軸のまわりに回転できるように支持された可動板とを具えてなることを特徴とする静電写真用粉体除去装置。」
と記載され、その2頁右欄16行〜17行には、
「吹き払い速度が一定に保たれて極めて有効適切に脱粉が行われ、・・・」と記載されており、
その3頁の図面には、高圧室2および低圧室3を備え、可動板5を有する静電写真用粉体除去装置の具体例に係る装置本体1が記載されているものと認められる。

引用文献2;
引用文献2には、その2頁左欄2行〜25行(実用新案登録請求の範囲の欄)に、
「【請求項1】 ケーシング4と、該ケーシング4に内設される超音波発生器6,6とを備え、該ケーシング4は、内部にエア吸入室3を有する仕切壁5と、該仕切壁5から垂下されてスリット状の吸引ノズル9を形成する2枚の帯板状鉛直壁部10,10と、該帯板状鉛直壁部10,10の下端縁に連設される底壁部8a,8bと、該底壁部8a,8bの外端縁に連設されて仕切壁5を包囲する外壁部27と、から成ると共に、該外壁部27と仕切壁5との間にエア排出室2が形成され、かつ、上記超音波発生器6,6を、夫々、上記底壁部8a,8bに配設し、かつ、超音波発生器6,6に連通すると共に、相互に接近する方向に超音波エアE1,E2を噴出する第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12を、底壁部8a,8bに設けたことを特徴とする除塵装置。
【請求項2】 第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12とワークW表面との間に、合流乱流空室16を形成した請求項1記載の除塵装置。
【請求項3】 吸引ノズル9の開口部の近傍の壁面17,17を、側面視に於て上方へ弧状に弯曲する凹面24に形成して、合流乱流空室16の一部を構成した請求項2記載の除塵装置。
【請求項4】 凹面24の上流側端縁に第1噴出ノズル11を配設し、かつ、凹面24の下流側端縁に第2噴出ノズル12を配設した請求項3記載の除塵装置。」
と記載され、
その12頁【0057】欄〜13頁【0058】欄に、
「【0057】
(図7に示すように)ワークWに対して付着位置26にて付着した塵RはワークWから除去され易い方向と除去され難い方向とを有する(方向性を有する)ことがある。つまり、図7の左の塵は図の左方向からの超音波エアE2にて吹き飛ばされ易く、また、同図の右の塵は逆に右方向からの超音波エアE1にて吹き飛ばされ易い。このような塵Rの付着状態にあって、本考案では異なる方向から超音波エアE1,E2が吹き付けられるので、確実に除去が行なわれる。従って、ワークWに付着した塵Rを効率良く除去することができ、優れたワークWの洗浄効果を有するものとし得る。
【0058】
また、第1噴出ノズル11の上流側と第2噴出ノズル12の下流側にエアが漏れないようにすることができ、ワークWから剥離した塵Rを、確実に吸引ノズル9内に送ることができる。さらに、外部への音漏れを防止でき、騒音を低減させ得る。」
と記載され、
その2頁の図1及び図2には、上記記載に即した具体例が記載されている。

5、対比・判断
イ、本件発明1について
[対比]
本件発明1と引用文献1記載の発明を対比すると、引用文献1に記載された発明は、
「噴出口または吸入口と支持体との距離が大幅に変わればやはり鮮明な画像は得られない。すなわち、この距離が遠過ぎると電荷を失った領域の粉体を完全に除去することができず、また近過ぎると荷電領域の粉体までもが除去されてしまう。」
との記載からみて、静電写真用粉体除去装置において「非画像部の粉体を除去する」ことを目的とするものであり、シート状の支持体から粉体をすべて除去しようとするものではない。

これに対し、本件発明1は、その請求項1の
「シート体1に付着した塵Rを取り除くための除塵ヘッド」との記載や、その【0016】欄の、
「一般に、物体の表面をエアが高速で流れると境界層が生じるが、この除塵装置によれば、超音波エアE,Eが長尺シート体1の表裏面に当たるので境界層は超音波によって破壊され、シート体1の表裏面に高速なエアが直接当たり、いわゆるエアナイフの効果により塵Rがシート体1表面から剥離する。」との記載からみて、シート体1から塵Rをすべて除去しようとするものである。

したがって、本件発明1と引用文献1記載の発明とは解決すべき課題において相違があると認められるものであり、構成上、引用文献1に記載された「粉体支持体」は、本件発明1の「シート体1」に相当し、以下、同様に「装置本体1」は「ヘッド」に、「(上流側の)低圧室」は「上流側塵吸入口3」に、「(下流側の)低圧室」は「下流側塵吸入口4」に、「高圧室」は「噴出ノズル5」に、それぞれ相当するから、
両者は、
「上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4と、該上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4の間に設けられると共にシート体1から離間して該シート体1にエアEを噴出する噴出ノズル5を、有するヘッド。」
である点でその構成が一致しているにすぎず、しかも下記の点で相違する。

A,本件発明1においては、ヘッドが「シート体1に付着した塵Rを取り除くための除塵ヘッド」であるのに対し、引用文献1記載の発明においては装置本体1を形成する「ヘッド」である点。(以下、「相違点A」という。)

B,本件発明1においては、噴出ノズル5から噴出するエアEが「超音波エアE」であるのに対し、引用文献1記載の発明においては高圧の「エア」である点。(以下、「相違点B」という。)

C,本件発明1においては、噴出ノズル5が「スリット状」であるのに対し、引用文献1記載の発明においては、噴出ノズルが上端が水平軸のまわりに回転できるように支持された可動板5、5の下端部とシート体とから形成されるラッパ状のものであって「スリット状」とは認められない点。(以下、「相違点C」という。)

[判断]
A,相違点Aについて;
引用文献2には、上記のとおり、その請求項1の欄に、「超音波発生器6,6に連通すると共に、相互に接近する方向に超音波エアE1,E2を噴出する第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12を、底壁部8a,8bに設けたことを特徴とする除塵装置。」との記載があり、ヘッドが「シート体1に付着した塵Rを取り除くための除塵ヘッド」である点が記載されている。
しかし、引用文献1記載の発明は、上記のとおり、静電写真用粉体除去装置において「非画像部の粉体を除去する」ことを目的とするものであり、シート状の支持体から粉体をすべて除去しようとするものではないのに対し、引用文献2記載の発明は、「異なる方向から超音波エアE1,E2が吹き付けられるので、確実に除去が行なわれる。従って、ワークWに付着した塵Rを効率良く除去することができ、優れたワークWの洗浄効果を有するものとし得る。」との記載からみて、ワークWの塵Rを全て除去する洗浄効果を得ようとするものであるから、引用文献1記載の発明に引用文献2記載の発明を適用するとシート状の支持体から粉体をすべて除去することとなり、引用文献1記載の発明における課題解決に重大な支障があるものである。
したがって、当業者が引用文献1記載の発明に引用文献2記載の発明を適用することが容易とすることはできないから、結局、相違点Aは引用文献2記載の発明から容易に想到し得たものとすることはできない。

B,相違点Bについて;
引用文献2には、上記のとおり、「超音波エアE1,E2を噴出する第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12備えた除塵装置」について記載されている。
しかし、静電写真用粉体除去装置において非画像部の粉体を除去することを目的とする引用文献1記載の発明に、超音波エアのエアナイフ効果によりワークWの塵Rを全て除去する洗浄効果を得ようとする引用文献2記載の発明を適用することには、阻害要因があると認められるから、相違点Bは引用文献2記載の発明から容易に想到し得たものとすることはできない。

C,相違点Cについて;
引用文献2には、図1及び図2に、スリット状の吸引ノズル9と併設された第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12が示されており、これらの第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12は、スリット状のものと認めることができる。
しかし、静電写真用粉体除去装置において非画像部の粉体を除去することを目的とする引用文献1記載の発明に、超音波エアのエアナイフ効果によりワークWの塵Rを全て除去する洗浄効果を高めるためにスリット状の吸引ノズルを用いることは、適用するに際して阻害要因があると認められるから、相違点Cは引用文献2記載の発明から容易に想到し得たものとすることはできない。

以上のとおりであるから、本件発明1は、引用文献1記載の発明とは解決すべき課題が相違する点、及び上記相違点A,B,Cに係る構成を有する点、の二点から引用文献1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、原査定は取り消すべきものである。

D,本件発明1と引用文献2記載の発明の対比;
原査定は、引用文献1を主たる従来技術として対比・判断をしているところであるが、引用文献2記載の発明はエアナイフによる塵の完全な除去を目的とする点で解決すべき課題が同一であると認められるから、当審において、さらに、引用文献2を主たる従来技術として対比・判断を行う。

引用文献2記載の発明には、本件発明1の、「上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4」に相当するものがなく、二つの第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12との間に塵Rを吸引するスリット状の吸引ノズル9が存在するものである。

そこで、引用文献2記載の発明において、
「a,二つの第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12を一つのものとする。」
「b,二つのノズル間にある吸引ノズル9をなくして、一つとした噴出ノズルを挟むように上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4を設ける。」
という変更を行えば本件発明1が構成され得るが、
a点については、
「相互に接近する方向に超音波エアE1,E2を噴出する第1噴出ノズル11と第2噴出ノズル12」と「スリット状の吸引ノズル9」にはその組み合わせに特有の効果(上記【0057】欄の「塵Rの方向性への適応」、【0058】欄の「第1噴出ノズル11の上流側と第2噴出ノズル12の下流側にエアが漏ず、塵Rを確実に吸引」参照。)があるものであるから、二つの噴出ノズルを一つのものとすることが直ちに導き出せるものとすることはできず、
b点については、
「上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4を設ける」旨は引用文献1に示唆がされているものの、その示唆に基づいて引用文献2記載の発明において、二つの超音波エアにより除去された塵Rをその除去箇所において吸引しようとする「スリット状の吸引ノズル9」をなくして、「上流側塵吸入口3と下流側塵吸入口4を設ける」ことが容易に想到できるとする理由はない。
すなわち、吸引効率を犠牲にしても周囲に塵Rが飛散することを防止しようとすることが容易に想到できるとする理由がないから、引用文献1の示唆があってもb点に係る構成が容易に想到できるものではない。
よって、引用文献2記載の発明を主たる従来技術として対比・判断をしても、本件発明1は引用文献1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

[本件発明2、3について]
本件発明2、3は、何れも請求項1を引用して技術的限定を加えたものと認められるから、上記の請求項1に係る発明についての理由と同じ理由により引用文献1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認めることはできない。

6、むすび
以上のとおりであるから、請求項1〜3に係る発明は、引用文献1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-10-02 
出願番号 特願平10-315552
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 八日市谷 正朗  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 松下 聡
和泉 等
発明の名称 除塵ヘッド  
代理人 中谷 武嗣  
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