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審決分類 |
審判 全部申し立て 特39条先願 E04H 審判 全部申し立て 発明同一 E04H |
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管理番号 | 1046910 |
異議申立番号 | 異議2001-70535 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-06-04 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-14 |
確定日 | 2001-10-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3120088号「高層ビルディングにおける避難用塔構造」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3120088号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
〔1〕本件発明 本件特許第3120088号の請求項1に係る発明(平成2年10月24日出願、平成12年10月20日設定登録)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】空中架橋で接続された一対の高層ビルディングの外側方に、この高層ビルディングとの間に間隔を置いて、避難階段のみが設けられた避難用塔が並立され、この避難用塔の最上部と前記一方の高層ビルディングの空中架橋が接続された階とのみが通路で連結されてなることを特徴とする高層ビルディングにおける避難用塔構造。」 〔2〕特許異議の申立ての理由 特許異議申立人大竹章は、甲第1号証及び甲第2号証を提示して、本件請求項1に係る発明は、特許法29条の2(「29条2項」は誤り。)及び特許法39条1項(「39条1号」は誤り。)の規定により特許を受けることができないものであり、本件請求項1に係る発明についての特許は取り消されるべきである旨主張している。 甲第1号証:特開平3-206270号公報 甲第2号証:特許第2519552号公報 〔3〕特許異議の申立てについての判断 1.特許法29条の2について (1)本件特許の出願の日前の出願であって、本件特許の出願後に公開された特願平2-176号(特開平3-206270号)の願書に最初に添付した明細書(甲第1号証の1頁参照、以下、「先願明細書」という。)には、 a「高層ビルから所定の数を所定距離を設けて、設置された所定高さの別電源としたタワーに、高層ビルの所定階から連絡橋を設け連絡し、タワーに設けられたらせん階段、すべり台、エレベーター等を用いて、人員を脱出させ、又タワーの所定階毎に、消火栓を設け連絡橋を用いて消火態勢の取れる形とし、又タワーが非常時に所定温度以上に上げない為に、所定高さに所定個数設けた水シャワーによって、冷やす形としたタワーによる避難法。」(特許請求の範囲)、 b「発明の目的は、現在の高層ビル内脱出型式では、火災等が発生した場合、火や煙等から、安全に避難する事は、ビル内のエレベーターや階段を使用する場合、困難な事も多く、犠牲者も後をたたず、本件発明は、この問題点を解消する事にある。」(甲第1号証の1頁左下欄15行〜19行)、 c「タワー自体は、……火災等の際、火炎,煙等から安全な距離に設けて高層ビルの各階から連絡橋によってつなぎ、人員を脱出させる……。……この方法は、……又隣接ビルに共用の型式でも設置できる。」(同1頁左下欄20行〜右下欄10行行) d「発明の効果は、火災等の際の人員の避難が煙,火炎等によって妨げられにくくなる事である。」(同1頁右下欄13〜14行) の記載がある。 以上の記載によれば、先願明細書には、 「一対の高層ビルの外側方に、この高層ビルとの間に間隔を置いて、避難用タワーが並立され、この避難用タワーに高層ビルの所定階から連絡橋が設けられ、避難用タワーにはらせん階段、すべり台、エレベーター等が設けられてなる避難用タワー構造」 なる発明が記載されているものと認められる。 (2)本件請求項1に係る発明と先願明細書記載の発明とを対比すると、先願明細書記載の発明の「避難用タワー」は、本件請求項1に係る発明の「避難用塔」に相当するから、両者は、 「一対の高層ビルディングの外側方に、この高層ビルディングとの間に間隔を置いて、避難用塔が並立されている、高層ビルディングにおける避難用塔構造」 である点で共通するものの、以下の点で相違する。 相違点 本件請求項1に係る発明は、一対の高層ビルディングが空中架橋で接続され、避難用塔には避難階段のみが設けられ、この避難用塔の最上部と前記一方の高層ビルディングの空中架橋が接続された階とのみが通路で連結されてなるのに対し、先願明細書記載の発明は、このような構成を具備していない点。 以上のように、先願明細書記載の発明は、本件請求項1に係る発明の上記相違点における構成を備えておらず、しかも該構成が当該技術分野において周知、慣用の技術とも認められない。 したがって、本件請求項1に係る発明は先願明細書記載の発明と同一であるとすることはできない。 2.特許法39条1項について (1)本件特許の出願の日前の出願である特願平2-176号の請求項1に係る発明(以下、「先願発明」という。)は、特許査定時の明細書(甲第2号証参照。)の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】鉄塔の上端には冷却水を貯蔵する水槽を、前記鉄塔の内部にはエレベータを設置し、前記鉄塔のエレベータには高層ビルの非常口等に接続する連絡通路を設けるとともに、前記鉄塔に消火栓を取り付けたことを特徴とする高層ビル用避難用タワー。」 (2)本件請求項1に係る発明と先願発明とを対比すると、先願発明の「避難用タワー」は、本件請求項1に係る発明の「避難用塔」に相当するから、両者は、高層ビルディングにおける避難用タワーに関する点で共通するものの、以下の点で相違する。 本件請求項1に係る発明は、空中架橋で接続された一対の高層ビルディングの外側方に、この高層ビルディングとの間に間隔を置いて、避難階段のみが設けられた避難用塔が並立され、この避難用塔の最上部と前記一方の高層ビルディングの空中架橋が接続された階とのみが通路で連結されてなるのに対し、先願発明は、鉄塔の上端には冷却水を貯蔵する水槽を、前記鉄塔の内部にはエレベータを設置し、前記鉄塔のエレベータには高層ビルの非常口等に接続する連絡通路を設けるとともに、前記鉄塔に消火栓を取り付けた点。 以上のように、先願発明は、本件請求項1に係る発明の上記相違点における構成を備えておらず、しかも該構成が当該技術分野において周知、慣用の技術とも認められない。 したがって、本件請求項1に係る発明は先願発明と同一であるとすることはできない。 3.むすび 以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提示した証拠方法によっては、本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2001-09-10 |
出願番号 | 特願平2-287576 |
審決分類 |
P
1
651・
161-
Y
(E04H)
P 1 651・ 4- Y (E04H) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 土屋 真理子 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
青山 敏 鈴木 公子 |
登録日 | 2000-10-20 |
登録番号 | 特許第3120088号(P3120088) |
権利者 | 積水ハウス株式会社 |
発明の名称 | 高層ビルディングにおける避難用塔構造 |