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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て成立) H01C |
---|---|
管理番号 | 1046959 |
判定請求番号 | 判定2001-60008 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 1987-11-12 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2001-01-19 |
確定日 | 2001-09-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第1623720号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「金属箔抵抗器」は、特許第1623720号発明の技術的範囲に属する。 |
理由 |
1. 請求の趣旨 本件判定請求は、イ号写真及びその説明書に示される金属箔抵抗器(以下、「イ号物件」という。)は、特許第1623720号の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 2. 本件特許発明 本件特許第1623720号は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された「金属箔抵抗器」であって、その発明(以下、「本件特許発明」という。)は、次のとおりのものである。 (なお、便宜上、符号(A)〜(D)を付して構成要件に分説し、また、図面上の符号を付加した。) 「(A) 一側面に金属箔抵抗体(12)が貼着された絶縁性基板(10)を樹脂(24、26)で外装した金属箔抵抗器において、 (B) 一端部が前記外装樹脂(24、26)内で前記絶縁性基板(10)の他側面に密着し他端部が前記外装樹脂(24、26)外へ延出した複数の板状外部接続端子(20)と、 (C) 前記金属箔抵抗体(12)をこれら外部接続端子(20)に前記外装樹脂(24、26)内で接続するリード線(18)とを備えることを特徴とする (D) 金属箔抵抗器。」 3. イ号物件 イ号物件は、請求人が提出した判定請求書に添付されたイ号写真とその説明書及びイ号図面(甲第6号証)からみて、次の(α)〜(δ)に分説したとおりの構成を具備するものである。 (なお、便宜上、図面上の符号を付加した。) 「(α) プリント基板への取付側の側面に金属箔抵抗体(a)が貼着された絶縁性基板(b)を樹脂(c)で外装した金属箔抵抗器において、 (β) 一端部が前記外装樹脂(c)内で前記絶縁性基板(b)の前記プリント基板の取付側とは反対側の側面に密着しかつ前記側面に隣接する端面に沿って配設され他端部が前記外装樹脂(c)外へ延出した複数の板状外部接続端子(e)と、 (γ) 前記金属箔抵抗体(a)をこれら外部接続端子(e)に前記外装樹脂(c)内で接続するリード線(f)とを備える (δ) 金属箔抵抗器。」 4. 本件特許発明とイ号物件との対比、検討点 〔4-1〕対比 イ号物件が本件特許発明に係る前記分説した各構成要件(A)〜(D)を充足するか否かについて両者を対比する。イ号物件は、その構成(γ)、及び(δ)において本件特許発明の構成要件(C)、及び(D)を充足することは明らかである(当事者間にも争いがない。)。 しかし、イ号物件が本件特許発明のその余の構成要件(A)、(B)を充足するか否かについては、イ号物件の構成(α)、(β)がその一部において本件特許発明と相違し、当事者間に争いがある。 〔4-2〕検討点 イ号物件が本件特許発明の構成要件(A)、(B)を充足するか否かにおける主な検討点は、次のとおりである。 イ号物件の構成(α)における「プリント基板への取付側の側面に金属箔抵抗体(a)が貼着された絶縁性基板(b)」は、本件特許発明の構成要件(A)における「一側面に金属箔抵抗体(12)が貼着された絶縁性基板(10)」を充足するといえるか。 イ号物件の構成(β)における「一端部が前記外装樹脂(c)内で前記絶縁性基板(b)の前記プリント基板の取付側とは反対側の側面に密着しかつ前記側面に隣接する端面に沿って配設され他端部が前記外装樹脂(c)外へ延出した複数の板状外部接続端子(e)」は、本件特許発明の構成要件(B)における「一端部が前記外装樹脂(24、26)内で前記絶縁性基板(10)の他側面に密着し他端部が前記外装樹脂(24、26)外へ延出した複数の板状外部接続端子(20)」を充足するといえるか。 5. 判 断 〔5-1〕検討点(1)についての判断 イ号物件の金属箔抵抗体(a)は、絶縁性基板の「プリント基板への取付側の側面」に貼着される構成であることから、プリント基板への取付側であるか否かに拘わらず金属箔抵抗体が絶縁性基板の一つの「側面」つまり「一側面」に貼着されるという構成においては本件特許発明と何ら差異はなく、金属箔抵抗体(a)の貼着についてのイ号物件の前記構成要件は、本件特許発明の構成要件(A)を充足するものである。この点に関し、被請求人は本件特許発明とイ号物件の作用効果等が種々相違する旨主張するが、上記の理由により採用することはできない。 〔5-2〕検討点(2)についての判断 イ号物件の板状外部接続端子(e)は、「一端部が前記外装樹脂(c)内で前記絶縁性基板(b)の前記プリント基板の取付側とは反対側の側面に密着」する構成であることから、プリント基板の取付側とは反対側であるか否かに拘わらず、板状外部接続端子が絶縁性基板の金属箔抵抗体の貼着される上記「一側面」とは異なる「他側面」に密着するものである構成においては本件特許発明と何ら差異はなく、板状外部接続端子の密着についてのイ号物件の前記構成要件は、本件特許発明の構成要件(B)を充足するものである。 また、イ号物件の板状外部接続端子(e)は、本件特許発明の構成要件(B)に更なる構成「前記側面に隣接する端面に沿って配設され」も付加されており、この点で更なる作用効果をも奏するものと認められる。しかし、イ号物件は本件特許発明の構成要件(B)の全てを具備することは明らかであり、前記更なる構成の付加によって選択発明といえるなどの特段の事由も見当たらない。 したがって、イ号物件は、本件特許発明における構成要件(B)を充足するものである。 〔5-3〕被請求人の主張について なお、被請求人は、判定請求事件答弁書における答弁の理由において、次のように主張する。 (1) 本件特許発明は、その出願前に頒布された刊行物である添付の乙第2号証及び乙第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、同法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。 (2) 本件特許発明は、別途請求された無効審判事件において証拠として示された公知技術を参酌した上で、特許請求の範囲における板状外部接続端子について「対向配置された一対の板状外部接続端子が、それぞれ内装樹脂及び外装樹脂内部にある」という構成、また、リード線について「2本のリード線の一端が、それぞれ絶縁性基板の左右における内装樹脂と外装樹脂との境界まで達している」という構成を付加して限定的に解釈すべきである。 そこで、上記被請求人の主張について検討する。 (1)の主張について (1)の主張は、無効審判手続においてなされるべきであって、特許請求の範囲の技術的範囲について判断する判定にはなじまないから、判断しない。 (2)の主張について 被請求人が主張するような内容にまで限定して解釈すべき理由は何ら見当たらない。すなわち、本件特許発明の特許請求の範囲における板状外部接続端子、リード線に関する記載は明確であって、これ以上の限定を付して解釈する特段の必要性、積極的理由はないことは明らかである。 したがって、被請求人の主張は採用できない。 6. むすび 以上のとおりであって、イ号物件は、本件特許発明の前記分説した構成要件(A)〜(D)の全てを充足するものであるから、本件特許発明の技術的範囲に属するものである。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2001-09-03 |
出願番号 | 特願昭61-102162 |
審決分類 |
P
1
2・
1-
YA
(H01C)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 高橋 武彦 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
吉村 宅衛 川嵜 健 |
登録日 | 1991-11-18 |
登録番号 | 特許第1623720号(P1623720) |
発明の名称 | 金属箔抵抗器 |
代理人 | 山田 洋資 |
代理人 | 大熊 考一 |
代理人 | 山田 文雄 |
代理人 | 木内 光春 |