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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て不成立) B42F
管理番号 1046961
判定請求番号 判定2000-60058  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1992-07-07 
種別 判定 
判定請求日 2000-04-28 
確定日 2001-09-27 
事件の表示 上記当事者間の特許第2608797号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件図面並びにイ号物件特定書に示す「パンチ器具」は、特許第2608797号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する。 
理由 (1)請求の趣旨
イ号物件図面並びにイ号物件特定書に示す「パンチ器具」は、特許第2608797号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めたものである。
(2)本件発明
本件発明は、その特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲に記載された次のとおりのものであり、これを構成要件ごとに分説すると次のとおりである。
(請求項1)
A:係留部を設けたベースに作動体を回動可能に装着し、
B:前記ベース若しくは作動体の一方に取付軸を設けてパンチ刃を止着し、
C:他方にパンチ孔を設けた
D:ファイル用パンチ装置付き保護板において、
E:前記パンチ刃の取付軸の径を、パンチ刃の取付孔の径よりやや大になるように構成して成る、
F:ファイル用紙のパンチ装置付き保護板におけるパンチ刃の取付装置。
そして、本件発明は、次の作用効果を奏するものである。
1)パンチ刃の取付軸の径を、パンチ刃の取付孔の径よりやや大になるように構成しているため、パンチ刃の取付けは、取付軸にパンチ刃の取付孔を挿入するだけで、かしめ作業等を行なうことなく固着されるので、作業の能率化をはかることができる。
2)構成がシンプルで製造組立が簡単なため、コストの低減をはかることができ、安価に提供することができる。
(3)イ号物件
1.請求人の主張するイ号物件
請求人の主張するイ号物件は、本件請求書のイ号物件図面及びその特定書に記載のとおりであり、これを構成要件ごとに分説すると次のとおりである。
A1:係留部(3)を設けたベース(2)に作動体(1)を回動可能に装着し、
B1:前記作動体(1)に取付軸(4)を設けてパンチ刃(5)を止着し、
C1:ベース(2)にパンチ孔(6)を設けた
D1:ファイル用パンチ装置付き保護板において、
E1:前記パンチ刃(5)の取付軸(4)の径を、パンチ刃(5)の取付孔(7)の径と同一若しくはやや小さくなるように構成して成る、
F1:ファイル用紙のパンチ装置付き保護板におけるパンチ刃の取付装置。
ア)請求人の主張
請求人は平成12年9月29日付及び平成13年5月9日付けの回答書において、
請求人は2種類のパンチ器具(パンチ器具A、B)を販売していた経緯があり、今回判定を求めるイ号物件に係るものはそのうちのパンチ器具Aであり、判定請求書及びその添付図面(第2図)に記載したとおりのものであると主張し、このパンチ器具Aがイ号物件であることを立証するために、パンチ器具Aの設計図面(甲第19号証の1乃至2)、パンチ器具Aの現品(検甲第1号証)及びこれらをもとにした参考図面(甲第20号証の1乃至4)を提出している。
イ)被請求人の主張
被請求人は平成12年7月3日付の答弁書において、
請求人が販売した「パンチ器具」を専門機関である神奈川県産業技術総合研究所に依頼して、実体調査(乙第1号証)をしたところ、合成樹脂製の取付軸4は、パンチ刃5を取り外す際にパンチ刃5の取り付け孔7により削られてそれぞれ異なるため正確な寸法は計測できなかったが、写真でみる如く、パンチ刃5の取付軸4の径は、パンチ刃5の取付孔7の取付孔の径よりやや大に構成されており(乙第2,3号証)、本件発明の技術的範囲に属するものであり、請求人が示すイ号物件の特定書並びにイ号物件に記載されている「パンチ器具」とは、全く異なるものである、と主張している。
また、被請求人は平成12年12月6日付の回答書において、
請求人の販売中のパンチ器具Aの取付軸は、被請求人が答弁書と共に提出した乙第2、3号証の如く取付孔7が突出した取付軸4の先端部の外径は、取付孔7の内径より大きくなっている。これは取付軸4を取付孔7の内径より少しく大に形成しておいて、圧入した証左である。実際に販売中のパンチ器具Aと判定を求めるイ号図面が不一致であることは、まことに不可解なことであって、甲第5号証のイ号物件図面は空想的に書かれたものである、と主張している。
2.イ号物件について
請求人が検甲第1号証として提出した「パンチ器具Aの現品」と、被請求人が乙第4号証において提出した「請求人が販売中の、パンチ刃1個を抜き取って示したパンチ器具Aの写真」とを対比すると、その外観形状については相違するところが見あたらない。ただ、パンチ器具Aの取付軸の径及びパンチ刃5の取付孔の径との寸法関係がその外観形状からは不明であり、取付軸の径がパンチ刃5の取付孔の径よりもやや大であるのか、同一若しくはやや小さくなるように構成して成るものなのか、請求人の主張と被請求人の主張が上記のように異なっているので、この点に関して、請求人が判定請求の対象としているパンチ器具Aの、設計図面(甲第19号証の1乃至2)、パンチ器具Aの現品(検甲第1号証)及びこれらをもとにした参考図面(甲第20号証の1乃至4)を検討することにする。(以下、「設計図面等」という。)
上記の設計図面等について請求人は、平成13年5月9日付けの回答書において、
「これらの図面において注目して頂きたい第1の点は、設計図面である甲第19号証の1(c)において取付軸の径が1.8と明記され、甲第19号証の2(a)においてパンチ刃の取付孔の径が1.8と明記されている点である。
これは即ち、参考図面である甲第20号証の3(a)に示す如く取付軸(4)の径が1.8(mm)であり、且つ、甲第20号証の4(a)に示す如く取付孔(7)の径が1.8(mm)であって、つまり、甲第20号証の2(a)に示す如く取付軸(4)の径と取付孔(7)の径が同径であることを明示する。
・・・このように取付軸と取付孔は同径であり、また、取付軸の材質はABS樹脂である。取付孔にABS樹脂製で且つ取付孔と同径の取付軸を嵌入するには、かなり大きな摩擦力に抗した嵌入作業(いわゆる無理嵌め)をしなければならない。被請求人は判定請求回答書において、取付軸の径が取付孔の径と同じであるならば、パンチング作業をするときにパンチ刃が取付軸から脱落してしまう旨を述べているがこれは全くの誤りである。
ABS樹脂製取付軸の径が取付孔の径と同じである場合、上記したように無理嵌めしないと嵌合することができず、また、無理嵌めすると互いが強固に密着するので、パンチング作業のときにパンチ刃が取付軸から脱落することはない。
・・・ 次に注目して頂きたい第2の点は、甲第20号証の3(b)に示す如くパンチ器具(A)の取付軸(4)が円柱状となっている点である。これに対し、被請求人が提示する乙第2号証のパンチ器具においては、取付軸がドーム状となっており、両者はその形状が明らかに相違する。
・・・このように、請求人のパンチ器具(A)は、「取付軸と取付孔が同径」であると共に、「取付軸が円柱状」となっており、乙第2号証に係るパンチ器具とは構成が明らかに相違する。」(第5頁11行〜第6頁1行)と述べている。
確かに、設計図面である甲第19号証の1(c)において取付軸の径1.8と明記され(甲第19号証の1(c)の図が明瞭でないが、検甲第1号証(現物)を参照すれば取付軸の径であると認められる。)、甲第19号証の2(a)においてパンチ刃の取付孔の径が1.8と明記されており、請求人の主張通り取付軸と取付孔は同径であると認められる。
ここで、穴と軸のはめあいには、
1.すきまばめ(常にすきまのあるはめあい)
2.しまりばめ(常にしめしろのあるはめあい)
3.中間ばめ(それぞれ許容限界寸法に仕上げられた穴と軸とをはめあわせるとき、その実寸法によってすきまができることもあり、しめしろのできることもあるはめあい)
の3種類があり、すきまばめは一般的に部品を相互に相対的に動かし得るものに適用されるものである(機械データ便覧、昭和47年10月31日、岡野修一、オーム社、特に第13〜25頁)のに対し、部品を相互に動かし得ないようにするには一般的に中間ばめと、しまりばめが採用される。そして、本件発明やイ号物件のようなパンチ装置付きの保護板のパンチ刃は継続的にパンチを繰り返すものであり、パンチ刃が確実に固定されていなければならないものであるので、イ号物件の上記設計図面等において取付軸と取付孔が同径として記載されているということは、実質的には上記の中間ばめを行っているものと考えられる。(現実に製造されるものは当然誤差を含むものであり、実寸法ではしめしろ(穴の寸法が軸の寸法より小さいときの寸法の差)があるものが存在するものと認められる。)
そうすると、請求人の主張するように上記の設計図面等において、取付軸と取付孔が同径として記載されているということは、その製造されたものはしめしろが存在するものを含むと認められるから、実質的にパンチ器具Aの取付軸の径が、パンチ刃5の取付孔の径よりもやや大であるものを必然的に含むというべきであり、上記請求人がイ号物件として特定する構成要件E1の「前記パンチ刃(5)の取付軸(4)の径を、パンチ刃(5)の取付孔(7)の径と同一若しくはやや小さくなるように構成して成る」は、実質的に「パンチ刃(5)の取付軸(4)の径を、パンチ刃(5)の取付孔(7)の径と同一若しくはやや小さいか、やや大きいものを含むように構成して成る」とすべきものと認められる。
以下に、このように認定したイ号物件の構成要件を示す。
(A1):係留部(3)を設けたベース(2)に作動体(1)を回動可能に装着し、
(B1):前記作動体(1)に取付軸(4)を設けてパンチ刃(5)を止着し、
(C1):ベース(2)にパンチ孔(6)を設けた
(D1):ファイル用パンチ装置付き保護板において、
(E1):パンチ刃(5)の取付軸(4)の径を、パンチ刃(5)の取付孔(7)の径と同一若しくはやや小さいか、やや大きいものを含むように構成して成る
(F1):ファイル用紙のパンチ装置付き保護板におけるパンチ刃の取付装置。
(4)イ号物件が本件発明の技術的範囲に属するか否かについて
本件発明と上記のとおり認定したイ号物件とを対比すると、本件発明の構成要件A〜D、Fと、イ号物件の構成要件(A1)〜(D1)、(F1)は一致していることから、イ号物件の構成要件(A1)〜(D1)、(F1)は、本件発明の構成要件A〜D、Fを充足するというべきである。(請求人と被請求人とでこの点に争いはない。)
また、イ号物件の構成要件(E1)について検討すると、イ号物件の構成要件(E1)は、パンチ刃(5)の取付軸(4)の径を、パンチ刃(5)の取付孔(7)の径に対して、やや大きいものを含むように構成してなるものと上記のとおり実質的に認められるからこの点も本件発明の構成要件Eを充足する。
(5)むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件発明の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2001-09-14 
出願番号 特願平2-219060
審決分類 P 1 2・ 1- YB (B42F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三輪 学尾崎 俊彦  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 佐藤 昭喜
白樫 泰子
登録日 1997-02-13 
登録番号 特許第2608797号(P2608797)
発明の名称 ファイル用紙のパンチ装置付き保護板におけるパンチ刃の取付装置  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 永井 浩之  
代理人 前島 旭  
代理人 清原 義博  
代理人 神谷 巖  
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