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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない F16H |
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管理番号 | 1047724 |
審判番号 | 審判1999-35026 |
総通号数 | 24 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1989-08-18 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-01-19 |
確定日 | 2001-07-23 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2599278号発明「トルコン付ベルト式無段変速機の制御装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1、手続の経緯 本件特許第2599278号の請求項1に係る出願は、昭和63年2月12日に特許出願され、平成9年1月9日に特許の設定登録がなされ、平成11年1月19日付けで無効審判請求人・日産自動車株式会社(以下、「請求人」という。)より特許無効の審判が請求され、平成11年7月26日付けで本件無効審判被請求人・富士重工業株式会社(以下、「被請求人」という。)より答弁書が提出されたものである。 その後、平成11年12月24日に特許庁審判廷において口頭審理が行われ、平成12年2月22日付けで無効理由が通知されたところ、平成12年6月28日付けで訂正請求がされ、この訂正請求について請求人より平成12年11月20日付けで意見書が提出された。 さらに、平成13年2月7日付けで上記訂正請求について訂正拒絶理由が通知され、平成13年2月21日付けで上記訂正請求について手続補正がされたものである。 2、訂正請求書についての手続補正の適否について 平成13年2月21日付けでした手続補正は、平成12年6月28日付けの訂正請求書の、「7-3.訂正の要旨」の項の「III.訂正事項(ハ)」、「IV.訂正事項(ニ)」、「V.訂正事項(ホ)」 及び 「7-4.訂正の原因」の項の「III.訂正事項(ハ)について」、「IV.訂正事項(ニ)について」、「V.訂正事項(ホ)について」を削除するとともに、訂正請求書に添付した訂正明細書の該当する訂正部分を撤回し、該当する訂正部分を願書に添付した明細書に記載されていたとおりに戻そうとするものである。 [なお、願書に添付した明細書については、本件無効審判の請求前にされた本請求外の本件特許に係る特許異議申立事件の審理中に訂正請求がされ、その訂正は認容され、確定している。 したがって、その訂正がされた本件に係る願書に添付した明細書を以下、「特許明細書」という。平成9年異議第74724号公報(以下、「異議決定公報」という。)参照。] そして、上記「III.訂正事項(ハ)」、「IV.訂正事項(ニ)」、「V.訂正事項(ホ)」は、ベルトの滑りが生じない旨の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)の作用ないし効果を追加して記載する訂正であり、その余の訂正事項である「I.訂正事項(イ)」、「II.訂正事項(ロ)」は特許請求の範囲ないし課題を解決するための手段の記載において、トルクコンバータと無段変速機との間に前後進切換装置を設ける旨の構成を付加する訂正である。 したがって、上記手続補正は、上記訂正請求書における訂正事項を分説したものの一部を削除するようなものではなく、互いに独立した目的を持つ訂正事項の一方を削除するものであるから、訂正請求の一部の撤回に該当し、訂正請求書の要旨を変更するものではなく特許法第131条第2項の規定に適合するものである。 3、訂正の適否について (1)訂正事項 本件に係る訂正は、特許明細書について、訂正請求書に添付された訂正明細書(平成13年2月21日付けで補正がなされたもの。)に記載された次のとおりに訂正しようとするものである。 訂正事項(イ) 特許明細書の特許請求の範囲の【請求項1】(異議決定公報第9頁第2〜3行参照)の、「トルクコンバータを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、」を、「エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、」と訂正する。(下線部は訂正部分を示す。以下、同じ。) 訂正事項(ロ) 特許明細書第4頁第6〜17行(異議決定公報第10頁17行〜26行参照。)の【課題を解決するための手段】の欄の記載を、次のとおりに訂正する。 「上記目的を達成するため、本発明は、エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジンの回転数とからなる速度比を検索する手段と、検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段とを設けた構成とする。」 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記訂正事項(イ)は、ベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、「エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達される」構成を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 また、上記の構成を追加する訂正は、特許明細書の実施例の、「符号1はエンジンであり、クランク軸2がトルクコンバータ装置3、前後進切換装置4、無段変速機5およびディファレンシャル装置6に順次伝動構成される。」との記載(特許明細書第5頁第17〜20行。異議決定公報第11頁第12〜14行参照。)、「前後進切換装置4は、ダブルピニオン式プラネタリギヤ16を有し、サンギヤ16aにタービン13が入力し、キャリア16bからプライマリ軸20が出力する。そしてサンギヤ16aとリングギヤ16cとの間にフォワードクラッチ17を、リングギヤ16cとケースとの間にリバースブレーキ18を有し、フォーワードクラッチ17の結合でプラネタリギヤ16を一体化してタービン軸13とプライマリ軸20とを直結する。」との記載(特許明細書第6頁第11〜19行。異議決定公報第11頁第21〜第25行参照。)及び第1図の記載からみて、特許明細書に記載されている事項の範囲内においてしたものと認められる。 さらに、この訂正事項(イ)により、特許明細書に記載された請求項1に係る発明が解決しようとする課題である、「トルクコンバータの非ロックアップ時において、トルクコンバータのトルク比に応じてライン圧制御系のライン圧を制御して、無段変速機のプーリのVベルト押圧力を制御し、オイルポンプロス、各部のフリクション等を増加させない最適なライン圧に制御して、上記プーリにおけるスリップ現象が生じる恐れのないトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置を提供することを目的とする。」(特許明細書第3頁第16行〜第4頁第4行。異議決定公報第10頁11行〜第16行参照。)という課題に拡張ないし変更が生じるものでもない。 また、上記訂正事項(ロ)は、特許明細書の課題を解決するための手段の欄の記載(特許明細書第4頁第5〜17行。異議決定公報第10頁第17〜26行参照。)について、請求項1の記載を訂正することにより必要となった請求項1の記載と課題を解決するための手段の記載を整合させるための訂正であることは、上記3(1)の訂正事項(ロ)の記載に照らして明らかであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。 以上のとおりであるから、上記訂正事項(イ)、(ロ)は共に、特許法第134条第2項第1、3号に掲げる事項を目的とするものであって、同法同条第5項で準用する平成6年改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合する。 (3)独立特許要件 (3-1)訂正発明 訂正請求書に添付された訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明」という。)は、請求項1に記載された次のとおりのものである。 「エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、 無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比を検索する手段と、 検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、 エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、 実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、 この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段と を設けたことを特徴とするトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置。」 (3-2)引用例記載の発明 上記12年2月22日付けの無効理由通知において引用した、本件発明の出願の日前に頒布された刊行物である以下の引用例イ、ロ、ハには、それぞれ以下の事項が記載されている。 [引用例イ];特開昭58-121349号公報(当審で発見したもの。) その第1頁左下欄第5〜17行には、 「ロックアップ装置付きトルクコンバータと、内蔵するシリンダ油室に供給する油圧に応じてV字状プーリみぞ間隔が調節可能である駆動プーリ及び従動プーリを備えたVベルト式無段変速機構と、を有するVベルト式無段変速機の前記各シリンダ油室に供給するライン圧を制御する油圧制御装置において、 ロックアップ装置の作動を制御するロックアップ弁の切換位置に応じてライン圧をライン圧調整弁のスプールの受圧部分に作用させることにより、非ロックアップ時のライン圧がロックアップ時のライン圧よりも高くなるようにしたことを特徴とするVベルト式無段変速機の油圧制御装置。」と記載され、 その第3図からは、 「ロックアップ装置付きトルクコンバータ12のタービンランナ6がVベルト式無段変速機の駆動プーリ24の駆動軸22に直結された構成のVベルト式無段変速機であって、Vベルト式無段変速機の従動プーリ34の従動軸40と車輪を駆動するための差動装置67との間に前進用多板クラッチ48が設けられた点。」がみて取れる。 [引用例ロ];特開昭62-124343号公報(請求人が提示した甲第1号証に同じ。) その第1頁左下欄第5〜13行には、 「少なくともポンプ、ステータ、及びタービンを有するトルクコンバータを備えた自動変速機の油圧制御装置において、 前記タービンのトルクを検出又は推定する手段と、 少なくとも該タービントルクに依存して前記油圧制御装置内の油圧を設定する手段と、 を備えたことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。」と記載され、 また、第6頁右下欄第5行〜第7頁右上欄第16行及びこの記載において説明している第6図の制御ルーチンを示す流れ図には、 「ステップ205においては、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとの商から速度比eを求める。更に、ステップ206でこの速度比eからトルク比tを求める。」 「ステップ208ではタービントルクTtをエンジントルクTeとトルク比tとの商により求める。」 「ステップ216では、変速の種類とタービントルクTtとから負荷電流Ip’をサーチする。」 「この結果、変速状態を含む一定期間Tsでは、フローはステップ209→216→217→219と流れ、その他の非変速時の期間と異なった負荷電流Ip’が設定されることになる。」 との記載を含む負荷電流Ip’を設定する制御フローについて記載されている。 そして、上記負荷電流Ip’は引用例ロの第6頁左上欄第15〜18行の「この結果、結局ECU84の指令によってコイル108への負荷電流Ipを制御することにより、ライン圧PLを任意に制御できることになる。」との記載及び第5図の記載からみてライン圧を決定するものであることは明らかである。 [引用例ハ];特開昭62-221930号公報(請求人が提示した甲第2号証に同じ。) その第4頁右下欄第7〜17行には、 「ライン圧制御系について説明すると、スロットル開度センサ44の信号θ、エンジン回転数センサ43の信号Neがエンジントルク算出部52に入力して、θ-Neのトルク特性のテーブルからエンジントルクTを求める。一方、実変速比算出部45からの実変速比iに基づき必要ライン圧設定部53において、単位トルク当りの必要ライン圧PLUを求め、これと上記エンジントルク算出部52のエンジントルクTが目標ライン圧算出部54に入力して、PL=PLU・Tにより目標ライン圧PLを算出する。」 と記載され、また、第2図にはこの説明に沿った目標ライン圧PLを算出するためのブロック図が記載されている。 (3-3)対比・判断 訂正発明と引用例イ記載の発明とを対比すると、引用例イには上記3(3)(3-2)[引用例イ]の項に記載のとおりの事項が記載されており、「ロックアップ装置付きトルクコンバータ」は訂正発明における「トルクコンバータ」に相当し、以下、同様に「Vベルト式無段変速機構」は「ベルト式無段変速機」に、「油圧制御装置」は「ライン圧制御装置」にそれぞれ相当し、しかもエンジン動力がトルクコンバータに動力伝達される点は技術常識及び第3図左端にエンジン出力軸2が記載されている点からみて明らかであるから、両者は、 「エンジン動力がトルクコンバータを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置。」 である点で一致し、以下の二点で相違する。 [相違点a] 訂正発明においては、トルクコンバータとベルト式無段変速機との間に、「NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備え」ているのに対して、引用例イ記載の発明においては、トルクコンバータとベルト式無段変速機との間は直結されているものである点。 [相違点b] 訂正発明においては、ライン圧制御装置が、 「A.無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比を検索する手段と、 B.検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、 C.エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、 D.実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、 E.この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段」 (但し、A〜Dは便宜上付した符号である。) を有しているのに対して、引用例イ記載の発明においてはライン圧制御装置が、 「非ロックアップ時のライン圧がロックアップ時のライン圧よりも高くなるようにした」 ものである点。 そこで、これらの相違点a,bについて検討する。 引用例ロには、上記3(3)(3-2)[引用例ロ]の項に記載のとおりの事項が記載されている点からみて、有段自動変速機において、 「a.有段変速機の入力軸回転数Ntと該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数Neとからなる速度比eを検索する手段205と、 b.検索された速度比eからトルクコンバータのトルク比tを検索,出力するトルク比検索手段206と、 c.エンジントルク算出手段207よりのエンジントルクTeと上記トルク比tによって入力トルクTrを算出,出力する入力トルク算出手段208」 (但し、a〜cは便宜上付した符号である。) が記載されていると認められる。 そして、これらのa〜cの各手段は、変速機の形式こそ異なるが、変速機に入力されるトルクをエンジン回転数と変速機の入力回転数の比から算出し、適切なライン圧を得る点において本件発明の構成A〜Cの各手段にそれぞれ対応するものと認められる。 また、引用例ハには上記3(3)(3-2)[引用例ハ]の項に記載のとおりの事項が記載されている点からみて、ベルト式無段変速機において、 「d.実変速比算出手段よりの実変速比Np/Nsに対応した必要ライン圧PLUを設定,出力する必要ライン圧設定手段53と、 e.この必要ライン圧PLUと、上記入力トルク(エンジントルクT)により目標ライン圧PLを設定,出力する目標ライン圧設定手段54」 (但し、d,eは便宜上付した符号である。) が記載されている。 そして、訂正発明も引用例ハ記載の発明も、変速機は同じものであり、同じ手段で必要ライン圧と目標ライン圧とを求めているものであるから、訂正発明の構成D,Eについては引用例ハに、その上記記載事項d,eからみて実質的に記載がされているものと認められる。 してみると、引用例ロ記載に係る上記構成要件aの「有段変速機」を「無段変速機」とすることは前提において有段変速機に代えてベルト式無段変速機を用いる場合には当然に変更される設計事項ということができるから、引用例イ記載の発明に引用例ロ、ハ記載の発明を適用すると、 「エンジン動力がトルクコンバータを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、 a’.無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比を検索する手段と、 b.検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、 c.エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、 d.実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、 e.この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段と を設けたトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置。」 (但し、a’〜eは便宜上付した符号である。) が一応想定できるものと認めることができる。 しかし、この場合であっても、上記[相違点a]に係る、トルクコンバータとベルト式無段変速機との間に、 「NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備え」 る点は依然として相違するものである。 そして、この相違は、上記[相違点b]に係る、「A.無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比を検索する手段」から得られる速度比をもとにライン圧が設定されることと相俟って、Nレンジの車両停止状態からアクセルを踏み込んでおき、Dレンジに切り換えるとと共に急発進する場合(以下、このような場合を、「レーシングセレクト発進時」という。)にはライン圧を高くしてベルトのスリップが生じ難い状態にすることができる効果(以下、「本件効果」という。)が得られるものである。 ここで、一般に、ベルト式無段変速機は、ベルトとプーリとの滑りがない状態で動力伝達する必要があり、そのために、ベルトを用いている引用例イ、ハ記載の発明も動力伝達の状況によって適宜のライン圧が得られるよう工夫し、ベルトとプーリとの滑りがないようにしている。 しかし、引用例イ、ハ記載の発明は共に通常走行時において適切なライン圧を得ようとするものにすぎず、引用例イ記載の発明にあっては、トルクコンバータとベルト式無段変速機が直結しているために、上記[相違点b]に係る「速度比」に相当するものが 、上記のような「A.無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比」ではなく、「トルクコンバータの入出力軸の速度比」であって、レーシングセレクト時の発進前においては速度比がほぼ1(トルクコンバータの入力軸,出力軸の回転数がほぼ同じ)となって、定常走行におけるロックアップ時とほぼ変わりない値となり、レーシングセレクト発進に際しベルトに急激に大きな伝達トルクが伝達されるのにも拘わらず、上記速度比がほぼ1であるため充分なライン圧が必要であることを算出できず、ベルトのスリップを生じる可能性の高いものである。 また、引用例ハ記載の発明にあっては、トルクコンバータがないからそもそも上記[相違点b]に係る「速度比」に相当する概念が生じようがなく、仮に引用例ハの第1図に示されるクラッチ2或いは切換装置3により動力の接・断が行われる際に「速度比」に相当する回転数差がでても、それにより生じるベルトの滑りをライン圧で制御する技術思想については示唆するところがないものである。 なお、引用例ロ記載の発明は、ベルト式無段変速機を有していない有段変速機であり、ベルトの滑りについて想定できるものではない。 仮に、ライン圧で動力の接・断が行われるクラッチ部分(第2図のC1、C2参照。)をベルト式無段変速機のベルトとプーリの接触部分に相当するものとしても、ライン圧をタービントルク(トルクコンバータの出力軸トルク)によって制御し適正な値にするものにすぎず、「レーシングセレクト発進時」にライン圧をどのような値にするか記載はない。 以上のとおりであるから、引用例イ記載の発明の構成の一部と引用例ロ、ハ記載の発明の構成の一部を寄せ集めると、 「エンジン動力がトルクコンバータを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、 a’.無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比を検索する手段と、 b.検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、 c.エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、 d.実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、 e.この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段と を設けたトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置。」 が一応想定できるが、特に引用例ロがベルトを有していない有段変速機に係るものであるので、当業者にとって引用例イ、ロ、ハ記載に係る上記各構成をこのように総合する必然性が生じるとは言えない。 また、仮にそのように総合したとしても、 「NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備え」る点は導き出すことができない。 しかも訂正発明は、その点と、「無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とからなる速度比」を求める点を要件としており、その結果上記「本件効果」が得られるものである。 したがって、訂正発明は、引用例イ、ロ、ハに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件訂正は特許出願の際独立して特許を受けることができないものではないので、特許法第134条第5項の規定によって準用する平成6年改正前の特許法第126条第3項の規定に適合する。 (4)訂正の適否についてのむすび 以上のとおりであるから、平成12年6月28日付けでした訂正請求は、特許法第134条第2項第1、3号に掲げる事項を目的とするものであって、同法同条第5項の規定によって準用する平成6年改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 4、本件特許発明 上記「3、訂正の適否」で述べた理由により平成12年6月28日付けでした訂正請求は認容できるものであるから、本件特許発明は、当該訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。(上記「3(3)(3-1)訂正発明」の記載参照。) 5、請求人の主張 請求人は、証拠方法として甲第1号証(特開昭62-124343号公報。上記3、(3)(3-2)の引用例ロに同じ。)及び甲第2号証(特開昭62-221930号公報。上記3、(3)(3-2)の引用例ロに同じ。)を提示し、要旨以下のとおりの主張をしている。 (1)甲第1号証には特許明細書の請求項1に係る発明の構成要件の全てが開示されており、僅かな違いについて論ずると、実施例において請求項1に係る発明が無段変速機を前提としているのに対し、甲第1号証記載の発明は有段自動変速機を前提としていが、同じ技術分野に属するものでありライン圧制御の対象の差には特段の技術的意味がない。 したがって、請求項1に係る発明は甲第1号証記載の発明から何らの発明力も要することなく容易に発明をすることができたものである。(審判請求書第7頁第24行〜第8頁末行。口頭審理調書第2頁第6〜17行。) (2)甲第2号証には、無段変速機の変速制御用にプライマリ回転数を検出するセンサ41を設けることが示唆されており、その本来は変速制御用の検出信号をライン圧制御のための信号として兼用することが示唆されている。 したがって、特許明細書の請求項1に係る発明と甲第1号証記載の発明との唯一の設計上の微差は甲第2号証に記載されているものであるから、本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証記載の発明に甲第2号証記載の発明を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものである。 (審判請求書第8頁第1行〜第9頁第6行。口頭審理調書第2頁第18〜28行。) また、請求人は、上記平成12年6月28日付け訂正請求に係る発明について、概略以下のとおりの主張をしている。 (3)被請求人が主張する新たな効果(ベルトとプーリの間に滑りが生じない効果)は、レーシングセレクト発進時のような特殊な急発進時以外では疑わしい。(平成12年11月20日付け意見書第6頁第11〜25行) (4)訂正請求は、これによる減縮後の本件特許発明の新たな目的および効果が訂正請求前の明細書および図面にもともと内在していなかった別個のものとなるものであるから、本件特許発明の特許請求の範囲を実質上変更するものである。(平成12年11月20日付け意見書第4頁第17〜第6頁10行) 6、甲第1、2号証記載の発明 請求人の提示した甲第1号証(上記3(3)(3-2)「引用例記載の発明」に示した引用例ロに同じ。)には、上記3(3)(3-2)[引用例ロ]に記載した事項が記載されている。 また、同甲第2号証(上記3(3)(3-2)「引用例記載の発明」に示した引用例ハに同じ。)には、上記3(3)(3-2)[引用例ハ]に記載した事項が記載されている。 7、対比・判断 (1)訂正に対する意見について 本件特許発明と甲第1、2号証記載の発明との対比・判断の前に訂正請求に対する請求人の平成12年11月20日付けの意見書の主張について検討する。 上記意見書において、請求人は、上記5、(3)及び(4)に記載したとおり、訂正後の発明における新たな効果はレーシングセレクト発進時のような特殊な急発進時以外では疑わしく、かつ、特許請求の範囲を実質上変更する訂正である旨主張している。 しかし、上記5、(3)に係る主張に関しては、有段変速機のクラッチやブレーキの接続時の滑りがある程度許容されるのと異なって、ベルト式無段変速機のベルトは滑りが望ましくない点が当業者において周知の事項である点からみて、たとえレーシングセレクト発進時のような特殊な急発進時の際の効果であっても無視することはできない効果であると解される。 また、上記5、(4)に係る主張については、請求人が主張するところの「新たな目的および効果」に関する訂正は平成13年2月21日付けの手続補正により撤回されているから、当該主張はその対象となる訂正自体がなくなっており理由のないものとなっている。 なお、特許明細書第3頁第16行ないし第4頁第4行(異議決定公報第10頁11行ないし第16行参照。)には、 「トルクコンバータの非ロックアップ時において、トルクコンバータのトルク比に応じてライン圧制御系のライン圧を制御して、無段変速機のプーリのVベルト押圧力を制御し、オイルポンプロス、各部のフリクション等を増加させない最適なライン圧に制御して、上記プーリにおけるスリップ現象が生じる恐れのないトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置を提供する」 と記載されており、レーシングセレクト発進時のような特殊な急発進時については直接の記載はないものの、上記「トルクコンバータの非ロックアップ時において、・・・プーリにおけるスリップ現象が生じる恐れのないトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置」の提供を目的とするとの記載は急発進時のライン圧制御について示唆するものであり、しかもその発明の構成からみて当該効果は本質的にその構造に内在していたものと認められるものである。 したがって、請求人の、上記訂正に対する意見は、上記「3、訂正の適否について」における判断を妨げるものではなく、採用することはできない。 (2)本件特許発明と甲第1、2号証記載の発明との対比・判断 本件特許発明と、上記甲第1、2号証記載の発明を比較検討すると、甲第1、2号証には、本件特許発明の前提事項である、 「エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチへの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機」について記載がない。 そして、「エンジン動力がトルクコンバータを介して動力伝達されるベルト式無段変速機」について記載のある、平成12年2月22日付け無効理由通知において引用した引用例イ(上記3(3)(3-2)「引用例記載の発明」の項参照。)を補充して比較検討しても、上記3(3)「独立特許要件」において述べたとおりの理由で、本件特許発明は、引用例イおよび甲第1、2号証記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められないものである。 したがって、実質的に上記3(3)「独立特許要件」で示した理由と同じ理由により、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 8、むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 トルコン付ベルト式無段変速機の制御装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチヘの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、 無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とから速度比を検索する手段と、 検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、 エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、 実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、 この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段とを設けたことを特徴とするトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置。 【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本発明は、自動車等の車両の駆動系においてトルクコンバータとベルト式無段変速機とを組合わせて搭載したトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置に係り、詳しくは、上記無段変速機の変速比を制御するためのライン圧制御系において、トルク比に応じたライン圧を出力する制御に関する。 【従来の技術】 従来、ベルト式無段変速機の駆動装置としては、電磁クラッチ,湿式クラッチ等で構成される通常のクラッチ機構のようなトルク増幅作用のない装置であったので、ベルト式無段変速機のライン圧によってプーリ間隔を変化させるために、エンジンの出力トルクおよび変速比をパラメータとしてトルク伝達を行なっている。 そこで従来、トルコン付ベルト式無段変速機の制御に関しては、例えば特開昭58-121349号公報に開示されているように、ライン圧制御系の非ロックアップ時のライン圧を上げてプーリのVベルト押圧力を増大させて摩擦による動力伝達トルクを大きくするために、トルクコンバータのストールトルク比をパラメータとしている装置がある。 【発明が解決しようとする課題】 ところで、上記先行技術のようにトルクコンバータのストールトルク比をパラメータとして非ロックアップ時にライン圧制御系のライン圧を上げ、プーリのVベルト押圧力を増大させる装置では、トルク比が変化しても一律にストールトルク比までライン圧が上昇しているため車両の駆動系におけるオイルポンプロス,各部のフリクション等を増加させるので、車両を駆動する面での滑らかさを失ったり、燃費を悪化させる原因となるなどの問題があった。 本発明は、かかる問題点を解消するためになされたもので、トルクコンバータの非ロックアップ時において、トルクコンバータのトルク比に応じてライン圧制御系のライン圧を制御して、無段変速機のプーリのVベルト押圧力を制御し、オイルポンプロス,各部のフリクション等を増加させない最適なライン圧に制御して、上記プーリにおけるスリップ現象が生じる恐れのないトルコン付ベルト式無段変速機の制御装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本発明は、エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチヘの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジン回転数とから速度比を検索する手段と、検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段とを設けた構成とする。 【作用】 上記構成に基づき、トルク比検索手段においてエンジン回転数とプライマリプーリ回転数との比,すなわち速度比が所定値以下の領域で、この速度比が減少傾向にあるとトルク比が増大してゆく。このトルク比とエンジントルクとから入力トルクを算出し、この入力トルクと必要ライン圧設定手段において実変速比と関数関係にある必要ライン圧と上記入力トルクとの積に基づいて目標ライン圧を算出し、非ロックアップ時にトルク比とエンジン出力トルクに応じた目標ライン圧が算出され、この目標ライン圧に合致するようにライン圧が制御されて、オイルポンプロスとベルトに作用するフリクションロスが低減される。 【実 施 例】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 第1図において、ロックアップトルコン付ベルト式無段変速機の駆動系の概略について述べる。符号1はエンジンであり、クランク軸2がトルクコンバータ装置3,前後進切換装置4,無段変速機5およびディファレンシャル装置6に順次伝動構成される。 トルクコンバータ装置3は、クランク軸2がドライブプレート10を介してコンバータカバー11およびトルクコンバータ12のポンプインペラ12aに連結する。トルコンバータ12のタービンランナ12bはタービン軸13に連結し、ステータ12cはワンウエイクラッチ14により案内されている。タービン軸13と一体的なロックアップクラッチ15はコンバータカバー11との間に設置され、エンジン動力をトルクコンバータ12またはロックアップクラッチ15を介して伝達する。 前後進切換装置4は、ダブルピニオン式プラネタリギア16を有し、サンギヤ16aにタービン13が入力し、キャリア16bからプライマリ軸20が出力する。そしてサンギヤ16aとリングギヤ16cとの間にフォワードクラッチ17を、リングギヤ16cとケースとの間にリバースブレーキ18を有し、フォーワードクラッチ17の係合でプラネタリギヤ16を一体化してタービン軸13とプライマリ軸20とを直結する。また、リバースブレーキ18の係合でプライマリ軸20に逆転した動力を出力し、フォワードクラッチ17とリバースブレーキ18の解放でプラネタリギヤ16フリーにする。 無段変速機5は、プライマリ軸20に油圧シリンダ21を有するプーリ間隔可変式のプライマリプーリ22が、セカンダリ軸23にも同様に油圧シリンダ24を有するセカンダリプーリ25が設けられ、プライマリプーリ22とセカンダリプーリ25との間に駆動ベルト26が巻付けられる。ここで、プライマリシリンダ21の方が受圧面積が大きく設定され、そのプライマリ圧により駆動ベルト26のプライマリプーリ22、セカンダリプーリ25に対する巻付け径の比率を変えて無段変速するようになっている。 ディファレンシャル装置6は、セカンダリ軸23に一対のリダクションギヤ27を介して出力軸28が連結し、この出力軸28のドライブギヤ29がファイナルギヤ30に噛合う。そしてファイナルギヤ30の差動装置31が、車軸32を介して左右の車輪33に連結している。 一方、無段変速機制御用の高い油圧源を得るため、無段変速機5にメインオイルポンプ34が設けられ、このメインオイルポンプ34がポンプドライブ軸35を介してクランク軸2に直結する。また、トルクコンバータ12,ロックアップクラッチ15および前後進切換制御用の低い油圧源を得るため、トルクコンバータ装置3にサブオイルポンプ36が設けられ、このサブオイルポンプ36がポンプ軸37を介してコンバータカバー11に直結する。 第2図において、油圧制御系について述べる。 先ず、無段変速機油圧制御系について述べると、オイルパン40と連通する高圧用のメインオイルポンプ34からのライン圧油路41がライン圧制御弁42に連通して高いライン圧を生じ、このライン圧が油路43を介してセカンダシリンダ42に常に供給されている。ライン圧はさらに、油路44を介して変速速度制御弁45に導かれ、油路46によりプライマリシリダ21に給排油してプライマリ圧を生じるようになっている。また、後述のサブオイルポンプ36からの作動圧油路47は、レデューシング弁48に連通して常に一定の油圧を生じ、このレデューシング油路49,50がライン圧制御弁42のソレノイド弁51,変速速度制御弁45のソレノイド弁52に連通する。 ソレノイド弁51は、制御ユニット80からのデューティ信号でオン・オフしてパルス状の制御圧を生じ、この制御圧をアキュムレータ53で平滑化してライン圧制御弁42に作用する。そして変速比i,エンジンコルクTe,トルクコンバータトルク増幅率等に応じ、ライン圧PLを制御する。 ソレノイド弁52も同様にデューティ信号でパルス状の制御圧を生じて、変速速度制御弁45を給油と排油の2位置に動作する。そして、デューティ比により2位置の動作状態を変えてプライマリシリンダ21への給排油の流量を制御し、変速比iと変化速度di/dtとを変えて変速制御する。 次いで、トルクコンバータ等の油圧制御系について述べると、サブオイルポンプ36からの油路60はレギュレータ弁61に連通して、所定の低い作動圧を生じる。この作動圧油路62はロックアップ制御弁63に連通し、このロックアップ制御弁63から油路64によりトルクコンバータ12に、油路65によりロックアップクラッチ15のリリース室66に連通する。一方、このロックアップ制御弁63のソレノイド弁67には、上述のレデューシング圧の油路68が連通する。そして制御ユニット80からのロックアップ信号がない場合は、油路62と65とによりリリース室66経由でトルクコンバータ12に給油し、ロックアップ信号が出力すると、油路62と64とにより作動圧をロックアップクラッチ15に作用してロックアップする。 また、油路62から分岐する作動圧油路69は、セレクト弁70,油路71および72を介してフォワードクラッチ17,リバースブレーキ18に連通する。セレクト弁70は、パーキング(P),リバース(R),ニュートラル(N),ドライブ(D)の各レンジに応じて切換えるもので、Dレンジでは油路69と71とによりフォワードクラッチ17に給油し、Rレンジでは油路69と72とでリバースブレーキ18に給油し、P,Nのレンジではフォワードクラッチ17とリバースブレーキ18を排油する。 第3図において電子制御系について述べる。 先ず、エンジン回転数Ne,プライマリ回転数Np,セカンダリ回転数Ns,スロットル開度θ,シフト位置の各センサ81ないし85を有する。 そこで、変速速度制御系について述べると、制御ユニット80でプライマリ回転数センサ82,セカンダリ回転数センサ83のプライマリ回転数Npとセカンダリ回転数Nsは実変速比算出部86に入力し、実変速比i=Np/Nsにより実変速比iを算出する。この実変速比iとスロットル開度センサ84のスロットル開度θは目標プライマリ回転数検索部87に入力し、R,D,スポーティドライブ(Ds)の各レンジ毎に変速パターンに基づくi-θのテーブルを用いて目標プライマリ回転数NpDを検索する。目標プライマリ回転数NpDとセカンダリ回転数Nsは目標変速比算出部88に入力し、目標変速比isがis=NpD/Nsにより算出される。そしてこの目標変速比isは目標変速速度算出部89に入力し、一定時間の目標変速比isの変化量により目標変速比変化速度dis/dtを算出する。そしてこれらの実変速比i,目標変速比is,目標変速比変化速度dis/dtは変速速度算出部90に入力し、変速速度Δisを以下により算出する。 Δis=K1・(is-i)+K2・dis/dt 上記式において、K1,K2は定数、is-iは目標と実際の変速比偏差の制御量、dis/dtは制御系の遅れ補正要素である。 上記変速速度Δis,実変速比iはデューティ比検索部91に入力する。ここで、操作量のデューティ比Dが、D=f(Δis,i)の関係で設定されることから、アップシフトとダウンシフトにおいてデューティ比DがΔis-iのテーブルを用いて検索される。そしてこの操作量のデューティ比Dの値は、変速開始前後において更に補正される。 ロックアップ制御系について述べると、エンジン回転数センサ81,プライマリ回転数センサ82のエンジン回転数Ne,プライマリ回転数Npが入力する速度比算出部92を有し、トルクコンバータ入,出力側の速度比eをe=Np/Neにより算出する。この速度比eとエンジン回転数Neはトルクコンバータ状態判断部93に入力する。ここで、トルクコンバータ12のコンバータ領域とカップリング領域を判断するのに設定速度比esのみならず、回転差ΔN(Ne-Np)が小さいことも条件にしてショックを軽減するため、第4図(a)のように設定速度比esがエンジン回転数Neの増大関数で設定してあり、この設定速度比esに対してe≧esの場合にカップリング領域と判断する。 上記目標変速比is,目標変速比変化速度dis/dtは変速開始判断部94に入力し、無段変速機5の機構上の最大変速比2.5に対し、目標変速比isがis≧2.5では変速開始前,目標変速比isがis<2.5では変速開始後を判断する。ここで、電子制御系の目標変速比算出部88では、目標変速比isがis>2.5の領域でも目標変速比isが算出されており、走行条件により第4図(b)の破線is1,is2・・・のように変化する。かかる変速開始前の状態で所定の遅れ時間Δtが設定されると、目標変速比isの変化すなわち目標変速比変化速度dis/dtが大きいほど目標変速比isの大きい値で変速開始を指示する必要があり、これに基づいて第4図(c)のチャートが設定されている。従って、この第4図(c)のチャートで目標変速比変化速度dis/dtがAの値の場合には、目標変速比isがBの値に達した時点で変速開始判断する。 そして上記トルクコンバータ状態,変速開始,シフト位置,セカンダリ回転数Nsの信号ばロックアップ決定部95に入力し、速度比eと設定速度比esとがe≧esのカップリング判断,変速開始判断,DまたはDsのレンジ,セカンダリ回転数Nsとセカンダリ回転数の設定値NsoとがNs≧Nsoのすべての条件を満足する場合に、ロックアップクラッチ15のロックアップ・オンを決定する。そしてこのロックアップ信号が、駆動部96を介してソレノイド弁67に出力する。 ライン圧制御系について述べると、スロットル開度θとエンジン回転数Neが入力するエンジントルク算出部97を有し、第5図(a)で示したエンジン回転数Ne,スロットル開度θおよびエンジントルクTeの相関関係を記憶させておき、エンジンの動作状態に応じたエンジントルクTeを求める。また、トルクコンバータ12のトルク増幅作用で無段変速機への入力トルクが変化するのに対応して、速度比eが入力するトルク比検索部98を有し、ここでは第4図(d)のように速度比eが例えば0.8以下であると、この速度比に反比例してトルク比fが増大する特性で速度比eとトルク比fとの関係を記憶させておき、入力する速度比eによって検索したトルク比fを入力トルク算出部99に入力し、ここでエンジントルクTeとトルク比fとの積により無段変速機において伝達される入力トルクTcを算出する。 一方、実変速比iは必要ライン圧設定部100に入力し、ここで第5図(b)に示すように入力する実変速比iに対し必要ライン圧PLuがオーバードライブ(OD)側にいくに従って小さくなるような特性を記憶させておき、必要ライン圧PLuを検索して目標ライン圧設定部101に入力する。 この目標ライン圧設定部101においては、必要ライン圧PLuと入力トルクTcとの積に基づいて目標ライン圧の算出を行うのであるが、上記入力トルクTcの下限値TcLを設定して記憶させておき、この下限値TcLと入力トルクTcとを比較して次式によって目標ライン圧PLdを算出する。 Tc≧TcLの場合 PLd=PLu×K・Tc Tc<TcLの場合 PLd=PLu×K・TcL ここで、K=定数 このようにして、例えば減速時等において入力トルクTcが低下しても、算出時の下限値を設定しておき、出力する目標ライン圧PLdが所定値以下にならないようにして、デューティ比設定部103に入力する。 一方、ライン圧制御弁42の特性を補正する弁特性補正部102においては、第5図(c)で示すように、ライン圧はフィードバックセンサによるバネ荷重と、デューティソレノイド発生するデューティ圧との和に対応しているので、デューティソレノイドのデューティ比と実変速比iとがライン圧を定めるパラメータとなると考えられるが、実際にはエンジン回転数Neにほぼ比例するメインオイルポンプ34の吐出量によってもライン圧が変化するため、ライン圧はデューティ比,実変速比iおよびエンジン回転数Neの3パラメータで定められるようにする。従って、デューティ比=0%,すなわちデューティ圧=レデューシング圧となったとき、実変速比iとエンジン回転数Neとライン圧最大値PLmとの相関関係を設定し、これにより実変速比iおよびエンジン回転数Neによってライン圧最大値PLmを算出し、デューティ比設定部103に入力する。 デューティ比設定部103では、上記で算出したライン圧最大値PLmと目標ライン圧PLuとに基づいてデューティ比Dを定めるのであるが、先ず第5図(d)に示すようなデューティ比DとPLm-PLuとの関係を設定しておき、PLm-PLuに対応するデューティ比Dを算出し、駆動部104を介してソレノイド弁51に出力する。 さらに、ロックアップ制御とライン圧制御による変速制御系の補正について述べる。 さらに、実変速比の変化速度により、また静止状態から変速を開始する場合などで変速速度が変化するので、実変速比iが入力する実変速速度算出部110を設け、実変速比変化速度di/dtを算出する。そしてこの実変速比変化速度di/dtをデューティ比検索部91に入力し、実変速比変化速度di/dtによる補正項K(di/dt)を用い、 Δis=K(di/dt)・[K1(is-i)+K2・dis/dt] の補正を行って、デューティ比Dを実際の変速制御状態に合致させる。 デューティ比検索部91の出力側にはライン圧の変化に対応した補正部111を有し、入力トルク算出部99の入力トルクTcが入力する。即ち、デューティ比DがD´=f(1/√Tc,D)で補正され、D´として出力される。 補正部111の出力側には変速開始指示部112を有し、変速開始判断部94とトルクコンバータ状態判断部93の信号が入力する。そして、カップリング条件不成立の場合は、出力デューティ比DoをDo=0に定める。また、変速開始条件が成立すると、このときの目標変速比変化速度dis/dt,目標変速比isに応じたDを増大補正し、カップリング条件成立時に出力デューティ比DoをDo=D´+ΔDを出力するのであり、これが駆動部113を介してソレノイド弁52に入力するようになっている。 次いで、このように構成された制御装置の作用について述べる。 先ず、NまたはPレンジでエンジン1を始動すると、クランク軸2によりトルクコンバータ装置3は駆動するが、前後進切換装置4で遮断されて無段変速機5にはエンジン動力が入力しない。一方、このときポンプドライブ軸35とコンバータカバー11によりメインオイルポンプ34,サブオイルポンプ36が駆動され、油圧制御系のライン圧制御弁42,レギューレータ弁61,レデューシング弁48により所定の油圧を生じている。ここで、ライン圧はセカンダリシリンダ24にのみ供給されて、駆動ベルト26をセカンダリプーリ25側に移行することで、変速比最大の低速段になっている。また、ロックアップ決定部95のロックアップ・オフの信号でソレノイド弁67はロックアップ制御弁63をロックアップクラッチ15のリリース側に切換えているので、作動圧はリリース室66を介してトルクコンバータ12に流れ、このためロックアップクラッチ15がオフしてトルクコンバータ12が作動状態になる。 そこでDレンジにシフトすると、セレクト弁70によりフォワードクラッチ17に給油されるため、プラネタリギヤ16が一体化してタービン軸13とプライマリ軸20とを直結し、前進位置になる。このため、エンジン動力がトルクコンバータ12を介して無段変速機5のプライマリ軸20に入力し、プライマリプーリ22,セカンダリプーリ25と駆動ベルト26により最も低い低速段の動力がセカンダリ軸23に出力し、これがディファレンシャル装置6を介して車輪33に伝達し、アクセル解放でも走行可能となる。従って、このアクセル解放またはアクセル踏込みにより発進する。 ところで、かかる変速比最大の発進時には、トルクコンバータ12が小さい速度比eによってトルク増幅作用をしており、この増幅作用はトルク比検索部98で設定した第4図(d)の速度比eとトルク比fとの関係より検索されたトルク比fに基づき、入力トルク算出部99を介し目標ライン圧設定部101において、下限値TcLを設定した入力トルクTcをパラメータの1つとして目標ライン圧PLdによって得られるので、エンジン回転数Neおよび実変速比iの値がOD側の低い状態であっても、目標ライン圧PLdの下限値が制約されるようになっている。このため、デューティ比設定部103,駆動部104,ソレノイド弁51等を介して伝達されるセカンダリプーリ25における押付力は所定値以下にならず、Vベルトとセカンダリプーリ25との間のスリップを生じることなく、トルク伝達を行うことができる。さらに、トルクコンバータ状態判断部93では、速度比e<設定速度esによりコンバータ領域を判断し、これが変速制御系の最終段の変速開始指示部112に入力して出力デューティ比DoをDo=0に定めることによって、変速開始を阻止する。 また、この発進は第6図の変速パターンの最大変速比のラインlLより低速側で行われ、実際の変速比は最大の2.5にホールドされている。しかるに、変速制御系ではセカンダリ回転数Nsの上昇に伴いそれとプライマリ回転数Npとで実変速比iが、この実変速比iとスロットル開度θとで目標プライマリ回転数NpDが、これらの目標プライマリ回転数NpD,セカンダリ回転数Nsにより目標変速比算出部88,目標変速速度算出部89で目標変速比is,目標変速比変化速度dis/dtが算出される。そして変速速度算出部90では、これらの目標変速比is,実変速比i,目標変速比変化速度dis/dtにより変速速度Δisの制御量を求め、デューティ比検索部91では変速速度Δisを実変速比変化速度di/dtで補正することで、制御量に対応したデューティ比Dの操作量を求め、更に補正部111でライン圧に対応して補正したデューティ比D´を求め、疑似的に変速制御を行っている。従ってこの発進時において、第4図(b)の破線のようにいかなる経過で変速開始点Pに至るか判断されることになる。 そして、この場合に変速開始判断部94では、上記経過情報の目標変速比is,目標変速比変化速度dis/dtにより、目標変速比変化速度dis/dtが大きく急変速状態では目標変速比isの大きい時点で変速開始判断し、常に一定の遅れ時間Δtを確保する。そこで目標変速比is,目標変速比変化速度dis/dtが第4図(c)の特性を満すと、変速開始判断してこれがロックアップ決定部95に入力する。 このとき、トルクコンバータ状態判断部93では、速度比eと回転差ΔNとの両者でトルクコンバータ状態が判断されており、既にカップリング領域を判断してこれがロックアップ決定部95に入力する場合は、上記変速開始判断の入力によりロックアップクラッチ15のロックアップを決定する。 そこで、上記ロックアップ信号の出力でソレノイド弁67がロックアップ制御弁63をトルクコンバータ側に切換えることで、作動圧はトルクコンバータ12に封じ込められてロックアップクラッチ15に作用し、こうしてロックアップクラッチ15はコンバータカバー11に直結してロックアップする。従ってエンジン動力は、ロックアップクラッチ15により効率よく伝達することになり、第6図の変速開始時の変速比最大のライン1Lと最小のライン1Hとの間の変速全域がロックアップ領域になる。 また、上記カップリング領域と変速開始の判断は変速開始指示部112に入力し、D´+ΔDのデューティ比の信号を出力して変速開始を指示する。そのため、ソレノイド弁52により変速速度制御弁45が動作してプライマリ圧を生じ、実際には第6図のラインlLの所定の点Pから上記ロックアップと同時に変速を開始して、アップシフトする。 このロックアップ状態では、速度比eはe=1でトルク増幅率αも1になるため、これ以降はライン圧が実変速比iとエンジントルクTeの要素でのみ制御される。 一方、変速開始判断時に未だコンバータ領域が判断されている場合は、変速開始指示部112で変速開始が阻止され、カップリング領域の判断を待って、ロックアップと変速開始を同時に行うことになる。 以上、本発明の一実施例について述べたが、これに限定されるものではない。 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、ライン圧制御系のトルク比検索部において入力する速度比に対応するトルク比を速度比が所定以下になると速度比とトルク比とが反比例するように設定し、かつ目標ライン圧設定部において出力する目標ライン圧をパラメータとなる入力トルクによって定め、入力トルクに応じた目標ライン圧を設定し、求められた目標ライン圧に基づいてセカンダリプーリの押付力を制御するソレノイド弁を駆動するように構成したので、もっとも少ないオイルポンプ駆動力でオイルポンプを駆動させ、ベルトとプーリ間のフリクションを小さくして迅速に変速することができる効果がある。 また、本発明では、速度比(e)を求める信号として無段変速機の入力軸回転数(NP)の信号を直接使用しており、無段変速機が本来具有している変速制御用の信号の1つである入力軸回転数のNp信号を、ライン圧制御の信号としても共用して用いることで、コストセーブを図りつつタービントルク(TT)の推定演算等の処理を省略して、制御構成の簡略化を可能とするトルコン付ベルト式無段変速機の新規で有利な制御構成を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明のトルコン付ベルト式無段変速機の実施例を示すスケルトン図、第2図は油圧制御系の回路図、第3図は制御装置の実施例を示すブロック図、第4図および第5図は各特性図、第6図はロックアップオン・オフと変速開始を示す図である。 86……実変速比算出部、92……速度比算出部、97……エンジントルク算出部、98……トルク比検索部、99……入力トルク算出部、100……必要ライン圧設定部、101……目標ライン圧設定部。 |
訂正の要旨 |
訂正事項(イ) 特許明細書の特許請求の範囲の【請求項1】(異議決定公報第9頁第2〜3行参照)の、「トルクコンバータを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、」を、「エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチヘの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、」と訂正する。 訂正事項(ロ) 特許明細書第4頁第6〜17行(異議決定公報第10頁17行〜26行参照。)の【課題を解決するための手段】の欄の記載を、次のとおりに訂正する。 「上記目的を達成するため、本発明は、エンジン動力がトルクコンバータと、NレンジからDレンジにシフトすると油圧クラッチヘの給油によりタービン軸と無段変速機の入力軸とが直結する油圧クラッチを備えた前後進切換装置とを介して動力伝達されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、無段変速機の入力軸回転数と該入力軸に至る動力伝達系のエンジンの回転数とからなる速度比を検索する手段と、検索された速度比からトルクコンバータのトルク比を検索,出力するトルク比検索手段と、エンジントルク算出手段よりのエンジントルクと上記トルク比によって入力トルクを算出,出力する入力トルク算出手段と、実変速比算出手段よりの実変速比に対応した必要ライン圧を設定,出力する必要ライン圧設定手段と、この必要ライン圧と、上記入力トルクにより目標ライン圧を設定,出力する目標ライン圧設定手段とを設けた構成とする。」 |
審理終結日 | 2001-05-14 |
結審通知日 | 2001-05-25 |
審決日 | 2001-06-07 |
出願番号 | 特願昭63-31167 |
審決分類 |
P
1
112・
121-
YA
(F16H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 博之 |
特許庁審判長 |
佐藤 洋 |
特許庁審判官 |
和田 雄二 舟木 進 |
登録日 | 1997-01-09 |
登録番号 | 特許第2599278号(P2599278) |
発明の名称 | トルコン付ベルト式無段変速機の制御装置 |
代理人 | 徳永 博 |
代理人 | 杉村 純子 |
代理人 | 小橋 信淳 |
代理人 | 杉村 暁秀 |
代理人 | 青木 純雄 |
代理人 | 高見 和明 |
代理人 | 小橋 信淳 |
代理人 | 藤谷 史朗 |
代理人 | 岩城 全紀 |
代理人 | 梅本 政夫 |
代理人 | 杉村 興作 |
代理人 | 岩城 全紀 |
代理人 | 中谷 光夫 |