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審決分類 |
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない A63F 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない A63F |
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管理番号 | 1047951 |
審判番号 | 訂正2001-39043 |
総通号数 | 24 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1989-04-13 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2001-03-15 |
確定日 | 2001-10-22 |
事件の表示 | 特許第2688700号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 特許第2688700号に係る発明は、昭和62年10月5日に特許出願したものであって、平成9年8月29日に特許の設定登録がなされ、平成13年3月15日に訂正審判の請求がなされたものである。 2.請求の要旨 本件審判請求の要旨は、特許第2688700号明細書を訂正明細書のとおり、次のように訂正することを求めるものである。 訂正事項a) 特許請求の範囲の欄を以下のとおりに訂正する。 「(1)固有の識別符号を記憶する記憶媒体が挿入されることに関連して当該記憶媒体の金額情報の範囲内で遊技可能とする遊技装置と、 前記記憶媒体の金額情報に基づいた精算処理を実行可能とする記憶媒体精算装置と、 前記記憶媒体の識別符号に対応して前記記憶媒体の金額情報を記憶する記憶手段を有する管理装置と、 を備え、 前記記憶媒体精算装置と前記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備であって、 前記記憶媒体精算装置は、 前記記憶媒体の有する識別符号を読み取る記憶媒体読取手段と、 前記記憶媒体読取手段によって読み取られた識別符号を前記管理装置へ送信可能な送信手段と、 前記送信手段による識別符号の送信に対する管理装置からの応答に基づいて当該記憶媒体の金額情報に対応する貨幣を払い出し可能な貨幣払出手段と、 精算終了後に回収された記憶媒体を収容する収容部と、 前記収容部に回収された記憶媒体の収容容量の超過を検出する検出手段と、 前記検出手段により検出された信号に基づいて容量超過を表示する容量超過表示器と、 精算可能状態を表示する精算可能表示器と、 一面に設けられた開閉扉と、 を備え、 前記記憶媒体精算装置による記憶媒体の精算処理の実行に基づいて、当該精算処理に関わる情報を前記送信手段によって前記管理装置へ送信し、 前記管理装置が受信した情報を前記記憶媒体の識別符号に対応して前記記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする遊技設備。」 訂正事項b) 明細書の発明の詳細な説明の訂正 平成9年5月21日付手続補正書第2頁第7行目〜23行目に「少なくとも固有の・・・するように構成した。」 とあるのを 「固有の識別符号を記憶する記憶媒体が挿入されることに関連して当該記憶媒体の金額情報の範囲内で遊技可能とする遊技装置(例えば、パチンコ機100および制御ユニット160)と、前記記憶媒体の金額情報に基づいた精算処理を実行可能とする記憶媒体精算装置(精算機300)と、前記記憶媒体の識別符号に対応して前記記憶媒体の金額情報を記憶する記憶手段を有する管理装置(400)とを備えて、前記記憶媒体精算装置と前記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備であって、前記記憶媒体精算装置は、前記記憶媒体の有する識別符号を読み取る記憶媒体読取手段(カードリーダ330)と、前記記憶媒体読取手段によって読み取られた識別符号を前記管理装置へ送信可能な送信手段(例えばユニット制御装置390)と、前記送信手段による識別符号の送信に対する管理装置からの応答に基づいて当該記憶媒体の金額情報に対応する貨幣を払い出し可能な貨幣払出手段(硬貨払出装置350、紙幣払出装置360)と、精算終了後に回収された記憶媒体を収容する収容部(カードタンク340)と、前記収容部に回収された記憶媒体の収容容量の超過を検出する検出手段(オーバーフロー検出用のセンサ381)と、前記検出手段により検出された信号に基づいて容量超過を表示する容量超過表示器(モニタ表示ランプ)と、精算可能状態を表示する精算可能表示器(精算中表示ランプ313)と、一面に設けられた開閉扉(開閉扉302)と、を備え、前記記憶媒体精算装置による記憶媒体の精算処理の実行に基づいて、当該精算処理に関わる情報を前記送信手段によって前記管理 装置へ送信し、前記管理装置が受信した情報を前記記憶媒体の識別符号に対応して前記記憶手段に記憶するように構成した。」 と訂正する。 3.引用例の記載事項 当審の平成13年4月20日付け訂正拒絶理由通知で引用した特開昭62ー170279号公報(以下「引用例1」という。)と特開昭54ー120046号公報(以下「引用例2」という。)には、以下のことが記載されている。 (引用例1) A.「この発明は、紙幣又は硬貨の投入に対して所定の価値を付与したカードを発行するカード発行機と、上記カードが挿入されパチンコ玉貸し出しが指示されると所定数のパチンコ玉を貸し出すパチンコ玉貸し出し機と、上記カードが上記玉貸し出し機に挿入されると起動されパチンコ遊技可能となるパチンコ台と、上記パチンコ遊技を終了したカードを精算するカード精算機と、上記カード発行機で付与された上記カードの価値データを記憶すると共に、上記価値から当該カードにより上記パチンコ玉貸し出し機で貸し出した玉数分の価値を減算して記憶し直すセンタコンピュータとで構成されるパチンコ遊技システムにおいて、上記センタコンピュータに記憶されている価値の範囲内で、上記パチンコ玉貸し出し機におけるパチンコ玉貸し出しの可否をチェックして貸し出すと共に、上記カード精算機における遊技後の当該カ ードの価値の残り分を精算できるようにしたものである。」(第3頁右上欄第6行〜左下欄第4行) B.「上記カードが挿入されると当該カードに記録されている上記カード識別データを読取り、上記カード識別データを上記センタコンピュータに伝送すると共に、上記センタコンピュータから伝送されるデータに基づいて上記カードを精算するカード精算機」(第3頁左下欄第18行〜右下欄第4行) C.「上述のようなパチンコ台200での遊技が終わると、・・・所望の景品と交換すると共に、上記磁気カードに付与された価値に残りがあればこの価値分の金額の返却を受ける。」(第5頁右上欄第7行〜第15行) D.「精算済のカードに例えば穴を開けたり、マーキングを行なったり、又はデータ記録部分を塗りつぶす等、再使用防止処理を行なうカード処分機構319」(第5頁左下欄第18行〜右上欄第1行) E.「上記カード発行機100で発行された磁気カード1Aには、発行時に発行日付、このパチンコ店コード、このカード1Aの番号、このカード1Aに付与された価値(玉数)及びこのカード1Aに固有のセキュリティデータが最初に記録されると共に印字され、以後これらのデータが読取られて確認されるだけである。そこで、例えばパーソナルコンピュータ等から成る上記センタコンピュータ400により、このカード1Aに関する全データ(誤記と認めてこのように認定した。)が常時管理されていることになる。すなわち、カード発行機100から磁気カード1Aを発行する際に、上記カード1Aの番号、カード固有のデータ等と共に、付与した価値(このカードの金額等)がセンタコンピュータ400に伝送されて日付と共に記憶される。」(第5頁右下欄第10行〜第6頁左上欄第5行) F.「そして、パチンコ遊技を終了した磁気カード1Bに価値が残っていてその価値分の精算を行なう際にも、上記カード精算機300とセンタコンピュータ400との間で上述のようにしてカードの真偽、精算の可否及び精算する価値(金額)の確認が行なわれ、又精算済の処理も同様にして行なわれる。」(第6頁右上欄第9行〜第15行) (引用例2) G.「本発明は遊技場の精算機に関し、特に例えばパチンコ遊技機、スマートボール等の弾球遊技機の遊技場に適用して好適ならしめたものである。」(第1頁右下欄第17行〜第20行) H.「このホールでの遊技を終了する際にはカード32を精算機31のカード挿入口33に挿入すれば良い(第2図)。・・・これに記録されている遊技球数データを読み取って制御装置35の一時記憶レジスタ37に記憶させる。この動作が終ると・・・カードをカードプール39へ収納する。・・・カードプール39が満杯になったときは作動コントロール回路38がカードリーダ34のデータ読取動作を禁止する。すなわちカードプール39にはその満杯位置及びこれによりやや低い位置に第1及び第2のカード検出器50及び51が設けられ、カードプール39に収納されたカードの高さが第1の検出器50位置を越えたときその検出出力pによってカードリーダコントロール回路38によるカードリーダ34のカード読取動作を禁止させると共に、盤面に設けたレディランプ52を消灯させる。またこの時又は第2の検出器51にて検出出力qが発生したとき作動コントロール回路38は管理室への警報としてカードプール満杯による停止報知信号r 又はカード回収要求信号sとを出力する。」(第3頁右下欄第19行〜第4頁左下欄第4行) 4.対比、判断 そこで、本件訂正明細書に係る発明(以下「前者」という。)と上記引用例1に記載の発明(以下「後者」という。)とを比較する。 後者の「パチンコ遊技システム」も遊技設備ということができるので、両者は遊技設備であって、後者の「カード」、「パチンコ台」、「カード精算機」、「センタコンピュータ」は、前者の「記憶媒体」、「遊技装置」、「記憶媒体精算装置」、「管理装置」にそれぞれ対応している。 後者の上記記載Bによれば、「カード精算機」は、カード読取り手段及びカード識別データ伝送手段を備えることは明らかであり、これらは、前者の「記憶媒体読取手段」及び「送信手段」にそれぞれ対応している。 後者の上記記載Cによれば、磁気カードに付与された価値に残りがあればこの価値分の金額を返却する手段は、前者の「貨幣払出手段」に対応している。 したがって、両者は、「固有の識別符号を記憶する記憶媒体が挿入されることに関連して当該記憶媒体の金額情報の範囲内で遊技可能とする遊技装置と、 前記記憶媒体の金額情報に基づいた精算処理を実行可能とする記憶媒体精算装置と、 前記記憶媒体の識別符号に対応して前記記憶媒体の金額情報を記憶する記憶手段を有する管理装置と、 を備え、 前記記憶媒体精算装置と前記管理装置とが通信可能に構成されてなる遊技設備であって、 前記記憶媒体精算装置は、前記記憶媒体の有する識別符号を読み取る記憶媒体読取手段と、 前記記憶媒体読取手段によって読み取られた識別符号を前記管理装置へ送信可能な送信手段と、 前記送信手段による識別符号の送信に対する管理装置からの応答に基づいて当該記憶媒体の金額情報に対応する貨幣を払い出し可能な貨幣払出手段と、 を備え、 前記記憶媒体精算装置による記憶媒体の精算処理の実行に基づいて、当該精算処理に関わる情報を前記送信手段によって前記管理装置へ送信し、 前記管理装置が受信した情報を前記記憶媒体の識別符号に対応して前記記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする遊技設備。」で一致し、 (1)前者が、「積算終了後に回収された記憶媒体を収容する収容部と、前記収容部に回収された記憶媒体の収容容量の超過を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された信号に基づいて容量超過を表示する容量超過表示器と、精算可能状態を表示する精算可能表示器と」を備えるのに対し、後者がカード処分機構を備えている点、 (2)前者が、「一面に設けられた開閉扉」を備えているのに対し、後者が、開閉扉を備えているか否か明らかでない点で相違している。 次に、上記相違点について検討する。 相違点(1)について 上記引用例2には、遊技場の精算機に関する発明が記載されており、前者と上記引用例2記載の発明を対比する。 上記引用例2の「カードプール39」は、精算終了後カードを収納するものであるから、前者の「精算終了後に回収された記憶媒体を収容する収容部」に相当する。 上記引用例2の「第1のカード検出器50」は、カードプール39の満杯位置に設けられ、カードプール39に収納されたカードの高さが第1の検出器50位置を越えたことを検出するものであるから、前者の「前記収容部に回収された記憶媒体の収容容量の超過を検出する検出手段」に相当する。 上記引用例2には、第1の検出器50は、カードプール39に収納されたカードの高さが第1の検出器50の位置を越えたときすなわち満杯位置を越えたとき、検出出力pを発生し、作動コントロール回路38が管理室への警報としてカードプール満杯による停止報知信号r又はカード回収要求信号sとを送出することが記載されている。このように、カードプールが満杯であることを報知することが記載されており、しかも報知手段として表示器は周知の手段であるから、上記引用例2の精算機31に表示器を設けて、上記検出出力pにより表示するようにすることに格別困難性は認められない。 上記引用例2の「レディランプ52」は盤面に設けられ、上記検出出力pにより消灯されるものであり、この時カードリーダ34はカード読取動作を禁止されているから、「レディランプ52」は精算機31が精算可能か否かを表示しているものといえるので、前者の「精算可能表示器」に相当する。 そうすると、これらの構成を、後者のカード処分機構に代えて採用することに格別発明力を要するとすることはできない。 相違点(2)について 後者のDの記載によれば、カード精算機300にはカード処分機構319が設けられており、その処分したカードを取り出す必要があることは自明なことであるから、カード精算機の一面に開閉扉を設けるようにすることは設計事項と認められる。 また、本件訂正明細書に係る発明の効果についてみても、当業者が容易に予測し得る程度のことにすぎない。 請求人は、平成13年6月25日付け意見書で、「上記引用例2に記載の発明は、本件特許発明のパチンコ遊技システムとは、異なる技術分野に属するものである。そして、この技術分野の相違は、進歩性を否定する公知資料としての引用例2の適用を阻害するものであり、したがって、本件特許発明と引用例1との相違点(1)を埋めるべく、引用例2に記載の発明の構成を採用することは妥当でない。」と主張している。 しかしながら、引用例1と引用例2は、パチンコ遊技システムのカ-ド精算機である点で共通しており、このカード精算機は、遊技結果を記録したカードに基づいて精算を行うものであって、パチンコ機が、所謂封入式であるか又は所謂カードリーダー式であるかに依存するものではなく、引用例2に記載されるカード精算機に関する構成を引用例1に記載されるカード精算機に適用することを阻害する要因とは認められないから、上記主張は採用できない。 したがって、本件訂正明細書に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-08-24 |
結審通知日 | 2001-08-29 |
審決日 | 2001-09-11 |
出願番号 | 特願昭62-251391 |
審決分類 |
P
1
41・
121-
Z
(A63F)
P 1 41・ 856- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神 悦彦、瀬津 太朗 |
特許庁審判長 |
馬場 清 |
特許庁審判官 |
久保 竜一 村山 隆 |
登録日 | 1997-08-29 |
登録番号 | 特許第2688700号(P2688700) |
発明の名称 | 遊技設備 |
代理人 | 中尾 真一 |
代理人 | 河野 登夫 |
代理人 | 河野 登夫 |
代理人 | 中尾 真一 |