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審決分類 |
審判 査定不服 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G11B 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 C08G |
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管理番号 | 1047967 |
審判番号 | 審判1999-20784 |
総通号数 | 24 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-09-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-27 |
確定日 | 2001-11-07 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第335506号「ディスク基板用ポリカーボネート」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年 9月11日出願公開、特開平10-241149、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、特願昭62-150101号(出願昭和62年 6月18日)の一部を新たな特許出願として平成9年12月5日に出願(特願平9-335506号)したものであって、その発明は、平成11年1月14日付け、平成11年10月1日付けおよび平成12年1月25日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲に記載した、次のとおりのものである。 「ビスフェノールAとホスゲンを原料とし塩化メチレンを溶媒とする界面重縮合法により得られたポリカーボネートであって、不純物の含有量が、アセトン溶媒ソックスレー抽出低分子量成分は2重量%以上3重量%以下、未反応ビスフェノールA20ppm以下および塩化メチレン20ppm以下であることを特徴とするディスク基板用ポリカーボネート。」 2.原査定の理由 これに対し、原審の拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。 本願発明は、 (1)本願明細書の記載からでは、ポリカーボネートの原料となるビスフェノール類としてビスフェノールA以外にどのような化合物を用いるのか明らかでなく、ポリカーボネートの繰り返し単位が特定できない。 (2)本願明細書には、本発明のポリカーボネートがアセトン等の有機溶媒で抽出処理することにより得られる旨が記載されている。また参考例として、アセトンによる抽出処理を行った低分子の含有量の少ないポリカーボネートが示されている。しかし、参考例はいずれも本願請求項1に規定される低分子量成分の範囲を満たすものではなく、どのようにすれば本発明に規定の範囲を満たすポリカーボネートが得られるのかについて本願明細書の記載から自明のものとも認められない。 よって、当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明が記載されたものとは認められない。 したがって、その明細書の記載が不備であるから特許法第36条の規定を満足しない。 3.判断 本願発明が、特許法第36条第3項の規定を満足するか否かについて検討する。 上記拒絶の理由の(1)の点について 本願特許請求の範囲に記載の、ポリカーボネートの原料としては前記補正書により「ビスフェノールA」と限定されたことにより、本願発明のポリカーボネートの原料が明りょうとなった。 上記拒絶の理由の(2)の点について 原出願の当初の明細書(特願昭62-150101号)によれば、第1表の実施例1及び実施例5には、得られたポリカーボネート中の不純物含量が低分子量成分としてそれぞれ2.0重量%であることが記載され、これは、本願明細書の第1表-1において、それぞれ実施例1及び実施例2と記載されており、不純物の含有量が、アセトン溶媒ソックスレー抽出低分子量成分は2重量%のものが示されている。 また、本願明細書段落【0006】には、ビスフェノールAとホスゲンを原料とし塩化メチレンを溶媒とする界面重縮合法によりポリカーボネートの製造方法が記載されている。 そうすると、本願明細書段落【0008】に記載された実施例1により、ポリカーボネートを処理して第1表-1のものが得られる以上、本願発明のポリカーボネートを得ることが具体的に示されているといえる。 したがって、本願発明は、当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明が記載されたものとは認められない、ということはできない。 4.むすび 以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-08-30 |
結審通知日 | 2001-09-11 |
審決日 | 2001-09-26 |
出願番号 | 特願平9-335506 |
審決分類 |
P
1
8・
532-
WY
(G11B)
P 1 8・ 531- WY (C08G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 辰己 雅夫、小野寺 務、三谷 祥子、油科 壮一、木村 順子 |
特許庁審判長 |
谷口 浩行 |
特許庁審判官 |
村上 騎見高 船岡 嘉彦 |
発明の名称 | ディスク基板用ポリカーボネート |
代理人 | 大谷 保 |