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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1047987
審判番号 審判1999-17829  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-04 
確定日 2001-10-25 
事件の表示 平成 4年特許願第 35895号「自動検針システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 3月25日出願公開、特開平 6- 85938]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成4年2月24日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成13年4月9日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1、2の各請求項に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
公衆電話回線を利用して双方向により自動検針を行うことが可能であると共に、前記公衆電話回線の端末側に結ばれた端末網制御装置側に無線親機を取り付け、自動検針用メータ側に無線子機を取り付けることにより、前記端末網制御装置と前記自動検針用メータ間を無線で通信できるように構成して成る自動検針システムにおいて、前記端末網制御装置の下にスター方式から成る集中伝送盤を取り付けると共に、この集中伝送盤の下に前記無線親機を取り付け、前記各自動検針用メータ側に識別子付の前記無線子機を取り付けることにより、前記集中伝送盤と前記自動検針用メータ間を無線で通信できるように構成して成る自動検針システム。
2.引用文献
これに対して、当審における拒絶の理由で引用した実願昭62-160377号(実開平1-64797号)のマイクロフィルム(平成1年4月25日出願公開。以下、「引用文献A」という。)には、「検針メータ1は、各棟の各戸毎に設けられたメータ検出装置2と電気的に接続され、そのメータ検出装置2は各検針メータ1の数値を電気信号にして読取っている・・・メータ検出装置2は、・・・出力データをこの当家庭を識別するためのコード番号を表す信号とともに出力するように構成・・・各検針メータ1とメータ検出装置2は一体化することができ・・・メータ検出装置2の出力側は、集中データ処理装置3に接続され、検針データとして集中データ処理装置3に蓄積され、・・・中央データ処理装置からの読取りのための出力要求があるまで蓄積され・・・この集中データ処理装置3と電話回線5との間には加入者側の端局接続装置4が接続されている・・・集中データ処理装置3は各メータ1の数値とコード番号を記憶し、かつ出力要求信号により所望の検針メータ1の数値とコード番号を出力するように構成されており」(第5頁第14行〜第7頁第8行及び図面)と記載されている。
一方、同じく当審における拒絶の理由で引用した実願昭62-86041号(実開昭63-196189号)のマイクロフィルム(昭和63年12月16日出願公開。以下、「引用文献B」という。)には、「第7図に示すように、所定の小区域ごとに中央側無線機1を複数配置し、これを固定しておき、これらの複数の中央側無線機1を例えばCATVの回線に接続し、この回線を通じて、複数の中央側無線機1で収集した検針データをCATVセンタ-200で一括して処理することも可能である。」(第16頁第7〜13行)と記載されており、また、図中「2-1〜2-N」は「端末側無線機」であり、「10-1〜10-N」はガス等の「メ-タ」であり(図面の簡単な説明など)、「中央側無線機」が「端末側無線機との間で、・・・メータの計測値等の情報収集・・・を行う」(請求項1)とも記載されている。
3.対比
本願発明と、引用文献Aに関して上記摘記した事項によって特定される発明(以下、「引用発明」という。)とを対比する。
引用発明中の「端局接続装置(4)」、「集中データ処理装置」、「メータ検出装置(2)と検針メータ(1)」は、上記摘記した事項中の各機能からして、それぞれ、本願発明における「端末網制御装置」、「集中伝送盤」、「自動検針用メータ」に相当し、また、引用発明中の「電話回線」は明らかに「公衆電話回線」のことであり、同「集中データ処理装置」はスター方式で各メータ検出装置に接続されており、検針データの出力に関する記載からして双方向であることも明らかであるから、本願発明と引用発明は、「公衆電話回線を利用して双方向により自動検針を行うことが可能であると共に、公衆電話回線の端末側に結ばれた端末網制御装置と自動検針用メータ間を通信できるように構成して成る自動検針システムにおいて、前記端末網制御装置の下にスター方式から成る集中伝送盤を取り付けると共に、前記集中伝送盤と前記自動検針用メータ間を通信できるように構成して成る自動検針システム」という点で一致し、以下の2点で相違する。
・相違点(1)
本願発明においては、「集中伝送盤の下に無線親機を取り付け」る一方で「自動検針用メータ側に無線子機を取り付け」、「端末網制御装置と前記自動検針用メータ間」の「集中伝送盤と前記自動検針用メータ間」で、「無線で通信できるように構成して成る」が、このような点は、引用発明にはなく、相違する。
・相違点(2)
本願発明においては、無線子機は「識別子付」であるが、引用発明においては、自動検針用メータ(メータ検出装置)が、識別子に相当する「コード番号」を出力するようになっている点で、相違する。
4.当審の判断
そこでこの相違点について検討する。
・相違点(1)について
引用文献Bに関して上記摘記した事項において、「端末側無線機」、「中央側無線機」は「無線子機」、「無線親機」として機能しており、「メータ」は明らかに自動検針用であるから、引用文献Bには、自動検針用メータ側に無線子機を取り付け、それら複数台から、1つの無線親機に、自動検針データを無線で通信し、無線親機は、それらのデータを、有線回線を介して、センターへデータ通信する技術が示されている。
してみると、自動検針用メータ側に無線子機を取り付けて、自動検針のデータを無線で通信するようにした点は、引用文献Bに明らかに記載されており、また、引用文献Bに記載のこの技術を引用発明で利用する際、無線親機を集中伝送盤(集中データ処理装置)の下に取り付けるようにすることも、当然の設計的事項といえ、しかも、引用発明も引用文献Bに記載の技術も、同じ自動検針システムであるから、相違点(1)は、引用明中の一部構成を引用文献Bに記載の技術で単に設計的に利用した程度のものにすぎない。
・相違点(2)について
識別子は、検針データと一体になって、その検針データがどの自動検針用メータからのものかを明らかにするものであって、自動検針用メータあるいは無線子機のいずれかに付属させればよいことは、自明であるから、たとえ本願発明のように無線子機に付属させても、引用文献Aに識別子を用いることが記載されている以上、この相違点(2)は、単なる選択の域を出ない。
5.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は引用文献Aに記載された発明及び引用文献Bに記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の請求項1に係る発明について特許を受けることができないものである以上、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-07-24 
結審通知日 2001-08-03 
審決日 2001-09-06 
出願番号 特願平4-35895
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 白井 孝治
山本 春樹
発明の名称 自動検針システム  
代理人 大橋 弘  

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