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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1048146
審判番号 審判1999-17811  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-09-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-04 
確定日 2001-11-19 
事件の表示 平成4年特許願第39120号「半導体装置の製造方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成5年9月10日出願公開、特開平5-234964、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 [1]手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年2月26日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年4月16日付及び平成11年11月4日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「半導体基板上もしくは前記半導体基板面に形成されたゲート電極形成用薄膜上に第1の薄膜を形成する工程と、
前記第1の薄膜を、端部短縮して、目標寸法より小さい幅の第1のパターンに形成する工程と、
前記第1のパターンの寸法を実測する工程と、
前記目標寸法と実測した前記第1のパターンの寸法との差により見込まれる、前記端部短縮相当膜厚の第2の薄膜を形成する工程と、
前記第2の薄膜を、異方性ドライエッチにより前記第1の薄膜の側面に前記端部短縮相当膜厚分だけ残して、サイドウオール形成する工程と、
前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜で形成された第2のパターンをマスクにして、前記ゲート電極形成用薄膜を選択エッチングして、ゲート電極を形成する工程と
をそなえたことを特徴とする半導体装置の製造方法。」

[2]引用例の記載事項
これに対し、当審の拒絶の理由に引用された引用例(なお、引用例は原査定の拒絶の理由にも引用されている。)の特開昭59-94843号公報には、素子分離領域の形成方法に関する発明が第2図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。

実施例の説明として
「シリコン基板11を熱酸化して厚さ900Åの熱酸化膜12を成長させ、その上にCVD法により厚さ500Åの多結晶シリコン層13、厚さ2500Åのシリコン窒化膜14、厚さ4000Åの第1の多結晶シリコン膜(第1の被膜)15を順次堆積した(第2図(a)図示)。
次に、該第1の多結晶シリコン膜15上に図示しないホトレジストパターンを形成した後、Cl2+H2ガスを用いた反応性イオンエッチングにより前記第1の多結晶シリコン膜15をその端部が垂直になるようにパターニングして多結晶シリコンパターン15’を形成した。これら多結晶シリコンパターン15’・・・間の間隙は現状の技術レベルでは最小1.5μm程度である(同図(b)図示)。
次に、全面に厚さ0.5μmの第2の多結晶シリコン膜(第2の被膜)16を堆積した(同図(c)図示)。つづいて、全面をCl2+H2ガスを用いた反応性イオンエッチングの雰囲気に曝した(同図(d)図示)。この工程により前記多結晶シリコンパターン16’の側面にのみ残存多結晶シリコン膜16’を形成した。この残存多結晶シリコン膜16’の幅は前記第2の多結晶シリコン膜16の膜厚と略同一の0.5μm程度となり、残存多結晶シリコン膜16’間の間隙は1μm程度狭まり0.5μm程度となる(同図(e)図示)。
次いで、前記多結晶シリコンパターン15’及び残存多結晶シリコン膜16’をマスクとしてCH4+H2ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)により露出した前記シリコン窒化膜14をエッチングしてシリコン窒化膜パターン14’を形成した。これらシリコン窒化膜パターン14’・・・間の間隙は0.5μm程度となる。」(2頁右下欄6行〜3頁左上欄18行)

「選択酸化時の分離酸化膜17の横方向の拡がり0.5μmに合わせて、第2の多結晶シリコン膜16の膜厚を0.5μmに規定すれば、第2図(e)図示の工程で多結晶シリコンパターン15’の側面に形成される残存多結晶シリコン膜16’の幅も約0.5μmとなる。」(3頁左下欄12〜17行)

「分離酸化膜17の幅を現状の写真蝕刻法の限界まで微細化することができる。しかも、分離酸化膜17の幅を第2の多結晶シリコン膜16の膜厚によって制御することができるので制御性がよい。」(3頁右下欄6〜10行)

以上の記載をまとめると、刊行物1には、分離酸化膜の幅を現状の写真蝕刻法の限界まで微細化するために、第1の多結晶シリコン膜をその端部が垂直になるようパターニングして、写真蝕刻法の限界である最小1.5μm程度の多結晶シリコンパターンを形成し、全面に厚さ0.5μmの第2の多結晶シリコン膜を堆積し、この第2の多結晶シリコン膜をエッチングして多結晶シリコンパターンの側面にのみ残存多結晶シリコン膜を形成することにより、残存多結晶シリコン膜の幅は第2の多結晶シリコン膜の膜厚とほぼ同一の0.5μm程度となり、残存多結晶シリコン膜間の間隙は1μm程度狭まり0.5μm程度となり、次いで、露出したシリコン窒化膜をエッチングしてシリコン窒化膜パターンを形成する工程により、シリコン窒化膜パターン間の間隙を0.5μm程度とする発明が記載されている。

[3]対比・判断
本願発明と引用例に記載されたものとを対比・検討する。
引用例に記載されたものは、分離酸化膜の幅を現状の写真蝕刻法の限界まで微細化するために、シリコン窒化膜パターン間の間隙を0.5μm程度とするものであって、第1の多結晶シリコン膜をパターニングして、写真蝕刻法の限界である最小1.5μm程度の間隙を形成し、次いで、0.5μmの厚さの第2の多結晶シリコン膜を全面に堆積し、この第2の多結晶シリコン膜をエッチングして残存多結晶シリコン膜間の間隙を0.5μm程度としたものである。
してみると、第1の多結晶シリコン膜のパターン間の間隙は最小1.5μm程度であって、その間隙は実測されないままであるから、0.5μmの厚さの第2の多結晶シリコン膜を全面に堆積しても、エッチング後の残存多結晶シリコン膜間の間隙は0.5μmではなく、0.5μm程度となり、残存多結晶シリコン膜間の間隙の寸法精度、すなわち、シリコン窒化膜パターン間の間隙の寸法精度は高いとはいえない。
一方、本願発明は、ゲート電極形成用薄膜を目標寸法であるゲート電極の寸法より小さい幅のパターンに形成し、このパターンの寸法を実測して、目標寸法と実測したパターンの寸法との差により見込まれる膜厚のサイドウオール用薄膜を形成するものであって、微細なパターンの寸法精度がサイドウオール用薄膜の膜厚の寸法精度に依存することを利用して、ゲート電極の幅の寸法精度を高くするものである。
してみると、ゲート電極の幅の寸法精度を向上させることが周知の課題であり、ゲート電極用の薄膜上にマスクを形成してエッチングにより所望の幅のゲート電極を形成することが周知慣用技術(特開平3-227517号公報、特開昭3-242929号公報参照)であるにしても、この周知慣用技術に、甲第1号証に記載された、分離酸化膜の幅を現状の写真蝕刻法の限界まで微細化する技術を適用しても、本願発明を容易に想到することはできない。

そして、本願発明は、明細書に記載されているように、ゲート電極の幅の寸法精度を向上させることができるという、引用例に記載されたものからは期待することができない顕著な作用効果を奏するものである。

[4]むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-10-29 
出願番号 特願平4-39120
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松本 邦夫田中 永一  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 市川 裕司
雨宮 弘治
発明の名称 半導体装置の製造方法  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  

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