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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02M |
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管理番号 | 1048292 |
審判番号 | 不服2000-12870 |
総通号数 | 24 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1990-05-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-08-14 |
確定日 | 2001-11-07 |
事件の表示 | 平成 1年特許願第158464号「回転操作型エンドレス‐デイジタルパルス発生器の使用方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年 5月 7日出願公開、特開平 2-119567]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成1年6月22日(パリ条約による優先権主張1988年6月22日、ドイツ連邦共和国)の出願であって、その請求項1ないし9に係る発明は、平成11年3月8日付け、平成11年12月1日付けおよび平成12年9月13日付け手続補正書により補正された明細書および図面に記載からみて特許請求の範囲に記載のとおりと認められるところ、請求項1に係る発明は次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という) 「請求項1 デジタルパルスを発生する回転操作型エンドレス-パルス発生器が、操作の際に回転方向に応じて相互に位相のずれた2つのパルス列のいずれか一方を発生し、 当該パルス列により、マイクロコンピュータと共動する電子制御装置によって回転方向が識別可能である形式の回転操作型エンドレス-パルス発生器の使用方法において、 前記パルス発生器の回転運動を、機能選択と、当該機能の値調整とに使用し、 該パルス発生器の回転軸と結合されたプルスィッチまたはプッシュスイッチが、所定のシーケンスでスイッチ信号を出力することにより、前記パルス発生器に機能選択または当該機能の値調整を割り当て、並びに選択確定および/または実行された調整の記憶を行う、ことを特徴とする、回転操作型エンドレス-パルス発生器の使用方法。」 2.引用刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前である昭和59年6月28日に頒布された「特開昭59-112273号公報」(以下「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)「第4a図と第4b図は、本発明に係る第10実施例を示し、パルスジェネレート手段をそこに有したものである。 第4a図と第4b図において、ノブ38がシャフト39に保持されている。(中略)上記のコンタクタC2とC3の端は、故意にずらせて、上記のノブ38の回転の方向が判る様にしてある。」(5頁右下欄7行〜6頁左上欄3行) (2)上記のノブ38は、2個所の安定した位置に置かれ得る。(中略)また、2個所の不安定な位置6と9を有する。此の不安定な位置6と9は、それぞれ上記のノブ38を一杯に押すか一杯に引くかする等によって得られる。」(6頁左上欄4行〜13行) (3)「コンタクタC5は、上記のノブ38が上記の不安定位置6に有る時にのみ上記のディスク状の導電体44にコンタクトする位置にある。 そして、コンタクタC6は、上記のノブ38が上記の不安定位置9に来た時にのみフロント部分45とコンタクトする位置にある。」(6頁右下欄11行〜16行) (4)「第4図と6図で、そのノブ位置は大きく二分(ぶん)できる。すなわち、上記の不安定位置6と安定位置7は、検索、ディスプレイそしてリセットを有した機能の最初のセットである。そして、上記の安定位置8と不安定位置9は、消去、編集、そして書き込み(新たなフレームの追加)を有した機能の第2のセットである。」(9頁右下欄16行〜10頁左上欄2行) (5)第7図及び関連する記載(13頁右下欄〜15頁右上欄参照)には、第4a図、第4b図のシグナルコントロール手段をコントロールユニット83として適用し、第1のロジックコントロールユニット、フレームセット回路85〜88,メモリーユニット89〜92、第2のロジックコントロールユニット(CPU)等から構成される腕時計のコントロールシステムにより、異なったモード内に異なったフレームをインプットし、編集し、消去し、ディスプレイする方法が記載されている。 なお、上記(1)でのコンタクタから発するパルスと上記(5)に記載のCPU、第1のロジックコントロールユニット等により、回転方向が識別可能となっていることが明かである。 (6)6図および関連する記載(10頁左上欄5行〜13頁左下欄参照)によれば、ノブ38を押すことにより所望のフレーム読み取りモードを選択可能にし、この状態でノブの回転にフレーム選択機能を与え、更に、ノブを引くことによりノブの回転に選択されたフレームの消去、編集、書き込み機能を割り当て、更に、消去、編集、書き込み後ノブを押すことにより、該消去編集書き込みした値が確定し記憶されることが明かである。 そして、ノブの押すまたは引く動作は上記(1)に記載のようにコンタクタC5,C6とロータリメンバ42に設けられた導体とによりプッシュスイッチまたはプルスイッチを構成していることが明かである。 すなわち、上記(6)では、プッシュまたはプルスイッチにより所定の状態で信号を出力することにより、前記パルスジェネレート手段に読み取りフレームの選択機能または当該選択した読み取りフレームにおける編集、消去、書き込みを割り当て、並びに編集した値の確定及びその記憶を行っていることは明かである。 これらの記載事項によれば、引用刊行物には、 「パルスを発生する回転操作型パルスジェネレート手段が、操作の際に回転方向に応じて相互に位相のずれた2つのパルス列のいずれか一方を発生し、 当該パルス列により、CPUや第1ロジックコントロールシステム等によって回転方向が識別可能である形式の回転操作型パルスジェネレート手段の使用方法において、 前記パルスジェネレート手段の回転運動を読み取りフレームの選択機能と、当該選択したフレームにおける編集、消去、書き込み機能に使用し、 該パルスジェネレート手段のシャフトと連動されたプルスィッチ及びプッシュスイッチが、所定の状態で信号を出力することにより、前記パルスジェネレート手段に読み取りフレームの選択機能または当該選択した読み取りフレームにおける編集、消去、書き込み機能を割り当て、並びに編集、消去、書き込みした値の確定及びその記憶を行う、 ことを特徴とする、回転操作型パルスジェネレート手段の使用方法」の発明(以下、「引用刊行物に記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。 3.対比 本願発明と引用刊行物記載の発明を対比する。 (1)引用刊行物に記載の発明における「シャフト」「回転パルスジェネレート手段」「CPU及び第1ロジックコントロール手段等」は、本願発明における「回転軸」「回転操作型エンドレス-パルス発生器、パルス発生器」「マイクロコンピュータと共動する電子制御装置」に相当する。 (2)引用刊行物に記載の発明における「パルスジェネレート手段のシャフトと連動されたプルスィッチ及びプッシュスイッチ」と本願発明における「パルス発生器の回転軸と結合されたプルスィッチまたはプッシュスイッチ」は、「パルス発生器の回転軸と連動された軸方向に操作されるスィッチ」で共通する。 (3)引用刊行物の発明における「編集、消去、書き込みした値の確定およびその記憶を行う」は、これら編集、消去、書き込みの操作が終わった時に確定させること及び記憶させることは当然行うことであるから、本願発明における「選択確定および/または実行された調整の記録」に相当する。 したがって、両者は、 「デジタルパルスを発生する回転操作型エンドレス-パルス発生器が、操作の際に回転方向に応じて相互に位相のずれた2つのパルス列のいずれか一方を発生し、 当該パルス列により、マイクロコンピュータと共動する電子制御装置によって回転方向が識別可能である形式の回転操作型エンドレス-パルス発生器の使用方法において、 前記パルス発生器の回転運動を、機能選択と、当該機能の値調整とに使用し、 該パルス発生器の回転軸と連動し、軸方向に操作されるスイッチが、スイッチ信号を出力することにより、前記パルス発生器に機能選択または当該機能の値調整を割り当て、並びに選択確定および/または実行された調整の記憶を行う、 ことを特徴とする、回転操作型エンドレス-パルス発生器の使用方法。」 で一致し、以下の点で相違する。 相違点1. 本願発明が 「パルス発生器の回転軸と結合された」プルスィッチまたはプッシュスイッチを備えているのに対し、引用刊行物に記載の発明では、プルスイッチ及びプッシュスイッチはシャフトに結合されていない点。 相違点2. パルス発生器の回転軸と連動し、軸方向に操作されるスイッチが、スイッチ信号を出力することにより、前記パルス発生器に機能選択または当該機能の値調整を割り当て、並びに選択確定および/または実行された調整の記憶を行う際、スイッチとして、本願発明が「プルスィッチまたはプッシュスイッチを用い、かつ所定のシーケンスでスイッチ信号を出力」しているのに対し、引用刊行物に記載の発明では、「プルスイッチ及びプッシュスイッチを用い、かつ所定の状態で信号を出力」するように構成している点。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 相違点1について 引用刊行物に記載の発明では、プッシュスイッチ及びプルスイッチをノブ38・シャフト39に結合したロータリメンバ42(円筒体)の軸方向端部の導体44,45とコンタクタC5,6が、前記ノブの押すか引くかに連動して移動する前記ロータリメンバの軸方向移動で接触するか否かでスイッチを構成しているが、周知のマイクロスイッチの如く独立したスイッチをシャフトに結合して直接シャフトの軸方向移動に応じて動作させることは、当業者が必要に応じて適宜実施しうる程度のことにすぎないと認められる。 相違点2について 引用刊行物の第1図は、第4図を中心に認定した上記引用刊行物に記載の発明における表示や編集等のすべての機能をコントロールボタン1〜5のプッシュ動作のみにより行っている実施例であり、上記引用刊行物に記載の発明においても、状態の変化を起こさせるためのスイッチをプッシュスイッチとプルスイッチに分けずに第1図に記載のようにプッシュスイッチのみまたはプルスイッチのみで行うようにすることに格別の困難性が認められない。 そして、プッシュスイッチとプルスイッチの両方を用いるシーケンスまたは状態の設定を、1種類のスイッチのみを用いるようにそのシーケンスまたは状態設定を変更することも、スイッチの変更に応じて当業者が当然実施し得る程度のことにすぎない。 なお、本願発明によって得られる効果も引用刊行物に記載の発明から予測しうる程度のものにすぎないと認められる。 5.むすび したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-06-06 |
結審通知日 | 2001-06-12 |
審決日 | 2001-06-26 |
出願番号 | 特願平1-158464 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H02M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 広岡 浩平、野元 久道 |
特許庁審判長 |
三友 英二 |
特許庁審判官 |
岩本 正義 森川 幸俊 |
発明の名称 | 回転操作型エンドレス‐デイジタルパルス発生器の使用方法 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | ラインハルト・アインゼル |