• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1048380
異議申立番号 異議2000-71530  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-05-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-04-18 
確定日 2001-07-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2963228号「プラズマ処理装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2963228号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
特許第2963228号(平成3年4月22日出願、平成11年8月6日設定登録。)は、異議申立人東谷 満により特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年5月24日に訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否についての判断
(1)訂正事項
(1-1)訂正事項A
願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とするプラズマ処理装置。」を、
「前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とするプラズマ処理装置。」
と訂正する。

(1-2)訂正事項B
特許明細書の段落【0009】を、
「【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のプラズマ処理装置は、被処理物を収容するチャンバと、このチャンバ内に設けられ高周波電圧が印加される電極と、前記チャンバ内に所定の処理ガスを供給する処理ガス供給配管系とを具備し、前記チャンバ内でプラズマを発生させて前記被処理物を処理するプラズマ処理装置において、前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とする。」
と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び拡張・変更の存否
(2-1)訂正事項Aについて
上記訂正事項Aについては、特許明細書の請求項1に記載された「非金属製であって着脱自在とされたカバー」を、より下位概念である「非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバー」に限定するものである。
したがって、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。

(2-2)訂正事項Bについて
上記訂正事項Bについては、上記訂正事項Aの特許請求の範囲の訂正に伴い、特許明細書の記載を整合させたものである。すなわち、訂正前の記載内容では、訂正事項Aによる訂正によって減縮された特許請求の範囲の記載との関係において明りょうでない部分が生じることになり、この明りょうでない部分が発生することを回避するために発明の詳細な説明の記載を訂正するものである。
したがって、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明に該当するものである。

そして、上記訂正事項A、Bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]異議申立てについて
(1)異議申立ての概要
異議申立人東谷 満は、証拠として、
甲第1号証:特開平1-189124号公報
甲第2号証:特開昭63-138737号公報
甲第3号証:特開昭63-107024号公報
甲第4号証:特開平1-312087号公報
甲第5号証:特開平2-125430号公報
を提出して、次の理由により本件特許を取り消すべき旨主張する。

(理由1)本件請求項1に記載された発明(以下、「本件発明」という。)は、甲第1〜3号証にそれぞれ記載された発明であるから、本件発明についての特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(理由2)本件発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、 本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(理由3)本件請求項1の記載は記載不備であるから、本件発明についての特許は、特許法第36条第4項の規定に違反してされたものである。

(2)本件発明
本件発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「被処理物を収容するチャンバと、このチャンバ内に設けられ高周波電圧が印加される電極と、前記チャンバ内に所定の処理ガスを供給する処理ガス供給配管系とを具備し、前記チャンバ内でプラズマを発生させて前記被処理物を処理するプラズマ処理装置において、
前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とするプラズマ処理装置。」

(3)甲各号証の記載事項
(3-1)甲第1号証
甲第1号証の特開平1-189124号公報には、エッチング装置に関する発明が記載されている。
また、「真空容器内に設けられ対向した電極の間に被処理体を保持し、対向した電極に電圧を印加して被処理体をプラズマ化したガスでエッチングするエッチング装置において、対向した電極間にプラズマ化したガスが集中する様に電極周辺の導電性部材を絶縁被覆する手段を具備したことを特徴とするエッチング装置。」(特許請求の範囲)が記載されている。
また、第3図には、ねじ(19)の上面を絶縁部材(20)によって被覆した構成が記載され、この絶縁部材(20)は四弗化エチレン製樹脂からなり、導電性部材を絶縁被覆していること(3頁左上欄1〜4行目)、絶縁部材(20)に用いられる材料は、「導電性部材を絶縁被覆できれば何れでも」(5頁右上欄7〜12行目)よいことが、それぞれ記載されている。
そして、このような絶縁部材(20)を設ける目的は、プラズマ化したガスが導電性部材に回り込んでプラズマが拡散することを防止し、安定したエッチングを行うことにあること(1頁右下欄下から5行目〜2頁左上欄10行目)が示されている。

(3-2)甲第2号証
甲第2号証の特開昭63-138737号公報には、ドライエッチング装置に関する発明が記載されている。
また、金属製のチャンバ1、上部電極2、ガス供給路10を備え、チャンバ1の内面を、着脱自在な絶縁材(下部シールド14、チャンバシールド15、上部シールド16)で被覆したドライエッチング装置が記載され、この絶縁材は、セラミック等の絶縁材で形成され、チャンバ1に対する着脱が容易となるように設けられること(第1図及び3頁左上欄3〜14行目)が記載されている。
そして、このような絶縁材を設ける目的は、プラズマが拡散するという問題、及びポリマーが金属製チャンバ内に付着するという問題を解決すること(2頁左上欄下から4行目〜同頁右上欄7行目)であり、また、上記絶縁材を着脱自在とする目的は、ポリマが付着した絶縁材を短時間で取り外し、チャンバ外でクリーニングできるようにすること(3頁左下欄11行目〜同欄下から3行目)であることが、それぞれ示されている。

(3-3)甲第3号証
甲第3号証の特開昭63一107024号公報には、ドライエッチング装置に関する発明が記載されている。
また、第1図aには、反応容器6、電極2、およびガス導入部1を備えたエッチング装置が記載され、第1図b及び発明の詳細な説明(3頁右上欄下から10〜4行目)には、固定ボルト73で電極3に固定されたSiC本体70と、固定ボルト73の上部を覆うSiC蓋71とからなるSiCカバー7が記載されている。
そして、SiCカバー7として、ステンレス材を用いると鉄等が基板に付着する等の金属汚染の問題が生じること(3頁左下欄下から7行目〜右下欄1行目)、このような金属汚染の発生しない材料として、SiCを用いて固定ボルト73の蓋71を構成することが示されている。

(3-4)甲第4号証
甲第4号証の特開平1-312087号公報には、非金属製のカバーを、チャンバー内に着脱自在に取り付けた発明が記載されている。
また、高周波印加電極2表面を覆う誘電体カバー6、7を着脱自在とすること(4頁左下欄下から8行目〜右下欄5行目)、誘電体としてセラミックス等を用いることができること(6頁右上欄下から2行目〜左下欄1行目)が記載されている。

(3-5)甲第5号証
甲第5号証の特開平2-125430号公報には、非金属製のカバーを、チャンバー内に着脱自在に取り付けた発明が記載されている。
また、第1図(a)および発明の詳細な説明には、絶縁部材31を反応室側壁11a表面にネジで固定すること(3頁左上欄11行目〜下から4行目)、ネジで固定することからみて、絶縁部材31を着脱自在とする構成が示されている。
そして、この絶縁部材31は、半導体に対する汚染源となるFe等の金属を含まないことが望ましい(3頁右上欄4〜7行目)と記載されており、金属汚染の課題についての認識も示されている。

(4)対比・判断
(4-1)理由1、2に対して
本件発明と甲第1〜5号証に記載されたものとを対比すると、
甲第1号証に記載された四弗化エチレン樹脂製の絶縁部材(20〜22)は、ねじ(19)の表面を被覆するものであって、絶縁部材(20〜22)に円孔を設けて、この円孔により絶縁部材(20〜22)を着脱自在とすることは何も記載されていない。
甲第2号証には、カバーに相当するものは何も記載されていない。
甲第3号証に記載されたSiCカバー7のうちのSiC蓋71は、固定ボルト73の上部を覆うものであり、蓋である以上、通常は着脱自在とされているものと認められるが、着脱自在のための円孔は設けられていない。
甲第4号証に記載された着脱自在の第1、2の誘電体カバー6、7は、高周波印加電極2の表面を覆うものであり、また甲第5号証に記載された絶縁部材31は反応室側壁11aの表面に固定したものであって、それぞれボルト、ナットを覆うものではない。
しかも、ボルト、ナットを覆うカバーについて、円孔により着脱自在としたものは本件出願前周知のものであるとはいえないし、円孔により着脱自在とすることが単なる設計的事項であるということもできない。

そして、本件発明は、金属汚染の発生を抑制することができるとともに、円孔によりカバーの着脱を容易に行うことができるという顕著な効果を奏するものである。

したがって、本件発明は、甲第1〜3号証に記載された発明ではないし、また、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

(4-2)理由3に対して
申立人は、本件特許の請求項1には、「ボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆った」構成が記載されているものの、特許明細書の発明の詳細な説明には、ボルトおよびナットの全部をカバーによって覆う構成しか記載されておらず、これらの一部のみを覆う構成は一切記載されていないから、請求項1は、開示範囲を超えた不当に広いクレームである旨主張している。
しかしながら、本件発明は、プラズマ処理装置におけるプラズマの作用による「金属汚染の発生を抑制」を目的とするものであって、この目的を達成するために、本件発明は、チャンバ内に設けられたボルト等の露出する部分を非金属性のカバーで覆うことにより、この部分において放電が発生し、プラズマが生起して金属汚染が発生することを防止したものである(段落【0027】、図3参照)。
してみると、請求項1の「少なくとも一部」との記載は、ボルトおよびナットのチャンバ内に露出する部分(すなわち、ボルトおよびナットの露出した部分であって、一本のボルトおよびナットについてみると、少なくとも一部分。)を意味していることは明らかである。
したがって、申立人の主張は採用できない。

[4]むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものとは認められない。
よって、平成6年改正法附則第14条の規定に基づく、平成7年政令第205号第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プラズマ処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 被処理物を収容するチャンバと、このチャンバ内に設けられ高周波電圧が印加される電極と、前記チャンバ内に所定の処理ガスを供給する処理ガス供給配管系とを具備し、前記チャンバ内でプラズマを発生させて前記被処理物を処理するプラズマ処理装置において、
前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とするプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は、プラズマ処理装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来から、電極間に印加した高周波電力によりプラズマを生成し、このプラズマを利用して被処理物に処理を施すプラズマ処理装置が使用されている。例えば半導体デバイスの製造工程では、半導体ウエハの表面等に形成された薄膜を、プラズマを用いてエッチングするドライエッチング装置、あるいはプラズマを用いて薄膜を形成するプラズマCVD装置、スパッタ装置等が用いられている。
【0004】
このような従来のプラズマ処理装置、例えばドライエッチング装置では、チャンバ内に、平行平板電極、例えば上部電極と下部電極が設けられており、例えばこの下部電極上に半導体ウエハを載置するよう構成されている。そして、チャンバ内を所定の処理ガス雰囲気とするとともに、上部電極と下部電極との間に所定の高周波電力を供給し、プラズマを発生させて半導体ウエハの表面に形成された薄膜をドライエッチングにより除去する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年半導体デバイスは急速に高集積化されており、その回路パターンは超微細化されつつある。このため、半導体デバイスの各処理工程においては、無塵化および高純度化が要求されており、上述したプラズマ処理装置、例えばドライエッチング装置等では、プラズマの作用により生じるいわゆる金属汚染の問題が大きな問題となりつつある。
【0006】
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、金属汚染の発生を抑制することができ、従来に較べて良好な処理を行うことのできるプラズマ処理装置を提供しようとするものである。
【0007】
[発明の構成]
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のプラズマ処理装置は、被処理物を収容するチャンバと、このチャンバ内に設けられ高周波電圧が印加される電極と、前記チャンバ内に所定の処理ガスを供給する処理ガス供給配管系とを具備し、前記チャンバ内でプラズマを発生させて前記被処理物を処理するプラズマ処理装置において、前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とする。
【0010】
【0011】
【作用】
通常、プラズマが生起される処理用のチャンバ内には、各構成部材を固定するための金属製のボルトおよびナットが設けられている。本発明のプラズマ処理装置では、これらのボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製、例えばセラミックス製であって着脱自在とされたカバーによって覆うことにより、金属汚染の発生を抑制する。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を半導体ウエハのドライエッチングを行うドライエッチング装置に適用した一実施例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施例のドライエッチング装置は、内部を気密に閉塞可能に構成された円筒状のチャンバ1を備えている。このチャンバ1は、導電性材料、例えばアルミニウム(表面にアルマイト処理を施してある)等からその主要部が構成されており、チャンバ1内には、円板状に形成された上部電極2と、下部電極3が対向する如くほぼ平行に設けられている。
【0014】
この下部電極3の下部には、伸縮自在に構成された気密封止機構として例えば蛇腹機構4が設けられており、図示しない駆動機構、例えばエアシリンダにより図示矢印の如く上下動可能に構成されている。また、下部電極3は、上面に半導体ウエハ5を載置可能に構成されており、図示しない冷却機構例えば冷媒循環機構により、この半導体ウエハ5を所望温度に冷却することができるよう構成されている。
【0015】
一方、上部電極2は、導電性材料例えばカーボン等から構成されており、絶縁性材料、例えばアルミナセラミックス等から円筒状に形成された絶縁性部材6によって、チャンバ1の構成部材と電気的に絶縁された状態で支持されている。この上部電極2には、複数の処理ガス流出孔7が形成されており、上部電極2の上部には、配管接続ブロック8が接続されている。この上部電極2にも、冷媒を循環させて冷却する図示しない冷却機構が設けられている。
【0016】
上記配管接続ブロック8は、図2に示すように、絶縁性部材、本実施例では純度99.5%のアルミナセラミックス等から矩形のブロック状に形成されており、内部に処理ガス流路9、冷媒入口流路10、冷媒出口流路11が設けられている。そして、これらの流路の上部にそれぞれOリング12を介して処理ガス供給配管13、冷媒入口配管14、冷媒出口配管15が接続されている。
【0017】
また、配管接続ブロック8の下端部には、側方に突出する如くフランジ部16が設けられており、このフランジ部16に嵌合する如く形成された接続部材17を介して図示しないボルト等によって上部電極2に押圧、係止されるよう構成されている。そして、配管接続ブロック8と上部電極2との間には、Oリング12が介挿されており、配管接続ブロック8の処理ガス流路9、冷媒入口流路10、冷媒出口流路11は、それぞれ上部電極2に設けられた処理ガス流路18、冷媒入口流路19、冷媒出口流路20に接続されている。
【0018】
なお、上記処理ガス流路18は、上部電極2の各処理ガス流出孔7に接続されている。また、冷媒入口流路10、冷媒出口流路11は、それぞれ上部電極2に設けられた図示しない冷媒循環流路に接続されている。
【0019】
ここで、上述したように、配管接続ブロック8は、純度99.5%のアルミナセラミックスから構成されているが、処理ガス流路9の部分には他の部位より高純度例えば純度99.9%のアルミナセラミックスから構成された円筒状部材21が設けられており、処理ガス流路9の内壁が純度99.9%のアルミナセラミックスによって構成されるようになっている。これは、前述したように処理ガス流路9内にプラズマが発生した際に、できるだけ不所望な不純物か発生しないようにし、不純物が半導体ウエハ5へ混入することを防止するためである。
【0020】
このように、処理ガス供給配管13、冷媒入口配管14、冷媒出口配管15を一体に接続した配管接続ブロック8を用いることにより、メンテナンスの際、配管接続ブロック8を上部電極2から着脱することにより、一括した配管類の着脱を行うことができ、メンテナンス時間の短縮を図ることができる。また、上部電極2と配管類との絶縁も確実に行うことができる。
【0021】
また、上記上部電極2および下部電極3には、電力供給機構22が接続されており、上部電極2と下部電極3との間に所定周波数、例えば13.56MHzの高周波電力を供給可能に構成されている。そして、処理ガス供給配管13から供給した処理ガス(エッチングガス)を、上部電極2に設けられた処理ガス流出孔7から、下部電極3上に載置された半導体ウエハ5に向けて流出させるとともに、チャンバ1の下部に接続された排気配管23によって排気を実施することにより、チャンバ1内を所定圧力の所定ガス雰囲気に設定することができるよう構成されている。
【0022】
さらに、図3に示すように、チャンバ1内には各種の部材を固定するため、例えば、セラミックスからなる基台30に板状部材31を固定するため、金属製のボルト32(あるいはナット)が設けられているが、このようなボルト32の上部には、それぞれカバー33が設けられている。このカバー33は、図4にも示すように、非金属製材料、例えば高純度のセラミックスから円板状に形成されており、その中央部には、直径1mm程度の小さな円孔34が設けられている。この円孔34は、メンテナンス等のため、ボルト32を操作する際に、カバー33を取り外し易くするためのものである。
【0023】
なお、図3に示す例では、セラミックスからなる基台30にボルト32を固定するため、内側壁にねじを形成された金属製の円筒状部材35が、予め基台30に穿設された孔内に接着固定されている。このようにすれば、ボルト32をより確実に固定することができる。
【0024】
上記構成のこの実施例のドライエッチング装置では、図示しない駆動機構により、下部電極3を下降させた状態で図示しない搬入口から半導体ウエハ5をチャンバ1内に搬入し、下部電極3上に載置する。
【0025】
この後、下部電極3を上昇させ、上部電極2と下部電極3との間隔を所定間隔に設定する。
【0026】
しかる後、処理ガス供給配管13から所定の処理ガス(エッチングガス)を供給し、処理ガス流出孔7から半導体ウエハ5に向けて流出させるとともに、排気配管23から排気を実施してチャンバ1内を所定圧力の処理ガス雰囲気とし、これとともに、電力供給機構22から上部電極2と下部電極3との間に所定周波数、例えば13.56MHzの高周波電力を供給する。すると、上部電極2と下部電極3との間に放電が生じ、処理ガスがプラズマ化されて半導体ウエハ5表面に形成された薄膜のドライエッチングが行われる。
【0027】
この時、本実施例では、前述したように上部電極2に、純度99.9%のアルミナセラミックスから構成された円筒状部材21によって処理ガス流路9を形成する配管接続ブロック8を介して処理ガス供給配管13が接続されているので、この内部にプラズマが発生しても、金属が半導体ウエハ5へ混入することを防止することができ、金属汚染の発生を抑制することができる。また、チャンバ1内に設けられたボルト32等の上部にも、全てカバー33が設けられているので、この部分で放電が発生し、プラズマが生起されて金属汚染が発生することも防止することができる。したがって、従来に較べて金属汚染の少ない良好な処理を行うことができる。
【0028】
なお、上記エッチング処理実施中は、冷媒入口配管14、冷媒出口配管15によって図示しない冷却機構に供給される冷媒により上部電極2が冷却され、同時に図示しない冷却機構により下部電極3が冷却される。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラズマ処理装置によれば、金属汚染の発生を抑制することができ、従来に較べて良好な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例のドライエッチング装置の構成を示す図である。
【図2】
図1のドライエッチング装置の要部構成を示す図である。
【図3】
図1のドライエッチング装置の他の要部構成を示す図である。
【図4】
図3のカバーの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 チャンバ
2 上部電極
3 下部電極
5 半導体ウエハ
6 絶縁性部材
7 処理ガス流出孔
8 配管接続ブロック
9 処理ガス流路
10 冷媒入口流路
11 冷媒出口流路
13 処理ガス供給配管
14 冷媒入口配管
15 冷媒出口配管
22 電力供給機構
23 排気配管
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)訂正事項A
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1を、「前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とするプラズマ処理装置。」と訂正する。
(2)訂正事項B
明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の段落【0009】を、「【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のプラスマ処理装置は、被処理物を収容するチャンバと、このチャンバ内に設けられ高周波電圧が印加される電極と、前記チャンバ内に所定の処理ガスを供給する処理ガス供給配管系とを具備し、前記チャンバ内でプラズマを発生させて前記被処理物を処理するプラズマ処理装置において、前記チャンバ内に設けられたボルトおよびナットの少なくとも一部を、非金属製であって円孔により着脱自在とされたカバーによって覆ったことを特徴とする。」と訂正する。
異議決定日 2001-07-04 
出願番号 特願平3-90404
審決分類 P 1 651・ 113- YA (H01L)
P 1 651・ 121- YA (H01L)
P 1 651・ 534- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増山 剛  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 雨宮 弘治
大橋 賢一
登録日 1999-08-06 
登録番号 特許第2963228号(P2963228)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 プラズマ処理装置  
代理人 須山 佐一  
代理人 須山 佐一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ