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審決分類 審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  C01F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01F
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01F
管理番号 1048450
異議申立番号 異議1999-73437  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-09-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-03 
確定日 2001-08-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2869287号「板状ベーマイト粒子の製造方法」の請求項1〜3に係る発明の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2869287号の請求項1および2に係る発明の特許を維持する。 
理由 1.本件の経緯
本件特許第2869287号は、平成5年3月5日に出願し、平成10年12月25日に設定登録され、平成11年3月10日に特許公報に掲載されたところ、同年9月3日に日産化学工業株式会社から、同年9月10日に錦織彰から特許異議の申立を受けたものであって、その後、平成11年12月6日付けで取消理由通知(平成11年12月24日発送)がなされ、その指定期間内である平成12年2月21日に訂正請求がなされ、さらにその後、平成13年2月27日付けで訂正拒絶理由通知がなされたものである。

2.設定登録時の本件発明
設定登録時の本件請求項1および2に係る発明は、本件明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
[請求項1]アルカリ金属化合物を含有した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状ベーマイト粒子の製造方法。
[請求項2]水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物をアルカリ金属化合物を含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状ベーマイト粒子の製造方法。
[請求項3]アルカリ金属化合物の含有量が、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対して3×10-3モル以上10×10-2モル以下である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の板状ベーマイト粒子の製造方法。

3.特許異議申立人の主張
3-1.日産化学工業株式会社の主張
特許異議申立人日産化学工業株式会社は、甲第1、2号証および参考文献1〜4を提出して次のような主旨の主張をしている。
(1)本件請求項1〜3に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
(2)本件請求項1〜2に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
3-2.錦織彰の主張
特許異議申立人錦織彰は甲第1〜6号証を提出して次のような主旨の主張をしている。
(3)本件請求項1〜3に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

4.訂正事項
特許第2869287号の明細書につき、訂正請求書に添付された訂正明細書に記載されるとおりの下記(a)〜(c)の訂正を求めるものである。
(a)特許請求の範囲の減縮を目的として、本件明細書の特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する。
[請求項1]水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含有したサブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状ベーマイト粒子の製造方法。
(b)特許請求の範囲の減縮を目的として、本件明細書の特許請求の範囲の請求項2を次のように訂正する。
[請求項2]サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状ベーマイト粒子の製造方法。
(c)特許請求の範囲の減縮を目的として、本件明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(d)明瞭でない記載の釈明を目的として、本件明細書の[0006]段落の「本発明の第1発明は、アルカリ金属化合物を含有した水酸化アルミニウム又は水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状ベーマイト粒子の製造方法である。また、本発明の第2発明は、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物をアルカリ金属化合物を含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状ベーマイト粒子の製造方法である。」を、
「本発明の第1発明は、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含有したサブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状ベーマイト粒子の製造方法である。また、本発明の第2発明は、サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状ベーマイト粒子の製造方法である。」と訂正する。

5.訂正の適否についての検討
5-1.訂正の目的
上記(a)の訂正は、請求項1における、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物のアルカリ金属化合物の含有量を、「水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対して3×10-3モル以上10×10-2モル以下」と限定し、また、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物につき、「サブミクロンオーダーに粒度調整した」と限定するものであり、これらはいずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、上記(b)の訂正は、請求項2における、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物につき、「サブミクロンオーダーに粒度調整した」と限定し、また、水溶液中に含まれるアルカリ金属化合物の含有量を、「水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下」と限定するものであり、これらはいずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(c)の訂正は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(d)の訂正は、特許請求の範囲の上記(a)および(b)の訂正に伴って、明細書の発明の詳細な説明の記載を整合させるものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

5-2.新規事項、拡張および変更の有無
上記(a)〜(d)の訂正中、アルカリ金属化合物の含有量の数値については、訂正前の請求項3等の記載に基づくものであり、また、サブミクロンオーダーに粒度調整することについては、段落[0009]、同[0010]段落等の記載に基づくものであり、上記の訂正は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものである。
そして、上記(a)〜(d)の訂正は、その内容からみて、特許請求の範囲を実質的に拡張したり変更したりするものではない。

5-3.独立特許要件
訂正後の本件請求項1および2に係る発明について、特許異議申立人の主張に沿ってその独立特許要件を検討する。
5-3-1.上記(1)の主張について
特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した甲第1号証(「applied catalysis」、Vol.6、No.2、1983年5月13日、第165〜173頁)には、「特定の条件下でギブス石から調製したベーム石を焼成したγ-アルミナの細孔構造の制御」に関し、
「我々は、種々の条件下でのギブス石からベーム石への水熱転移、及びこうして生成するアルミナの諸特性に及ぼす中温での後続の焼成の影響を研究した。」(第166頁第2〜4行)、
「実験
材料
出発原料として使用した三水酸化アルミニウムは日本軽金属(株)製のギブス石B303であった。このギブス石の粒子径は20〜35μであり、不純物の含有量はNa2Oが0.21重量%、SiO2が0.008重量%およびFe2O3が0.007重量%であった。
水熱転移及び焼成
110℃で乾燥したギブス石50g(0.64モル)を、内径40mmで容積180cm3のパイレックス反応管に入れた。次に、130cm3の蒸留水又は金属塩の水溶液を加え、そして激しく撹はんした。この反応管を300cm3のオートクレーブに取り付けて100℃/時の速度で加熱し、所望の時間一定の温度に保った後、直ちに冷却した。こうして生成した混合物を遠心分離したのち、固形物質を蒸留水で洗浄した。この洗浄試料を110℃で少なくとも24時間乾燥したのち、秤量した。」(第166頁第5〜18行)、
「ギブス石からベーム石への転化率XBは反応の観点から表すことができる。Al(OH)3→AlOOH+H2O(水熱転移)
すなわち、XBは、脱水による真の原料を化学量論的原料に対するパーセントとして得ることができる。」(第166頁第33〜末行)、
「金属塩の添加の影響 図1及び図2に示すように、転化は自己促進的傾向にあるので、温度又は時間を変化させることによって、中間段階で転化を制御することは実際上不可能であった。従って、著者等は、ベーム石への転化に及ぼす塩の影響に視点を切り換えた。全ての場合、転移条件は195℃で、1時間と設定した。図3は、適切な濃度の金属塩の添加によって転化が促進され、制御されたことを明瞭に示している。0.5-1.0Mの範囲の一価のカチオンの濃度は所与の条件のもとで最も良く、この濃度範囲を超えると、転化率は大幅に低下した。2MのNaNO3及び2MのKNO3の場合、XBは約10%であった。」(第168頁下から15行〜下から第6行)、
「SEM 異なるXBを持つ3個の試料を700℃で焼成して得られたアルミナのSEM写真を図4に示している。XBが増えると、ダイヤモンド板状粒子の部分が増えた。XB=100%の場合(焼成前)、ダイヤモンド板状粒子しかみられない(その写真は示してないけれども)、そしてXB=100%の試料から得られたアルミナ(C)は、ダイヤモンド板状粒子のみであった。従って、ダイヤモンド板状形状は、ベーム石の固有の結晶形状であると結論づけた。・・・比較的大きいXBから得られたアルミナの場合、互いに付着している多くのダイヤモンド形状結晶が互いに付着しているものが観察された。」(第172頁第12行〜173頁第5行)ことが記載され、そして、上記の図3には、「ギブス石からベーム石への転化に及ぼす金属塩の種類及びその濃度の影響」と題して曲線が描かれ、その曲線中、金属塩KNO3、同KNO3の濃度が、それぞれ、約0.25mol/lの箇所にドットが付されている。
このように、甲第1号証の記載において、そこでの実験で用いられたギブス石B303は、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物の一種に該当するものであって、不純物としてNa2Oを0.21重量%含有する(換算すると、ギブス石1モルに対して約6×10-3モル)ものであり、また、その実験では、該ギブス石50gに130cm3のアルカリ金属塩水溶液を加え水熱合成処理するものであるが、その水溶液のアルカリ金属塩濃度として、図3での約0.25モmol/l用いた例(換算すると、水溶液中、アルカリ金属化合物の含有率がギブス石1モルに対して約5×10-2モル)が示される。ついで、その図3の例のものの実験条件は195℃、1時間であり、また、その実験がオートクレーブで実施されることから、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献2(改訂4版「化学工学便覧」、丸善(株)、昭和53年10月25日発行、第398および399頁)に記載される飽和水蒸気表を参照してその水熱合成処理時の圧力を求めると、100気圧以下であることが解る。
しかし、該甲第1号証では、訂正後の本件請求項1および2に係る発明でいうところの、サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を使用しておらず、また、この甲第1号証に記載ものにおいて、原料としてサブミクロンオーダーに粒度調整したものを採用することが自明なことでもない。
してみれば、訂正後の本件請求項1及び2に係る発明は、少なくとも、サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を使用する点で、前記甲第1号証に記載された発明に対して別異の発明を構成する。
したがって、訂正後の本件請求項1および2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるということができない。

5-3-2.上記(2)の主張について
特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した甲第2号証(米国特許第2,656,250号明細書)には、
「アルミン酸ナトリウム溶液にアルミナゲルを加える段階;前記溶液を25℃で加水分解して結晶性アルミナ三水和物を生成する段階;前記三水和物を分離して前記三水和物に水性媒体を加える段階;並びに120℃より実質的に高い温度で水性混合物を加熱して前記アルミナ一水和物を作る段階、の各段階からなることを特徴とする人造の超微細なラメラ状アルミナ一水和物の製造方法。」(第5欄第17〜26行)、
「実施例II
極めて微細なグレードのアルミナ三水和物を使用するが、このアルミナ三水和物は、1949年11月15日に出願した、我々の同時係属出願番号127,532号に開示して特許請求の範囲に記載したプロセスに従って、アルミナゲルからなるシード添加媒体の存在下でアルミン酸ナトリウム溶液を25℃で加水分解することにより調製した。電子顕微鏡で観察すると、前記三水和物は規則的な形状で、所々に双晶化した小さいプリズムから成っていることが判り、測定するとその大部分の寸法が0.05から0.5ミクロンである。・・・(a)この三水和物の一部分を、オートクレーブ中で水の存在下で210℃で2時間加熱してアルミナ一水和物に転化させる。こうして生成したアルミナ一水和物を電子顕微鏡(倍率、50,000)で観察すると、次々と上面に積み重なった多層の極めて平坦なプリズムからなることが判り、その大部分の寸法は0.3〜0.6ミクロンの様々な範囲である。・・・(b)210℃のオートクレーブの中で、苛性Na2OとAl2O3のモル比が1.8に等しくて、例えばリットル当たり苛性Na2O80グラムの濃度を含むアルミン酸ナトリウム溶液の存在下2時間で、そのアルミナ三水和物の残りをアルミナ一水和物へ転化させる。こうして生成したアルミナ一水和物を電子顕微鏡で観察すると、明確なラメラ状又はフレーク状の構造であり、深さ、即ち厚さの寸法は1ミリミクロンより大きいが常に20ミリミクロンより小さい。各ラメラ又はフレークの大部分の寸法は約1又は2ミクロンである。」(第2欄第19行〜第3欄第9行)こと等が記載されている。
しかし、同甲第2号証には、その(a)でいう次々と上面に積み重なった多層の極めて平坦なプリズムからなるアルミナ一水和物や(b)でいう明確なラメラ状又はフレーク状の構造であるアルミナ一水和物がベーマイトであること示すところはないし、また、その(a)では不純物としてのアルカリ金属化合物の含有割合は不明であり、その(b)ではアルミン酸ナトリウム溶液のNa2O/Al2O3のモル比は分かるものの、アルミナ三水和物の量とアルミン酸ナトリウム溶液の量の比が不明であるから、アルミナ三水和物1モルに対するアルミン酸ナトリウムの使用モル量は不明である。
以下、該甲第2号証において得られたアルミナ一水和物がベーマイトに該当するか否かにつき検討する。
特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献3(「無機化学ハンドブック」、(株)技報堂、昭和40年8月15日初版発行、第1071〜1073および1197〜1201頁)には、5・1・14の項にアルミニウム化合物につき、7・3・1・2の項にアルミナの製造につき記載されており、その第1198頁の第4〜7行には、boehmiteはアルミナゲルの熟成、水またはアルカリ溶液中で高温高圧においてアルミナ三水和物の処理、アルミナ三水和物の脱水などにより人工的に得られると記載されているが、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献4-1(「化学大辞典1」、共立出版(株)、1989年8月15日縮刷版第32刷発行、第436頁)の「アルミナ水和物」の項には、一水和物(Al2O3・H2O)として、ベーマイトとダイアスポアがあり、ダイアスポアは水熱反応によって生じることが記載され、このようにこの種の水熱反応により形成されるものはベーマイトに限られないものであるから、前記参考文献3の記述より該甲第2号証に記載されたアルミナ一水和物がベーマイトであると断定することはできない。
次に、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献1(「セラミックデータブック1990 工業と製品No.72」、工業製品技術協会、平成2年8月20日発行、第102頁)には、日本軽金属のアルミナと水酸化アルミニウムの品質特性に関するデータが示されているにすぎないし、また、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献2(改訂4版「化学工学便覧」、丸善(株)、昭和53年10月25日発行、第398および399頁)には、飽和水蒸気表が示されているにすぎないし、さらに、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献4-2 (「化学大辞典2」、共立出版(株)、1989年8月15日縮刷版第32刷発行、第788頁)にはギプス石の組成、性質等につき記載されているにすぎず、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献4-3(「化学大辞典5」、共立出版(株)、1989年8月15日縮刷版第32刷発行、第18および19頁)には、水酸化アルミニウムの一般的な製法、構造、性質につき記載されているにすぎず、そして、特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した参考文献4-4 (「化学大辞典8」、共立出版(株)、1989年8月15日縮刷版第32刷発行、第378頁)には、ベーム石(ベーマイト)の一般的性質が記載されているにすぎず、これらのものから、該甲第2号証に記載されるアルミナ一水和物の結晶質がベーマイトであるということができない。
してみると、訂正後の本件請求項1および2に係る発明は、それらの製造方法において、少なくとも、ベーマイトを得るという構成を具備する点で、該甲第2号証に記載のものに対して、別異の発明をなすものである。
したがって、訂正後の本件請求項1および2に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるということはできない。

5-3-3.上記(3)の主張について
特許異議申立人錦織彰の提出した甲第1号証(「工業化学雑誌」、第66巻、第6号(1963)、社団法人日本化学会、昭和38年6月5日発行、第770〜774頁)には、「ジプサイトAl(OH)3の脱水によるベーマイトAlOOH生成の反応機構」に関し、
「液相の十分に存在する飽和水蒸気圧下の脱水では、(k)におけるジプサイトの外形を保ったベーマイト集合体とジプサイトの外形が失われた特徴ある平行四辺形の単結晶ベーマイトが生ずる。特に原料がジプサイト-Iに相当する場合や、溶出アルカリまたは添加アルカリの影響が大きい場合には後者のみ生ずる。──この後者の結晶と母結晶ジプサイトの結晶とを図6に示す。」(第772頁左欄(l))ことが記載されているが、同甲第1号証のその他の記載である「粒径1μ以下のものをジプサイト-I、数μ以上のものをジプサイト-IIとする」(第770頁左欄(a))ということを参酌しても、その図6に示されたベーマイトにつき、その実際の製造条件が明らかではないから、これらの記載をもって、訂正後の本件請求項1および2に係る発明の容易論を展開することはできない。
特許異議申立人錦織彰の提出した甲第2号証(「JOURNAL OF APPLIED CHEMIISTRY」、10,october,1960、第414〜417頁)には、「アルミナ三水和物の水熱反応」に関し、
「さらに、原料の性質の影響を調べるために4種類のアルミナ3水和物を用い、実験した:(1)アルミン酸ナトリウム溶液を30°で種子添加分解することにより調整したハイドラーギライト;(2)アルミン酸ナトリウム溶液に30°で二酸化炭素を吹き込むことにより形成したバイアライト;(3)上記(2)において30°で種子添加することによりアルミン酸ナトリウム溶液を分解して得たハイドラーギライト;(4)アルミン酸ナトリウム溶液を50°で種子添加分解することにより調整したハイドラーギライト。各標品を30分または2時間200°に加熱することにより水熱処理し、その生成物について試験した。表Iから観察されることは、各標品がベーマイトに転化される割合は、No.2、3、1、4の順に増大するが、溶解したアルカリ量は、No.4、2、1、3の順で増大し、一方、粒径はNo.4、1、2、3の順で小さくなるということである。アルミナ3水和物の1水和物への水熱転化は各標品の粒径と密接に関係しているように思われる。」(第416頁本文第10行〜第417頁第1行)ことが記載されているが、前記表Iには、灼熱減量や溶解アルカリ量が示されているだけに過ぎないから、前記表Iをもって、灼熱減量や溶解アルカリ量以上のことが言えるものではない。
したがって、甲第2号証のこれらの記載をもって、訂正後の本件請求項1および2に係る発明の容易論を展開することはできない。
特許異議申立人錦織彰の提出した甲第3号証(「ZEITSCHRIFT FUR ANORGANISCHE UND ALLGEMEINE CHEMIE」、Band 271(1953)、第41〜48頁)には、工業的に作製されたアルミナ3水和物をオートクレーブ中で180℃にて2時間処理し、表2の値を得たこと(第45頁第15〜17行)が記載されており、また、その表2(3水和物としてのAl2O3130.8gの500mlアルカリ溶液存在下における180℃2時間の脱水)には、アルカリ溶液濃度とオートクレーブ処理後のベーマイトへの転化率の関係が示されているものの、それにおける出発原料である三水和物としてのAl2O3の粒径は不明であり、また、それには、本件明細書でいうアスペクト比に関する認識がない。
ついで、特許異議申立人錦織彰の提出した甲第4号証(改訂4版「化学工学便覧」、丸善(株)、昭和57年4月25日第3刷発行、第25および36頁)には、水の蒸気圧や融解金属、融解塩などの蒸気圧が、同甲第5号証(「物性定数2集(1964)」、丸善(株)、昭和39年12月15日発行、第158頁)には、表4・15としてLiOHおよびNaOH水溶液上の水蒸気圧降下が、同甲第6号証(「化学大辞典2」、共立出版(株)、昭和50年3月10日縮刷版第17刷発行、第788頁)には、ギブス石の組成、性質等につき記載されているにすぎない。
以上のとおり、これら甲第1〜6号証には、訂正後の本件請求項1及び2に係る発明の構成の一部が別々に示されているにすぎず、また、アスペクト比の大きな板状ベーマイト粒子を効率的に製造するために、それらを組み合わせて訂正後の本件請求項1および2に係る発明のようになす動機付け(契機)もないものである。
してみると、該甲第1〜3号証の記載を総合し、また、該甲第4〜6号証の記載を参酌したところで、訂正後の本件請求項1および2に係る発明が、当業者の容易に発明できるものであるとすることができない。

この外、特許異議申立人日産化学工業株式会社は、平成12年5月11日付け回答書において、平成11年12月6日付け取消理由通知における刊行物2(特許異議申立人日産化学工業株式会社の提出した甲第2号証)の実施例II(a)と参考資料1(日産化学工業株式会社の提出した参考文献1)の水酸化アルミニウム(品番B-1403)および刊行物5(特許異議申立人錦織彰の提出した甲第3号証)を組み合わせて論じているが、その参考資料1(日産化学工業株式会社の提出した参考文献1)の表2には、B-53、B-73、B-153、B-303等の平均粒径が1ミクロンより大きい水酸化アルミニウムも列挙されていることからして、該刊行物2の実施例のII(a)の出発原料として、B-1403のように平均粒径が1ミクロンより小さいものを敢えて選択して採用することが当業者にとって容易であるということには無理があり、また、該刊行物2の実施例II(a)と該刊行物5の実験は、互いに異なる条件でそれぞれ試験をしているものであるから、単純にそれらの条件を組み合わせることができるものでもない。
さらに、特許異議申立人日産化学工業株式会社は、同回答書において、本件明細書の[0010]段落には、出発原料をサブミクロンオーダーに粒度調整することは、最終ベーマイト粒子の寸法をサブミクロンオーダーに揃えるために必要と記載されているが、その実施例では、出発原料をサブミクロン(0.7m)に調整しながら、その結果得られたベーマイトを列記する表1のNo.1〜6にはミクロンオーダーのものが記載されているだけで、本件明細書には、訂正後の本件発明の実施例の記載がない旨を主張(同回答書第14頁10〜18行)している。しかし、訂正後の本件請求項1及び2に係る発明は、板状ベーマイト粒子の粒径につき規定するものではなく、その実施例における板状ベーマイト粒子の粒径については特段限定されないものである。そのうえ、本件明細書の[0010]段落には、「ここで出発原料である水酸化アルミニウム、アルミナ水和物{非晶質を含むアルミナ水和物(アルミナゲル}をサブミクロンオーダーに粒度調整することは、最終ベーマイト粒子の寸法をサブミクロンオーダーに揃えるために必要であり、粒子の板状化に大きく寄与する。」と記載されていて、文章は拙いものの、出発原料をサブミクロンオーダーに粒度調整することは、最終ベーマイト粒子の寸法をサブミクロンオーダーに揃えるため、また、粒子の板状化のためであると解することができるものである。したがって、表1のNo.1〜6のものが、訂正後の本件各発明の実施例でないということはできない。

5-4.訂正の認否
上記5-1、5-2および5-3の項で検討したように、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条の第1項の規定によりなお従前の例とされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項のただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

6.特許異議申立人の主張についての検討
前記したとおり、本件明細書は、平成12年2月21日付け訂正請求により訂正されたものである。
そして、訂正後の明細書の本件請求項1および2に係る発明に対する、特許異議申立人日産化学工業株式会社及び同錦織彰の主張は、上記5-3の独立特許要件の項で説示したとおり、採用できないものである。

7.結び
以上のとおりであるから、上記訂正は認める。
そして、訂正後の本件請求項1および2に係る発明の特許は、特許異議申立の理由および証拠によっては取り消すことができない。
また、他に訂正後の本件請求項1および2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
板状べーマイト粒子の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含有したサブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法。
【請求項2】 サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、板状アルミナ粒子製造の出発原料又は充填材として使用される塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラー、製紙用塗工材等に適した板状べーマイト粒子を水熱処理によリ効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のべーマイト粒子及びその製造方法としては、種々知られており、出発原料に水酸化アルミニウムを用いて大気中で加熱分解を行い、結晶水の一部を脱水させべーマイト相を生成するもの、また同出発原料を密閉容器中で水熱処理することによリベーマイト相を生成するもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
微細べーマイト粒子としては、上記により得られた粒子をボールミル等の機械的粉砕法によリ、サブミクロンオーダーの粒子に微細化することができるが、粒子の形状が粒状になりやすく、板状の微細な粒子を得難いといった問題を有する。
【0004】
また、上記微細べーマイト粒子の製造方法のうち、大気中で加熱分解を行う方法については、出発原料の水酸化アルミニウムに微細粒子が混在するとべーマイト相は出現せず、還移アルミナの一種であるカイアルミナ(χ-Al2O3)が生成し、べーマイト粒子の生成率を低下させるといった問題がある。水熱処理を行う場合、生成されるべーマイト粒子は、菱形状の立方体が密に凝集固着した凝集粒子となり、これを粉砕しても板状粒子は得難いといった問題を有する。
【0005】
そこで、本発明はアスペクト比の大きな板状べーマイト粒子を効率的に製造できる製造方法を提供すると共に、バイヤー法で作られた純度の悪い水酸化アルミニウムやアルミナ水和物等からも容易に板状べーマイト粒子を製造できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明は、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含有したサブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状べーマイト粒子の製造方法である。
また、本発明の第2発明は、サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法である。アルカリ金属化合物の存在下で水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物の水熱合成処理を行なうことにより、生成するべーマイト粒子は粗大薄肉化する傾向を示し、菱形板状を示す外形も六角板状もしくは不定形でアスペクト比(対角長さ/厚さ)の非常に大きな板状粒子に結晶成長させることができる。
【0007】
アルカリ金属化合物としては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウムの水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等があり、かかるアルカリ金属化合物の含有量は、水酸化アルミニウム又は、アルミナ水和物、1モルに対して10×10-2モル以下(0は含まない)であることが好ましい。10×10-2モルを超えた場合、板状べーマイト粒子の収率が急激に低下する。例えば、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウムを用いた場合、10×10-2モルを越えると、アルミン酸ナトリウムが生成され、板状べーマイトの収率が低下する。
【0008】
更に、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対して、アルカリ金属化合物の含有量を1×10-2〜8×10-2モルの範囲とすることにより、より顕著な効果が得られる。
なお、含有するアルカリ金属化合物は、そのものが原料中に不純物として包含されている場合は、その量に基づいて添加量を調整する。
【0009】
以下、本発明の製造方法について詳述する。
出発原料としてアルカリ金属化合物を含有する水酸化アルミニウム、アルミナ水和物又はアルミナゲル等のアルミナ水和物などをあらかじめボールミル等で粉砕してサブミクロンオーダーに粒度調整したものあるいは、前記出発原料でアルカリ金属化合物を実質的に含有しないものを用い、これらをアルカリ金属化合物を含有する水溶液とともに密閉オートクレーブ中に充填し、水熱処理することにより行なわれる。
【0010】
ここで出発原料である水酸化アルミニウム、アルミナ水和物{非晶質を含むアルミナ水和物(アルミナゲル)}をサブミクロンオーダーに粒度調整することは、最終べーマイト粒子の寸法をサブミクロンオーダーに揃えるために必要であり、粒子の板状化に大きく寄与する。
【0011】
温度、圧力の条件に関しては、Al2O3-H2O系状態図でベーマイト相の安定な領域でなければならない。したがって、水熱処理の温度は150℃以上、圧力は100気圧以下であることが望ましい。これは温度150℃未満では、ベーマイトを得ることができないためである。特に上限については、限定していないが、350℃以上の温度に長時間処理するとべーマイト相はα-アルミナ相に変化するため、高温処理はべーマイト相生成には好ましくない。また、板状のベーマイト粒子のみを製造する際、その制御が困難となる。したがって、温度条件は好ましくは150℃以上350℃未満がよい。また、上記範囲において、高温ほどべーマイトの生成速度は大きく、短時間で微細な粒子が得られ、低温ほどベーマイトの生成速度は小さく、長時間の処理を必要とするため比較的粗大な粒子となる。なお、いずれにおいても粒子形状は板状である。また、圧力が100気圧を越えた場合、得られる粒子の形状が肉厚の大きな粗大なものとなるためである。数百気圧を越える高圧下では、べーマイト相は出現せず、ダイアスポア相に変化する。また、下限については、当然開放系では、水熱系が成り立たないので、好ましくは10気圧以上がよい。
【0012】
以下、本発明の製造方法によって得られるべーマイト粒子について詳述する。
上記製造方法によって得られるべーマイト粒子は、結晶形が斜方晶系で特定の結晶面が平板状に成長した板状粒子であり、粒径は長径及び短径が約5μm以下であり、条件によってはサブミクロンである。また短径と長径との比は1〜5、さらには1〜1.5であり、アスペクト比(対角長さ/厚さ)は、3〜100の形状である。
【0013】
かかるべーマイト粒子は、微細板状アルミナ粒子を作製するための材料(原材料)、または塗料用顔料、ゴム、プラスチック用フィラー、製紙用塗工材などの添加物として使用できる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
バイヤー法によって得た水酸化アルミニウム(水酸化アルミニウム1モルに対して水酸化ナトリウムとして3×10-3モル含有した水酸化アルミニウム)に水を加え、これをボールミルにて粉砕後、乾燥し、中心径0.7μmに粒度調整したもの10gに同等量の純水および表1に示す量の水酸化ナトリウムを加えてスラリーを作製し、これを小型オートクレーブに充填し、加熱温度300℃、圧力65kg/cm2にて2時間水熱処理を行った。
【0015】
処理後の生成物を水洗、濾過、乾燥してべーマイト粒子を得、これを試料とし、粉末の形状、粒子径と、水酸化ナトリウムの添加量との関係を調べた。この結果を表1に示す。なお表1において、水酸化ナトリウムのモル数はAl(OH)31モルに対する量である。
【0016】
【表1】

表1によればすべての範囲内で板状のべーマイト粒子が得られ、その粒径(平均粒径)1〜2.5μm、アスペクト比が5〜31のものが得られていることが分かるとともに、水酸化ナトリウムの添加量の増加にともない、アスペクト比が大きくなることが分かる。また、添加量が1×10-2モルから6×10-2モルの範囲においては、特により顕著な効果があることが分かる。また、表1には示されていないが、水酸化ナトリウムの添加量が10×10-2モルを越えた場合は、アルミン酸ナトリウムが生成され、べーマイト粒子の収率が急激に低下した。また、得られたべーマイト粒子は、水酸化ナトリウム添加量6×10-2モル程度のものであった。
【0017】
また、以上の結果は図1〜3に示される電子顕微鏡写真を比較することにより明白である。なお、図1は表1のNo.5、図2は表1のNo.3、図3は表1のNo.1に示される試料の電子顕微鏡写真である。
また、比較のため、純度99.9%の水酸化アルミニウムを用い、水酸化ナトリウムを添加しないで上記と同様な方法でべーマイト粒子を作製した。得られた粒子は形状が粒状で、粒径が1μm、アスペクト比がほぼ1のものであった。
【0018】
なお、上記実施例においては、スラリー作製時に水酸化ナトリウムを添加したが、バイヤー法によって得られた水酸化アルミニウムに水を加え湿式粉砕する際に添加した場合も同様の結果が得られた。
また、本発明において高純度な水酸化アルミニウムに水酸化ナトリウムを添加した場合も同様の結果が得られたとともに、水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属化合物を含有したものでも同様の結果が得られる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、粒径の揃ったアスペクト比の大きな板状べーマイト粒子を得ることができるとともに、粒径及びアスペクト比を所望の大きさに制御することができる。
【0020】
また上記製造方法によって得られる板状べーマイト粒子は、板状アルミナ粒子を作製するのに有用であるとともに、塗料用顔料、ゴム、プラスチック用フィラー、製紙用塗工材等の各種添加物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
表1のNo.1で得られた試料の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
【図2】
表1のNo.3で得られた試料の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
【図3】
表1のNo.5で得られた試料の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
本件特許第2869287号の明細書を次の(1)及び(2)のとおり訂正する。
(1)明細書の特許請求の範囲に記載される、
「[請求項1]アルカリ金属化合物を含有した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法。
[請求項2]水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物をアルカリ金属化合物を含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法。
[請求項3]アルカリ金属化合物の含有量が、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対して3×10-3モル以上10×10-2モル以下である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の板状べーマイト粒子の製造方法。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「[請求項1]水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含有したサブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法。
[請求項2]サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法。」と訂正する。
(2)明細書の[0006]段落における、
「本発明の第1発明は、アルカリ金属化合物を含有した水酸化アルミニウム又は水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状べーマイト粒子の製造方法である。また、本発明の第2発明は、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物をアルカリ金属化合物を含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状べーマイト粒子の製造方法である。」を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「本発明の第1発明は、水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含有したサブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理する板状べーマイト粒子の製造方法である。また、本発明の第2発明は、サブミクロンオーダーに粒度調整した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物1モルに対してアルカリ金属化合物を3×10-3モル以上10×10-2モル以下含む水溶液中で温度が150℃以上350℃未満、圧力が100気圧以下で水熱合成処理することを特徴とする板状べーマイト粒子の製造方法である。」と訂正する。
異議決定日 2001-07-31 
出願番号 特願平5-69164
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C01F)
P 1 651・ 832- YA (C01F)
P 1 651・ 121- YA (C01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 八原 由美子  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 唐戸 光雄
野田 直人
登録日 1998-12-25 
登録番号 特許第2869287号(P2869287)
権利者 ワイケイケイ株式会社
発明の名称 板状ベーマイト粒子の製造方法  
代理人 小松 秀岳  
代理人 萼 経夫  
代理人 中村 壽夫  
代理人 加々美 紀雄  
代理人 小松 秀岳  
代理人 加々美 紀雄  
代理人 旭 宏  
代理人 旭 宏  

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