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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B23K
管理番号 1049478
審判番号 審判1999-19017  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-26 
確定日 2001-12-03 
事件の表示 平成 9年特許願第310230号「溶接トーチの溶接経路補正方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年 6月 2日出願公開、特開平10-146676、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 【1】 本件出願は、平成9年11月12日(パリ条約による優先権主張1996年11月13日、大韓民国)に出願されたものであって、その発明は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 左右にウィービングしながら前進する溶接トーチの先端と溶接面との間の距離変化によるアーク電流値の変化に基づき溶接中心線に対した溶接トーチのウィービング中心の位置を検出する段階と、溶接トーチのウィービング中心の位置が前記溶接中心線から所定距離離れると、溶接トーチのウィービング中心を前記溶接中心線側の補正位置に位置補正する段階とを含む溶接トーチの溶接経路補正方法において、前記溶接トーチのウィービング方向を、前記ウィービング中心の補正位置のうち、最近の2箇所の補正位置を連結する仮想線に対して直角となるように補正する段階を含むことを特徴とする溶接トーチの溶接経路補正方法。」
【2】 原査定の拒絶の理由の概要は、「引用文献1記載のものも、アークセンシングの結果により位置ずれがあったとすれば、基準線L1に対し、直角方向に補正がかかり、さらに、基準線L1を角度θ1だけ回転させた基準線L2に基づき第2周期目の揺動パターンPT2を作成し実行する旨の記載があり、基準線L2(本願発明の「仮想線」に相当)に対して揺動方向を直角となるよう補正している点で本願発明と一致しており、また、引用文献1には、引用文献1におけるアークセンシングが、アーク電流値の変化に基づき溶接中心線に対した溶接トーチのウィービング中心の位置を検出するものとの記載はないものの、アーク電流値の変化によりウィービングの中心位置を検出することは引用文献2に記載されている以上、引用文献2記載のウィービングの中心位置を検出する構成を引用文献1記載のアークセンシングに適用して本願発明の如くなすことが、当業者にとって格別困難なものと認めることができない。したがって、本件出願の発明は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」、というものである。
【3】 引用文献1(特開昭60-229116号公報)及び引用文献2(特開平2-229677号公報)に記載された発明について検討する。
引用文献1には、次の記載がある。
「第1周期目の揺動パターンPT1については、点P4,に対してθ1の円弧状の点 P41とを結ぶ線をパターン基準線L1として作成し実行指令する。従って、トーチ4は点P4,を起点として揺動パターンPT1を描き、アークセンンシングの結果により位置ずれがあったとすれば、前記基準線L1に対し直角方向に補正がかかり、点P41,に到達する。次いで、コンピュータ10は現在点P41,を起点として前記基準線L1を角度θ1だけ回転させた基準線L2に基づき第2周期目の揺動パターンPT2を作成して実行する(第6・7図参照)。」
前記の記載からして、第2周期目の揺動パターンPT2が、補正された揺動パターン、すなわち、補正された溶接トーチのウィービング方向を規定するものであるとすることができる。
また、この補正されたウィービング方向を規定するものは、目標とする溶接中心線であるところの基準線L2 、すなわち、仮想線に基づいて作成されたものである。
したがって、引用文献1に記載された発明における溶接トーチのウィービング方向の補正は、仮想線を基準として補正されたものであるから、この点においては、本件出願の発明における溶接トーチのウィービング方向の補正と一致する。
しかし、仮想線を決定するにあたり、本件出願の発明においては、ウィービング中心の補正位置のうち、最近の2箇所の補正位置を連結する線を仮想線として決定、すなわち、実測されたものに基づいて決定したものであるのに対して、引用文献1に記載された発明においては、基準線L1を角度θ1だけ回転させたもの、すなわち、設計値に基づいて決定したものである点において相違する。
また、引用文献2にも、前記相違点において掲げた本件出願の発明の構成については何ら記載されておらず、かつ、前記相違点において掲げた本件出願の発明の構成のごとくすることが、当業者によって容易に想到することができたものでもない。
【4】 以上のとおりであるから、本件出願の発明は、引用文献1及び引用文献2とに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-11-12 
出願番号 特願平9-310230
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B23K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神崎 孝之  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 桐本 勲
加藤 友也
発明の名称 溶接トーチの溶接経路補正方法  
代理人 志賀 正武  

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