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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1049643
審判番号 審判1999-14237  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-11-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-08 
確定日 2001-11-16 
事件の表示 平成 5年特許願第 94073号「 光ディスク」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年11月 4日出願公開、特開平 6-309840]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1、本願の経緯ならびに本願発明の認定
本願は平成5年4月21日の出願であって、本願発明は、手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1〜9に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、本願発明1という。)は次のとおりである。
「【請求項1】光学的に再生可能なデータ記録エリアを有する光ディスクであって、データを非接触で入力する入力手段と、当該入力手段により入力したデータを記憶するデータ記憶手段と、当該記憶されたデータを非接触で出力する出力手段とを有し、前記入力手段及び/又は出力手段は、光ディスク取り付け用の穴を取り囲むように設けられたことを特徴とする光ディスク。」

2、刊行物記載発明の認定
これに対して、原査定の拒絶の理由において引用された各刊行物には以下の記載がある。
(1)特開平 5 - 54460 号公報(以下、刊行物1という。)
(イ)「【請求項1】光ディスク本体の一部に情報記憶手段を設け、前記光ディスク本体の中央部分にこの光ディスク本体と同心円状に前記情報記憶手段の入出力端子に対応する数のリング状端子が設けられてなることを特徴とする複合媒体ディスク。」
(ロ)【請求項2】光ディスク本体と同心円状に情報記憶手段の入出力端子に対応する数のリング状端子が設けられてなる複合媒体ディスクに対し、この中央部分をクランパによってクランプすることにより情報の記録/再生を行う記録再生装置において、前記クランパの前記光ディスク本体の中央部分に当接する面側に、前記リング状端子に対応させて接触端子が設けられ、情報入力手段からの情報の入力を前記接触端子及びリング状端子を介して行うようにしたことを特徴とする記録再生装置。」
(ハ)段落【0011】「本発明の複合媒体ディスクでは、光ディスク本体の一部に情報記憶手段を設けるとともに、光ディスク本体の中央部分にこの光ディスク本体と同心円状に情報記憶手段の入出力端子に対応させてリング状端子を設けたので、これらの端子を介してデータの入出力を行うことができ、光ディスク本体の記録面への光記録に加え、情報記憶手段への管理情報等の記憶が付加されるため、一枚のディスクに大容量の情報を記録することが可能となる。」
(ニ)段落【0013】及び図1、2「本発明の実施例の詳細を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、複合媒体ディスクの一実例を示すものである。同図に示すように、複合媒体ディスク(以下、光ディスクという)10の光記録領域11を外れた中央部分には、固体メモリ(EEPROM)12が埋設されている。」
(ホ)段落【0015】及び図3,4「光ディスク10の一面側には、図3に示すように、リング状端子14a〜14fが光ディスク10の同心円状に設けられている。固体メモリ12の各入出力端子と各リング状端子14a〜14fとは、リード線13a〜13fを介して接続されている。なお、図中符号16a〜16fは、後述するクランパ15側の接触端子を示している。また、符号16g〜16lは、後述するダミーピンを示している。
(ヘ)段落【0016】「図4は、本発明の記録再生装置の構成の一例を簡単に示すものである。同図に示すクランパ15は、たとえば弾性体アーム(図示省略)の端部に回転自在に支持されているものであり、光ディスク10の中央部分に当接してこの中央部分をターンテーブル(図示省略)に圧接させる。また、クランパ15の中央部に設けられている突起15Aが光ディスク10の中心孔10Aに嵌り込むことによってクランパ15に対する光ディスク10の位置決めが行われる。」
これらの記載から、刊行物1には、
「光ディスク本体の一部に情報記憶手段を設け、前記光ディスク本体の中央部分にこの光ディスク本体と同心円状に前記情報記憶手段の入出力端子に対応する数のリング状端子が設けられてなることを特徴とする複合媒体ディスク。」(以下、刊行物1記載発明という。)

(2)特開昭63-187486号公報(以下、刊行物2という。)
(イ)請求項1「光記録媒体と、この光記録媒体を収納する収納体とから成る光記録装置において、前記収納体に前記光記録媒体に関する管理情報を記録しておく半導体メモリと、外部機器との間で無接点にて情報信号の授受を行う入出力回路と、前記半導体メモリ及び入出力回路に電源を供給する電源供給回路を設けたことを特徴とする光記録装置。」
(ロ)請求項2「特許請求の範囲第(1)項記載において、前記光記録装置が、前記トラックを有するディスク状光記録媒体と、そのディスク状光記録媒体を収納するカートリッジケースとから構成され、そのカートリッジケースに前記半導体メモリおよび入出力回路、並に電源供給回路が設けられていることを特徴とする光記録装置。」
(ハ)請求項4「特許請求の範囲(1)項記載において、前記入出力回路の入出力接点が.発光素子及び受光素子とから構成されていることを特徴とする光記録装置。」
(ニ)請求項5「特許請求の範囲第(1)項記載において、前記入出力回路の入出力接点が電波の発信回路及び受信回路とから構成されていることを特徴とする光記録装置。
(ホ)請求項6「特許請求の範囲第(1)項記載において、前記入出力回路の入出力接点が磁気結合のためのコイルによって構成されていることを特徴とする光記録装置。」
(ヘ)発明の効果の項「本発明の光記録装置は所望の管理情報を記録する半導体メモリを収納体に備えたので、アクセス作業の簡略化及び迅速化を図ることができる。
また、情報信号の入出力及び電源の供給を無接点で行うようにしたので接続不良等の不具合を生ずることがなく、信頼性及び耐久性に優れた光記録媒体を提供することができる。」

3、対比
刊行物1記載発明と本願発明1とを対比する。
刊行物1記載発明の「入出力端子に対応する数のリング状端子」・「情報記憶手段」・「中心孔」・「復号媒体ディスク」は、本願発明1の「入力手段および/又は出力手段」・「データ記憶手段」・「光ディスク取り付け用の穴」・「光ディスク」に相当する。
さらに、刊行物1の段落【0013】に記載の「光記録領域11」は、本願発明1の「光学的に再生可能なデータ記録エリア」に対応する。
従って、刊行物1記載発明と本願発明1とは、本願発明の用語をもって表現すれば、
「光学的に再生可能なデータ記録エリアを有する光ディスク」であって、「データ」を「入力する入力手段」と、「当該入力手段により入力したデータを記憶するデータ記憶手段と、当該記憶されたデータ」を「出力する出力手段とを有し、前記入力手段及び/ 又は出力手段は、光ディスク取り付け用の穴を取り囲むように設け」られた「光ディスク。」
では一致するものの、
入力手段及び出力手段が、刊行物1記載発明では接触状態で入力及び出力するのに対して、本願発明1は非接触で入力及び出力するものである点で相違する(以下、相違点という)。

4、相違点に対する当審の検討
光ディスクに関する管理情報データの記録・再生のための入力手段及び出力手段として、光ディスクを収納するカートリッジケースに入力手段及び出力手段が設けられ、これにより外部機器との間で無接点すなわち非接触でデータの入力及び出力を行うことが、同じ技術分野に属する刊行物2で公知である。
この刊行物2に記載の非接触の入出力端子は静止しているカートリッジとの間でのデータの授受を行うものであるのに対して、刊行物1記載発明や本願発明1は、回転するディスクとの間でのデータの授受を行うものであるから、刊行物2と刊行物1とはデータの授受をする対象が静止か回転かで異なるが、回転を含む移動している対象との間で信号の授受を行うのに、電波・光通信等の無線による非接触通信でデータの授受を行うということは慣用されているという技術背景があることを考慮すれば、刊行物1記載発明の入力手段及び出力手段に刊行物2の非接触により入力・出力をさせる技術を適用することに格別の技術的困難性は認められない。

5、まとめ
以上のとおり、本願発明1は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-09-12 
結審通知日 2001-09-21 
審決日 2001-10-03 
出願番号 特願平5-94073
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 相馬 多美子小山 和俊  
特許庁審判長 内藤 二郎
特許庁審判官 犬飼 宏
田良島 潔
発明の名称 光ディスク  
代理人 作田 康夫  

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