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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A23K
管理番号 1049723
審判番号 審判1999-3443  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-12-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-03-10 
確定日 2001-12-17 
事件の表示 平成 2年特許願第 80808号「反芻動物用飼料添加剤」拒絶査定に対する審判事件〔平成 3年12月11日出願公開、特開平 3-280840、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成2年3月30日の出願であって、その請求項1ないし5に係る発明は、平成10年11月27日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりものもと認める。
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60ー141242号公報(以下、刊行物1という。)には、「生物学的活性物質を、炭素原子数14〜22の直鎖または分枝状の飽和または不飽和のモノカルボン酸、硬化した植物性脂肪および動物性脂肪よりなる群から選ばれる1種または2種以上を主成分とする保護物質で包囲してなる粒状物を、さらに、前記保護物質の異種同種により被覆してなることを特徴とする反すう動物用飼料添加剤」(請求項1)、「本発明の反すう動物用飼料添加組成物は、〜従来の如く、生物学的活性物質と保護物質とを混合造粒したものに比較して、第1胃の胃液に対応するMcDougallの人口唾液に対する生物学的活性物質の溶出率が極めて低く抑えられ、かつ、第4胃の胃液に対応するClarkーLubsのPH2の緩衝液に対する生物学的活性物質の溶出率は極めて高い値を示す。すなわち、反すう動物に経口投与した場合に生物学的活性物質が、第1胃内で分解、失活されることなく第4胃以降の消化器管内で有効に消化吸収されることを示す。」(4頁左欄2行〜11行)と記載されている。
同じく引用された特開昭59ー198946号公報(以下、刊行物2という。)には、「顆粒化された生物学的活性物質を中性ないしアルカリ性の水に難溶性であり、かつ酸性の水に易溶性の被膜で被覆してなることを特徴とする飼料添加剤。」(特許請求の範囲第1項)が記載されている。
同じく引用された特開昭58ー175449号公報(以下、刊行物3という。)には、「炭素原子14〜22個を有する直鎖又は分枝状の飽和又は不飽和のモノカルボン酸、硬化した植物性脂肪及び硬化した動物性脂肪の群から選ばれる1種又は2種以上の物質とキトサンとを含有する保護物質の被膜で、生物学的活性物質を包囲したことを特徴とする反すう動物用飼料添加組成物。」(特許請求の範囲第1項)が記載されている。
同じく引用された特開昭56ー154956号公報(以下、刊行物4という。)には「少なくとも生物学上有効な物質に炭素原子14〜22個を有する脂肪族モノカルボン酸又は前記酸の数種の混合物の塩を含有する被膜を備えている粒子の形の反すう動物の瘤胃(第一胃)を通る飼料添加物において、全重量に対して (a)生物学上有効物質少くとも30〜50重量%、(b)炭素原子14〜22個を有する脂肪酸モノカルボン酸又はリシノール酸のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩少なくとも10〜35重量%、(c)残部が100重量%まで、炭素原子14〜22個を有する脂肪族モノカルボン酸及び/又はリシノール酸及び/又は硬化した植物性又は動物性脂肪であるが、少くとも30重量%よりなることからなる反すう動物の瘤胃(第一胃)を通る飼料添加物。」(請求項1)、「本発明による飼料添加物の粒子は、被膜が脂肪酸からか又は脂肪酸塩からなるのに過ぎないものと異なり、既にしわ胃(反すう動物の第四胃)の酸性環境中で侵され、生物学上有効な物質を、胆汁及びすい液の付加的作用を要しないで遊離することが判明した。しかしながら他面では本発明による飼料添加物の粒子は、瘤胃の胃液のpHを有する環境による浸蝕及び瘤胃中の分解にも抵抗する。」(2頁左上欄18行〜右上欄6行)、「保護性被膜中で遊離酸としてか又はナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩の形で存在する炭素原子14〜22個を有する脂肪族モノカルボン酸は、飽和又は不飽和、分枝状または非分枝状であってもよい。好ましくは天然脂肪で生ずる非分枝状脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸又はベヘン酸又はかゝる酸の混合物である。」(2頁右下欄12行〜19行)と記載されている。
上記記載から、刊行物4には「生物学上有効物質を、炭素原子14〜22個を有する脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩と炭素原子14〜22個を有する脂肪酸よりなる保護物質で被覆した反芻動物用飼料添加物。」が記載されているものと認められる。
同じく引用された特開昭63ー313546号公報(昭和63年12月21日出願公開、以下、刊行物5という。)には、「油脂を脂肪酸の2価以上の金属塩にかえて保護し、この保護油脂でアミノ酸を保護することを特徴とする反芻動物用飼料原料の製造法」(特許請求の範囲)、「この脂肪酸は口腔から第三胃に至るまでの微アルカリ性から中性領域では、体温での融解および脂肪酸への分解を受けることがなくバイパスし、第四胃の強い酸性の胃液で初めて脂肪酸に分解し、分解に伴う融点降下で体温でも融解することから小腸での吸収を待つのみとなる。この保護油脂で保護されたアミノ酸も第三胃までは同様にバイパスし、第四胃での保護油脂の分解とこれに伴う融解で遊離されて吸収を待つのみとなる。」(2頁右上欄14行〜左下欄3行)、「(実施例)牛脂2kg(融点40.7℃)を70℃に加熱融解し、これに10%水酸化ナトリウム溶液2.8Kgをかきまぜながら徐々に加え、ケン化分解して牛脂脂肪酸ナトリウムとする。更にこれを10%塩化カルシウム水溶液3.8Kgを同様にかきまぜながら加えて複分解した後、過剰の水をろ布でろ過し、水洗、ろ過、風乾、粉砕して牛脂脂肪酸カルシウム2.4Kg(水分10%、融点110℃)を得た。この牛脂脂肪酸カルシウム965gを130℃に加熱融解し、これにメチオニン24g及びリジン11gをかきまぜながら加えて均一に混合し、冷却後粉砕することによって、本発明の飼料原料である、牛脂脂肪酸カルシウムで保護したアミノ酸を得た。」(2頁右下欄18行〜3頁左上欄13行)と記載されている。
3.対比・判断
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載の発明の「生物学的活性物質を保護物質で包囲してなる粒状物」は、請求項1に係る発明の「生物学的活性物質と保護物質とを含有する核顆粒」に相当するから、両者は「生物学的活性物質と保護物質とを含有する核顆粒を、保護被膜で被覆した反芻動物用飼料添加剤。」である点で一致するが、核顆粒を被覆する保護物質が、請求項1に係る発明では、中性域では不溶性であり酸性域では分解性を示す、融点が30〜50℃の範囲にある脂肪酸の2価の金属塩及びこの脂肪酸塩と相溶する水不溶性物質を含有してなるのに対し、刊行物1に記載の発明では、核顆粒に含有される保護物質と異種同種である点で相違する。
上記相違点について検討すると、刊行物2,3には、保護物質として、脂肪酸の2価の金属塩を用いることは記載されていないが、刊行物4には、被覆する保護物質として、(b)炭素原子14〜22個を有する脂肪酸のカルシウム塩と(c)炭素原子14〜22個を有する脂肪酸を用いることが記載され、刊行物5には、油脂脂肪酸の2価以上の金属塩を保護物質とすること、この脂肪酸塩として、牛脂(融点40.7℃)脂肪酸のカルシウム塩が記載され、この牛脂脂肪酸のカルシウム塩は、本願明細書の実施例で用いているものであるから、融点が30〜50℃の範囲にある脂肪酸の2価の金属塩が記載されている。
しかしながら、刊行物1、4、5に記載の発明から請求項1に係る発明を構成するためには、刊行物4に記載の脂肪酸塩から、カルシウム塩を選択し、このカルシウム塩として刊行物5に記載の牛脂脂肪酸のカルシウム塩等の30〜50℃の融点の2価の脂肪酸の金属塩を選択して保護物質とし、この保護物質を刊行物1に記載の発明の保護物質と置換しなければならず、このような行程を経なければ構成されない請求項1に係る発明は、当業者が容易に想到し得るものとは認められない。
(請求項2ないし5に係る発明)
請求項2ないし5に係る発明は、請求項1に係る発明を更に限定したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、請求項1ないし5に係る発明は、刊行物1ないし5に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、他に請求項1ないし5に係る発明を拒絶する理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-12-03 
出願番号 特願平2-80808
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A23K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鈴木 寛治
白樫 泰子
発明の名称 反芻動物用飼料添加剤  
代理人 東海 裕作  
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