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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63B
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A63B
管理番号 1049834
異議申立番号 異議2000-71360  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-04-04 
確定日 2001-08-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2957115号「アイアンゴルフクラブ」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2957115号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続きの経緯
特許2957115号の請求項1に係る発明は、平成7年9月20日に特許出願され、平成11年7月23日にその特許の設定登録がなされ、その後、「ブリヂストンスポーツ株式会社」より特許異議の申立がなされ、取消理由を通知したところ、その指定期間内の平成12年11月9日に訂正請求がなされたものである。

(2)訂正の適否の判断
1.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa〜gである。
(i)特許請求の範囲の訂正
a.請求項1を下記のとおりに訂正。
「【請求項1】フェイス面2が平面であり、ソール部3の最大幅寸法Sが10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
4.0≧V/L≧1.0
によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」を、
「【請求項1】フェイス面2が平面であり、ソール部3の最大幅寸法Sが10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッド1を形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッド1を形成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
2.1≧V/L≧1.0
によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」と訂正。
b.請求項2は削除する。
(ii)発明の詳細な説明の訂正
c.段落【0013】を下記のとおりに訂正。
「【0013】【課題を解決するための手段】本発明は、フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法が10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、4.0≧V/L≧1.0によって規定されている。」を、
「【0013】【課題を解決するための手段】本発明は、フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法が10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを構成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される。」と訂正。
d.段落【0016】を下記のとおりに訂正。
「【0016】ここで、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L≧1.0によって規定されるように、十分大きくヘッド体積Vを設定する。
さらに詳しく上式に於て上限を付記すると、
4.0≧V/L≧1.0
とするのが好ましい。」を、
「【0016】ここで、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L≧1.0によって規定されるように、十分大きくヘッド体積Vを設定する。
さらに詳しく上式に於て上限を付記すると、
2.1≧V/L≧1.0
とするのが好ましい。」と訂正。
e.段落【0017】を下記のとおりに訂正。
「【0017】V/Lの値が1.0未満となると、ヘッド体積が小さくてスイートエリアにてボールを打撃することが困難となり(ミート率が低下し)、飛距離が延びなくなる。逆に、V/Lの値が4.0を越えると、ヘッド1が不必要に大きくなり、強度上や材料(材質)上から種々の問題が新たに生ずるからである。また、40inch≦L≦47inchとした理由は、(既に一部説明したように)従来のアイアンよりもヘッドスピードを増加し、かつ、ミート率を余り低下させないためである。」を、
「【0017】V/Lの値が1.0未満となると、ヘッド体積が小さくてスイートエリアにてボールを打撃することが困難となり(ミート率が低下し)、飛距離が延びなくなる。逆に、V/Lの値が2.1を越えると、ヘッド1が不必要に大きくなり、強度上や材料(材質)上から種々の問題が新たに生ずるからである。また、40inch≦L≦47inchとした理由は、(既に一部説明したように)従来のアイアンよりもヘッドスピードを増加し、かつ、ミート率を余り低下させないためである。」と訂正。
f.段落【0037】を下記のとおりに訂正。
「【0037】以上、表1〜表4の実打テストの結果から、従来は存在しなかったクラブ長さLが40inch以上のアイアンであっても、ヘッド体積を大きくして、V/Lが1.0以上かつ4.0以下のものとすれば、一般ゴルファーでも十分に打ちこなすことが出来───スイートエリアにて打球出来───、かつ、長尺のメリットを生かしてウッドに匹敵する飛距離が得られることが判った。更に、アイアンのメリットである良好な方向性がプラスされるから、本発明に係るアイアンクラブは打撃ボールの方向性と飛距離の両立を達成したといえる。」を、
「【0037】以上、表1〜表4の実打テストの結果から、従来は存在しなかったクラブ長さLが40inch以上のアイアンであっても、ヘッド体積を大きくして、V/Lが1.0以上かつ2.1以下のものとすれば、一般ゴルファーでも十分に打ちこなすことが出来───スイートエリアにて打球出来───、かつ、長尺のメリットを生かしてウッドに匹敵する飛距離が得られることが判った。更に、アイアンのメリットである良好な方向性がプラスされるから、本発明に係るアイアンクラブは打撃ボールの方向性と飛距離の両立を達成したといえる。」
と訂正。
g.段落【0039】を下記のとおりに訂正。
「【0039】(1)アイアン本来の打撃ボールの方向性に優れ、かつ、(ウッドクラブに匹敵するほどの)大きな飛距離を達成出来る。
(2)十分に大きなアイアンゴルフクラブヘッドを製作出来て、4.0≧V/L≧1.0 を満たすクラブ長さLの大きな新しい(一般のゴルファーでも打ちこなし得る)クラブを実現した。」を、
「【0039】(1)アイアン本来の打撃ボールの方向性に優れ、かつ、(ウッドクラブに匹敵するほどの)大きな飛距離を達成出来る。
(2)十分に大きなアイアンゴルフクラブヘッドを製作出来て、2.1≧V/L≧1.0 を満たすクラブ長さLの大きな新しい(一般のゴルファーでも打ちこなし得る)クラブを実現した。」と訂正。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正aは、
「ゴルフクラブ」を「アイアンゴルフクラブ」と、ゴルフクラブの種類を限定し、
「かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを構成し」とゴルフクラブの構成を限定し、
「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
4.0≧V/L≧1.0
によって規定される」を
「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
2.1≧V/L≧1.0
によって規定される」と、ゴルフクラブの構成をいずれも限定しており、特許請求の範囲の減縮に相当する。
上記訂正bは、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮に相当する。
上記訂正c〜gは、上記特許請求の範囲の訂正に対応させるために発明の詳細な説明の欄を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に相当する。
上記訂正a〜gはいずれも特許明細書に記載された「【0014】【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について説明すると、図1に例示するように、このアイアンゴルフクラブ(単にアイアンということがある)は、・・・。」、「【0020】ヘッド体積Vを増大させる手段としては、(いわゆるメタルウッドのように)中空構造にヘッドを形成する方法、又は、(ステンレスや軟鉄よりも比重の小さい)チタンやアルミ、ジュラルミン系の合金、又はMg-Li合金等の比重が1.0〜5.0の金属を、ヘッドの主たる構成材料として用いる方法、がある。」、および、表1の「本発明実施品 No.4」の記載に基づくものであるから、上記訂正a〜gは新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項および同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

(3)特許異議の申立てについての判断
1.本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。(上記(2)、1.(i)a参照)
2.異議申立ての理由の概要
特許異議申立人ブリヂストンスポーツ株式会社は、本件特許出願前に公然実施された検甲第1号証(ブリヂストンスポーツ株式会社製の「ニューディスタ(NEWDISTA)」シリーズ、1番アイアンゴルフクラブ:以下、「検甲第1号証の発明」という)、同じく検甲第2号証(ダイワ精工株式会社製の「カーボレックス(CARBOREX)H.D.I.」シリーズ、1番アイアンゴルフクラブ:以下、「検甲第2号証の発明」という)、及び同じく検甲第3号証(ヤマハ株式会社製の「イオスチタンツーオン(EOS Ti 20N)のロフト19°仕様クラブ:以下、「検甲第3号証の発明」という)にかかる証拠である
甲第1号証 江崎裕志氏によるアイアンゴルフクラブ「ニューディスタ」の販売報告書
甲第2号証 広瀬昇弘氏によるアイアンゴルフクラブ「カーボレックス」の販売報告書
甲第3号証 パンフレット「1993YAMAHAGOLF」
甲第4号証 「ゴルフ用品総合カタログ」
甲第5号証 江崎裕志氏によるアイアンゴルフクラブ「ニューディスタ」の同一性報告書
甲第6号証 広瀬昇弘氏によるアイアンゴルフクラブ「カーボレックス」の同一性報告書
甲第7号証 梶田良太氏によるゴルフクラブ「測定結果報告書」
甲第8号証 雑誌「Choice(ザアイアンカタログ)」
甲第9号証 雑誌「クラブ用品大全科」
甲第10号証 検甲第1号証を撮影した写真
甲第11号証 検甲第2号証を撮影した写真
甲第12号証 検甲第3号証を撮影した写真
を提出し、本件発明に係る特許は次の理由により取り消すべきである旨主張している。
(i)本件発明は、特許出願前に日本国内において公然実施をされた検甲第1号証の発明、検甲第2号証の発明、または検甲第3号証の発明であり、特許法第29条第1項第2号の発明に該当するから、この特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(ii)本件発明は、検甲第1号証の発明、検甲第2号証の発明、または検甲第3号証の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、この特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
なお、本件発明の特許異議申立人は、特許異議申立と同日に、検甲第1号証のゴルフクラブが本件特許出願前に日本国内において公然実施された発明である事実、および甲第1号証及び甲第5号証の記載事実について、証人尋問の申し立てを行っている。
3.検甲各号証の発明
(i)検甲第1号証の発明は、甲第1,5,7〜9、10号証を参照すると、以下のようなものである。
「フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法Sが31mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40.5inchに設定し、かつ、比重が1.4のカーボン素材を主たる構成材料に用いてヘッドを形成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
V/L=1.94
によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」
(ii)検甲第2号証の発明は、甲第2、6〜9、11号証を参照すると、以下のようなものである。
「フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法Sが27.1mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを41inchに設定し、かつ、比重が1.5のカーボン素材を主たる構成材料に用いてヘッドを形成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
V/L=1.65
によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」
(iii)甲第3号証の発明は、甲第3,4,7〜9、12号証を参照すると、以下のようなものである。
「フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法Sが37.7mmのウッドゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inchに設定し、かつ、比重が4.57のチタンを主たる構成材料に用いてヘッドを形成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
V/L=2.36
によって規定されることを特徴とするウッドゴルフクラブ。」
4.対比・判断
(i)本件発明と検甲各号証との対比
a.本件発明と上記検甲第1号証の発明とを対比すると、
検甲第1号証の発明における「ソール部の最大幅寸法Sが31mm」は本件発明における「ソール部の最大幅寸法Sが10mm〜45mm」に包含され、
検甲第1号証の発明における「クラブ長さLを40.5inchに設定」は本件発明における「クラブ長さLを40inch〜47inchに設定」に包含され、
検甲第1号証の発明における「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L=1.94によって規定される」は本件発明における「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される」に包含されるから、検甲第1号証は「フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法Sが10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」に包含される発明であるが、
本件発明が「メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを形成」しているのに対して、検甲第1号証の発明は「比重が1.4のカーボン素材を主たる構成材料に用いてヘッドを形成」している点で相違する。
b.本件発明と上記検甲第2号証の発明とを対比すると、
検甲第2号証の発明における「ソール部の最大幅寸法Sが27.1mm」は本件発明における「ソール部の最大幅寸法Sが10mm〜45mm」に包含され、
検甲第2号証の発明における「クラブ長さLを41inchに設定」は本件発明における「クラブ長さLを40inch〜47inchに設定」に包含され、
検甲第2号証の発明における「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L=1.65によって規定される」は本件発明における「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される」に包含されるから、
検甲第2号証は「フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法Sが10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」に包含される発明であるが、
本件発明が「メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを形成」しているのに対して、検甲第2号証の発明は「比重が1.5のカーボン素材を主たる構成材料に用いてヘッドを形成」している点で相違する。
c.本件発明と上記検甲第3号証の発明とを対比すると、
検甲第3号証の発明における「ソール部の最大幅寸法Sが37.7mm」は本件発明における「ソール部の最大幅寸法Sが10mm〜45mm」に包含され、
検甲第3号証の発明における「クラブ長さLを40inchに設定」は本件発明における「クラブ長さLを40inch〜47inchに設定」に包含され、
検甲第3号証における「比重が4.57のチタンを主たる構成材料に用いてヘッドを形成」は本件発明における「メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを形成」に包含される発明であるが、
本件発明が「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される」のに対して、検甲第3号証の発明は「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L=2.36によって規定される」点で相違する。
(ii)本件発明と検甲各号証との相違点の判断
a.本件発明と検甲第1,2号証の発明の相違点について検討する。
本件発明では、クラブ長さLを(従来の常識を破って)十分に長く設定するが、それに見合ったヘッド体積Vを確保(増加)することにより、アイアンならではの方向性の良さを維持しつつミ一ト率を落とさず飛距離を増大させるために、ヘッド体積V(cm3)とクラブ長さL(inch)との比V/Lを定めたものであり、ヘッド体積Vを増大させる手段として(いわゆるメタルウッドのように)中空構造にヘッドを形成する方法、又はステンレスや軟鉄よりも比重の小さい比重が1.0〜5.0の金属をヘッドの主たる構成材料として用いる方法を採用しているのであるから、単なる周知技術の適用ではない。
したがって、本件発明は検甲第1号証または検甲第2号証の発明とはいえず、また検甲第1号証または検甲第2号証の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。

なお、平成13年6月11日付で特許異議申立人より回答書が提出され、その要旨は以下の通りである。
(a)「検甲第1号証・検甲第2号証におけるヘッドの具体的材質が何であり、何が主たる材料であるかについては、検甲第1号証及び検甲第2号証は、ステンレスとカーボンFRPの組合せ構造体で、主たる材料は、カーボンFRPである。
検甲第1号証及び検甲第2号証のカーボンアイアンにおいて、ソール部のみステンレスを使用している。」
(b)「検甲第1号証・検甲第2号証におけるヘッドの具体的材質として主たる材料がカーボンFRPである場合には、金属を主たる構成材料に用いた本願発明のようなアイアンヘッドとの間に、カーボンFRP自体の強度、特に、耐衝撃強度及び耐擦り傷性が、(金属材料に比して悪いために、)アイアンゴルフクラブとして耐久性が著しく劣る」という効果の相違があるのか否かについては、検甲第1号証・検甲第2号証では、ステンレスをソール部に使用しており、カーボンヘッドでも、「耐擦り傷性に対しては、アイアンゴルフクラブとして実用上十分な強度を有するものである」から、「ヘッドの具体的材料として主たる材料がカーボンFRP」であっても、「金属を主たる構成材料としたアイアンヘッドとの間に、アイアンゴルフクラブとして耐久性が著しく劣る」という効果の相違はない。
しかしながら、このような主たる構成材料の相違に基づく耐久性の相違の有無は本件発明と検甲第1号証および検甲第2号証の発明との間の主要な相違点ではなく、平成13年6月11日付けの回答書で特許異議申立人が主張しているように、主たる構成材料の相違に基づき耐久性が著しく劣るという効果の相違がなくとも、上記(3)4.(ii)で述べたような相違点があるため、本件発明は、検甲第1号証または検甲第2号証の発明であるとはいえず、また、検甲第1号証および検甲第2号証の発明から当業者が容易に想到し得たということもできない。
したがって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

b.本件発明と検甲第3号証の発明の相違点について検討する。
(3)3.(iii)に示したように検甲第3号証の発明は、「クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される」範囲には該当せず、「アイアンゴルフクラブ」ではない点で本件発明と相違し、しかも上記構成が本件発明の主要な構成であり、かつ、本件発明では、クラブ長さLを(従来の常識を破って)十分に長く設定するが、それに見合ったヘッド体積Vを確保(増加)することにより、アイアンならではの方向性の良さを維持しつつミ一ト率を落とさず飛距離を増大させるために、ヘッド体積V(cm3)とクラブ長さL(inch)との比V/Lを定めていることから、本件発明は検甲第3号証の発明であるとはいえず、また検甲第3号証の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。
したがって、本件発明は、検甲第1号証、検甲第2号証又は検甲第3号証の発明であるとはいえず、また、検甲第1号証、検甲第2号証又は検甲第3号証の発明から当業者が容易に発明をすることができたということもできない。

なお、甲第1号証及び甲第5号証の記載からみて、検甲第1号証の発明が本件特許出願前に日本国内において公然実施された発明である蓋然性が高く、当審においては検甲第1号証の発明が公然実施されていたことを前提に判断を行うこととしたため、証人尋問は行わないものとした。

(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立の理由によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものとはいえない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アイアンゴルフクラブ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 フェイス面2が平面であり、ソール部3の最大幅寸法Sが10mm〜45mmアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッド1を形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッド1を形成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
2.1≧V/L≧1.0
によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアイアンゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の、いわゆるアイアンと呼ばれるゴルフクラブは、(いわゆるウッドクラブと異なり)フェイス面が平面であり、かつソール部の最大幅寸法は通常30mm以下(大きいものでも45mm未満)であった。そして、数本の番手によって、通常、アイアンセットが構成され、そのアイアンセット内の各番手のクラブ長さ、ヘッドのロフト角・ライ角を漸次変化させることで、様々な距離にボールを飛ばすことが出来るようになっている。
【0003】
このように、アイアンゴルフクラブの主な役割は、所望の地点にボールを運ぶ点にあり、いわゆるウッドクラブと比べると、飛距離よりも方向性が重視されてきた。
【0004】
例えば、クラブ長さは、飛距離が重視されるウッドクラブでは40inch(インチ)以上に設定され、特に飛距離が求められる1番ウッド―――ドライバー―――では、そのほとんどが43inch(インチ)以上に設定されている。これに対し、アイアンの場合、最もクラブ長さの長いロングアイアン(いわゆる1番アイアンや2番アイアン)でも40inch(インチ)未満となっていた。
【0005】
また、余り飛距離のでないゴルファーは、特にロングアイアンについて(“方向性”と同等乃至それ以上に)“飛距離”の大きいことを要望する傾向にある。
【0006】
そのため、ウッドの形状をしたヘッドで、アイアンのロフト・ライ・長さを備えたクラブ、又は、中空構造やCFRP等を用いた複合構造によってヘッドを大型化したクラブ等、によって、打ち易く、飛距離の出るアイアンクラブが開発・提案されてきた。
【0007】
しかし、そのような場合でも、アイアンクラブの長さ(クラブ長さ)が40inch(インチ)を越えるものは存在せず、その飛距離もウッドクラブに匹敵するほどの水準ではなかった。
【0008】
40inchを越える長いアイアンゴルフクラブがこれまで存在しなかった理由としては、▲1▼アイアンのクラブ長さというものが過去からある程度決まっていて―――例えば3番アイアンで38.5inch前後―――それよりも極端に長くするという概念が存在しなかったため、及び、▲2▼アイアンがウッドに比べてヘッドが小さくスイートエリアが狭小なうえ、ティーアップせずに地面の上にあるボールを打撃することが多いため、クラブ長さが長いとナイスショットが難しかったためと、推察される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
アイアンゴルフクラブは方向性に優れている反面、飛距離についてはウッドクラブに劣るという特性を有する。アイアンゴルフクラブが方向性に優れている理由は、フェース面が(ウッドクラブのように凸曲面でなくて)平面であり、かつソール部の最大幅寸法が45mm以下で重心深度が浅くギア効果がほとんど無くてサイドスピンがかからないからである。
【0010】
また、アイアンがウッドに比べて飛距離が落ちる理由としては、クラブ長さが短いためにヘッドスピードが小さいことが一因と考えられる。しかし、アイアンの場合、ヘッド体積が(ウッドに比べて)比較的小さいために、クラブ長さを増加するとボールをスイートエリアでとらえることが非常に困難となり、クラブ長さを増加することによるメリット―――ヘッドスピード増加による飛距離の増大というメリット(利点)―――が結果的に生かせない。
【0011】
(ゴルフをしたことのある人なら大抵経験するところであるが)狭いホールでの第一打に於て、ウッドを使うか、アイアンを使うか、迷う場面がよくある。そのようなとき、方向性の良いアイアンで、ウッド並の(又はそれに準ずる)飛距離が出れば最高と、誰もが考えるところであるが、そのようなアイアンは従来存在しなかった。
【0012】
本発明の目的は、このような要望に応じて、方向性に優れ、かつ、飛距離も十分に長いアイアンゴルフクラブを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法が10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを構成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について説明すると、図1に例示するように、このアイアンゴルフクラブ(単にアイアンということがある)は、フェイス面2が平面―――弯曲面でないこと―――であり、ソール部3の最大幅寸法Sが10mm以上で45mm以下のクラブヘッド1を有しており、これ等は(上述の)従来のアイアンと同様である。
【0015】
しかしながら、ヘッド1のシャフト4とグリップ5を含んだ全長―――クラブ長さL―――を、(従来のアイアンよりも増大させて)40inch〜47inchに設定し、さらに、ヘッド体積V(cm3)を従来のアイアンよりも大きく設定する。なお、好ましくは、クラブ長さLを40inch〜45inchとする。クラブ長さがこの下限値より小さいと、ヘッドスピードが増さず、飛距離が延びなくなり、効果がない。逆に上記上限値を越えると、ショットが難しくなる。
【0016】
ここで、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L≧1.0によって規定されるように、十分大きくヘッド体積Vを設定する。
さらに詳しく上式に於て上限を付記すると、
2.1≧V/L≧1.0
とするのが好ましい。
【0017】
V/Lの値が1.0未満となると、ヘッド体積が小さくてスイートエリアにてボールを打撃することが困難となり(ミート率が低下し)、飛距離が延びなくなる。逆に、V/Lの値が2.1を越えると、ヘッド1が不必要に大きくなり、強度上や材料(材質)上から種々の問題が新たに生ずるからである。また、40inch≦L≦47inchとした理由は、(既に一部説明したように)従来のアイアンよりもヘッドスピードを増加し、かつ、ミート率を余り低下させないためである。
【0018】
本発明は、要するに、クラブ長さLを(従来の常識を破って)十分に長く設定するが、それに見合ったヘッド体積Vを確保(増加)することにより、アイアンならではの方向性の良さを維持しつつ、ミート率―――スイートエリアでのボール打撃の確率―――を落とさず、飛距離を増大させた発明である。
【0019】
この際、ヘッド体積V(cm3)とクラブ長さL(inch)との比―――V/L―――が飛距離と密接な関係にあることを本発明者等が多大の試行錯誤と実験を繰返して発見して本発明に想到したものである。
【0020】
ヘッド体積Vを増大させる手段としては、(いわゆるメタルウッドのように)中空構造にヘッドを形成する方法、又は、(ステンレスや軟鉄よりも比重の小さい)チタンやアルミ、ジュラルミン系の合金、又はMg-Li合金等の比重が1.0〜5.0の金属を、ヘッドの主たる構成材料として用いる方法、がある。
【0021】
あるいは、これ等の低比重材料と、ステンレス,軟鉄,銅,真ちゅう,タングステン及びそれらの合金等の比重の比較的大きい金属と、組合わせて使用することも可能である。ところで、本発明に係るアイアンゴルフクラブに於て、ソール部3の最大幅寸法Sを10mm〜45mmに限定した理由は次の通りである。つまり、この幅寸法Sが45mmを越えると重心深度が深くなり、ギア効果を生じて好ましくない。逆に、10mm未満であると重心が高くなり過ぎて、ボールが上がらなくなると共に、ソールが滑らなくなるためダブリ易くなって実用に向かない。
【0022】
【実施例】
実施例として、次の表1に示すテスト用ゴルフクラブNo.1〜No.5の5本を用意し、実打テストを行った。
【0023】
【表1】

【0024】
上記表1に記載の各クラブスペックの5本のゴルフクラブを用いて、スイングマシン及び人間テスター5名にて、実打テストを行った結果を次の表2に示す。この表2中の値はトータルの飛距離(ヤード)を示す。
【0025】
スイングマシンでのテストに於ては、常にフェース面のセンター(スイートスポット)に打点を設定し、マシンの打撃条件は各クラブ共に一定としてテストを行った。各クラブ共に10球づつデータを取りその平均値を求めた。
【0026】
人間による実打テストでは、各テスターに15球づつ打撃させ、飛距離の大きいものから上位10球をとってその平均値を求めた。また、括弧内の数字は、目標方向よりのずれの距離(ヤード)の絶対値について、上位10球の平均をとったものである。
【0027】
【表2】

【0028】
この表2の結果より、本発明の実施品であるところのNo.3,No.4は、従来のウッドクラブ(No.1,No.2)にやや劣るものの、それらに匹敵する飛距離が得られた。また、比較例(No.5)のアイアンに比較すると、かなりの飛距離の増加を実現している。
【0029】
スイングマシンによるテストでは、常にフェースセンター(スイートスポット)で打球しているため、実施品No.3,No.4と比較例No.5の間で飛距離に相違がほとんど無いのに対し、人間の実打テストでは、大きな差が測定された。更に、ハンディキャップ(HDCP)の少ない人に比べて、ハンディキャップの多い人は、実施品No.3,No.4と比較例No.5の差が大きいことが判る。
【0030】
即ち、スイートエリアで打球出来る確率の低い人(場合)ほど、比較例No.5のゴルフクラブよりも、本発明実施品No.3,No.4の方が、一層良く飛ぶことを示している。一般のゴルファーのほとんどが、ハンディキャップ(HDCP)20前後あるいはそれ以上であることを考えると、上述の表1と表2に示した本発明実施品No.3,No.4が、ほとんどのゴルファーにとって有用なものであるといえる。
【0031】
また、方向性の点では、本発明実施品No.3,No.4は、(従来品のウッドクラブNo.1,No.2に比較して)著しく優れており、アイアンの特性が十分に生かされている。
【0032】
次に、表3に別の実打テストの結果を示す。この表3では別のテスト用ゴルフクラブ―――アイアン型の長さ43inchのゴルフクラブ―――を準備し、前述のテスター5名にて実打テストを行った。
【0033】
【表3】

【0034】
この表3から興味深い結果が得られた。飛距離(ヤード)のデータを見ると、ヘッド体積が小さくスイートエリアが狭いクラブほど飛距離が小さくなり、特に、クラブNo.7とクラブNo.8に於ける差が顕著であることが判る。即ち、V/Lの値が1.0以上の本発明実施品(No.7)と、1.0未満の比較例(No.8)で飛距離に大差が生じ、V/Lが1.0を境に飛距離が大きく変わることが判る。
【0035】
さらに、次の表4は、クラブ長さLが40inchにて同様にテストを行った結果を示す。このテスト結果に於ても、V/Lの値が、1.0以上か否かが飛距離の上での境界になっていることが判る。
【0036】
【表4】

【0037】
以上、表1〜表4の実打テストの結果から、従来は存在しなかったクラブ長さLが40inch以上のアイアンであっても、ヘッド体積を大きくして、V/Lが1.0以上かつ2.1以下のものとすれば、一般ゴルファーでも十分に打ちこなすことが出来―――スイートエリアにて打球出来―――、かつ、長尺のメリットを生かしてウッドに匹敵する飛距離が得られることが判った。更に、アイアンのメリットである良好な方向性がプラスされるから、本発明に係るアイアンクラブは打撃ボールの方向性と飛距離の両立を達成したといえる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような著大な効果を奏する。
【0039】
▲1▼ アイアン本来の打撃ボールの方向性に優れ、かつ、(ウッドクラブに匹敵するほどの)大きな飛距離を達成出来る。
▲2▼ 十分に大きなアイアンゴルフクラブヘッドを製作出来て、2.1≧V/L≧1.0を満たすクラブ長さLの大きな新しい(一般のゴルファーでも打ちこなし得る)クラブを実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明を説明するための一部断面側面図である。
【符号の説明】
2 フェイス面
3 ソール部
S 最大幅寸法
L クラブ長さ
V ヘッド体積
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2957115号発明明細書中の特許請求の範囲
「【請求項1】フェイス面2が平面であり、ソール部3の最大幅寸法Sが10mm〜45mmのゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
4.0≧V/L≧1.0
によって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」
をとあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】フェイス面2が平面であり、ソール部3の最大幅寸法Sが10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッド1を形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッド1を形成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、
2.1≧V/L≧1.0
よって規定されることを特徴とするアイアンゴルフクラブ。」と訂正。
特許請求の範囲の減縮を目的として請求項2を削除。
特許第2957115号発明の明細書の記載を平成12年11月9日付訂正明細書のとおり、すなわち、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書原本における、段落【0013】を下記のとおりに訂正。
「【0013】【課題を解決するための手段】本発明は、フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法が10mm〜45mmのゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、4.0≧V/L≧1.0によって規定される。また、ヘッドの主たる構成部材である材料の比重が、1.0〜5.0に設定されている。」を、
「【0013】【課題を解決するための手段】本発明は、フェイス面が平面であり、ソール部の最大幅寸法が10mm〜45mmのアイアンゴルフクラブに於て、クラブ長さLを40inch〜47inchに設定し、かつ、メタルウッドのように中空構造にヘッドを形成するか、又は、比重が1.0〜5.0の金属を主たる構成材料に用いてヘッドを構成し、さらに、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、2.1≧V/L≧1.0によって規定される。」と訂正。
特許第2957115号発明の明細書の記載を平成12年11月9日付訂正明細書のとおり、すなわち、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書原本における、段落【0016】を下記のとおりに訂正。
「【0016】ここで、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L≧1.0によって規定されるように、十分大きくヘッド体積Vを設定する。さらに詳しく上式に於て上限を付記すると、4.0≧V/L≧1.0とするのが好ましい。」を、
「【0016】ここで、クラブ長さL(inch)とヘッド体積V(cm3)の関係が、V/L≧1.0によって規定されるように、十分大きくヘッド体積Vを設定する。
さらに詳しく上式に於て上限を付記すると、
2.1≧V/L≧1.0
とするのが好ましい。」と訂正。
特許第2957115号発明の明細書の記載を平成12年11月9日付訂正明細書のとおり、すなわち、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書原本における、段落【0017】を下記のとおりに訂正。
「【0017】V/Lの値が1.0未満となると、ヘッド体積が小さくてスイートエリアにてボールを打撃することが困難となり(ミート率が低下し)、飛距離が延びなくなる。逆に、V/Lの値が4.0を越えると、ヘッド1が不必要に大きくなり、強度上や材料(材質)上から種々の問題が新たに生ずるからである。また、40inch≦L≦47inchとした理由は、(既に一部説明したように)従来のアイアンよりもヘッドスピードを増加し、かつ、ミート率を余り低下させないためである。」を、
「【0017】V/Lの値が1.0未満となると、ヘッド体積が小さくてスイートエリアにてボールを打撃することが困難となり(ミート率が低下し)、飛距離が延びなくなる。逆に、V/Lの値が2.1を越えると、ヘッド1が不必要に大きくなり、強度上や材料(材質)上から種々の問題が新たに生ずるからである。また、40inch≦L≦47inchとした理由は、(既に一部説明したように)従来のアイアンよりもヘッドスピードを増加し、かつ、ミート率を余り低下させないためである。」と訂正。
特許第2957115号発明の明細書の記載を平成12年11月9日付訂正明細書のとおり、すなわち、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書原本における、段落【0037】を下記のとおりに訂正。
「【0037】以上、表1〜表4の実打テストの結果から、従来は存在しなかったクラブ長さLが40inch以上のアイアンであっても、ヘッド体積を大きくして、V/Lが1.0以上かつ4.0以下のものとすれば、一般ゴルファーでも十分に打ちこなすことが出来―――スイートエリアにて打球出来―――、かつ、長尺のメリットを生かしてウッドに匹敵する飛距離が得られることが判った。更に、アイアンのメリットである良好な方向性がプラスされるから、本発明に係るアイアンクラブは打撃ボールの方向性と飛距離の両立を達成したといえる。」を、
「【0037】以上、表1〜表4の実打テストの結果から、従来は存在しなかったクラブ長さLが40inch以上のアイアンであっても、ヘッド体積を大きくして、V/Lが1.0以上かつ2.1以下のものとすれば、一般ゴルファーでも十分に打ちこなすことが出来―――スイートエリアにて打球出来―――、かつ、長尺のメリットを生かしてウッドに匹敵する飛距離が得られることが判った。更に、アイアンのメリットである良好な方向性がプラスされるから、本発明に係るアイアンクラブは打撃ボールの方向性と飛距離の両立を達成したといえる。」と訂正。
特許第2957115号発明の明細書の記載を平成12年11月9日付訂正明細書のとおり、すなわち、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書原本における、段落【0039】を下記のとおりに訂正。
「【0039】
▲1▼ (請求項1によれば)アイアン本来の打撃ボールの方向性に優れ、かつ、(ウッドクラブに匹敵するほどの)大きな飛距離を達成出来る。
▲2▼ (請求項2によれば)十分に大きなアイアンゴルフクラブヘッドを製作出来て、4.0≧V/L≧1.0を満たすクラブ長さしの大きな新しい(一般のゴルファーでも打ちこなし得る)クラブを実現した。」を、
「【0039】
▲1▼ アイアン本来の打撃ボールの方向性に優れ、かつ、(ウッドクラブに匹敵するほどの)大きな飛距離を達成出来る。
▲2▼ 十分に大きなアイアンゴルフクラブヘッドを製作出来て、2.1≧V/L≧1.0を満たすクラブ長さしの大きな新しい(一般のゴルファーでも打ちこなし得る)クラブを実現した。」と訂正。
異議決定日 2001-07-13 
出願番号 特願平7-267809
審決分類 P 1 651・ 112- YA (A63B)
P 1 651・ 121- YA (A63B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 松川 直樹
白樫 泰子
登録日 1999-07-23 
登録番号 特許第2957115号(P2957115)
権利者 住友ゴム工業株式会社
発明の名称 アイアンゴルフクラブ  
代理人 村社 厚夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 竹内 英人  
代理人 弟子丸 健  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 稔  
代理人 中谷 武嗣  
代理人 小川 信夫  
代理人 今城 俊夫  
代理人 中谷 武嗣  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 大塚 文昭  
代理人 箱田 篤  
代理人 松下 満  

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