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審決分類 |
審判 全部申し立て 特39条先願 B65G 審判 全部申し立て 発明同一 B65G |
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管理番号 | 1049865 |
異議申立番号 | 異議2000-74269 |
総通号数 | 25 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-11-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-11-27 |
確定日 | 2001-08-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3045297号「カーブベルトコンベヤ」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3045297号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
【1】手続の経緯 本件特許第3045297号の発明についての出願は、平成11年5月17日に特許出願されたものであって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成12年3月17日にその特許権の設定登録がなされたものであるが、その後、本件の請求項1ないし4に係る特許に対して、マルヤス機械株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成13年2月26日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年5月7日に訂正請求がなされたものである。 【2】訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 特許権者が求めている訂正の内容は以下のa、bのとおりである。 ア.訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の記載について、「配設されている」を「配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」と訂正する。 イ.訂正事項b 発明の詳細な説明の段落【0011】の記載について、「配設されている」を「配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記訂正事項aに関連する記載として、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の発明の詳細な説明には「この往路側駆動ローラ31は、等径の円筒形状に形成されたもので、ユニット支持部材21にて水平状に支持された回転支軸34に嵌合され、この回転支軸34の軸方向の基端側には伝動機構23の往路側従動プーリ35が回転支軸34と一体的に回転するように固定して取り付けられている。」(段落【0030】)、「この復路側駆動ローラ41は、等径の円筒形状に形成されたもので、ユニット支持部材21にて水平状に支持された回転支軸44に嵌合され、この回転支軸44の軸方向の基端側には伝動機構23の復路側従動プーリ45が回転支軸44と一体的に回転するように固定して取り付けられている。」(段落【0035】)、及び「また、伝動機構23は、モータ22からの動力を往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラ41に伝達するもので、モータ22の図示しない出力軸側に連結された原動プーリ50を有し、この原動プーリ50、往路側従動プーリ35および復路側従動プーリ45にはタイミングベルト等の無端体51が架け渡されている。」(段落【0039】)と記載されていることから、「前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」ことは特許明細書に記載されているものと認められる。 そうすると、上記訂正事項aは、特許明細書に記載された事項の範囲内において、「前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」点を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 また、上記訂正事項bは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】特許異議の申立てについて (1)申立ての理由の概要 特許異議申立人マルヤス機械株式会社は、 特許第3045297号の請求項1、4に係る発明は、甲第1号証の請求項1に記載された発明と実質的に同一なので、特許法第39条第1項に規定する発明に該当し、又は甲第1号証に記載された発明と同一なので同法第29条の2に規定する発明に該当し、 請求項2、3に係る発明は、甲第1号証の請求項1に記載された発明に甲第2号証ないし甲第3号証に例示される周知技術を単に付加したものであって、甲第1号証の請求項1に記載された発明と実質的に同一なので、特許法第39条第1項に規定する発明に該当し、又は甲第1号証に記載された発明に甲第2号証ないし甲第3号証に例示される周知技術を単に付加したものであって、甲第1号証に記載された発明に実質的に同一なので、同法第29条の2に規定する発明に該当し、 いずれも特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである、 旨主張している。 (2)本件発明 特許第3045297号の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明3」、「本件発明4」という。)は、平成13年5月7日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】搬送始端側から搬送終端側に向けて被搬送物を搬送する円弧状で無端形状のカーブベルトと、このカーブベルトの走行方向の中央より搬送終端側の往路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの往路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る往路側ローラ部と、前記カーブベルトの走行方向の中央より搬送始端側の復路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの復路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る復路側ローラ部とを具備し、前記往路側ローラ部は、カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する往路側駆動ローラと前記カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記往路側駆動ローラとで前記カーブベルトの往路面を挟持するとともに前記往路側駆動ローラに前記カーブベルトの往路面を押し付ける往路側ピンチローラとを有し、前記復路側ローラ部は、前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する復路側駆動ローラと前記カーブべルトの復路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記復路側駆動ローラとで前記カーブベルトの復路面を挟持するとともに前記復路側駆動ローラに前記カーブベルトの復路面を押し付ける復路側ピンチローラとを有し、前記往路側駆動ローラは、前記カーブベルトの円弧中心と前記カーブベルトの外周部中央とを結んだ径方向に沿った基準中央線に平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側ピンチローラは、前記往路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラは、前記カーブベルトの基準中央線と平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側ピンチローラは、前記復路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されていることを特徴とするカーブベルトコンベヤ。 【請求項2】往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周側に向って縮径した円錐台形状にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。 【請求項3】往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周側に向って拡径した円錐台形状にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。 【請求項4】往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周緑近傍に配設され前記カーブベルトの外周緑よりこのカーブベルトの内側に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーブベルトコンベヤ。 (3)引用例に記載された発明 これに対して、取消理由に引用された、本件発明の出願日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平10-121108号(特開平11-314719号)(甲第1号証)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、「往路側ベルト挟持ユニットは、上記カーブベルトの外周部における往路側と復路側との間に挿入して設置する往路側の駆動ローラと、上記カーブベルト外周部の往路面上に設置し、同カーブベルトを挟んで上記往路側の駆動ローラの外周面に押圧せしめるピンチローラとから成り、且つ、復路側ベルト挟持ユニットは、上記カーブベルトの外周部における往路側と復路側との間に挿入して設置する復路側の駆動ローラと、上記カーブベルト外周部の復路面下に設置し、同カーブベルトを挟んで上記復路側の駆動ローラの外周面に押圧せしめるピンチローラとから成り、」(段落【0009】の一部分)、「コンベア始端部のローラ2aと、コンベア終端部のローラ2bとを、平面視90o の角度を介して設置すると共に、これら両ローラ2a,2b間に無端状のカーブベルト1 を架設することにより、平面視略円弧状且つ水平な搬送軌道を構成する。」(段落【0021】の一部分)、「上記ローラ2a,2b間に架設されるカーブベルト1は、傘のように略円錐形に展開されるドーナツ状のシートとして構成され、」(段落【0026】の一部分)、「上記駆動ローラ4aは、カーブベルト1の外周部の口内に挿入する」(段落【0035】の一部分)、「【0041】上記した如く構成した往路側復路側両ベルト挟持ユニットb1,b2の駆動ローラ4a,4bの軸芯4a',4b'と、ピンチローラ5a,5bの軸芯5a',5b'とは、平面視において軸芯4a'と5a',4b'と5b'とが一致し、且つ、側面視において、上記軸芯4a'と5a',4b'と5b'とが所定の間隔を置いて並行に配置されるように設定してある(図3-a,図2-a,図2-b)。尚、.上記した往路側復路側両ベルト挟持ユニットbl,b2の駆動ローラ4a,4b、及びピンチローラ5a,5bの各々の軸芯4a',4b'と5a',5b'とは、平面視において所定の方向へ傾斜せしめているが、その詳細は後述する。 【0042】上記した如く構成した往路側復路側両ベルト挟持ユニットbl,b2は、図1にて示すように、平面視において、カーブベルト1の外周部の中央を挟んで若干の間隔を置いた状態で設置してある。また、上記往路側ベルト挟持ユニットb1は、カーブベルト1の外周部中央の終端側、復路側のベルト挟持ユニットb2は同カーブベルト1の外周部中央の始端側に配置してある。尚、上記した往路側復路側両ベルト挟持ユニットb l,b2は、相互に干渉しない範囲において、できるだけ接近させた状態で設置することが望ましい。 【0043】したがって、上記した往路側復路側両ベルト挟持ユニットbl,b2を同期させた状態で駆動せしめ、各駆動ローラ4a,4bをそれぞれ正転方向へ回転駆動せしめると、往路側駆動ローラ4aの外周と接触するカーブベルト1外周部の往路側がコンベア始端から終端へ向けて回動する。これと同時に、上記カーブベルト1の往路側の外周部を挟んで上記駆動ローラ4aの外周面に圧接する往路側ベルト挟持ユニットblのピンチローラ5aが、上記カーブベルト1の回転に追従する形で回転する(図3-a,図3-b)。また、これと同様に、復路側駆動ローラ4bの外周面と接触するカーブベルト1外周部の復路側がコンベア終端から始端へ向けて回動し、そして上記カーブベルト1の復路側の外周部を挟んで上記駆動ローラ4bの外周面に圧接する復路側ベルト挟持ユニットb2のピンチローラ5bが、上記カーブベルト1の回転に追従する形で回転する。これにより、上記カーブベルト1は、外周部の往路側と復路側とを上記往路側復路側両ベルト挟持ユニットbl,b2によって別々に挟持されつつ回動力を受けて正方向へ向けて駆動回転する。 【0044】ところで、上記往路側ベルト挟持ユニットblの駆動ローラ4a及びピンチローラ5aの軸芯4a',5a'は、平面視においてカーブベルト1の旋回中心Oから上記両ローラ4a,5aの接触中心部へ向けて延びる基準線L1に対して、所定方向へ傾斜せしめた状態で回転自在に軸支せしめ、これにより、ピンチローラ5aの接触力により、上記した如く回転するカーブベルト1の外周部を旋回外側へ向けて付勢するように構成してある(図3-a)。 【0045】図3-a(平面視)にて示すように、往路側ベルト挟持ユニットblの駆動ローラ4a及びピンチローラ5aの軸芯4a',5a'は、平面視においてカーブベルト1の旋回中心Oから上記両ローラ4a,5aの接触中心部へ向けて延びる基準線L1に対してαo だけ傾斜せしめた状態で軸支している。尚、上記軸芯4a',5a'の傾斜方向とは、旋回内側へ向いて突出する支軸50及び支軸40の先端が、コンベア終端側へ向けて前進する方向であり、本実施例の場合、その傾斜角αoを7.5o に設定してある。 【0046】一方、復路側ベルト挟持ユニットb2の駆動ローラ4b及びピンチローラ5bの軸芯4b',5b'は、平面視においてカーブベルト1の旋回中心○から上記両ローラ4 b,5 bの接触中心部へ向けて延びる基準線L2に対して、所定方向へ傾斜せしめた状態で回転自在に軸支せしめ、これにより、ピンチローラ5bの接触力により、上記した如く回転するカーブベルト1 の復路側の外周部を旋回外側へ向けて付勢するように構成してある(図3-a,図3-b)。」(段落【0041】〜段落【0046】)、及び「尚、上記駆動ローラ4a,4b及びピンチローラ5a,5bの傾斜角αo は大きく設定するほどカーブベルト1の外周部を外側へ引く力F2,F2'を増大せしめることが可能であるが、安定した走行状態を維持するには、F2,F2'がカーブベルト1を旋回中心○へ向けてずらす力以上であれば十分であり、必要以上に増しても良好な効果は期待できない。本願出願人は、数多くの試験を繰り返し行った。その結果、上記傾斜角αoは5o 〜10o の範囲が特に良好であるとの結論を得た。しかし、上記傾斜角αo は、上記した値に限定するものではなく、効果が期待できるならば上記範囲を外れる角度に設定してもよい。」(段落【0053】)との記載並びに図1ないし図3の記載からみて、 搬送始端側から搬送終端側に向けて被搬送物を搬送する円弧状で無端形状のカーブベルト1と、このカーブベルト1の走行方向の中央より搬送終端側の往路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルト1を走行させるとともにこのカーブベルト1の往路面の表面および裏面をこのカーブベルト1の外周側に向けて引っ張る往路側ベルト挟持ユニットblと、前記カーブベルト1の走行方向の中央より搬送始端側の復路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルト1を走行させるとともにこのカーブベルト1の復路面の表面および裏面をこのカーブベルト1の外周側に向けて引っ張る復路側ベルト挟持ユニットb2とを具備し、前記往路側ベルト挟持ユニットblは、カーブベルト1の往路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する往路側駆動ローラ4aと前記カーブベルト1の往路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記往路側駆動ローラ4aとで前記カーブベルト1の往路面を挟持するとともに前記往路側駆動ローラ4aに前記カーブベルト1の往路面を押し付けるピンチローラ5aとを有し、前記復路側ベルト挟持ユニットb2は、前記カーブベルト1の復路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する復路側駆動ローラ4bと前記カーブベルト1の復路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記復路側駆動ローラ4bとで前記カーブベルト1の復路面を挟持するとともに前記復路側駆動ローラ4bに前記カーブベルト1の復路面を押し付けるピンチローラ5bとを有し、前記往路側駆動ローラ4aは、前記カーブベルト1の旋回中心0から往路側駆動ローラ4aの接触中心部へ向けて延びる基準線L1に対して所定方向へ傾斜せしめた軸芯4a’を中心として回転可能に配設され、前記ピンチローラ5aは、前記往路側駆動ローラ4aの軸芯4a’と平面視で一致する軸芯5a’を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラ4bは、前記カーブベルト1の旋回中心0から復路側駆動ローラ4bの接触中心部へ向けて延びる基準線L2に対して所定方向へ傾斜せしめた軸芯4b’を中心として回転可能に配設され、前記ピンチローラ5bは、前記復路側駆動ローラ4bの軸芯4b’と平面視で一致する軸芯5b’を中心として回転可能に配設されているカーブベルトコンベヤ、 という発明が記載されている。 (4)対比・判断 <請求項1に係る発明について>本件発明1と先願明細書に記載された発明とを対比すると、先願明細書に記載された発明の「往路側ベルト挟持ユニットb1」、「復路側ベルト挟持ユニットb2」、「往路側駆動ローラ4a」、「復路側駆動ローラ4b」、「ピンチローラ5a」、「ピンチローラ5b」、「軸芯4a’、5a’、4b’、5b’」、「旋回中心O」は、それぞれ、本件発明1の「往路側ローラ部」、「復路側ローラ部」、「往路側駆動ローラ」、「復路側駆動ローラ」、「往路側ピンチローラ」、「復路側ピンチローラ」、「回転中心軸線」、「円弧中心」に相当するので、両者は、 搬送始端側から搬送終端側に向けて被搬送物を搬送する円弧状で無端形状のカーブベルトと、このカーブベルトの走行方向の中央より搬送終端側の往路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの往路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る往路側ローラ部と、前記カーブベルトの走行方向の中央より搬送始端側の復路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの復路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る復路側ローラ部とを具備し、前記往路側ローラ部は、カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する往路側駆動ローラと前記カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記往路側駆動ローラとで前記カーブベルトの往路面を挟持するとともに前記往路側駆動ローラに前記カーブベルトの往路面を押し付ける往路側ピンチローラとを有し、前記復路側ローラ部は、前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する復路側駆動ローラと前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記復路側駆動ローラとで前記カーブベルトの復路面を挟持するとともに前記復路側駆動ローラに前記カーブベルトの復路面を押し付ける復路側ピンチローラとを有し、前記往路側駆動ローラは、回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側ピンチローラは、前記往路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラは、回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側ピンチローラは、前記復路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設されているカーブベルトコンベヤ、 の点で一致し、 (イ)本件発明1では、前記往路側駆動ローラは、前記カーブベルトの円弧中心と前記カーブベルトの外周部中央とを結んだ径方向に沿った基準中央線に平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラは、前記カーブベルトの基準中央線と平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されているのに対し、先願明細書に記載された発明では、往路側駆動ローラは、カーブベルトの円弧中心から往路側駆動ローラの接触中心部へ向けて延びる基準線に対して所定方向へ傾斜せしめた回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、復路側駆動ローラは、カーブベルトの円弧中心から復路側駆動ローラの接触中心部へ向けて延びる基準線に対して所定方向へ傾斜せしめた回転中心軸線を中心として回転可能に配設されている点、 で相違している。 相違点(イ)について検討する。 往路側駆動ローラ及び復路側駆動ローラの各回転中心軸線を各基準線に対して所定方向へ傾斜すること、さらにはその傾斜角を5〜10度にすることは、前記各回転中心軸線を基準中央線に平行にするのに十分ではなく、前記各回転中心軸線を基準中央線に平行にするには、その傾斜角を特定の角度(各基準線と基準中央線とのなす角)にする必要がある。しかるに、先願明細書には、その特定の角度にする点が、記載されてなく、示唆もされておらず、無端体を往路側駆動ローラ側のプーリ及び復路側駆動ローラ側のプーリに架け渡す点も、記載がなく、示唆もされていないので、本件発明1は、先願明細書に記載がなく、示唆もない「前記往路側駆動ローラは、前記カーブベルトの円弧中心と前記カーブベルトの外周部中央とを結んだ径方向に沿った基準中央線に平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラは、前記カーブベルトの基準中央線と平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」点を構成要件として具備するものである。そして、本件発明1は、この構成により、構造がシンプルで、部品点数が少なく、組立て作業が容易にでき、製造コストを低減でき、無端体により往路側駆動ローラと復路側駆動ローラとを確実に同期駆動させることができる、との作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。 また、甲第1号証の請求項1に記載された発明(以下、「先願発明」という。)は、当該出願が審査に係属していて確定していないので、現時点では、このような先願発明と本件発明1とを対比・判断することはできない。ただ、今後の手続きにおいて先願明細書が補正されたとしても、当該補正は先願明細書に記載された事項の範囲内でしか補正できないことに照らせば、本件発明1と補正後の先願発明とを対比しても、本件発明1と先願明細書に記載された発明とを対比して検討したと同様な理由により、双者は同一となる蓋然性はないと解される。 なお、甲第2号証(塩見弘平著「ベルトコンベヤ設計ハンドブック」3版 株式会社工業調査会 p.123〜124)及び甲第3号証(特開平9-156736号公報)は、 カーブベルトコンベヤでは、ローラはカーブベルトの外周側に向かって拡径した円錐台形状にされる、 点が周知事項であることを証するためのものであり、もとより、「前記往路側駆動ローラは、前記カーブベルトの円弧中心と前記カーブベルトの外周部中央とを結んだ径方向に沿った基準中央線に平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラは、前記カーブベルトの基準中央線と平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」点については、記載がなく、示唆もない。 異議申立人は、先願明細書に記載された発明について、「基準線に対して往路側及び復路側のローラ部の駆動ローラとピンチローラの回転中心軸線の傾斜角を様々な角度で変化させた時、或る角度において回転中心軸線が基準中央線と平行になる。」旨主張している(平成12年11月27日付け特許異議申立書第23頁第29行〜第24頁第1行)。しかしながら、先願明細書に記載された発明においては、前記段落【0053】(【3】(3)参照)の記載からして、傾斜角は、往路側と復路側の駆動ローラの回転中心軸線の間隔、往路側及び復路側の各ローラ部と円弧中心との距離等により決まる所定方向への傾斜角であって、先願明細書には、この傾斜角を、様々な角度で変化させ、(平行になる)「或る角度」を選定することの記載がなく、示唆もされておらず、傾斜角を5〜10度の範囲とすることは、技術的意味があるわけでもなく、平行になることを保証するものでもない。 <請求項2ないし4に係る発明について> 請求項2ないし4に係る発明は、請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記<請求項1に係る発明について>で説示したと同様の理由により、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることができず、先願発明と同一であるとすることもできない。 【4】むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 カーブベルトコンベヤ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 搬送始端側から搬送終端側に向けて被搬送物を搬送する円弧状で無端形状のカーブベルトと、 このカーブベルトの走行方向の中央より搬送終端側の往路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの往路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る往路側ローラ部と、 前記カーブベルトの走行方向の中央より搬送始端側の復路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの復路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る復路側ローラ部とを具備し、 前記往路側ローラ部は、カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する往路側駆動ローラと前記カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記往路側駆動ローラとで前記カーブベルトの往路面を挟持するとともに前記往路側駆動ローラに前記カーブベルトの往路面を押し付ける往路側ピンチローラとを有し、 前記復路側ローラ部は、前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する復路側駆動ローラと前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記復路側駆動ローラとで前記カーブベルトの復路面を挟持するとともに前記復路側駆動ローラに前記カーブベルトの復路面を押し付ける復路側ピンチローラとを有し、 前記往路側駆動ローラは、前記カーブベルトの円弧中心と前記カーブベルトの外周部中央とを結んだ径方向に沿った基準中央線に平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、 前記往路側ピンチローラは、前記往路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、 前記復路側駆動ローラは、前記カーブベルトの基準中央線と平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、 前記復路側ピンチローラは、前記復路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、 前記住路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている ことを特徴とするカーブベルトコンベヤ。 【請求項2】 往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周側に向って縮径した円錐台形状にそれぞれ形成されている ことを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。 【請求項3】 往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周側に向って拡径した円錐台形状にそれぞれ形成されている ことを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。 【請求項4】 往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周縁近傍に配設され前記カーブベルトの外周縁よりこのカーブベルトの内側に位置する ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーブベルトコンベヤ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、被搬送物を円弧状に搬送するカーブベルトコンベヤに関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種のカーブベルトコンベヤとしては、例えば、特開平11-59837号公報に記載のカーブベルトコンベヤが知られている。 【0003】 この特開平11-59837号公報に記載のカーブベルトコンベヤは、円弧状で無端形状のカーブベルトの外周に沿ってベルト保持機構等を設けることなく、カーブベルトの円弧中心側への移動を防止するもので、カーブベルトを走行させる一つの駆動ローラをカーブベルトの外周部の往路面と復路面との間に備え、この駆動ローラの回転中心軸線がカーブベルトの円弧中心とこのカーブベルトの外周部中央とを結んだ基準中央線と一致している。 【0004】 そして、この駆動ローラの上方には、往路側ピンチローラがカーブベルトの往路面の上面である表面に接触し、この往路側ピンチローラにてカーブベルトの往路面が駆動ローラの上側に押し付けられ、これら往路側ピンチローラと駆動ローラとでカーブベルトの外周部の往路面が挟持されている。 【0005】 また、この駆動ローラの下方には、復路側ピンチローラがカーブベルトの復路面の下面である表面に接触し、この復路側ピンチローラにてカーブベルトの復路面が駆動ローラの下側に押し付けられ、これら復路側ピンチローラと駆動ローラとでカーブベルトの外周部の復路面が挟持されている。 【0006】 そして、これら往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラのそれぞれの回転中心軸線が、カーブベルトの基準中央線に対して所定方向に向って傾斜しており、その結果、これら往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラにてカーブベルトが外周側に向って付勢される。 【0007】 すなわち、往路側ピンチローラが、カーブベルトの往路面の表面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張るとともに、復路側ピンチローラが、カーブベルトの復路面の表面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張ることにより、これら往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラにてカーブベルトが外周側に向って付勢される。その一方、カーブベルトの内周側には、このカーブベルトの内周側縁部を保持するガイドローラが配設されている。 【0008】 そして、このガイドローラと、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラとにて、カーブベルトの円弧中心側への移動を防止する。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記従来の特開平11-59837号公報に記載のカーブベルトコンベヤでは、往路側ピンチローラが、カーブベルトの往路面の表面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張るとともに、復路側ピンチローラが、カーブベルトの復路面の表面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張るので、このカーブベルトの引張力が、往路面および復路面のそれぞれの表面のみに大きく作用し、その結果、表面の磨耗が激しく、カーブベルトの表面を傷めるおそれがある問題を有している。 【0010】 本発明は、このような点に鑑みなされたもので、カーブベルトの円弧中心側への移動を防止でき、かつ、カーブベルトの表面の損傷を小さくできるカーブベルトコンベヤを提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】 請求項1記載のカーブベルトコンベヤは、搬送始端側から搬送終端側に向けて被搬送物を搬送する円弧状で無端形状のカーブベルトと、このカーブベルトの走行方向の中央より搬送終端側の往路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの往路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る往路側ローラ部と、前記カーブベルトの走行方向の中央より搬送始端側の復路面を挟持した状態で回転可能に配設され、回転により前記カーブベルトを走行させるとともにこのカーブベルトの復路面の表面および裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張る復路側ローラ部とを具備し、前記往路側ローラ部は、カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する往路側駆動ローラと前記カーブベルトの往路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記往路側駆動ローラとで前記カーブベルトの往路面を挟持するとともに前記往路側駆動ローラに前記カーブベルトの往路面を押し付ける往路側ピンチローラとを有し、前記復路側ローラ部は、前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか一面に接触する復路側駆動ローラと前記カーブベルトの復路面の表面および裏面のいずれか他面に接触し前記復路側駆動ローラとで前記カーブベルトの復路面を挟持するとともに前記復路側駆動ローラに前記カーブベルトの復路面を押し付ける復路側ピンチローラとを有し、前記往路側駆動ローラは、前記カーブベルトの円弧中心と前記カーブベルトの外周部中央とを結んだ径方向に沿った基準中央線に平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側ピンチローラは、前記往路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側駆動ローラは、前記カーブベルトの基準中央線と平行な回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記復路側ピンチローラは、前記復路側駆動ローラの回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転可能に配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されているものである。 【0012】 そして、この構成では、往路側ローラ部および復路側ローラ部が、カーブベルトを走行させるとともに、このカーブベルトの往路面および復路面のそれぞれの表裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張るので、カーブベルトの円弧中心側への移動を防止しつつ、このカーブベルトの引張力を表裏面に分散することにより、カーブベルトの表面の損傷を小さくする。また、往路側ピンチローラが、カーブベルトの往路面を往路側駆動ローラとともに挟持し往路側駆動ローラにカーブベルトの往路面を押し付けた状態で往路側駆動ローラのカーブベルトの基準中央線に平行な回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転するとともに、復路側ピンチローラが、カーブベルトの復路面を復路側駆動ローラとともに挟持し復路側駆動ローラにカーブベルトの復路面を押し付けた状態で復路側駆動ローラのカーブベルトの基準中央線に平行な回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転するので、往路側駆動ローラおよび往路側ピンチローラと、復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラとが、それぞれカーブベルトを介して線状に圧接するため、カーブベルトに駆動力を効率良く伝達するとともに、往路側駆動ローラ、往路側ピンチローラ、復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラのそれぞれの回転方向とカーブベルトの走行方向とのずれ角度が小さいので、これら往路側駆動ローラ、往路側ピンチローラ、復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラによるカーブベルトの損傷を小さく抑えられる。 【0013】 請求項2記載のカーブベルトコンベヤは、請求項1記載のカーブベルトコンベヤにおいて、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周側に向って縮径した円錐台形状にそれぞれ形成されているものである。 【0014】 そして、この構成では、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラが、カーブベルトの外周側に向って縮径した円錐台形状にそれぞれ形成されているので、等径の円筒形状等の構成と比べて、これら往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラがカーブベルトに及ぼす外周側への引張力が増大する。 【0015】 請求項3記載のカーブベルトコンベヤは、請求項1記載のカーブベルトコンベヤにおいて、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周側に向って拡径した円錐台形状にそれぞれ形成されているものである。 【0016】 そして、この構成では、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラが、カーブベルトの外周側に向って拡径した円錐台形状にそれぞれ形成されているので、カーブベルトの内周側と外周側の周速度の変化に対応するため、等径の円筒形状等の構成と比べて、カーブベルトの表面の損傷をより一層小さくする。 【0017】 請求項4記載のカーブベルトコンベヤは、請求項1ないし3のいずれかに記載のカーブベルトコンベヤにおいて、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラは、カーブベルトの外周縁近傍に配設され前記カーブベルトの外周縁よりこのカーブベルトの内側に位置するものである。 【0018】 そして、この構成では、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラがカーブベルトの外周縁近傍に配設されカーブベルトの外周縁よりこのカーブベルトの内側に位置するので、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラのそれぞれの外面全体が回転によりカーブベルトに接触し、カーブベルトの外周側を往路側駆動ローラおよび復路側駆動ローラに確実に押し付け、カーブベルトに駆動力を確実に伝達する。 【0019】 【発明の実施の形態】 以下、本発明のカーブベルトコンベヤの一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。 【0020】 図1ないし図3において、1はフレームで、このフレーム1は複数の脚部材2にて高さ位置調節可能に保持されている。なお、各脚部材2が水平状の連結部材2aにて連結されている。 【0021】 また、このフレーム1の円周外側には平面視略円弧状の外側フレーム部3が形成され、円周内側には内側フレーム部4が外側フレーム部3と離間対向して形成されている。これら外側フレーム部3および内側フレーム部4の両端部間には等径状の一対のエンドローラ5a,5bが回転可能に取り付けられ、各エンドローラ5a,5bが平面視90°の角度をもって配置されている。 【0022】 さらに、この各エンドローラ5a,5b間に円弧状で無端形状のカーブベルト7が回転可能に架け渡され、外側フレーム部3にはこのカーブベルト7に駆動力を与える駆動ユニット8が取り付けられている。 【0023】 各エンドローラ5a,5bは、互いに独立して回転する等径で円筒状の多数の小ローラ部材11を有し、各小ローラ部材11は、外側フレーム部3および内側フレーム部4間に水平状に橋架された支軸12にこの支軸12の軸方向に沿って互いに隣接して回転可能に嵌装されている。なお、両エンドローラ5a,5bの外径の延長線上には、カーブベルト7の円弧中心Oが位置する。 【0024】 カーブベルト7は、展開状態で略円錐状のドーナツ形状をなす可撓性のシート部材にて形成され、各エンドローラ5a,5b間に架け渡されて円弧状の無端形状となっている。 【0025】 この各エンドローラ5a,5b間に架け渡されたカーブベルト7の往路面15は、図4に示すように複数、例えば3本のキャリヤローラ18および図示しない保持板部材にて保持され、水平面に沿って走行する。各キャリヤローラ18は、カーブベルト7の円弧中心Oを中心とした放射状に配設され、図示しない支軸にて水平状に軸支され、例えば両エンドローラ5a,5b間に22.5°の角度毎に配置されている。 【0026】 一方、カーブベルトの復路面16は、図2および図4に示すように、周方向の両端を除いた中心側が内側フレーム部4側から外側フレーム部3側に向って下方向に徐々に傾斜した傾斜状になって走行する。 【0027】 駆動ユニット8は、図5に示すように、板状のユニット支持部材21を有し、このユニット支持部材21にて動力源としてのモータ22が外側フレーム部3の外面側に位置して支持され、このモータ22からの動力を伝動機構23が伝達し、この伝動機構23にて伝達された動力を往路側ローラ部24および復路側ローラ部25が受けて作動する。 【0028】 この往路側ローラ部24は、カーブベルト7の走行方向Aの中央より搬送終端側の往路面15を挟持した状態で回転可能に配設され、回転によりカーブベルト7を走行させるとともに、このカーブベルト7の往路面15の表面および裏面をこのカーブベルト7の外周側に向けて引っ張る。 【0029】 そして、この往路側ローラ部24は、カーブベルト7の外周縁近傍位置に互いに上下に対向して配設された対をなす例えば一対の往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32を備えている。 【0030】 この往路側駆動ローラ31は、等径の円筒形状に形成されたもので、ユニット支持部材21にて水平状に支持された回転支軸34に嵌合され、この回転支軸34の軸方向の基端側には伝動機構23の往路側従動プーリ35が回転支軸34と一体的に回転するように固定して取り付けられている。 【0031】 また、往路側ピンチローラ32は、カーブベルト7の外周側つまりユニット支持部材21側に向って縮径した円錐台形状でかつ円筒形状に形成されたもので、先端側に向って上方向に傾斜した支軸36に図示しないベアリングを介して嵌装されている。さらに、この支軸36の基端部が往路側回動アーム37の先端部に連結され、この往路側回動アーム37はユニット支持部材21にて長手方向の中央の支軸部37aを中心として回動可能に水平状に支持され、この往路側回動アーム37とユニット支持部材21との間には板状の円形部材40が配設されている。 【0032】 そして、この往路側回動アーム37の基端部が、ばね保持部39で保持したばね38にて上方に向って付勢され、その結果、往路側駆動ローラ31がカーブベルト7の往路面15の裏面に接触しかつ往路側ピンチローラ32がカーブベルト7の往路面15の表面に接触し、この往路側ピンチローラ32にてカーブベルト7の往路面15が往路側駆動ローラ31に押し付けられ、これら2つの往路側駆動ローラ31と往路側ピンチローラ32とにてカーブベルト7の走行方向Aの中央より搬送終端側の往路面15が常時所定の押圧力をもって挟持される。 【0033】 一方、復路側ローラ部25は、カーブベルト7の走行方向Aの中央より搬送始端側の復路面16を挟持した状態で回転可能に配設され、回転によりカーブベルト7を走行させるとともに、このカーブベルト7の復路面16の表面および裏面をこのカーブベルト7の外周側に向けて引っ張る。 【0034】 そして、この復路側ローラ部25は、カーブベルト7の外周縁近傍位置に互いに上下に対向して配設された対をなす例えば一対の復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42を備えている。 【0035】 この復路側駆動ローラ41は、等径の円筒形状に形成されたもので、ユニット支持部材21にて水平状に支持された回転支軸44に嵌合され、この回転支軸44の軸方向の基端側には伝動機構23の復路側従動プーリ45が回転支軸44と一体的に回転するように固定して取り付けられている。 【0036】 また、復路側ピンチローラ42は、カーブベルト7の外周側つまりユニット支持部材21側に向って縮径した円錐台形状でかつ円筒形状に形成されたもので、先端側に向って下方向に傾斜した支軸46に図示しないベアリングを介して嵌装されている。さらに、この支軸46の基端部が復路側回動アーム47の先端部に連結され、この復路側回動アーム47はユニット支持部材21にて長手方向の中央の支軸部47aを中心として回動可能に傾斜状に支持され、この復路側回動アーム47とユニット支持部材21との間には板状の円形部材40が配設されている。 【0037】 そして、この復路側回動アーム47の基端部が、ばね保持部49で保持したばね48にて下方に向って付勢され、その結果、復路側駆動ローラ41がカーブベルト7の復路面16の裏面に接触しかつ復路側ピンチローラ42がカーブベルト7の復路面16の表面に接触し、この復路側ピンチローラ42にてカーブベルト7の復路面16の外周部が復路側駆動ローラ41に押し付けられ、これら2つの復路側駆動ローラ41と復路側ピンチローラ42とにてカーブベルト7の走行方向Aの中央より搬送始端側の復路面16が常時所定の押圧力をもって挟持される。 【0038】 なお、この復路側駆動ローラ41の回転支軸44の軸方向の寸法は、往路側駆動ローラ31の回転支軸34の軸方向の寸法より少し長く、この復路側駆動ローラ41は、図4に示すように、往路側駆動ローラ31よりカーブベルト7の円弧中心O側に位置している。また、復路側ピンチローラ42の支軸46の軸方向の寸法も、往路側ピンチローラ32の支軸36の軸方向の寸法より少し長く、この復路側ピンチローラ42は、往路側ピンチローラ32よりカーブベルト7の円弧中心O側に配設され、カーブベルト7の外周縁よりこのカーブベルト7の内側に位置する。さらに、往路側駆動ローラ31と復路側駆動ローラ41とは、互いに同一高さ位置に水平かつ平行に配設されている。 【0039】 また、伝動機構23は、モータ22からの動力を往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラ41に伝達するもので、モータ22の図示しない出力軸側に連結された原動プーリ50を有し、この原動プーリ50、往路側従動プーリ35および復路側従動プーリ45にはタイミングベルト等の無端体51が架け渡されている。 【0040】 そして、この伝動機構23にてモータ22からの動力が往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラ41に伝達されると、往路側駆動ローラ31が、カーブベルト7の円弧中心Oとカーブベルト7の外周部中央Pとを結んだ径方向に沿った基準中央線OPに平行な回転中心軸線X1を中心として回転駆動するとともに、復路側駆動ローラ41が、カーブベルト7の基準中央線OPと平行な回転中心軸線X2を中心として回転駆動する。 【0041】 また、往路側ピンチローラ32が、カーブベルト7の走行に基づいて、往路側駆動ローラ31の回転中心軸線X1と平面視で一致する回転中心軸線Y1を中心として追従回転するとともに、復路側ピンチローラ42が、復路側駆動ローラ41の回転中心軸線X2と平面視で一致する回転中心軸線Y2を中心として追従回転する。 【0042】 一方、フレーム1の内側フレーム部4は、図4に示すように、外側フレーム部3側に向って開口した開口部55を有し、この開口部55にはカーブベルト7の内側縁部が挿入されている。また、この開口部55の上方にはカーブベルト7の内周に対応して湾曲した横長の矩形板状の係止部56を有し、この係止部56にて、カーブベルト7が内側につまり円弧中心Oに向って移動した異常時に、カーブベルト7の盛り上がった往路面15が係止される。 【0043】 次に、上記一実施の形態の作用を図面を参照して説明する。 【0044】 駆動ユニット8のモータ22に電力が供給され、モータ22が作動し、このモータ22からの動力が伝動機構23にて往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラ41に伝達されると、往路側ローラ部24の一対の往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32が回転するとともに、復路側ローラ部25の一対の復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42が回転する。 【0045】 すると、カーブベルト7が走行方向Aに向って走行し、このカーブベルト7の走行により、このカーブベルト7の往路面15の表面上に搬送始端から搬入された被搬送物が、円弧状の移動軌跡を描いて搬送され、搬送終端から図示しない他のコンベヤ等に搬出される。 【0046】 ここで、このカーブベルト7の走行時においては、このカーブベルト7には、カーブベルト7を走行方向Aに向けて走行させる力に加えて、図6に示すように、カーブベルト7を円弧中心Oに向けてずらそうとする力Foが作用する。 【0047】 しかし、往路側ローラ部24および復路側ローラ部25が、カーブベルト7の往路面15および復路面16のそれぞれの表裏面に、このカーブベルト7を外周側に引っ張る力Fを及ぼすので、カーブベルト7の円弧中心O側への移動が防止され、カーブベルト7の安定した走行状態が維持される。 【0048】 すなわち、往路側駆動ローラ31からカーブベルト7の往路面15の裏面にこのカーブベルト7を外周側に引っ張る力が働くとともに、往路側ピンチローラ32からカーブベルト7の往路面15の表面にこのカーブベルト7を外周側に引っ張る力が働き、一方、復路側駆動ローラ41からカーブベルト7の復路面16の裏面にこのカーブベルト7を外周側に引っ張る力が働くとともに、復路側ピンチローラ42からカーブベルト7の復路面16の表面にこのカーブベルト7を外周側に引っ張る力が働き、その結果、カーブベルト7の安定した走行状態が維持されるのである。 【0049】 ここで、図7ないし図9を参照して、カーブベルト7に作用する力をより具体的に説明する。 【0050】 なお、往路側ローラ部24について説明するが、復路側ローラ部25についても同様である。また、図7および図8では、往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32をともに等径の円筒形状のものとして説明するが、円錐台形状のものであっても略同様である。 【0051】 まず、図7に基づいて、往路側ローラ部24の往路側駆動ローラ31が、カーブベルト7を外側に引っ張る力は、μ1P1sinαとなることを説明する。なお、μ1は往路側駆動ローラ31とカーブベルト7の往路面15の裏面との摩擦係数、P1は往路側ピンチローラ32の押圧力、αは往路側駆動ローラ31(往路側ピンチローラ32)のカーブベルト7の走行方向Aに直交する方向(カーブベルト7の径方向)に対する傾斜角である。 【0052】 往路側駆動ローラ31が回転駆動している状態で、カーブベルト7の往路面15の裏面には、f1:μ1P1の力が作用する。この力f1のカーブベルト7の走行方向Aおよび径方向の分力は、f1cosαおよびf1sinαとなる。したがって、往路側駆動ローラ31が、カーブベルト7を外側に引っ張る力は、μ1P1sinαとなる。 【0053】 次いで、図8に基づいて、往路側ローラ部24の往路側ピンチローラ32が、カーブベルト7を外側に引っ張る力は、μ2P1sinαcosαとなることを説明する。なお、μ2は往路側ピンチローラ32とカーブベルト7の往路面15の表面との摩擦係数である。 【0054】 往路側駆動ローラ31の回転駆動によりカーブベルト7が走行している状態で、まず、往路側ピンチローラ32に働く力を考えると、この往路側ピンチローラ32はカーブベルト7から力を受け、この往路側ピンチローラ32にはf2=μ2P1の力が作用する。 【0055】 この力f2の往路側ピンチローラ32の回転中心軸線Y1の軸方向およびこの回転中心軸線Y1に直角方向の分力は、f2sinαおよびf2cosαとなる。 【0056】 ここで、カーブベルト7に働く力を考えると、このカーブベルト7は、往路側ピンチローラ32から力R=f2sinαを受けることとなり、この力Rのカーブベルト7の径方向の分力は、Rcosα=μ2P1sinαcosαである。したがって、往路側ピンチローラ32が、カーブベルト7を外側に引っ張る力は、μ2P1sinαcosαとなる。 【0057】 また、図9に示すように、往路側ピンチローラ32をカーブベルト7の外周側に向って縮径した円錐台形状つまりテーパ形状の構成とした場合、カーブベルト7には、外周側への引張力Wが付加される。 【0058】 すなわち、円錐台形状の往路側ピンチローラ32の場合、軸方向の位置によって周長が異なるので、往路側ピンチローラ32と接触した部分におけるカーブベルト7の移動距離も径方向の位置によって異なる。このため、往路側ピンチローラ32が回転した場合、仮にカーブベルト7がフリーの状態にあるときには、このカーブベルト7は往路側ピンチローラ32のテーパ中心O1を中心として回転する。 【0059】 したがって、カーブベルト7が各エンドローラ5a,5b間に架け渡された状態にある場合には、図9に示すように、カーブベルト7には、外周側への引張力Wが付加される。 【0060】 このようにして、上記一実施の形態によれば、カーブベルト7の走行方向Aの中央より搬送終端側の往路面15をその表裏面から挟持した状態で回転可能な往路側ローラ部24の往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32と、カーブベルト7の走行方向Aの中央より搬送始端側の復路面16をその表裏面から挟持した状態で回転可能な復路側ローラ部25の復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42とが、所定方向への回転により、カーブベルト7を走行させるとともに、このカーブベルト7の往路面15および復路面16のそれぞれの表裏面をこのカーブベルト7の外周側に向けて引っ張るので、カーブベルト7の円弧中心O側への移動を防止でき、かつ、このカーブベルト7の外周側への引張力を表裏面に分散することにより、従来に比べて、カーブベルト7の表面の磨耗を抑えることができ、カーブベルト7の表面の損傷を小さくできる。 【0061】 また、カーブベルト7を外周側へ引っ張る力を、カーブベルト7の表裏面に分散することにより、往路側ピンチローラ32、復路側ピンチローラ42のそれぞれの摩擦熱の発生を抑制でき、よって、カーブベルト7の熱による変形を小さくでき、カーブベルト7の安定した走行状態を確実に維持できる。 【0062】 さらに、往路側ピンチローラ32が、カーブベルト7の往路面15を往路側駆動ローラ31とともに挟持し、往路側駆動ローラ31にカーブベルト7の往路面15の外周部を押し付けた状態で、往路側駆動ローラ31のカーブベルト7の基準中央線OPに平行な回転中心軸線X1と平面視で一致する回転中心軸線Y1を中心として回転する。また、復路側ピンチローラ42が、カーブベルト7の復路面16を復路側駆動ローラ41とともに挟持し、復路側駆動ローラ41にカーブベルト7の復路面16を押し付けた状態で、復路側駆動ローラ41のカーブベルト7の基準中央線OPに平行な回転中心軸線X2と平面視で一致する回転中心軸線Y2を中心として回転する。 【0063】 その結果、往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32と、復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42とが、それぞれカーブベルト7を介して線状に圧接するため、接触面積が増大し、カーブベルト7に駆動力を効率良く伝達でき、かつ、往路側駆動ローラ31、往路側ピンチローラ32、復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42のそれぞれの回転方向とカーブベルト7の走行方向Aとのずれ角度が小さいので、これら往路側駆動ローラ31、往路側ピンチローラ32、復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42によるカーブベルト7の損傷を小さく抑えることができ、カーブベルト7の経年変化を緩和できる。 【0064】 また、往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42をカーブベルト7の外周側に向って縮径した円錐台形状にそれぞれ形成したので、等径の円筒形状の構成等と比べて、これら往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42がカーブベルト7に及ぼす外周側への引張力を増大でき、カーブベルト7の円弧中心O側への移動を確実に防止できる。 【0065】 さらに、一対の往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32と、一対の復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42とを、ともにカーブベルト7の周方向の中央より走行方向下流側にずらして配置したため、往路側駆動ローラ31とエンドローラ5bとの離間距離を短くでき、かつ、復路側駆動ローラ41とエンドローラ5aとの離間距離を短くできる。 【0066】 よって、例えば、カーブベルト7の往路面15においては、比較的重い被搬送物の搬送時に、往路側駆動ローラ31より上流側の部分には引張り力が働く一方で、往路側駆動ローラ31より下流側の部分には圧縮力である押し力が働くものの、往路側駆動ローラ31とエンドローラ5bとの離間距離が短いので、これら往路側駆動ローラ31およびエンドローラ5b間でのカーブベルト7の盛り上がり現象を抑制できる。 【0067】 また、往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42が、カーブベルト7の外周縁近傍に配設されてカーブベルト7の外周縁よりこのカーブベルト7の内側に位置するので、往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42のそれぞれの外面全体が回転により接触し、カーブベルト7の外周側を往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラに確実に押し付けることができ、カーブベルト7に駆動力を確実に伝達できる。 【0068】 すなわち、カーブベルト7の復路面16は、周方向の両端を除いた中心側が内側フレーム部4側から外側フレーム部3側に向って下方向に徐々に傾斜しているため、この復路面16の外周縁の中心側部分は、平面状の往路面15の外周縁よりカーブベルト7の円弧中心O側に位置しているが、復路側ピンチローラ42の支軸46の軸方向の寸法を往路側ピンチローラ32の支軸36の軸方向の寸法より少し長くし、この復路側ピンチローラ42を往路側ピンチローラ32よりカーブベルト7の円弧中心O側にカーブベルト7の外周縁よりこのカーブベルト7の内側に位置させることにより、一対の往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42をカーブベルト7の外周縁よりこのカーブベルト7の内側に位置させ、カーブベルト7の外周側を往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラに確実に押し付け、カーブベルト7への動力の伝達を確実にしている。 【0069】 また、往路側駆動ローラ31と復路側駆動ローラ41とが同一高さ位置に配設されているので、これら往路側駆動ローラ31および復路側駆動ローラ41のそれぞれの外周上側から同じ向きの駆動力をカーブベルト7の往路面15に伝達でき、それぞれの外周下側から同じ向きの駆動力をカーブベルト7の復路面16に伝達できる。 【0070】 なお、上記一実施の形態においては、往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42は、カーブベルト7の外周側に向って縮径した円錐台形状つまりテーパ形状でかつ円筒形状に形成した構成について説明したが、例えば、図10および図11に示すように、等径の円筒形状等に形成した構成でもよい。 【0071】 この図10および図11に示す往路側ピンチローラ32aは、等径の円筒形状等に形成され、水平状の支軸36aに図示しないベアリングを介して嵌装され、この支軸36aの基端部が往路側回動アーム37に連結されている。また、復路側ピンチローラ42aは、等径の円筒形状等に形成され、水平状の支軸46aに図示しないベアリングを介して嵌装され、この支軸46aの基端部が復路側回動アーム47に連結されている。復路側ピンチローラ42aの支軸46aの軸方向の寸法は、往路側ピンチローラ32aの支軸36aの軸方向の寸法と同一または少し長く、この復路側ピンチローラ42aは、往路側ピンチローラ32aよりカーブベルト7の円弧中心O側に配設され、カーブベルト7の外周縁よりこのカーブベルト7の内側に位置する。 【0072】 なお、この復路側ピンチローラ42aの支軸46aは、図12に示すように、復路面16の傾斜に対応して、先端側に向って上方向に傾斜した構成でもよい。 【0073】 また、往路側ピンチローラ32および復路側ピンチローラ42は、例えば、図13に示すように、カーブベルト7の外周側に向って拡径した円錐台形状に形成した構成とすることもできる。 【0074】 この図13に示す往路側ピンチローラ32bは、カーブベルト7の外周側に向って拡径した円錐台形状でかつ円筒形状等に形成され、先端側に向って下方向に傾斜した支軸36bに図示しないベアリングを介して嵌装されている。また、復路側ピンチローラ42bは、カーブベルト7の外周側に向って拡径した円錐台形状でかつ円筒形状等に形成され、先端側に向って上方向に傾斜した支軸46bに図示しないベアリングを介して嵌装されている。復路側ピンチローラ42bの支軸46bの軸方向の寸法は、往路側ピンチローラ32bの支軸36bの軸方向の寸法と同一または少し長く、この復路側ピンチローラ42bは、往路側ピンチローラ32bよりカーブベルト7の円弧中心O側に配設され、カーブベルト7の外周縁よりこのカーブベルト7の内側に位置する。 【0075】 そして、往路側ピンチローラ32bおよび復路側ピンチローラ42bをカーブベルト7の外周側に向って拡径した円錐台形状にそれぞれ形成したので、カーブベルト7の周速度の変化に対応するため、等径の円筒形状等の構成と比べて、カーブベルト7の損傷をより一層防止できる。 【0076】 また、往路側ローラ部24は、例えば、一対の往路側駆動ローラ31および往路側ピンチローラ32を備えた構成について説明したが、複数対の往路側駆動ローラおよび往路側ピンチローラを備えた構成でもよい。同様に、復路側ローラ部25は、例えば、一対の復路側駆動ローラ41および復路側ピンチローラ42を備えた構成について説明したが、複数対の復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラを備えた構成でもよい。 【0077】 さらに、復路側ローラ部25は、復路側駆動ローラ41の回転支軸44の軸方向の寸法を往路側駆動ローラ31の回転支軸34の軸方向の寸法と同一にした構成でもよく、また、復路側ピンチローラ42の支軸46の軸方向の寸法を往路側ピンチローラ32の支軸36の軸方向の寸法と同一にした構成でもよく、さらに、復路側駆動ローラ41の回転支軸44および復路側ピンチローラ42の支軸46のそれぞれの長さを調節可能な構成としてもよい。 【0078】 また、上記いずれの実施の形態においても、駆動ユニット8のモータ22は、ユニット支持部材21にて外側フレーム部3の外面側に位置させて支持した構成について説明したが、例えば、装置全体のコンパクト化を図るために、モータ22を外側フレーム部3の内面側に位置させて支持した構成とすることもできる。 【0079】 【発明の効果】 請求項1記載のカーブベルトコンベヤによれば、往路側ローラ部および復路側ローラ部が、カーブベルトを走行させるとともに、このカーブベルトの往路面および復路面のそれぞれの表裏面をこのカーブベルトの外周側に向けて引っ張るので、カーブベルトの円弧中心側への移動を防止でき、かつ、このカーブベルトの引張力を表裏面に分散することにより、カーブベルトの表面の損傷を小さくできる。また、往路側ピンチローラが、カーブベルトの往路面を往路側駆動ローラとともに挟持し往路側駆動ローラにカーブベルトの往路面を押し付けた状態で往路側駆動ローラのカーブベルトの基準中央線に平行な回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転するとともに、復路側ピンチローラが、カーブベルトの復路面を復路側駆動ローラとともに挟持し復路側駆動ローラにカーブベルトの復路面を押し付けた状態で復路側駆動ローラのカーブベルトの基準中央線に平行な回転中心軸線と平面視で一致する回転中心軸線を中心として回転するので、往路側駆動ローラおよび往路側ピンチローラと、復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラとが、それぞれカーブベルトを介して線状に圧接するため、カーブベルトに駆動力を効率良く伝達でき、かつ、往路側駆動ローラ、往路側ピンチローラ、復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラのそれぞれの回転方向とカーブベルトの走行方向とのずれ角度が小さいので、これら往路側駆動ローラ、往路側ピンチローラ、復路側駆動ローラおよび復路側ピンチローラによるカーブベルトの損傷を小さく抑えることができる。 【0080】 請求項2記載のカーブベルトコンベヤによれば、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラをカーブベルトの外周側に向って縮径した円錐台形状にそれぞれ形成したので、等径の円筒形状等の構成と比べて、これら往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラがカーブベルトに及ぼす外周側への引張力を増大でき、カーブベルトの円弧中心側への移動を確実に防止できる。 【0081】 請求項3記載のカーブベルトコンベヤによれば、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラをカーブベルトの外周側に向って拡径した円錐台形状にそれぞれ形成したので、カーブベルトの内周側と外周側の周速度の変化に対応するため、等径の円筒形状等の構成と比べて、カーブベルトの表面の損傷をより一層小さくできる。 【0082】 請求項4記載のカーブベルトコンベヤによれば、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラがカーブベルトの外周縁近傍に配設されカーブベルトの外周縁よりこのカーブベルトの内側に位置するので、往路側ピンチローラおよび復路側ピンチローラのそれぞれの外面全体が回転によりカーブベルトに接触し、カーブベルトの外周側を往路側駆動ローラおよび復路側駆動ローラに確実に押し付け、カーブベルトに駆動力を確実に伝達できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明のカーブベルトコンベヤの一実施の形態を示す平面図である。 【図2】 同上カーブベルトコンベヤを示す図1における(II)-(II)視側面図である。 【図3】 同上カーブベルトコンベヤの正面図である。 【図4】 同上カーブベルトコンベヤの断面図である。 【図5】 同上カーブベルトコンベヤの駆動ユニットを示す斜視図である。 【図6】 同上駆動ユニットの対をなす往路側ローラを示す平面図である。 【図7】 同上対をなす往路側ローラの往路側駆動ローラがカーブベルトに及ぼす力の説明図である。 【図8】 同上対をなす往路側ローラの往路側ピンチローラがカーブベルトに及ぼす力の説明図である。 【図9】 同上テーパ形状の往路側ピンチローラがカーブベルトに及ぼす力の説明図である。 【図10】 同上駆動ユニットの往路側および復路側ピンチローラの他の実施の形態を示す斜視図である。 【図11】 同上往路側および復路側ピンチローラを示す側面図である。 【図12】 同上往路側および復路側ピンチローラのさらに他の実施の形態を示す側面図である。 【図13】 同上往路側および復路側ピンチローラのさらに他の実施の形態を示す側面図である。 【符号の説明】 7 カーブベルト 15 往路面 16 復路面 24 往路側ローラ部 25 復路側ローラ部 31 往路側駆動ローラ 32,32a,32b 往路側ピンチローラ 41 復路側駆動ローラ 42,42a,42b 復路側ピンチローラ A 走行方向 O 円弧中心 P 外周部中央 OP 基準中央線 X1 往路側駆動ローラの回転中心軸線 X2 復路側駆動ローラの回転中心軸線 Y1 往路側ピンチローラの回転中心軸線 Y2 復路側ピンチローラの回転中心軸線 |
訂正の要旨 |
ア.訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の記載について、特許請求の範囲の減縮を目的として、「配設されている」を「配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」と訂正する。 イ.訂正事項b 発明の詳細な説明の段落【0011】の記載について、明りょうでない記載の釈明を目的として、「配設されている」を「配設され、前記往路側駆動ローラ側のプーリおよび前記復路側駆動ローラ側のプーリには無端体が架け渡されている」に訂正する。 |
異議決定日 | 2001-08-02 |
出願番号 | 特願平11-136323 |
審決分類 |
P
1
651・
161-
YA
(B65G)
P 1 651・ 4- YA (B65G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 黒石 孝志 |
特許庁審判長 |
舟木 進 |
特許庁審判官 |
清田 栄章 亀井 孝志 |
登録日 | 2000-03-17 |
登録番号 | 特許第3045297号(P3045297) |
権利者 | オークラ輸送機株式会社 |
発明の名称 | カーブベルトコンベヤ |
代理人 | 早川 政名 |
代理人 | 山田 哲也 |
代理人 | 樺沢 聡 |
代理人 | 樺沢 聡 |
代理人 | 長南 満輝男 |
代理人 | 樺沢 襄 |
代理人 | 石渡 英房 |
代理人 | 樺沢 襄 |
代理人 | 細井 貞行 |
代理人 | 山田 哲也 |