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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01C
管理番号 1049880
異議申立番号 異議2000-73540  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-09-18 
確定日 2001-08-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3022269号「経路情報提供装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3022269号の請求項3ないし4に係る特許を取り消す。 同請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3022269号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は、平成7年9月8日に出願され、平成12年1月14日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、平山佐智子、中石幸明より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年5月9日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
(訂正事項a)
特許請求の範囲の請求項3において
「前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」を、
「交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」と訂正し、
特許請求の範囲の請求項4において
「前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」を、
「交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」と訂正する。
(訂正事項b)
段落番号【0014】の「請求項3記載の経路情報提供装置は、いわゆるコースシミュレーションを実行中に、カーマークを交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するものである。」を、
「請求項3記載の経路情報提供装置は、交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、いわゆるコースシミュレーションを実行中に、カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するものである。」と訂正する。
(訂正事項c)
段落番号【0095】の「また、請求項3または請求項4記載の経路情報提供装置によれば、カーマークが次の案内位置に常に一致するように、地図のスキップまたは地図の高速更新が実行されるので、カーマークと次の案内位置との間の距離を求める必要がない。」を、
「また、請求項3または請求項4記載の経路情報提供装置によれば、カーマークが交差点情報を提供する交差点の手前にある次の案内位置に常に一致するように、地図のスキップまたは地図の高速更新が実行されるので、カーマークと次の案内位置との間の距離を求める必要がない。」と訂正する。
(訂正事項d)
段落番号【0095】の「そのため、制御が簡単になる。」を、
「そのため、簡単な制御で、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(訂正事項aについて)
訂正事項aは、交差点案内位置について、交差点情報を提供する交差点の手前に設定したものであることを限定したものであり、願書に最初に添付した明細書の段落【0003】の「そして、前記地図のスクロールによってカーマークが経路上の主要交差点等の手前に達すると、その主要交差点等に関する情報(以下「交差点情報」という)が提供される。具体的には、その主要交差点等の模式図が表示されたり、その主要交差点の名称等が音声出力される。」、【0045】の「次に、現在カーマークが重畳表示されている推奨経路上の位置(以下「カーマーク重畳位置」という)と次の交差点案内ポイントとの間の距離Lが算出される(ステップS3)。交差点案内ポイントは、情報を提供すべき交差点(以下「情報提供交差点」という)の手前の所定位置に設定されているもので、前記情報提供交差点に対応する交差点情報の提供を開始するポイントとなる位置である。」との記載に基づくものである。よって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(訂正事項b及びcについて)
訂正事項bおよびcは、訂正事項aによる特許請求の範囲の減縮に伴い、それに対応させるべく、発明の詳細な説明の記載を明りょうにしたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(訂正事項dについて)
訂正事項dは、請求項3または請求項4記載の経路情報提供装置の効果を、願書に最初に添付した明細書の段落【0015】の「このように、この構成によれば、常に、案内情報提供不要区間の地図を飛ばして、または前記案内情報提供不要区間の地図を高速で更新しながら、コースシミュレーションが実行されるので、案内情報を提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。」との記載に基づいて訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)むすび
よって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するので、この訂正を認める。

3.特許異議の申立ての概要
(1)申立人 平山佐智子 は、証拠として甲第1号証(特開平7-198401号公報)、甲第2号証(特開平7-114696号公報)、甲第3号証(特開平2-244188号公報)を提出し、請求項2及び4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。
(2)申立人 中石幸明 は、証拠として甲第1号証(特開平7-198401号公報)、甲第2号証(特開平7-114696号公報)、甲第3号証(特開平2-244188号公報)を提出し、請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、及び、本件特許明細書には不備があることを理由に、請求項1、2、4に係る発明の特許は、特許法第36条第4項、第6項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。(なお、申立人は、根拠条文として特許法第36条第4項、第5項を指摘したが、申し立ての内容からみて、「第4項、第6項」とすべきものである。)

4.本件発明
本件特許第3022269号の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1ないし4」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】道路地図データが格納された地図データ格納手段と、道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求める距離演算手段と、この距離演算手段で求められた距離が設定された基準距離より長い場合、前記カーマークを次の交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項2】道路地図データが格納された地図データ格納手段と、道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求める距離演算手段と、この距離演算手段で求められた距離が設定された基準距離より長い場合、前記カーマークを次の交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項3】道路地図データが格納された地図データ格納手段と、道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項4】道路地図データが格納された地図データ格納手段と、道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。

5.本件発明3の特許について
(1)引用例記載の発明
当審が通知した取消しの理由に引用された特開平7-114696号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに以下の記載が認められる。
「図1において、請求項1の経路案内装置は、多数の情報点のデータを組み合わせた地図情報を記憶した第1記憶手段13と、第1記憶手段13から必要な地図情報を呼び出して、地図上に指定された点を中心に置いた所定範囲の表示データを形成する表示形成手段16と、形成された前記表示データを画像表示する表示手段17と、を有する経路案内装置において、開始地点と終了地点とを連絡する前記地図上の経路を、この経路上に位置する複数個の情報点のデータと一緒に記憶した第2記憶手段12と、前記開始地点から前記終了地点まで、前記複数個の情報点を前記経路に沿って順番に選択する選択手段16と、順番に選択された情報点に基づいて前記表示形成手段16を制御し、前記情報点を中心とする画像表示を前記表示手段に行わせる制御手段16と、を設けたものである。」(4欄5行目-19行目)
「これらの附属情報は、その情報点の地図画像が表示されるタイミングで表示させてもよい。しかし、地図画像上に仮想の車輛マークを走行させて軌跡を太線表示させ、その情報点に差しかかる手前で表示させてもよい。つまり、車輛走行のシミュレーションを表示手段17上で行う。」(5欄25行目-30行目)
「表示手段の地図画像を通じて、経路上の情報点が経路に沿って順番に表示される際に、これらの必要なデータも該当する情報点の地図画面に合成された状態で表示される。例えば、右折すべき交差点では、右折の指示が表示され、交差点の手前では、採るべき車線変更の表示をしてもよい。交差点の名称や、方向別の行き先、インターチェンジの構造等を表示してもよい。」(5欄40行目-46行目)
「地図データベース13は、CD-ROMの再生装置で構成され、処理部16からの検索指令に応じて、地図画像データ、ノード情報、リンク情報を検索し、処理部16に送出する。メモリ15は、処理部16が各種の演算処理を実行する場合に処理データを一時保存する。」(6欄38行目-43行目)
「経路探索機能を使用する場合、位置センサー14は使用されない。処理部16は、運転者が操作部11を通じて開始地点(自宅)と終了地点(目的地)を指定すると、地図データベース13から、必要なノード情報、リンク情報を検索して最短旅行時間の走行経路を構成する。」(6欄44行目-49行目)
「一方、経路シュミレーション機能が動作している場合、処理部16は、経路データ保存部12からメモリ15に走行経路データを移動する。そして、開始地点から終了地点までの経路上のノードを一定時間ごとに順番に選択して地図画像の表示データを作成する。表示データは、表示部を通じて、仮想の車輛位置を画面の中央に位置させた地図画像として操作者に示される。」(7欄18行目-24行目)
「操作者がこの走行経路を指定して経路シュミレーションを起動すると、ナビゲーション装置の液晶画面には、最初、開始地点27を中心に置いた地図画面G0が表示され、1秒後、ノードN1を中心に置いた地図画面G1に置き替わる。」(7欄38行目-42行目)
「また、進路変更を伴うノードは、案内点として分別され、左折、右折等、案内の内容のコードが属性データ54に追加されている。」(8欄38行目-40行目)
「そのノードが経路を構成する上で右左折を伴う重要な交差点であれば、ノード情報は、右左折の案内データを含んでいる。また、その交差点に関する情報も記録されている。従って、案内データが有る場合には、ステップ63で、通常の地図画像に右左折の案内画像と交差点の情報とを合成して表示画像を構成する。図6(b) において、シュミレーション走行でさしかかった本町一丁目交差点では、経路上、右折が設定されている。このとき、地図画像の右上隅には、右折マーク66が表示され、右下隅には、本町一丁目交差点の概観と交差点名が表示される。」(9欄3行目-13行目)
これらの記載によれば引用例1には
「道路地図データが格納された第1記憶手段と、道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、経路シミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、この指示手段により経路シミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記第1記憶手段に格納されている道路地図に前記経路および仮想の車輛位置を重畳して表示手段に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、案内データを有する交差点にさしかかったとき、右左折の案内画像と交差点の情報とを表示する手段を有する経路案内装置。」との発明が開示されていると認めることができる。
同じく当審が通知した取消しの理由に引用された特開平7-198401号公報(以下、引用例2という。)には、図面とともに以下の記載が認められる。
「ここで、ステップスクロール操作とは、例えば出発地周辺のような地理に明るい地域は、交差点毎、サービスエリア毎、一定時間毎などのステップ送りを意味し、これによって目的地に近いインターチエンジ等のポイントから先についてゆっくりと仮想走行し、詳細に確認するという事ができる。」(13欄24行目-29行目)
「上記スクロールスピードコントロール機能を備えることにより、詳しいコース設計やコース確認を必要とする地域での速度を落としたり、または通過する地域での速度を速めたりすることが容易にでき、操作性を向上させることができる。」(16欄24行目-28行目)
「本機能によれば、例えば出発地周辺のような地理に明るい所、ルートの詳細な検討を要しない所などの地点間を、交差点毎、一定距離毎などのステップ送りすることにより、コース設計や確認のための操作性を向上させることができる。」(18欄45行目-49行目)
(2)対比・判断
そこで、本件発明3と引用例1に記載の発明とを対比すると、引用例1に記載の発明における「第1記憶手段」「経路シミュレーション」「仮想の車輛位置」「表示手段」「案内データを有する交差点にさしかかったとき」「右左折の案内画像と交差点の情報とを表示する手段」はそれぞれ、本件発明3における「地図データ格納手段」「コースシミュレーション」「車両を示すカーマーク」「表示画面」「カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき」「交差点案内を出力する交差点案内手段」に相当するから、両者は、「道路地図データが格納された地図データ格納手段と、道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置。」の点で一致し、次の点で相違するものと認められる。
(相違点1)
本件発明3は、交差点情報を提供する交差点の手前に交差点案内位置を設定したのに対し、引用例1に記載の発明では、交差点情報を提供する交差点に関連して交差点案内位置を設定しているものの、「手前に」設定することにつき記載するところがない点。
(相違点2)
本件発明3は、コースシミュレーションが実行されている場合において、カーマークを交差点案内位置にスキップさせるように表示更新手段を制御する制御手段を有するのに対し、引用例1に記載の発明は、そのような構成を備えていない点。
以下、前記相違点について検討する。
(相違点1について)
引用例1には、附属情報をその情報点の手前で表示させること(5欄25行目-30行目参照)、交差点の手前で車線変更の表示をすること(5欄40行目-46行目参照)が記載されており、また、車載用ナビゲーション装置において、交差点の手前で交差点情報を提供することは周知であるから、引用例1の経路情報提供装置においても、交差点情報を提供する交差点の手前に交差点案内位置を設置することは、当業者が容易になし得ることである。
(相違点2について)
引用例2には、前記のとおり、ルートの詳細な検討を要しない所はステップ送りすることにより、コース設計や確認のための操作性を向上させることが示されているとともに、引用例1と引用例2は、コースシミュレーションを行う点で共通の技術分野に属するものであり、引用例2のステップ送りする技術を、引用例1に記載の発明に適用できないとする格別の理由も存在しない。
そして、引用例1に記載の発明に引用例2の前記技術事項を適用するにあたり、交差点案内位置では交差点案内を詳細に検討し、その他の位置では詳細な検討を省くということは、当業者が容易に想到し得ることであるから、引用例1に記載の発明に引用例2の前記技術事項を適用して、交差点案内位置毎にステップ送りすること、すなわち、相違点2に係る本件発明3の構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。
また、本件発明3の奏する効果は、引用例1及び2に記載の事項から、当業者が容易に予測し得る範囲のものである。
したがって、本件発明3は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

6.本件発明4の特許について
(特許法第36条第4項、第6項について)
申立人中石幸明の主張は、カーマークを交差点案内位置まで高速で更新させるには、カーマークと次の案内位置との間の距離を求めることが必須であるから、本件発明4の構成は明確でなく、これに対応する効果がいかにして達成されるのかが不明であるというものである。しかしながら、カーマークを交差点案内位置まで高速で更新させるには、例えば、次の交差点案内位置の座標が分かっていれば足りると認められ、カーマークと次の案内位置との間の拒理を求めることが必須であるという根拠は見あたらない。よって、上記申立人の主張には理由がない。
(特許法第29条第2項について)
(1)引用例記載の発明
前記「5.本件発明3の特許について」の「(1)引用例記載の発明」における認定と同じである。
(2)対比・判断
本件発明4と引用例1に記載の発明とを対比すると、一致点は、前記「5.本件発明3の特許について」の「(2)対比・判断」における認定と同じであり、次の点で相違するものと認められる。
(相違点1)
本件発明4は、交差点情報を提供する交差点の手前に交差点案内位置を設定したのに対し、引用例1に記載の発明では、交差点情報を提供する交差点に関連して交差点案内位置を設定しているものの、「手前に」設定することにつき記載するところがない点。
(相違点2)
本件発明4は、コースシミュレーションが実行されている場合において、カーマークを交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するのに対し、引用例1に記載の発明は、そのような構成を備えていない点。
以下、前記相違点について検討する。
(相違点1について)
前記「5.本件発明3の特許について」の(相違点1について)の検討結果と同じ。
(相違点2について)
引用例2には、前記のとおり、コース確認を必要とする地域での速度を落とし、通過する地域での速度を速めることにより、操作性を向上させることが示されているとともに、引用例1と引用例2は、コースシミュレーションを行う点で共通の技術分野に属するものであり、引用例2の前記技術を、引用例1に記載の発明に適用できないとする格別の理由も存在しない。
そして、引用例1に記載の発明に引用例2の前記技術事項を適用するにあたり、交差点案内位置までは単に通過し、交差点案内位置では交差点案内を確認することは、当業者が容易に想到し得ることであるから、引用例1に記載の発明に引用例2の前記技術事項を適用して、交差点案内位置までの速度を速めること、すなわち、相違点2に係る本件発明3の構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。
また、本件発明4の奏する効果は、引用例1及び2に記載の事項から、当業者が容易に予測し得る範囲のものである。
したがって、本件発明4は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

7.本件発明1、2の特許について
(特許法第36条第4項、第6項について)
申立人中石幸明の主張は、本件発明1、2の「前記表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求める距離演算手段」との構成における「案内位置」が、「交差点案内位置」を示すのか、これとは異なる何らかの位置を意味しているのかが不明であるというものである。
しかしながら、請求項1、2自体の文脈、及び、「また、地図のスキップまたは地図の高速更新を前記距離が基準距離以上である場合に限って実行することとしているので、たとえば交差点が密集している経路に対するコースシミュレーションを実行する場合にはスキップや高速更新は実行されないので、見やすい表示画面とすることができる。」(5欄46行目-6欄1行目)等の明細書の記載に照らしてみれば、上記「案内位置」が、「交差点案内位置」を意味していることは明らかであるから、申立人のいうような不備はなく、本件発明1、2は明確である。
(特許法第29条第2項について)
本件発明1、2は、ともに、「前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求める距離演算手段」を備え、「この距離演算手段で求められた距離が設定された基準距離より長い場合」に、本件発明1においては、「前記カーマークを次の交差点案内位置にスキップさせ」、本件発明2においては、「前記カーマークを次の交差点案内位置まで高速で更新させる」ようにしたものであるが、このように、距離演算手段で求められた距離と基準距離の比較結果により、カーマークを次の交差点案内位置にスキップ、又は、高速で更新させる点は、特許異議申立人の提出した証拠のいずれにも記載されていない。
また、実走行において距離演算手段を備えることが慣用されているとしても、かかる距離演算手段で求められた距離と基準距離の比較結果により、カーマークを次の交差点案内位置にスキップ、又は、高速で更新させることまでは、当業者が容易に想到できたものとすることはできない。
したがって、本件発明1、2は、特許異議申立人が証拠として提出した刊行物に記載された発明から容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1、2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。

8.むすび
以上のとおりであるから、本件発明3及び4の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明1及び2の特許については、取消理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
経路情報提供装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図データが格納された地図データ格納手段と、
道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、
コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、
この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、
前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、
前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求める距離演算手段と、
この距離演算手段で求められた距離が設定された基準距離より長い場合、前記カーマークを次の交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項2】
道路地図データが格納された地図データ格納手段と、
道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、
コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、
この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、
前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、
前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求める距離演算手段と、
この距離演算手段で求められた距離が設定された基準距離より長い場合、前記カーマークを次の交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項3】
道路地図データが格納された地図データ格納手段と、
道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、
コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、
この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、
前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、
交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項4】
道路地図データが格納された地図データ格納手段と、
道路上の二地点間の経路を設定するための経路設定手段と、
コースシミュレーションの実行を指示することができる指示手段と、
この指示手段によりコースシミュレーションの実行が指示されたことに応じて、前記地図データ格納手段に格納されている道路地図に前記経路および車両を示すカーマークを重畳して表示画面上に表示するとともに、この表示されている地図を適宜更新するための表示更新手段と、
前記カーマークが経路上の交差点案内位置に達したとき、交差点案内を出力する交差点案内手段とを有する経路情報提供装置であって、
交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば車載用ナビゲーション装置に適用される経路情報提供装置に関する。より詳細には、手動または自動計算により設定された二地点間の経路の全体像をシミュレーションによりユーザに確認させることができる経路情報提供装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、手動、またはダイクストラ法等の自動計算によって設定された道路上の二地点間の経路を車両の現在位置を示すカーマークとともに道路地図上に重畳表示し、この表示されている道路地図を車両の走行に伴ってスクロールさせることにより、不案内な土地における車両での走行を支援できるようにした車載用ナビゲーション装置が用いられている。この種のナビゲーション装置には、ユーザに前記経路の全体像を実走行前等に確認させることができる、いわゆるコースシミュレーション機能が設定されている場合がある(たとえば特開平5-323872号公報参照)。
【0003】
ユーザによってコースシミュレーション機能の実行が指示されると、前記車載用ナビゲーション装置では、走行経路に沿った一連の地図表示データが作成され、この作成された地図表示データに対応する地図が表示画面上を滑らかにスクロールされながら表示される。このとき、車両を示すカーマークが画面中央の経路上に重畳表示される。そして、前記地図のスクロールによってカーマークが経路上の主要交差点等の手前に達すると、その主要交差点等に関する情報(以下「交差点情報」という)が提供される。具体的には、その主要交差点等の模式図が表示されたり、その主要交差点の名称等が音声出力される。これにより、実走行時のシミュレーションが表示画面上で実現される。
【0004】
さらに、最近では、実走行時のシミュレーションをよりリアルに実現したり、経路に沿った目的地の施設を走行前に予め探しておきたいという要望に応えるため、交差点情報だけでなく、経路周辺にある施設に関する情報(以下「施設情報」という)もユーザに提供するようにしたナビゲーション装置が開発されている。
【0005】
より詳述すると、このナビゲーション装置では、経路上に重畳表示されているカーマークを中心とした所定範囲内に情報を提供すべき施設(以下「情報提供施設」という)があるか否かが検索される。その結果、情報提供施設があると判別されると、その情報提供施設に対応する施設情報が提供される。具体的には、前記情報提供施設のある画面位置にアイコンが表示されるとともに、前記施設情報が表示されたり音声出力される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記施設情報を提供する車載用ナビゲーション装置において、コースシミュレーションすべき距離が相対的に短い場合、コースシミュレーションに要する時間はあまり長くならない。
しかしながら、コースシミュレーションすべき距離が東京・大阪間のように相対的に長い場合には、提供すべき情報量は多くなるので、コースシミュレーションに要する時間は長くなる。その結果、ユーザはコースシミュレーションが終了するまで長い間待たなければならないという不具合があった。
【0007】
これに対処するため、コースシミュレーションにおける地図のスクロール速度を一律に速くすることが考えられる。しかしながら、この場合には、施設情報等を十分に提供できないおそれがある。この現象は、都市部等の情報提供施設が多い区間において特に顕著である。したがって、施設情報等を十分に提供しようとすれば、スクロール速度を速くするのにも限度がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる経路情報提供装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1記載の経路情報提供装置は、いわゆるコースシミュレーションを実行できる経路情報提供装置であって、コースシミュレーションが実行されている場合において、表示画面に表示されているカーマークの経路上の位置と次の案内位置との間の距離を求め、この距離が設定された基準距離より長い場合、前記カーマークを次の交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するものである。
【0010】
また、請求項2記載の経路情報提供装置は、カーマークを次の交差点案内位置にスキップさせるのに代えて、カーマークを次の交差点案内位置まで高速で更新させるものである。
【0011】
このように、前記構成によれば、交差点案内が不要な区間の地図を飛ばして、または前記交差点案内不要区間の地図を高速で更新しながら、コースシミュレーションが実行されるので、交差点案内情報を提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0012】
また、地図のスキップまたは地図の高速更新を前記距離が基準距離以上である場合に限って実行することとしているので、たとえば交差点が密集している経路に対するコースシミュレーションを実行する場合にはスキップや高速更新は実行されないので、見やすい表示画面とすることができる。
【0013】
なお、案内情報を提供すべき距離的条件は、地図の更新速度または/および提供される案内情報量に応じて変更可能なものであってもよい。
【0014】
請求項3記載の経路情報提供装置は、交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、いわゆるコースシミュレーションを実行中に、カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するものである。
【0015】
また、請求項4記載の経路情報提供装置は、カーマークを交差点案内位置にスキップさせるのに代えて、カーマークを交差点案内位置まで高速で更新させるように制御するものである。
【0016】
このように、この構成によれば、常に、交差点案内情報提供不要区間の地図を飛ばして、または交差点案内情報提供不要区間の地図を高速で更新しながら、コースシミュレーションが実行されるので、案内情報を提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0017】
また、この構成では、前記請求項1記載の構成における基準距離の概念がないので、交差点等が密集していても、地図は常にスキップまたは高速更新される。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の経路情報提供装置が適用された第1実施形態の車載用ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。この車載用ナビゲーション装置には、コンソール11、表示器12、方位センサ13、距離センサ14、経路地図データ及び道路地図データを格納している地図メモリ15、地図メモリ15からデータを読出すメモリドライブ16、距離センサ14により検出される走行距離及び方位センサ13により検出される走行方向変化量をそれぞれ積算した積算データと、メモリドライブ16により読出した道路地図データとの比較に基いて車両位置を検出するロケータ17、経路地図データを利用した推奨経路の算出、所定範囲の経路地図の検索・読出・拡大縮小、ユーザを誘導するためのグラフィック表示用データの生成、表示器12および音声出力装置18の制御、ならびにロケータ17の制御等の種々の演算制御を行うコントローラ19を有している。
【0025】
さらに詳細に説明すれば、コンソール11は、この装置の起動・停止や画面上のカーソル移動、画面上に表示すべき経路地図の選択等をするキー入力ボード(図示せず)を有している。
方位センサ13は、車両の走行に伴なう方位の変化を検出するものである。方位センサ13には、地磁気センサ、ジャイロ、あるいは左右両輪の回転数の差に基づいて旋回角度を検出する旋回角度センサ等を使用することが可能である。
【0026】
距離センサ14は、車両の速度、あるいは車輪の回転数等に基づいて走行距離を検出するものである。距離センサ14には、車輪速センサ、車速センサ等が使用可能である。
なお、方位センサ13または/および距離センサ14として、たとえば地球の周回軌道を航行するGPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波を受信するGPS受信機を適用してもよい。
【0027】
地図メモリ15は、大容量記憶媒体であるCD-ROM、ICメモリカード、磁気テープなどのメモリなどから構成されている。
地図メモリ15には、経路計算をする基礎となるとともに道路形態、座標位置等をグラフィック表示するための経路地図データと、車両位置検出用の道路地図データとが格納されている。
【0028】
経路地図データは、道路地図(高速自動車国道、自動車専用道路、一般国道、主要地方道、一般都道府県道、指定都市の一般市道、その他の生活道路を含む。)をメッシュ状に分割し、各メッシュ単位でノードとリンクとの組み合わせからなる経路を、全体地図と詳細地図とに分けて記憶している。全体地図は主として幹線道路(高速自動車国道、自動車専用道路、一般国道、主要地方道を含む)のみを含み、詳細地図は幹線道路とともに一般都道府県道、指定都市の一般市道、その他の生活道路等の幹線でない道路をも含んでいる。詳細地図は地図メモリ15の容量の関係から、全国をカバーするだけのものを用意することはできないので、都市の主要部分に該当するもののみ用意している。以下明細書では、高速自動車国道、自動車専用道路を「高速道路」といい、それ以外の道路を「一般道路」という。
【0029】
ここに、ノードとは、一般に、道路の分岐点や折曲点を特定するための座標位置のことである。このうち、分岐点を表わすノードを分岐点ノード、道路の折曲点(分岐点を除く)を表わすノードを補間点ノードということがある。ノードデータは、ノード番号、当該ノードに対応する隣接メッシュのノードのアドレス、ノードに接続されるリンクのアドレスなどからなる。
【0030】
各分岐点ノードを繋いだものがリンクである。リンクデータはリンク番号、リンクの始点ノード及び終点ノードのアドレス、リンクの距離、リンクを通過する方向、その方向における所要時間データ、道路種別、道路幅、一方通行、右折禁止、左折禁止や有料道路などの交通規制データからなる。ただし、交通規制データは、幹線道路については完備されているが、非幹線道路については、すべての道路について備えられているものではない。
【0031】
また、車両位置検出用の道路地図データは、1/2500の地図データベースから作成されたもので、道路,地名,有名施設,鉄道,川等を特定する地図データ等で構成されている。
道路地図データは、前記経路地図データよりもさらに詳細で精密なデータである。具体的には、ノードの位置情報と若干のリンク情報(道路幅など)とからなる1層構造のデータである。リンク情報の種類が少ないのは、位置検出に直接必要のない所要時間データや交通規制データ等が含まれていないからである(ただし、道路幅は位置検出にも有用となることがあるので含まれている)。
【0032】
このように、位置検出用の道路地図データと経路地図データとを分けたのは、前者は地図マッチングのため詳細な精度が要求され、後者は精度よりも経路計算に必要な各種データを付属させる必要があるからである。
地図メモリ15にはまた、所定の案内地点に関する案内情報が格納されている。案内地点とは、たとえば道路上の主要交差点および道路周辺の施設のことである。道路周辺の施設には、たとえば駅,ホテル,ゴルフ場,観光施設,遊園地といった種類がある。案内情報とは、主に前記案内地点の名称である。
【0033】
表示器12は、液晶表示素子,プラズマ表示素子またはCRT等で構成された表示画面を有するものである。表示器12では、初期設定メニュー画面等の各種メニュー画面,地図、車両の現在位置および方位を示すカーマーク、目的地や目印となる地点、ならびに目的地までの方位および距離が必要に応じて表示される。
【0034】
また、表示器12の表示画面上には、タッチパネル(図示せず)が取付けられている。タッチパネルは、初期設定メニュー画面上における推奨経路の計算基準(例えば、最短時間経路、最短距離経路、右折左折の少ない道路、道幅の広い道路)の指示、推奨経路に沿うコースシミュレーションの実行の指示、このコースシミュレーションの実行に関する条件設定、目的地等をユーザが入力する際に操作するためのものである。すなわち、マンマシン・インタフェースとして機能する。
【0035】
なお、タッチパネルでは、前記の他、経路地図の地名欄、有名施設欄、予めユーザが登録しておいた地点等の地点データを選択して入力する際にも操作される。また、途中経由地をユーザ自身で指定する際にも操作される。
ロケータ17は、距離センサ14により検出される距離データ、及び方位センサ3により検出される方位変化データをそれぞれ積算して走行軌跡データを算出し、走行軌跡データと地図メモリ15に格納されている道路のパターンとの比較(いわゆる地図マッチング法)に基いて、車両の存在確率を加味した道路上の車両位置を検出する。
【0036】
図2は、前記コントローラ19の内部構成を示すブロック図である。コントローラ19は、メモリドライブ16を通して地図メモリ15から必要なデータを得るメモリドライブ制御部21、音声出力装置18に電子的に記録された音声を発声させる音声制御部22、表示器12に必要な画像を所定の拡大倍率で表示させる表示制御部23、コンソール11で設定された入力情報を処理する入力処理部24、地図表示データをフレームメモリに登録しておく登録部25、ロケータ17の算出した車両位置をデータとして取り込む車両位置認識処理部26、CPUとして機能する経路誘導処理部28、経路計算処理部29、及び地図メモリ15から取出された推奨経路データを一時蓄える主メモリ27が接続されるとともに、前記メモリドライブ制御部21にメモリドライブ16が接続され、音声制御部22に音声出力装置18が接続され、入力処理部24にコンソール11が接続され、表示制御部23に表示器12が接続され、車両位置認識処理部26にロケータ17が接続された構成である。
【0037】
経路計算処理部29は、ユーザによって目的地が設定入力されたことに応じて、現在地と目的地との間の推奨経路の計算をダイクストラ法等によって行うものである。ダイクストラ法は、目的地に最も近いノード又はリンクを始点とし、出発地に最も近いノード又はリンクを終点とし、始点から終点に至るリンクのツリーを想定し、ツリーを構成する全ての経路のリンクコストを順次加算して、出発地に到達する最もリンクコストの少ない経路のみを選択する方法である。ここでリンクコストを見積もるときに考慮すべき事項として、走行距離、走行時間、高速道路の利用の有無、右折左折回数、幹線道路の走行確率、事故多発地帯回避、その他ユーザの好みに応じて設定した事項がある。
【0038】
この構成において、前記経路計算処理部29によって推奨経路が算出されると、この算出された推奨経路およびこの推奨経路に関連する案内情報が地図メモリ15から読出され、主メモリ27にいったん格納される。また、地図メモリ15から道路地図データが読出され、この読出された道路地図データを用いて前記推奨経路に沿う一連の地図表示データが作成される。作成された地図表示データは登録部25に与えられて保持される。このとき、前記案内情報も登録部25に与えられて保持される。
【0039】
この状態において、車両の現在位置データがロケータ17から出力されると、現在位置データは車両位置認識部26を介して経路誘導処理部28に与えられる。経路誘導処理部28は、与えられた現在位置を中心とした地図表示データに対応する地図を表示部12に表示させる。このとき、車両の現在位置を示すカーマークおよび推奨経路が前記地図に重畳される。このカーマークおよび推奨経路が重畳された地図は、ロケータ17から現在位置データが出力されるたびに、更新される。すなわち、スクロールされる。
【0040】
スクロールされている場合、車両が案内情報を提供すべき位置に達すると、音声出力装置18や表示器12において案内情報が提供される。これにより、経路案内が達成される。
ところで、この車載用ナビゲーション装置には、前記算出された推奨経路の全体像をユーザに実走行前等に確認させることができる、いわゆるコースシミュレーション機能が設定されている。コースシミュレーションは、車両を示すカーマークおよび推奨経路を重畳表示した地図(以下「経路地図」という)を出発地と目的地との間で適宜更新させることによって行われる。
【0041】
コースシミュレーション機能を実行する場合、ユーザは、初期設定メニュー画面においてコースシミュレーションモードを選択し、シミュレーションメニュー画面を表示画面に表示させる(図3(a)参照)。そして、このシミュレーションメニュー画面において、種々のシミュレーション条件を設定する。
シミュレーション条件には、たとえば経路地図をスクロールさせる方向、経路地図を更新する際の更新速度、後述する検索範囲の形状およびサイズを含む検索施設、スクロール開始位置、ならびに情報提供形態(案内設定)がある。
【0042】
情報提供形態の設定は、案内メニュー画面を表示画面に表示することによって行われる(図3(b)参照)。案内メニュー画面では、音声案内(出力)をするかしないか、交差点案内を表示するか表示しないか、および施設名称を表示するか表示しないか、を選択できる。音声案内とは、たとえば「斜め左前方2Km先に東京ディズニーランドがあります」、という情報を音声出力装置18から出力させることである。交差点案内とは、たとえば交差点模式図を表示したり交差点の名称を表示することである。施設名称とは、たとえば情報を提供すべき施設(以下「情報提供施設」という)の名称を表示することである。
【0043】
次に、前記シミュレーションモードが選択されたことによって開始されるコースシミューション処理について詳述する。なお、コースシミュレーション処理は、設定されたシミュレーション条件に応じて実行される内容が異なる。そのため、以下では、各条件ごとに、コースシミュレーション処理について説明する。
図4は、前記シミュレーション条件の設定において交差点情報の提供だけを選択する場合におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【0044】
コントローラ19は、コースシミュレーションモードが選択されたことに応答して、主メモリ27に格納されている推奨経路データを読出し、この読出された推奨経路データに基づいて、推奨経路上の走行予定座標を求める(ステップS1)。
走行予定座標とは、推奨経路上において、出発地から一定距離ずつ順次離れた座標位置のことで、後述する地図の更新の際に車両を示すカーマークが移動すべき位置を特定するために用いられる。その後、経路地図が表示画面上に表示される(ステップS2)。
【0045】
次に、現在カーマークが重畳表示されている推奨経路上の位置(以下「カーマーク重畳位置」という)と次の交差点案内ポイントとの間の距離Lが算出される(ステップS3)。
交差点案内ポイントは、情報を提供すべき交差点(以下「情報提供交差点」という)の手前の所定位置に設定されているもので、前記情報提供交差点に対応する交差点情報の提供を開始するポイントとなる位置である。
【0046】
交差点案内ポイントは、シミュレーションモードの実行前に設定された更新速度、および前記情報提供交差点の名称の長さ等に応じた位置に設定される。具体的には、更新速度が大きく、かつ情報提供交差点の名称が長くなるほど、情報提供交差点から遠く離れた位置に設定される。これは、カーマーク重畳位置が交差点を通過する前にすべての交差点情報を提供し終えるようにするためである。
【0047】
次に、前記ステップS3で算出された距離Lが基準距離L0よりも長いかどうかが判別される(ステップS4)。基準距離L0は、後述するように、経路地図をスキップさせるか否かの判断のために設定されたもので、更新速度に応じて決定される。具体的には、基準距離L0は更新速度が大きくなるにつれて長くなるようにされる。
【0048】
ステップS4での判別の結果、距離Lが基準距離L0よりも短いと判別されると、経路地図が前記更新速度で更新される(ステップS5)。具体的には、カーマーク重畳位置が前記走行予定座標に対応する位置に順次移動すべく、経路地図が順次更新される。
経路地図が更新されている間、コントローラ19では、カーマーク重畳位置が交差点案内ポイントを通過したか否かが判別される(ステップS6)。その結果、カーマーク重畳位置が交差点案内ポイントを通過していない場合には、次に交差点を通過したか否かが判別される(ステップS8)。その結果、通過していなければ、前記ステップS3の処理に移行し、前述した処理が繰り返される。
【0049】
一方、前記ステップS6での判別の結果、カーマーク重畳位置が交差点案内ポイントを通過したと判別されると、その交差点案内ポイントに対応する交差点情報が提供される(ステップS7)。具体的には、交差点の模式図が表示されるとともに、交差点の名称等が音声出力される。この情報提供は、前記ステップS8でカーマーク重畳位置が交差点を通過したことと判別された場合に終了する(ステップS9)。
【0050】
一方、前記ステップS4での判別の結果、距離Lが基準距離L0よりも長いと判別されると、その間の区間は交差点情報提供不要区間であると判断され、このフローチャートにおける特徴である地図スキップ処理が実行される。
より詳述すると、地図スキップ処理では、カーマーク重畳位置が次の交差点案内ポイントに一気に移動するように、現在表示されている経路地図が交差点案内ポイントを画面中央にした地図にスキップされる(ステップS10)。この処理について図5を参照してさらに説明する。
【0051】
図5において、経路地図B1が表示されている場合、カーマーク重畳位置P1と次の交差点案内ポイントP2との間の距離しが基準距離L0よりも短いと判別されたとき、表示されるべき経路地図は、通常どおり、B1→B2→‥‥→B5の順に更新される。一方、カーマーク重畳位置P1と次の交差点案内ポイントP2との間の距離Lが基準距離L0よりも長いと判別されたときには、表示されるべき経路地図は、B2〜B4をスキップして、B1から交差点案内ポイントが画面中央にくるB5に一気に更新される。
【0052】
図4に戻って、更新後、カーマーク重畳位置は交差点案内ポイント上に存在するので、その交差点の模式図が表示されるとともに、交差点に関する情報が音声出力される(ステップS8)。
なお、経路地図を更新する際、その旨を表示したり音声出力したりする方が好ましい。
【0053】
このように、このフローチャートにかかる処理によれば、交差点情報提供不要区間をスキップして経路地図を更新するので、交差点情報は確実に提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
また、このフローチャートにかかる処理によれば、カーマーク重畳位置と次の交差点案内ポイントとの間の距離Lが基準距離L0以上である場合に限って経路地図のスキップを実行しているので、次のような効果がある。
【0054】
すなわち、たとえば図6に示すように、交差点の多い推奨経路に対するコースシミュレーションを実行する場合、もしもカーマーク重畳位置が交差点案内ポイントP1,P2,P3に常に移動するように経路地図をB1→B2→B3→B4とスキップさせることとすれば、表示画面が非常に見にくくなる。これに対して、経路地図のスキップを上述の場合に限ると、図6に示すような交差点密度が高い場合には滑らかに経路地図の更新が行われるので、見やすい表示画面とすることができる。
【0055】
また、交差点間の距離が短い場合に経路地図をスキップさせても時間短縮の効果はあまり期待することができないので、時間短縮に関して特に問題はない。
図7は、前記図4に示したフローチャートの変形例を説明するためのフローチャートである。
前記図4に示したフローチャートでは、カーマーク重畳位置と次の交差点案内ポイントとの間の距離Lを求め、この求められた距離Lが基準距離L0以上である場合に限って経路地図をスキップさせているのに対して、この図7に示したフローチャートでは、カーマーク重畳位置が常に交差点案内ポイントになるように、経路地図がスキップされる点で異なる。
【0056】
より詳述すると、図7において、走行予定座標が算出され(ステップV1)、経路地図が表示されると(ステップV2)、カーマーク重畳位置が次の交差点案内ポイントに移動するように、経路地図がスキップされる(ステップV3)。その結果、カーマーク重畳位置は交差点案内ポイントに一致する。そして、これに応答して、その交差点の模式図が表示されるとともに、交差点に関する情報が音声出力される(ステップV4)。その後、交差点を通過したと判別されたことを条件として(ステップV5のYES)、前記交差点案内が終了する(ステップV6)。
【0057】
このフローチャートにかかる処理によれば、たとえば交差点間の距離が短くても経路地図はスキップされるので、たとえば交差点情報のみを確認したい場合に特に有効となる。
図8および図9は、前記シミュレーション条件の設定において施設情報の提供だけを選択する場合におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
【0058】
図8において、コントローラ19は、コースシミュレーションモードが選択されると、前述と同様に、走行予定座標を求める(ステップT1)。一方、ユーザは、シミュレーション条件の設定において、検索範囲を入力する(ステップT2)。
検索範囲とは、カーマーク重畳位置を中心にした円,四角等の形状の範囲であって、そのサイズスケールはたとえばキロメートル単位である。ユーザは、シミュレーション条件の設定において、シミュレーションメニュー(図3(a)参照)の中から検索施設を選択して検索画面(図示せず)を表示させる。
【0059】
そして、この検索画面において、情報の提供を受けたい施設を選択する。すなわち、たとえば実走行の途中で食事に立ち寄ることを考えているとき、レストラン等の施設を選択する。これにより、レストランに関する情報がコースシミュレーション実行中に提供され、いずれのレストランで食事するかを実走行前に計画することができる。
【0060】
また、前記検索画面において、検索範囲の形状およびサイズを設定する。ここで、相対的に広い検索範囲を設定すると、たとえばレストランに関する情報にヒットする確率は高くなる一方、情報過多になるおそれがある。その結果、いずれのレストランに立ち寄るかのユーザの判断を迷わせるおそれがあり、判断作業が煩雑になるおそれがある。これに対して、相対的に狭い検索範囲を設定すると、情報過多は回避できる一方、今度は情報不足になるおそれがある。したがって、両者の得失を勘案して検索範囲を設定する必要がある。
【0061】
次いで、コントローラ19は、経路地図を表示画面上に表示させる(ステップT3)。その後、前記地図メモリ15から読出されて主メモリ27に格納されている情報提供施設の中から前記設定された検索範囲内の情報提供施設を検索し(ステップT4)、前記検索範囲内に情報提供施設があるか否かが判別される(ステップT5)。
【0062】
その結果、前記検索範囲に情報提供施設がないと判別されると、このフローチャートの特徴である地図スキップ処理が実行される(ステップT6〜T7)。
より詳述すると、地図スキップ処理では、次に検索範囲内に情報提供施設が現れるカーマーク重畳位置が求められる(ステップT6)。具体的には、カーマーク重畳位置をプログラム上で仮想的に移動させ、これに伴って変化する検索範囲の中に情報提供施設が現れるのを監視する。そして、初めて情報提供施設が現れたときの検索範囲の中心位置を前記カーマーク重畳位置として求める。
【0063】
この処理について図10を参照しつつ具体的に説明する。カーマーク重畳位置P1を中心とした検索範囲K1内に情報提供施設がない場合、カーマーク重畳位置がP2→P3→P4の順に移動するように、経路地図が仮想的に更新される。これに伴い、検索範囲もK2→K3→K4の順に移動する。この図の場合、検索範囲がK4になったとき、当該検索範囲K4内に情報提供施設Jが現れ、この検索範囲K4の中心位置P4がステップT6で求められるべきカーマーク重畳位置となる。
【0064】
図8に戻って、前記ステップT6の処理の結果、カーマーク重畳位置が求められると、このカーマーク重畳位置が画面中央となる経路地図が直ちに表示される(ステップT7)。その結果、カーマーク重畳位置は前記位置に一気に移動したことになる。これにより、施設情報提供不要区間の地図をスキップしたコースシミュレーションを実現できる。
【0065】
一方、前記ステップT5での判別の結果、前記検索範囲に含まれる施設情報があると判別されると、表示領域内の情報提供施設の数が求められる(ステップT8)。表示領域とは、表示画面に表示可能な領域のことである。
そして、前記求められた施設数および初期設定メニューにおいて予め設定されている地図縮尺に基づいて、地図の更新速度が求められ(ステップT9)、この求められた更新速度が設定される(ステップT10)。施設数および地図縮尺に基づいて更新速度を求めるのは、表示領域内の情報提供施設に対応する施設情報をすべて提供できるようにするためである。
【0066】
その後、前記表示領域内に情報提供施設があるか否かが判別される(ステップT11)。その結果、表示領域内に情報提供施設はないと判別されると、表示地図が前記更新速度で更新される(ステップT12)。その結果、カーマーク重畳位置は次の走行予定座標に対応する位置に更新されるので、前記検索範囲および表示領域も更新される。そのため、前記ステップT4からの処理が再度繰り返される。
【0067】
一方、前記ステップT11での判別の結果、前記表示領域内に情報提供施設があると判別されると、図9に示すように、その情報提供施設のある位置にアイコンが表示される(ステップT13)。このとき、情報提供施設が複数ある場合には、これに伴ってアイコンも複数表示される。
次いで、情報重複提供の防止のため、前記表示領域内にあるすべての情報提供施設に関する情報である施設情報は提供済であるか否かが判別される(ステップT14)。その結果、施設情報はすべて提供済であると判別されると、経路地図が前記更新速度で更新される(ステップT12)。
【0068】
一方、前記ステップT14での判別の結果、施設情報はまだ提供済ではないと判別されると、前記表示領域内にある情報提供施設のうち、カーマーク重畳位置に最も近い情報提供施設が特定される(ステップT15)。そして、この特定された情報提供施設に関する情報は提供済であるか否かが判別される(ステップT16)。その結果、前記情報提供施設に関する情報が提供済であると判別された場合には、前記ステップT15に移行し、前記表示領域内の別の情報提供施設が特定され、前記ステップT16の判別処理が繰り返される。
【0069】
一方、前記ステップT16での判別の結果、前記情報提供施設に関する情報はまだ提供されていないと判別されると、前記ステップT15で特定された情報提供施設に対応する施設情報が提供される(ステップT17)。その後、経路地図が前記更新速度で更新され(ステップT12)、前記ステップT4からの処理が繰り返される。
【0070】
図11ないし図13は、前記シミュレーション条件の設定において交差点情報および施設情報の提供を選択する場合におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
このフローチャートのステップP1〜P5までの処理は、前記図8に示したフローチャートのステップT1〜T5と同じなので、その説明は省略する。
【0071】
図11のステップP5において、検索範囲内に含まれる施設情報がないと判別されると、このフローチャートの特徴である地図スキップ処理が実行される(ステップP6〜P9)。
より詳述すると、この地図スキップ処理では、前記図8のステップT6と同様に、次に検索範囲内に施設情報が現れるカーマーク重畳位置が求められる(ステップP6)。このとき、現在のカーマーク重畳位置からステップP6で求められたカーマーク重畳位置までの距離L1も同時に求められる。また、現在のカーマーク重畳位置よりも目的地側にある交差点案内ポイントのうち最も近い交差点案内ポイントまでの距離L2が求められる(ステップP7)。そして、前記ステップP6で求められた距離L1と前記ステップP7で求められた距離L2とが比較され、その距離の短い方の位置が特定される(ステップP8)。その後、現在のカーマーク重畳位置が前記特定された位置に表示されるように、経路地図がスキップされる(ステップP9)。これにより、案内情報提供不要区間の地図を飛ばしたコースシミュレーションを実現できる。そのため、コースシミュレーションに要する時間を短縮することができる。
【0072】
一方、前記ステップP5において、検索範囲内に含まれる施設情報はあると判別されると、地図の更新速度が設定された上で(ステップP10〜P12)、表示領域内に情報提供施設があるか否かが判別される(ステップP13)。その結果、表示領域内に情報提供施設があると判別されると、図12に示すフローチャートに移行し、任意の情報提供施設に対応する施設情報が提供される(ステップP14〜P18)。一方、表示領域内に情報提供施設はないと判別されると、図13に示すフローチャートに移行し、交差点情報の提供が行われる(ステップP19〜P22)。
【0073】
なお、この第1実施形態にかかるコースシミュレーション処理では、現在のカーマーク重畳位置と次の交差点案内ポイントとの間の距離Lが基準距離L0よりも長い場合、または検索範囲内に情報提供施設がない場合等には、経路地図をスキップしているが、たとえば前述の場合には更新速度を設定し得る最高速度にして経路地図を更新させてもよい。このとき、カーマーク重畳位置が次の交差点案内ポイントまたは次に検索範囲内に情報提供施設が現れる位置に達すると、前記更新速度を元の更新速度に戻すようにすればよい。
【0074】
この構成によれば、案内情報量がない情報提供不要区間を素早く通過することができるので、案内情報を確実に提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
以上のようにこの第1実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置によれば、情報提供不要区間の経路地図をスキップさせたり情報提供不要区間における更新速度を速くしているので、案内情報を確実に提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0075】
図14ないし図19は、車載用ナビゲーション装置におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、前記図1および図2も必要に応じて参照する。
前記第1実施形態にかかるコースシミュレーション処理は、情報提供不要区間の地図をスキップさせたり情報提供不要区間における更新速度を速くしたりしてコースシミュレーションに要する時間の短縮化を図るものであるのに対して、このコースシミュレーション処理は、情報提供不要区間における情報提供形態を変更することによってコースシミュレーションに要する時間の短縮化を図るものである点で異なる。
【0076】
図14は、前記シミュレーション条件の設定において交差点情報の提供だけを選択する場合におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
コントローラ19は、まず、走行予定座標を求め(ステップN1)、経路地図を表示させる(ステップN2)。その後、設定された更新速度で経路地図を適宜更新させる(ステップN3)。
【0077】
この状態において、カーマーク重畳位置が交差点案内ポイントを通過したか否かを判別する(ステップN4)。その結果、カーマーク重畳位置が交差点案内ポイントを通過したと判別されると、前記更新速度が予め定める基準速度よりも速いか否かを判別する(ステップN5)。
その結果、更新速度は前記基準速度よりも遅いと判別されると、提供すべきすべての交差点情報を確実に提供できると判断され、前記交差点に対応する交差点情報を音声出力させるととともに(ステップN6)、前記交差点模式図を表示させる(ステップN7)。
【0078】
一方、更新速度が前記基準速度よりも速いと判別されると、提供情報を確実に、かつ的確に提供するため、音声出力を行わずに、交差点模式図の表示だけが行われる(ステップN7)。すなわち、音声出力は、ある程度時間が必要で、更新速度が速ければ、交差点を通過した後にまで前記音声が継続して出力されるおそれがあるからである。
【0079】
その後、カーマーク重畳位置が交差点を通過したか否かが判別される(ステップN8)。その結果、カーマーク重畳位置が交差点を通過したと判別されると、前記情報提供が終了される(ステップN9)。
このように、このフローチャートにかかる処理によれば、提供すべきすべての交差点情報を提供できないときには、必要最小限の交差点情報だけを提供しているので、交差点情報は確実に提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0080】
図15および図16は、前記シミュレーション条件の設定において施設情報の提供だけを選択する場合におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
図15のステップR1〜R5の処理は、前記図8のステップT1〜T5の処理と同じなので、その説明を省略する。
【0081】
ステップR5において検索範囲内に情報提供施設がないと判別されると、通常どおり、経路地図が更新され(ステップR9)、その後ステップR4に移行し、ステップR4からの処理が繰り返される。
一方、ステップR5において検索範囲内に情報提供施設があると判別されると、表示領域内にある情報提供施設数が求められる(ステップR6)。そして、この求められた情報提供施設数、予め設定されている経路地図の縮尺および更新速度に基づいて、提供可能割合が求められる(ステップR7)。すなわち、前記縮尺の経路地図を前記更新速度で更新させた場合、前記ステップR6で求められた情報提供施設数のうちどの程度の割合の前記情報提供施設に対応する施設情報を確実に提供できるかが求められる。
【0082】
その後、表示領域内に情報提供施設があると判別されると(ステップR8のYES)、ステップR10〜R12の処理を経て、特定された情報提供施設に対応する施設情報は提供済であるか否かが判別される(ステップR13)。
その結果、施設情報はまだ提供されていないと判別されると、図16のフローチャートに移行し、前記提供可能割合が100%を割っているか否かが判別される(ステップR14)。
【0083】
その結果、提供可能割合が100%を越えている場合には、前記縮尺の経路地図を前記更新速度で更新させてもすべての情報提供施設を提供できると判断され、提供すべき施設情報の表示時間が通常の長さに設定される(ステップR18)。また、音声出力すべき施設情報は、その内容がすべて設定される(ステップR19)。そして、対応する施設情報が表示され、また音声出力される(ステップR20)。
【0084】
一方、前記ステップR14での判別の結果、提供可能割合が100%を割っていると判別された場合には、前記縮尺の経路地図を前記更新速度で更新させた場合、確実に提供できる施設情報は提供可能割合に相当する分だけであると判断され、表示すべき施設情報の表示時間が通常の表示時間の前記提供可能割合に減らされて設定される(ステップR15)。たとえば通常の表示時間が2(sec)で提供可能割合が80(%)であれば、表示時間は2(sec)の80(%)である1.6(sec)に設定される。
【0085】
また、音声出力すべき施設情報は、その中の語意として優先度の高い情報のみ音声出力のために設定される(ステップR16)。たとえば「左前方2Km先に東京ディズニーランドがあります」という内容が音声出力される予定であれば、「東京ディズニーランド」とだけ音声出力のために設定される。
そして、対応する施設情報が表示され、また音声出力される(ステップR17)。
【0086】
このように、このフローチャートにかかる処理によれば、提供すべき施設情報のうち確実に提供できる割合に応じて情報提供形態を変更しているので、必要な情報を確実に提供することができる。したがって、コースシミュレーションに要する時間を短時間で実行したい場合には、予め更新速度を速く設定しておけばよい。そのため、コースシミュレーションに要する時間を短縮化することができる。
【0087】
図17ないし図19は、前記シミュレーション条件の設定において音声案内、交差点案内および施設情報が選択された場合におけるコースシミュレーション処理を説明するためのフローチャートである。
このコースシミュレーション処理では、図17のステップU1〜U12の処理が行われた結果、表示領域内にある任意の情報提供施設に対応する施設情報はまだ提供されていないと判別されると、図18のステップU13に移行する。
【0088】
ステップU13では、提供可能割合が100%を割っているか否かが判別され、割っていないと判別されると、通常どおり、案内情報の提供が行われる(ステップU17〜U19)。一方、割っていると判別されると、提供形態が変更され、この変更された形態で案内情報が提供される(ステップU14〜U16)。
情報提供後、図19に示すフローチャートに移行し、カーマーク重畳位置が交差点案内ポイントを通過したと判別されると(ステップU20のYES)、設定されている更新速度に応じて、音声出力または/および模式図表示による交差点案内が行われる(ステップU21〜U23)。その後、交差点を通過したと判別されると(ステップU24のYES)、前記交差点案内が終了される(ステップU25)。
【0089】
経路地図の更新は、ステップU24にて交差点を通過していないと判別されたとき、またはステップU25における交差点案内の終了後に、適宜行われる(ステップU26)。
このように、このフローチャートにかかる処理によれば、交差点情報および施設情報のいずれも提供すると設定された場合、いずれの情報も情報提供形態を圧縮変更して提供されるので、案内情報を提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0090】
以上のようにこの車載用ナビゲーション装置によれば、設定されている更新速度に応じて、または表示領域内の提供可能な情報提供施設数等に基づいて得られる提供可能割合に応じて、情報提供形態を変更して案内情報を提供しているので、案内情報を確実に提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0091】
本発明の実施の形態は以上のとおりであるが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。たとえば前記第1実施形態では、ダイクストラ法等によって自動的に算出された推奨経路の全体像を確認する場合のコースシミュレーション処理について説明しているが、この発明は、たとえばユーザが手動で設定した走行経路の全体像を確認する場合にも適用できることはもちろんである。
【0092】
その他本発明の範囲内において種々の設計変更を施すことは可能である。
【0093】
【発明の効果】
以上のように請求項1または請求項2記載の経路情報提供装置によれば、カーマークと次の交差点案内位置との間の距離が基準距離以上の場合には、その間は交差点案内情報提供不要区間と判断され、この交差点案内情報提供不要区間の地図をスキップして、または交差点案内情報提供不要区間の地図を高速で更新して、コースシミュレーションが実行されるので、案内情報を提供しつつ、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。したがって、ユーザヘのサービスの向上を図ることができる。
【0094】
また、地図のスキップまたは地図の高速更新を、前記距離が基準距離以上である場合に限って実行することとしているので、たとえば交差点が密集している経路に対するコースシミュレーションを実行する場合にはスキップや高速更新は実行されないので、見やすい表示画面とすることができる。
【0095】
また、請求項3または請求項4記載の経路情報提供装置によれば、カーマークが交差点情報を提供する交差点の手前にある次の案内位置に常に一致するように、地図のスキップまたは地図の高速更新が実行されるので、カーマークと次の案内位置との間の距離を求める必要がない。そのため、簡単な制御で コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。
【0096】
この請求項2記載の経路情報提供装置は、たとえば交差点案内情報のみを順に検索したい場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の経路情報提供装置が適用された第1実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】
前記車載用ナビゲーション装置の一部を構成するコントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図3】
第1実施形態におけるコースシミュレーション処理に必要なシミュレーション条件を設定する際のシミュレーションメニュー画面、および前記シミュレーション条件の中の検索範囲を設定する際の案内メニュー画面を説明するための図である。
【図4】
第1実施形態におけるコースシミュレーション処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】
前記図4にかかるコースシミュレーション処理の特徴を具体的に説明するための図である。
【図6】
前記図4にかかるコースシミュレーション処理の効果を説明するための図である。
【図7】
前記図4にかかるコースシミュレーション処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図8】
第1実施形態におけるコースシミュレーション処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図9】
前記図6に示したフローチャートの続きを示すものである。
【図10】
前記図8および図9におけるコースシミュレーション処理の特徴を具体的に説明するための図である。
【図11】
第1実施形態におけるコースシミュレーション処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図12】
前記図11に示したフローチャートの続きを示すものである。
【図13】
同じく、前記図11に示したフローチャートの続きを示すものである。
【図14】
車載用ナビゲーション装置におけるコースシミュレーション処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図15】
コースシミュレーション処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図16】
前記図15に示したフローチャートの続きを示すものである。
【図17】
コースシミュレーション処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図18】
前記図17に示したフローチャートの続きを示すものである。
【図19】
同じく、前記図17に示したフローチャートの続きを示すものである。
【符号の説明】
12 表示器
15 地図メモリ
18 音声出力装置
19 コントローラ
22 音声制御部
23 表示制御部
25 登録部
27 主メモリ
28 経路誘導処理部
29 経路計算処理部
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(訂正事項a)
特許請求の範囲の請求項3において
「前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」を、
「交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」と訂正し、
特許請求の範囲の請求項4において
「前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」を、
「交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、前記コースシミュレーションが実行されている場合において、前記カーマークを前記交差点案内位置まで高速で更新させるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有することを特徴とする経路情報提供装置。」と訂正する。
(訂正事項b)
段落番号【0014】の「請求項3記載の経路情報提供装置は、いわゆるコースシミュレーションを実行中に、カーマークを交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するものである。」を、
「請求項3記載の経路情報提供装置は、交差点情報を提供する交差点の手前に前記交差点案内位置を設定し、いわゆるコースシミュレーションを実行中に、カーマークを前記交差点案内位置にスキップさせるように前記表示更新手段を制御する制御手段を有するものである。」と訂正する。
(訂正事項c)
段落番号【0095】の「また、請求項3または請求項4記載の経路情報提供装置によれば、カーマークが次の案内位置に常に一致するように、地図のスキップまたは地図の高速更新が実行されるので、カーマークと次の案内位置との間の距離を求める必要がない。」を、
「また、請求項3または請求項4記載の経路情報提供装置によれば、カーマークが交差点情報を提供する交差点の手前にある次の案内位置に常に一致するように、地図のスキップまたは地図の高速更新が実行されるので、カーマークと次の案内位置との間の距離を求める必要がない。」と訂正する。
(訂正事項d)
段落番号【0095】の「そのため、制御が簡単になる。」を、
「そのため、簡単な制御で、コースシミュレーションに要する時間を短縮できる。」と訂正する。
異議決定日 2001-06-13 
出願番号 特願平7-231802
審決分類 P 1 651・ 537- ZD (G01C)
P 1 651・ 536- ZD (G01C)
P 1 651・ 121- ZD (G01C)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 千馬 隆之太田 恒明  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 菅澤 洋二
紀本 孝
登録日 2000-01-14 
登録番号 特許第3022269号(P3022269)
権利者 住友電気工業株式会社
発明の名称 経路情報提供装置  
代理人 上代 哲司  
代理人 丸山 温道  
代理人 中野 稔  
代理人 丸山 温道  
代理人 中野 稔  
代理人 上代 哲司  
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