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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1049887 |
異議申立番号 | 異議2001-70309 |
総通号数 | 25 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1991-09-18 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-01-26 |
確定日 | 2001-08-22 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3077148号「電子スチルカメラ」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3077148号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る特許第3077148号の特許請求の範囲(請求項の数3)に記載された発明は、平成2年1月18日に出願され、平成12年6月16日にその特許の設定登録がなされ、その後、特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年6月19日に訂正請求がなされたものである。 第2 訂正請求の適否について 1 本件訂正発明 訂正明細書の特許請求の範囲(請求項の数2)に記載された発明(以下「本件訂正発明」という。)は、次に掲げるものである。 「【請求項1】撮影光学系と、該撮影光学系によって形成された被写体像を映像信号に光電変換する撮像手段と、前記撮像手段から得られた該映像信号を記録媒体に記録する記録手段とを有する電子スチルカメラにおいて、 前記撮像手段から出力される映像信号を一時的に複数画面分格納可能なバッファメモリー手段と、 前記記録手段による記録動作を開始するためのレリーズ信号発生手段と、 前記レリーズ信号発生前に前記バッファメモリーへの映像信号格納動作を開始するための予備撮影信号発生手段と、 前記予備撮影信号の発生に応答して前記撮像手段から得られた映像信号を複数画面分前記バッファメモリー手段に格納する予備撮影手段と、 前記バッファメモリー手段から前記記録媒体に転送記録する映像信号の画面数を設定する画面数設定手段と、 前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段とを備えたことを特徴とする電子スチルカメラ 【請求項2】前記バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子スチルカメラ」 2 訂正事項 本件訂正発明に関連する訂正は、次に掲げる訂正事項(1)ないし(4)である。 (1) 本件特許第3077148号の明細書中の特許請求の範囲の請求項1ないし3について、特許請求の範囲の減縮を目的として、もとの請求項1、3を削除し、もとの請求項1をもとの請求項3の内容で限定した請求項を新たな請求項1とする訂正 (2) 本件特許第3077148号の明細書中特許請求の範囲の請求項1において 「前記レリーズ信号の発生に応答して前記予備撮影手段によって前記バッファメモリー手段に格納された少なくとも1画面分以上の映像信号と前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として 「前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段」とする訂正 (3) 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、本件特許第3077148号の明細書中2頁4欄7行から同欄31行に記載された 「このような電子スチルカメラにつき本発明にあっては、(中略)前記記録媒体に転送記録することを特徴とする。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として 「このような電子スチルカメラにつき本発明にあっては、前記撮像手段から出力される映像信号を一時的に複数画面分格納可能なバッファメモリー手段と、前記記録手段による記録動作を開始するためのレリーズ信号発生手段と、前記レリーズ信号発生前に前記バッファメモリーへの映像信号格納動作を開始するための予備撮影信号発生手段と、前記予備撮影信号の発生に応答して前記撮像手段から得られた映像信号を複数画面分前記バッファメモリー手段に格納する予備撮影手段と、前記バッファメモリー手段から前記記録媒体に転送記録する映像信号の画面数を設定する画面数設定手段と、前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段とを設けたものである。 ここで前記予備撮影手段は、前記バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段を備える。」とする訂正 (4) 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、本件特許第3077148号の明細書中6頁11欄2行に記載された 「画面の枚数を設定する枚数設定手段」を、明りょうでない記載の釈明を目的として 「画面数を設定する画面数設定手段」とする訂正 3 訂正事項の適否についての結論 上記訂正(1)ないし(4)は、特許法第120条の4第2項第1号及び第3号に規定する特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、同法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2項に規定する実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、上記訂正(1)ないし(4)を認める。 以下、本件訂正発明が、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第3項に規定する特許出願の際独立して特許を受けることができるものか検討する。 第3 刊行物発明、及び、本件訂正発明と刊行物発明との対比・検討 1 刊行物 当審の取消理由で引用した刊行物1ないし3は次に掲げるものである。 刊行物1:特開昭56-158583号公報(異議申立人が提出した甲第1号証) 刊行物2:特開昭59-70385号公報(異議申立人が提出した甲第2号証) 刊行物3:実願昭59-73945号(実開昭60-186771号公報)のマイクロフィルム(異議申立人の提出した甲第3号証) (1) 刊行物1の発明 刊行物1には、「撮像装置により得られる画像情報を、カセットテープの如き狭帯域用磁気テープに記録し再生するための画像記録方式を提供するもので、1フレームメモリーを用い画像情報をデジタル記憶させ、これを読み出して磁気テープへ挟帯域記録させる方式であり、メモリー書き込み時間を高速とすることにより比較的早い動きの被写体の画像をも通常のカセットテープへ記録し得るように」(2頁右上欄下から3行ないし同頁左下欄6行)するための、 「撮像デバイスの光電変換面に結像せる被写体像を2次元走査して被写体光量に応じたアナログビデオ信号を発生させ、該アナログビデオ信号をデジタル信号に変換した後、これをデジタルメモリ-回路へ前記走査と同期して書き込み記憶させ、該デジタルメモリー回路の内容を前記走査と異なる周期で続み出したデジタル信号を磁気記録せしめる撮像装置において、前記メモリー回路への書き込みを撮像装置のレリーズ第1段動作により開始し、該レリーズの第2段動作で前記書き込みを停止せしめると共に、前記メモリー内容の読み出しおよび磁気記録動作を開始させ、前記被写体像の1フレームの記録終了により前記記録動作を停止せしめることを特徴とする画像記録方式」(1頁左下欄、特許請求の範囲(1)の項)が記載されている。 (2) 刊行物2の発明 刊行物2には、「胃のように特異な動きを見せる被検体であっても、その一連の動きを示す複数の所望の静止画が、レリーズボタンの操作タイミングの多少の遅れにかかわらず、容易に得られると共に、正確且つ容易な検診を可能とした内視鏡撮影装置を提供すること」(1頁右下欄下から5行ないし次頁左上欄2行)を目的とした 「固体撮像素子を用いたTVカメラを有する内視鏡撮影装置において、対象物を連続的に撮像して順次TV信号を発生する固体撮像装置と、発生されたTV信号が並列的に供給される複数の一時画像メモリと、この一時画像メモリに順次供給されるTV信号を時系列的に記憶せしめ、又、順次読み出すタイミング制御回路と、静止画像を得るためのレリーズボタンの動作に対応して前記タイミング制御回路を駆動させる手段と、少なくともこのレリーズ動作が行なわれたときに前記固体撮像装置に入力されている画像データを含む一連のTV信号を順次記憶する主画像メモリと、前記一時、主画像メモリに記憶された復数画面分の画像デ一タを組合せて一画面の画像として表示するTV画像制御手段とを具備したことを特徴とする内視鏡撮像装置」(1頁左下欄、特許請求の範囲の項)が記載されている。 (3) 刊行物3の発明 刊行物3には、「従来のカメラやVTRでは、所望の動作や現象の変化の開始時点が予測できないこと、この開始時点よりも前の画面も必要であることから、必要な画面部分を記録するため、その前から撮影を開始して準備をしなければならなかった。」(4頁7行ないし12行)という問題を解決した 「所望の記録開始基準時点を設定する基準時点設定手段と、この記録開始基準時点の前後の所定時間内の映像を所望の枚数の静止画像としてメモリ装置に記録する撮影記録手段と、前記メモリ装置の静止画像を所望の時点で随時再生する画像再生手段とを備えたことを特徴とする電子カメラ装置」(1頁、実用新案登録請求の範囲(1)の項)が記載されている。 2 本件訂正発明と刊行物発明との対比・検討 本件訂正発明と刊行物1ないし3の発明とを対比・検討すると、刊行物1ないし3の発明は、本件訂正発明おける次に掲げる主要な事項を具備していないし、刊行物1ないし3には、この主要な事項を示唆する記載もなされていない。 「レリーズ信号の発生に応答して、予備撮影手段によりバッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を記録媒体に転送記録する制御手段」 そして、上記主要な事項により、本件訂正発明は、 「撮影者がレリーズ部材を操作して撮影動作を行う直前の所定のタイミングの画面を記録して、撮影時の遅れ時間がほとんどゼロの本来所望するシャッターチャンスの記録画像が容易に得られる電子スチルカメラを提供する」(本件特許掲載公報2頁3欄44行ないし48行)という目的を達成し、 「狙ったシャッターチャンスの映像の撮影記録を確実かつ容易に行うことができる。 また、バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段及びバッファメモリー手段から記録媒体に転送記録する画面の枚数を設定する枚数設定手段(この手段は、訂正により画面数を設定する画面数設定手段となった。)を備えているため、撮影者の技量や撮影条件に合わせてさらに有効な撮影記録を行うことが可能となる。」(本件特許掲載公報5頁10欄46行ないし次頁11欄4行)という効果を奏するものである。 したがって、本件訂正発明は、刊行物1ないし3の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 3 訂正請求についての結論 以上、本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるもので、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第3項に規定に適合するから、上記訂正請求を認める。 第4 特許異議の申立の理由の概要 特許異議申立人は、本件訂正発明における上記主要な事項に関して、次に掲げる1,2を主張しているので、これらについて検討する。 1 甲第1号証では、転送カセットレコーダー11に転送記録される映像信号はデジタルメモリー回路12に書き込まれた画像1枚分であることだけが明示され、レリ-ズ信号発生中に撮像された映像信号を含む複数画面分の映像信号が転送される点は明らかでないから、この点で相違しこの点を除けば構成h(本件主要な事項に相当)に相当するものが記載されている。(異議申立書10頁下から4行ないし次頁1行) 2 甲第1号証では、レリーズボタンスイッチ1の1段目のストロ-クでデジタルメモリー回路21(12の誤り)(バッファーメモリ-手段)への格納を開始し、2段目のストロ-クで格納を停止して記録手段への転送記録を行っており、レリーズボタンスイッチ1の2段目のストローク中によって得られる映像信号について触れていない。 しかし、電子スチルカメラのレリ-ズボタンスイッチが映像信号の撮像・記録のために操作されることは当然であるから、レリーズボタンスイッチ1の2段目のストロークによって新たな映像信号が撮像されて記録されることは当然に予想されることであり、その記録先として、デジタルメモリー回路21(12の誤り)から転送された映像信号の記録される記録手段と考えるのが自然と考えられる。そうであれば、デジタルメモリー回路21(12の誤り)に格納された映像信号だけでなく、レリーズボタンスイッチ1の2段目のストロークによって記録された映像信号も、共通の記録手段に転送記録されることになり、複数画面の映像信号が甲第1号証においても転送記録されていることになり、構成h(本件主要な事項に相当)に相当するものが甲第1号証に記載されているということもできる。(異議申立書16頁16行ないし次頁1行) 上記主張1,2について検討する。 異議申立人の主張1における、甲第1号証では、「レリ-ズ信号発生中に撮像された映像信号を含む複数画面分の映像信号が転送される点は明らかでない」こと、及び、主張2における、甲第1号証では、「レリーズボタンスイッチ1の2段目のストローク中によって得られる映像信号について触れていない」ことは、そのとおりで、また、従来の電子スチルカメラにおいては「レリーズボタンスイッチ1の2段目のストロークによって新たな映像信号が撮像されて記録されることは当然に予想されること」もそのとおりである。 しかしながら、これらのことから直ちに、デジタルメモリー回路21(12の誤り)に格納された映像信号だけでなく、「レリーズボタンスイッチ1の2段目のストロークによって記録された映像信号も、」共通の記録手段に転送記録されることが、甲第1号証に記載されているとはいえないし、複数の画面に関連して訂正された本件訂正発明における「画面数設定手段」は、甲第1号証では考慮されていない。 したがって、本件訂正発明は、上記第3で対比・検討したとおり、甲第1ないし3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第5 むすび 以上、本件訂正発明は、刊行物1ないし3の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 また、他に本件訂正発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 電子スチルカメラ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】撮影光学系と、該撮影光学系によって形成された被写体像を映像信号に光電変換する撮像手段と、前記撮像手段から得られた該映像信号を記録媒体に記録する記録手段とを有する電子スチルカメラにおいて、 前記撮像手段から出力される映像信号を一時的に複数画面分格納可能なバッファメモリー手段と、 前記記録手段による記録動作を開始するためのレリーズ信号発生手段と、 前記レリーズ信号発生前に前記バッファメモリーへの映像信号格納動作を開始するための予備撮影信号発生手段と、 前記予備撮影信号の発生に応答して前記撮像手段から得られた映像信号を複数画面分前記バッファメモリー手段に格納する予備撮影手段と、 前記バッファメモリー手段から前記記録媒体に転送記録する映像信号の画面数を設定する画面数設定手段と、 前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段とを備えたことを特徴とする電子スチルカメラ。 【請求項2】前記バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子スチルカメラ。 【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、撮影された静止画像を電子的に記録する電子スチルカメラに関する。 [従来技術] 従来、この種の装置は、撮影被写体像を電気信号に変換する撮像部と、その電気信号を磁気ディスクや半導体メモリーに記録する記録部とから構成されている。 また、この種の装置と同様に静止画撮影用としては、従来からの銀塩感光材を使用するカメラが広く普及している。 これらの装置では、撮影記録動作の開始は、カメラ本体に設けられたレリーズ部材の押圧で行われるように構成されており、レリーズ部材の押圧1回毎に1画面ずつ撮影するモードの他に、レリーズ部材を押圧中は所定の時間間隔で連続して複数の画面を順次撮影する連写モードでの撮影が可能となっているものもある。 [発明が解決しようとする問題点] しかしながら、このような従来のカメラでは、レリーズ部材の押圧から実際に撮影する被写体の情報をとり込む(写し込む)までには、わずかではあるが時間遅れがあった。この遅れ時間は100msec程度が平均的であり、短いものでも300msec程度の遅れを有している。 更に、実際の撮影の際には、撮影者が被写体のシャッターチャンスを知覚してから実際にレリーズ部材を操作するまでの人体の生体反応の遅れ(0.05〜0.2秒程度)が、これに付加される。 このため、動きのある被写体を写す際などの微妙なシャッターチャンスが必要な場合には、撮影者は、これらの遅れ時間を見込んで、僅かに早めのタイミングでレリーズ操作を行うことでシャッターチャンスの確保につとめたり、連写モードを備えたカメラであったならば、めざすシャッターチャンスの前後にわたって連続撮影して複数の撮影画の中から目的の画面を選択するなどして対応するのが実状であった。 これらの撮影方法では、撮影者の熟練や撮影技量をある程度必要としたり、連写モードで本来は必要としない多数の画面を撮影してしまって映像の記録領域を無駄使いしてしまう恐れがあるなどの欠点を有していた。また、子供や動物のように、先の動きが予測しにくかったり、不規則な動きの被写体や、突然発生したシャッターチャンスヘの対応は非常に困難なものであった。 本発明は、このような従来の問題点を鑑みてなされたもので、撮影者がレリーズ部材を操作して撮影動作を行う直前の所定のタイミングの画面を記録して、撮影時の遅れ時間がほとんどゼロの本来所望するシャッターチャンスの記録画像が容易に得られる電子スチルカメラを提供することを目的とする。 [問題点を解決するための手段] この目的を達成するため本発明は次のように構成する。 まず本発明は、撮影光学系と、該撮影光学系によって形成された被写体像を映像信号に光電変換する撮像手段と、レリーズ信号発生に応答して撮像手段から得られた映像信号を記録媒体に記録する記録手段とを有する電子スチルカメラを対象とする。 このような電子スチルカメラにつき本発明にあっては、前記撮像手段から出力される映像信号を一時的に複数画面分格納可能なバッファメモリー手段と、前記記録手段による記録動作を開始するためのレリーズ信号発生手段と、前記レリーズ信号発生前に前記バッファメモリーへの映像信号格納動作を開始するための予備撮影信号発生手段と、前記予備撮影信号の発生に応答して前記撮像手段から得られた映像信号を複数画面分前記バッファメモリー手段に格納する予備撮影手段と、前記バッファメモリー手段から前記記録媒体に転送記録する映像信号の画面数を設定する画面数設定手段と、前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段とを設けたものである。 ここで前記予備撮影手段は、前記バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段を備える。 [作用] このように構成を備えた本発明の電子スチルカメラによれば、レリーズ信号が得られる前の撮影準備段階で撮像手段から得られた映像信号がバッファメモリーに順次格納され、撮影者のレリーズ操作によってレリーズ信号が得られると、バッファメモリーに格納されている1又は複数画面分の映像信号が記録媒体に転送記録されるので、撮影者のレリーズ動作を遅れ時間に相当する分のレリーズ信号発生前の時点の映像信号が記録媒体に記録でき、狙い通りのシャッターチャンスの映像が初心者でも容易に撮影記録できる。 また、バッファメモリーへの新しい映像信号の書込む動作のサイクルタイムを任意に設定できることで、撮影者の熟練度や技量、撮影条件などにきめ細かく対応することもできる。 [実施例] 第1図は本発明の一実施例を示した実施例構成図である。 第1図において、撮像部100は撮影レンズ1、絞り2、CCD等の撮像素子3、撮像素子3の動作を制御する撮像素子駆動回路4、撮像素子3の出力信号を映像信号に変換処理するためのプロセス回路5、A/Dコンバータ6などにより構成される。 A/Dコンバータ6によりA/D変換された映像信号は、バッファメモリー7および記録部200のメモリーパック10に与えられる。 バッファメモリー7は、RAM素子などの記憶内容が書換え可能な半導体フレームメモリーによって構成されており、撮影された静止画像の3画面分程度を記憶できる容量を有している。 メモリーパック10は、第2図に示すように、排出ノブ21の操作によってカメラ本体側面にメモリーパック挿入孔20からカメラ本体に対し着脱可能に設けられる。メモリーパック10への映像信号の記録は、A/Dコンバータ6の出力の直接記録と、バッファメモリー7に一旦蓄えられた信号を読出して記録する転送記録の両方が可能であり、交換式のメモリーパック1枚当り約20画面分の撮影静止画が記録できる容量を有する。 バッファメモリー制御回路8と記録制御回路9は、それぞれバッファメモリー7とメモリーパック10のデジタル映像信号の書込みと読出しを制御する回路であり、共にシーケンス制御回路11からの信号出力に応答して動作する。 尚、本実施例では、記録部200を半導体メモリーを使用したメモリーパック10とその記録制御回路9で構成しているが、フロッピディスクの磁気記録媒体とその駆動制御装置などから構成してもよい。 シーケンス制御回路11は、カメラの操作部材によるスイッチ入力を受けて、撮像素子制御回路4、バッファメモリー制御回路8、記録制御回路9にそれぞれ制御信号を出力してカメラの動作シーケンスを制御する。 半押しスイッチ12及びレリーズスイッチ13は、第2図のレリーズ釦23の押圧動作に連動しており、レリーズ釦23の全ストロークの約半分まで軽く押し込まれると半押スイッチ12がオフからオンに切り替わり、ほぼ全ストローク近くまで深く押し込まれるとレリーズスイッチ13もオフからオンに切り替わる。 第2図のレリーズ釦23の外周には、回転操作式のS-C切換ノブ24が配設されている。S-C切換ノブ24は、レリーズ釦23の押し込み動作を機械的に阻止するL(ロック)と、レリーズ釦23の押圧1回毎に1画面ずつ撮影するシングルモードのSと、レリーズ釦23の押圧中は所定の時間間隔で連続して複数の画面を順次撮影する連写モード(コンティニアスモード)のCの3つの位置に選択的に設定可能になっている。S-C切換ノブ24のS位置からC位置への切り換えに連動して第1図のS-Cスイッチ14はオフからオンに切り替わる。 カメラのファインダー窓22の上部には、タイミング設定ダイアル25と記録フレーム数設定ダイアル26の二つの回転式操作部材が配置されている。二つの設定ダイアル25と26は、それぞれ第1図のタイミング設定スイッチ15と記録フレーム数設定スイッチ16に連動している。 タイミング設定スイッチ15は、バッファメモリー制御回路8がバッファメモリー7の記憶画像信号を新しい画像と書き換える時間間隔を選定するための切換スイッチであり、記録フレーム数設定スイッチ16は、レリーズ動作時にバッファメモリー7からメモリーパック10へ写し込む静止画の画面数を設定するための切換スイッチである。 カメラ本体上面に配設された、液晶表示パネル27は、撮影済み(又は撮影可能残り)の画面数や各種の動作条件などの撮影情報を表示する。 次に、第1,2図の実施例の動作について説明する。 この実施例の電子スチルカメラでは、一駒撮りのSモードと連続駒撮りのCモードとが選択可能であるが、まずS-C切換ノブ24をSモードの位置に設定した場合の動作を説明する。 撮影に先だって、撮影の際にバッファメモリー7からメモリーパック10へ転送記録する画面の数を記録フレーム数設定ダイアル26で0から3までの希望の値に設定する。この設定数値は、レリーズスイッチ13の動作直前にバッファメモリー7に読み込まれた中の何画面をメモリーパック10に記録するかを選定するもので、0を選んだ場合はレリーズスイッチ動作後の1画面のみを記録する従来のカメラと同じ動作となる。同様に、バッファメモリー7への画像の読み込みタイミングをタイミング設定ダイアル25で、L,M,H,SHの中の一つを選定する。L〜SHの4つの設定は、バッファメモリー7への画像読み込みの時間間隔を、100msec、50msec、33msec、17msecなどのように長短を選んで選択するもので、例えば初心者のようにレリーズタイミングが不安定な場合には長めの時間設定に、特に微妙なシャッターチャンスが要求される場合には短めの時間設定にといった具合に設定することができる。 第3図は、一駒撮りのSモードを選択した際の本発明による電子スチルカメラの動作の一例を示すタイムチャートである。第3図の例では、記録フレーム数の設定は3に、タイミング設定ダイアルによる設定は50msecにそれぞれ設定された場合の動作を示す。 撮影者がカメラを被写体の方向に向けて備えて、レリーズ釦23を軽く半押しの位置まで押し込むと半押しスイッチ12がオンになり、これに応答してシーケンス制御回路11から発生される半押し信号がL(Low)からH(High)に切り替わると共に、撮像部100に電力を供給する不図示の電源回路が動作状態になる。電源回路出力が立ち上がり状態から安定状態となる所定の時間が経過した後に、カメラの各部の動作タイミングを制御するための同期信号がリセットされる。この同期信号としては、映像信号の垂直同期信号が適しており、一般に広く用いられている。この実施例では、同期信号の周期を、映像信号がNTSC方式のテレビジョン信号に適合する1/60秒としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。 更に半押しスイッチ12の動作に応答して、不図示の露出制御回路に給電され、露出制御回路の出力に応じて絞り2の絞り口径が制御される。この状態で、垂直同期信号に同期して撮像素子3への被写体像に対応する電荷の蓄積が開始される。本実施例では、撮像素子3としてCCDを用いており、CCDの電荷蓄積時間と絞り口径を露出制御回路の出力によって制御して、被写体の明るさの変化に対しても適切な出力レベルの映像信号が得られるように構成している。このCCDの電荷蓄積時間は、従来のカメラのシャッター速度に相当するものであり、電荷蓄積時間を制御する代わりに撮像素子3に前方に電磁駆動式の機械シャッターを配設して従来カメラと同様の露出時間制御を行う構成としてもよい。 垂直同期信号に同期して開始したCCD3の電荷蓄積を、通常の露出時間に相当する所定の蓄積時間経過後、例えば第3図の例では約1/45秒経後に停止し、電荷蓄積完了後に発生する最初の同期信号に応答してCCD3に蓄積された電荷を読み出し、プロセス回路5、A/Dコンバータ6を経てバッファメモリー7の1番目のメモリー領域に記憶させる。 更に半押し動作中は、設定スイッチ15によりのタイミング設定された時間間隔、例えば第3図の例では50msec毎に、CCD3に新たに電荷蓄積された信号を順次バッファメモリー7の次のメモリー領域に記憶していく。 第3図に示すように、CCD3で取り込まれた影像を、A,B,Cと各々順にバッファメモリー7の第1,第2,第3の各メモリー領域に記憶し、4番目のD以降は既に記憶済みのメモリー領域のうち最も古く記憶された領域に書換えて記憶される。即ち、DはAに代えて第1の領域に記憶される。この状態は、レリーズ釦23の半押し操作が解除されて半押し信号が再びしに復帰するか、レリーズ釦23がさらに深く押し込まれてレリーズスイッチ13が動作して、シーケンス制御回路11から発生されるレリーズ信号がしからHに切り替わり、バッファメモリー7への書き込みが禁止されるまで続けられる。 この本実施例では、動作を簡単にするために、タイミング設定ダイアル25で設定されるCCD3への電荷蓄積およびバッファメモリー7への信号記憶を行う各画面ごとの時間間隔を、垂直同期信号の周期の整数倍となるように選んでいる。尚、同期信号の周期の整数倍以外の任意の値を設定できるようにしたい場合には、例えばバッファメモリー7に信号を一画面分記憶させる毎に同期信号をリセットするように構成することにより実現できる。 撮影者が、レリーズ釦23の半押し状態からシャッターチャンスを知覚して、レリーズ釦23を深く押し込むと、レリーズ信号がHに切り替わり、さらに、このレリーズ信号の切り替わりの後に発生される二つ目の同期信号に同期してバッファメモリー7の書込み禁止信号がシーケンス制御回路11からH信号として出力される。レリーズ信号のHへの切り替わりの後に最初に電荷蓄積が終了する画面Eの映像信号が、その電荷蓄積動作を終了した後に発生する次の同期信号に同期して、CCD3からプロセス回路5、A/Dコンバータ6を経てメモリーパック10に記録される。これに続いて、バッファメモリー7に記憶されているD,C,Bの画面の映像信号が、同期信号に同期して順序メモリーパック10に転送記録される。このバッファメモリー7から読み込まれる画面の数は、記録フレーム数設定ダイアル26で選定された数によるものであり、画面数2が選定された場合には、D,Cの2画面が記録され、画面数1が選定された場合にはDのみが記録される。 メモリーパック10への所定画面数の映像信号の記録が終了すると、レリーズ信号およびバッファメモリー書き込み禁止信号が共にHからLに再び切り替わり、次のレリーズ動作に備える状態となる。 この後、レリーズ釦23を半押しの位置からレリーズスイッチ13が動作する位置まで再度押し込むことで別の画面を続けて撮影することも可能なようになっている。また、短かい時間をおいて撮影動作を繰り返すなどの場合に備えて、従来のカメラと同様に、レリーズ釦23から指が離されて半押しスイッチ12がオフに切り替わっても、10秒程度の一定時間はレリーズ信号がH状態で保持された後にしに切り替わるようにシーケンス制御回路11が構成されている。 このように、メモリーパック10には、通常のカメラと同様、実際にレリーズ部材が操作された直後の撮影画Eが記録され、更に、画面Eよりもそれぞれ50msec、100msec、150msec前の時点の画面であるD,C,Bが記憶される。 第3図のタイムチャートに示すように、撮影者が判断した時間と実際にレリーズスイッチ13が動作した時点とで、100msec程度の反応遅れ時間があったとすると、希望したシャッターチャンスに非常に近いCの画面とその前後の画面が記録されたことになる。 第3図の例よりもさらに、撮影判断時間と記録画面のタイミング差を小さくしたい場合には、タイミング設定ダイヤル25による設定時間を小さな値となるようにすればよいが、1〜3画面を同時に記録するだけでは、レリーズ信号発生前の短い期間の中からしか撮影画を残せず、希望の画面が記録できないことも起こり得る。このような場合に対応するには、1回の撮影当りのメモリーパック10への記録画面数を多くする方法もあるが、この実施例の改良案として、バッファメモリー7への記憶画面のサンプリング時間を短くしておき、メモリーパック10へは1つおきに転送記録し、半分の画面数を記録しても良い。即ち第3図の例ではCとAだけを記録する。更に2つ置きに転送記録することで1/3のサンプリング画だけを記録する方法によってメモリーパック10の記録領域の無駄使いを少なくすることも可能である。 また、不必要な画面を少しでも記録しないですむように、画面Eのようなレリーズ信号発生後の画面を記録しないモードの設定手段を付加してもよい。 次に、S-C切り換えノブ24の設定を連続駒撮りのCモードに設定した場合の動作を第4図のタイムチャートを参照してを説明する。 このCモードを選択した時の基本的な動作は、Sモードの場合と同じであるので、異なる部分のみの説明を行う。 カメラを被写体に向けて、撮影予備動作であるレリーズ釦23の半押しを行った後に、レリーズ動作を行ってレリーズ信号が発生するまでの間の動作は、Sモードの場合と同じである。 第4図の例では、連続駒撮影の速度を1秒間に10画面(撮影間隔100msec)の場合を示しており、記録フレーム数設定とタイミング設定は、第3図の例と同じ3フレームと50msecになっている場合を示している。 Cモードでは、レリーズ釦23を深く押し込んでスイッチ13がオン状態に保持している間は、連続して撮影か続けられるようになっているのが一般的である。この実施例では第4図に示すように、シーケンス制御回路11から出力されるレーズ信号は、レリーズスイッチ13のオンヘの切り替わりに応答してHに切り替わり、メモリーパック10への記録が一旦終了するまでHに保持された後、Lに切り替わる。 ここまではSモードの場合と同じであるが、この後、レリーズスイッチ13がオンの間は、連続撮影の時間間隔(100msec)毎にレリーズ信号がLからHへ、また記録が終了する毎にHからLへと切り替わって出力される。一方、バッファメモリー書き込み禁止信号は、Sモードの時と同じくレリーズ信号の最初のHへの切り替わりの後の二つ目の同期信号に同期してH信号が出力されるが、この後、メモリーパック10への記録か完了してもレリーズスイッチ13がオンの間はHに保持される。この結果、メモリーパック10へは、レリーズスイッチ13がオンになった直後に電荷蓄積が終了する画面Eと共に、それよりも50msec間隔で以前の画面D,C,Bと、その以降100msec隔の画面G,I,K,…が記録される。 レリーズ釦23の押し込みが解除されてレリーズスイッチ13が再びオフになると、その時点でレリーズ信号がLである場合は次のレリーズ信号のHへの切り替わりが行われず、バッファメモリー書き込み禁止信号がLとなり、連続駒撮影を終了して次の撮影動作に備える状態となる。レリーズスイッチ13がオフとなった時点でレリーズ信号がHである場合は、その時のメモリーパック10へ記録する画面の記録が完了するまでレリーズ信号がHに保持された後Lowに切り替わり、以下同様に次の撮影動作に備える状態となる。 第4図に示した実施例では、レリーズ信号発生前の画面として、D,C,Bの50msec間隔の画面を記録するように構成されているが、連続駒撮影の一定時間間隔を記録機能を重要視する場合には、レリーズ信号発生前の画面も連続駒撮影の時間間隔と同じ間隔の画面(第4図の例では、画面C、A)が記録されるようにしてもよい。 尚、Sモード、Cモード共に、レリーズ信号発生前に撮影予備動作(レリーズ釦の半押し)時にバッファメモリー7に記憶した画面を記録するように構成されているので、撮像部100へ供給される電源回路出力の立ち上がりとバッファメモリー7への画像信号読み込みのために、レリーズ信号発生までに0.1〜0.2秒程度の間、撮影予備動作が行われることが望ましい。通常の撮影では、この程度の短い時間の撮影予備動作はほとんど問題とならないが、緊急の場合などには、この予備動作時間が極めて短くなっしまう場合も起こり得る。そこで、このような場合にでも対処できるように、バッファメモリー7への記憶画面数が設定フレーム数に達していない状態でレリーズ信号が発生した時は、その時点でのバッファメモリー7の記憶画面とレリーズ信号発生後の通常の画面を記録するようにシーケンス制御回路11を構成することで、本発明によるカメラの有効性を高めることができる。 また、撮影予備動作の時間が所定の時間に達していない間は、ファインダー内などの表示部に警告の表示を出すことも有用である。 更に別の対応手段として、撮影予備動作の時間が所定値より短い時点でレリーズスイッチ13がオンになっても、所定時間経過後にレリーズ信号が発生するような構成、或いは所定値より短い時点でのレリーズ信号の発生を禁止する構成のシーケンス制御回路11としてもよい。 [発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、電子スチルカメラが、撮像手段から出力される映像信号を一時的に複数画面分格納可能なバッファメモリー手段と、記録手段による記録動作を開始するためのレリーズ信号発生手段と、レリーズ信号発生前にバッファメモリーへの映像信号格納動作を開始するための予備撮影信号発生手段と、予備撮影信号の発生に応答して撮像手段から得られた映像信号を複数画面分バッファメモリー手段に格納する予備撮影手段と、レリーズ信号の発生に応答して予備撮影手段によってバッファメモリー手段に格納された少なくとも1画面分以上の映像信号と前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段とを備えるため、狙ったシャッターチャンスの映像の撮影記録を確実かつ容易に行うことができる。 また、バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段及びバッファメモリー手段から記録媒体に転送記録する画面数を設定する画面数設定手段を備えているため、撮影者の技量や撮影条件に合わせてさらに有効な撮影記録を行うことが可能となる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の実施例を示した実施例構成図; 第2図は本発明のカメラ本体の外観構成図; 第3図は第1図の実施例を一駒ずつ撮影するSモードで動作させた場合の動作状態の一例を示すタイムチャート; 第4図は第1図の実施例の連続駒撮影のCモードでの動作状態の一例を示すタイムチャートである。 [図中の符号] 1:撮影レンズ 2:絞り 3:撮像素子(CCD) 4:撮像素子駆動回路 5:プロセス回路 6:A/Dコンバータ 7:バッファメモリー 8:バッファメモリー制御回路 9:記録制御回路 10:メモリーパック 11:シーケンス制御回路 12:半押しスイッチ 13:レリーズスイッチ 14:S-C切換スイッチ 15:タイミング設定スイッチ 16:記録フレーム数設定スイッチ 100:撮像部 200:記録部 |
訂正の要旨 |
次に掲げる訂正(1)ないし(4)を認める。 (1) 本件特許第3077148号の明細書中の特許請求の範囲の請求項1ないし3について、特許請求の範囲の減縮を目的として、もとの請求項1、3を削除し、もとの請求項1をもとの請求項3の内容で限定した請求項を新たな請求項1とする訂正 (2) 本件特許第3077148号の明細書中特許請求の範囲の請求項1において 「前記レリーズ信号の発生に応答して前記予備撮影手段によって前記バッファメモリー手段に格納された少なくとも1画面分以上の映像信号と前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として 「前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段」とする訂正 (3) 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、本件特許第3077148号の明細書中2頁4欄7行から同欄31行に記載された 「このような電子スチルカメラにつき本発明にあっては、(中略)前記記録媒体に転送記録することを特徴とする。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として 「このような電子スチルカメラにつき本発明にあっては、前記撮像手段から出力される映像信号を一時的に複数画面分格納可能なバッファメモリー手段と、前記記録手段による記録動作を開始するためのレリーズ信号発生手段と、前記レリーズ信号発生前に前記バッファメモリーへの映像信号格納動作を開始するための予備撮影信号発生手段と、前記予備撮影信号の発生に応答して前記撮像手段から得られた映像信号を複数画面分前記バッファメモリー手段に格納する予備撮影手段と、前記バッファメモリー手段から前記記録媒体に転送記録する映像信号の画面数を設定する画面数設定手段と、前記レリーズ信号の発生に応答して、前記予備撮影手段により前記バッファメモリー手段に格納されている複数画面分の映像信号のうち前記画面数設定手段により設定された画面数の映像信号と、前記レリーズ信号が発生している間に前記撮像手段によって撮像された映像信号とを含む複数画面分の映像信号を前記記録媒体に転送記録する制御手段とを設けたものである。 ここで前記予備撮影手段は、前記バッファメモリー手段に順次新たな1画面分の映像信号を格納する時間間隔を設定するタイミング設定手段を備える。」とする訂正 (4) 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、本件特許第3077148号の明細書中6頁11欄2行に記載された 「画面の枚数を設定する枚数設定手段」を、明りょうでない記載の釈明を目的として 「画面数を設定する画面数設定手段」とする訂正 |
異議決定日 | 2001-08-03 |
出願番号 | 特願平2-9097 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(H04N)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤内 光武 |
特許庁審判長 |
谷川 洋 |
特許庁審判官 |
石川 伸一 山本 章裕 |
登録日 | 2000-06-16 |
登録番号 | 特許第3077148号(P3077148) |
権利者 | 株式会社ニコン |
発明の名称 | 電子スチルカメラ |
代理人 | 渡辺 隆男 |
代理人 | 渡辺 隆男 |