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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  E04B
審判 全部申し立て 2項進歩性  E04B
管理番号 1049975
異議申立番号 異議1999-72102  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-10-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-01 
確定日 2001-09-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2831261号「吹付落下綿処理方法および装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2831261号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2831261号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、平成6年3月18日に特許出願され、平成10年9月25日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人ニチアス株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年8月28日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、訂正拒絶理由を兼ねた取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年3月6日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度、訂正拒絶理由を兼ねた取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年7月17日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。

(訂正事項a)
特許請求の範囲の請求項1を、「スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けることを特徴とする吹付落下綿処理方法。」と訂正する。

(訂正事項b)
特許請求の範囲の請求項2を、「建築現場で発生した耐火吹付材の吹付落下綿を吹付作業当日中に湿潤または湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付作業当日の最終の作業工程において再使用するために、吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に組み込まれたロータリーバルブを介して一定量づつ、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されるエアーホースにより吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けて耐火吹付材の吹付落下綿を再利用することを特徴とする請求項1記載の吹付落下綿の処理方法。」と訂正する。

(訂正事項c)
特許請求の範囲の請求項3を、「セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、この搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続し、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用することを特徴とする吹付落下綿処理装置。」と訂正する。

(訂正事項d)
特許請求の範囲の請求項4を、「粉砕整粒機構は、回転軸とこの回転軸に沿って間隔を置いて植設された径方向に延びる複数個の粉砕整粒棒とから構成された粉砕整粒ローターから成ることを特徴とする請求項3記載の吹付落下綿処理装置。」と訂正する。

(訂正事項e)
特許請求の範囲の請求項5を、「ロータリーバルブは、軸方向に沿ってほゞ全長に亙って開口して延びている上方の取込口および下方の吐出口を有する円筒状のバルブケースと、バルブケース内の中心の回転軸とこの回転軸から径方向に延びる複数個の仕切バルブ羽根を有するローターとから成り、バルブケースの下部に開口した該吐出口が、長手方向に沿って隣合わせになっている、ほゞ全長に亙って軸方向に延びる搬送空気管路と連通していることを特徴とする請求項3記載の吹付落綿処理装置。」と訂正する。

(訂正事項f)
明細書段落番号【0005】を、「【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、この発明の吹付落下綿処理方法は、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けるものである。」と訂正する。

(訂正事項g)
明細書段落番号【0006】を、「また、請求項3に係る吹付落下綿処理装置の発明によれば、セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、該搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用するものである。」と訂正する。

(訂正事項h)
明細書段落番号【0007】を、「【作用】この様に構成されたこの発明の吹付落下綿処理方法および装置においては、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建物の建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、この回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨、特に、ウエブ側面や柱の側面の鉄骨に吹付けて再利用するので、耐火吹付材の吹付落下綿をほゞ100%に亙って有効に再利用することが出来る。したがって、吹付作業において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態にある内に吹付処理して再利用するので、何等廃棄すべき耐火吹付材の吹付落下綿を最終的に殆ど生じることが無い等の効果が得られる。また、この発明の吹付落下綿処理装置は、軽量、小型で安価に製造でき、この発明の吹付落下綿処理方法の実施に適している。」と訂正する。

(訂正事項i)
明細書段落番号【0011】の「回転軸31と、回転軸31から径方向に延び周囲にゴムシール33が設けられた複数個の仕切バルブ羽根32とから構成されており、」を、「回転軸31とこの回転軸31から径方向に延び周囲にゴムシール33が設けられた複数個の仕切バルブ羽根32を有するローターとから構成されており、」と訂正する。

(訂正事項j)
明細書段落番号【0011】の「排出口35」を、「吐出口である排出口35」と訂正する。

(訂正事項k)
明細書段落番号【0012】の「吹付装置1は通常一般的に使用されている吹付装置を好適に利用することが出来るもので、」を、「この発明の吹付落下綿処理方法の実施に適した吹付装置1は、」と訂正する。

(訂正事項l)
明細書段落番号【0013】の「投入孔18」および「粉砕整粒ローター17」を、それぞれ、「投入口16」および「仕切バルブ羽根32」と訂正する。

(訂正事項m)
明細書段落番号【0016】の、「当日の吹付作業で発生した吹付落下綿を回収してこの発明の吹付落下綿処理装置で粉砕整粒し、ロータリーバルブから搬送空気管路を介してエアーホースであるロックウール搬送ホースにより吹付ノズルに供給して、吹付ノズルにおいてセメントスラリーと混合して鉄骨に吹付けることによって、吹付落下綿を再度吹付に利用でき、」を、「建築現場における吹付作業で発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整流した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルにおいて供給された吹付落下綿の粉粒体を、スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付ノズルによって鉄骨に吹付けることにより吹付落下綿を再度耐火吹付材として利用できる。したがって、」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(イ)上記訂正事項aは、訂正前の請求項1に、「スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、」、「の粉粒体」、「エアーだけが供給される上記」および「、・・・スラリーホースを介して送られた」を加えるものである。
「スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、吹付ノズルにより鉄骨に耐火吹付材として吹付ける吹付方法において、」、および、「、・・・上記スラリーホースを介して送られた」については、本件特許明細書の段落【0012】の「図4に示される様に高圧空気を生じるブロアー2と、ロックウールをほぐして切断する解綿機3と、ロックウール搬送ホース4と、ロックウール搬送ホース4の先端に取付けられるノズル5と、セメントスラリーを形成するミキサー6と、スラリーホース8を介してセメントスラリーをノズル5に搬送するスラリーポンプ7とから構成されている。この様な吹付装置1において、通常は、この発明の吹付落下綿処理装置10を接続しないで、直接に吹付装置1からロックウール搬送ホース4を介して吹付ノズル5に接続されていて通常の如く耐火吹付材が鉄骨に吹付けられる。」、および、図4に記載されている。
「の粉粒体」は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項3の「この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体」に記載されている。
「エアーだけが供給される上記」は、本件特許明細書の段落【0015】の「この発明の吹付落下綿処理装置10の搬送空気管路15の吸入部42および吐出部43を吹付装置1のロックウール搬送ホース4,4’の途中に接続し、ロックウール搬送ホース4を圧力空気だけの供給のためにエアーホースとして使用するよう吹付装置1のブロアー2から圧力空気のみを供給する。」に記載されている。
したがって、この訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(ロ)上記訂正事項bは、訂正前の請求項2に、「の粉粒体」、「エアーだけが供給される上記」および「、・・・スラリーホースを介して送られた」を加え、「一定量ずゞ」を「一定量づつ」と訂正するものである。
「の粉粒体」、「エアーだけが供給される上記」および「、・・・スラリーホースを介して送られた」を加える点については、上記(イ)において述べたとおりであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、「一定量ずゞ」を「一定量づつ」とする訂正は、願書に最初に添付した明細書第6頁第22行および第7頁第21行には「一定量づゝ」の記載もあり、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(ハ)上記訂正事項cについては、訂正前の請求項3に、「セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、」、「吸入部と吐出部とを有する、」、「吸入部と」、「上記エアーホースの途中に接続し、」および「粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて」を加えるものである。
「セメントスラリ-を吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、」は、本件特許明細書の段落【0012】の「図4に示される様に高圧空気を生じるプロアー2と、ロックウールをほぐして切断する解綿機3と、ロックウール搬送ホース4と、ロックウール搬送ホース4の先端に取付けられるノズル5と、セメントスラリーを形成するミキサー6と、スラリーホース8を介してセメントスラリーをノズル5に搬送するスラリーポンプ7とから構成されている。この様な吹付装置1において、通常は、この発明の吹付落下綿処理装置10を接続しないで、直接に吹付装置1からロックウール搬送ホース4を介して吹付ノズル5に接続されていて通常の如く耐火吹付材が鉄骨に吹付けられる。」、および、図4に記載されている。
「吸入部と吐出部とを有する、」および「吸入部と」は、本件特許明細書の段落【0011】の「この搬送空気管路15は・・・吸入部42と突出部43を形成しており、これら吸入部42と吐出部43にエアーホースを成すロックウール搬送ホース4、4’を接続するように成っている。」に記載されている。
「上記エアーホースの途中に接続し」は、本件特許明細書の段落【0015】の「この発明の吹付落下綿処理装置10の搬送空気管路15の吸入部42および吐出部43を吹付装置1のロックウール搬送ホース4,4’の途中に接続し、」に記載されている。
「、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて」は、、本件特許明細書段落【0015】の「粉砕整粒して粉粒体として、この吹付落綿の粉粒体をロータリーバルブ14から搬送空気管路15を介してエアーホースであるロックウール搬送ホース4’によって吹付ノズル5に供給して、吹付ノズル5によって一定量づつセメントスラリーと混合して一緒に目的物とする建物の鉄骨に吹付ける…ロックウール搬送ホース4を圧力空気だけの供給のためにエアーホースとして使用するよう吹付装置1のブロアー2から圧力空気のみを供給する。」に記載されている。
したがって、この訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(ニ)上記訂正事項dは、訂正前の請求項4に「回転軸とこの」、「に沿って」および「とから構成された粉砕整粒ローター」を加えたものである。
これらの訂正は、本件特許明細書段落【0010】の「この粉砕整粒機構12は、・・・所要の速度で回転駆動される粉砕整粒ローター17から成っている。すなわち、粉砕整粒機構12の粉砕整粒ローター17は、・・・回転軸18とこの回転軸18に沿って間隔を置いて径万向に延びるよう植設された複数個の粉砕整粒棒19とから構成されており、」に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(ホ)上記訂正事項eは、訂正前の請求項5に「軸方向に沿って」、「とこの回転軸」、「長手方向に沿って隣合わせになっている、」を加え、「排出口」を「吐出口」と訂正するものである。これらの訂正は、本件特許明細書段落【0011】の「ロータリーバルブ14は、前フランジ25と後フランジ26を有する円筒状のバルブケース24と、・・・両端が回転可能に軸承された回転軸31と、回転軸31から径方向に延び周囲にゴムシール33が設けられた複数個の仕切バルブ羽根32とから構成されており、バルブケース24の上部および下部に設けられた取込口34および排出口35は円筒状のバルブケース24の周面に軸万向に沿って長手方向に亙って、バルブケース24のほぼ全長に亙って夫々開口して延びている。」および図2に記載されており、また、「排出口」を「吐出口」と訂正することは、引用している請求項3との整合を図ったものである。
したがって、この訂正事項eは、特許請求の範囲の減縮および明りようでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(チ)上記訂正事項f〜kおよびmは、上記訂正事項a〜eとの整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(リ)上記訂正事項lは、「ホッパーの投入口」について図1及び図2において符号「16」が付され、本件特許明細書段落【0010】には「投入口16」の記載があるので、「投入口16」と訂正し、ロータリーバルブの吐出口から一定量づつ粉粒体を吐出するために、ロータリーバルブで回転するのは、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項5および段落【0011】の記載から「仕切バルブ羽根」であるので、「粉砕整粒ローター17」を「仕切バルブ羽根32」と訂正するもので、明りようでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)独立特許要件
(a)訂正後の明細書の請求項1〜5に係る発明
訂正後の請求項1〜5に係る発明(以下、「本件訂正発明1〜5」という。)は、上記訂正請求により提出された全文訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けることを特徴とする吹付落下綿処理方法。
【請求項2】建築現場で発生した耐火吹付材の吹付落下綿を吹付作業当日中に湿潤または湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付作業当日の最終の作業工程において再使用するために、吹付落下綿処理装置に投入して粉砕状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に組み込まれたロータリーバルブを介して一定量づつ、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されうエアーホースにより吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けて耐火吹付材の吹付落下綿を再利用することを特徴とする請求項1記載の吹付落下綿処理方法。
【請求項3】セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、この搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用することを特徴とする吹付落下綿処理装置。
【請求項4】粉砕整粒機構は、回転軸とこの回転軸に軸方向に間隔を置いて植設された径方向に延びる複数個の粉砕整粒棒とから構成された粉砕整粒ローターから成ることを特徴とする請求項3記載の吹付落下綿処理装置。
【請求項5】ロータリーバルブは、ほゞ全長に亙って軸方向に延びている周面に開口する上部の取込口および下部の吐出口を有する円筒状のバルブケースと、バルブケース内の中心の回転軸とこの回転軸から径方向に延びる複数個の仕切バルブ羽根とから構成されるローターとから成り、前記バルブケースの下部に開口する排出口が、長手方向に沿って隣合わせになっている、ほゞ全長に亙って軸方向に延びる搬送空気管路と連通していることを特徴とする請求項3記載の吹付落下綿処理装置。」

(b)特許法第29条の2に関して
(先願明細書記載の発明)
先に通知した取消理由で引用した、先願明細書(特願平5-258955号(特開平7-91062号)の願書に最初に添付した明細書及び図面。特許異議申立人が提出した甲第1号証。)には、
a.「【産業上の利用分野】本発明は、耐火建築物の建築工事において、鉄骨の耐火被覆のための岩綿吹付工事において、一旦噴射された岩綿の非付着材を回収して吹付に再利用するための吹付機構に関する。」(段落【0001】)、
b.「【0009】図2は、回収材吹付機14の詳細をメインホース12及びサブホース15の一部と継手部材16と共に示す説明図である。すなわち、台車141上に、上部が開口された回収材投入槽142が設けられており、この回収材投入槽142の上部には、その側壁に両端が軸受及び密封部材を介して貫通されたシャフト143aと、その軸周に突設された撹拌板143b及び多数のほぐし棒143cからなる第一の回転羽根143が設けられており、さらに回収材投入槽142の下部には、その側壁に両端が軸受及び密封材を介して貫通されたシャフト144aと、その軸周に突設された撹拌板144b及び螺旋板144cからなる第二の回転羽根144が設けられている。
【0010】 回収材投入槽142の底壁の一部には、その下方へ回収材供給ポート145が延在されており、この回収材供給ポート145には、その側壁に軸受及び密封部材を介して貫通されると共にモータ147の出力軸に減速機を介して連結されたシャフト146aと、その軸周に突設された撹拌板146bからなる第三の回転羽根146が設けられている。この第三の回転羽根146のシャフト146aに設けられたプーリ146cと第二の回転羽根144のシャフト144aに設けられたプーリ144dは、ベルト148aを介して互いに連結されており、このシャフト144aに設けられたもう一つのプーリ144eと第一の回転羽根143のシャフト143aに設けられたプーリ143dは、ベルト148bを介して互いに連結されており、すなわち、これらの回転羽根143,144,146は、モータ147によって駆動される。また、台車141上であって回収材投入槽142の下側の空間にはブロワ149が設置されており、このブロワ149の吐出口149aは回収材供給ポート145に開口している。サブホース15が接続される回収材吐出口14aは、この回収材供給ポート145におけるブロワ149と反対側に開設されている。」(段落【0009】〜【0010】)、
c.「【0012】岩綿吹付機11は、予め混合機(図示省略)で岩綿とセメント等を混合した岩綿吹付材が投入され、この岩綿吹付材を、内蔵されたブロワ(図示省略)で岩綿吹付材吐出口11aから吐出し、メインホース12を介してスプレーノズル13に供給する。作業足場18上の吹付作業員4は、このスプレーノズル13のトリガの操作によって、岩綿吹付材を水と共に噴射し、鉄骨梁2に付着させることによって耐火被覆3を行う。鉄骨2から跳ね返って床面等に飛散されもしくは垂れ落ちた岩綿吹付材は、他の作業員5が適時に(例えば半日に一回か二回)回収して、この回収材(回収された岩綿吹付材)3’を回収材吹付機14の回収材投入槽142に投入する。
【0013】投入された回収材は、第一の回転羽根143の撹拌板143bによって撹拌されると共にほぐし棒143cによってほぐされる。その下側に配置された第二の回転羽根144は、その螺旋板144cによって回収材を一定方向に流動させ、回収材投入槽142内で循環させるので、ほぐし棒143cによるほぐしがまんべんなく行われる。循環される回収材は、回収材投入槽142の下側の回収材供給ポート145に順次供給され、そこでブロワ149からの吐出エアと共に回収材吐出口14aから吐出される。吐出された回収材は、継手部材16内の逆止弁17を押し開いてメインホース12に流れ込み、岩綿吹付機11から供給される新規岩綿吹付材と合流してスプレーノズル13から噴射される。」(段落【0012】〜【0013】)
と記載されている。
そして、上記記載bとともに第2図の回収材吹付機についてみると、回収材供給ポート145は第三の回転羽根146が内蔵されるものであって、第三の回転羽根146の回転によって回収材は一定量ずつ下方に送られると考えられる。
さらに、上記記載cの「作業員5が適時に(例えば半日に一回か二回)回収」した回収材が湿潤または湿った状態であることは、本件特許明細書の「吹付作業において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態にある内に当日中に吹付処理して再利用することが出来」(段落【0007】)の記載等から、明らかである。
したがって、上記特許出願の明細書には、以下の発明が記載されていると認められる。
「予め混合機で岩綿とセメント等を混合した岩綿吹付材を、ブロワで吐出し、メインホースを介してスプレーノズルに供給し、岩綿吹付材を水と共に噴射し、鉄骨梁2に付着させる吹付方法において、鉄骨2から跳ね返って床面等に飛散されもしくは垂れ落ちた岩綿吹付材を適時に(例えば半日に一回か二回)回収し、回収材(回収された岩綿吹付材)を回収材吹付機14に投入して回収材吹付機14によってほぐし、ほぐした回収材を回収材吹付機14の回収材供給ポート145により一定量ずつサブホースに流し込み、継手部材を介して接続されたメインホースに流れ込ませ、新規岩綿吹付材と合流してスプレーノズル13から噴射し、鉄骨梁2に付着させる岩綿再利用吹付方法。」(以下、「先願発明1」という。)
「回収材(回収された岩綿吹付材)が投入される上部の開口と、この上部の開口の下部に設けられた撹拌板及び多数のほぐし棒からなる第一の回転羽根と、撹拌板及び螺旋板からなる第二の回転羽根と、この第一の回転羽根及び第二の回転羽根によりほぐされた回収材を受けるよう第一の回転羽根及び第二の回転羽根の下に設けられ、ブロワの吐出口と回収材吐出口とを有する回収材供給ポートとから成り、この回収材供給ポートの回収材吐出口をサブホースに接続することにより、鉄骨2から跳ね返って床面等に飛散されもしくは垂れ落ちた岩綿吹付材を適時に(例えば半日に一回か二回)回収し、回収材を回収材吹付機14に投入して回収材吹付機14によってほぐし、ほぐした回収材を回収材吹付機14の回収材供給ポート145により一定量ずつサブホースに流し込み、継手部材を介して接続されたメインホースに流れ込ませ、新規岩綿吹付材と合流してスプレーノズル13から噴射して再利用する岩綿再利用吹付機構。」(以下、「先願発明2」という。)

(本件訂正発明1に関して)
本件訂正発明1と先願発明1とを対比すると、先願発明1の「鉄骨2から跳ね返って床面等に飛散されもしくは垂れ落ちた岩綿吹付材を適時に(例えば半日に一回か二回)回収し」、「回収材(回収された岩綿吹付材)を回収材吹付機14に投入して回収材吹付機14によってほぐし」、「ほぐした回収材を回収材吹付機14の回収材供給ポート145により一定量ずつサブホースに流し込んでスプレーノズル13に供給し」、「スプレーノズル13に供給された回収材を噴射し、鉄骨梁2に付着させる」および「岩綿再利用吹付方法」が、それぞれ、本件訂正発明1の「建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し」、「回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し」、「粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーホースを介して吹付ノズルに供給し」、「吹付ノズルによって鉄骨に吹付ける」および「吹付落下綿処理方法」に、相当するので、両者は、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルによって鉄骨に吹付ける吹付落下綿処理方法の点で一致し、本件訂正発明1が、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機にほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルにて、スラリーホースを介して送られてきてセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けるようにしているのに対し、先願発明1では、予め混合機で岩綿とセメント等を混合した岩綿吹付材を、ブロワで吐出し、メインホースを介してスプレーノズルに供給し、岩綿吹付材を水と共に噴射し、鉄骨に吹付ける吹付方法において、ほぐした回収材を一定量ずつサブホースに流し込み、継手部材を介して接続されたメインホースに流れ込ませ、新規岩綿吹付材を合流してスプレーノズルから噴射し、鉄骨に吹付けるようにした点で相違する。
そして、本件訂正発明1は、上記相違点に係る構成を有することにより、「…再利用の耐火吹付材に新しいロックウールを含むことがなく、回収された吹付落下綿の量に応じて吹付用面積を決定できる…湿潤状態の回収材を加工してエアホースにより吹付ノズルに供給し、セメントスラリーと混合しているので、吹付落下綿処理装置からの回収材の供給が簡単である…軽量、小型で安価に製造できる…」(平成13年7月17日付け特許異議意見書第7頁第10〜29行)との格別顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明1は、上記先願発明1と同一であるとはいえない。

(本件訂正発明2に関して)
本件訂正発明2は、本件訂正発明1を技術的に限定したものであるから、上記(本件訂正発明1に関して)の判断と同様の理由により、上記先願発明1と同一であるとはいえない。

(c)特許法第29条第2項に関して
(刊行物記載の発明)
先に通知した取消理由で引用した、本件特許発明の出願前に頒布された刊行物(実公昭63-18451号公報。異議申立人が提出した甲第3号証。)には、「吹付け用繊維材料の供給装置」について、
a.「この考案は、岩綿を主材とする繊維材料とセメントスラリーとを吹付け器のノズルからそれぞれ噴射して建物鉄骨などの物体の表面に耐火被覆層を形成する吹付け施工におけて用いられる吹付け用繊維材料の供給装置の改良に関するものである。」(第1頁第1欄第10〜15行)、
b.「1はホッパー、2はその底部に配設されたスクリュウコンベヤであり、その上方部位に一対の解綿部材3を配設され、さらにその上方部位に攪拌部材4が配設されている。前記各解綿部材3は、回転軸5に多数の棒6を突設したものが用いられ、攪拌部材4は、回転軸7に多数の扇形羽根8を突設したものが用いられている。10,11は回転軸5,8の回転駆動プーリである。(中略)前記ホッパー1には、スクリュウコンベヤ2の軸方向部位端面にあけられた吐出開口13の外側に、ケーシング14が付設され、そのなかに開繊部材15が配設されている。この開繊部材15は、管軸16に多数の針17を突設したものが用いられ、管軸16に前記スクリュウコンベヤ2の延長軸部分に嵌挿され、別個に回転されるようになっている。18はコンベヤ用チェンホイル、19は開繊部材用プーリである。前記ケーシング14には、その下面部分にロータリフィーダ20が連絡されている。このロータリフィーダ20は、回転軸21に複数板の翼板22を突設したものが用いられており、ロータリフィーダ20の吐出口は、繊維圧送ホース23の中途部位に連通されている。24はフィーダ用チェンホイルである。前記繊維圧送ホース23の一端は、ブロアー(図示していない)に連絡され、他端は吹付け器(図示していない)に連絡されている。」(第1頁第2欄第22行〜第2頁第3欄第30行)、
c.「ホッパー1内に収容された小塊状の岩綿群は、ホッパー内の上方部位に位置づけされた攪拌部材4の攪拌作用と、(中略)順次に沈降してゆき、解綿部材3を通る際、そこで粒状に解綿され、解綿された粒状岩綿はスクリュウコンベヤ2によって吐出開口13へ向けて送られる。吐出開口13から吐出された粒状岩綿は開繊部材15によって開繊され、順次にロータリーフィーダ20に落とされ、このフィーダ20によって圧送ホース23内に送りこまれる。このようにしてホース内に送りこまれた開繊岩綿は吹付け器のノズルから噴射され、それと別のノズルから噴射されたセメントスラリーとが混和され、施工面に無機繊維の耐火被覆が形成される。」(第2頁第3欄第40行〜同頁第4欄第11行)、
と記載されており、
d.第2図を見ると、ロータリーフィーダ20は、ケース内に収められ、ケーシングとケースの連絡口はロータリフィーダの長さ方向に沿って開口しており、ケースの吐出口は繊維圧送ホースの中途部位の長さ方向に沿ってほぼ全長に亘って開口していると認められる。
したがって、刊行物には、以下の発明が記載されていると認められる。
「小塊状の岩綿群を吹付け用繊維材料供給装置に投入して、吹付け用繊維材料供給装置により粒状に解綿され粒状とされ、解綿された粒状岩綿を、吹付け用繊維材料供給装置に接続した圧送ホースを介して吹付け器のノズルに供給して噴射し、別のノズルから噴射されたセメントスラリーとが混和することにより、施工面に無機繊維の耐火被覆を形成する方法。」(以下、「刊行物に記載された発明1」という。)
「ホッパー1と、ホッパー1内に配設された回転軸に多数の棒を突設してなる解繊部材3と攪拌部材4とホッパー1に付設されたケーシング内に配設され管軸に多数の針を突設してなる開繊部材15と、ケーシング14の下面部分に繊維圧送ホースの中途部位の長さ方向に沿って開口した連絡口により連絡されたケース内に収められ、回転軸に複数枚の翼板を突設したロータリフィーダ20と、ロータリフィーダ20の吐出口とほぼ全長に亘って連通する繊維圧送ホースの中途部位と繊維圧送ホースに送りこまれた開繊岩綿を噴射するノズルとを有する吹付け用繊維材料の供給装置。」(以下、「刊行物に記載された発明2」という。)

(本件訂正発明3に関して)
本件訂正発明3と刊行物に記載された発明2とを対比すると、刊行物に記載された発明2の「ホッパー1」、「解綿部材3、攪拌部材4、開繊部材15」、「ロータリフィーダ20」および「繊維圧送ホースの中途部位」が、本件訂正発明3の「ホッパー(11)」、「粉砕整粒機構(12)」、「ロータリーバルブ(14)」および「搬送空気管路(15)」にそれぞれ相当し、両装置とも綿を整粒等する綿処理装置であるから、両者は、ホッパーと、粉砕整粒機構と、粉砕整粒機構の下方に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの排出口の下部に設けられた搬送空気管路とを備えた綿処理装置である点で一致しており、下記の点で相違している。
相違点1:本件訂正発明3は、セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であるのに対して、刊行物に記載された発明2は、吹付装置全体の構成について記載されていない点。
相違点2:本件訂正発明3の粉砕整粒機構がホッパーの下部に設けられているのに対して、刊行物に記載された発明2のそれはホッパー内に設けられている点。
相違点3:本件訂正発明3が、吹付落下綿を再利用する際に、搬送空気管路の吸入部と吐出部をエアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用する吹付落下綿処理装置であるのに対し、刊行物に記載された発明2は、吹付落下綿の再利用の際に使用することについて特に言及されていない点。
上記相違点について検討すると、刊行物に記載された発明2は、上記相違点1および3に係る構成を有しておらず、また刊行物には、綿処理装置に関する記載はあるものの、その綿処理装置が組み込まれる装置全体の構成およびその綿処理装置において吹付落下綿を処理することについて、何ら記載されておらず、示唆するところもない。
そして、本件訂正発明3は、上記構成を有することにより、格別顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明3は、上記相違点2について検討するまでもなく、上記刊行物に記載された発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(本件訂正発明4および5に関して)
本件訂正発明4および5は、本件訂正発明3を技術的に限定したものであるから、上記(本件訂正発明3に関して)の判断と同様の理由により、上記刊行物に記載された発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(d)まとめ
また、他に本件訂正発明1〜5が独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
よって、本件訂正発明1〜5は特許出願の際独立して特許を受けることができる発明ということができる。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
(1)本件訂正発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の訂正後の請求項1〜5に係る発明(本件訂正発明1〜5)は、上記訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載されたとおりのものである(上記2.(3)(a)訂正後の明細書の請求項1〜5に係る発明の記載参照)。

(2)異議申立ての理由の概要
異議申立人ニチアス株式会社は、証拠として甲第1号証(特願平5-258955号(特開平7-91062号公報)(先願明細書))を提出し、請求項1〜5に係る発明は、特許法第29条の2の規定に違反してなされ、さらに、甲第2号証(特公平4-68428号公報)および甲第3号証(実公昭63-18451号公報(刊行物))を提出し、請求項1〜5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。

(3)甲各号証記載の発明
甲第1号証(先願明細書)には、「上記2.(3)(b)(先願明細書記載の発明)」の項に、また、甲第3号証(刊行物)には、「上記3.(3)(c)(刊行物記載の発明)」の項に、それぞれ示された発明が記載されている。
甲第2号証には、
a.「この発明は例えば建造物の梁などに耐火物を吹付ける耐火物吹付け装置に関する。例えば、高層建築物の建造に当ってはその内部の鉄骨へ耐火物を吹付けている。」(第1頁第2欄第10〜13行)、
b.「ホース43にはロックウール圧送装置45が接続されている。このロックウール圧送装置45はルーツブロア46と定常供給装置47は、箱車48内に設けられ下部にホース43が連通されたシュート49と、このシュート49内に回転自在に設けられた多翼攪拌羽根50及び2枚攪拌羽根51と、シュート49の外壁面に取付けられたバイブレータ52とからなっている。ホース44にはセメントスラリー圧送装置53が接続されている。このセメントラリー圧送装置53は攪拌機54を備えた2つの槽55を有するミキサー56と、スラリー供給ポンプ57とからなっている。」(第3頁第5欄第14〜27行)、
c.「そして、ノズル42による吹付け時(ティーチング時)において、シュート49にロックウール71を供給し、ロックウール圧送装置45を作動させると共にミキサー56に水72及びセメント73を供給し、セメントスラリー圧送装置53を作動させる。すると、多翼攪拌羽根50、2枚攪拌羽根51、バイブレータ52が作用してロックウール71がノズル42へ定常供給され、これとは別個にセメントスラリー圧送装置53よりノズル42へセメントスラリーが供給され、これらロックウール71とセメントスラリーとがノズル42内で混合され一緒になってこのノズル42より噴出する。」(第3頁第6欄第39行〜第4頁第7欄第7行)
と、記載され、これらの記載と第1図の記載からみて、甲第2号証には以下の発明が記載されていると認められる。
「ホース44を介して送られるセメントスラリーと、ルーツブロアからのエアーによりホース43を介して送られるロックウールとをノズルにおいて混合し、耐火物としてノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法。」(以下、「甲第2号証に記載された発明1」という。)
「セメントスラリーをノズルに送るためのスラリー供給ポンプおよびホース44と、定常供給装置と定常供給装置されたロックウールを前記ノズルに送るためのルーツブロアおよびホース43とからなる吹付装置。」(以下、「甲第2号証に記載された発明2」という。)

(4)特許法第29条の2に関して
(本件訂正発明1および2に関して)
上記「2.(3)(b)(本件訂正発明1に関して)」および「2.(3)(b)(本件訂正発明2に関して)」で示したように、本件訂正発明1および本件訂正発明2は、先願発明1と同一であるとはいえない。

(本件訂正発明3に関して)
本件訂正発明3と先願発明2を対比すると、先願発明2の「回収材」、「上部の開口」、「(攪拌板及び多数のほぐし棒からなる)第一の回転羽根と、(攪拌板及び螺旋板からなる)第二の回転羽根」、「ブロアの吐出口」、「回収材吐出口」、「回収材供給ポート」および「岩綿再利用吹付機構」は、それぞれ、本件訂正発明3の「吹付落下綿」、「ホッパー」、「粉砕整粒機構」、「吸入部」、「吐出部」、「搬送空気管路」および「吹付落下綿処理装置」の点で一致するので、両者は、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられ、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成る吹付落下綿処理装置の点で一致し、本件訂正発明3が、セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であり、搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用するためのものであるのに対し、先願発明2では、回収材供給ポートの回収材吐出口をサブホースに接続することにより、鉄骨から跳ね返って床面等に飛散されもしくは垂れ落ちた岩綿吹付材を適時に(例えば半日に一回か二回)回収し、回収材吹付機によってほぐされた回収材を回収材吹付機の回収材供給ポートにより一定量ずつサブホースに流し込み、継手部材を介して接続されたメインホースに流れ込ませ、新規岩綿吹付材と合流してスプレーノズルから噴射して再利用するためのものである点で相違している。
そして、本件訂正発明3は、上記相違点に係る構成を有することにより、明細書記載の効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明3は、上記先願発明2と同一であるとはいえない。

(本件訂正発明4および5に関して)
本件訂正発明4および5は、本件訂正発明3を技術的に限定したものであるから、上記(本件訂正発明3に関して)の判断と同様の理由により、上記先願発明2と同一であるとはいえない。

(5)特許法第29条第2項に関して
(本件訂正発明1に関して)
本件訂正発明1と刊行物に記載された発明1を対比すると、刊行物に記載された発明1の「吹付け用繊維材料供給装置」、「解綿された粒状岩綿」、および、「吹付け器のノズル」は、それぞれ、本件訂正発明1の「綿処理装置」、「粉砕整粒した(吹付落下)綿の粉粒体」、および、「吹付ノズル」に相当するので、両者は、綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒した綿の分粒体を、綿処理装置に接続したホースを介して吹付ノズルに供給した綿処理方法の点で一致し、下記の点で相違する。
相違点1:本件訂正発明1は、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法であるのに対し、刊行物に記載された発明1は、解綿された粒状岩綿を圧送ホースを介して吹付け器のノズルに供給して噴射し、別のノズルから噴射されたセメントスラリーと混和させることにより、施工面に耐火被覆を形成する方法である点。
相違点2:本件訂正発明1は、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を再利用する方法であるのに対し、刊行物に記載された発明1は、吹付落下綿の再利用について何ら考慮されていない点。
上記相違点2について検討すると、甲第2号証に記載された発明1も、相違点2に係る構成を有しておらず、また、甲第2号証には、吹付落下綿を再利用することについて、何ら記載されておらず、示唆するところもない。
そして、本件訂正発明1は、上記相違点2に係る構成を有することにより、格別な効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明1は、上記相違点1について検討するまでもなく、上記刊行物に記載された発明1および甲第2号証に記載された発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(本件訂正発明2に関して)
本件訂正発明2は、本件訂正発明1を技術的に限定したものであるから、上記(本件訂正発明1に関して)の判断と同様の理由により、上記刊行物に記載された発明1および甲第2号証に記載された発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(本件訂正発明3に関して)
本件訂正発明3と上記刊行物に記載された発明2の対比については、上記「2.(3)(c)(本件訂正発明3に関して)」で示したとおりである。
そして、相違点3について検討すると、甲第2号証に記載された発明2も、相違点3に係る構成を有しておらず、また、甲第2号証には、吹付落下綿を再利用することについて、何ら記載されておらず、示唆するところもない。
そして、本件訂正発明3は、上記相違点3に係る構成を有することにより、格別な効果を奏するものである。
したがって、本件訂正発明3は、上記相違点1および2について検討するまでもなく、上記刊行物に記載された発明2および甲第2号証に記載された発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(本件訂正発明4および5に関して)
本件訂正発明4および5は、本件訂正発明3を技術的に限定したものであるから、上記(本件訂正発明3に関して)の判断と同様の理由により、上記刊行物に記載された発明2および甲第2号証に記載された発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件訂正発明1〜5の特許を取り消すことはできない。
また、他に上記本件訂正発明1〜5の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
吹付落下綿処理方法および装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けること特徴とする吹付落下綿処理方法。
【請求項2】 建築現場で発生した耐火吹付材の吹付落下綿を吹付作業当日中に湿潤または湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付作業当日の最終の作業工程において再使用するために、吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に組み込まれたロータリーバルブを介して一定量づつ、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されるエアーホースにより吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けて耐火吹付材の吹付落下綿を再利用することを特徴とする請求項1記載の吹付落下綿処理方法。
【請求項3】 セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、この搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用することを特徴とする吹付落下綿処理装置。
【請求項4】 粉砕整粒機構は、回転軸とこの回転軸に軸方向に間隔を置いて植設された径方向に延びる複数個の粉砕整粒棒とから構成された粉砕整粒ローターから成ることを特徴とする請求項3記載の吹付落下綿処理装置。
【請求項5】 ロータリーバルブは、ほゞ全長に亙って軸方向に延びている周面に開口する上部の取込口および下部の吐出口を有する円筒状のバルブケースと、バルブケース内の中心の回転軸とこの回転軸から径方向に延びる複数個の仕切バルブ羽根とから構成されるローターとから成り、前記バルブケースの下部に開口する排出口が、長手方向に沿って隣合わせになっている、ほゞ全長に亙って軸方向に延びる搬送空気管路と連通していることを特徴とする請求項3記載の吹付落下綿処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、建物の建築現場において鉄骨に吹付けられる耐火吹付材の吹付落下綿を処理して再利用する方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の建築現場において、鉄骨耐火被覆工事で吹付けて使用されるロックウール等の未付着分が床の上に落ちた所謂「落下綿」は、作業員が集めて手作業で袋に詰めて回収して産業廃棄物として破棄されているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様な吹付落下綿は全体的にも量が多く、従って、産業廃棄物として破棄することは環境保全および廃棄処理場所の不足等の上からも廃棄処理が問題となっており、再利用の方法が種々検討開発されている。斯様な吹付落下綿の再利用の1つの例としては、回収した吹付落下綿を圧縮してブロック状に成形し、耐火材ブロック等の建築材として応用することが考えられている。併し乍ら、吹付落下綿を圧縮成形して再利用するこの様な手段は未だコスト高で、ブロックとしてだけの利用に制限される等の問題点が見られる。また、この様な吹付落下綿の再利用として、回収した吹付落下綿を乾燥粉砕して耐火吹付材の新たなロックウールに少しづゝ混合して用いる方法も考えられている。併し、この様な吹付落下綿を乾燥粉砕して用いる方法では、粉砕した吹付落下綿は細かく成り過ぎて新たなロックウールとの均一な混合が難しく、従って、利用し難たい等の問題が有る。
【0004】
従って、この発明の目的は、この様な従来における問題点を解決するために、建築現場において吹付落下綿を回収して粉砕整粒し、この粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を吹付ノズルによって鉄骨に吹付けて再利用することを特徴とする吹付落下綿処理方法および装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る吹付落下綿処理方法の発明によれば、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けるものである。
【0006】
また、請求項3に係る吹付落下綿処理装置の発明によれば、セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、この搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用するものである。
【0007】
【作用】
この様に構成されたこの発明の吹付落下綿処理方法および装置においては、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、吹付ノズルにより鉄骨に耐火吹付材として吹付ける吹付方法において、建物の建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、この回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨、特に、ウエブ側面や柱の側面の鉄骨に吹付けて再利用するので、耐火吹付材の吹付落下綿をほゞ100%に亙って有効に再利用することが出来る。したがって、吹付作業において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態にある内に吹付処理して再利用するので、何等廃棄すべき耐火吹付材の吹付落下綿を最終的に殆ど生じることが無い等の効果が得られる。また、この発明の吹付落下綿処理装置は、軽量、小型で安価に製造でき、この発明の吹付落下綿処理方法の実施に適している。
【0008】
この発明の他の目的と特長および利点は以下の添付図面に沿っての詳細な説明から明らかになろう。
【0009】
【実施例】
図面の図1乃至図3には、この発明の吹付落下綿処理方法を実施するための吹付落下綿処理装置の一実施例が示されている。図示される様に、この発明の吹付落綿処理方法を実施するための吹付落下綿処理装置10は、吹付落下綿が投入されるホッパー11と、このホッパー11の下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構12と、この粉砕整粒機構12により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構12の下に設けられたロータリーバルブ14と、このロータリーバルブ14の吐出口35の下に形成された搬送空気管路15とから主に構成されている。
【0010】
図示される様に、この発明の吹付落下綿処理装置10においては、ホッパー11は吹付落下綿処理装置10のハウジング13の上部に載置されており、上部が開口していて吹付落下綿の投入口16を形成しており、下方に向かって先細状態に傾斜している。ホッパー11の下部には粉砕整粒機構12が設けられていて、ホッパー11からの吹付落下綿を粉砕整粒する様に成っている。この粉砕整粒機構12は、両端において回転可能に軸承されて所要の速度で回転駆動される粉砕整粒ローター17から成っている。すなわち、粉砕整粒機構12の粉砕整粒ローター17は、両端が前後カバー20、20’に適宜な軸受21によって夫々回転可能に軸承された回転軸18と、この回転軸18に沿って間隔を置いて径方向に延びるよう植設された複数個の粉砕整粒棒19とから構成されており、前カバー20から外方に突出する回転軸18の端部に、例えばスプロケット22が設けられていてチェーン23を介して回転駆動される様に成っている。
【0011】
また、ロータリーバルブ14は、前フランジ25と後フランジ26を有する円筒状のバルブケース24と、前フランジ25および後フランジ26に夫々取付けられる前カバー27および後カバー28と、前カバー27および後カバー28に適宜な軸受29、30によって両端が回転可能に軸承された回転軸31と、回転軸31から径方向に延び周囲にゴムシール33が設けられた複数個の仕切バルブ羽根32とから構成されており、バルブケース24の上部および下部に設けられた取込口34および吐出口である排出口35は円筒状のバルブケース24の周面に軸方向に沿って長手方向に亙って、バルブケース24のほゞ全長に亙って夫々開口して延びている。ロータリーバルブ14の回転軸31は両端が前カバー27および後カバー28から夫々突出していて、適宜なスプロケット36、37が夫々設けられており、一方のスプロケット37に粉砕整粒機構12のチェーン23が掛けられている。また、この回転軸31の他方の端部のスプロケット36は適宜なチェーン38を介して減速機付電動機39の駆動軸40に設けられたスプロケット41にチェーン38によって連結されており、減速機付電動機39によって所要の回転速度で駆動される様に成っている。更に、バルブケース24の下部に開口するよう設けられた排出口35は、バルブケース24と隣接してバルブケース24の軸方向にほゞ全長に亙って延びる搬送空気管路15と隣合わせに成っていて搬送空気管路15と連通している。この搬送空気管路15は前カバー27および後カバー28から夫々突出していて吸入部42と吐出部43を形成しており、これら吸入部42と吐出部43にエアーホースを成すロックウール搬送ホース4、4’を接続するように成っている。すなわち、吸入部42はエアーホースであるロックウール搬送ホース4を介して吹付装置1のブロアー2に接続され、吐出部43はエアーホース、すなわちロックウール搬送ホース4’を介してセメントスラリー用の吹付ノズル5に接続される。
【0012】
この発明の吹付落下綿処理方法の実施に適した吹付装置1は、図4に示される様に高圧空気を生じるブロアー2と、ロックウールをほぐして切断する解綿機3と、ロックウール搬送ホース4と、ロックウール搬送ホース4の先端に取付けられるノズル5と、セメントスラリーを形成するミキサー6と、スラリーホース8を介してセメントスラリーをノズル5に搬送するスラリーポンプ7とから構成されている。この様な吹付装置1において、通常は、この発明の吹付落下綿処理装置10を接続しないで、直接に吹付装置1からロックウール搬送ホース4を介して吹付ノズル5に接続されていて通常の如く耐火吹付材が鉄骨に吹付けられる。この耐火吹付材の吹付作業の際に発生した吹付落下綿を再利用する際にだけ、この発明の吹付落下綿処理装置10が用いられて吹付落下綿の再利用が行われる。すなわち、耐火吹付材の吹付作業の際に発生した吹付落下綿を再利用するために、この発明の吹付落下綿処理装置10がロックウール搬送ホース4の中途に図示の如く接続される。
【0013】
従って、この様に構成されたこの発明の吹付落下綿処理装置10においては、建物の建築現場において発生した吹付落下綿が回収されて、吹付落下綿を吹付けるべく所要される時に、先ず、吹付落下綿が吹付落下綿処理装置10のホッパー11の投入口16に投入され、粉砕整粒機構12によって吹付落下綿が粉砕整される。所要の大きさに大体粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体はロータリーバルブ14の回転する仕切バルブ羽根32によって一定量づゝロータリーバルブ14の底部の吐出口26から搬送空気管路15に吐出されて、吹付装置1のロックウール搬送ホース4によって供給される圧力空気によって吹付ノズル5に供給され、この吹付ノズル5においてセメントスラリーと混合されて建物の鉄骨に吹付けられる。すなわち、吹付落下綿を再利用すべく吹付ける時には、吹付装置1は解綿機3にはロックウールが供給されず、従って、ブロアー2によって圧力空気が供給されるだけである。
【0014】
吹付落下綿は吹付作業当日に発生した吹付落下綿が当日中に再利用されるものであり、湿潤状態または湿った状態が好適であり、先ず、この発明の吹付落下綿処理装置10の回転する粉砕整粒機構12によって粉粒状に好適に粉砕整粒されるので、粉砕された吹付落下綿の粉粒体を、吹付装置1のブロアー2によって供給される圧力空気により吹付ノズル5に搬送して、この吹付ノズル5においてセメントスラリーと混合して吹付ノズル5によって柱や鉄骨に吹付けられるものであり、吹付ノズル5からの耐火被覆吹付材の吹付吐出も良好であり、吹付落下綿を有効的に再利用することが出来る。吹付落下綿処理装置10は、建物の建築現場の吹付場所に設置して使用することによってロックウール搬送ホース4、4’とスラリーホース8と共に各階毎に移動するだけで効率的に使用できる。また、処理される吹付落下綿の発生率は約5%程度であり、当日の作業工程の最終工程として吹付落下綿を再利用することによって耐火吹付材をほゞ100%完全に有効に使用することが出来る。
【0015】
この様に構成されたこの発明の吹付落下綿処理装置10は、建物の建築現場において鉄骨に吹付けられる耐火吹付材の吹付落下綿を回収してこの回収した吹付落綿をホッパー11に入れて粉砕整粒機構12によって粉砕整粒して粉粒体として、この吹付落綿の粉粒体をロータリーバルブ14から搬送空気管路15を介してエアーホースであるロックウール搬送ホース4’によって吹付ノズル5に供給して、吹付ノズル5によって一定量づゝセメントスラリーと混合して一緒に目的物とする建物の鉄骨に吹付けることによって吹付落下綿を有効に再利用することが出来る。すなわち、当日の吹付作業において発生した吹付落下綿を再利用するために、例えば午後の3時に正規の吹付作業を止めて残りの1〜2時間を吹付落下綿の再吹付に利用するものとして、先ず、この発明の吹付落下綿処理装置10の搬送空気管路15の吸入部42および吐出部43を吹付装置1のロックウール搬送ホース4、4’の途中に接続し、ロックウール搬送ホース4を圧力空気だけの供給のためにエアーホースとして使用するよう吹付装置1のブロアー2から圧力空気のみを供給する。次いで、当日の吹付作業で発生した吹付落下綿を回収してこの発明の吹付落下綿処理装置10のホッパー11に投入して粉砕整粒機構12により粉砕整粒し、ロータリーバルブ14から搬送空気管路15を介してエアーホースであるロックウール搬送ホース4’により吹付ノズル5に供給して、吹付ノズル5においてセメントスラリーと混合して梁のフランジ下面を除くウエブ側面や柱の側面等の鉄骨に吹付ける。吹付対象物を梁のフランジ下面を除くウエブ側面や柱の側面等とするのは、吹付落下綿は新たな耐火吹付材と比較して付着力が僅かに劣るからである。この様にして、吹付落下綿を再度吹付に利用することによって吹付落下綿を産業廃棄物として廃棄すること無く、完全にほゞ100%利用することが出来、吹付材料の有効な利用が出来る。
【0016】
【発明の効果】
上述した様に、この発明の吹付落下綿処理方法および吹付落下綿処理装置においては、建築現場における吹付作業で発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルにおいて供給された吹付落下綿の粉粒体を、スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付ノズルによって鉄骨に吹付けることによって吹付落下綿を再度耐火吹付材として利用できる。したがって、吹付落下綿を産業廃棄物として廃棄すること無く、有効に利用することが出来る。また、この発明の吹付落下綿処理装置は軽量、小型で安価に製作でき、水洗いが可能で、且つ保守点検作業が簡素化でき、機動性および耐久性に富む等の効果を奏することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の吹付落下綿処理方法を実施するための吹付落下綿処理装置の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】
図1のこの発明の吹付落下綿処理装置の側断面図である。
【図3】
図1の吹付落下綿処理装置の分解斜視図である。
【図4】
この発明の吹付落下綿処理装置を吹付装置と組合わせて使用する状態を示す概要図である。
【符号の説明】
1 吹付装置
2 ブロワー
3 解綿機
4 ロックウール搬送ホース
4’ ロックウール搬送ホース
5 ノズル
6 ミキサー
7 スラリーポンプ
8 スラリーホース
10 吹付落綿処理装置
11 ホッパー
12 粉砕整粒機構
13 ハウジング
14 ロータリーバルブ
15 搬送空気管路
16 投入口
17 粉砕整粒ローター
18 回転軸
19 粉砕整粒棒
20 前カバー
20’ 後カバー
21 軸受
22 スプロケット
23 チェーン
24 バルブケース
25 前フランジ
26 後フランジ
27 前カバー
28 後カバー
29 軸受
30 軸受
31 回転軸
32 仕切バルブ羽根
33 ゴムシール
34 取込口
35 吐出口
36 スプロケット
37 スプロケット
38 チェーン
39 減速機付電動機
40 駆動軸
41 スプロケット
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(訂正事項a)
特許請求の範囲の請求項1を、「スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けることを特徴とする吹付落下綿処理方法。」と訂正する。
(訂正事項b)
特許請求の範囲の請求項2を、「建築現場で発生した耐火吹付材の吹付落下綿を吹付作業当日中に湿潤または湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付作業当日の最終の作業工程において再使用するために、吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に組み込まれたロータリーバルブを介して一定量づつ、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されるエアーホースにより吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けて耐火吹付材の吹付落下綿を再利用することを特徴とする請求項1記載の吹付落下綿の処理方法。」と訂正する。
(訂正事項c)
特許請求の範囲の請求項3を、「セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、この搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続し、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用することを特徴とする吹付落下綿処理装置。」と訂正する。
(訂正事項d)
特許請求の範囲の請求項4を、「粉砕整粒機構は、回転軸とこの回転軸に沿って間隔を置いて植設された径方向に延びる複数個の粉砕整粒棒とから構成された粉砕整粒ローターから成ることを特徴とする請求項3記載の吹付落下綿処理装置。」と訂正する。
(訂正事項e)
特許請求の範囲の請求項5を、「ロータリーバルブは、軸方向に沿ってほゞ全長に亙って開口して延びている上方の取込口および下方の吐出口を有する円筒状のバルブケースと、バルブケース内の中心の回転軸とこの回転軸から径方向に延びる複数個の仕切バルブ羽根を有するローターとから成り、バルブケースの下部に開口した該吐出口が、長手方向に沿って隣合わせになっている、ほゞ全長に亙って軸方向に延びる搬送空気管路と連通していることを特徴とする請求項3記載の吹付落綿処理装置。」と訂正する。
(訂正事項f)
明細書段落番号【0005】を、「【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、この発明の吹付落下綿処理方法は、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建築現場において発生した耐火吹付材の吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して吹付落下綿処理装置により粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨に吹付けるものである。」と訂正する。
(訂正事項g)
明細書段落番号【0006】を、「また、請求項3に係る吹付落下綿処理装置の発明によれば、セメントスラリーを吹付ノズルに送るためのスラリーポンプおよびスラリーホースと、解綿機とこの解綿機によりほぐされたロックウールを前記吹付ノズルに送るためのブロアーおよびエアーホースとからなる吹付装置に接続可能な吹付落下綿処理装置であって、吹付落下綿が投入されるホッパーと、このホッパーの下部に設けられた吹付落下綿を粉砕整粒処理する粉砕整粒機構と、この粉砕整粒機構により粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を受けるよう粉砕整粒機構の下に設けられたロータリーバルブと、このロータリーバルブの吐出口の下に形成された、吸入部と吐出部とを有する搬送空気管路とから成り、該搬送空気管路の吸入部と吐出部を上記エアーホースの途中に接続することにより、建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態で回収して粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、エアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに送り、この吹付ノズルにおいてスラリホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付装置の吹付ノズルにより吹付けて再利用するものである。」と訂正する。
(訂正事項h)
明細書段落番号【0007】を、「【作用】この様に構成されたこの発明の吹付落下綿処理方法および装置においては、スラリーホースを介して送られるセメントスラリーと、解綿機によりほぐされてブロアーからのエアーによりエアーホースを介して送られるロックウールとを吹付ノズルにおいて混合し、耐火吹付材として吹付ノズルにより鉄骨に吹付ける吹付方法において、建物の建築現場において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態の内に回収し、この回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整粒された吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給される上記エアーホースを介して吹付ノズルに供給し、吹付ノズルに供給された吹付落下綿の粉粒体を、上記スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合して吹付ノズルによって鉄骨、特に、ウエブ側面や柱の側面の鉄骨に吹付けて再利用するので、耐火吹付材の吹付落下綿をほゞ100%に亙って有効に再利用することが出来る。したがって、吹付作業において発生した吹付落下綿を湿潤または湿った状態にある内に吹付処理して再利用するので、何等廃棄すべき耐火吹付材の吹付落下綿を最終的に殆ど生じることが無い等の効果が得られる。また、この発明の吹付落下綿処理装置は、軽量、小型で安価に製造でき、この発明の吹付落下綿処理方法の実施に適している。」と訂正する。
(訂正事項i)
明細書段落番号【0011】の「回転軸31と、回転軸31から径方向に延び周囲にゴムシール33が設けられた複数個の仕切バルブ羽根32とから構成されており、」を、「回転軸31とこの回転軸31から径方向に延び周囲にゴムシール33が設けられた複数個の仕切バルブ羽根32を有するローターとから構成されており、」と訂正する。
(訂正事項j)
明細書段落番号【0011】の「排出口35」を、「吐出口である排出口35」と訂正する。
(訂正事項k)
明細書段落番号【0012】の「吹付装置1は通常一般的に使用されている吹付装置を好適に利用することが出来るもので、」を、「この発明の吹付落下綿処理方法の実施に適した吹付装置1は、」と訂正する。
(訂正事項l)
明細書段落番号【0013】の「投入孔18」および「粉砕整粒ローター17」を、それぞれ、「投入口16」および「仕切バルブ羽根32」と訂正する。
(訂正事項m)
明細書段落番号【0016】の、「当日の吹付作業で発生した吹付落下綿を回収してこの発明の吹付落下綿処理装置で粉砕整粒し、ロータリーバルブから搬送空気管路を介してエアーホースであるロックウール搬送ホースにより吹付ノズルに供給して、吹付ノズルにおいてセメントスラリーと混合して鉄骨に吹付けることによって、吹付落下綿を再度吹付に利用でき、」を、「建築現場における吹付作業で発生した吹付落下綿を湿潤又は湿った状態で回収し、回収した吹付落下綿を吹付落下綿処理装置に投入して粉粒状態に粉砕整粒し、粉砕整流した吹付落下綿の粉粒体を、吹付落下綿処理装置に接続したエアーだけが供給されるエアーホースを介して吹付ノズルに供給し、この吹付ノズルにおいて供給された吹付落下綿の粉粒体を、スラリーホースを介して送られたセメントスラリーと混合し、吹付ノズルによって鉄骨に吹付けることにより吹付落下綿を再度耐火吹付材として利用できる。したがって、」と訂正する。
異議決定日 2001-08-17 
出願番号 特願平6-48945
審決分類 P 1 651・ 161- YA (E04B)
P 1 651・ 121- YA (E04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 住田 秀弘  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 鈴木 公子
蔵野 いづみ
登録日 1998-09-25 
登録番号 特許第2831261号(P2831261)
権利者 株式会社エーアンドエーマテリアル 株式会社竹中工務店
発明の名称 吹付落下綿処理方法および装置  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 福井 宏司  
代理人 曾我 道照  
代理人 福井 宏司  
代理人 古川 秀利  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 曾我 道治  
代理人 池谷 豊  
代理人 永田 武三郎  
代理人 福井 宏司  
代理人 長谷 正久  
代理人 長谷 正久  
代理人 曾我 道治  
代理人 池谷 豊  
代理人 曾我 道治  
代理人 古川 秀利  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 古川 秀利  
代理人 長谷 正久  
代理人 曾我 道照  
代理人 曾我 道照  
代理人 池谷 豊  

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