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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G09G |
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管理番号 | 1050026 |
異議申立番号 | 異議2001-72151 |
総通号数 | 25 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-04-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-08-03 |
確定日 | 2001-11-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3133414号「カラー液晶表示方式」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3133414号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3133414号の請求項1に係る発明についての出願は、平成3年9月20日に出願され、平成12年11月24日に設定登録され、その後、異議申立人 井上 信好より特許異議の申立てがなされたものである。 2.特許異議申立てについて (1)本件発明 特許第3133414号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 白黒表示透過型液晶パネルと、カラー画像表示データを色別に選択しそれぞれを時分割で液晶パネルに送る回路部と、該カラー画像表示データの色に対応した色光源と、前記カラー画像表示データの液晶パネルヘの送りに同期して前記色光源を点灯制御する回路部とから構成される液晶表示装置において、複数色のカラー画像表示データを時間順に1フレームづつ選択して液晶パネルに送り液晶パネル全面を書き換えるとき、各々選択した各カラー画像表示データの間に1フレームの黒データを送って一度液晶パネル全面を黒データで書き換え、かつ選択したカラー画像表示データと黒データの表示に合わせて、対応する色の色光源を点灯することを特徴とするカラー液晶表示方式。」 (2)特許異議申立の理由の概要 特許異議申立人 井上 信好 は、次の甲第1号証を提出し、請求項1に係る発明の特許は、甲第1号証より特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。 甲第1号証:特開昭63-85524号公報 (3)特許異議申立についての判断 A.異議申立人提出刊行物に記載された発明 特許異議申立人 井上 信好 提出甲第1号証には次のとおりの発明が記載されている。 a.甲第1号証:特開昭63-85524号公報 「本発明は、強誘電性液晶素子の背面に設置された互いに異なる色の光を発する光源から、前記強誘電性液晶素子に継時的に異なる色の光を照射することにより加法混色を生じしめる強誘電性液晶カラー電気光学装置において、前記継時的に異なる色の光を発する光源の各色の発光する期間と、前記強誘電性液晶素子を駆動する期間とをずらしたことにより、色相のはっきりしたカラー表示を得ることができるというものである。」(第1頁右下欄第5〜13行)、 「以上が第1の安定状態に書き込みたい画素に印加されるべき波形であるが、第2の安定状態に書き込みたい画素については、P1,P2パルスの波高値を閾値以下に、一方、P3,P4パルスの波高値を閾値以上にすれば良い。すなわち第1の安定状態にすべき画素は第1フレームで、第2の安定状態にすべき画素は第2のフレームで書き込むという駆動方式のため2フレーム分走査することによって1画面が形成される。」(第2頁左下欄第18〜同頁右下欄第6行)、 「背面に配置せられた平面発光素子の異なった色の1つが第5図に示されたように前記2フレームの間だけ発光するとし、かつ第1の安定状態を光遮断状態(以下黒と呼ぶ。)第2の安定状態を光透過状態(以下白と呼ぶ。)とする。」(第2頁右上欄第12〜16行)、 「第1図に強誘電性液晶素子の駆動タイミングと平面発光素子の発光タイミングを示す。第1図において、赤に発光させたい画素を時間Aの2フレームの第1フレームで白に書き込む。一方平面発光素子の赤色光源は時間Aのうちの第2フレームから発光を開始する。次に青に発光させたい画素を時間Bの2フレームの第2フレームで白に書き込む。しかし時間Bのうちの第1フレームまでは赤色光源の発光を継続する。その後第2フレームから青色光源の発光を開始し、緑に発光させたい画素に白を書き込む時間Cの第1フレームまで青色光源の発光を維持する。また時間Cの第2フレームから緑色光源の発光を開始し、赤に発光させたい画素に白を書き込む時間Aの第1フレームまで緑色光源の発光を継続する。以下、上記最初の手順に戻りこれをくり返す。」(第3頁左上欄第16行〜同頁右上欄第11行)、 と記載されると共に、第1図に駆動タイミングと発光タイミングを継時的に表した図が、第4図に液晶セルの駆動波形図が示されている。 B.対比・判断 本件発明1と上記甲第1号証に記載された発明とを対比する。 上記甲第1号証には、「強誘電性液晶素子の背面に設置された互いに異なる色の光を発する光源から、前記強誘電性液晶素子に継時的に異なる色の光を照射することにより加法混色を生じしめる強誘電性液晶カラー電気光学装置」と記載されているから、上記甲第1号証の「強誘電性液晶素子」はRGB色毎の画素を有さない液晶表示素子であり本件発明1の「白黒表示透過型液晶パネル」に相当し、上記甲第1号証の「互いに異なる色の光を発する光源」は本件発明1の「該カラー画像表示データの色に対応した色光源」に相当する。 また、上記甲第1号証には、「赤に発光させたい画素を時間Aの2フレームの第1フレームで白に書き込む。一方平面発光素子の赤色光源は時間Aのうちの第2フレームから発光を開始する。次に青に発光させたい画素を時間Bの2フレームの第2フレームで白に書き込む。しかし時間Bのうちの第1フレームまでは赤色光源の発光を継続する。その後第2フレームから青色光源の発光を開始し、緑に発光させたい画素に白を書き込む時間Cの第1フレームまで青色光源の発光を維持する。また時間Cの第2フレームから緑色光源の発光を開始し、赤に発光させたい画素に白を書き込む時間Aの第1フレームまで緑色光源の発光を継続する。以下、上記最初の手順に戻りこれをくり返す。」と記載されているから、上記甲第1号証は、本件発明1の「カラー画像表示データを色別に選択しそれぞれを時分割で液晶パネルに送る回路部」、「前記カラー画像表示データの液晶パネルヘの送りに同期して前記色光源を点灯制御する回路部」に相当する構成を有することは明らかである。 更に、上記甲第1号証には、「第1の安定状態にすべき画素は第1フレームで、第2の安定状態にすべき画素は第2のフレームで書き込むという駆動方式のため2フレーム分走査することによって1画面が形成される。」、「背面に配置せられた平面発光素子の異なった色の1つが第5図に示されたように前記2フレームの間だけ発光するとし、かつ第1の安定状態を光遮断状態(以下黒と呼ぶ。)第2の安定状態を光透過状態(以下白と呼ぶ。)とする。」と記載されているから、上記甲第1号証は、本件発明1の「複数色のカラー画像表示データを時間順に1フレームづつ選択して液晶パネルに送り液晶パネル全面を書き換えるとき、各々選択した各カラー画像表示データの間に」「黒データを送って」「液晶パネル」「を黒データで書換え」ることに相当する機能を有するものであり、上記甲第1号証には、「前記継時的に異なる色の光を発する光源の各色の発光する期間と、前記強誘電性液晶素子を駆動する期間とをずらした」、「第1の安定状態にすべき画素は第1フレームで、第2の安定状態にすべき画素は第2のフレームで書き込むという駆動方式のため2フレーム分走査することによって1画面が形成される。」、「第1の安定状態を光遮断状態(以下黒と呼ぶ。)第2の安定状態を光透過状態(以下白と呼ぶ。)とする。」と記載されているから、上記甲第1号証は、本件発明1の「選択したカラー画像表示データと黒データの表示に合わせて、対応する色の色光源を点灯する」ことに相当する機能を有するものである。 したがって両者は、 「白黒表示透過型液晶パネルと、カラー画像表示データを色別に選択しそれぞれを時分割で液晶パネルに送る回路部と、該カラー画像表示データの色に対応した色光源と、前記カラー画像表示データの液晶パネルヘの送りに同期して前記色光源を点灯制御する回路部とから構成される液晶表示装置において、複数色のカラー画像表示データを時間順に1フレームづつ選択して液晶パネルに送り液晶パネル全面を書き換えるとき、各々選択した各カラー画像表示データの間に黒データを送って液晶パネルを黒データで書き換え、かつ選択したカラー画像表示データと黒データの表示に合わせて、対応する色の色光源を点灯することを特徴とするカラー液晶表示方式。」で一致する。 しかしながら、本件発明1のものは、「各々選択した各カラー画像表示データの間に1フレームの黒データを送って一度液晶パネル全面を黒データで書き換え」るものであるのに対して、上記甲第1号証では、「第1の安定状態にすべき画素は第1フレームで、第2の安定状態にすべき画素は第2のフレームで書き込むという駆動方式」と記載されており、黒データで書き換えられるのは、黒とすべき画素のみである。 そして、本件発明1は、「一度液晶パネル全面を黒データで書き換え」る構成により、「前の色の画素表示データによって表示している部分が現在点灯している光源の色と一致せず、期待する色の画像が表示できない」という課題を解決するものであり、上記甲第1号証には、上記課題を「一度液晶パネル全面を黒データで書き換え」ることにより解決することは、記載も示唆もされていない。 よって、本件発明1は、異議申立人提出の刊行物に記載された発明から容易に発明し得るものと認められないから、特許法第29条第2項の規定に違反したものとすることができない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由および、証拠によっては、本件請求項1の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2001-10-25 |
出願番号 | 特願平3-240876 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(G09G)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 徹三 |
特許庁審判長 |
高瀬 浩一 |
特許庁審判官 |
高橋 泰史 山田 正文 |
登録日 | 2000-11-24 |
登録番号 | 特許第3133414号(P3133414) |
権利者 | 日本電信電話株式会社 |
発明の名称 | カラー液晶表示方式 |
代理人 | 橋本 剛 |
代理人 | 志賀 富士弥 |