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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  E04F
管理番号 1050131
異議申立番号 異議2001-71961  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-19 
確定日 2001-12-03 
異議申立件数
事件の表示 特許第3126207号「ユニット住宅の配管接続構造」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3126207号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕本件発明
本件特許第3126207号の請求項1に係る発明(平成4年3月25日出願、平成12年11月2日設定登録)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】住宅ユニットが上下に積み重ねられてなるユニット住宅の配管接続構造であって、各住宅ユニットに設置された配管を配管接続ユニットにより接続するに当たり、前記配管接続ユニット内に配設された接続管はその中間部分で屈曲可能になされ、接続管を側方に屈曲せしめた時は、上下方向に配管接続ユニットから突出することなく、接続管を延ばした時に上下方向に配管接続ユニットから接続管の端部が突出するものであることを特徴とするユニット住宅の配管接続構造。」

〔2〕特許異議の申立ての理由
特許異議申立人岡田芳子は、甲第1号証及び甲第2号証を提出して、本件請求項1に係る発明は、本件特許の出願前の実用新案登録出願であって本件特許の出願後に公開された実願平3-255号(実開平4-97960号)の願書に最初に添付した明細書又は図面(甲第1号証参照、以下、「先願明細書」という。)に記載された考案と同一であるから、特許法29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、本件請求項1に係る発明についての特許は取り消されるべきである旨主張している。

甲第1号証:実開平3-225号(実開平4-97960号)のマイクロ フィルム
甲第2号証:本件特許公報

〔3〕特許異議の申立てについての判断
1.先願明細書に記載された考案
先願明細書には、
a「【請求項1】ユニット工法によって構築されるユニット化住宅のユニット躯体において、このユニット躯体内には、各種の配管が組み込み固定され、かつこれらの配管は、ユニット躯体内に収納可能な可撓性の接続端を設けてあることを特徴とするユニット住宅用躯体パネルの配管構造。」(実用新案登録請求の範囲)、
b「この考案は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、建築現場において連結組み立てられるユニット躯体において、必要とされる各種の配管を、ユニット躯体を製造する工場サイドにおいて予め取付固定しておくことで、現場施工の簡略化を図れるようにしたユニット住宅用躯体パネルの配管構造を提供することを目的とする。」(段落【0005】)、
c「【作用】 この考案に係るユニット住宅用躯体パネルの配管構造にあっては、組み入れ固定された各種の配管端部の接続端夫々は、自身の可撓性によって、ユニット躯体内に収納でき、施工現場への搬入に際し損傷されず、また、上下、左右隣接相互間でのユニット躯体自体の連結に際しても邪魔しない。 また、ユニット躯体が、構築物のパイプスペース位置に相当する場所において、構築物の一部として組み立てられるとき、上下層階のユニット躯体夫々の配管に対する上下方向での接続は、各種の配管端部の接続端夫々が、任意方向に可撓されることでそれらとの位置合せを容易にし、施工現場においても確実に行なわせる。」(段落【0008】、【0009】)、
d「 また、各種の配管11,12,13,14夫々は、その上下端が可撓性ある接続端部11A,12A,13A,14Aとなっており、ユニット躯体1内に組み入れられた状態で、施工現場に搬入され、組み立てられるまでは、ユニット躯体1内に曲げられていて、ユニット躯体1端部から突出せずにユニット躯体1内に収納されるようになっている。」(段落【0014】)
との記載がある。
以上の記載並びに図1及び図2によれば、先願明細書には、次の発明が記載されているものと認められる。
「ユニット躯体が上下に積み重ねられてなるユニット住宅の配管接続構造であって、各ユニット躯体に設置された配管をその接続端部同士で接続するに当たり、配管の接続端部はその中間部分で屈曲可能になされ、接続端部を側方に屈曲せしめた時は、上下方向にユニット躯体から突出することなく、接続端部を延ばした時に上下方向にユニット躯体から接続端部が突出するものであるユニット住宅の配管接続構造」

2.対比・判断
そこで、本件請求項1に係る発明と先願明細書記載の発明とを対比すると、先願明細書記載の発明の「ユニット躯体」は、本件請求項1に係る発明の「住宅ユニット」に相当し、また、先願明細書記載の発明の「配管の接続端部」は、その機能からからみて本件請求項1に係る発明の「接続管」に相当するから、両者は、
「住宅ユニットが上下に積み重ねられてなるユニット住宅の配管接続構造であって、各住宅ユニットに設置された配管を接続するに当たり、接続管はその中間部分で屈曲可能になされているユニット住宅の配管接続構造」
である点で共通するものの、以下の点で相違する。
相違点
本件請求項1に係る発明では、各住宅ユニットに設置された配管を配管接続ユニットにより接続し、接続管は配管接続ユニット内に配設され、接続管を側方に屈曲せしめた時は、上下方向に配管接続ユニットから突出することなく、接続管を延ばした時に上下方向に配管接続ユニットから接続管の端部が突出するのに対し、先願明細書記載の発明では、各住宅ユニットに設置された配管を、その接続端部で構成される接続管同士で接続し、接続管を側方に屈曲せしめた時は、上下方向にユニット躯体から突出することなく、接続管を延ばした時に上下方向にユニット躯体から接続管が突出する。
以上のように、先願明細書記載の発明は、本件請求項1に係る発明の上記相違点における構成のうち、特に、「各住宅ユニットに設置された配管を配管接続ユニットにより接続し、接続管は配管接続ユニット内に配設され」との構成を備えておらず、しかも該構成が当該技術分野において周知、慣用の技術とも認められない。
したがって、本件請求項1に係る発明は先願明細書記載の発明と同一であるとすることはできない。

〔4〕むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-11-02 
出願番号 特願平4-66939
審決分類 P 1 651・ 161- Y (E04F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
蔵野 いづみ
登録日 2000-11-02 
登録番号 特許第3126207号(P3126207)
権利者 積水化学工業株式会社
発明の名称 ユニット住宅の配管接続構造  

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