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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正する B65H
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B65H
管理番号 1050696
審判番号 訂正2001-39035  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1989-01-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-03-02 
確定日 2001-08-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第1722299号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第1722299号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第1722299号(昭和58年11月15日に出願された特願昭58-215656号の一部を新たな特許出願として昭和63年5月14日に出願されたものであって、平成4年2月3日に特公平4-5619号として出願公告され、平成4年12月24日に設定登録された。)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち次のように訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1:
特許請求の範囲の記載中、「一本の無端回動ベルト1」を「一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト1」と訂正する。
(2)訂正事項2:
特許請求の範囲の記載中、「複数の挟持輪体2」を「搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体2」と訂正する。
(3)訂正事項3:
明細書の発明の詳細な説明の欄の記載「一本の無端回動ベルト」(特許公報4欄11行目)を「一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト」と訂正する。
(4)訂正事項4:
明細書の発明の詳細な説明の欄の記載「複数の挟持輪体」(特許公報4欄12行目)を「搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体」と訂正する。
(5)訂正事項5:
明細書の発明の詳細な説明の欄の記載「一本の無端回動ベルトと複数の」(特許公報5欄4行目)を「一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルトと搬送方向に沿って配設された複数の」と訂正する。

2.訂正の目的の適否等
上記訂正事項1は「無端回動ベルト」の構成を「一本の細幅の搬送用丸ベルト」で構成されたものに限定するものであり、また、訂正事項2は「挟持輪体」の構成を「搬送方向に沿って配設された」ものに限定するものであって、いずれも、特許請求の範囲の減縮に該当する。
さらに、訂正事項3ないし5は、訂正事項1および2の、特許請求の範囲の訂正に伴い、その整合を採って発明の詳細な説明の欄を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

3.独立特許要件の判断
そこで、訂正後の特許請求の範囲に記載された発明(以下、「訂正発明」という。)が、独立して特許を受けることができるものかどうかについて検討する。

(1)訂正発明
本件訂正発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「[構成A]:複数の遊技台Aを横方向に並設して遊技台列が構成され、前記複数の遊技台Aの隣接間のうちの複数の特定箇所に、紙幣aを前記遊技台列前面側から受け入れてその紙面が上下方向に沿う姿勢で前記遊技台列背面側に送り出し可能な紙幣投入機Bが設けられているとともに、
[構成B]:前記遊技台列の背面側に、前記紙幣投入機Bの各々から送り出される紙幣aを受け取ってその紙面が上下方向に沿う姿勢で挟持し、前記遊技台列に沿って特定位置まで合流搬送する挟持搬送装置Dが設けられている遊技設備であって、
[構成C]:前記挟持搬送装置Dの挟持搬送路が、上下方向で一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト1と、前記無端回動ベルト1との協同で紙幣aを挟持する搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体2とを組み合わせて構成され、前記無端回動ベルト1の駆動回動で紙幣aが挟持搬送されるとともに、
[構成D]:前記挟持搬送路に沿って、搬送紙幣aの非挟持部分の倒れを規制する倒れ規制部と、
[構成E]:搬送紙幣aの擦り落ちを規制する擦り落ち規制部とが設けられている遊技設備。」
なお、訂正明細書記載の分説とは異なるが、符号[構成A]〜[構成E]は、便宜上付したものである。

(2)引用刊行物の記載
当審で通知した訂正拒絶理由に引用した次の刊行物には、概略以下の技術が記載されている。
刊行物1:実公昭56-30943号公報
刊行物2:特開昭56-95079号公報
刊行物3:特開昭53-3399号公報
刊行物4:実公昭58-6823号公報
刊行物5:特開昭55-30726号公報
刊行物6:実公昭57-39391号公報
刊行物7:特開昭53-13998号公報
刊行物8:実公昭51-49998号公報
刊行物9:実願昭55-97139号(実開昭57-23744号)のマイクロフィルム

・刊行物1[実公昭56-30943号公報]
刊行物1は、パチンコホールにおける自動玉売機からの硬貨回収装置に関するものであって、下記の事項が図面とともに記載されている。
「自動玉売機は所定の硬貨投入口と、投入された硬貨が所定の硬貨であるかどうかを判別する判別装置と、判別装置が所定の硬貨であると判別すると、その判別信号或はその後の硬貨の動きによってプール部から所定数の打球を機体表面の受皿に放出する交付装置と、打球を放出させるのに関与した硬貨を貯溜して置く貯溜部とからなる自動販売機である。従ってホールでは、閉店するとパチンコ機列の所々に配置されている自動玉売機の硬貨貯溜部を開き、なかに溜っている硬貨を回収しなければならないが、自動玉売機の配置数が増す程、その回収作業に手間どる。
本考案は回収作業を容易化するために、パチンコ機列に沿って裏側に集合路を設け、そのパチンコ機列内に配置されている自動玉売機に投入され、打球を交付した硬貨は玉売機から集合路に導出し、集合路によって回収する様にしたのである。」(1頁2欄5〜21行)
「図面に付き説明すると、1はパチンコ機の列で、その列内には数台、例えば4台置きに自動玉売機2が配置されている。上記自動玉売機2は、夫々硬貨の投入口3と、放出される所定数の打球を受入れる交付皿4を機体の表面に有すると共に、裏側には投入口3に投入され、交付皿4に所定数の打球を放出させた硬貨を転動させて導出する導出樋5を有し、各導出樋5の下流側先端はパチンコ機列1に沿い、パチンコ機の裏側に傾斜させて設けた集合路6に略々直角状に接続されている。
上記集合路6も硬貨を倒さないで下流側に転動させるものであって、」
(1頁2欄22〜33行)
「そして、パチンコ機列の端部を囲う枠7内には硬貨の回収タンク8を設けて集合路6の下流端を接続し、集合路内を転動する硬貨を回収タンク8に集め、ホール閉店後など、必要に応じ解錠して枠7に設けてある扉9を開き、回収タンク8に集められている硬貨を回収する。」(2頁3欄6〜11行)
「かくして本考案によればパチンコ機列内に所々配置されているどの自動玉売機にでも投入された硬貨は、所定数の打球を客に交付した後、夫々導出樋5で導出されて詰ることなく円滑に集合路6に落下し、集合路上を転動して回収タンクに集められ、容易に回収できるのである。」(2頁4欄9〜14行)
すなわち、刊行物1には、複数のパチンコ機が横方向に並設して列が構成され、複数のパチンコ機の隣接間のうちの複数の特定箇所に、自動玉売機が配置され、自動玉売機に設けられた硬貨投入口より投入された硬貨は、投入された姿勢でパチンコ機列の背面側に送り出され、かつそのままの姿勢で集合路によって合流搬送される遊技設備が開示されているものと認める。

・刊行物2[特開昭56-95079号公報]
刊行物2は、パチンコ機の管理制御装置に関するものであって、下記の事項が図面とともに記載されている。
「第1図及び第2図において、1は1台のパチンコ機を示し、複数台が一列に連設されていわゆるパチンコ機列を形成し、このパチンコ機列が多数遊技場内に配設されている。」(2頁上右欄3〜6行)、
「賞ボールはパチンコ機1の例えば左側に隣接された賞ボール貸機22によって遊技者に貸与される。」(2頁下右欄10〜12行)、
「賞ボール貸機22は硬貨選別機47を有し、硬貨投入口48に投入された硬貨が正規の硬貨のとき取込樋49を通じて硬貨搬送装置50に取込む。これに対して正規な硬貨ではないときは硬貨返却口51に返却する。取込樋49には通過検出器構成の硬貨検出器52が設けられ、その検出出力によって制御装置20を介して賞ボール排出装置37のパルスモータ38に投入硬貨の金額に相当する個数(例えば1個)のパルスを与えることにより、供給皿14に1個の賞ボールを供給する。硬貨搬送装置50はパチンコ機列の背面にその配列に沿って延長し、モータ55によって駆動されるベルトコンベア56を有し、各パチンコ機1ごとに設けられた賞ボール貸機22に投入された正規の硬貨をキャッシュボックス57に集めるようになされている。」(3頁下左欄3〜19行)、
「賞ボール貸機22として硬貨を使用する場合について述べたが、これに代え又はこれと共に紙幣を使用し得るようにしても良い。」(5頁上右欄17〜20行)
そして、第1図よりパチンコ機列が背中合わせに配設されていることが窺われ、しかも、刊行物1に開示されるように、そのような構成はこの種の遊技設備においてごく普通に採用されているものであること、また、上記記載事項および図面の記載を参酌すれば、刊行物2には、複数のパチンコ機を横方向に並設して構成されるパチンコ機列の2列が背中合わせに配設され、このパチンコ機列の各々に、その前面側の硬貨投入口から硬貨を上下方向に沿う姿勢で受け入れて識別する複数の賞ボール貸機が、パチンコ機列に沿う方向に設けられており、この賞ボール貸機が識別した貨幣をパチンコ機列背面側に送り出し、送り出された貨幣を当該パチンコ機列に沿って特定位置であるキャッシュボックスまで同一方向に合流搬送するための、水平な載置面を有するベルトコンベアによる搬送装置が開示されているものと認める。
そして、刊行物2の実施例に示された硬貨投入口から硬貨搬送装置に至る取込樋の形状、硬貨選別機から硬貨返却口に至る樋の形状から見て、当該樋は硬貨の転動と落下を利用して搬送するものであって、そのままの形状では紙幣に適用することが困難なものと認められるが、刊行物2には、前記摘記のとおり、硬貨に代えて紙幣を使用できることが明示されており、硬貨も紙幣もともに扁平な形態であって、受け入れた際に識別を必要とする通貨である点で共通するものであるから、紙幣を使用する場合に縦長の硬貨投入口の大きさを紙幣に適合させ、紙面が上下方向に沿う姿勢によりこれを受け入れて、これを送り出すように変更することは、当業者にとって設計的事項にすぎないと認められる。しかも、訂正発明と同様の遊戯設備に関する刊行物3(記載内容の詳細については後述)が、「パチンコ島1において、パチンコ台の相互間に自動玉貸機が配置され、自動玉貸機は、紙幣をその紙面が上下方向に沿う姿勢で前面側から受け入れて検定」するものであり、このような公知技術をも勘案すれば、紙幣がその紙面を上下方向に沿う姿勢で受け入れられて識別されることは、当業者にとって自明なことといえる。また、刊行物2の搬送装置が、パチンコ機列前面側から受け入れられた貨幣を、パチンコ機の背面側において特定位置まで自動搬送することを目的とするものであるから、硬貨の場合と同様に、紙幣をパチンコ機背面側に送り出して搬送することも当業者に自明なものと理解され、その場合に、ベルトコンベアを含む搬送装置までの取込樋等の形状を適宜変更することも、当業者にとって容易な設計的事項であると認められる。
したがって、刊行物2には、硬貨に代えて紙幣を使用する場合に「複数の賞ボール貸機が、紙幣投入口から紙幣をその紙面が上下方向に沿う姿勢で受け入れて、これをパチンコ機列背面側に送り出す」ことも開示されているものと認められる。

・刊行物3[特開昭53-3399号公報]
刊行物3は、自動交換装置に関するものであって、下記の事項が図面とともに記載されている。
「第1図〜第4図に示すようにパチンコ島1においてパチンコ台21,22……の相互間に自動玉貸機31,32……が配置される。各自動玉貸機31,32……はそれぞれ紙幣用自動玉貸機における鑑別機を除いた部分と硬貨用自動玉貸機とを組合せたものであり、」(2頁上左欄10〜15行)
「又各自動玉貸機31,32……には紙幣投入口111……から投入された紙幣を取込む取込み用ローラ251、261、……、この取込み用ローラ251、261……、で取込んだ紙幣を検定する検定部271……、取込み用ローラ251、261……で取込んだ紙幣をその正偽に応じて金庫241……又は紙幣投入口111……に送出する札戻し機構部281……、」(第2頁上右欄7〜14行)
「第2図は同実施例の平面図、第3図は同実施例における1台の自動玉貸機を示す正面図、第4図は上記実施例の一部を示すブロック図、」(3頁上右欄下から2行〜下左欄1行)
また、第2図には、横方向に並設されたパチンコ台列とその間に設けられた自動玉貸機が、第3図には、自動玉貸機、紙幣をその紙面が上下方向に沿う姿勢で受け入れる紙幣投入口及び自動玉貸機の下部に配置された金庫が、第4図には、紙幣をその紙面が上下方向に沿う姿勢で受け入れる紙幣投入口がそれぞれ図示されていることが認められる。

・刊行物4[実公昭58-6823号公報]
刊行物4は、紙幣の搬送装置に関するものであって、下記の事項が図面とともに記載されている。
「本考案は紙幣の搬送装置に関する。
すなわち、送出しローラーから1枚ずつくり出される紙幣を次の搬送体に受渡す構造の搬送装置を改良したものであって、例えば紙幣払出機等の紙幣の搬送部等に用いて効果がある搬送装置を提供しようとするものである。」(1頁2欄2〜7行)
「第1図は紙幣払出機の側面図を示し、上下には4個の紙幣送出部1a,1b,1c,1dが積み重なるようにして設けられている。・・・中略・・・ケース2の一端側には紙幣3を1枚ずつ吸着して取出す吸着頭6をのぞませ、その側方から紙幣送出部の終端まで1対の送出しローラーA1,A2を複数組並設してある。」(1頁2欄9〜17行)
「各紙幣送出部に対面して上下方向にベルト形式の搬送体B1を張設するとともに、搬送体B1の上部を前記払出台8側に張出して搬送体B1全体をローラー9により支承し、搬送体B1の一方における面にはローラー10によって支承されるベルト形式の搬送体B2をそれぞれ間隔をおいて対設し、各搬送体B2の下方におけるローラー10の下方から各紙幣送出部における端部の送出しローラーA2側に向けベルト形式の搬送体B3を延出して構成する。
前記搬送体B2の下部と搬送体B3の終端部との間から紙幣3を挟扼し始めるように構成するが、その挟扼始端と前起送出しローラーA1,A2との間の間隔C内下方に前記搬送体B3を傾斜状に延出し、その間隔C内には送出しローラーA1,A2に接近する端部側が広くて前記挟扼始端側が狭くなるガイドG,GをV字状に延設し、狭くなったガイドG,Gの部分からそのまま延出するガイド部G’,G’を、対面する搬送体B1とB2にそわせて上方に延出して構成する。」(1頁2欄21行〜2頁3欄3行)
「矢印で示すように回転する送出しローラーA1,A2により挟持されて送出される紙幣3はガイドG,Gの間に送入されて搬送体B3により搬送体B2と搬送体B3との接触部間に確実に送り込まれ、次いで矢印で示すように回転するローラーにより回転させられる搬送体B1,B2の間に挟されて上方に搬送され払出台8上に送出される。」(2頁3欄10〜16行)
また、第1図には、紙幣を払出台まで合流搬送する装置が図示されていることが認められる。
そして、上記記載によれば、紙幣は、ベルト形式の搬送体B1,B2の間に弾性的に挟まれて搬送されるものと解される。
したがって、刊行物4は、紙幣の搬送装置に関するものであって、紙幣を搬送装置に合流させ、搬送装置により弾性的に挟持し、特定位置まで合流搬送する手段を開示しているものと認められる。

・刊行物5[特開昭55-30726号公報]
刊行物5は、現金一括処理システムに関するものであり、「現金は共通の出金ベルト31と個別ベルト32,33,34にはさまれ送られ」(2頁上右欄14〜15行)の記載および第1図からみて、紙幣を共通の出金ベルト31と個別ベルト32,33,34により上下方向に沿う姿勢で挟みつつ送る点の構成が開示されているものと認める。

・刊行物6[実公昭57-39391号公報]
刊行物6は、紙葉、カードおよび類似物、特に紙幣を個別化して送り出す装置に関するものであって、下記の事項が図面とともに記載されている。
「本考案は、紙葉、カードおよび類似物、特に紙幣を個別化して送り出す装置であって、これらの紙葉が少なくとも1つの引出しローラによりその貯蔵集積部から引取られ、それらの送りと引渡しを行う送りローラを介して紙葉給付部に供給され、かつこの場合送り道程において2重の紙葉或るいは多重の紙葉の塊状態での送りを阻止する個別化ローラを有する個別化装置が設けられている、上記装置に関する。」(1頁2欄20〜28行)
「第6図による実施形の場合、それぞれ例えば貯蔵集積部1、移送ローラ4、引出しローラおよび引渡しローラ18,28、個別化ローラ8、制動ローラ13等から成る上記の様式の多数の装置が、個々の装置の紙葉給付部33が開口している捕集路34に沿って設けられている。この捕集路34内で紙葉3は押圧要素および案内要素42,43によって案内される。符号44で捕集路34内における紙葉3の移送のための駆動モータ45で駆動される移送ベルトを示した。紙葉3は回転点47を中心にして旋回可能な中間載置板46上に載置され、そこから集積体として給付仕切間48内に或るいはレジエクト仕切間49内に載置される。」(5頁10欄25〜38行)
そして、6図には、各貯蔵集積部から送り出された紙葉3をそのままの姿勢で引渡しローラ18,28および紙葉給付部33を介して捕集路34に渡し、搬送する装置が示されており、捕集路34に沿って配置された移送ベルト(符号なし)は、搬送路34に沿って駆動回動される無端回動体として図示されている。そして、巻掛用の輪体の間に複数配置された押圧要素42と案内要素43は、搬送方向に沿って複数配設され、移送ベルト上の紙葉3を案内している。
したがって、刊行物6には、紙幣を含む紙葉を搬送する装置であって、貯蔵集積部から送り出された姿勢のままで搬送するものであり、搬送路に沿う無端回動体と、搬送方向に沿って複数個配置され、無端回動体と協同して紙葉を案内する押圧要素及び案内要素とからなる搬送装置が開示されているものと認められる。

・刊行物7[特開昭53-13998号公報]
刊行物7は、カード類の搬送装置に関するものであって、下記の事項が、図面とともに記載されている。
「搬送路の一部を形成する筒状ケーシング1内にはそのほゞ中央に一対のエンドレスベルト4a,4bが配置される。該エンドレスベルトの各々は図示の如く上下に分離された2本の細いベルトから構成される。各エンドレスベルト4a,4bは夫々駆動軸2a(又は2a’)及び2b(又は2b’)によって同期回転駆動せしめられる。」(2頁上右欄10〜16行)
「またそれらのベルトはカード20を直立状態で安定挟持し得るようになるべくカードの上下縁部近傍に位置するように隔てゝ置かれるのが好ましい。」(2頁上右欄19行〜下左欄2行)
「カード20はケーシング1内にはいるときにこの案内部材11aによってケーシング1の底面から浮上せしめられその状態で両エンドレスベルト4a,4b間に送り込まれ挟持移送される。」(2頁下左欄11〜15行)
そして、第1図には、ケーシング内に配置され、被搬送物を直立状態で、回動駆動するエンドレスベルトにより挟持搬送する搬送装置が図示されており、被搬送物の下縁が底面近傍に位置した場合であっても、エンドレスベルトにより挟持搬送し得るものが示されている。
上記記載および第1図からみると、被搬送物がエンドレスベルトから「擦り落ち」て、その下縁がケーシングの底面の位置まで下がった場合でも、挟持状態を保つことができるのであるから、該底面は被搬送物の「擦り落ち」を規制することになるものと解される。
したがって、刊行物7には、エンドレスベルトの回動により上下方向に沿う姿勢で挟持搬送される装置において「擦り落ち」を規制し得る部材を有するものが開示されているものと認められる。

・刊行物8[実公昭51-49998号公報]
刊行物8は、紙葉類の搬送装置に関するものであって、下記の事項が、図面とともに記載されている。
「1,1は搬送ローラ2…に掛渡されて同方向に挟圧走行する一対の搬送ベルトで、これら搬送ベルト1と1との間に紙葉3を介在させた状態で搬送するようになっている。」(1頁2欄9〜12行)
「搬送ベルト1,1の両側には支持体6,6が突設されていて、この支持体6,6には、上記搬送ベルト1,1の両側端に対向する案内体7…が取付けられている。すなわち、これら案内体7…は板状をなしていて、その先端部は搬送ベルト1,1の走行方向に彎曲延長されている。そして、搬送される紙葉3の両側面を上記案内体7…によっておさえつけ、紙葉3の彎曲、振れ動きをおさえ修正するようになっている。」(1頁2欄21〜29行)
上記記載および図面からみて、刊行物8には、搬送ベルトの駆動回動で紙葉が上下方向に沿う姿勢でかつ上下方向の一箇所で挟持搬送されるともに、挟持搬送路に沿って設けた案内体により挟持紙葉の、非挟持部分の倒れを規制する搬送装置が開示されているものと認められる。

・刊行物9[実願昭55-97139号(実開昭57-23744号)のマイクロフィルム]
刊行物9は、紙葉類の搬送装置に関するものであって、下記の事項が、図面とともに記載されている。
「本考案はベルトによって紙葉類を挟持しつつ搬送する紙葉類の搬送装置に関する。」(1頁16〜17行)
「上記ベルトとして平ベルトを使用すると、紙幣にしわや折れぐせ等がある場合に紙幣が平ベルトのエッジ部に引掛って損なわれる場合があるので、近年では丸ベルトを使用したものが知られている。」(2頁12〜16行)
すなわち、刊行物9は、紙幣類の搬送装置において、平ベルトに代えて丸ベルトを使用することは必要に応じて適宜採用されていることを開示している。

(3)対比・判断
刊行物2に記載された発明は上記(2)で認定したとおりであり、訂正発明と刊行物2に記載された発明とを対比すると、後者の「パチンコ機」、「賞ボール貸機」及び「ベルトコンベア」を有する「搬送装置」は、前者の「遊技台」、「紙幣投入機」及び「搬送装置」にそれぞれ相当するから、訂正発明の用語に倣うと、両者は、構成Aに相当する構成「複数の遊技台を横方向に並設して遊技台列が構成され、前記複数の遊技台の隣接間のうちの複数の特定箇所に、紙幣を前記遊技台列前面側から受け入れてその紙面が上下方向に沿う姿勢で前記遊技台列背面側に送り出し可能な紙幣投入機が設けられている遊技設備」を具備する点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
訂正発明が、構成B、すなわち、「遊技台列の背面側に、紙幣投入機の各々から送り出される紙幣を受け取ってその紙面が上下方向に沿う姿勢で挟持し、当該遊技台列に沿って特定位置まで合流搬送する搬送装置が設けられている」構成を具備するのに対し、刊行物2に記載された発明には、紙幣投入機から送り出される紙幣を遊技台列に沿って合流搬送する搬送装置は設けられているものの、当該搬送装置が挟持搬送装置ではなく、紙幣投入機から送り出され、案内され、特定位置まで合流搬送される紙幣の紙面が、上下方向に沿う姿勢であることの開示がないこと。

[相違点2]
訂正発明においては、構成C、D及びE、すなわち、「挟持搬送装置の挟持搬送路が、上下方向で一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルトと、無端回動ベルトとの協同で紙幣を挟持する搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体とを組み合わせて構成され、無端回動ベルトの駆動回動で紙幣が搬送されるとともに、挟持搬送路に沿って、挟持紙幣aの非挟持部分の倒れを規制する倒れ規制部と、搬送紙幣aの擦り落ちを規制する擦り落ち規制部とが設けられている」構成を具備するものであるのに対し、刊行物2には、そのような構成の開示がないこと。

上記各相違点について検討するに、まず、相違点2に係る構成Cについて検討する。
上記刊行物6には、前示のとおり、挟持搬送路に沿う無端回動体と、無端回動体と協同して紙葉(紙幣が含まれることは明らか)を案内する押圧要素及び案内要素とからなる搬送装置が開示されていると認められるのであり、また、紙葉類を上下方向に沿う姿勢で搬送するものにおいて、1対のベルトにより被搬送物の一箇所を挟持すること(刊行物8参照)、丸ベルトを用いること(刊行物9の上記摘記記載参照)は適宜採用されている技術であると認めることはできる。
しかしながら、紙幣の搬送装置として、「丸ベルトで構成された無端回動ベルト」と「挟持輪体」とを組み合わせて挟持搬送する構成を開示あるいはその組合せを示唆する文献は見当たらない。
訂正明細書の記載によれば、当該「構成C」による作用として、「上下方向で複数本の無端回動ベルトと、これらとの協同で紙幣を挟持する複数の挟持輪体とを組み合わせて挟持搬送路を形成し、紙幣を上下方向の複数箇所で挟持して搬送する場合、無端回動どうしの張力の差異、紙幣や巻掛け輪体との接触抵抗の差異等に起因して、各無端回動ベルトによる搬送速度に僅かな差が生じ、紙幣が挟持搬送されるに従い、この搬送速度の差によって紙幣の搬送姿勢が上下方向で徐々に乱れ易いが、本発明のように、上下方向で一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルトと搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体との協同で紙幣を挟持搬送する挟持搬送路を構成し、紙幣を上下方向の一箇所で挟持して搬送する場合、上下方向での搬送速度差が生じないから搬送姿勢が乱れにくい。」(訂正明細書3頁28行〜4頁8行)、あるいは「紙幣を円滑に搬送して回収できる」(訂正明細書4頁20行)と説明されている。
上記のように、丸ベルトや輪体の各々は、搬送用部材として、いわば周知のものではあるとしても、それらを組合せて紙幣の搬送に適用することを直ちに想定し得るものとはいえず、まして上記作用効果までは、当業者といえども容易に推測できたものとは認め難い。
したがって、「倒れ規制部」に相当する構成が刊行物8に、「擦り落ち規制部」に相当する構成が刊行物7に開示されていると認められるとしても、構成Cを容易に想到することができたと認められないのであるから、刊行物6ないし刊行物8記載の技術を合わせ考慮しても、相違点2に係る構成を容易に想到できたものとすることはできない。

(4)結論
そうすると、相違点1について判断するまでもなく、上記のように相違点2について当業者といえども容易に想到することができたものとは認められない以上、訂正発明が、刊行物1〜9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとすることができない。
また、他に訂正発明について特許を受けることができないとするに足る理由を見出すこともできない。
したがって、訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとすることはできない。

4.むすび
以上のとおり、本件審判請求に係る訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第126条第1項ただし書き、第2項および第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技設備
(57)【特許請求の範囲】
複数の遊技台(A)を横方向に並設して遊技台列が構成され、前記複数の遊技台(A)の隣接間のうちの複数の特定箇所に、紙幣(a)を前記遊技台列前面側から受け入れてその紙面が上下方向に沿う姿勢で前記遊技台列背面側に送り出し可能な紙幣投入機(B)が設けられているとともに、前記遊技台列の背面側に、前記紙幣投入機(B)の各々から送り出される紙幣(a)を受け取ってその紙面が上下方向に沿う姿勢で挟持し、前記遊技台列に沿って特定位置まで合流搬送する挟持搬送装置(D)が設けられている遊技設備であって、前記挟持搬送装置(D)の挟持搬送路が、上下方向で一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト(1)と、前記無端回動ベルト(1)との協同で紙幣(a)を挟持する搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体(2)とを組み合わせて構成され、前記無端回動ベルト(1)の駆動回動で紙幣(a)が挟持搬送されるとともに、前記挟持搬送路に沿って、搬送紙幣(a)の非挟持部分の倒れを規制する倒れ規制部と、搬送紙幣(a)の擦り落ちを規制する擦り落ち規制部とが設けられている遊技設備。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、例えば、遊技台としてのパチンコ台の複数を横方向に並設して遊技台列が構成され、これら複数のパチンコ台の隣接間の一つおきに、紙幣を遊技台列前面側から受け入れてその紙面が上下方向に沿う姿勢で遊技台列背面側に送り出すパチンコ玉貸機等の紙幣投入機を設け、遊技台列背面側にこれらの紙幣投入機から送り出される紙幣を特定位置に搬送する搬送装置を設けて、紙幣投入機に受け入れた紙幣を能率良く回収できるようにした遊技設備に関する。
〔従来の技術〕
従来の遊技設備では、硬貨の投入で作動する自動玉貸機をパチンコ遊技台間に設け、パチンコ遊技台列背面側に自動玉貸機から落下排出された硬貨を受け止めてパチンコ遊技台列一端側に搬送する搬送装置を設けて、投入硬貨を能率良く回収できるようにしたものがあるが(例えば、実開昭52-14637号公報参照)、紙幣の投入で作動する自動玉貸機等の紙幣投入機を遊技台間に設けた遊技設備では、紙幣が硬貨に比べて大形でかつ薄いものであり、しかも軽くて可撓性があるという特性から硬貨のようには取扱にくいので、紙幣投入機の各々に金庫(スタッカ-)を備えておき、各紙幣投入機において受け入れた紙幣はその受け入れた紙幣投入機の金庫に収納しておくことが行われている(特開昭53-3399号公報参照)。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、従来の紙幣の投入で作動する紙幣投入機を遊技台間に設けた遊技設備によれば、各紙幣投入機に投入された紙幣を回収するに際して、回収者が各紙幣投入機の前面まで一々移動して金庫内の紙幣を回収しなければならず、一連の遊技台列についてだけみても各紙幣投入機からの紙幣の回収を能率良く行なうことができないのはもとより、遊技台の稼働中に金庫が満杯になった時には遊技者の間に入り込んで回収しなければならない場合もあり、遊技者に対する配慮にも欠けるものである。
そこで、従来の硬貨の投入で作動する自動玉貸機をパチンコ遊技台間に設けた遊技設備と同じように、遊技台列前面側から受け入れた紙幣を遊技台列背面側に送り出す紙幣投入機を遊技台間に設け、各紙幣投入機から送り出されてきた紙幣を遊技台列一端側の回収位置まで合流搬送する搬送装置を遊技台列の背面側に設けて、紙幣を遊技者の邪魔にならず、しかも能率良く回収できるようにすることが望まれるが、この場合、紙幣投入機から送り出される紙幣を、単にコンベヤ等の搬送装置の搬送面に自重落下させて遊技台列一端側の回収位置まで合流搬送するだけでは、不規則な姿勢で自重落下してくる紙幣を搬送装置の搬送面に確実に受け止められるよう、搬送面の横幅が広い大型の搬送装置を設ける必要があり、搬送装置の据え付けスペ-スを遊技台列背面側に広く確保する必要があるから遊技台の据え付けスペ-スがその分少なくなるおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、紙幣投入機に投入された紙幣を遊技者の邪魔にならず能率良く回収できるものでありながら、広い据え付けスペースを必要とせず、しかも紙幣を円滑に搬送して回収できる遊技設備を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成する為の本発明の特徴構成は、
A.複数の遊技台を横方向に並設して遊技台列が構成され、前記複数の遊技台の隣接間のうちの複数の特定箇所に、紙幣を前記遊技台列前面側から受け入れてその紙面が上下方向に沿う姿勢で前記遊技台列背面側に送り出し可能な紙幣投入機が設けられているとともに、前記遊技台列の背面側に、前記紙幣投入機の各々から送り出される紙幣を受け取ってその紙面が上下方向に沿う姿勢で挟持し、前記遊技台列に沿って特定位置まで合流搬送する挟持搬送装置が設けられている遊技設備であって、
B.前記挟持搬送装置の挟持搬送路が、上下方向で一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルトと、前記無端回動ベルトとの協同で紙幣を挟持する搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体とを組み合わせて構成され、前記無端回動ベルトの駆動回動で紙幣が挟持搬送されるとともに、
C.前記挟持搬送路に沿って、搬送紙幣の非挟持部分の倒れを規制する倒れ規制部と、
D.搬送紙幣の擦り落ちを規制する擦り落ち規制部とが設けられている遊技設備。上記A.B.C.D.の構成にあり、かかる構成から次の作用効果を奏する。
〔作 用〕
a.前記Aの構成により、紙幣投入機の各々から送り出される紙幣を手間をかけず、しかも遊技台列の背面側に沿っての搬送で遊技者の邪魔にならずに、特定位置に容易に回収できるのであるが、
b.殊に、紙幣をその紙面が上下方向に沿う姿勢で挟持搬送するから、紙面が水平方向に沿う姿勢で搬送する場合に比べて、挟持搬送装置を幅狭のものにすることができ、狭いスペースでも効率良く設置できる。
c.前記Bの構成により、紙幣は上下方向の一箇所で挟持されて搬送されるから、紙幣が上下方向の複数箇所で挟持されて搬送される場合に比べて、紙幣の搬送姿勢が上下方向で乱れにくい。
つまり、上下方向で複数本の無端回動ベルトと、これらとの協同で紙幣を挟持する複数の挟持輪体とを組み合わせて挟持搬送路を構成し、紙幣を上下方向の複数箇所で挟持して搬送する場合、無端回動ベルトどうしの張力の差異、紙幣や巻掛け輪体との接触抵抗の差異或いは巻掛け輪体の直径の僅かな差異等に起因して、各無端回動ベルトによる搬送速度に僅かな差が生じ、紙幣が挟持搬送されるに従い、この搬送速度の差によって紙幣の搬送姿勢が上下方向で徐々に乱れ易いが、本発明のように、上下方向で一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルトと搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体との協同で紙幣を挟持搬送する挟持搬送路を構成し、紙幣を上下方向の一箇所で挟持して搬送する場合、上下方向での搬送速度差が生じないから搬送姿勢が乱れにくい。
d.前記Cの構成により、前記Bの構成を採用したことによる弊害、つまり折り癖のついているような紙幣や腰が弱くなった紙幣等は非挟持部分が倒れ易く、その倒れた部分が無端回動ベルトと挟持輪体との間に巻き込まれると詰まり発生の原因となる弊害を防止できる。
e.前記Dの構成により、前記Bの構成を採用したことによる弊害、つまり、紙幣が合流搬送されることから、紙幣が重なり合って搬送される場合には紙幣どうしの滑りに起因して搬送紙幣の一部が搬送中に擦り落ち、これによって搬送姿勢が乱れたり挟持が外れたりし易いという弊害を防止できる。
〔発明の効果〕
前記aの作用により、紙幣投入機に投入された紙幣を遊技者の邪魔にならず能率良く回収できるものでありながら、前記bの作用により、広い据え付けスペ-スを必要とせず、前記c,dの作用により、紙幣を円滑に搬送して回収できる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第9図及び第10図は、パチンコ遊技設備を示し、このパチンコ遊技設備は、複数のパチンコ台(A)を横方向に列状に配置し、かつ、これら列状に配置されたパチンコ台(A)の隣接パチンコ台(A),(A)間のうち、1つ置きに位置する間夫々に、紙幣(a)をそれの互いに対向する長辺が上下に位置する姿勢で受入れ、かつ、背部に送出し可能な紙幣投入機(B)を介在させて成るパチンコ遊技台列の2列を、小間隔(例えば20cm程度)を隔てた背中合せの状態に配設し、この両パチンコ台列間に、各紙幣投入機(B)からの送出し紙幣(a)を台列一端に設けた収納部(C)に搬送する紙幣の挟持搬送装置(D)を設けて構成されている。
尚、前記紙幣投入機(B)は、紙幣(a)の良否を識別する機能を備えており、紙幣(a)が良の場合にのみその紙幣(a)を背部に送出し、紙幣(a)が不良の場合には、紙幣受入口(b)に返却すべく構成されている。
前記挟持搬送装置(D)の挟持搬送路は、第8図、第10図に示すように、紙幣投入機(B)を挟んで隣接する左右のパチンコ台(A),(A)の設置範囲に亘る長さ分、つまり紙幣投入機(B)の配設ピッチと等しい長さ分を一ユニットの全長とする搬送ユニット(d)の複数を一連に連結して構成されており、各搬送ユニット(d)は、第1図、第3図、第4図、第6図、及び第7図に示すように、紙幣(a)を肉厚方向から挾持して、当該紙幣(a)を対向する長辺が上下に位置する姿勢で挟持搬送する無端回動ベルト(1)と挟持輪体(2)とを組み合わせてなる挟持搬送体の2組を、搬送方向に並べた状態で搬送ケース(3)内に設け、この搬送ケース(3)の両横側でかつ搬送方向ほぼ中央部に、前記紙幣投入機(B)から送出されてくる紙幣(a)を受入れる開口部(3A)を形成すると共に、前記紙幣投入機(B)からの紙幣(a)を、前記開口部(3A)から前記搬送上手側に位置する挟持搬送体の搬送終端部とこれの搬送下手側に隣接位置する挟持搬送体の搬送始端部との間を通して、搬送下手側に位置する挟持搬送体の搬送始端部間に向けて合流案内する紙幣供給案内部(4)を設けて構成されている。
前記紙幣供給案内部(4)は、前記搬送ケース(3)にビス止めされた一対のガイド板(4A),(4B)から構成されている。
前記搬送ケース(3)の、前記挟持搬送体による挾持作用面(H)から紙幣(a)の短辺寸法よりも小なる間隔を隔てた下方位置に、紙幣(a)の下側長辺部分を受止めてその擦り落ちを規制する擦り落ち規制部としての受け面(3B)が形成されており、挾持搬送されている紙幣(a)が例えば挾持不良等により挟持搬送体から下に擦れて抜け落ちようとしても、この紙幣(a)が挟持搬送体の挾持作用面(H)から外れる位置まで擦れることを受け面(3B)にて接当阻止することができるようにしてある。
前記搬送ケース(3)に、挟持搬送紙幣(a)の非挟持部分の倒れをその肉厚方向の両側から規制して紙幣の搬送姿勢を所定姿勢に保持する倒れ規制部としての一対の規制板(5),(5)が搬送方向に沿って設けられ、これら一対の規制板(5),(5)のうちの一方の規制板(5)に複数のプーリ(6)が軸支されて、細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト(1)が紙幣(a)の上下中央部分に接当する状態でこれらプーリ(6)に巻回されている。
前記挟持輪体(2)は搬送用丸ベルト(1)との協動により紙幣(a)を挾持搬送するべく搬送方向に沿って配設された複数個のローラから構成され、前記一対の規制板(5),(5)のうちの他方の規制板(5)に取付けられている。
前記プーリ(6)のうちの搬送方向中間に位置する複数のプーリ(6)は、スプリング(7)を介して挾持方向に移動付勢され、又、前記規制板(5)は、上下夫々においてステー(8a),(8b)を介して前記搬送ケース(3)に取付けられ、これら上下ステー(8a),(8b)のうちの上側ステー(8a)は、前記規制板(5)に揺動自在に取付けられており、この上側ステー(8a)を揺動させて、搬送ケース(3)に取付けられた板バネ(18)に弾性的に係合することにより搬送ケース(3)に連結する状態(第1図参照)と、搬送ケース(3)の板バネ(18)に対する係合を解除して規制板(5)と搬送ケース(3)との間に上方からの搬送用丸ベルト(1)のプーリ(6)への掛け替えを許容する通路(9)を形成する状態(第2図参照)とに切替自在に構成されている。
前記ローラ(2)のうちの搬送方向中間に位置する複数のローラ(2)は、スプリング(10)を介して挟持方向に移動付勢され、又、前記規制板(5)は、下部の支点(P)周りで揺動自在に前記搬送ケース(3)に取付けられ、この規制板(5)を揺動することにより、前記紙幣(a)を挾持する挾持作用位置(第1図参照)と挾持作用を解除する非挾持位置(第2図参照)とに変更可能に構成されている。
尚、第1図に示す(11)は、前記規制板(5)の上端に取付けられた固定片(12)を弾性的に係合保持して、前記規制板(5)を搬送ケース(3)に連結する板バネである。
第3図乃至第5図に示すように、前記各搬送ユニット(d)における搬送方向上手側に位置する丸ベルト(1)を回動案内する前記複数のプーリ(6)のうちの終端部に位置する第1プーリ(6)の支軸(13)と、搬送方向下手側に位置する丸ベルト(1)を回動案内する前記複数のプーリ(6)のうちの始端部に位置する第2プーリ(6)の支軸(14)とを、1個の電動モータ(15)の駆動軸(15a)にギア機構(16)を介して連動連結することにより、1個の電動モータ(15)の駆動で2つの丸ベルト(1),(1)を回動できるように構成してある。
尚、第4図に示す(17)は、ソレノイドであり、前記紙幣投入機(B)に挿入された紙幣(a)が不良である場合にこの不良紙幣(a)が返却装置(図示せず)により返却されるとき、前記ソレノイド(17)を作動させることにより搬送方向下手側に位置する挟持搬送体における始端側ローラ(2)を第4図に仮想線で示す非挾持位置に自動的に位置変更させて、不良紙幣(a)が搬送方向下手側に位置する挟持搬送体の始端部で挾持された状態で返却装置が作用することにより不良紙幣(a)が破損することがないように構成してある。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明に係る遊技設備の実施例を示し、第1図乃至第3図は搬送ユニットの縦断面図、第4図は紙幣の合流部を示す要部の横断平面図、第5図は要部の概略横断平面図、第6図及び第7図は搬送ユニットの連結部を示す横断平面図及び縦断側面図、第8図は搬送ユニットの斜視図、第9図及び第10図はパチンコ遊技設備の側面図及び概略横断平面図である。
(1)……無端回動ベルト、(2)……挟持輪体、(A)……遊技台、(a)……紙幣、(B)……紙幣投入機、(D)……挟持搬送装置。
 
訂正の要旨 A.訂正事項a
特許請求の範囲の記載中、次の箇所を、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正する。
(A-1)「一本の無端回動ベルト1」を「一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト1」と訂正する。
(A-2)「複数の挟持輪体2」を「搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体2」と訂正する。
B.訂正事項b
明細書の発明の詳細な説明の欄の次の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。
(B-1)明細書[特許公報4欄11行目]の「一本の無端回動ベルト」を「一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルト」と訂正する。
(B-2)明細書[特許公報4欄12行目]の「複数の挟持輪体」を「搬送方向に沿って配設された複数の挟持輪体」と訂正する。
(B-3)明細書[特許公報5欄4行目]の「一本の無端回動ベルトと複数の」を「一本の細幅の搬送用丸ベルトで構成された無端回動ベルトと搬送方向に沿って配設された複数の」と訂正する。
審理終結日 2001-07-12 
結審通知日 2001-07-17 
審決日 2001-07-30 
出願番号 特願昭63-117806
審決分類 P 1 41・ 856- Y (B65H)
P 1 41・ 121- Y (B65H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西野 健二柳 五三  
特許庁審判長 船越 巧子
特許庁審判官 吉国 信雄
村本 佳史
登録日 1992-12-24 
登録番号 特許第1722299号(P1722299)
発明の名称 遊技設備  
代理人 北村 修一郎  
代理人 北村 修一郎  

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