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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K |
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管理番号 | 1051266 |
審判番号 | 不服2000-4359 |
総通号数 | 26 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-03-29 |
確定日 | 2002-01-04 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第330510号[平成 6年 3月25日出願公開、特開平 6- 85488]「電磁波シールド用ガスケット」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成4年12月10日(優先日:平成4年7月15日、出願番号:平成4年実用新案登録願第49699号)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年4月11日付け、及び平成13年10月12日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 弾性材と凹凸を繰り返す導電性シ-トとを接着により層状に積層してなることを特徴とする電磁波シ-ルド用ガスケット。(以下、「本願発明」という。)」 2.引用例 これに対し、本願出願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭62-136753号(実開昭64-44699号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、 (ア)「導電性を有する複数のゴムシ-トの間にアモルファス合金箔が挟まれた積層体からなることを特徴とする磁気、電磁波及び静電気のシ-ルド材。」(実用新案登録請求の範囲) (イ)「導電性ゴムシ-トとアモルファス合金箔を交互に任意の数重ね合わせることができる。また、ゴムシ-トとアモルファス合金箔とは接着剤で接合することが好ましい。・・《中略》・・本考案のシ-ルド材の効果の具体例を以下に示す。2枚の導電性ゴムシ-ト(各0.5mm厚)と1枚の銅メッキ(0.5μm厚)せるアモルファス合金箔(25μm厚)とから第1図に示す積層構造をもつシ-ルド材を作成した。」(明細書第7頁第7〜20行) と記載されている。 また、本願出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平1-165200号公報(以下、「引用例2」という。)には、 (ウ)「銅箔等の金属箔の少なくとも片側面に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなる不織布製基材(樹脂含浸不織布性基材)を用いることにより、熱プレスの際、当該不織布製基材が上記金属箔に微少な凹凸形状を付与し、この形状変化が上記金属箔と樹脂含浸不織布製基材との密着性を著しく改善し」(公報第3頁右上段第17行〜同頁左下段第3行) (エ)「吸収体によって熱エネルギ-に変換させることができなかった入射波を、本発明の電磁波シ-ルド用積層板における金属箔の凹凸により、再度、散乱させて反射及び透過エネルギ-密度を低下させることができ、効果的な電波吸収体とすることができる」(公報第3頁左下段第18行〜同頁右下段第3行) と記載されている。 3.対比 本願発明と引用例1に記載された事項を対比すると、後者の「導電性ゴムシ-ト」及び「銅メッキせるアモルファス合金箔」は、前者の「弾性材材」及び「導電性シ-ト」に相当する。 そうすると、両者は、 「弾性材と導電性シ-トとを接着により層状に積層してなる電磁波シ-ルド材。」の点で一致し、次の点で相違している。 相違点1 導電性シ-トを、本願発明では、凹凸を繰り返す構成としているのに対し、引用例1に記載されたものでは、凹凸を繰り返す構成に関しては言及していない点。 相違点2 電磁波シ-ルド材として、本願発明では、電磁波シ-ルド用ガスケットに特定しているのに対し、引用例1に記載されたものでは、ガスケットに関しては言及していない点。 4.当審の判断 相違点1について 引用例2における、上記2.(ウ)として摘記した「銅箔等の金属箔の少なくとも片側面に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなる不織布製基材(樹脂含浸不織布性基材)を用いることにより、熱プレスの際、当該不織布製基材が上記金属箔に微少な凹凸形状を付与し」の記載は、非金属材と金属箔を積層した電磁波シ-ルド材において、凹凸形状を有する金属箔により密着性及び電磁吸収の向上を図ることを示唆したものといえる。また、導電性金属板の表面に凹凸を設けて電磁波の散乱性を良くして、電磁ノイズを軽減することは、実願昭60-123581号(実開昭62-32598号)のマイクロフィルムに記載の如く、周知技術である。 したがって、引用例1に記載された導電性シ-トとしての銅メッキせるアモルファス合金箔に関して、引用例2の上記示唆及び前記周知技術に基づいて、上記相違点1に係る本願発明と同様の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 相違点2について 電磁波シ-ルド材の通常の用途の一つとしてガスケットがあることは、従来から周知(例えば、特開平2-50498号公報、特開平2-191399号公報、実願昭63-63418号(実開平1-167095号)のマイクロフィルムを参照されたい。)であるので、引用例1に記載された電磁波シ-ルド材に関して、上記周知の用途を選択して、上記相違点2に係る本願発明と同様の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願発明の効果について検討しても、引用例1及び2に記載されたもの及び前記周知技術から、当業者であれば予測できる程度のものであって格別なものとはいえない。 5.むすび したがって、本願発明は、当業者が、本願出願の優先日前に頒布された刊行物である引用例1及び2に記載されたものに基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-11-05 |
結審通知日 | 2001-11-06 |
審決日 | 2001-11-20 |
出願番号 | 特願平4-330510 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H05K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 博之 |
特許庁審判長 |
神崎 潔 |
特許庁審判官 |
溝渕 良一 大熊 雄治 |
発明の名称 | 電磁波シールド用ガスケット |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 田中 敏博 |