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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F |
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管理番号 | 1051280 |
審判番号 | 不服2001-11448 |
総通号数 | 26 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-10-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-07-04 |
確定日 | 2002-01-04 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第 98675号「薄畳」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月11日出願公開、特開平 6-288063]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成5年3月31日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年9月25日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 長手方向に延伸された熱可塑性樹脂よりなるテープ状体を、狭い空隙を形成する加熱部材中に通過させることによって、不規則に収束形成し、且つ表面に融着被膜を形成させた模造イグサを織って構成した畳表を、アルミニウムシートを表裏両面に接着したベニヤ板に固着し、全体の厚みを25mm以下にしたことを特徴とする薄畳。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、実願昭55-62481号(実開昭56-163527号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第2頁第14〜19行、第4頁第5〜13行、第10頁第8行〜第11頁第3行及び第3図の記載を参照すると、「湿気による反りを防止するため、表裏両面にアルミ箔等金属箔を接着したベニヤ合板等改良木材の表面に、樹脂フィルムを接着し、全体の厚みを25mm以下にした耐反り性複合板である家屋内装建材」が記載されているものと認められる。 同じく、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平1-92447号公報(以下、「引用例2」という。)には、特許請求の範囲の請求項1、第4頁右下欄第18,19行の記載を参照すると、「縦方向に延伸された熱可塑性樹脂よりなるテープ状体を、狭い空隙を形成する加熱部材中に通過させることによって、不規則に収束形成し、かつ表面に融着被膜を形成させた模造イグサと、天然イグサとを交織した畳表」が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「アルミ箔等金属箔」、「ベニヤ合板等改良木材」は、各々本願発明の「アルミニウムシート」、「ベニヤ板」に相当し、引用例1に記載された発明の「樹脂フィルム」と、本願発明の「熱可塑性樹脂よりなる模造イグサを織って構成した畳表」とは、「樹脂表面材」である点で共通しており、本願発明の「薄畳」も、家屋内装建材といえるから、両者は、樹脂表面材を、アルミニウムシートを表裏両面に接着したベニヤ板に固着し、全体の厚みを25mm以下にした家屋内装建材の点で一致し、下記の点で相違している。 a.家屋内装建材が、本願発明では、薄畳であるのに対し、引用例1に記載された発明ではそのような限定を有していない点。 b.樹脂表面材が、本願発明では、長手方向に延伸された熱可塑性樹脂よりなるテープ状体を、狭い空隙を形成する加熱部材中に通過させることによって、不規則に収束形成し、且つ表面に融着被膜を形成させた模造イグサを織って構成した畳表であるのに対し、引用例1に記載された発明ではそのような構成を有していない点。 しかしながら、一般的に家屋内装建材として、薄畳それも、畳床として合板を用いた薄い畳は、本案出願前に周知技術(例えば、実願昭57-57104号(実開昭58-159341号)のマイクロフィルム、実願昭50-70143号(実開昭51-149128号)のマイクロフィルム等参照)であり、引用例1に記載された発明の家屋内装建材を相違点aに係る本願発明のように、薄畳として用いることは、設計的事項にすぎない。 一方、引用例2には、相違点bに係る本願発明の構成と同様な、縦方向(本願発明の長手方向に相当。)に延伸された熱可塑性樹脂よりなるテープ状体を、狭い空隙を形成する加熱部材中に通過させることによって、不規則に収束形成し、かつ表面に融着被膜を形成させた模造イグサと、天然イグサとを交織した畳表が記載されており、これは、模造イグサと、天然イグサとを交織しているが、模造イグサを織って構成した畳表であり、本願発明の実施例のように、模造イグサのみを交織することは設計的事項にすぎないから、引用例1に記載された発明の樹脂表面材として引用例2に記載された畳表を用いることは、当業者が適宜なしうることにすぎない。 そして、本願発明によってもたらされる効果も、引用例1及び2に記載された発明から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-10-16 |
結審通知日 | 2001-10-23 |
審決日 | 2001-11-05 |
出願番号 | 特願平5-98675 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E04F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 七字 ひろみ |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
蔵野 いづみ 鈴木 憲子 |
発明の名称 | 薄畳 |
代理人 | 永田 久喜 |