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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01N
審判 全部申し立て 特29条の2  A01N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01N
管理番号 1051468
異議申立番号 異議2000-70264  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-26 
確定日 2001-09-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2924180号「農薬組成物」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2924180号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2924180号の請求項1〜4に係る発明は、平成6年9月30(優先権主張 平成5年10月1日 日本)を国際出願日とする出願であって、平成11年5月7日にその特許権の設定登録がなされ、その後、五島香里より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年8月28日に訂正請求がなされた後、再度取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年6月8日に訂正請求がなされたものである。(なお、先の訂正請求は取り下げられた。)

2.訂正の適否についての判断
(ア)訂正明細書の請求項1〜4に係る発明
訂正明細書の請求項1〜4に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒して得られたものであることを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬粒剤組成物。
【請求項2】(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とする農薬粒剤組成物の製造方法。
【請求項3】農薬活性成分が、水溶解度60ppm以上の物質である請求項1記載の農薬粒剤組成物。
【請求項4】融点50℃以上の疎水性物質が、カルナバワツクス、セラツク、蜜ロウ、木ロウ、ライスワックス、キャンデリワックス、植物性油脂もしくは動物性油脂を分解して得られる脂肪酸またはその水素添加物、ステアリン酸、べへニン酸、菜種硬化脂肪酸、パーム硬化脂肪酸、牛脂硬化脂肪酸、パラフィンワックスおよびマイクロクリスタリンワックスからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1または3項記載の農薬粒剤組成物。」

(イ)訂正の内容
訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであって、その訂正の内容は次の(a)〜(e)のとおりである。
(a)特許請求の範囲の請求項1に、「(I)農薬活性成分、(II)融点50℃以上の疎水性物質及び(III)吸油能を有する物質として非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物を含有し、押出し造粒で得られることを特徴とする農薬粒剤組成物。」とあるのを、「(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点 50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒して得られたものであることを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬粒剤組成物。」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の請求項2に、「(I)農薬活性成分、(II)融点50℃以上の疎水性物質及び(III)吸油能を有する物質として非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押し出し造粒することを特徴とする農薬粒剤組成物の製造方法。」とあるのを、「(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とする農薬粒剤組成物の製造方法。」と訂正する。
(c)特許請求の範囲の請求項3を削除し、請求項4を請求項3とする。
(d)特許請求の範囲の請求項5に「融点50℃以上の疎水性物質が、カルナバワツクス、セラツク、蜜ロウ、木ロウ、ライスワックス、キャンデリワックス、植物性油脂もしくは動物性油脂を分解して選られる脂肪酸またはその水素添加物、ステアリン酸、べへニン酸、菜種硬化脂肪酸、パーム硬化脂肪酸、牛脂硬化脂肪酸、パラフィンワックスおよびマイクロスタイリンワックスからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1、3または4項記載の農薬粒剤組成物。」とあるのを、請求項4に繰り上げ、「融点50℃以上の疎水性物質が、カルナバワツクス、セラツク、蜜ロウ、木ロウ、ライスワックス、キャンデリワックス、植物性油脂もしくは動物性油脂を分解して得られる脂肪酸またはその水素添加物、ステアリン酸、べへニン酸、菜種硬化脂肪酸、パーム硬化脂肪酸、牛脂硬化脂肪酸、パラフィンワックスおよびマイクロクリスタリンワックスからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1または3項記載の農薬粒剤組成物。」と訂正する。
(e)明細書第2頁第18〜21行(特許公報第4欄第22〜26行)において、「すなわち、本発明は、農薬活性成分と融点50℃以上の疎水性物質および吸油能を有する物質を含有する徐放性農薬組成物、及び融点50℃以上の疎水性物質を溶融し、融点以上の加熱条件下で押し出し造粒して製造したことを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬組成物である。」とあるのを、「すなわち、本発明は、(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点 50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒して製造したことを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬組成物である。」と訂正する。

(ウ)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正(a)は、訂正前の請求項1に係る発明における、成分(I)、(II)、(III)の配合割合を限定し、任意成分(IV)、(V)を特定し、押し出し造粒が、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で行われるとの条件を付し、また用途として土壌に施用するものに特定し、さらに農薬組成物が徐放性を有するものに特定するものであり、訂正(b)も、成分(I)、(II)、(III)の配合割合を限定し、また任意成分(IV)、(V)を特定するものであるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正(c)は、請求項の削除、それにより請求項が欠番となるため以下の請求項の番号を繰り上げるものであるから特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
訂正(d)は、請求項の削除により請求項が欠番となるため以下の請求項の番号を繰り上げるものであり、「マイクロスタイリンワックス」なる誤記を「マイクロクリスタリンワックス」に訂正するものであるから明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものである。
また、訂正(e)は、発明の詳細な説明の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正(a)は、明細書第7頁第5〜11行(特許公報第8欄第13〜21行)、明細書第2頁第19〜21行(特許公報第4欄第24〜26行)に、訂正(b)は、明細書第7頁第5〜11行(特許公報第8欄第13〜21行)に記載される事項に基づくものであり、訂正(c)は、請求項の削除、明りょうでない記載の釈明であり、訂正(d)は出願時明細書の特許請求の範囲第4項、明細書の第5頁7行、同頁17〜19行(特許公報第6欄34〜35行、同欄第49行〜第7欄2行)に基づく誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明であり、また訂正(e)は、明りょうでない記載の釈明であるから、いずれも新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(エ)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項、同条第3項で準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(ア)本件発明
前述のように、本件訂正は適法なものであるので、本件の請求項1〜4に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(以下、それぞれを「本件発明1」〜「本件発明4」という。)

(イ)申立ての理由の概要
特許異議申立人五島香里は、(i)訂正前の請求項1、3〜5に係る発明は、甲第3号証に記載された発明と同一であるので、特許法第29条の2に違反してなされたものであるから、また、(ii)訂正前の請求項1、2、4、5に係る発明は、甲第7〜9号証を参照すれば、甲第1、2、4〜6号証に記載された発明であるか、これら甲号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、それらの発明の特許は特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨を主張している。

(ウ)取消理由の概要
当審における取消理由通知に用いられた刊行物等は上記証拠と同じであり、取消理由も上記理由(i)、(ii)と同趣旨である。

(エ)刊行物等の記載内容
特許異議申立人が証拠として提示した刊行物等には、それぞれ以下の事項が記載されている。
(a)甲第1号証(特開平2-288803号公報)
甲第1号証には、(1)スルホニルウレア系除草活性化合物、粘土鉱物および常温で固状のパラフィンワックスからなる造粒物、(2)水田雑草のヒエに効力を示す除草活性化合物、(3)粘土鉱物、(4)界面活性剤の各物質を含有してなる放出制御された水田除草用粒剤が記載されている(特許請求の範囲請求項1)。
また、「本発明において、粘土鉱物は特に限定されるものではなく、例えばクレー、・・・ホワイトカーボンなどの通常の固体担体が挙げられる。常温で固状のパラフィンワックスとしては、特に限定されるものではないが例えば、・・・その融点の範囲が50〜95℃のものが適当である。スルホニルウレア系除草活性化合物としては、特に限定されるものではないが例えば・・・メチル-2-[[[[[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]メチル]ベンゾエート・・・などが挙げられる。」(第3頁左下欄第1行〜同頁右下欄第7行)ことも記載されている。
(b)甲第2号証[日本粉体工業協会編「造粒便覧」(昭和56年7月20日 オーム社発行)、第549〜579頁]
甲第2号証における「6章 農薬工業における造粒」の「6・1・5 補助材料」の項に、吸収剤について、「液体を吸収して粉・粒の流動性を高める目的で、吸収性の高い鉱物質、植物質または化成品の微粉末を添加する.・・・代表的なものはホワイトカーボン(含水無晶形けい酸・・・)で、市販品の物理化学性を表3・6・10に示す.カープレックスの吸油能測定例は表3・6・11のように非常に高い.」(第564頁左欄第5〜14行)と記載されている。「表3・6・10 ホワイトカーボンの物性(規格)例」(第563頁)には、カープレックスの種々の物性が記載されており、その注にはカープレックスが無晶形含水けい酸である旨が示されている。
また、「6・1・6 造粒プロセス」には、その一法として、押出し造粒法によるプロセスが、プロセスフローシート等と共に記載されている(第564頁右欄下から6行〜第567頁右欄第5行)
(c)甲第3号証[特願平4-110486号の願書に最初に添付した明細書(特開平5-305226号)]
甲第3号証には、「溶融したろう状物質に相溶しない有効成分が、該ろう状物質中に超微粒子として分散している粒子。」(特許請求の範囲請求項1)が記載されている。そして、「本発明において使用するろう状物質としては、融点が40〜100℃、好ましくは60〜80℃の範囲のもので、・・・具体的には、固形パラフィン、・・・カウナウバワックス・・・等をあげることができる。」(段落番号【0009】)こと、「本発明の粒子には、製剤化のための各種配合剤を目的に応じて配合することができる。このような配合剤の例をあげると、・・・固結防止剤・・・等がある」(段落番号【0024】)こと、「固結防止剤としては例えばホワイトカーボン、硅藻土、ステアリン酸マグネシウム等」(段落番号【0027】)が記載されている。
また、実施例として、「実施例1(微粒子) カルナウバワックス89.0部およびニテンピラム10部を混合し約90℃で加熱融解した。このままでは2層に分離しているので界面活性剤135RKを添加し、ニテンピラムをカルナウバワックスに均一に乳化分散させた。このものをスプレードライ装置・・・にて室温の条件で冷却造粒した。得られた粒子径の範囲は50〜200μmであり、この粒子中にニテンピラムが平均粒子径約2μmの微粒子として分散している。」こと、「実施例2(粒剤) 実施例1で得られた粒子を20.0部、微粉末クレー74.0部、更にアルファ化澱粉5.0部、85%リン酸1.0部をよく混合する。混合物に水を加えてよく練合し、練合物を押出造粒機(スクリーン1.0mm径)で造粒し湿式成形物を得る。これを乾燥後、整粒して10メッシュから32メッシュの粒剤を得る。」ことが記載されている。
有効成分として多くの農薬成分が溶解度と共に具体的に挙げられており、水溶解度60ppm以上のものが多く示されている(段落番号【0017】)。
(d)甲第4号証(特公昭55-18681号公報)
甲第4号証には、「合成珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、含水珪酸及び珪藻土より選ばれる吸着性の高い粉末と、炭素数10以上の高級脂肪酸、樹脂酸、植物油脂、動物油脂、動物ろう、高級脂肪酸のグリセリンエステル及び高級アルコールエステルからなる群から選ばれる物質1種以上とを配合してなることを特徴とする、固結防止されたフェノール系カルバメート化合物とγ-BHCを有効成分とする殺虫粒剤。」(特許請求の範囲) が記載されている。
試験例2として、含水珪酸としてカープレックス、高級脂肪酸としてステアリン酸、フェノール系カルバメート化合物としてMTMCを用いた造粒物が記載されている。
(e)甲第5号証(特開昭59-78102号公報)
甲第5号証には、「水性系中の生きている微生物を防除する方法において、殺微生物性化合物を貯蔵し、取り扱い、輸送し、そして調節された遅延速度で提供するのに有用な物品であって、(イ)(I)組成物の全重量に基づき約0.1〜70重量%の、殺微生物的に有効な量を与えるのに十分な水溶解度を有する殺微生物化合物、および(II)組成物の全重量に基づき約99.9〜30重量%の微粉砕した水不溶性不活性な固形担体物質、からなる水性系中で有用な粒状固体殺微生物組成物、およびこれを包埋した(ロ)水不溶性の高融点固体結合剤、からなることを特徴とする、上記物品。」(特許請求の範囲第1項)が記載されている。
成分に関して、「固体結合剤は、通常の水不溶性、高融点固体結合剤物質の何れでもよい。「高融点」とは約40〜200℃、なるべくは約50〜125℃の融点を有する水不溶性結合剤物質を意味する。本発明物品において水不溶性、高融点固体結合剤成分を構成する適当な物質の例にはろう、例えばパラフィンろう、みつろう、カルナウバろう;・・・および上記物質の融和しうる混合物が含まれる。」(第5頁右上欄第5〜19行)こと、「微粉砕された水不溶性固体物質は、シリカ質ケイソウ土、高水分吸収容量のケイ酸カルシウム物質、および粘土から選ぶことができる。適当なシリカ質ケイソウ土材料はセライト・・・」(第7頁左下欄第15〜18行)であることが記載され、また、製造方法に関して「本発明物品は、先ず固体担体上に吸収させた殺微生物化合物の固体殺微生物組成物を用意することにより固体円板あるいは「栓」の形で製造できる。・・・もう一つの別法においては、殺微生物性化合物と固体担体と固体結合剤とからなる融解した混合物をジェットにより小滴として下向きに押し出し、長い円柱内で空冷してもよいし、あるいは、リボンまたは棒として押し出しカッターによりペレット化してもよい。」(第8頁左下欄第2行〜第9頁左上欄第4行)と記載されている。
(f)甲第6号証(特開昭56-30901号公報)
甲第6号証には、「農薬成分をロウ状物質に溶解若しくは分散させ、水溶性若しくは水分散性物質を増量剤として押し出し造粒してなることを特徴とする水面施用用農薬粒剤。」(特許請求の範囲第1項)、「結合剤を使用して湿式押し出し造粒してなる特許請求の範囲第1項記載の農薬粒剤。」(特許請求の範囲第4項)、「ロウ状物質の融点以上の温度下で水を使用しないで押し出し造粒してなる特許請求の範囲第1項記載の農薬粒剤。」(特許請求の範囲第5項)が記載されている。
また、「ここにロウ状物質としては、例えば固形パラフィン、ステアリン酸、ロジン、モクロウ、・・・ステアリルアルコール等を示すことができる」(第2頁右上欄第10〜13行)こと、「本発明で使用することができる水溶性若しくは水分散性の増量剤の素材としては、例えば尿素、・・・塩化カリウム等の水溶性肥料、・・・ブドウ糖等の可溶性の糖等を挙げることができる。」(第2頁右下欄第8〜16行)ことが記載されている。
さらに、湿式押し出し造粒方法による場合には、CMC やでんぷんのりを結合剤として使用することが好ましいこと(第3頁左上欄第4〜7行)、また、「加熱による押し出し造粒方法は、ロウ状物質、農薬成分及び粉末状の増量剤の混合物をロウ状物質の融点以上に加熱混合して可塑状態として造粒する方法で、ロウ状物質が結合剤として働く。」(第3頁左上欄下から5行〜最下行)ことが記載されている。
(g)甲第7号証(「農薬ハンドブック 1998年板」(平成10年12月15日 日本植物防疫協会発行)、第717頁(「ベンスルフロンメチル」の項))
甲第7号証には、ベンスルフロンメチルが構造式からみてメチル-2-[[[[[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]メチル]ベンゾエートであること、pH7における水に対する溶解度が12mg/100mlであることが示されている。
(h)甲第8号証[「生化学辞典 第3版」(1998年10月8日 東京化学同人発行)、第449頁(「珪藻土」の項)]
甲第8号証には、セライトがけいそう土を高度に純化したものであることが示されている。
(i)甲第9号証(「化学大辞典 3」(昭和59年3月15日 共立出版発行)、第318頁(「珪藻土」の項)
甲第9号証には、珪藻土が「その本質はタンパク石と同様な含水非晶質二酸化ケイ素である」と記載されている。

(オ)対比・判断
(i)特許法第29条の2違反に関して
(a)本件発明1について
甲第3号証には、農薬成分からなる有効成分と、融点が40〜100℃、好ましくは60〜80℃の融点のろう状物質と、固結防止剤としてのホワイトカーボンからなる粒子が記載されており、これらは本件発明1における成分(I)、(II)、(III)にそれぞれ相当するものである。
しかしながら、その製造方法については、「本発明の粒子は、上記したろう状物質と有効成分とを界面活性剤の存在下に加温し、好ましくは乳化して溶融ろう状物質中に有効成分が微分散した分散物、好ましくはエマルジョンを形成し、これを冷却・固化することにより製造することができる。分散物の冷却・固化手段は公知の方法を採用することができる。たとえば加熱溶融したロウ状物質と均一に分散された農薬有効成分をローラーを用いてプレスしながら固化し、有効成分を含んだロウ状物質の板を造り粗粉砕によってフレークとした後、微粉砕機により粉砕し微粒子とする方法、あるいは、加熱溶融したロウ状物質に均一に分散された有効成分をスプレー微粒子とした後冷却固化する方法などがある。その他にも様々な方法がありその中から最適な方法を選択することが可能である。特に、前述のスプレードライ法が好ましい。又、必要により得られた粒子を造粒することも可能である。」(段落番号【0021】)と記載されており、本件発明1における「疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒」する方法は開示されていない。
また、甲第3号証の粒子は、「本発明の粒子は粉剤、粉剤DL、粒剤、水和剤、顆粒状水和剤、種子処理剤、微粒剤F等の農薬固形製剤を製造する際に使用する。」(段落番号【0034】)ためのものであり、粒剤とする方法が実施例2、3に示されているが、いづれも該粒子と他の補助成分とを混合し、「混合物に水を加えてよく練合し、練合物を押出造粒機(スクリーン1.0mm径)で造粒し湿式成形物を得る。これを乾燥後、整粒して10メッシュから32メッシュの粒剤を得る。」(第9頁右欄第12〜15行)もので、「疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒」するものではない。
そして、本件発明1は疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とし、この点により明細書記載の作用効果を奏するものであるので、この造粒の差異は課題解決のための具体化手段における微差であるということはできない。
したがって、本件発明1が、甲第3号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。
(b)本件発明2〜4について
本件発明2は、本件発明1の組成物と実質的に同一組成のものを、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押し出し造粒することを特徴とする製造方法であるから、上記のように当該製造方法が示されていない甲第3号証に記載の発明と同一であるとすることはできない。
また、本件発明3は、本件発明1における農薬活性成分の水溶解度を限定するもの、本件発明4は、本件発明1又は3の「融点50℃以上の疎水性物質」を特定物に限定するものであるから、上記と同様の理由により、甲第3号証に記載の発明と同一であるとされるものではない。

(ii)特許法第29条第1項、第2項違反に関して
(a)本件発明1について
本件発明1と甲1、2、4〜6号証と対比判断する。
・甲第1号証
甲第1号証には、(1)スルホニルウレア系除草活性化合物、粘土鉱物および常温で固状のパラフィンワックスからなる造粒物、(2)水田雑草のヒエに効力を示す除草活性化合物、(3)粘土鉱物、(4)界面活性剤の各物質を含有してなる放出制御された水田除草用粒剤が記載されている。
ここで、粘土鉱物には、ホワイトカーボン(非晶質二酸化珪素)が含まれ、常温で固状のパラフィンワックスは、その融点が50〜95℃のものが適当であるとされ、スルホニルウレア系除草活性化合物及び水田雑草のヒエに効力を示す除草活性化合物は農薬活性成分であることを考慮して、甲第1号証の水田除草用粒剤と本件発明1の農薬粒剤組成物を比較すると、両者は、農薬活性成分、融点50℃以上の疎水性物質、非晶質二酸化珪素及びキャリアーの混合物からなる点で一致する。
しかしながら、甲第1号証には、粒剤化の方法として、実施例に湿式の押し出し造粒が記載されるのみであり、本件発明1の疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒する方法は記載されず示唆もされない。
なお、甲第1号証の成分である「スルホニルウレア系除草活性化合物、粘土鉱物および常温で固状のパラフィンワックスからなる造粒物」についてみても、スルホニルウレア系除草活性化合物を約80℃で溶融した石油系パラフィンワックス(融点69〜72℃)中に分散させ、ついで炭酸カルシウム(粘土鉱物)を添加分散させ、これらの混合物を60℃まで冷却し、押し出し造粒機で造粒する方法が実施例において示されるのみである。
・甲第2号証
甲第2号証には、農薬造粒の際に補助成分の吸収剤として非晶質二酸化珪素であるホワイトカーボンが使用されることが記載されているが、融点50℃以上の疎水性物質と併用することは示されていない。
また、甲第2号証に記載される押出し造粒法によるプロセスは、そのプロセスフローシートをみると、水を加えて練合する湿式の造粒法であり、本件発明1の疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒する方法は記載されず示唆もされない。
・甲第4号証
甲第4号証における殺虫粒剤の吸着性の高い粉末としては、非晶質二酸化珪素であるカープレックスが、また、炭素数10以上の高級脂肪酸等から選ばれる物質として、融点50℃以上の疎水性物質であるステアリン酸が実施例において使用されている。
しかしながら、甲第4号証に記載される造粒方法は湿式のものであり、また、炭素数10以上の高級脂肪酸等から選ばれる物質の使用量も、粒剤全体の1〜2%であり、融点50℃以上の疎水性物質を15〜80重量%使用し、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒する方法は記載されず示唆もされない。
・甲第5号証
甲第5号証における微粉砕した水不溶性不活性な固形担体物質には、セライトが含まれ、セライトは甲第8、9号証を参酌すれば、非晶質二酸化珪素であるから、甲第5号証の微粉砕した水不溶性不活性な固形担体物質、水不溶性の高融点固体結合剤は、それぞれ本件発明1の融点50℃以上の疎水性物質、吸油能を有する物質に相当する。また、製法に関しては、「〜融解した混合物をジェットにより小滴として下向きに押し出し、長い円柱内で空冷してもよいし、あるいはリボンまたは棒として押し出しカッターによりペレット化してもよい」との記載がある。
しかし、甲第5号証における活性成分の殺微生物化合物は具体的にはイソチアゾロン類であり、該イソチアゾロン類はその皮膚刺激性等の毒性から登録認可されていない農薬として使用不可能な活性成分であり、該殺生物化合物は本件発明1の農薬活性成分に該当するものではなく、甲第5号証には、水田、土壌といった農業に関する場所に適用する農薬粒剤としての使用については記載されず示唆もされていない。
したがって、甲第5号証には、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒する農薬粒剤組成物が記載ないし示唆されているとすることはできない。
なお、非晶質二酸化珪素であるセライトを含有した物品の製造は、具体的には、例4に、セライトに活性成分を吸着させた組成物を、溶融パラフィンろう中に添加・混合し、混合物を室温までに冷却することによりなされており、溶融状態における押し出し造粒されたものではない。さらに、セライトが本件発明に係る所期の効果を奏するものであることが認識されるものでもない。

・甲第6号証
甲第6号証には、ロウ状物質の融点以上の温度下で水を使用しないで押し出し造粒する農薬粒剤の加熱による押し出し造粒方法が記載されている。
しかし、甲第6号証の農薬粒剤には、吸油能を有する物質である非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類を含有させることは記載ないし示唆されていない。
なお、甲第6号証に、結合剤としてセルロース類といえるCMC(カルボキシメチルセルロース)が挙げられているが、これは、湿式の押し出し造粒方法の際に加えるのが好ましいとされるものであり、加熱による押し出し造粒方法では、ロウ状物質が結合剤として働くとされている(第3頁左下欄第16〜20行)。

以上述べたように、本件発明1は甲第1、2、4〜6号証のいずれかに記載された発明であるとも、また、甲第1、2、4〜6号証のいずれかに記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとされるものでもない。なお、甲第7〜9号証は、ベンスルフロンメチル、セライト、珪藻土を説明するための文献にすぎない。

また、上記甲第1、2、4〜6号証の記載を総合勘案しても、特定成分の特定量からなる混合物を特定条件で押出し造粒する土壌に施用する徐放性農薬粒剤組成物である本件発明1が当業者に容易に想到し得るとされるものでもない。
そして、本件発明1は、特定成分の特定量からなる混合物と疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒するとすることにより、「農薬活性物質と融点50℃以上の疎水性物質および吸油能を有する物質を混合して加熱溶融した場合、成形時の温度が少しくらい変動しても粘土状の物質の硬さは変化しないため生産は非常に安定する。」(本件特許公報第7欄第30〜33行)、「簡便な製法により成形でき、かつ徐放化を自由に制御できる」(同第15欄最下行〜第16欄下から1行)という本件明細書記載の格別の効果を奏し得るものである。
したがって、本件発明1が、甲第1、2、4〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとされるものではない。

(b)本件発明2〜4について
本件発明2は、本件発明1の組成物と実質的に同一組成の農薬粒剤組成物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とする製造方法であるから、上記のように特定組成のものを特定条件で押出し造粒する農薬粒剤が示されていない上記各甲号証に記載された発明であるとも、また、上記各甲号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたとされるものでもない。
また、本件発明3は、本件発明1における農薬活性成分の水溶解度を技術的に限定するもの、本件発明4は、本件発明1又は3の「融点50℃以上の疎水性物質」を特定物に限定するものにすぎないのであるから、上記と同様の理由により、各甲号証に記載された発明であるとも、上記各甲号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたとされるものでもない。

4.むすび
したがって、当審での取消理由、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
農薬組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒して得られたものであることを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬粒剤組成物。
【請求項2】(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とする農薬粒剤組成物の製造方法。
【請求項3】農薬活性成分が、水溶解度60ppm以上の物質である請求項1記載の農薬粒剤組成物。
【請求項4】融点50℃以上の疎水性物質が、カルナバワックス、セラック、蜜ロウ、木ロウ、ライスワックス、キャンデリワックス、植物性油脂もしくは動物性油脂を分解して得られる脂肪酸またはその水素添加物、ステアリン酸、ベヘニン酸、菜種硬化脂肪酸、パーム硬化脂肪酸、牛脂硬化脂肪酸、パラフィンワックスおよびマイクロクリスタリンワックスからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1または3項記載の農薬粒剤組成物。
【発明の詳細な説明】
技術分野:
本発明は土壌に施用する徐放性農薬組成物及びその製造方法に関する。
背景技術:
水田や畑作用病害虫防除剤として病害虫に対し有効な農薬を含有した粉剤や粒剤を直接散布する方法、水和剤・乳剤を水に希釈して散布する方法、作物を移植・定植時に植穴の土壌と粒剤を混和して施用する方法等種々実施されている。
現在行われている水田用除草剤や、畑作に使用されている植穴施用用殺虫剤は農薬活性成分と鉱物性キャリアーをバインダー水を用いて混練後、押し出し成形機で顆粒化した粒剤を用いている。このため水により粒剤が直ぐに崩壊し、顆粒中の農薬活性成分が水中または土中へ直ぐに移行し、水溶性の高い農薬活性成分の場合は効力を維持することが難しいという問題点を有していた。
また、水に溶解した農薬活性成分を急激に作物が吸収するため、作物に薬害が発生する可能性を有していた。
更に土中施用の場合、自然環境例えば降雨量・土質により顆粒中から土中へ移行する農薬活性成分の移動距離及びその分布が異なる可能性があるため、効力にバラつきの出る危険性があった。
これらを解決するために、徐放性を付与した製剤の開発が進められている。
例えば、特開昭55-4356、特開平2-288803、特開平4-66509記載のように、ある特定の農薬活性成分をワックスで疎水化する方法や、特開昭59-164705、特開昭61-282301のようにアクリル系のポリマーを用いて、ある特定の農薬活性成分を徐放化しようとする試みがあった。
しかしながらアクリル系ポリマーを用いる場合、ポリマーに親水性と疎水性をうまくバランスさせ放出性を制御する必要があるが、農薬製剤用として使用できる不活性物質の規制(EPAの除外規定)があるため、農薬活性成分の物理特性、特に水への溶解度に応じてポリマーを自由に選択することは不可能である。
また、特開平2-288803、特開平4-66509記載のものは、ある特定の農薬活性成分をワックスで疎水化するが、製造時にワックスで疎水化した農薬活性成分を粉砕しなければ押し出しが不可能となるため、放出を高度に制御することは不可能である。更に目指した性能が得られなかった場合や規格外の製品を再利用しようとしても粉砕すると農薬活性成分が裸になり、放出制御ができず廃棄するより方法がなく資源の無駄となる可能性が大である。
更に特開昭55-4356に記載の方法は、農薬活性成分とワックスおよび無機キャリアーを混合スラリー化し、噴霧造粒法や液中固化法で製造するため製造コストが高く、また生産性が低い等の問題がある。
発明の開示:
本発明者等は、このような状況を鑑み鋭意検討した結果、病害虫や雑草に有効な作用を及ぼす量の農薬活性成分と、融点50℃以上の疎水性および吸油能を有する物質を含有する粒状組成物を発明した。
この場合、農薬活性成分の水への溶解性の大小に係わらず、粒剤からの土中への放出速度を自由に制御することが可能となるため、効力の持続化および土中の水分の多少による効力のブレを少なくすることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬組成物である。
本発明に用いられる農薬活性成分は特に限定されないが、水溶解度は60ppm以上のものが好ましい。60ppm以下の場合は、土壌に施用した場合、降雨量が多くても農薬活性成分が土中であまり移動しないため、放出を制御する必要がないためである。
本発明に使用できる殺虫剤として、次に示すものが挙げられる。
(a)一般式(1)および(2)で表される化合物群、


〔式中、R1は、CH3,C2H5などの低級アルキル基、NHCH3,NHC2H5などのアルキルアミノ基、N(CH3)2などのジアルキルアミノ基、OCH3、OC2H5などのアルコキシ基またはSCH3、SC2H5などのアルキルチオ基を表し、Z1、Z2はそれぞれCHまたはNを表し、W1、W2はそれぞれNO2,NCなどの電子吸引基を表し、R2、R3はそれぞれ水素原子、メチル基、エチル基などの低級アルキル基、P(=O)(OR’)2、CH(OR”)2、CH=NOR’”などを表し(R’、R”およびR’”は水素原子またはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。)、Q1、Q2はそれぞれ塩素原子、臭素原子、フッ素原子などで置換されていてもよいピリジル、チアゾリル基などの含窒素複素環基を表し、Tは、-CH2CH2-,-CH2N(R4)CH2-(R4は水素原子または低級アルキル基を表す。)などを表す。〕
これらの化合物の具体例として、2-メチルアミノ-2-〔N-メチル-(2-クロロ-5-ピリジル)メチルアミノ〕ニトロエチレン(水溶解度:>23000ppm)、2-メチルアミノ-2-〔N-エチル-(2-クロロ-5-ピリジル)メチルアミノ〕ニトロエチレン(水溶解度:〜600g/l)、N1-メチル-N2-(2-クロロ-5-ピリジル)メチル-N3-ニトログアニジン(水溶解度:〜730ppm)、N1-〔(2-クロロ-5-ピリジル)メチル〕-N2-シアノ-N1-メチルアセトアミジン(水溶解度:3700ppm)(以下、「活性物質-1」という。)、1-(2-クロロ-5-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノ-3,5-ジメチルヘキサヒドロトリアジン、1-(2-クロロ-5-チアゾイルメチル)-2-ニトロイミノ-3,5-ジメチルヘキサヒドロトリアジン、1-(2-クロロ-5-ピリジルメチル)-2-ニトロイミノイミダゾリジン(イミダクロプリト,水溶解度:650ppm)などが挙げられる。
b)その他の殺虫剤として、ニテンピラム(水溶解度:300g/l)、エチオフェンカルブ(水溶解度:1900ppm)、カルボフラン(水溶解度:700ppm)、アルディカルブ(水溶解度:6000ppm)、アセフェード(水溶解度:約650g/l)等がある。
また上記の農薬活性成分は防除の対象となる害虫に応じて、1種だけの単独あるいは2種以上を混合して用いられ、また混合する場合の配合割合は任意に選択することができる。
更に、農薬活性成分は殺虫剤に限らず、浸透移行性のある殺菌剤や除草剤でも可能であり、また混合することも可能である。
浸透移行性のある殺菌剤としては次のようなものが挙げられる。
(殺菌剤) (水溶解度)
ペンコナゾール 70ppm
トリアジメノール 62ppm
ホセチルアルミ 120g/l
エタコナゾール 80ppm
等である。
除草剤としては次のようなものが挙げられる。
(除草剤) (水溶解度)
アラクロール 240ppm
メトラクロール 530ppm
シアナジン 171ppm
等である。
本発明に使用する50℃以上の融点を有する疎水性物質としては天然由来のもの、石油系等特に制限はない。天然由来のものとしては、例えばカルナバワックス、セラック、蜜ロウ、木ロウ、ライスワックス、キャデリワックス等がある。準天然由来品としては、植物性油脂や動物性油脂を分解して得られる脂肪酸やその水素添加物であり、ステアリン酸、ベヘニン酸、菜種硬化脂肪酸、パーム硬化脂肪酸、牛脂硬化脂肪酸等である。石油系由来のものとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等である。
また上記疎水性物質は1種だけの単独、あるいは2種以上の混合により使用することが可能である。疎水性物質の添加割合は特に制限はないが押し出し性の面より、少なくとも15重量%以上添加することが必要である。また、農薬活性成分の水への溶解度や、目的とする放出量および放出速度に合致するよう添加量を任意に変える必要がある。
通常、農薬活性成分の水への溶解度が大きくなれば放出速度は速くなり、また結晶性の高い疎水性物質を用いた場合、造粒物は固くなり放出速度は遅くなる。
吸油能を有するものとしては、例えば澱粉、澱粉誘導体、セルロース、乾式法または湿式法により製造される非晶質二酸化珪素等がある。
吸油能を有するとは、溶融した疎水性物質、例えばマイクロクリスタリンワックスを溶融し、見掛け上粉末化するための粉体添加量の少ないものをいう。溶融したマイクロクリスタリンワックス1gを粉末化するためには非晶質二酸化珪素では約0.7g以上、澱粉、セルロース類では3.0g以上、クレーやタルク等の無機物では6.0g以上必要となる。更に押し出し性の面より疎水性物質の添加量は少なくとも15重量%以上必要なことから判断すると、吸油能は本発明の評価法で4g以下のものが好ましく、例えば澱粉、澱粉誘導体、セルロースと非晶質二酸化珪素等である。
特に好ましいものは非晶質二酸化珪素であり、これらは通常ホワイトカーボンと呼ばれ、例えば塩野義製薬製のカープレックス#67、#80、CS-5、CS-7等が挙げられる。
本発明の農薬組成物は、農薬活性成分と50℃以上の融点を有する疎水性物質を混合し、融点以上に加熱した例えば0.5〜2mmの目開きを有したスクリーンにより押し出すことにより製造できる。しかし、農薬活性成分と疎水性物質だけでは液状となるため押し出し法での成形は不可能となる。この液状化を防止するため例えば、疎水性物質に溶解しないキャリアーを加え粘度を高くすると成形は可能となる。
しかし、押し出し造粒の場合、キャリアーを加え粘度を高くしただけでは押し出し時の成形温度が少し変化することにより粘土状の物質の硬さが変化し、生産性が不安定となる。更に押し出し時の成形温度が高くなると、押し出された成形物がアメ状に流れ落ち、一定形状の製品が得られない。また疎水性物質の融点に近い温度で押し出しした場合、押し出し成形物の表面が荒れ、商品価値がなくなる。
しかしながら、農薬活性成分と50℃以上の疎水性物質および吸油能を有する物質を混合し加熱溶融した場合、成形時の温度が少しくらい変動しても粘土状の物質の硬さは変化しないため生産は非常に安定する。特に非晶質二酸化珪素を吸油性物質として用いた場合、非晶質二酸化珪素の高い空隙率のため加熱混合物中に空気が多量に入り、断熱特性が良くなることにより溶融混合物の温度変化が少なくなり、押し出し時の許容幅が広がり生産性が安定する。
これらの吸油性物質の添加量は特に限定はないが、スクリーンから押し出しした顆粒が一本一本独立した状態で得られるように加えることが必要である。
また必要に応じてキャリアーを加えることも可能である。例えば、無機系のクレー、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられるが、吸油能の面からは炭酸カルシウムが好ましい。
さらに放出速度を変更させるため、水溶性の無機・有機物質や水溶性のポリマーを加えることも可能である。放出速度を速くするためには、水への溶解度の大きな物質の添加量を多くすれば良く、放出速度を遅くするためには水溶性物質の添加量を少なくすれば良い。水溶性の無機物質としては硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、有機物質としてはクエン酸、アジピン酸およびそれらの塩、尿素、α化澱粉、乳糖等である。
水溶性のポリマーとしては、例えば天然由来のものとしてアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、カラヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルスターチ等がある。
合成高分子としてはポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等がある。
本発明の農薬組成物において使用される各成分の量は、組み合わせ等の相違により一概に確定できないが、通常全体に対する比率として、農薬活性成分は0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%、50℃以上の融点を有する疎水性物質は15〜80重量%、好ましくは18〜70重量%、吸油能を有する物質は0.05〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、放出速度を制御する水溶性物質は0〜50重量%、好ましくは0.01〜40重量%、残りはキャリアーで全量が100重量%となるように使用する。
本発明の農薬組成物の製造方法は特に限定はないが、通常押し出し成形法による。即ち農薬活性成分と疎水性物質と吸油能を有した物質を必要に応じて放出速度調節剤・キャリアーを混合し、疎水性物質の融点以上に加熱混練して得られた粘土状の混合物を、例えば0.5〜2mmの目開きのスクリーンより押し出し、整粒することにより製造できる。
本発明の方法は、従来の水混練押し出し法に比べ、押し出し品の乾燥が不要でありエネルギーの省力化となる。更に規格外品の再生、すなわち篩別後の篩下を再溶融しても放出制御性能は変化せず、収率も100%に近くなることより非常に大きな利点を有する。
本発明の徐放性農薬組成物は、例えば水田の土壌および水面への散布、畑での植穴や株元への直接あるいは土壌との混和施用、育苗箱への施用等の方法で利用できる。
本発明の徐放性農薬組成物は、高度な放出制御が可能となるため残効が延びる。更に、降雨直後に薬害の危険性のある農薬活性成分を含んだ粒剤を処理し、苗を移植しても薬害の発生のない優れたものである。
本発明を実施するための最良の形態:
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
水溶解度0.3%の活性物質-1 20g、キャリアーである沈澱炭酸カルシウム 620gと放出制御剤であるポリビニルアルコール(日本合成化学製 ゴーセノール GH-17)20g、吸油能を有するホワイトカーボン(塩野義製薬製 カープレックス#80)40gを均一に混合し、これへ溶融したパラフィンワックス(融点 155°F)300gを加えて品温85℃になるよう保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、一本一本独立した良好な押し出し成形物を得た。これを解砕機で粉砕後、0.8〜2mmに篩別し製品とした。
(実施例2)
実施例1と同じ組成で、95℃にて押し出し造粒したところ良好な押し出し成形物を得た。
(実施例3)
活性物質-1 20g、キャリアーである沈降炭酸カルシウム 670gと放出制御剤であるポリビニルアルコール 20g、吸油能を有するホワイトカーボン 50gを均一に混合し、これへ溶融したカルナバワックス 240gを加えて品温85℃になるように保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、一本一本独立した良好な押し出し成形物を得た。これを解砕機で粉砕後、0.8〜2mmに篩別し製品とした。
(実施例4)
実施例3と同じ組成で、95℃にて押し出し造粒したところ良好な押し出し成形物を得た。
(実施例5)
活性物質-1 20g、キャリアーである沈降炭酸カルシウム 715gと吸油能を有するホワイトカーボン 45gを均一に混合し、これへパラフィンワックス 60gとカルナバワックス 160gの混合溶融物を加えて、品温85℃になるように保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、一本一本独立した良好な押し出し成形物を得た。これを解砕機で粉砕後、0.8〜2mmに篩別し製品とした。
(実施例6)
活性物質-1 20g、キャリアーである沈降炭酸カルシウム 695gと放出制御剤であるポリビニルアルコール 20g、吸油能を有するホワイトカーボン 45gを均一に混合し、これへパラフィンワックス 60gとカルナバワックス 160gの混合溶融物を加えて、品温85℃になるように保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、一本一本独立した良好な押し出し成形物を得た。これを解砕機で粉砕後、0.8〜2mmに篩別し製品とした。
(実施例7)
実施例6と同じ組成で、95℃にて押し出し造粒したところ良好な押し出し成形物を得た。
(実施例8)
活性物質-1 20g、キャリアーである沈降炭酸カルシウム 615gと放出制御剤であるポリビニルアルコール 100g、吸油能を有するホワイトカーボン 45gを均一に混合し、これへパラフインワックス 60gとカルナバワックス 160gの混合溶融物を加えて、品温85℃になるように保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、一本一本独立した良好な押し出し成形物を得た。これを解砕機で粉砕後、0.8〜2mmに篩別し製品とした。
(実施例9)
活性物質-1 20g、キャリアーである沈降炭酸カルシウム 605gと放出制御剤である尿素 100g、吸油能を有するホワイトカーボン 35gを均一に混合し、これへ溶融したカルナバワックス 240gを加えて品温85℃になるように保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、一本一本独立した良好な押し出し成形物を得た。これを解砕機で粉砕後、0.8〜2mmに篩別し製品とした。
(実施例10)
実施例9と同じ組成で、95℃にて押し出し造粒したところ良好な押し出し成形物を得た。
比較例
(比較例1)
活性物質-1 20g、沈降炭酸カルシウム 660g、ポリビニルアルコール 20gを均一に混合し、これへ溶融したパラフィンワックス 300gを加えて、品温85℃になるように保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、押し出し品は互いにくっつきながら細く伸びたものになり製造できなかった。
(比較例2)
活性物質-1 20g、沈降炭酸カルシウム 660g、尿素 100gを均一に混合し、これへ溶融したカルナバワックス 240gを加えて、品温85℃になるよう保持したニーダーで混練した。この混合物を85℃に加温した目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ、押し出し品は互いにくっつきながら細く伸びたものになり製造できなかった。
(比較例3)
活性物質-1 20g、タルク 480g、クレー485g、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬製 セロゲン BSH-12)10g、ジオクチルスルホサクシネートNa塩(竹本油脂製 NK-EP-70G)5gをニーダーで混合しながら水120gを加えて混練し粘土状物を得た。これを目開き1mmのスクリーンを通して押し出し造粒したところ独立した押し出し成形物を得た。これを乾燥後0.8〜2mmに篩別し製品とした。
実施例1〜10および比較例1および2の製造の可否についての結果を表1にまとめた。

(試験例)
実施例5、6、8および比較例3で得た粒剤から放出される活性物質-1の放出率、薬害および害虫防除率を測定、調査し、結果を表2に示した。

〔土中放出率の測定方法〕
試料粒剤0.2gをガーゼに包み、直径11cmの植木鉢に詰めた土壌中約3cmに埋め、人工降雨機にて30mm/hrで1時間降雨した後、4、24、48時間後に取り出し45℃で約5時間乾燥する。乾燥試料から溶媒にて活性物質を抽出し、HPLCにて含量を測定する。

〔薬害の調査方法〕
圃場の植穴に試料粒剤1gを施用し、5〜6葉期に生育したキャベツ苗を移植する。2週間後に薬害の発生状況を肉眼観察する。
(判定基準)
- :薬害なし
± :僅かな薬害 (実用上間題なし)
+ :弱い薬害 (実用上問題なし)
++:中〜強い薬害(実用上問題あり)
+++:枯死
〔防除率の調査方法〕
圃場の植穴に試料粒剤1gを施用し、5〜6葉期に生育したキャベツ苗を移植する。一定日数後にコナガ、アブラムシの虫数を調査し、同時点での無処理区に発生した虫数から防除率を算出する。

産業上の利用可能性:
以上説明したように、本発明の農薬組成物は、簡便な製法により成形でき、かつ徐放化を自由に制御できるものであって、その適用は広い。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2924180号発明の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、
(1)特許請求の範囲の減縮を目的として
(a)請求項1に、「(I)農薬活性成分、(II)融点50℃以上の疎水性物質及び(III)吸油能を有する物質として非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物を含有し、押出し造粒で得られることを特徴とする農薬粒剤組成物。」とあるのを、
「(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点 50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒して得られたものであることを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬粒剤組成物。」と訂正し、
(b)請求項2に、「(I)農薬活性成分、(II)融点50℃以上の疎水性物質及び(III)吸油能を有する物質として非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押し出し造粒することを特徴とする農薬粒剤組成物の製造方法。」とあるのを、
「(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒することを特徴とする農薬粒剤組成物の製造方法。」と訂正し、
(c)特許請求の範囲の請求項3を削除するとともに、
(2)明りょうでない記載の釈明を目的として
(d)請求項4、5を請求項3、4と訂正し、
(e)明細書第2頁第18〜21行(特許公報第4欄第22〜26行)において、
「すなわち、本発明は、農薬活性成分と融点50℃以上の疎水性物質および吸油能を有する物質を含有する徐放性農薬組成物、及び融点50℃以上の疎水性物質を溶融し、融点以上の加熱条件下で押し出し造粒して製造したことを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬組成物である。」とあるのを、
「すなわち、本発明は、(I)農薬活性成分 0.01-50重量%、(II)融点 50℃以上の疎水性物質 15-80重量%、(III)吸油能を有する物質としての非晶質二酸化珪素、澱粉、セルロース類からなる群から選ばれる1種または2種以上の混合物 0.05-30重量%、(IV)放出速度を制御する水溶性物質 0-50重量%、および(V)残部としてのキャリアーからなる混合物を、疎水性物質の融点以上の加熱条件下で押出し造粒して製造したことを特徴とする土壌に施用する徐放性農薬組成物である。」と訂正し、
(3)誤記の訂正を目的として
(f)請求項5に「マイクロスタイリンワックス」とあるのを、「マイクロクリスタリンワックス」と訂正する。
異議決定日 2001-08-20 
出願番号 特願平7-510719
審決分類 P 1 651・ 16- YA (A01N)
P 1 651・ 113- YA (A01N)
P 1 651・ 121- YA (A01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 修  
特許庁審判長 脇村 善一
特許庁審判官 井上 彌一
後藤 圭次
登録日 1999-05-07 
登録番号 特許第2924180号(P2924180)
権利者 日本曹達株式会社
発明の名称 農薬組成物  
代理人 東海 裕作  
代理人 東海 裕作  

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