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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G06K
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G06K
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06K
管理番号 1051488
異議申立番号 異議2001-72714  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-10-03 
確定日 2001-12-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第3152602号「ICカードリーダ」の請求項1乃至5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3152602号の請求項1乃至5に係る特許を維持する。 
理由 (1)本件発明
本件特許第3152602号の請求項1乃至5に係るそれぞれの発明(平成7年12月13日出願、平成13年1月26日設定登録)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】カード表面に接触式入出力端子を有する接触式ICカードとカード内に非接触式入出力端子を有する近接型ICカードとが共通走行可能なカード走行路と、上記カード走行路を挟んだ一方側に設けられ上記接触式ICカードの接触式入出力端子に接離可能に設けられた接点ブロック部と、上記カード走行路を挟んだ他方側の上記カード走行路側に設けられ、上記近接型ICカードの非接触式入出力端子と信号の授受を行う信号伝達部と、上記近接型ICカードに対する情報の授受を行うときに上記接点ブロック部を近接型ICカードに押圧させる押圧手段とを備えたことを特徴とするICカードリーダ。
【請求項2】上記接点ブロック部は、上記接触式入出力端子に圧接可能な弾性を有する接点を有し、この接点で上記近接型ICカードを上記信号伝達部に向かって押圧することを特徴とする請求項1記載のICカードリーダ。
【請求項3】上記接点ブロック部は、上記カード走行路に向かって突出するカード押圧部材を備え、同カード押圧部材と上記接点とで上記近接型ICカードを上記信号伝達部に向かって押圧することを特徴とする請求項2記載のICカードリーダ。
【請求項4】上記信号伝達部は、上記カード走行路を形成するフレームに取り付けられたことを特徴とする請求項2記載のICカードリーダ。
【請求項5】上記カード走行路のカード厚さ方向への高さが、上記接触式ICカード及び近接型ICカードの曲がり変形を許容する幅に設定されたことを特徴とする請求項2または4記載のICカードリーダ。」

(2)特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人日本電信電話株式会社は、証拠として甲第1号証(特開平5-67250号公報。以下、刊行物1という。)、甲第2号証(特開平1-181179号公報。以下、刊行物2という。)、甲第3号証(特開平1-134880号公報。以下、刊行物3という。)、甲第4号証(特開平5-307650号公報。以下、刊行物4という。)を提出し、本件請求項1乃至4に係るそれぞれの発明の特許は、特許法第29条第2号の規定に違反してなされたものであるから取り消されるべきものであると主張している。
また、特許異議申立人砂場哲郎は、証拠として甲第1号証(特開平1-311392号公報。以下、刊行物5という。)、甲第2号証(特開平5-307650号公報。上記刊行物4と同じ。)、甲第3号証(特開平5-67250号公報。上記刊行物1と同じ。)、甲第4号証(実開平4-132572号公報。以下、刊行物6という。)を提出し、本件請求項1乃至5に係るそれぞれの発明の特許は、特許法第29条第2号の規定に違反してなされたものであるから取り消されるべきものであると主張し、かつ、本件特許は、特許法第36条第4項、第6項第1号乃至第2号に違反してなされたものであるから取り消されるべきものであると主張している。

(3)刊行物(甲各号証)記載の発明
上記刊行物1(特開平5-67250号公報)には、複合型カードの記録再生装置に関する発明が記載されており、「【0007】・・・光カード及びICカードはそれぞれ長,短所がある。・・・。」、「【0008】・・・そこで、各々のカードの欠点を補う形で、これらの機能を組み合わせた複合型カード(以下ハイブリットカードと記す。)によって、新たなアプリケーションに対応できると期待される。」、「【0020】上記光カード領域2を記録再生する場合は、従来のようにハイブリットカード1をその長手方向へ往復駆動せず、ハイブリットカード1を所定の位置まで搬送して固定し、記録再生用の光学ヘッド4をハイブリットカード1の長手,短手方向(矢印X,Y)に2次元的な走査手段(図示略)で走査し、対物レンズ4bを経て光ビームを光カード領域2に照射する構成で記録再生装置5を形成する。」、「【0023】・・・図4はハイブリットカードのローディング機構部を示し、図5は図4の側面を示し、図6はハイブリットカードの側面側からの付勢の様子を示し、図7はハイブリットカードが挿入される直前のICチップに対する接点の状態と、ハイブリットカードが挿入されてICチップに対して接点が接触する状態を示し、・・・。」、「【0028】センサ8はハイブリットカード1の挿入を検知すると、ハイブリットカード1の搬送路の片側に配置したローディングモータ9を(ハイブリットカード1の挿入方向Xに)搬送する向きに回転する。・・・。」、「【0039】この移動台31の両側に形成した穴及びU字状溝にはそれぞれ基準シャフト32とガイドシャフト33が嵌合され、光学ヘッド4が取り付けられた移動台31を基準シャフト32の方向、つまりハイブリットカード1の挿入方向X(或いはハイブリットカード1の長手方向)に移動可能にしている。基準シャフト32とガイドシャフト33の各端部はフレーム7に固定されたシャフト台34にネジ35で固定される止め具36を用いて固定される。」、「【0050】図7(a)に示すように上記接点ホルダ6の起立部6cの下端は、フレーム7の切り起こし部7bに支持されたホルダバネ63によってその下端が切り起こし部7bと反対側(つまり挿入口側)に伸張する弾性力が作用し、従って各接点6aが設けられたアーム部6bは矢印で示す時計方向R1へ回転付勢される。この回転付勢に対して、ローディングされるハイブリットカード1が装着位置に達すると、起立部6cの下端を切り起こし部7b側に移動し、アーム部6bを反時計方向R2に回動し、図7(b)に示すように各接点6aをハイブリットカード1上面に押しつけるようにする。」、「【0051】 この接点6aが押しつけられるハイブリットカード1上面位置がICチップ領域3の各接点3aが露呈する位置となるように該接点6aがアーム部6bに設けてある。」、「【0070】・・・光学的に情報の記録及び再生を行うことができると共に、ICチップ領域3の接点に接続可能な記録再生用接点6aを有する機構を設けてあるので、、常にICチップに給電及び記録再生の信号を印加しながら電気的な記録再生も可能である。」、「【0075】・・・本実施例では光カード領域2とICチップ領域3面が同一面にあるハイブリットカード(図2)を対象にしているが、そのようなハイブリットカードに限定されるわけではなく、光カード領域2とICチップ領域3面が反対面に構成されたハイブリットカードの場合には(図2において、ICカード領域3が裏面に形成されたもの、つまり一方の面の一方の側に光カード領域が形成され、他方の面の他方の側にICカード領域が形成されたもの。)、図7の接点ホルダ6の天地を反対にすれば簡単に対応できる。」と説明されている。
上記刊行物2(特開平1-181179号公報)には、非接触状態でICカードリーダ・ライタとの間でデータの送受を行う電磁結合型のICカードが記載されている。
上記刊行物3(特開平1-134880号公報)には、ICカード用コネクタに関し、「従来、この種のICカード用コネクタは第2図のようにコイルばね14をハウジング13内で水平に置き、その一端を基板15に接続し、また他端を湾曲させて形成し、その湾曲部をICカード1のパッド2への接触部14aとしていた。そして、このコネクタ20を図中矢印の方向に移動して、ICカード1のパッド2とコイルばね14の接触部14aとを接触させて、読み取り・書き込み装置との接触を行っていた。」(第1頁右下欄第1〜9行)、「コイルばね4の接触部4aは、ICカード1のパッド2に接触し、データの読み取り及び書き込みが可能となる。この場合、コイルばね4は、そのコイル部4bの弾性力によって接触が確実に行われることとなり、パッド2によって接触部4aが押下されると、接触部4aは、ICカード1の下面に対し垂直方向に後退し、パッド2の表面に摩耗を生じさせることがない。」(第2頁左下欄第8〜16行)と記述されている。
上記刊行物4(特開平5-307650号公報)には、ICカード読み取り書き込み装置に関し、「【0011】このICカード読み取り書き込み装置1はコンタクトユニット2とICカード面着部材3とを備えている。コンタクトユニット2はフレーム4内に上下動自在に収納されている。コンタクトユニット2は底面2aにICカード接続用の弾性端子5,5,…を備えている。弾性端子5は底面2aに対して上下動自在取り付けられており、さらに下向きに突出する方向に弾性付勢されている。また、弾性端子5の形成位置は後述するICカードAの接続電極と対向する位置に設定されている。コンタクトユニット2の底面2aの四隅には押圧突起6が形成されている。押圧突起6の突出長さは、負荷のかかっていないときの弾性端子5の突出長さより短くなっている。なお、押圧突起6の形成位置を底面2aの四隅にしているが、これは、押圧突起6がICカードAの接続電極に当接しないようにするためである。そのため、ICカードAの接続電極に当接しない位置であれば、底面2aの四隅でなくともよい。」と記述されている。
上記刊行物5(特開平1-311392号公報)には、カード取扱い装置に関する発明が記載されており、「これら異なる種類のカードを取り扱う場合にそれぞれ別の挿入口を持つ、又は同一挿入口を持つが顧客に操作、例えばキー操作によりカードの種別を選択操作させるものが用いられていた。(発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来技術の装置では、キャッシュカードだけを取り扱う装置にくらべて機構が大きくなり、また顧客による操作が煩雑になるという問題点があった。そこで、本発明は前記従来技術の問題点を解決でき、操作性の優れたカード取扱い装置を提供することを目的とする。」(第2頁左上欄第10行〜右上欄第2行)、「第1図は本発明に係るカード読み取り機構を説明する図である。同図において、カード挿入口101はカードの挿入口である。ピンチローラ102、105は、ローラの回転によりカードを所定位置まで走行させる手段である。ICカードコンタクトヘッド103は、ICカード上の図示しない接点端子と接触し、端末からのリセット信号ONによりカードの固定情報(アンサ・トゥ・リセット)を端末へ送出し、取引処理のためICカードと端末とを接触させる手段である。磁気ヘッド104は、カード上の磁気ストライプを読み取り、取引処理のためカードと端末とを接触させる手段である。カード走行路106はカードがICカードコンタクトヘッド103及び磁気ヘッド104へ移動するための走行路である。」(第2頁左下欄第17行〜右下欄第11行)、「ICカードコンタクトヘッド103をコンタクトダウンしICカード上の接点端子と接触させる(S203)。」(第3頁右上欄第11〜14行)、「従来技術の磁気カード読み取り装置内にICカードコンタクトヘッド機構を設けたので、別のICカード挿入口を設けるために装置を大幅に改造したり、ICカード読み取り用の別装置を用意しなくても良いため装置改造費を最小限にすることが期待できる。また装置上のカード挿入口がICカードと磁気ストライプカードとで同一であり、カードの種別を装置内で自動的に判別するため、顧客操作性向上と画面操作によるカード媒体の判別手段にくらべて取引期間の短縮が図れる。」(第3頁右下欄第8〜18行)と説明されている。
上記刊行物6(実開平4-132572号公報)には、非接触式ICカード質問器に接触式ICカード用接触コネクタ部を設けた構成が記載されている。

(4)本件特許が特許法第29条第2号の規定に違反してなされたものであるか否かについての検討
本件の請求項1に係る発明(以下、本件第1発明)は、カード表面に接触式入出力端子を有する接触式ICカードとカード内に非接触式入出力端子を有する近接型ICカードとが共通走行可能なカード走行路を有することをひとつの特徴としているところ、上記刊行物1には、複合型カードの走行路に関する記載はあるものの、本件第1発明のように、カード表面に接触式入出力端子を有する接触式ICカードとカード内に非接触式入出力端子を有する近接型ICカードとが共通走行可能なカード走行路を有することについて記載されておらず、それを示唆する記載もない。
また、上記刊行物5には、磁気ストライプカードとICカードとが共通走行可能なカード走行路に関する構成が記載されているものの、本件第1発明のカード表面に接触式入出力端子を有する接触式ICカードとカード内に非接触式入出力端子を有する近接型ICカードとが共通走行可能なカード走行路を有することについて記載されておらず、それを示唆する記載もない。そして、非接触型ICカードが本件出願前周知であるからといって、上記刊行物5記載の発明において、磁気ストライプカードに代えて非接触型ICカードを用いるということに直ちに結びつくことでもない。
さらに、上記刊行物2乃至4,6にも、本件第1発明のカード表面に接触式入出力端子を有する接触式ICカードとカード内に非接触式入出力端子を有する近接型ICカードとが共通走行可能なカード走行路を有することについて記載されておらず、それを示唆する記載もない。
したがって、その余を検討するまでもなく、本件第1発明は、上記刊行物1乃至6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
また、本件の請求項2乃至請求項5に係るそれぞれの発明(以下、本件第2発明乃至本件第5発明という。)は、本件第1発明を引用するものであるから、その余を検討するまでもなく、本件第1発明で述べたと同様な理由で、本件第2発明乃至本件第5発明は、上記刊行物1乃至6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(5)本件特許が特許法第36条第4項、第6項第1号乃至第2号に違反してなされたものであるか否かの検討
特許請求の範囲の記載をみても、本件第1発明乃至本件第5発明について、その構成が不明確であるとするものは見あたらない。また、それら発明については、発明の詳細な説明の欄において説明されており、その発明の詳細な説明の欄の説明が不明確であるとか不十分であるということはない。

(6)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によって、本件第1発明乃至本件第5発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件第1発明乃至本件第5発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
 
異議決定日 2001-11-26 
出願番号 特願平7-324283
審決分類 P 1 651・ 534- Y (G06K)
P 1 651・ 531- Y (G06K)
P 1 651・ 121- Y (G06K)
最終処分 維持  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 大橋 隆夫
橋本 正弘
登録日 2001-01-26 
登録番号 特許第3152602号(P3152602)
権利者 株式会社三協精機製作所
発明の名称 ICカードリーダ  
代理人 澤井 敬史  
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